(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200430
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】圧補助装置を監視し且つ制御する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
A61B5/08ZDM
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-548319(P2014-548319)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-506189(P2015-506189A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】IB2012057601
(87)【国際公開番号】WO2013093873
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】61/579,722
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブルーワー,ララ マリー
(72)【発明者】
【氏名】オール,ジョセフ アレン
【審査官】
福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−505177(JP,A)
【文献】
特表2009−528858(JP,A)
【文献】
特表2011−510784(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/055250(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0302364(US,A1)
【文献】
特開2011−050731(JP,A)
【文献】
特表2007−500046(JP,A)
【文献】
特開昭60−242833(JP,A)
【文献】
特開2004−121668(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/107978(WO,A1)
【文献】
特開2011−005240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08〜5/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の呼吸を監視するように構成されるシステムであって:
呼吸回路における1又は複数のガスパラメータに関する情報を伝える出力信号を生成するように構成される1又は複数のガスパラメータセンサ;及び
コンピュータプログラムモジュールを実行するプロセッサ;を有し、
前記呼吸回路は、対象者の気道と連通するように構成される対象者インタフェース機器を有し、
前記コンピュータプログラムモジュールは:
前記出力信号に基づいて前記対象者の呼吸についての呼吸パラメータを測定するように構成される呼吸パラメータモジュールであり、前記呼吸パラメータが(i)呼吸長さに関する第1パラメータ、及び(ii)呼気終末二酸化炭素に関する第2パラメータを含むところの呼吸パラメータモジュール;
前記対象者による呼吸の第1セットに関する第1パラメータと1又は複数の呼吸の第1サブセットに関する第1パラメータとの比較に基づいて速度メトリックを継続的な方法で測定するように構成される呼吸速度監視モジュールであり、前記1又は複数の呼吸の第1サブセットにおける1又は複数の呼吸が前記対象者による呼吸の第1セットにも含まれるところの呼吸速度監視モジュール;
前記対象者が現に無呼吸を経験しているかを表し、且つ、現に無呼吸を経験している対象者に対しては該無呼吸の重症度及び/又は期間を表す無呼吸メトリックを継続的な方法で前記出力信号に基づいて測定するように構成される無呼吸監視モジュール;
前記対象者による呼吸の第2セットに関する第2パラメータと1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータとの比較に基づいて呼気終末二酸化炭素メトリックを継続的な方法で測定するように構成される呼気終末二酸化炭素監視モジュールであり、前記1又は複数の呼吸の第2サブセットにおける1又は複数の呼吸が前記対象者による呼吸の第2セットにも含まれるところの呼気終末二酸化炭素監視モジュール;並びに
所与の時間での換気指数が前記所与の時間での前記対象者に関する呼吸安定性及び/又は有効性を表すように前記速度メトリック、前記無呼吸メトリック、及び前記呼気終末二酸化炭素メトリックに基づいて前記対象者に関する換気指数を継続的な方法で測定するように構成される換気指数モジュール;
を有する、
システム。
【請求項2】
前記呼吸速度監視モジュール及び前記呼気終末二酸化炭素監視モジュールは、前記呼吸の第1セットが前記呼吸の第2セットと同じになるように構成される、
請求項1のシステム。
【請求項3】
前記呼吸速度監視モジュール及び前記呼気終末二酸化炭素監視モジュールは、前記1又は複数の呼吸の第1サブセットが前記1又は複数の呼吸の第2セットと同じになるように構成される、
請求項2のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータプログラムモジュールは、前記対象者の呼吸における不安定性を知らせるアラームを前記換気指数に基づいて生成するように構成されるアラームモジュールをさらに有する、
請求項1のシステム。
【請求項5】
前記アラームモジュールは、前記換気指数とスコア閾値とを比較し、且つ、この比較に基づいてアラームを生成するように構成される、
