(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における映像表示装置の概略構成を示す図である。
図2は、本発明の実施の形態1における映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
映像表示装置10は、
図1に示すように、複数の画像を合成した合成画像を表示する表示部13と、表示部13の表示面側に対向して配置されたパララックスバリア11と、観察者の眼の位置を検出する検出部12とを備えている。
【0022】
表示部13は、立体視を行う表示領域において、立体視の視点数に応じた複数の視差画像を空間的に分割して1画面内に合成して表示する。表示部13において、基準サブピクセルが表示部13の表示面の左上に位置している。基準サブピクセルからX軸(+)方向に複数のサブピクセルからなる画素行が構成され、基準サブピクセルからY軸(−)方向に複数のサブピクセルからなる画素列が構成されている。また、表示部13は、立体視を行わない表示領域において、1視点の画像を表示する。
【0023】
パララックスバリア11は、後述するように、表示部13からの映像光を透過するスリット部41と映像光を遮蔽する遮蔽部42とからなるバリアパターンを有している。パララックスバリア11は、表示部13に表示された合成画像を、立体視が可能となるようにバリアパターンによって光学的に分離する。検出部12は、CCD(Charge Coupled Device)などにより観察者の映像を取得し、顔検出などにより頭部又は左右の眼の位置を検出する。
【0024】
図2に示すように、映像表示装置10は、パララックスバリア11、検出部12、表示部13、画像信号処理部14及び制御部15を備える。
【0025】
表示部13は、複数色のサブピクセルが2次元的に配列された表示面を有する。表示部13は、例えば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される。表示部13は、複数色のサブピクセルが所定のパターンで配列されており、観察者の視点に応じて異なる複数の画像を合成した合成画像表示する。なお、合成画像は、互いに異なる視点から撮影された立体視のための複数の視差画像の他、同じ視点から撮影された画像も含む。
【0026】
また、表示部13は、第1の画像と、第1の画像とは異なる第2の画像とが合成された合成画像を表示するための映像光を出射する表示面を含む。なお、第1の画像は、左眼で観察される左画像であり、第2の画像は、右眼で観察される右画像である。
【0027】
パララックスバリア11は、表示部13によって表示される合成画像を観察者の視点に応じて分離する。パララックスバリア11は、観察者の左右の眼に異なる視点の視差画像が見え、観察者が立体映像を観察できるように、合成画像を分離する。パララックスバリア11は、表示部13からの映像光を透過するスリット部と、映像光を遮蔽する遮蔽部とを有する。パララックスバリア11は、例えば、液晶又は樹脂などで構成される。
【0028】
また、パララックスバリア11は、映像光を、第1の画像を表す第1の映像光と、第2の画像を表す第2の映像光とに分離する。パララックスバリア11は、左画像を表す左映像光を左眼に入射させるとともに、右画像を表す右映像光を右眼に入射させるように、映像光を分離する。
【0029】
検出部12は、観察者の位置を検出する。検出部12は、観察者の両眼の位置を検出する。検出部12は、例えば、CCDなどで構成される。検出部12は、映像表示装置10の周囲360度の空間を撮影し、撮影された映像から観察者の眼の位置を検出する。なお、検出部12は、観察者の頭部の位置を検出してもよい。また、本実施の形態1において、検出部12は、表示部13を含む本体に配置されるが、本発明は特にこれに限定されず、表示部13の周囲の空間を俯瞰する位置に配置されてもよい。
【0030】
制御部15は、検出部12によって検出された観察者の位置に応じて、合成画像の向きを制御する。制御部15は、検出部12によって検出された観察者の頭部又は眼の位置に基づいて、合成画像の下部が観察者の存在する方向を向くように、合成画像の表示位置を制御する。制御部15は、検出部12から得られた情報を用いて表示部上に存在する立体視を行う表示領域と、各サブピクセルが担当する視点とを決定する。
【0031】
合成画像は、第1の画像領域と、観察者が第1の位置に存在する場合に第1の画像領域と観察者との間に表示される第2の画像領域とを含む。制御部15は、検出部12によって観察者が第1の位置とは異なる第2の位置に存在することが検知された場合、第1の画像領域と第2の位置に存在する観察者との間に第2の画像領域が表示されるように合成画像の向きを制御する。
【0032】
画像信号処理部14は、表示部13を制御する。画像信号処理部14は、制御部15で決定された表示部上の立体視を行う表示領域に表示する複数の視差画像データと、立体視を行わない表示領域に表示する2次元画像データとを1枚の画像として合成する。
【0033】
なお、本実施の形態1において、映像表示装置10が表示装置の一例に相当し、表示部13が表示部の一例に相当し、パララックスバリア11が分離部の一例に相当し、検出部12が検出部の一例に相当し、制御部15が画像制御部及びバリアパターン制御部の一例に相当する。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態1において、観察者がY軸(+)方向に映像表示装置10を観察した場合の観察者と映像表示装置10との関係を示す図であり、
