(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変更制御手段の制御の下でのデータ変更が完了した後に、前記決済処理の内容を表したレシートを発行する発行手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のセルフチェックアウト装置。
前記決済手段での決済処理の結果として釣銭の払い出しが必要となった場合、前記変更制御手段の制御の下でのデータ変更が完了した後に前記釣銭の払い出しを行う払出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1−3のいずれか一項に記載のセルフチェックアウト装置。
【背景技術】
【0002】
近年、流通業界においては、RFID(radio frequency identification)タグを利用したチェックアウトシステムの利用が活発になっている。この種のシステムは、各商品にRFIDタグをそれぞれ取り付け、そのRFIDタグが記憶するデータ(以下、タグデータと称する)を、無線通信などを用いてタグリーダによって読み取ることにより買い上げ商品の情報を収集する。
【0003】
タグリーダの通信範囲に複数のRFIDタグが存在する場合、これら複数のRFIDタグが同時にタグデータを送信することによる干渉によりタグリーダがタグデータを読み取れなくなる事態を防ぐために、衝突防止技術を導入し、全てのRFIDタグからタグデータを確実に読み取ることができる可能性を高めている。
【0004】
RFIDタグの中には、読み取りが完了したことを表すデータを記憶可能なものが存在する。これは具体的には例えば、1ビットのフラグを記憶しており、タグリーダからの所定のコマンドを受けて当該フラグをセットする機能により実現される。このようなRFIDタグでは、フラグの状態を確認することによって、読み取り済みであるのか否かを確認することが可能となる。
【0005】
そして従来は、タグリーダが正しくタグデータを読み取れた際に、当該タグデータに含まれたRFIDタグの識別情報(以下、タグコードと称する)を含む所定のコマンドをタグリーダが送信する。当該コマンドを受信したRFIDタグは、そこに含まれたタグコードが自己のタグコードと一致する場合に、フラグをセットする。
【0006】
ところで近年、RFIDタグを防犯タグとしても利用することが考えられている。すなわち例えば、防犯ゲートを通過するRFIDタグからタグデータを読み取り、上記のフラグがセット状態にない場合に警報を発する。
【0007】
しかしながら、前述のようにタグデータの読み取りが完了したことに応じてフラグをセットしていると、その後の決済が行われないままで防犯ゲートを通過したとしても、防犯ゲートにおいては異常を検出することができなかった。
【0008】
このような事情から、RFIDタグ等の電子タグを防犯タグとして利用して商品の不正な持ち出しを防止できる可能性を高めることが望まれていた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、決済処理装置としてセルフチェックアウト装置を例に説明する。なお本実施形態のセルフチェックアウト装置は、セルフチェックアウト式の商品販売データ処理装置(POS端末)、あるいはセルフレジ装置とも呼ばれる。
【0014】
図1は本実施形態に係るセルフチェックアウト装置100の外観の斜視図である。
【0015】
セルフチェックアウト装置100は、筐体1、タッチパネル2、カード挿入口4、レシート発行口5、硬貨投入口6、硬貨排出口7、紙幣投入口8および紙幣排出口9を含む。
【0016】
筐体1は、それぞれ金属材料や樹脂材料からなる部材を組み合わせて、箱状に形成されてなる。筐体1の前面には開口1aが形成されている。開口1aは、筐体1の内部に形成されたタグ読み取り空間と筐体1の外部空間とを連通させる。
【0017】
タッチパネル2は、筐体1の上部に固定されている。タッチパネル2は、任意の画像を表示する。タッチパネル2は、操作者による操作を入力する。
【0018】
カード挿入口4、レシート発行口5、硬貨投入口6、硬貨排出口7、紙幣投入口8および紙幣排出口9は、いずれも金属材料や樹脂材料からなり、筐体1に取り付けられる。カード挿入口4は、クレジットカードなどのカードを筐体1の内外に出し入れするための開口である。レシート発行口5は、レシートを筐体1の外部へ排出するための開口である。硬貨投入口6は、硬貨を筐体1の内部に投入するための開口である。硬貨排出口7は、硬貨を筐体1の外部に排出するための開口である。紙幣投入口8は、紙幣を筐体1の内部に投入するための開口である。紙幣排出口9は、紙幣を筐体1の外部に排出するための開口である。
【0019】
図2はセルフチェックアウト装置100のブロック図である。なお、
図2において
