特許第6200340号(P6200340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200340
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20170911BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20170911BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170911BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20170911BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20170911BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20170911BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H05B33/04
   H05B33/10
   H05B33/14 A
   H05B33/12 E
   H01L27/32
   G09F9/30 365
   G06F3/041 320A
   G06F3/041 350C
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-19250(P2014-19250)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2015-146286(P2015-146286A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏浩
【審査官】 濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−252687(JP,A)
【文献】 特開2013−069480(JP,A)
【文献】 特開2011−165422(JP,A)
【文献】 特開2013−200450(JP,A)
【文献】 特開2010−027266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
G09F 9/30
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、前記画素が配列された表示領域を有する第1基板と、
前記画素を開口する遮光層、および、着色層を有し少なくとも前記遮光層の開口部に設けられたカラーフィルタを有する第2基板と、
ガラスを含み、前記表示領域および前記カラーフィルタが対向するように、前記第1基板および前記第2基板を貼り合わせ、前記カラーフィルタの外側に設けられたシール材と
なくとも前記カラーフィルタの前記第1基板側の面および端部を覆う無機絶縁層と、を有し、
前記遮光層は、黒色の樹脂材料であり、
前記カラーフィルタは、前記遮光層の前記第1基板側に設けられ、
前記無機絶縁層は、前記シール材と接し、前記第2基板と前記シール材との間、前記遮光層の側方、および前記カラーフィルタの側方に設けられ、
前記無機絶縁層は、第1表面および前記第1表面の反対側の第2表面を有し、
前記シール材は、前記第1表面において前記無機絶縁層と接し、
前記第2基板は、前記第2表面において前記無機絶縁層と接し、
前記遮光層の前記第2基板側の面と前記無機絶縁層の前記第2表面とは一致し、
前記シール材は、平面視において前記第2基板と重畳することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記無機絶縁層は、前記カラーフィルタの前記第1基板側の面と接していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1基板、前記第2基板および前記シール材で囲まれた空隙部に、前記発光素子が露出されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2基板は透明であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記空隙部には、露点が−70℃以下の気体が含まれていることを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記空隙部には、酸素濃度が1ppm以下の気体が含まれていることを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、前記画素が配列された表示領域を有する第1基板と、
前記第1基板に対向する透明な第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記画素に対応して設けられた開口部および前記表示領域の周辺の周辺領域に設けられたスリットの両方を有する遮光層と、
ガラスを含み、前記表示領域および前記遮光層の開口部が対向するように前記第1基板および前記第2基板を貼り合わせるシール材と、
前記遮光層の前記第1基板側の面および側方、ならびに前記スリットの内部に設けられた無機絶縁層と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記無機絶縁層は、前記遮光層の前記第1基板側の面と接していることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記スリットは前記表示領域を囲むように連続して設けられていることを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2基板に配置され、着色層を有し、少なくとも前記遮光層の開口部に設けられたカラーフィルタと、