図4は、本発明の実施の形態1において、観察者がY軸(−)方向に映像表示装置10を観察した場合の観察者と映像表示装置10との関係を示す図である。ここで、「観察者がY軸(+)方向(Y軸(−)方向)に映像表示装置10を観察した場合」というのは、「視線に対してY軸(+)方向(Y軸(−)方向)を上にして観察した場合」と言い換えてもよい。つまり、観察者がY軸(+)方向(Y軸(−)方向)に映像表示装置10を観察した場合は、映像表示装置10が垂直に立てられた状態で、観察者が画面の正面付近から見ている場合を含む。また、観察者がY軸(+)方向(Y軸(−)方向)に映像表示装置10を観察した場合は、映像表示装置10がテーブルに寝かされるなど、映像表示装置10が水平に配置された状態で、観察者が斜め上方から画面を見下ろしている場合を含む。また、観察者がY軸(+)方向(Y軸(−)方向)に映像表示装置10を観察した場合は、映像表示装置10が観察者の手に持たれるなど、映像表示装置10が垂直又は水平以外に配置された状態で、観察者が画面を見ている場合を含む。
【0035】
図5は、本発明の実施の形態1における観察方向について説明するための図である。
【0036】
検出部12は、観察者の両眼の位置を検出する。制御部15は、検出部12によって検出される観察者の両眼の位置から表示部13の表示面16に向かう方向31を表示面16を含む平面に投影した観察方向32を特定し、特定した観察方向32と、所定の基準方向33との角度に応じて、合成画像の表示位置を制御する。なお、観察者が映像表示装置10を見る際に体の位置と両眼の位置とが表示部13の表示面16の中心38を挟んで存在している場合、制御部15は、観察者の体の位置情報と照らし合わせて合成画像の向き及び表示位置を制御する。
【0037】
例えば、制御部15は、検出部12によって検出される観察者の両眼を結ぶ直線34の中点35から表示部13の表示面16を含む平面への垂線36と当該平面との交点37から表示面16の中心38へ向かう観察方向32と、表示部13の表示面16上の基準方向33との角度に応じて、合成画像の表示位置を制御する。
【0038】
ここで、表示面16は、四角形状である。基準方向33は、表示面16の複数の辺のうちの1つの基準辺17に垂直な方向であり、Y軸(+)方向である。
【0039】
制御部15は、観察方向32と基準方向33との角度が0度である場合、合成画像の下辺を基準辺17に一致させる。また、制御部15は、観察方向32と基準方向33との角度が所定の角度である場合、合成画像の下辺を基準辺17から所定の角度回転させる。すなわち、制御部15は、観察方向32と基準方向33との角度が90度である場合、合成画像の下辺を基準辺17から90度回転させる。また、制御部15は、観察方向32と基準方向33との角度が180度である場合、合成画像の下辺を基準辺17から180度回転させる。また、制御部15は、観察方向32と基準方向33との角度が270度である場合、合成画像の下辺を基準辺17から270度回転させる。
【0040】
上記のように、観察方向32が基準方向33と一致する場合、観察方向32と基準方向33との角度は0度となる。また、観察方向32が基準方向33と対向する場合、観察方向32と基準方向33との角度は180度となる。また、観察方向32が基準方向33から反時計回りに90度移動した場合、観察方向32と基準方向33との角度は90度となる。また、観察方向32が基準方向33から反時計回りに270度移動した場合、観察方向32と基準方向33との角度は270度となる。
【0041】
検出部12は、観察者の眼の位置を検出するだけでなく、観察者がY軸(+)方向に映像表示装置10を観察しているのか、Y軸(−)方向に映像表示装置10を観察しているのか、といった観察方向も特定する。観察方向については、例えば、眼と共に鼻又は口を検出し、眼と鼻との位置関係又は眼と口との位置関係から判断することができる。したがって、検出部12は、観察方向がY軸(+)方向であるか及び観察方向がY軸(−)方向であるかだけでなく、観察方向がX軸(+)方向であるか、観察方向がX軸(−)方向であるか、及び観察方向がY軸(+)方向に対して何度傾いているか、についても特定できる。
【0042】
図3において、表示部13の表示面内にある表示領域22には、観察者のための立体表示が行われる。制御部15は、検出部12から得られた眼の位置情報と、観察者と表示部13との間にあるパララックスバリア11のスリット位置に関する情報とを用いて、観察者が正しく立体視できるように複数の視差画像を空間的に分割して表示領域内に合成して表示する。表示部13の立体表示を行う表示領域22に表示する合成画像の向きは、検出部12によって得られた観察者の眼の位置情報を用いて制御される。なお、表示部13の表示面内の立体表示を行う表示領域22は、画面全体でなくてもよい。例えば、表示領域22は、画面内の所定の位置にあるウィンドウ内だけでもよい。その場合、制御部15は、ウィンドウの開始位置およびウィンドウサイズを用いて、
図3のようにY軸(+)に向かって見た場合に立体視可能なように複数の視差画像を並び替える。
【0043】
図6は、
図3に示すように映像表示装置10をY軸(+)方向に観察したときの、表示部13における立体表示を行う表示領域22の4視点用の画素配列のパターンの一例を示す図である。表示部13の表示面は、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の3色のサブピクセル3R,3G,3Bが2次元的に所定のパターンで配列されている。N個の視点(ここでは4視点)に対応する立体表示が行われる場合、表示部13は、N個の視差画像を1画面内にN個に空間的に分割して表示する。4個の視点に対応する立体表示を行う場合、表示部13は、4個の視差画像を1画面内に4個に空間的に分割して表示する。
図6において、(R1,G1,B1)のサブピクセル群が第1視点用の画素である。また、(R2,G2,B2)のサブピクセル群が第2視点用の画素であり、(R3,G3,B3)のサブピクセル群が第3視点用の画素であり、(R4,G4,B4)のサブピクセル群が第4視点用の画素である。
【0044】
なお、立体表示を行う表示領域22の4視点用の画素配列のパターンは、検出部12から得られた眼の位置情報と、観察者と表示部13との間にあるパララックスバリア11のスリット位置情報とによって変化する。