図1と同一の部位には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0020】
セルフチェックアウト装置100はさらに、CPU(central processing unit)10、ROM(read-only memory)11、RAM(random-access memory)12、補助記憶ユニット13、時計ユニット14、タッチパネルコントローラ15、カードリーダ16、カードリーダコントローラ17、プリンタ18、プリンタコントローラ19、自動釣銭機20、釣銭機コントローラ21、タグリーダ22および通信デバイス23を含む。これらのうちのCPU10、ROM11、RAM12、補助記憶ユニット13、時計ユニット14、タッチパネルコントローラ15、カードリーダコントローラ17、プリンタコントローラ19、釣銭機コントローラ21および通信デバイス23は、バスライン24にそれぞれ接続されている。CPU10、ROM11、RAM12、補助記憶ユニット13、時計ユニット14、タッチパネルコントローラ15、カードリーダ16、カードリーダコントローラ17、プリンタ18、プリンタコントローラ19、自動釣銭機20、釣銭機コントローラ21および通信デバイス23は、典型的には筐体1の内部に設けられる。
【0021】
CPU10、ROM11、RAM12および補助記憶ユニット13は、バスライン24により接続されてコンピュータを構成する。
【0022】
CPU10は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU10は、ROM11および補助記憶ユニット13に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、セルフチェックアウト装置100としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0023】
ROM11は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM11は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM11は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM11は、CPU10が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0024】
RAM12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM12は、CPU10が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM12は、CPU10が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM12の記憶領域の一部は、タグリストエリア12aとして利用される。
【0025】
補助記憶ユニット13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット13は、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU10が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU10での処理によって生成されたデータを保存する。また補助記憶ユニット13は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0026】
時計ユニット14は、定常的に計時動作を行い、日付および時刻を表した日時情報を生成する。
【0027】
タッチパネルコントローラ15は、CPU10の制御の下にタッチパネル2での画像表示のための動作を制御する。またタッチパネルコントローラ15は、タッチパネル2でのユーザ操作に応じてタッチパネル2が出力する情報を、例えばRAM12を介してCPU10に与える。
【0028】
カードリーダ16は、カード挿入口4から挿入されたカードに記録されたカード情報を読み取る。なお、カードとは、クレジットカード、デビットカードおよびプリペイドカードなどのような決済カード、あるいはポイントカードなどが含まれ得る。またカードリーダ16は、カードに情報を書き込む機能を有していても良い。
【0029】
カードリーダコントローラ17は、CPU10の制御の下にカードリーダ16の動作を制御するとともに、カードリーダ16から出力されたカード情報を、RAM12を介してCPU10に与える。
【0030】
プリンタ18は、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどであり、レシートを印刷する。プリンタ18は、レシートをレシート発行口5から排出する。
【0031】