請求項4のシステム。
【請求項6】
対象者の呼吸を監視する方法であって:
呼吸回路における1又は複数のガスパラメータに関する情報を伝える出力信号を受信すること;
前記出力信号に基づいて前記対象者の呼吸についての呼吸パラメータを測定すること;
継続的な方法で前記対象者による呼吸の第1セットに関する第1パラメータと1又は複数の呼吸の第1サブセットに関する第1パラメータとの比較に基づいて速度メトリックを測定すること;
前記対象者が現に無呼吸を経験しているかを表し、且つ、現に無呼吸を経験している対象者に対しては該無呼吸の重症度及び/又は期間を表す無呼吸メトリックを継続的な方法で前記出力信号に基づいて測定すること;
前記対象者による呼吸の第2セットに関する第2パラメータと1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータとの比較に基づいて呼気終末二酸化炭素メトリックを継続的な方法で測定すること;並びに
所与の時間での換気指数が前記所与の時間での前記対象者に関する呼吸安定性及び/又は有効性を表すように、前記速度メトリック、前記無呼吸メトリック、及び前記呼気終末二酸化炭素メトリックに基づいて前記対象者に関する換気指数を継続的な方法で測定すること;を有し、
前記呼吸回路は、対象者の気道と非侵襲的に連通するように構成される非侵襲的な対象者インタフェース機器を有し、
前記呼吸パラメータは、(i)呼吸長さに関する第1パラメータ、及び(ii)呼気終末二酸化炭素に関する第2パラメータを含み、
前記1又は複数の呼吸の第1サブセットにおける1又は複数の呼吸は、前記対象者による呼吸の第1セットにも含まれ、
前記1又は複数の呼吸の第2サブセットにおける1又は複数の呼吸は、前記対象者による呼吸の第2セットにも含まれる、
方法。
【請求項7】
前記呼吸の第1セットは前記呼吸の第2セットと同じである、
請求項6の方法。
【請求項8】
前記1又は複数の呼吸の第1サブセットは前記1又は複数の呼吸の第2セットと同じである、
請求項7の方法。
【請求項9】
前記対象者の呼吸における不安定性を知らせるアラームを前記換気指数に基づいて生成することをさらに有する、
請求項6の方法。
【請求項10】
前記換気指数とスコア閾値とを比較することをさらに有し、
前記アラームを生成することは、この比較に基づく、
請求項9の方法。
【請求項11】
対象者の呼吸を監視するように構成されるシステムであって:
呼吸回路における1又は複数のガスパラメータに関する情報を伝える出力信号を受信する手段;
前記出力信号に基づいて前記対象者の呼吸についての呼吸パラメータを測定する手段;
継続的な方法で前記対象者による呼吸の第1セットに関する第1パラメータと1又は複数の呼吸の第1サブセットに関する第1パラメータとの比較に基づいて速度メトリックを測定する手段;
前記対象者が現に無呼吸を経験しているかを表し、且つ、現に無呼吸を経験している対象者に対しては該無呼吸の重症度及び/又は期間を表す無呼吸メトリックを継続的な方法で前記出力信号に基づいて測定する手段;
前記対象者による呼吸の第2セットに関する第2パラメータと1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータとの比較に基づいて呼気終末二酸化炭素メトリックを継続的な方法で測定する手段;並びに
所与の時間での換気指数が前記所与の時間での前記対象者に関する呼吸安定性及び/又は有効性を表すように、前記速度メトリック、前記無呼吸メトリック、及び前記呼気終末二酸化炭素メトリックに基づいて前記対象者に関する換気指数を継続的な方法で測定する手段;を有し、
前記呼吸回路は、対象者の気道と連通するよう構成される対象者インタフェース機器を有し、
前記呼吸パラメータは、(i)呼吸長さに関する第1パラメータ、及び(ii)呼気終末二酸化炭素に関する第2パラメータを含み、
前記1又は複数の呼吸の第1サブセットにおける1又は複数の呼吸は、前記対象者による呼吸の第1セットにも含まれ、
前記1又は複数の呼吸の第2サブセットにおける1又は複数の呼吸は、前記対象者による呼吸の第2セットにも含まれる、
システム。
【請求項12】
前記呼吸の第1セットは前記呼吸の第2セットと同じである、
請求項11のシステム。
【請求項13】
前記1又は複数の呼吸の第1サブセットは前記1又は複数の呼吸の第2セットと同じである、
請求項12のシステム。
【請求項14】
前記対象者の呼吸における不安定性を知らせるアラームを前記換気指数に基づいて生成する手段をさらに有する、
請求項11のシステム。
【請求項15】
前記換気指数とスコア閾値とを比較する手段をさらに有し、
前記アラームを生成する手段は、この比較に基づいてアラームを生成するように構成される、
請求項14のシステム。
【請求項16】
前記呼気終末二酸化炭素メトリックは移動窓に基づいて測定され、
前記移動窓内では、該移動窓の時間内で取得される前記呼吸の第2セットに関して第2パラメータの平均及び標準偏差が測定される、
請求項1のシステム。
【請求項17】
前記呼気終末二酸化炭素メトリックは移動窓に基づいて測定され、
前記移動窓内では、該移動窓の時間内で取得される前記呼吸の第2セットに関して第2パラメータの平均及び標準偏差が測定される、
請求項11のシステム。
【請求項18】
前記呼気終末二酸化炭素メトリックは、前記対象者の典型的な呼気終末二酸化炭素量からの前記呼気終末二酸化炭素の逸脱を示す、
請求項1のシステム。
【請求項19】
前記呼気終末二酸化炭素メトリックは、前記対象者の典型的な呼気終末二酸化炭素量からの前記呼気終末二酸化炭素の逸脱を示す、