図6においては、一番左上の画素の視点番号が変わる。ただし、第1視点の画素、第2視点の画素、第3視点の画素及び第4視点の画素が左から順に並ぶことは変化しない。また、左斜め下方に向かって同じ視点の画素が並ぶことは変化しない。なお、制御部15は、観察者の観察方向が変わったことが検出部12によって検出された時に、適切な画素配列のパターンを決定してもよい。また、制御部15は、表示面に対する観察者の視点の水平移動又は垂直移動など、観察者と映像表示装置10との相対的な位置関係の変化が検出部12によって検出された時に、リアルタイムに画素配列のパターンを変化させてもよい。
【0045】
映像表示装置10が水平に設置された場合、観察者は、表示面に対して水平方向(左右方向)だけでなく、垂直方向(上下方向)に動くこともある。観察者が映像表示装置10を保持して表示面を観察する場合、観察者は、表示面に正対して観察するため、表示面に対して上下方向から観察することはない。そのため、従来、観察者の上下の動きに対応した表示部又は分離部の制御は必要なかった。しかしながら、映像表示装置10が水平に設置された場合、観察者の上下の動きに対応した表示部又は分離部の制御が必要となる。
【0046】
特に、上述するようにスリット部が斜めに形成されている場合、観察者が表示面に正対した状態で、パララックスバリアの適視領域(適切に立体視可能な領域)が斜めに形成されている。そのため、観察者が上下方向(表示面に対して垂直方向)に移動することによって、今まで観察していた視点が変わってしまうという問題がある。そのため、観察者の注視位置が画面の中央の位置を維持した状態で、観察者が、水平に置かれた映像表示装置10に対して近づいたり離れたりする(
図3及び
図4の場合は上下方向に動く)ことによって、観察者の左右の眼で見える視点画像は変化し、いずれ逆視の状態になる。例えば、4視点の視差バリアを用いた場合、画面の中央の上下方向の適視範囲は、約±30cmである。
【0047】
そこで、制御部15は、検出部12によって検出される観察者の両眼の位置から表示部13の表示面16に向かう方向31と、表示面16との角度に応じて、合成画像の表示位置を制御してもよい。このとき、制御部15は、方向31と表示面16との角度と、パララックスバリア11のバリアパターンに関する情報とに応じて、合成画像の表示位置を制御してもよい。
【0048】
すなわち、検出部12は、観察者の両眼の位置を検出する。制御部15は、検出部12によって検出される観察者の両眼の位置から表示面13に向かう方向31を特定し、特定した方向31における観察者の両眼の位置情報と、パララックスバリア11の位置情報とに応じて、合成画像の表示位置を制御してもよい。
【0049】
このように、観察者の水平方向の位置の変化だけでなく、観察者の垂直方向の位置の変化に応じて、合成画像の画素配列パターンを変化させることができる。
【0050】
図7は、観察者が映像表示装置をY軸(+)方向に観察したときの
図6の画素配列パターンに対応したパララックスバリアのバリアパターンを示す図である。
図7に示すように、パララックスバリア11は、表示部13からの映像光を透過するスリット部41と、映像光を遮蔽する遮蔽部42とを有する。スリット部41と遮蔽部42とからバリアパターンが形成される。
【0051】
なお、
図7では、表示部13における立体表示を行う表示領域22の4視点用の画素配列のパターンに対応したバリアパターンを示しており、観察者の片眼(例えば右眼)からパララックスバリア11のスリット部41を介して第2視点用の(R2,G2,B2)のサブピクセル群のみが見えている状態を示している。なお、観察者の観察位置が水平方向(X軸方向)に移動した場合、スリット部41を介して第1視点用の(R1,G1,B1)のサブピクセル群のみが見える位置、第3視点用の(R3,G3,B3)のピクセル群のみが見える位置、第4視点用の(R4,G4,B4)のサブピクセル群のみが見える位置が存在する。このように、見る方向によって特定の視点用のサブピクセル群のみが見えるように、バリアパターンが形成されている。
【0052】
図8は、
図4に示すように映像表示装置10をY軸(−)方向に観察したときの、表示部13における立体表示を行う表示領域23の4視点用の画素配列のパターンの一例を示す図である。4個の視点に対応する立体表示を行う場合、表示部13は、4個の視差画像を1画面内に4個に空間的に分割して表示する。
図8において、(B1,G1,R1)のサブピクセル群が第1視点用の画素である。また、(B2,G2,R2)のサブピクセル群が第2視点用の画素であり、(B3,G3,R3)のサブピクセル群が第3視点用の画素であり、(B4,G4,R4)のサブピクセル群が第4視点用の画素である。
【0053】
なお、立体表示を行う表示領域23の4視点用の画素配列のパターンは、検出部12から得られた眼の位置情報と、観察者と表示部13との間にあるパララックスバリア11のスリット位置情報とによって変化する。
図8においては、一番左上の画素の視点番号が変わる。ただし、第1視点の画素、第2視点の画素、第3視点の画素及び第4視点の画素が左から順に並ぶことは変化しない。また、左斜め下方に向かって同じ視点の画素が並ぶことは変化しない。なお、制御部15は、観察者の観察方向が変わったことが検出部12によって検出された時に、適切な画素配列のパターンを決定してもよい。また、制御部15は、水平移動など、観察者と映像表示装置10との相対的な位置関係の変化が検出部12によって検出された時に、リアルタイムに画素配列のパターンを変化させてもよい。
【0054】
図9は、映像表示装置10をY軸(−)方向に観察したときの
図8の画素配列パターンに対応したパララックスバリア11のバリアパターンを示す図である。なお、
図9では、表示部13における立体表示を行う表示領域23の4視点用の画素配列のパターンに対応したバリアパターンを示しており、観察者の片眼(例えば右眼)からパララックスバリア11のスリット部41を介して第2視点用の(B2,G2,R2)のサブピクセル群のみが見えている状態を示している。なお、観察者の観察位置が水平方向(X軸方向)に移動した場合、スリット部41を介して第1視点用の(B1,G1,R1)のサブピクセル群のみが見える位置、第3視点用の(B3,G3,R3)のサブピクセル群のみが見える位置、第4視点用の(B4,G4,R4)のサブピクセル群のみが見える位置が存在する。このように、見る方向によって特定の視点用のサブピクセル群のみが見えるように、バリアパターンが形成されている。