プリンタコントローラ19は、CPU10の制御の下にプリンタ18の動作を制御する。
【0032】
自動釣銭機20は、硬貨投入口6および紙幣投入口8から投入される硬貨および紙幣を収受し、必要に応じて釣銭としての硬貨および紙幣を硬貨排出口7および紙幣排出口9から排出する。
【0033】
釣銭機コントローラ21は、CPU10の制御の下に自動釣銭機20の動作を制御する。
【0034】
タグリーダ22は、アンテナ、送信回路および受信回路を含んだ周知の構成のものであって良い。タグリーダ22は、タグ読取空間を読取範囲とし、このタグ読取空間の中に存在するRFIDタグからタグデータを読み取る。
【0035】
通信デバイス23は、LAN(local area network)やインターネットなどの通信ネットワーク200を介して、図示しないサーバなどの他の装置と通信する。
【0036】
ところで、ROM11または補助記憶ユニット13に記憶されるアプリケーションプログラムの1つは、後述する制御処理をCPU1に実行させるための制御プログラムである。制御プログラムは、典型的には、セルフチェックアウト装置100の譲渡の際にROM11または補助記憶ユニット13に記憶される。しかしながら、制御プログラムがROM11または補助記憶ユニット13に記憶されない状態でセルフチェックアウト装置100の譲渡が行われるとともに、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して制御プログラムが譲渡され、この制御プログラムが上記の別途に譲渡されたセルフチェックアウト装置100の補助記憶ユニット13に書き込まれても良い。
【0037】
次に以上のように構成されたセルフチェックアウト装置100の動作について説明する。
【0038】
図3および
図4はCPU10による制御処理のフローチャートである。
【0039】
CPU10は、ROM11または補助記憶ユニット13に記憶された制御プログラムに従って
図3および
図4に示す制御処理を実行する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0040】
セルフチェックアウト装置100の管理者により図示しない電源スイッチがオンされたことに応じてCPU10が起動されると、CPU10は
図3,4に示す制御処理を開始する。
【0041】
Act1においてCPU10は、初期化を行う。この初期化は、タグリストエリア12aや、RAM12に設定される商品リストエリアをクリアする処理を含む。また初期化は、スタート画面をタッチパネル2に表示させる処理を含む。なお、スタート画面は、セルフチェックアウト装置100を使用してチェックアウトの手続きをしようとする顧客に対する案内を表した画面などとして予め任意に用意される。
【0042】
Act2においてCPU10は、チェックアウトの手続きの開始が要求されたか否かを確認する。CPU10は、開始が要求されていないならばNOと判定し、Act2を繰り返す。かくしてCPU10はAct2において、開始が要求されるのを待ち受ける。そしてCPU10は、例えばスタート画面に設けたスタートボタンをタッチするなど、開始を要求するための予め定めた操作が行われたならばYESと判定し、Act3へと進む。なお、チェックアウトしようとする顧客は、開始を要求するのに前後して、購入する商品を開口1aからタグ読み取り空間へと投入する。
【0043】
Act3においてCPU10は、タグリーダ22による読取動作を起動する。タグリーダ22は起動されると、タグ読み取り空間に存在するRFIDタグからタグデータを周知の手順により1つずつ読み取る。そしてタグデータを1つ読み取る毎に、その旨をCPU10に通知する。なお、CPU10はこの際に、登録画面をタッチパネル2に表示させる。登録画面は、読取済みのタグデータに基づいて識別した商品の一覧を表すための画面である。登録画面は、予め定められた基本画像に、識別した商品の商品名や売価などを表す文字列を合成することによりCPU10により生成される。登録画面には、決済の開始を要求するための決済ボタンも設けられる。
【0044】
Act4においてCPU10は、タグデータが受信されたか否かを確認する。CPU10は、タグリーダ22からタグデータを受信した旨の通知を受けていなければNOと判定し、Act5へと進む。
【0045】
Act5においてCPU10は、決済の開始が要求されたか否かを確認する。CPU10は、上記の決済ボタンがタッチされていないならばNOと判定し、Act4に戻る。
【0046】
かくしてCPU10はAct4,5において、タグデータが受信されるか、あるいは決済の開始が要求されるのを待ち受ける。そしてCPU10は、タグリーダ22からタグデータを受信した旨の通知を受けると、Act4にてYESと判定し、Act6へと進む。
【0047】