請求項11のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、呼吸の安定性及び/又は有効性を示す換気指数を測定することで対象者の呼吸を監視する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸の安定性及び/又は有効性の目安となる指標がよく知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の指標は、概して、(i)呼吸器系の問題が本格化する前にその問題を知らせる予防的なアラーム、(ii)ガスパラメータ検出(例えばカプノグラフィ)のみに頼る呼吸の安定性及び/又は有効性に関する意味のある目安、(iii)監視対象者の過去の呼吸に基づく呼吸の安定性及び/又は有効性の目安のうちの1又は複数を提供できず、且つ/或いは、他の欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本開示の1又は複数の態様は、対象者の呼吸を監視するように構成されるシステムに関する。いくつかの実施例では、そのシステムは、1又は複数のガスパラメータセンサとプロセッサとを含む。ガスパラメータセンサは、呼吸回路における1又は複数のガスパラメータに関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。呼吸回路は、対象者の気道と連通するように構成される対象者インタフェース機器を含む。プロセッサは、コンピュータプログラムモジュールを実行するように構成され、コンピュータプログラムモジュールは、呼吸パラメータモジュール、呼吸速度監視モジュール、無呼吸監視モジュール、呼気終末二酸化炭素監視モジュール、及び、換気指数監視モジュールを含む。呼吸パラメータモジュールは、出力信号に基づいて対象者の呼吸における呼吸パラメータを測定するように構成される。呼吸パラメータは、(i)呼吸長さに関する第1パラメータ、及び(ii)呼気終末二酸化炭素に関する第2パラメータを含む。呼吸速度監視モジュールは、継続的な方法で、対象者による呼吸の第1セットに関する第1パラメータと1又は複数の呼吸における第1サブセットに関する第1パラメータとの比較に基づく速度メトリックを測定するよう構成され、1又は複数の呼吸の第1サブセットにおける1又は複数の呼吸は、対象者による呼吸の第1セット内でもある。無呼吸監視モジュールは、継続的な方法で出力信号に基づいて、対象者が現に無呼吸を経験しているかを表す無呼吸メトリックを測定し、且つ、無呼吸を現に経験している対象者に対しては、無呼吸の重症度及び/又は期間を測定するように構成される。呼気終末二酸化炭素監視モジュールは、継続的な方法で、対象者による呼吸の第2セットに関する第2パラメータと1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータとの比較に基づいて呼気終末二酸化炭素メトリックを測定するように構成され、1又は複数の呼吸の第2サブセットにおける1又は複数の呼吸は、対象者による呼吸の第2セット内でもある。換気指数モジュールは、継続的な方法で、速度メトリック、無呼吸メトリック、及び呼気終末二酸化炭素メトリックに基づいて対象者に関する換気指数を測定するように構成され、所与の時間での換気指数が所与の時間での対象者に関する呼吸の安定性及び/又は有効性を表すようにする。
【0005】
本開示のさらに別の態様は、対象者の呼吸を監視する方法に関する。いくつかの実施例では、その方法は、呼吸回路における1又は複数のガスパラメータに関する情報を伝達する出力信号を受信すること(呼吸回路は、対象者の気道と非侵襲的に連通するように構成される非侵襲的な対象者インタフェース機器を含む。)、出力信号に基づいて対象者の呼吸の呼吸パラメータを測定すること(呼吸パラメータは、(i)呼吸長さに関する第1パラメータ、及び(ii)呼気終末二酸化炭素に関する第2パラメータを含む。)、継続的な方法で、対象者による呼吸の第1セットに関する第1パラメータと1又は複数の呼吸の第1サブセットに関する第1パラメータとの比較に基づいて速度メトリックを測定すること(1又は複数の呼吸の第1サブセットにおける1又は複数の呼吸は対象者による呼吸の第1セット内でもある。)、継続的な方法で出力信号に基づいて、対象者が現に無呼吸を経験しているかを表す無呼吸メトリックを測定し、且つ、無呼吸を現に経験している対象者に対しては、無呼吸の重症度及び/又は期間を測定すること、継続的な方法で、対象者による呼吸の第2セットに関する第2パラメータと1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータとの比較に基づいて呼気終末二酸化炭素メトリックを測定すること(1又は複数の呼吸の第2サブセットにおける1又は複数の呼吸は対象者による呼吸の第2セット内でもある。)、並びに、継続的な方法で、所与の時間での換気指数が所与の時間での対象者に関する呼吸の安定性及び/又は有効性を表すように、速度メトリック、無呼吸メトリック、及び呼気終末二酸化炭素メトリックに基づいて対象者に関する換気指数を測定することを含む。
【0006】