【0055】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2において、2人の観察者が、映像表示装置10の表示部13を観察する様子について説明するための図である。
図10では、第1の観察者51の観察方向と、映像表示装置10の基準方向(Y軸(+)方向)との角度が0度となる位置、及び第2の観察者52の観察方向と、映像表示装置10の基準方向(Y軸(+)方向)との角度が180度となる位置における表示例を示している。
【0056】
なお、実施の形態2における映像表示装置は、実施の形態1の
図1及び
図2における映像表示装置10と同じ構成であるので、詳細な説明を省略し、実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0057】
検出部12は、複数の観察者の位置を検出する。検出部12は、複数の観察者の頭部又は眼の位置を検出する。制御部15は、複数の観察者の数に応じて表示部13の表示面を複数の表示領域に分割し、検出部12によって検出された複数の観察者の位置に応じて、複数の表示領域のそれぞれにおいて合成画像の向きを制御する。
【0058】
図10において、検出部12は、第1の観察者51及び第2の観察者52の頭部又は眼の位置を検出する。制御部15は、表示部13の表示面を第1の表示領域61及び第2の表示領域62に分割し、検出部12によって検出された第1の観察者51及び第2の観察者52の頭部又は眼の位置に応じて、第1の表示領域61及び第2の表示領域62のそれぞれにおいて合成画像の向きを制御する。
【0059】
図10において、表示部13の表示面内にある第1の表示領域61には、第1の観察者51のための立体表示が行われ、表示部13の表示面内にある第2の表示領域62には、第2の観察者52のための立体表示が行われる。制御部15は、検出部12から得られた第1の観察者51の眼の位置情報と、第1の観察者51と表示部13との間にあるパララックスバリア11のスリット部41の位置に関する情報とを用いて、第1の観察者51が正しく立体視できるように複数の視差画像を空間的に分割して第1の表示領域61内に合成して表示する。また、制御部15は、検出部12から得られた第2の観察者52の眼の位置情報と、第2の観察者52と表示部13との間にあるパララックスバリア11のスリット部41の位置に関する情報とを用いて、第2の観察者52が正しく立体視できるように複数の視差画像を空間的に分割して第2の表示領域62内に合成して表示する。第1の観察者51が立体視を行う表示部13の第1の表示領域61に表示する合成画像の向きと、第2の観察者52が立体視を行う表示部13の第2の表示領域62に表示する合成画像の向きとは、検出部12によって得られた各観察者の眼の位置情報を用いて制御される。
【0060】
図11は、
図10に示すように、第1の観察者51が映像表示装置10をY軸(+)方向に観察するとともに、第2の観察者52が映像表示装置10をY軸(−)方向に観察したときの、表示部13における立体表示を行う第1の表示領域61及び第2の表示領域62の4視点用の画素配列のパターンの一例を示す図である。Y軸(+)方向に観察している第1の観察者51のための第1の表示領域61の基本的な構成については
図6の構成例と同様であり、Y軸(−)方向に観察している第2の観察者52のための第2の表示領域62の基本的な構成については
図8の構成例と同様である。
【0061】
なお、立体表示を行う第1の表示領域61の4視点用の画素配列のパターンは、検出部12から得られた第1の観察者51の眼の位置情報と、第1の観察者51と表示部13の間にあるパララックスバリア11のスリット位置情報とによって変化する。また、立体表示を行う第2の表示領域62の4視点用の画素配列のパターンは、検出部12から得られた第2の観察者52の眼の位置情報と、第2の観察者52と表示部13の間にあるパララックスバリア11のスリット位置情報とによって変化する。
図11においては、各観察者に対応する画像の一番左上の画素の視点番号が変わる。ただし、第1視点の画素、第2視点の画素、第3視点の画素及び第4視点の画素が左から順に並ぶことは変化しない。また、左斜め下方に向かって同じ視点の画素が並ぶことは変化しない。なお、制御部15は、各観察者の観察方向が変わったことが検出部12によって検出された時に、適切な画素配列のパターンを決定してもよい。また、制御部15は、水平移動など、各観察者と映像表示装置10との相対的な位置関係の変化が検出部12によって検出された時に、リアルタイムに画素配列のパターンを変化させてもよい。
【0062】
図12は、第1の観察者が映像表示装置をY軸(+)方向に観察するとともに、第2の観察者が映像表示装置をY軸(−)方向に観察したときの
図11の画素配列パターンに対応したパララックスバリアのバリアパターンを示す図である。
【0063】
なお、
図12では、表示部13における立体表示を行う第1の表示領域61及び第2の表示領域62の4視点用の画素配列のパターンに対応したバリアパターンを示しており、第1の観察者51及び/又は第2の観察者52のそれぞれの片眼(例えば右眼)からパララックスバリア11のスリット部41を介して第2視点用の(R2,G2,B2)のサブピクセル群のみが見えている状態を示している。なお、各観察者の観察位置が水平方向(X軸方向)に移動した場合、スリット部41を介して第1視点用の(R1,G1,B1)のサブピクセル群のみが見える位置、第3視点用の(R3,G3,B3)のサブピクセル群のみが見える位置、第4視点用の(R4,G4,B4)のサブピクセル群のみが見える位置が存在する。このように、見る方向によって特定の視点用のサブピクセル群のみが見えるように、バリアパターンが形成されている。
【0064】