少なくとも前記カラーフィルタの上面および端部を覆う無機絶縁層と、を有することを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1基板、前記第2基板および前記シール材で囲まれた空隙部に、前記発光素子が露出されていることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記シール材は、前記無機絶縁層と接していることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記空隙部には、露点が−70℃以下の気体が含まれていることを特徴とする請求項11または12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記空隙部には、酸素濃度が1ppm以下の気体が含まれていることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、前記画素が配列された表示領域を有する第1基板と、
前記第1基板に対向する透明な、かつ、カラーフィルタを有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記画素を開口する第1遮光層と、
前記第2基板に対して前記第1遮光層が配置された面とは反対の面に配置され、前記表示領域の周辺の周辺領域に設けられた第2遮光層と、
少なくとも前記カラーフィルタの前記第1基板側の面および端部を覆う無機絶縁層と、
ガラスを含み、前記表示領域および前記カラーフィルタが対向するように前記第1基板および前記第2基板を貼り合わせるシール材と、を有し、
前記第1遮光層は、黒色の樹脂材料であり、
前記カラーフィルタは、前記第1遮光層の前記第1基板側に設けられ、
前記無機絶縁層は、前記第1遮光層の側方および前記カラーフィルタの側方に設けられ、
前記第1遮光層の前記第2基板側の面と前記無機絶縁層の前記第2基板側の面とは一致することを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記無機絶縁層は、前記カラーフィルタの前記第1基板側の面と接していることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第2遮光層は前記表示領域を囲むように連続して設けられていることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第2遮光層が配置された面であって、前記表示領域に透明導電層を有することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一に記載の表示装置。
【請求項19】
前記透明導電層はタッチセンサ用配線であることを特徴とする請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記スリットは、平面視において前記発光素子と前記シール材との間に挟まれていることを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項21】
前記シール材、前記無機絶縁層、および前記第2基板は、平面視において互いに重畳し、
前記無機絶縁層は、前記シール材と前記第2基板との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項22】
前記第2基板は、平面視において前記第2基板が前記シール材と重畳する領域に開口が設けられていないことを特徴とする請求項または15に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその製造方法に関する。特に、発光素子が形成された基板と対向基板とをガラスフリットで密封させる表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル用途の発光表示装置において、高精細化や低消費電力化に対する要求が強くなってきている。モバイル用途の表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device:LCD)や、有機EL表示装置等の自発光素子(OLED:Organic Light−Emitting Diode)を利用した表示装置や、電子ペーパー等が採用されている。
【0003】
その中でも、有機EL表示装置は液晶表示装置で必要であったバックライトや偏光板が不要であり、薄膜だけで表示装置を形成することができる。したがって、折り曲げ可能(フレキシブル)な表示装置を実現することができ、また、ガラス基板を使用しないため、軽く、壊れにくい表示装置を実現することが可能であるため、非常に注目を集めている。また、中小型の有機EL表示装置において、高精細かつ狭額縁の表示装置が要求されている。
【0004】
有機EL表示装置を高精細化するためには、白色の有機EL素子とカラーフィルタ(CF)を組み合わせた「白色+CF構造」にすることで、RGBの画素を構成する装置構造が適している。また、狭額縁にするためには、画素の周辺領域の面積を小さくする必要があり、そのためにはシール材の幅を狭くし、シール材と表示領域の距離を近くする必要がある。
【0005】
ここで、有機EL表示装置の各画素に配置された有機EL素子などの発光素子は、酸素や水分に曝されると劣化して発光効率が低下することが知られている。この問題を解消するために、例えば特許文献1では、発光素子が設けられた基板とそれに対向する対向基板とをガラスフリットを用いて貼り合せることで、気密性の高い封止構造に関する表示装置が開示されている。