本開示のさらに別の態様は、対象者の呼吸を監視するように構成されるシステムに関する。いくつかの実施例では、そのシステムは、呼吸回路における1又は複数のガスパラメータに関する情報を伝達する出力信号を受信する手段(呼吸回路は、対象者の気道と連通するように構成される対象者インタフェース機器を含む。)、出力信号に基づいて対象者の呼吸の呼吸パラメータを測定する手段(呼吸パラメータは、(i)呼吸長さに関する第1パラメータ、及び(ii)呼気終末二酸化炭素に関する第2パラメータを含む。)、継続的な方法で、対象者による呼吸の第1セットに関する第1パラメータと1又は複数の呼吸の第1サブセットに関する第1パラメータとの比較に基づいて速度メトリックを測定する手段(1又は複数の呼吸の第1サブセットにおける1又は複数の呼吸は対象者による呼吸の第1セット内でもある。)、継続的な方法で出力信号に基づいて、対象者が現に無呼吸を経験しているかを表す無呼吸メトリックを測定し、且つ、無呼吸を現に経験している対象者に対しては、無呼吸の重症度及び/又は期間を測定する手段、継続的な方法で、対象者による呼吸の第2セットに関する第2パラメータと1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータとの比較に基づいて呼気終末二酸化炭素メトリックを測定する手段(1又は複数の呼吸の第2サブセットにおける1又は複数の呼吸は対象者による呼吸の第2セット内でもある。)、並びに、継続的な方法で、所与の時間での換気指数が所与の時間での対象者に関する呼吸の安定性及び/又は有効性を表すように、速度メトリック、無呼吸メトリック、及び呼気終末二酸化炭素メトリックに基づいて対象者に関する換気指数を測定する手段を含む。
【0007】
本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、構造の関連要素の動作方法及び機能、部品の組み合わせ、並びに、製造の経済性は、添付図面を参照して以下の説明及び添付の特許請求の範囲を検討することでより明らかとなるであろう。なお、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面の全てはこの明細書の一部を構成する。また、同様の参照番号は、様々な図面における対応する部品を表す。しかしながら、それら図面が図解及び説明のみを目的とするものであり本開示の限度を定めることを意図しないことは明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】対象者の呼吸を監視するように構成されるシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本書では、不定冠詞及び定冠詞の単数形は、文脈が明白に反対のことを決定づけない限り、複数のものの参照を含む。本書では、2以上の部品又はコンポーネントが“結合され”という記載は、リンクが存在する限りにおいて、それらの部品が、直接的に或いは間接的に、すなわち、1又は複数の中間の部品又はコンポーネントを通じて、一緒に合わせられ或いは一緒に動作することを意味する。本書では、“直接的に結合され”は、2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本書では、“固定的に結合され”又は“固定され”は、2つのコンポーネントが、互いに関連する一定の幾何学的配置を維持しながら1つのものとして動くように結合されることを意味する。
【0010】
本書では、“一体の”という語は、コンポーネントが単一のピース又はユニットとして創出されることを意味する。すなわち、別々に創出されてその後に1つのユニットとして一緒に結合される複数のピースを含むコンポーネントは“一体の”コンポーネント若しくは本体ではない。本書では、2以上の部品若しくはコンポーネントが互いに“係合”するという記載は、直接的に或いは1又は複数の中間の部品若しくはコンポーネントを通じてそれらの部品が互いに対して力を及ぼし合うことを意味する。本書では、“数”という用語は、1又は1より大きい整数(すなわち複数)を意味する。
【0011】
非限定的な例としての頂部、底部、左、右、上、下、前、後、及びそれらの派生語等の本書で用いられる方向的表現は、図面に示す要素の幾何学的配置に関連し、請求項で明示的に記載されない限り請求項に限定を加えるものではない。
【0012】
図1は、対象者12の呼吸を監視するように構成されるシステム10を示す。そのような監視は、呼吸の安定性及び/又は有効性を採点すること、対象者12に提供される呼吸療法に対する調節の提案を推奨すること、対象者12の呼吸に関する具体的な問題を特定すること、及び/又は他の監視のうちの1又は複数を含んでいてもよい。一実施例では、システム10は、呼吸回路14、電子記憶装置16、ユーザインタフェース18、1又は複数のガスパラメータセンサ20、1又は複数の生理的センサ22、プロセッサ24、並びに/又は他のコンポーネントを含む。
【0013】
呼吸回路14は、対象者12の気道とインタフェースをとるように構成される。呼吸可能なガスの加圧された流れは、対象者インタフェース26を介して対象者12の気道に供給される。対象者インタフェース26は、対象者12の気道との流体的な連通をもたらすように構成される。そのようなものとして、対象者インタフェース26は導管28及びインタフェース機器30を含む。導管28は、インタフェース機器30へガスを伝達し、且つ/或いは、インタフェース機器30からガスを伝達する。また、インタフェース機器30は、対象者12の気道と連通するように導管28を配置する。いくつかの実施例では、対象者インタフェース26は非侵襲的である。そのようなものとして、インタフェース機器30は非侵襲的に対象者12と係合する。非侵襲的な係合は、対象者12の気道と対象者インタフェース26との間でガスをやり取りするために対象者12の気道の1又は複数の外口(例えば鼻孔及び/又は口腔)を取り囲む領域(又は領域群)と取り外し可能に係合することを含む。非侵襲的なインタフェース機器30のいくつかの例は、例えば、鼻カニューラ、鼻マスク、鼻/口マスク、フルフェイスマスク、全顔面マスク、又は、ガスの流れを対象者の気道に伝える他のインタフェース機器を含んでいてもよい。いくつかの実施例では、インタフェース機器30は侵襲的である。