なお、本実施の形態2では、第1の観察者51と第2の観察者52とは、互いに対向する位置から映像表示装置10を観察しているが、本発明は特にこれに限定されず、第1の観察者51と第2の観察者52とは、互いの観察方向のなす角度が所定の角度である位置から映像表示装置10を観察してもよい。例えば、第1の観察者51と第2の観察者52とは、互いの観察方向のなす角度が90度である位置から映像表示装置10を観察してもよい。すなわち、第1の観察者51が映像表示装置10をY軸(+)方向に観察するとともに、第2の観察者52が映像表示装置10をX軸(−)方向に観察してもよい。
【0065】
この場合、制御部15は、第1の観察者51の観察方向と基準方向との角度が0度である場合、合成画像の下辺を基準辺に一致させる。また、制御部15は、第2の観察者52の観察方向と基準方向との角度が90度である場合、合成画像の下辺を基準辺から90度回転させる。さらに、制御部15は、パララックスバリア11のスリット部41の位置を第1の表示領域61及び第2の表示領域62の各合成画像に応じて変化させてもよい。
【0066】
また、
図10では、第1の表示領域61と第2の表示領域62とは、互いに異なる合成画像を表示しているが、本発明は特にこれに限定されず、第1の表示領域61と第2の表示領域62とは、同じ合成画像を表示してもよい。
【0067】
(実施の形態3)
図13は、
図3に示す映像表示装置を表示面に平行な面内で時計回りに90度回転させた際における表示部の表示例を示す図である。映像表示装置10を表示面に平行な面内で時計回りに90度及び270度回転させた場合、
図3と同様に、表示部13の表示面内にある表示領域71には、観察者のための立体表示が行われる。制御部15は、検出部12から得られた眼の位置情報と、観察者と表示部13との間にあるパララックスバリア11のスリット部41の位置情報とを用いて、観察者が正しく立体視できるように複数の視差画像を空間的に分割して表示領域内に合成して表示する。表示部13の立体表示を行う表示領域71に表示する合成画像の向きは、検出部12によって得られた観察者の眼の位置情報から求まる観察方向と表示部の基準方向との角度を用いて、立体表示を行う表示領域71内の合成画像が観察者に対して正対するように、制御される。
【0068】
また、映像表示装置10を表示面に平行な面内で時計回りに90度、180度及び270度以外の角度に回転させた場合、
図14に示すように、表示部13は、視差を持たない1視点の画像を、立体表示を行う表示領域72上の観察者に対して正対する位置に表示してもよい。
【0069】
図14は、映像表示装置を表示面に平行な面内で時計回りに90度、180度及び270度以外の角度に回転させた際における表示部の表示例を示す図である。
【0070】
制御部15は、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、第1の画像及び第2の画像のいずれか一方のみを表示部13に表示させる。すなわち、制御部15は、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、1つの画像のみを表示部13に表示させる。これにより、表示部13の表示領域72には、立体的に画像が表示されるのではなく、2次元的に画像が表示される。なお、
図14では、観察方向と基準方向との角度は、45度となっている。
【0071】
このとき、制御部15は、バリアパターンをパララックスバリア11の全面に形成するか否かを制御してもよい。そして、制御部15は、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、バリアパターンをパララックスバリア11の全面に形成せずに、表示部13からの映像光を全て透過させてもよい。
【0072】
これにより、立体表示が困難である角度から観察者が表示部を観察した場合に、解像度の高い画像を観察者に提供することができる。
【0073】
また、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度であり、パララックスバリア11のバリアパターンが固定である場合、制御部15は、異なる複数の視点の画像を同一の視点の画像に切り替え、1つの視点の画像のみを表示させてもよい。
【0074】
また、
図15に示すように、観察方向と基準方向との角度が実質的に0度、90度、180度及び270度である場合、立体表示を行う表示領域の画像は、複数の視差画像を合成した1枚の合成画像としてもよい。
【0075】
図15は、映像表示装置を表示面に平行な面内で時計回りに実質的に90度、180度及び270度の角度に回転させた際における表示部の表示例を示す図である。
【0076】
制御部15は、観察方向と基準方向との角度が0度±20度の第1の範囲、90度±20度の第2の範囲、180度±20度の第3の範囲及び270度±20度の第4の範囲内である場合、合成画像を表示部13に表示させ、観察方向と基準方向との角度が第1の範囲、第2の範囲、第3の範囲及び第4の範囲外である場合、第1の画像及び第2の画像のいずれか一方のみを表示部13に表示させてもよい。この場合、観察方向と基準方向との角度が0度±20度の範囲、90度±20度の範囲、180度±20度の範囲及び270度±20度の範囲内である場合、表示部13の表示領域73には、立体的に画像が表示される。
【0077】
すなわち、観察方向と基準方向との角度が0度±20度の範囲、90度±20度の範囲、180度±20度の範囲及び270度±20度の範囲内であれば、立体視することが可能であるため、必ずしも、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度である場合にのみ立体表示させる必要はない。
【0078】
これにより、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度からずれたとしても、観察者は立体視することができる。
【0079】
なお、制御部15は、観察方向と基準方向との角度が0度±20度の範囲、90度±20度の範囲、180度±20度の範囲及び270度±20度の範囲以外の角度である場合、1つの画像のみを表示部13に表示させてもよい。また、このとき、制御部15は、バリアパターンをパララックスバリア11の全面に形成するか否かを制御してもよい。