Act6においてCPU10は、タグリーダ22により今回受信されたタグデータ(以下、受信タグデータと称する)が、セルフチェックアウト装置100を設置している店舗で販売している商品に取り付けられたRFIDタグ(以下、商品タグと称する)のものであるか否かを確認する。そしてCPU10は、受信タグデータが商品タグのものであることを確認したならば、Act6にてYESと判定し、Act7へと進む。
【0048】
Act7においてCPU10は、受信タグデータに含まれるタグコードをキーとしてタグリストエリア12aを検索する。
【0049】
Act8においてCPU10は、上記の検索の結果として受信タグデータに含まれるタグコードと同一のタグコードが見つかったか否かを確認する。そしてCPU10は、同一コードが無いことを確認したならば
NOと判定し、Act9へと進む。
【0050】
Act9においてCPU10は、受信タグデータをタグリストエリア12aに追加する。このときCPU10は、受信タグデータの全てを書き込む必要はなく、少なくともタグコードをタグリストエリア12aに書き込む。後述するようにCPU10は、Act9を繰り返し実行する場合がある。そしてこの場合にCPU10は、既にタグリストエリア12aに記憶されたタグデータを消去することなく、新たなタグデータを追加してタグリストエリア12aに書き込む。かくして、タグリストエリア12aは、複数のタグデータを記憶する記憶手段として機能する。また制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは書込手段として機能する。
【0051】
Act10においてCPU10は、受信タグデータに含まれた商品コードに基づいて商品情報を取得する。CPU10は、補助記憶ユニット13に記憶されている商品情報を読み出しても良いし、通信ネットワーク200を介してストアサーバなどから商品情報の配信を受けても良い。
【0052】
Act11においてCPU10は、上記のように取得した商品情報を含むように、RAM12に記憶された商品リストを更新する。そしてCPU10はこののちに、Act4,5の待ち受け状態に戻る。なおCPU10は、更新した商品リストの内容を表すように、タッチパネル2に表示させている登録画面も更新する。
【0053】
CPU10は、受信タグデータが商品タグのものでは無いためにAct6にてNOと判定した場合、あるいは受信タグデータに含まれたタグコードがタグリストエリア12aに
有るためにAct8にて
YESと判定した場合、Act9〜11をパスしてAct4,5の待ち受け状態に戻る。CPU10は、受信タグデータをタグリストおよび商品リストに影響させないのであり、受信タグデータは読み捨てられる。
【0054】
さて顧客は、登録画面を確認して、投入した商品の全てが識別されていることを確認したならば、登録画面中の決済ボタンにタッチする。そうすると、このようなタッチ操作がタッチパネル2で検出され、CPU10へと通知される。CPU10はこの通知を受けて、Act5にてYESと判定し、Act12へと進む。
【0055】
Act12においてCPU10は、タグリーダ22の読取動作を停止させる。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは停止制御手段として機能する。
【0056】
Act13においてCPU10は、商品リストにリストアップされている商品に関する決済処理を実行する。決済処理は、既存の別のセルフチェックアウト装置にて行われている処理と同様であって良い。このため決済処理は、チェックアウトの手続きの開始が要求された時点を開始時点とし、それ以降にタグリーダ22により読み取られたタグデータに基づいて行われることとなる。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。CPU10は、この決済処理を完了したならば、
図4に示すAct14へと進む。
【0057】
Act14においてCPU10は、書込中画面をタッチパネル2に表示させる。書込中画面は、商品をタグ読み取り空間から取り出さないよう、顧客に対して注意を促す画面である。書込中画面は、処理中であることを顧客に分かり易く通知するために、例えば円形のシンボルが移動するなどのように動きのある画像を顧客に視覚させるよう、複数枚の画面を短周期で切り替えてタッチパネル2に表示させても良い。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは表示制御手段として機能し、この表示制御手段とタッチパネル2との協働により表示手段が実現される。
【0058】
図5は一例としての書込中画面31を示す図である。
【0059】
書込中画面31は、文字列31a,31bを含む。文字列31aは、上記の通り顧客に対して注意を促すためのものである。文字列31bは、書込処理の進捗状況を顧客に対して報知するためのものである。文字列31bは、12個の商品のうちの1つ目の商品に対する処理を実行中であることを示している。