侵襲的なインタフェース機器の例は、気管内チューブ、ラリンジアルマスク(laryngeal mask airway)、及び/又は他の侵襲的なインタフェース機器を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、電子記憶装置16は、電子的に情報を記憶する電子記憶媒体を含む。電子記憶装置16の電子記憶媒体は、システム10と一体になって提供される(実質的に取り外し不能な)システム記憶装置、及び/又は、例えばポート(例えば、USBポート、ファイアーワイヤーポート等)又はドライブ(例えばディスクドライブ等)を介してシステム10に取り外し可能に接続可能な取り外し可能記憶装置の一方又は双方を含んでいてもよい。電子記憶装置16は、光学的に可読な記憶媒体(例えば光学ディスク等)、磁気的に可読な記憶媒体(例えば磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えばEEPROM、RAM等)、固体記憶媒体(例えばフラッシュドライブ等)、及び/又は、他の電子的に可読な記憶媒体のうちの1又は複数を含んでいてもよい。電子記憶装置16は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ24によって決定される情報、ユーザインタフェース18を介して受信される情報、及び/又は、システム10が適切に機能できるようにする他の情報を記憶してもよい。電子記憶装置16は、(全体的に或いは部分的に)システム10内で別々となるコンポーネントであってもよく、また、電子記憶装置16は、(全体的に或いは部分的に)システム10における1又は複数の他のコンポーネント(例えばユーザインタフェース18、プロセッサ24等)と一体になって提供されてもよい。
【0015】
ユーザインタフェース18は、システム10と1又は複数のユーザ(例えば対象者12、介護人、研究者、治療意思決定者等)との間のインタフェースをもたらすように構成され、それを通じてユーザは情報をシステム10に提供してもよくシステム10から情報を受けてもよい。これは、データ、合図(cue)、結果、及び/又は指示、並びに任意の他の伝達可能なアイテムである集合的に“情報”と称されるものがユーザと圧力発生器、電子記憶装置16、及び/又はプロセッサ24のうちの1又は複数との間でやり取りされるのを可能にする。ユーザインタフェース18への統合に適したインタフェース装置の例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、表示灯、可聴アラーム、プリンタ、触覚フィードバック装置、及び/又は他のインタフェース装置を含む。一実施例では、ユーザインタフェース18は複数の別々のインタフェースを含む。
【0016】
配線で接続されているかワイヤレスであるかを問わず他の通信技術もまたユーザインタフェース18として本発明によって予期されることは理解されるべきである。例えば、本発明は、電子記憶装置16によってもたらされる取り外し可能な記憶装置インタフェースとユーザインタフェース18が一体化され得ることを予期する。この例では、情報は、ユーザがシステム10の実装をカスタマイズできるようにする取り外し可能な記憶装置(例えばスマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスク等)からシステム10にロードされてもよい。ユーザインタフェース18としてシステム10と一緒に使用するのに適した他の典型的な入力装置及び技術は、RS−232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル等)を含むが、それらに限定されない。要するに、システム10と情報をやり取りするための任意の技術がユーザインタフェース18として本発明によって予期される。
【0017】
ガスパラメータセンサ20は、対象者インタフェース26内のガスの1又は複数のガスパラメータに関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。1又は複数のガスパラメータは、例えば、流量、体積、圧力、組成若しくは濃度(例えば、二酸化炭素、酸素、薬剤、及び/又は他の分子種といった1又は複数の分子種のレベル)、並びに/又は、他のガスパラメータを含んでいてもよい。ガスパラメータセンサ20は、(例えば、圧力発生器での或いは対象者インタフェース26における呼吸可能なガスの加圧された流れとの流体的な連通を通じて)それらパラメータを直接的に測定する1又は複数のセンサを含んでいてもよい。ガスパラメータセンサ20は、呼吸可能なガスの加圧された流れの1又は複数のパラメータに関する出力信号を間接的に生成する1又は複数のセンサを含んでいてもよい。例えば、1又は複数のセンサ20は、圧力発生器及び/又は他のセンサの運転パラメータ(例えばバルブ駆動/モータ電流、電圧、回転速度、及び/又は他の運転パラメータ)に基づいて出力を生成してもよい。ガスパラメータセンサ20はインタフェース機器30と導管28との間のインタフェースのところにある或いはそれに隣接した単一の場所に示されるが、このことは限定を目的としていない。ガスパラメータセンサ20は、例えば圧力発生器内の場所、導管28内の場所(或いは導管28と連通する場所)、インタフェース機器30内の場所(或いはインタフェース機器30と連通する場所)、排気管(図示せず。)内の場所、支流構造における場所(例えば導管28から測定のために呼吸可能なガスの流れを受ける場所)、及び/又は他の場所といった複数の場所に配置される複数のセンサを含んでいてもよい。
【0018】