【0080】
また、制御部15は、観察方向と基準方向との角度が変化した際に、サブピクセルの傾きに合わせて、パララックスバリア11のバリアパターンの傾きを最適化してもよい。すなわち、制御部15は、観察方向と基準方向との角度の変化に応じて変化する合成画像の向きに対応して、バリアパターンを変化させる。
【0081】
例えば、制御部15は、観察方向と基準方向との角度と、当該角度に応じたパララックスバリア11のバリアパターンと対応付けたテーブルデータを予め記憶する。そして、制御部15は、検出部12によって検出される観察者の両眼の位置に基づいて観察方向を特定し、特定した観察方向と基準方向との角度に応じたバリアパターンをテーブルデータから読み出す。制御部15は、読み出したバリアパターンに応じてパララックスバリア11のバリアパターンを変化させる。これにより、観察方向と基準方向との角度に関係なく、表示領域において常に立体表示を行うことができる。
【0082】
なお、実施の形態1〜3では、パララックスバリアを分離部の一例として説明したが、本発明は特にこれに限定されず、レンチキュラレンズ、液晶レンズ又はプリズムなどを分離部として用いてもよい。
【0083】
また、実施の形態1〜3では、分離部の一例であるパララックスバリアは、1つのバリアパターンのみを形成して表示部の前面に配置されているが、本発明は特にこれに限定されず、パララックスバリアは、複数の液晶又は複数の液晶レンズで構成してもよく、制御部15は、各液晶又は角液晶レンズに対して、それぞれ透過するか否かを制御してもよい。
【0084】
また、実施の形態1〜3では、分離部の一例であるパララックスバリアは、表示部の前面に固定して配置されているが、本発明は特にこれに限定されず、パララックスバリアは、機械的に前後に移動させてもよい。
【0085】
また、実施の形態1〜3で示したパララックスバリア11としては、薄いフィルム膜又は透明度の高い物質(ガラス等)で生成される固定バリアを用いてもよく、また、電圧等をかけることで遮蔽と開口とを変化させる(光の透過率を変化させる)ことができるようなデバイス(例えばTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルなど)を用いてもよい。
【0086】
また、実施の形態1〜3では、パララックスバリア(分離部)11が表示部(表示部)13の前面に配置される方式を例に説明したが、液晶ディスプレイの液晶パネルとバックライトとの間にパララックスバリアを配置する方式を用いてもよい。
【0087】
また、実施の形態1〜3で示した立体表示を行う表示領域の位置は、表示部13の左上の端点(サブピクセル)を基準に表示領域の左上の座標、及び、表示領域の縦横の長さを用いることによって決定される。なお、表示領域の位置を決定するための基準としては、表示部13の右上のサブピクセル、左下のサブピクセル、右下のサブピクセル又は中心のサブピクセルを用いてもよい。
【0088】
また、実施の形態1〜3では、制御部15は、検出部12から得られた情報とパララックスバリア11のスリット位置の情報とを用いて、表示部13に表示する合成画像を制御しているが、制御部15は、検出部12から得られた情報と表示部13に表示した合成画像とを用いて、パララックスバリア11のスリット位置を制御してもよい。
【0089】
また、実施の形態1〜3におけるパララックスバリア11のバリアパターンでは、スリット部41が右上から左下の左斜め方向に向かって形成されているが、スリット部41が左上から右下の右斜め方向に向かって形成されてもよく、さらに、スリット部41が上から下の垂直方向に向かって形成されてもよい。
【0090】
また、実施の形態1〜3におけるパララックスバリア11のバリアパターンは、スリット部41が階段状に形成されたステップ型のバリアパターンであるが、スリット部41が斜めに縞状に形成されたスラント型のバリアパターン等であってもよく、ステップ型以外のバリアパターンであってもよい。
【0091】
また、実施の形態1〜3では、パララックスバリア11のスリット部41の幅はサブピクセルの幅と同等としているが、パララックスバリア11のスリット部41の幅はサブピクセルの幅と同等でなくてもよい。
【0092】
また、実施の形態1〜3では、複数の視差画像は1サブピクセル毎に異なっているが、複数の視差画像は1サブピクセル毎に異なっていなくてもよく、複数の視差画像は例えば2サブピクセル毎、3サブピクセル毎又は4サブピクセル毎に異なっていてもよい。
【0093】
また、実施の形態1〜3では、4視点用の画素配列のパターン及び4視点用のバリアパターンとしているが、2視点、3視点又は5視点などの他の複数視点用の画素配列のパターン及びバリアパターンであってもよい。
【0094】
また、実施の形態2では、複数の観察者のそれぞれが同じ視点を観察するように説明しているが、複数の観察者のそれぞれが異なる視点を観察していてもよい。
【0095】
また、実施の形態2では、複数の観察者が観察する視点数はそれぞれ同じ数としているが、複数の観察者が観察する視点数はそれぞれ同じ数でなくともよい。
【0096】
また、実施の形態2では、
図10に示すように、第1の観察者51が立体視する第1の表示領域61と第2の観察者52が立体視する第2の表示領域62とは隣接しているが、各観察者が立体視する各表示領域は必ずしも隣接している必要はなく、各表示領域は、表示部13の表示面上のどの位置であってもよい。
【0097】
また、実施の形態2では、
図10に示すように、観察者は2人としているが、観察者は3人以上であってもよい。
【0098】
また、実施の形態2では、
図10に示すように、2人の観察者は、観察方向と基準方向とのなす角度が0度である位置と、観察方向と基準方向とのなす角度が180度である位置との互いに対向する方向から観察しているが、複数の観察者のそれぞれの観察方向と、基準方向とのなす角度は何度であっても構わない。
【0099】