【0060】
Act15においてCPU10は、タグリーダ22による読取動作を起動する。
【0061】
Act16においてCPU10は、タグデータが受信されたか否かを確認する。CPU10は、タグリーダ22からタグデータを受信した旨の通知を受けていなければNOと判定し、Act16を繰り返す。かくしてCPU10はAct16において、タグデータが受信されるのを待ち受ける。そしてCPU10は、タグリーダ22からタグデータを受信した旨の通知を受けると、Act16にてYESと判定し、Act17へと進む。
【0062】
Act17においてCPU10は、タグリーダ22による読取動作を停止する。
【0063】
Act18においてCPU10は、受信タグデータに含まれるタグコードをキーとしてタグリストエリア12aを検索する。
【0064】
Act19においてCPU10は、上記の検索の結果として受信タグデータに含まれるタグコードと同一のタグコードが見つかったか否かを確認する。そしてCPU10は、同一コードがあることを確認したならばYESと判定し、Act20へと進む。
【0065】
Act20においてCPU10は、受信タグデータに含まれるタグコードを含めた解除コマンドをタグリーダ22から送信する。RFIDタグは、読取の完了/未完了を表すフラグを有する。RFIDタグは、この解除コマンドを受信すると、そこに含まれたタグコードと自己のタグコードとを比較し、一致する場合に、上記のフラグをセットする。RFIDタグは、受信した解除コマンドに含まれたタグコードが自己のタグコードとは相違する場合には、解除コマンドを無視する。フラグをセットすることは、読み取り済みであることを識別可能とするために当該電子タグが記憶するデータを変更することに相当する。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは変更制御手段として機能する。なお、フラグをセットすることは、読み取り済みであることを識別可能とするための完了データとしての「1」なるデータをRFIDタグに書き込むことと等価である。
【0066】
Act21においてCPU10は、受信タグデータに含まれたタグコードをタグリストエリア12aから削除する。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは消去手段として機能する。
【0067】
Act22においてCPU10は、タグリストエリア12aにまだタグコードが残っているか否かを確認する。そしてCPU10は、タグコードが残っているならばYESと判定し、Act23へと進む。
【0068】
Act23においてCPU10は、書込中画面を更新する。具体的にCPU10は、進捗状況が変化したことを表すように書込中画面を更新する。
【0069】
図6は一例としての書込中画面32を示す図である。
【0070】
書込中画面32は、書込中画面31からの更新後の画面である。書込中画面32は、進捗状況が進んだことを表すために、書込中画面31における「1/12」なる文字列31bに代えて、「2/12」なる文字列32aを含む。
【0071】
CPU10は、書込中画面を更新し終えたならば、Act15に戻って、それ以降の処理を上記と同様に繰り返す。これによりCPU10は、タグリストエリア12aに含まれたタグコードを持つRFIDタグのそれぞれのフラグをセットしてゆく。
【0072】
なおCPU10は、受信タグデータに含まれるタグコードがタグリストエリアに含まれるものと一致しなかった場合、Act19からAct20〜23をパスしてAct15へと戻る。
【0073】
一方でCPU10は、タグリストエリア12aに含まれた最後のタグコードをAct21にて削除した後には、タグコードが残っていないためにAct22にてNOと判定し、Act24へと進む。
【0074】
Act24においてCPU10は、Act13での決済処理の結果を表したレシートを発行する。ここで発行するレシートは、レシート紙を用いたものであっても良いし、電子レシートであっても良い。すなわちCPU10は、決済処理の対象となった商品名や金額などを表した明細や、決済した合計金額、預かり金額、釣銭額などを表したレシート画像を生成し、これをプリンタ18によりレシート用紙に印刷させる。レシート用紙のレシート画像が印刷された領域は、その他の領域から切り離された後、レシート発行口5から排出される。なおCPU10は、クレジット決済が行われた場合には、その証書となるレシートも発行するようプリンタ18を制御する。これにより、レシート紙を用いたレシートが顧客に対して発行されることになる。あるいはCPU10は、レシートに記載する情報を含んだレシートデータを生成し、これを通信ネットワーク200を介して例えばセンタサーバ(図示せず)に送る。顧客は、適宜の情報通信端末を利用してセンタサーバにアクセスし、レシートデータの内容を閲覧することができる。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは発行制御手段として機能し、この発行制御手段とプリンタ18との協働により発行手段が実現される。