生理的センサ22は、ガスパラメータセンサ20によって検出されるガスパラメータ以外の、対象者12の1又は複数の生理的パラメータに関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される1又は複数のセンサを含む。それらパラメータは、例えば、酸素飽和度、他の血液ガスレベル、脈拍数、脈波形、脈波伝播時間(pulse transit time)、脈圧変動、デルタ脈圧、デルタダウン、呼吸努力、及び/又は他の生理的パラメータのうちの1又は複数を含んでいてもよい。いくつかの実施例では、1又は複数の生理的センサ22は、プロセッサ24に出力信号を供給するように構成される。いくつかの実施例では、1又は複数の生理的センサ22は、センサの測定値をユーザが読み取ってその測定値を手動で(例えばユーザインタフェース18を通じて)システム10に入力するように構成される。
【0019】
プロセッサ24は、システム10における情報処理能力をもたらすように構成される。そのようなものとして、プロセッサ24は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態機械、及び/又は、電子的に情報を処理するための他の機構のうちの1又は複数を含んでいてもよい。プロセッサ24は単一物として
図1に示されるが、これは例示を目的とするのみである。いくつかの実施では、プロセッサ24は、複数の処理ユニットを含んでいてもよい。これらの処理ユニットは、物理的に同じ装置(例えば圧力発生器14)内に配置されてもよく、或いは、プロセッサ24は協働する複数の装置の処理機能を表してもよい。例えば、プロセッサ24は、圧力発生器14を含む換気装置内にある第1プロセッサ(又はプロセッサ群)、及び、換気装置から切り離されるガス分析装置/システム(例えば患者監視装置)内にある第2プロセッサを表してもよい。
【0020】
図1に示すように、プロセッサ24は、1又は複数のコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成されてもよい。1又は複数のコンピュータプログラムモジュールは、ガスパラメータモジュール34、呼吸パラメータモジュール36、生理的パラメータモジュール38、呼吸速度監視モジュール40、無呼吸監視モジュール42、呼気終末二酸化炭素監視モジュール44、1回換気量監視モジュール46、1又は複数の他の監視モジュール48、換気指数モジュール50、アラームモジュール52、及び/又は他のモジュールのうちの1又は複数を含んでいてもよい。プロセッサ24は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、並びに/又は、ソフトウェア、ハードウェア、及び/若しくはファームウェアのいくつかの組み合わせ、並びに/又は、プロセッサ24上の処理能力を構成するための他の機構によって、モジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び/又は52を実行するように構成されてもよい。
【0021】
当然のことながら、モジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び52は単一の処理ユニット内に共に設置されるものとして
図1に示されているが、プロセッサ24が複数の処理ユニットを含む実施では、モジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び/又は52の1又は複数は他のモジュールから離れて設置されてもよい。以下に記載される様々なモジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び/又は52によって提供される機能の説明は例示を目的とし、限定を意図するものではない。モジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び/又は52は何れも、記載されるより多くの或いは記載されるより少ない機能を提供する場合があるためである。例えば、モジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び/又は52の1又は複数は取り除かれてもよく、その機能の一部又は全部はモジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び/又は52の他のものによって提供されてもよい。別の例としては、プロセッサ24は、モジュール34、36、38、40、42、44、46、48、50、及び/又は52のうちの1つの下に属する機能の一部又は全部を実行し得る1又は複数の追加的なモジュールを実行するように構成されてもよい。
【0022】
ガスパラメータモジュール34は、ガスパラメータセンサ20によって生成される出力信号に基づいて対象者インタフェース26内にある呼吸可能なガスの流れについての1又は複数のガスパラメータを測定するように構成される。1又は複数のガスパラメータは、例えば、圧力、流速、体積、組成若しくは濃度(例えば、分子種の分圧、分子種の量、分子種の相対的レベル、及び/若しくは組成に関する他の情報)、温度、湿度、並びに/又は他のガスパラメータのうちの1又は複数を含んでいてもよい。ガスパラメータモジュール34による1又は複数のガスパラメータの測定は長期にわたって継続している。ガスパラメータ(及び/又は他のパラメータ、指標、メトリック、スコア等)の“継続”する測定は、時間の経過にしたがったそれぞれ異なる時間におけるガスパラメータの個々の測定のことを指し得る。それぞれ異なる時間は、例えば、サンプリングレートによって決定されてもよい。
【0023】