【0006】
しかし、上記の「白色+CF構造」において、特にカラーフィルタが貼り合せされた2枚の基板間に設けられる場合、カラーフィルタからの脱ガスや脱水分によって発光素子が劣化する場合がある。また、表示装置の狭額縁化が進むと、両基板を融着するガラスフリットと画素が設けられた表示領域との距離が近くなるため、ガラスフリットを融着させるためにレーザ照射による局所加熱を行う際に、レーザの一部が表示領域の画素に照射され、発光素子を劣化させてしまう場合がある。また、レーザ照射による局所加熱の熱が表示領域に配置された画素の発光素子に伝達され、発光素子を劣化させてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−194184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、気密性が高い封止構造を有する表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。また、発光素子の劣化を抑制することができる表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による表示装置は、複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、画素が配列された表示領域を有する第1基板と、画素を開口する遮光層、および、着色層を有し、少なくとも遮光層の開口部に設けられたカラーフィルタを有する第2基板と、ガラスを含み、表示領域およびカラーフィルタが対向するように、第1基板および第2基板を貼り合わせるシール材と、を有し、カラーフィルタがシール材の内側に設けられ、少なくともカラーフィルタの上面および端部を覆う無機絶縁層を有する。
【0010】
また、別の好ましい態様において、第1基板、第2基板およびシール材で囲まれた空隙部に、発光素子が露出されてもよい。
【0011】
また、別の好ましい態様において、シール材は、無機絶縁層と接してもよい。
【0012】
また、別の好ましい態様において、空隙部には、露点が−70℃以下、より好ましくは−90℃以下の気体が含まれてもよい。
【0013】
また、別の好ましい態様において、空隙部には、酸素濃度が1ppm以下、より好ましくは0.5ppm以下の気体が含まれてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態による表示装置は、複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、画素が配列された表示領域を有する第1基板と、画素を開口する遮光層を有する第2基板と、ガラスを含み、表示領域および遮光層の開口部が対向するように第1基板および第2基板を貼り合わせるシール材と、を有し、遮光層は、表示領域の周辺に位置する周辺領域にスリットが設けられている。
【0015】
また、別の好ましい態様において、スリットは表示領域を囲むように連続して設けられてもよい。
【0016】
また、別の好ましい態様において、第2基板に配置され、着色層を有し、少なくとも遮光層の開口部に設けられたカラーフィルタと、少なくともカラーフィルタの上面および端部を覆う無機絶縁層と、を有してもよい。
【0017】
また、別の好ましい態様において、第1基板、第2基板およびシール材で囲まれた空隙部に、発光素子が露出されてもよい。
【0018】
また、別の好ましい態様において、シール材は、無機絶縁層と接してもよい。
【0019】
また、別の好ましい態様において、空隙部には、露点が−70℃以下、より好ましくは−90℃以下の気体が含まれてもよい。
【0020】
また、別の好ましい態様において、空隙部には、酸素濃度が1ppm以下、より好ましくは0.5ppm以下の気体が含まれてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態による表示装置は、複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、画素が配列された表示領域を有する第1基板と、画素を開口する第1遮光層および第1遮光層が配置された面とは反対の面に配置された第2遮光層を有する第2基板と、ガラスを含み、表示領域および第1遮光層の開口部が対向するように第1基板および第2基板を貼り合わせるシール材と、を有し、第2遮光層は表示領域の周辺に位置する周辺領域に配置されている。
【0022】
また、別の好ましい態様において、第2遮光層は表示領域を囲むように連続して設けられてもよい。
【0023】
また、別の好ましい態様において、第2遮光層が配置された面であって、表示領域に透明導電層を有してもよい。
【0024】
また、別の好ましい態様において、透明導電層はタッチセンサ用配線であってもよい。
【0025】
本発明の一実施形態による表示装置の製造方法は、第1基板の複数の画素が配列される表示領域に、発光素子を形成し、第2基板に画素を開口する遮光層、および、着色層を有し、少なくとも遮光層の開口部に設けられたカラーフィルタと、を形成し、少なくともカラーフィルタの上面および端部を覆う無機絶縁層を形成し、表示領域およびカラーフィルタが対向するように第1基板および第2基板をガラスを含むシール材を介して貼り合せ、シール材に対応した開口部を有するマスクを介してシール材にレーザを照射し、シール材を融着させる。
【0026】
本発明の一実施形態による表示装置の製造方法は、第1基板の複数の画素が配列される表示領域に、発光素子を形成し、第2基板に画素を開口する遮光層、および、着色層を有し、少なくとも遮光層の開口部に設けられたカラーフィルタと、を形成し、少なくともカラーフィルタの上面および端部を覆う無機絶縁層を形成し、表示領域およびカラーフィルタが対向するように第1基板および第2基板をガラスを含むシール材を介して貼り合せ、シール材に対応した領域に局所的にレーザを照射し、シール材を融着させる。