また、実施の形態1〜3では、検出部12は、CCDを用いて視聴者の顔の位置を検出しているが、ブルートゥースなどの無線技術を用いて視聴者の位置を検出してもよい。
【0100】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0101】
本発明の一局面に係る表示装置は、第1の画像と、前記第1の画像とは異なる第2の画像とが合成された合成画像を表示するための映像光を出射する表示面を含む表示部と、前記映像光を、前記第1の画像を表す第1の映像光と、前記第2の画像を表す第2の映像光とに分離する分離部と、前記合成画像を観察する観察者の位置を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記観察者の位置に応じて、前記合成画像の向きを制御する画像制御部とを備える。
【0102】
この構成によれば、表示部は、第1の画像と、第1の画像とは異なる第2の画像とが合成された合成画像を表示するための映像光を出射する表示面を含む。分離部は、映像光を、第1の画像を表す第1の映像光と、第2の画像を表す第2の映像光とに分離する。検出部は、合成画像を観察する観察者の位置を検出する。画像制御部は、検出部によって検出された観察者の位置に応じて、合成画像の向きを制御する。
【0103】
したがって、検出された観察者の位置に応じて、第1の画像と、第1の画像とは異なる第2の画像とが合成された合成画像の向きが制御されるので、観察者の位置に応じて合成画像を表示することができる。
【0104】
また、上記の表示装置において、前記合成画像は、第1の画像領域と、前記観察者が第1の位置に存在する場合に前記第1の画像領域と前記観察者との間に表示される第2の画像領域とを含み、前記画像制御部は、前記検出部によって前記観察者が前記第1の位置とは異なる第2の位置に存在することが検知された場合、前記第1の画像領域と前記第2の位置に存在する観察者との間に前記第2の画像領域が表示されるように前記合成画像の向きを制御することが好ましい。
【0105】
この構成によれば、合成画像は、第1の画像領域と、観察者が第1の位置に存在する場合に第1の画像領域と観察者との間に表示される第2の画像領域とを含む。画像制御部は、検出部によって観察者が第1の位置とは異なる第2の位置に存在することが検知された場合、第1の画像領域と第2の位置に存在する観察者との間に第2の画像領域が表示されるように合成画像の向きが制御される。
【0106】
したがって、観察者の位置が変化したとしても、当該観察者は正しい方向から合成画像を観察することができる。
【0107】
また、上記の表示装置において、前記第1の画像は、左眼で観察される左画像であり、前記第2の画像は、右眼で観察される右画像であり、前記分離部は、前記左画像を表す左映像光を前記左眼に入射させるとともに前記右画像を表す右映像光を前記右眼に入射させるように、前記映像光を分離することが好ましい。
【0108】
この構成によれば、第1の画像は、左眼で観察される左画像であり、第2の画像は、右眼で観察される右画像である。分離部は、左画像を表す左映像光を左眼に入射させるとともに右画像を表す右映像光を右眼に入射させるように、映像光を分離する。したがって、観察者は立体映像を観察することができる。
【0109】
また、上記の表示装置において、前記検出部は、複数の観察者の位置を検出し、前記画像制御部は、前記複数の観察者の数に応じて前記表示面を複数の表示領域に分割し、前記検出部によって検出された前記複数の観察者の位置に応じて、前記複数の表示領域のそれぞれにおいて前記合成画像の向きを制御することが好ましい。
【0110】
この構成によれば、検出部は、複数の観察者の位置を検出する。画像制御部は、複数の観察者の数に応じて表示面を複数の表示領域に分割し、検出部によって検出された複数の観察者の位置に応じて、複数の表示領域のそれぞれにおいて合成画像の向きを制御する。
【0111】
したがって、複数の表示領域のそれぞれにおいて合成画像の向きが制御されるので、複数の観察者がそれぞれ異なる方向から表示装置を観察する場合に、各観察者に応じた合成画像を各表示領域に表示することができる。
【0112】
また、上記の表示装置において、前記検出部は、前記観察者の両眼の位置を検出し、前記画像制御部は、前記検出部によって検出される前記観察者の両眼の位置から前記表示面に向かう方向を前記表示面を含む平面に投影した観察方向を特定し、特定した前記観察方向と、所定の基準方向との角度に応じて、前記合成画像の表示位置を制御することが好ましい。
【0113】
この構成によれば、検出部は、観察者の両眼の位置を検出する。画像制御部は、検出部によって検出される観察者の両眼の位置から表示面に向かう方向を表示面を含む平面に投影した観察方向を特定し、特定した観察方向と、所定の基準方向との角度に応じて、合成画像の表示位置を制御する。
【0114】
したがって、観察者の両眼の位置から表示面に向かう方向を表示面を含む平面に投影した観察方向と、所定の基準方向との角度に応じて、合成画像の表示位置が制御されるので、表示部の表示面に対する観察者の向きに応じた合成画像を適切に表示することができる。
【0115】
また、上記の表示装置において、前記分離部は、前記表示部からの前記映像光を透過するスリット部と、前記映像光を遮蔽する遮蔽部とからなるバリアパターンを有し、前記観察方向と前記基準方向との角度の変化に応じて変化する前記合成画像の向きに対応して、前記バリアパターンを変化させるバリアパターン制御部をさらに備えることが好ましい。
【0116】
この構成によれば、分離部は、表示部からの映像光を透過するスリット部と、映像光を遮蔽する遮蔽部とからなるバリアパターンを有する。バリアパターン制御部は、観察方向と基準方向との角度の変化に応じて変化する合成画像の向きに対応して、バリアパターンを変化させる。
【0117】
したがって、観察方向と基準方向との角度の変化に応じて変化する合成画像の向きに対応して、バリアパターンが変化するので、観察者が観察する方向が変わったとしても、観察者は確実に立体視することができる。
【0118】