呼吸パラメータモジュール36は、ガスパラメータセンサ20によって生成される出力信号に基づいて対象者12の呼吸の呼吸パラメータを測定するように構成される。例えば、呼吸パラメータモジュール36は、例えばガスパラメータモジュール34によって測定されるガスパラメータに基づいて、且つ/或いは、ガスパラメータセンサ20によって生成される出力信号から直接的に呼吸パラメータを測定するように構成されてもよい。呼吸パラメータモジュール36によって測定される呼吸パラメータは、呼吸速度、呼吸時間、吸入時間、吐出時間、呼気終末休止時間(end-exhalation pause time)、呼気終末二酸化炭素(例えば量、分圧等)、吸気の1回換気量、呼気の1回換気量、二酸化炭素排出量(carbon dioxide volume excretion)、及び/又は他の呼吸パラメータのうちの1又は複数を含んでいてもよい。呼吸パラメータモジュール36は、(例えばあるサンプリングレートで、1呼吸当たりで、且つ/或いは他の間隔でといった)継続的な方法で呼吸パラメータを測定するように構成される。
【0024】
生理的パラメータモジュール38は、生理的センサ22によって生成される出力信号に基づいて1又は複数の生理的パラメータを測定するように構成される。生理的パラメータは、呼吸パラメータモジュール36によって測定される呼吸パラメータとは異なるパラメータであってもよい。非限定的に、1又は複数の生理的パラメータは、酸素飽和度、他の血液ガスレベル、脈拍数、脈波形、、脈波伝播時間(pulse transit time)、脈圧変動、デルタ脈圧、デルタダウン、呼吸努力、及び/又は他の生理的パラメータのうちの1又は複数を含んでいてもよい。
【0025】
呼吸速度監視モジュール40は、(例えばガスパラメータモジュール34によって測定されるような)対象者12の典型的な呼吸時間又は呼吸速度からの呼吸時間及び/又は呼吸速度の逸脱を示す速度メトリックを測定するように構成される。言い換えれば、速度メトリックは、対象者12の呼吸速度が対象者12の通常の速度/呼吸時間から逸脱したかの目安をもたらす。呼吸速度(respiratory rate)の逆数(1/RR)である速度メトリックを測定するために呼吸時間を用いることは、逸脱のより正確な目安をもたらし得る。1分当たり6呼吸の呼吸速度と1分当たり4呼吸との間(“1呼吸当たり10秒”対“1呼吸当たり15秒”)には、1分当たり14呼吸の呼吸速度と1分当たり12呼吸との間(“1呼吸当たり4.3秒”対“1呼吸当たり5秒”)にあるよりも大きな違いが存在するためである。速度メトリックは、スコア、時間、状態評価(例えば赤−黄−緑、良−中間−悪、及び/若しくは、他の評価システム)、並びに/又は他のメトリックであってもよい。
【0026】
いくつかの実施例では、呼吸速度監視モジュール40は、継続的な方法で(例えば1呼吸当たりで)移動窓に基づいて速度メトリックが測定されるように構成される。移動窓は、呼吸時間の平均及び標準偏差が計算される範囲であり、その移動窓の時間内で取得される対象者12の呼吸の1セットに関して呼吸時間の平均及び標準偏差が計算される。例えば、1又は複数の呼吸のサブセットに関するzスコアが、1又は複数の呼吸のそのサブセットに関する呼吸時間とその移動窓内で起こる呼吸のセットに関する呼吸時間の標準偏差及び平均の値との比較として計算される。その移動窓に対応する時間の長さは、(例えば介護人によって)設定可能な設定値であってもよく、或いは、カスタマイズの可能性のない予め設定されたものであってもよい。zスコアは速度メトリックとして実行されてもよく、且つ/或いは、速度メトリックの測定の際に実行されてもよい。いくつかの実施例では、zスコアは閾値と比較され、また、速度メトリックはその閾値に対するzスコアの関係を示す。例えば、速度メトリックは、zスコアが閾値以上又は閾値以下に留まった時間(又は呼吸数)を示すものであってもよく、zスコアがある期間(又は呼吸数)にわたって閾値を超えた回数を示すものであってもよく、且つ/或いは、閾値に対する速度メトリックについての他の情報を示すものであってもよい。閾値は、対象者12に関連する歴史的情報(例えばシステム10によって集められた過去のデータ)に基づいて決定されてもよく、1又は複数のユーザ設定可能な設定値であってもよく、予め定められてもよく、且つ/或いは、他の情報に基づいて決定されてもよい。そのようなものとして、速度メトリックは、次回の呼吸抑制の高い可能性の存在を示すものであってもよい。非限定的な例として、いくつかの実施例では、呼吸抑制の発現の事象は、対象者12に関する標準偏差の1.8倍より長い(zスコア>1.8)5回以上の後続の呼吸時間として定義される。
【0027】
無呼吸監視モジュール42は、対象者12が現に無呼吸を経験しているかを示す無呼吸メトリックを測定するように構成される。現に無呼吸を経験している対象者12に対しては、無呼吸メトリックは、現在の無呼吸の重症度及び/又は期間を示してもよい。無呼吸監視モジュール42は、ガスパラメータセンサ20によって生成される出力信号に基づいて無呼吸メトリックを測定するように構成される。これは、ガスパラメータモジュール34によって測定される1又は複数のガスパラメータ(例えば呼吸可能なガスの圧力及び/又は流量)に基づいて無呼吸メトリックを測定することを含んでいてもよい。無呼吸監視モジュール42は、継続的な方法で無呼吸メトリックを測定するように構成される。無呼吸メトリックは、スコア、時間、状態評価(例えば赤−黄−緑、良−中間−悪、及び/若しくは、他の評価システム)、並びに/又は他のメトリックであってもよい。
【0028】