【0027】
また、別の好ましい態様において、第1基板、第2基板およびシール材で囲まれた空隙部に、発光素子が露出されてもよい。
【0028】
また、別の好ましい態様において、貼り合せる工程は、露点温度が−70℃以下、より好ましくは−90℃以下の雰囲気下で行われてもよい。
【0029】
また、別の好ましい態様において、貼り合せる工程は、酸素濃度が1ppm以下、より好ましくは0.5ppm以下の雰囲気下で行われてもよい。
【発明の効果】
【0030】
これらの本発明によれば、気密性が高い封止構造を有する表示装置およびその製造方法を提供することができる。また、これらの本発明によれば、発光素子の劣化を抑制することができる表示装置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態1における表示装置の斜視図を示す図である。
図2】本発明の実施形態1における表示装置の平面図を示す図である。
図3】本発明の実施形態1における表示装置のA−B断面図を示す図である。
図4】本発明の実施形態1の変形例における表示装置のA−B断面図を示す図である。
図5】本発明の実施形態2における表示装置の平面図を示す図である。
図6】本発明の実施形態2の変形例1における表示装置の平面図を示す図である。
図7】本発明の実施形態2における表示装置のC−D断面図を示す図である。
図8】本発明の実施形態2の変形例2における表示装置の平面図を示す図である。
図9】本発明の実施形態3における表示装置の断面図を示す図である。
図10】本発明の実施形態4における表示装置の製造方法のプロセスフローを示す図である。
図11】本発明の実施形態4における表示装置のガラスフリットへのレーザ照射方法を示す図である。
図12】本発明の実施形態4の変形例における表示装置のガラスフリットへのレーザ照射方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0033】
<実施形態1>
図1乃至4を用いて、本発明の実施形態1に係る表示装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態1における表示装置の斜視図を示す図である。また、図2は、本発明の実施形態1における表示装置の平面図を示す図である。実施形態1では、高精細化に有利な「白色+CF構造」の表示装置について説明する。
【0034】
「白色+CF構造」は高精細の表示装置を実現する点においては有利であるが、発光素子とカラーフィルタの距離が離れると、隣接する画素の発光素子からの光が入り込むことによる混色の問題が発生する。したがって、「白色+CF構造」では、発光素子とカラーフィルタをできるだけ近づける必要がある。その一例として、カラーフィルタを発光素子が形成された基板と対向基板との間に配置する構造が挙げられる。
【0035】
また、シール材にガラスフリットを使用することで、非常に高い密閉性を得ることができるため、外部からの水分の侵入を抑制することができる。しかし、上記のように、カラーフィルタが基板間に配置された構造においては、カラーフィルタのような有機材料からの脱ガスや脱水分によって発光素子が劣化する問題が生じる場合がある。実施形態1では、上記の問題を解消するための構成について説明する。
【0036】
実施形態1における表示装置は、図1および2に示すように、複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、画素180が配列された表示領域110を有する基板100、基板100に対向し、画素180を開口する遮光層121と遮光層の開口部に設けられたカラーフィルタ181〜183とを有する対向基板200、基板100が露出された領域に設けられたドライバIC300およびFPC400(Flexible Printed Circuits)を有する。基板100は、表示領域110と表示領域110の周辺に位置する周辺領域120とに分けられる。基板100には、表示領域110に画素180がマトリクス状に配列され、複数の画素180のそれぞれに発光素子が配置されている。対向基板200には、複数の画素180をそれぞれ開口する遮光層121が配置されており、少なくともその遮光層121の開口部に着色層を有するカラーフィルタ181〜183が配置されている。ここで、基板100が露出され、ドライバIC300およびFPC400が接続された領域を周辺領域120に含んでもよい。FPC400には、駆動回路を制御するコントローラ回路に接続される端子部500が備えられている。
【0037】
図2に示すように、周辺領域120に対応した領域には、基板100と対向基板200とを貼り合せるシール材として機能するガラスフリット130が設けられている。ガラスフリット130とは、粉末状、ペースト状などの様々な形態の融点300〜700℃と比較的低温のガラス材料である。ガラスフリット130は周辺領域120の外周部に、カラーフィルタ181〜183を含む表示領域110を囲むように連続して設けられており、平面視において、表示領域110とガラスフリット130との間にはオフセットが設けられている。ここで、周辺領域120の外周端部とガラスフリット130との間にもオフセットが設けられているが、これに限定されず、ガラスフリット130が周辺領域120の外周端部まで配置されていてもよい。ここで、遮光層121は少なくとも表示領域110内と表示領域110の外縁部に配置されている。
【0038】