【0075】
Act25においてCPU10は、Act13での決済処理の結果として釣銭が発生しているか否かを確認する。そして釣銭が発生しているためにYESと判定したならばCPU10は、Act26へと進む。
【0076】
Act26においてCPU10は、自動釣銭機20により釣銭を払い出させる。そしてこののちにCPU10は、Act27へと進む。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは払出制御手段として機能し、この払出制御手段と自動釣銭機20の協働により払出手段が達成される。CPU10は、釣銭が発生していないためにAct25にてNOと判定したならば、このAct26をパスしてAct27へと進む。
【0077】
Act27においてCPU10は、予め定められた待機時間がタイムアウトしたか否かを確認する。そしてCPU10は、タイムアウトしていないためにNOと判定したならば、Act27を繰り返す。かくしてCPU10はAct27において、待機時間がタイムアウトするのを待ち受ける。なおCPU10は、例えばAct27を最初に実行する際に待機時間の計時を開始する。CPU10は、ここでの待ち受け状態においては、チェックアウト処理が終了したことを顧客に知らせるための終了画面をタッチパネル2に表示させても良い。そしてCPU10は、タイムアウトしたためにAct27にてYESと判定したならば、
図3に示すAct1に戻り、Act1以降の処理を上述と同様にして実行する。つまりCPU10は、別の顧客のチェックアウトのための処理を開始する。
【0078】
このとき、Act21によるタグデータの消去が、Act22にてタグコードが残っていないことが確認されるまで繰り返されていることから、タグリストエリア12aには前回のチェックアウト処理において読み取ったタグデータは残っていない状態とされている。
図3,4では、Act1の初期化を再度行うので、ここでタグリストエリア12aが再度クリアされるが、この初期化によるタグリストエリア12aのクリアは省略しても良い。
【0079】
そして、タグリストエリア12aがクリアされた状態で、Act3においてタグリーダ22による読取動作がCPU10の制御の下に再開される。かくして制御プログラムに基づいて上記の制御処理をCPU10が実行することによって、CPU10を中枢部分とするコンピュータは開始制御手段として機能する。
【0080】
以上のようにセルフチェックアウト装置100によれば、決済処理の開始に先立って、タグリーダ22の読取動作を停止する。そして決済処理が完了した後に、タグリーダ22を再度動作させて、RFIDタグのフラグをセットさせることによって、RFIDタグへと完了データを書き込ませる。
【0081】
ここで、RFIDタグを防犯タグとしても利用し、防犯ゲートを通過するRFIDタグから読み取ったタグデータのうちの上記のフラグがセット状態にない場合に警報を発するようにすることを想定する。このケースでは、セルフチェックアウト装置100でタグコードの読み取りは完了したものの、決済処理が行われることが無いままの商品が防犯ゲートを通って持ち出されようとしたならば、この商品に取り付けられたRFIDタグには完了データが書き込まれないままであるから、正しく警報が発せられることとなる。完了した決済処理の対象となった商品に取り付けられたRFIDタグには完了データが書き込まれているので、防犯ゲートを通って持ち出されようとも、警報が発せられることはない。
【0082】
なお、RFIDタグに完了データを書き込む処理は、顧客にとってはチェックアウト手続の一部とは認識され辛く、当該処理を行う期間は顧客に理解のできないタイムラグとなり、顧客に不安感を与えてしまう恐れがある。しかしながらセルフチェックアウト装置100では、RFIDタグに完了データを書き込む処理の実行中には書込中画面を表示するので、顧客は何らかの処理が実行中であることを認識することができるので、不安感を持つこと無く待つことができる。
【0083】
セルフチェックアウト装置100ではさらに、レシートの発行をRFIDタグへの完了データの書き込みを完了した後に行うようにしている。一般に顧客は、レシートが発行されたことを持ってチェックアウトの手続きが完了したと認識する場合が多い。このため、RFIDタグへの完了データの書き込みが完了する前にレシートを発行してしまうと、完了データが書き込まれていないままのRFIDタグが防犯ゲートを通って持ち出され、警報が発せられてしまうことがある。このような事態を生じさせることは好ましいことではないが、本実施形態によればこのような事態に陥ることを未然に防ぐことができる。