また、上記の表示装置において、前記基準方向は、前記表示面の複数の辺のうちの1つの基準辺に垂直な方向であり、前記画像制御部は、前記観察方向と前記基準方向との角度が0度である場合、前記合成画像の下辺を前記基準辺に一致させ、前記観察方向と前記基準方向との角度が所定の角度である場合、前記合成画像の下辺を前記基準辺から前記所定の角度回転させることが好ましい。
【0119】
この構成によれば、基準方向は、表示面の複数の辺のうちの1つの基準辺に垂直な方向である。画像制御部は、観察方向と基準方向との角度が0度である場合、合成画像の下辺を基準辺に一致させ、観察方向と基準方向との角度が所定の角度である場合、合成画像の下辺を基準辺から所定の角度回転させる。
【0120】
したがって、観察方向と基準方向との角度が0度である場合、合成画像の下辺が基準辺に一致し、観察方向と基準方向との角度が所定の角度である場合、合成画像の下辺が基準辺から所定の角度回転するように、合成画像を表示することができ、表示部の表示面に対する観察者の向きに応じた合成画像を適切に表示することができる。
【0121】
また、上記の表示装置において、前記所定の角度は、90度、180度又は270度であることが好ましい。
【0122】
この構成によれば、画像制御部は、観察方向と基準方向との角度が0度である場合、合成画像の下辺を基準辺に一致させ、観察方向と基準方向との角度が90度である場合、合成画像の下辺を基準辺から90度回転させ、観察方向と基準方向との角度が180度である場合、合成画像の下辺を基準辺から180度回転させ、観察方向と基準方向との角度が270度である場合、合成画像の下辺を基準辺から270度回転させる。
【0123】
したがって、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度である場合、表示部の表示面に対する観察者の向きに応じた合成画像を適切に表示することができる。
【0124】
また、上記の表示装置において、前記画像制御部は、前記観察方向と前記基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、前記第1の画像及び前記第2の画像のいずれか一方のみを前記表示部に表示させることが好ましい。
【0125】
この構成によれば、画像制御部は、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、第1の画像及び第2の画像のいずれか一方のみを表示部に表示させる。したがって、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、立体的に映像を表示するのではなく、2次元的に映像を表示することができる。
【0126】
また、上記の表示装置において、前記分離部は、前記表示部からの前記映像光を透過するスリット部と、前記映像光を遮蔽する遮蔽部とからなるバリアパターンを有し、前記観察方向と前記基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、前記バリアパターンを前記分離部の全面に形成せずに、前記映像光を全て透過させるバリアパターン制御部をさらに備えることが好ましい。
【0127】
この構成によれば、分離部は、表示部からの映像光を透過するスリット部と、映像光を遮蔽する遮蔽部とからなるバリアパターンを有する。バリアパターン制御部は、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、バリアパターンを分離部の全面に形成せずに、映像光を全て透過させる。
【0128】
したがって、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度以外の角度である場合、バリアパターンを分離部の全面に形成せずに、映像光を全て透過させるので、より解像度の高い2次元的な映像を表示することができる。
【0129】
また、上記の表示装置において、前記基準方向は、前記表示面の複数の辺のうちの1つの基準辺に垂直な方向であり、前記画像制御部は、前記観察方向と前記基準方向との角度が0度±20度の第1の範囲、90度±20度の第2の範囲、180度±20度の第3の範囲及び270度±20度の第4の範囲内である場合、前記合成画像を前記表示部に表示させ、前記観察方向と前記基準方向との角度が前記第1の範囲、前記第2の範囲、前記第3の範囲及び前記第4の範囲外である場合、前記第1の画像及び前記第2の画像のいずれか一方のみを前記表示部に表示させることが好ましい。
【0130】
この構成によれば、基準方向は、表示面の複数の辺のうちの1つの基準辺に垂直な方向である。画像制御部は、観察方向と基準方向との角度が0度±20度の第1の範囲、90度±20度の第2の範囲、180度±20度の第3の範囲及び270度±20度の第4の範囲内である場合、合成画像を表示部に表示させ、観察方向と基準方向との角度が第1の範囲、第2の範囲、第3の範囲及び第4の範囲外である場合、第1の画像及び第2の画像のいずれか一方のみを表示部に表示させる。
【0131】
したがって、観察方向と基準方向との角度が0度、90度、180度及び270度からずれたとしても、ずれ量が所定の範囲内であれば観察者は立体視することができる。
【0132】
また、上記の表示装置において、前記検出部は、前記観察者の両眼の位置を検出し、前記画像制御部は、前記検出部によって検出される前記観察者の両眼の位置から前記表示面に向かう方向を特定し、特定した前記方向における前記観察者の両眼の位置情報と、前記分離部の位置情報とに応じて、前記合成画像の表示位置を制御することが好ましい。
【0133】
この構成によれば、検出部は、観察者の両眼の位置を検出する。画像制御部は、検出部によって検出される観察者の両眼の位置から表示面に向かう方向を特定し、特定した方向における観察者の両眼の位置情報と、分離部の位置情報とに応じて、合成画像の表示位置を制御する。
【0134】
したがって、観察者の垂直方向の位置の変化に応じて、合成画像の表示位置を変化させることができる。
【0135】
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。