図3は、本発明の実施形態1における表示装置の図2のA−B断面図を示す図である。ここで、図3において、基板100は表面が対向基板200の方向を向いており、対向基板200は表面が基板100の方向を向いている。以降の説明において、基板100および対向基板200のそれぞれに対して配置されている構造物について説明する場合、それぞれの基板の表面方向を上方と表現する。
【0039】
図3では、基板100上にトランジスタ層111が配置され、トランジスタ層111上に層間絶縁層112が配置され、層間絶縁層112上に発光素子113が配置されている。トランジスタ層111には、表示領域110に配置された画素回路トランジスタや周辺領域120に配置された周辺回路トランジスタが含まれる。発光素子113は、表示領域110に配置されており、下部電極と発光層と上部電極とを含む。下部電極は層間絶縁層112に設けられたコンタクトを介してトランジスタ層111に接続され、上部電極は複数の発光素子113に共通の共通電極である。ここで、実施形態1における表示装置は「白色+CF構造」であるので、発光素子113は白色光を放出するように発光素子構造が設計されている。
【0040】
また、対向基板200上には、遮光層121およびカラーフィルタ122が配置されている。遮光層121は基板100に対向する上面121aと端部121bを有し、カラーフィルタ122は基板100に対向する上面122aと端部122bを有する。そして、121a,122a,121b,122bを覆うように無機パッシベーション層123が配置されている。ここで、遮光層121は各画素を画定する領域に、配線等と重なるように配置されており、カラーフィルタ122は表示領域110の各発光素子に対応した領域に配置されている。ガラスフリット130は周辺領域120に配置され、基板100と対向基板200とに挟まれた空隙部131を密閉する。ここで、実施形態1では、密閉された空隙部131には、Nガスが充填されている。
【0041】
ここで、ガラスフリット130は層間絶縁層112および無機パッシベーション層123と接して配置されているが、これに限定されず、ガラスフリット130と層間絶縁層112との間、またはガラスフリット130と無機パッシベーション層123との間に他の層が配置されていてもよく、逆に、層間絶縁層112、無機パッシベーション層123のいずれかまたは両方が存在せず、ガラスフリット130と基板100または対向基板200とが接していてもよい。また、対向基板200上には遮光層121、カラーフィルタ122、無機パッシベーション層123の順で積層されているが、これに限定されず、カラーフィルタ122、遮光層121、無機パッシベーション層123の順で積層されていてもよい。また、遮光層121とカラーフィルタ122とが異なるパターンを有し、積層されていなくてもよい。
【0042】
また、図3では、基板100とトランジスタ層111、トランジスタ層111と層間絶縁層112、層間絶縁層112と発光素子113、対向基板200と遮光層121、遮光層121とカラーフィルタ122、カラーフィルタ122と無機パッシベーション層123、は接しているが、この構造に限定されず、それぞれの層間に他の層が挟まれていてもよい。
【0043】
また、発光素子113は、基板100と対向基板200とガラスフリット130とに囲まれた空隙部131に露出されている。つまり、発光素子113の上には、発光層を水分や不純物から保護するための保護層は形成されておらず、発光素子113の表面が空隙部131に露出されている。例えば、発光素子が下部電極、発光層、上部電極(共通電極)で構成されている場合、共通電極の上には保護層は形成されておらず、共通電極が空隙部131に露出される。
【0044】
発光素子上にパッシベーション層を形成する場合、ドライバIC300やFPC400を実装する端子部の配線上にもパッシベーション層が形成される。そのため、端子部のパッシベーション層を除去する必要がある。しかし、上記のように発光素子上にパッシベーション層を設けない構造にすることで、パッシベーション層を形成する工程だけでなく、端子部のパッシベーション層を除去する工程も削減することができる。
【0045】
空隙部131には、窒素(N)などの不活性ガスが充填されていてもよいが、それに限定されず、発光素子113を劣化させる水分や酸素の含有量が少ない気体で満たされていればよい。例えば、空隙部131に含まれる気体は、好ましくは露点温度が−70℃以下であるとよい。より好ましくは、露点温度が−90℃以下であるとよい。また、空隙部131に含まれる気体は、好ましくは酸素濃度が1ppm以下であるとよい。より好ましくは酸素濃度が0.5ppm以下であるとよい。また、空隙部131は減圧されていてもよく、逆に加圧されていてもよい。減圧、加圧のいずれの状態においても、水分や酸素の含有量が少ないことが望ましい。
【0046】
また、ガラスフリット130は下部で層間絶縁層112と接し、上部で無機パッシベーション層123と接する構造となっている。ガラスフリット130と接する層間絶縁層112と無機パッシベーション層123とのそれぞれの材質が同じであってもよい。ガラスフリット130との接触部が上下で同じ材質であることで、ガラスフリットの上下において同等の密着性が得られ、空隙部131は良好かつ信頼性の高い密閉性を得ることができる。さらに、ガラスフリット130と接する層間絶縁層112と無機パッシベーション層123とは、ガラスフリットを基準に上下対称の構造(ミラー構造)になっていることが好ましい。このミラー構造とは、例えば図3の断面図において、基板100から対向基板200に向かって、基板100、窒化シリコン、酸化シリコン、ガラスフリット、酸化シリコン、窒化シリコン、対向基板200の順で配置されるような構造をいう。上記のようなミラー構造とすることで、上記と同様に良好かつ信頼性の高い密閉性が得られると同時に、ガラスフリットのレーザ照射による融着工程などの熱によって発生する、基板100側の伸縮と対向基板200側の伸縮が略等しくなるため、内部応力を緩和することができる。