【0084】
セルフチェックアウト装置100はまた、釣銭の払い出しをRFIDタグへの完了データの書き込みを完了した後に行うようにしている。一般に顧客は、釣銭が有る場合には、釣銭を受け取ればチェックアウトの手続きが完了したと認識する場合が多い。このため、RFIDタグへの完了データの書き込みが完了する前に釣銭を払い出してしまうと、完了データが書き込まれていないままのRFIDタグが防犯ゲートを通って持ち出され、警報が発せられてしまうことがある。このような事態を生じさせることは好ましいことではないが、本実施形態によれば、釣銭が生じた場合に限られるが、上記のような事態に陥ることを未然に防ぐことができる。
【0085】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0086】
読み取り済みであることを識別可能とするためにRFIDタグが記憶するデータを変更する処理としては、その識別のためのデータをRFIDタグに新たに書き込むことや、RFIDタグが記憶している例えばタグコードなどのデータの全てまたは一部を消去または改変することで代替しても良い。
【0087】
タグリーダ22は、セルフチェックアウト装置100とは別装置として存在するものがセルフチェックアウト装置100に外付けされても良い。
【0088】
店員が操作者となるタイプのチェックアウト装置においても、上記の実施形態と同様に実施が可能である。
【0089】
RFIDタグ以外に電子タグを用いても、上記の実施形態と同様に実施が可能である。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
タグリーダが電子タグから読み取ったタグデータを複数記憶可能な記憶手段と、
前記タグリーダにより読み取られた前記タグデータが前記記憶手段に記憶されていない場合に、当該タグデータを前記記憶手段に書き込む書込手段と、
決済処理の開始要求を受けて、前記タグデータの読み取りを停止するように前記タグリーダを制御する停止制御手段と、
前記停止制御手段の制御の下に前記タグリーダが前記読み取りを停止した後に、前記タグリーダにより読み取られたタグデータに基づく決済処理を実行する決済手段と、
前記決済手段による決済処理が完了した後に、前記記憶手段に記憶された全てのタグデータで識別される電子タグが読み取り済みであることを識別可能とするために当該電子タグが記憶するデータを変更するように前記タグリーダを制御する変更制御手段とを具備したことを特徴とする決済処理装置。
[付記2]
前記変更制御手段の制御の下でのデータ変更が行われているときに、当該データ変更の進捗状況を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする付記1に記載の決済処理装置。
[付記3]
前記変更制御手段の制御の下でのデータ変更が完了した後に、前記決済処理の内容を表したレシートを発行する発行手段をさらに備えることを特徴とする付記1または2に記載の決済処理装置。
[付記4]
前記決済手段での決済処理の結果として釣銭の払い出しが必要となった場合、前記変更制御手段の制御の下でのデータ変更が完了した後に前記釣銭の払い出しを行う払出手段をさらに備えることを特徴とする付記1−3のいずれか一項に記載の決済処理装置。
[付記5]
前記変更制御手段の制御の下でのデータ変更が完了した後に、前記記憶手段から前記タグデータを消去する消去手段をさらに備え、
前記消去手段による消去が完了した後に、前記タグデータの読み取りを開始するように前記タグリーダを制御する開始制御手段とをさらに備えることを特徴とする付記1−4のいずれか一項に記載の決済処理装置。
[付記6]
前記変更制御手段は、前記記憶手段に記憶された全てのタグデータで識別される電子タグに、読み取り済みであることを識別可能とする完了データを書き込むように前記タグリーダを制御することを特徴とする付記1−5のいずれか一項に記載の決済処理装置。
[付記7]
タグリーダが電子タグから読み取ったタグデータを複数記憶可能な記憶手段を備えた決済処理装置を制御するコンピュータを、
前記タグリーダにより読み取られた前記タグデータが前記記憶手段に記憶されていない場合に、当該タグデータを前記記憶手段に書き込む書込手段と、
決済処理の開始要求を受けて、前記タグデータの読み取りを停止するように前記タグリーダを制御する停止制御手段と、
前記停止制御手段の制御の下に前記タグリーダが前記読み取りを停止した後に、前記記憶手段が記憶するタグデータに基づく決済処理を実行する決済手段と、
前記決済手段による決済処理が完了した後に、前記記憶手段に記憶された全てのタグデータで識別される電子タグが読み取り済みであることを識別可能とするために当該電子タグが記憶するデータを変更するように前記タグリーダを制御する書込制御手段として機能させるための制御プログラム。