【0047】
図4は、本発明の実施形態1の変形例における表示装置のA−B断面図を示す図である。図3と異なる点は、ガラスフリット130が配置された領域に無機パッシベーション層123が存在せず、ガラスフリット130と対向基板200とが接している点である。図4のような構造の場合においても、遮光層121およびカラーフィルタ122は無機パッシベーション層123に覆われており、遮光層121およびカラーフィルタ122が密閉された空隙部131に露出されない構造となっている。
【0048】
以上のように、本発明の実施形態1の表示装置によると、カラーフィルタや遮光層が基板間に配置され、ガラスフリットによって両基板が貼り合せられた表示装置において、カラーフィルタなどの有機材料からの脱ガスや脱水分によって発光素子が劣化することを抑制することができる。また、発光素子上のパッシベーション層を形成する必要がなくなるため、基板100と対向基板200とを貼り合せた後に、端子部を露出させるためにパッシベーション層をエッチングする工程を省略することができる。
【0049】
<実施形態2>
図5乃至8を用いて、本発明の実施形態2に係る表示装置の構成を説明する。図5は、本発明の実施形態2における表示装置の平面図を示す図である。また、図7は、本発明の実施形態2における表示装置のC−D断面図を示す図である。実施形態2でも、実施形態1と同様に高精細化に有利な「白色+CF構造」の表示装置について説明する。
【0050】
図5図2と異なる点は、遮光層121が周辺領域120まで存在しており、一部がガラスフリット130と重なっており、遮光層121の周辺領域120にスリット124が設けられている点である。スリット124は、表示領域110より外側に、ガラスフリット130より内側に設けられている。言い換えると、ガラスフリット130は、スリット124よりも外周に配置されている。図5では、スリット124の外側の遮光層121の最外周がガラスフリット130と重なる構造について説明したが、これに限定されず、遮光層121の最外周とガラスフリット130との間にオフセットが設けられていてもよい。
【0051】
図5では、スリット124が表示領域110を囲むように連続して設けられており、遮光層121が表示領域110を含む領域と周辺領域120の一部の領域とに分離された構造を例示した。しかし、図5に示す構造に限定されず、例えば図6に示すように、スリット124が不連続であってもよい。図5では、上下部でそれぞれ1箇所ずつ、左右部でそれぞれ3箇所ずつ、スリット124の不連続箇所が存在する例を示したが、これに限定されず、もっと多くの不連続箇所が存在してもよく、逆にもっと少なくてもよい。
【0052】
図7は、本発明の実施形態2における表示装置のC−D断面図を示す図である。ここで、図7において、基板100は表面が対向基板200の方向を向いており、対向基板200は表面が基板100の方向を向いている。以降の説明において、基板100および対向基板200のそれぞれに対して配置されている構造物について説明する場合、それぞれの基板の表面方向を上方と表現する。
【0053】
図7では、表示領域110を含む領域に対応する遮光層121cと、周辺領域120に対応する遮光層121dとの間にスリット124が設けられている。図7では、スリット124の外側の遮光層121dの一部とガラスフリット130の一部とが重なった構造について説明したが、これに限定されず、図8に示すように、遮光層121dとガラスフリット130との間にオフセットが設けられていてもよい。図8では、無機パッシベーション層123がガラスフリット130よりも内側でパターニングされており、ガラスフリット130と対向基板200とが接触しているが、これに限定されず、無機パッシベーション層123が対向基板200の外周部まで延びて、ガラスフリット130と無機パッシベーション層123とが接触してもよい。
【0054】
ガラスフリット130は、良好な密閉性を得るために、基板100と対向基板200とをガラスフリット130を介して貼り合せた後にレーザ照射し、ガラスフリットを融着する。レーザ照射はガラスフリットの位置に対して照射するが、額縁が狭い表示装置においては、レーザの一部は表示領域110の発光素子113に入射してしまう。発光素子113にレーザが照射されると、過加熱によって膜質が変化したり、破壊などが起きたりする可能性がある。ここで、図7および図8に示す構造を採用することで、上記の問題を抑制することができる。
【0055】
上記のように、表示装置の狭額縁化が進むと、表示領域110とガラスフリット130が配置された領域との距離は近くなる。この距離が近くなると、ガラスフリット130を融着するためのレーザ照射の際に、レーザの一部が表示領域110内の発光素子113に入射してしまう。しかし、実施形態2の表示装置によると、遮光層121dが、ガラスフリット130が配置される周辺領域120まで存在することで、レーザ光が表示領域内の発光素子113に直接入射することを抑制することができる。また、遮光層121cと遮光層121dとの間にスリット124が設けられることで、レーザ光が遮光層121dに照射され、遮光層121dが加熱されても、その熱が遮光層121cに伝達しにくくなる。その結果、表示領域110に存在する発光素子113の過加熱を抑制することができる。
【0056】
以上のように、本発明の実施形態2の表示装置によると、ガラスフリットによって両基板が貼り合せられた表示装置において、レーザ照射等によってガラスフリットを局所加熱するときに、レーザが表示領域内の発光素子に入射することを抑制し、また、レーザによって発生した熱が表示領域内に伝達することを抑制することで、発光素子の過加熱による劣化を抑制することができる。
【0057】
<実施形態3>
図9を用いて、本発明の実施形態3に係る表示装置の構成を説明する。図9は、本発明の実施形態3における表示装置の断面図を示す図である。図9図3との相違点は、図9は対向基板200の基板100とは反対の面200aに第2遮光層141と透明導電層142とが配置されている点である。第2遮光層141は周辺領域120の一部に配置されており、透明導電層142は表示領域110に配置されている。図9に示すように、透明導電層142はストライプ状に配置され、タッチセンサ用配線を構成してもよい。また、第2遮光層141および透明導電層142は保護層143で覆われていてもよい。また、第2遮光層141を導電材料で形成し、タッチセンサ用配線の一部として使用してもよい。タッチセンサ用の配線を遮光層として用いることで、レーザ光照射時に問題となる温度上昇に対しての放熱効果が期待できる。
【0058】
第2遮光層141は表示領域110を囲むように連続して設けられていてもよい。また、第2遮光層141は周辺領域120に配置されており、図9に示すように、平面視において一部がガラスフリット130と重なっていてもよく、逆に第2遮光層141とガラスフリット130との間にオフセットが設けられていてもよい。第2遮光層141の一部がガラスフリット130と重なる場合、ガラスフリット130を融着するためのレーザ照射をする領域には第2遮光層141を配置しない。
【0059】
図9の構造によると、周辺領域120に第2遮光層141が配置されることで、レーザ光が表示領域内の発光素子113に直接入射することを抑制することができる。また、レーザ光の照射によって第2遮光層141が加熱された場合でも、発光素子113と第2遮光層141とは距離が離れているので、第2遮光層141で発生した熱が発光素子113およびトランジスタ層111に与える影響を限りなく小さくすることができる。
【0060】
以上のように、本発明の実施形態3の表示装置によると、ガラスフリットによって両基板が貼り合せられた表示装置において、レーザ照射等によってガラスフリットを局所加熱するときに、レーザが表示領域内の発光素子に入射することを抑制し、また、レーザによって発生した熱が表示領域内に伝達することを抑制することで、発光素子の過加熱による劣化を抑制することができる。
【0061】
<実施形態4>
図10〜12を用いて、本発明の実施形態4に係る表示装置の製造方法を説明する。図10は、本発明の実施形態4における表示装置の製造方法のプロセスフローを示す図である。図10を用いて、本発明に係る表示装置の製造方法を説明する。
【0062】
まず、ガラス基板などの基板を準備し(S1001)、基板上にトランジスタ層を形成する(S1002)。トランジスタ層としては、一般的なものを使用することができ、例えば、アモルファスシリコン、ポリシリコン、酸化物半導体等を用いた、ボトムゲート型トランジスタやトップゲート型トランジスタを使用することができる。トランジスタ層を形成する前に、ガラス基板からの不純物をブロックし、密着性を向上させる単層または積層の下地膜が形成されてもよい。次に、トランジスタ層を形成した後に、単層または積層の層間絶縁層を介して、複数の画素が配列される表示領域に発光素子を形成する(S1003)。発光素子は、層間絶縁層に形成されたコンタクトを介してトランジスタ層に接続される下部電極を形成し、下部電極の上に発光層を形成し、発光層の上に複数の発光素子に共通する共通電極を形成することで得られる。
【0063】
次に、ガラス基板などの対向基板を準備し(S1011)、対向基板上に画素を開口する遮光層を形成する(S1012)。遮光層としては、Crなどの金属材料を用いてもよく、また、黒色に着色された樹脂材料を用いてもよい。遮光層は表示領域および周辺領域に形成される。表示領域においては、各画素を画定する領域に、配線等と重なるように形成され、周辺領域においては、表示領域とガラスフリットとの間の領域に形成される。
【0064】
次に、対向基板の遮光層に設けられた開口部に着色層を有するカラーフィルタを形成する(S1013)。カラーフィルタは表示領域に形成され、各発光素子に対応した領域に形成される。カラーフィルタは、フルカラーを実現するために少なくともR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを形成する。また、輝度向上のために配置される白色画素において、色再現性を向上させるためのW(白)のカラーフィルタを形成してもよい。
【0065】
図10では、遮光層の上にカラーフィルタを形成する製造方法について説明したが、これに限定されず、先にカラーフィルタを形成し、その上に遮光層を形成してもよい。また、対向基板と遮光層、カラーフィルタとの間に他の層を形成してもよい。また、遮光層とカラーフィルタとの間に他の層を形成してもよい。また、カラーフィルタは少なくともR、G、Bの3種類を形成するが、3種類のカラーフィルタのいずれかの間に遮光層を形成してもよい。例えば、まず対向基板上にカラーフィルタGを形成し、Gの上に遮光層を形成し、その上にカラーフィルタR、Bを形成してもよい。
【0066】
遮光層およびカラーフィルタを形成した後に、対向基板、遮光層、カラーフィルタ上にこれらの上面と端部を覆うように無機パッシベーション層を形成する(S1014)。この無機パッシベーション層は、発光素子の劣化の原因となるガスや水分を放出する有機膜をカバーするもので、少なくともカラーフィルタを露出させないように形成される。もし、遮光層が樹脂で形成される場合は、カラーフィルタと遮光層の両方を露出させないように形成される。つまり、図3で示したように、遮光層121は基板100に対向する上面121aと端部121bを有し、カラーフィルタ122は基板100に対向する上面122aと端部122bを有する。そして、121a,122a,121b,122bを覆うように無機パッシベーション層123が配置された構造となる。
【0067】
次に、発光素子まで形成された基板、または、無機パッシベーション層まで形成された対向基板のいずれかまたは両方の基板の上にガラスフリットを形成する(S1021)。ガラスフリットはペースト状のガラスフリットを基板または対向基板の外周部に塗布し、焼成炉などによる熱処理でペースト中の溶媒やバインダを十分に除去した後に、表示領域とカラーフィルタとが対向するように両基板を貼り合せる(S1022)。
【0068】
ここで、貼り合せをするときの雰囲気が、基板、対向基板、ガラスフリットで密閉された空隙部に充填されるので非常に重要である。実施形態4では、N雰囲気下で両基板の貼り合せを行った。ただし、これに限定されず、両基板を貼り合せる工程の雰囲気は、発光素子の劣化の原因となる水分や酸素の含有量が少なければよい。例えば、両基板を貼り合せる雰囲気は、好ましくは露点温度が−70℃以下であるとよい。より好ましくは、露点温度が−90℃以下であるとよい。また、両基板を貼り合せる雰囲気は、好ましくは酸素濃度が1ppm以下であるとよい。より好ましくは酸素濃度が0.5ppm以下であるとよい。また、両基板を貼り合せる雰囲気は、減圧されていてもよく、逆に加圧されていてもよい。減圧、加圧のいずれの状態においても、水分や酸素の含有量が少ないことが望ましい。また両基板間にスペーサを形成し基板間ギャップを確保した状態で内部を真空状態としてもよい。
【0069】
最後に、貼り合せた基板のガラスフリットをレーザ照射によって局所加熱する(S1023)。ガラスフリットを局所的に加熱することで、ガラスフリットを上下の基板または上下の基板上に形成された無機絶縁層に融着させ、発光素子を封止する。ここで、レーザ光を効率よく吸収して加熱するために、ガラスフリットがレーザ光波長帯のエネルギーを吸収する顔料を含んでいてもよい。
【0070】
次に、図11、12を用いてレーザ照射工程のより具体的な方法について説明する。図11は、本発明の実施形態4における表示装置のガラスフリットへのレーザ照射方法を示す図である。図11では、対向基板200の裏面側(基板とは反対の面)に、ガラスフリットが形成された領域に対応した開口部を有するマスク150を設置し、マスク150を介してレーザ160を基板100、対向基板200およびガラスフリット130に照射する。ここで、マスク150の開口部はガラスフリット130の全体にレーザ160が照射されるように設けられていてもよく、また、ガラスフリット130の一部だけにレーザ160が照射されるように設けられていてもよい。
【0071】
レーザ160の波長は、基板100および対向基板200では吸収されない波長帯を使用することで、効率よくガラスフリットを加熱することができる。つまり、基板100および対向基板200での発熱を抑制することで、発光素子への影響を小さくすることができる。また、マスクを用いることで、レーザだけでなく、例えば、ハロゲンランプやキセノンランプのように、レーザに比べて指向性の高くない光を用いた加熱方法を使用することもできる。また、レーザを用いた場合でも、高精度のアライメント等が必要なくなるため、装置の簡易化、タクトの向上、誤照射による不良発生の低減の効果が得られる。
【0072】
また、図12に示すように、指向性の高いレーザ170を用いて、ガラスフリット130が配置された領域だけを加熱することもできる。この場合、光源から出射されたレーザ170をガルバノミラー等で反射させることで、ガラスフリットが配置された領域だけを走査することができる。図12に示した方法によると、ガラスフリットが配置された形状が異なるパネルに対しても、レーザを走査するプログラムを変更するだけで、同一の装置を用いてレーザ照射をすることができる。つまり、プログラムの変更だけで、どのようなパネルに対してもレーザ照射することができ、装置の汎用性を高めることができる。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態4の表示装置の製造方法によると、カラーフィルタや遮光層が基板間に配置され、ガラスフリットによって両基板が貼り合せられた表示装置において、カラーフィルタや遮光層(樹脂性遮光層の場合)などの有機材料からの脱ガスや脱水分によって発光素子が劣化する現象を抑制することができる。
【0074】
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0075】
100:基板
110:表示領域
111:トランジスタ層
112:層間絶縁層
113:発光素子
120:周辺領域
121:遮光層
121a:遮光層121の基板100に対向する上面
121b:遮光層121の端部
121c:表示領域110を含む領域に対応する遮光層
121d:周辺領域120に対応する遮光層
122、181、182、183:カラーフィルタ
122a:カラーフィルタ122の基板100に対向する上面
122b:カラーフィルタ122の端部
123:無機パッシベーション層
124:スリット
130:ガラスフリット
131:空隙部
141:第2遮光層
142:透明導電層
143:保護層
150:マスク
160、170:レーザ
180:画素
200:対向基板
200a:対向基板200の基板100とは反対の面
300:ドライバIC
400:FPC
500:端子部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12