呼気終末二酸化炭素監視モジュール44は、(例えばガスパラメータモジュール34によって測定される)対象者12の典型的な呼気終末二酸化炭素又は二酸化炭素排出量からの呼気終末二酸化炭素(例えば分圧及び/又は量)の逸脱を示す呼気終末二酸化炭素メトリックを測定するように構成される。言い換えると、呼気終末二酸化炭素又は二酸化炭素排出量のメトリックは、対象者12の呼気終末二酸化炭素が対象者12の通常の呼気終末二酸化炭素又は二酸化炭素排出量から逸脱したかの目安を提供する。呼気終末二酸化炭素メトリックは、スコア、時間、状態評価(例えば赤−黄−緑、良−中間−悪、及び/若しくは、他の評価システム)、並びに/又は他のメトリックであってもよい。
【0029】
いくつかの実施例では、呼気終末二酸化炭素監視モジュール44は、継続的な方法で(例えば1呼吸当たりで)移動窓に基づいて呼気終末二酸化炭素メトリックが測定されるように構成される。移動窓は、呼気終末二酸化炭素(並びに/又は、二酸化炭素の体積及び/若しくは他の測定値といった呼気終末二酸化炭素に関する他のいくつかの測定値)の平均及び標準偏差が計算される範囲であり、その移動窓の時間内で取得される対象者12の呼吸の1セットに関して平均及び標準偏差が計算される。例えば、1又は複数の呼吸のサブセットに関するzスコアが、1又は複数の呼吸のそのサブセットに関する呼気終末二酸化炭素とその移動窓内で起こる呼吸のセットに関する呼気終末二酸化炭素の標準偏差及び平均の値との比較として計算される。その移動窓に対応する時間の長さは、(例えば介護人によって)設定可能な設定値であってもよく、或いは、カスタマイズの可能性のない予め設定されたものであってもよい。その時間の長さは、呼吸速度監視モジュール40によって実現される移動窓に関する時間の長さと同じであっても(異なるものであっても)よい。zスコアは、呼気終末二酸化炭素メトリックとして実行されてもよく、且つ/或いは、呼気終末二酸化炭素メトリックの測定の際に実行されてもよい。いくつかの実施例では、zスコアは閾値と比較され、また、呼気終末二酸化炭素メトリックはその閾値に対するzスコアの関係を示す。例えば、呼気終末二酸化炭素メトリックは、zスコアが閾値以上又は閾値以下に留まった時間(又は呼吸数)を示すものであってもよく、zスコアがある期間(又は呼吸数)にわたって閾値を超えた回数を示すものであってもよく、且つ/或いは、閾値に対する呼気終末二酸化炭素メトリックについての他の情報を示すものであってもよい。閾値は、対象者12に関連する歴史的情報(例えばシステム10によって集められた過去のデータ)に基づいて決定されてもよく、1又は複数のユーザ設定可能な設定値であってもよく、予め定められてもよく、且つ/或いは、他の情報に基づいて決定されてもよい。
【0030】
1回換気量監視モジュール46は、(例えばガスパラメータモジュール34によって測定されるような)対象者12の典型的な1回換気量からの1回換気量の逸脱を示す1回換気量メトリックを測定するように構成される。言い換えると、1回換気量メトリックは、対象者12の1回換気量が対象者12の通常の1回換気量から逸脱したかの目安をもたらす。1回換気量メトリックは、スコア、時間、状態評価(例えば赤−黄−緑、良−中間−悪、及び/若しくは、他の評価システム)、並びに/又は他のメトリックであってもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、1回換気量監視モジュール46は、継続的な方法で(例えば1呼吸当たりで)移動窓に基づいて1回換気量メトリックが測定されるように構成される。移動窓は、1回換気量の平均及び標準偏差が計算される範囲であり、その移動窓の時間内で取得される対象者12の呼吸の1セットに関して平均及び標準偏差が計算される。例えば、1又は複数の呼吸のサブセットに関するzスコアが、1又は複数の呼吸のそのサブセットに関する1回換気量とその移動窓内で起こる呼吸のセットに関する1回換気量の標準偏差及び平均の値との比較として計算される。その移動窓に対応する時間の長さは、(例えば介護人によって)設定可能な設定値であってもよく、或いは、カスタマイズの可能性のない予め設定されたものであってもよい。その時間の長さは、呼吸速度監視モジュール40及び/又は呼気終末二酸化炭素監視モジュール44によって実現される移動窓に関する時間の長さと同じであっても(異なるものであっても)よい。zスコアは、1回換気量メトリックとして実行されてもよく、且つ/或いは、1回換気量メトリックの測定の際に実行されてもよい。いくつかの実施例では、zスコアは閾値と比較され、また、1回換気量メトリックはその閾値に対するzスコアの関係を示す。例えば、1回換気量メトリックは、zスコアが閾値以上又は閾値以下に留まった時間(又は呼吸数)を示すものであってもよく、zスコアがある期間(又は呼吸数)にわたって閾値を超えた回数を示すものであってもよく、且つ/或いは、閾値に対する1回換気量メトリックについての他の情報を示すものであってもよい。閾値は、対象者12に関連する歴史的情報(例えばシステム10によって集められた過去のデータ)に基づいて決定されてもよく、1又は複数のユーザ設定可能な設定値であってもよく、予め定められてもよく、且つ/或いは、他の情報に基づいて決定されてもよい。
【0032】
他の監視モジュール48は、1又は複数の他のメトリックを測定するように構成される。1又は複数の他のメトリックは、ガスパラメータセンサ20及び/又は生理的センサ22によって生成される出力信号に基づいて測定されてもよい。それらメトリックは、呼吸速度、無呼吸、呼気終末二酸化炭素、体積カプノグラフィ、及び/又は1回換気量以外の呼吸パラメータ及び/又は生理的パラメータに関する情報を伝えるものであってもよい。そのようなパラメータは、例えば、ECG、心拍数、動脈圧波形、酸素飽和度、及び/又は他のパラメータを含んでいてもよい。
【0033】
換気指数モジュール50は、継続的な方法で対象者に関する換気指数を測定するように構成される。換気指数は、対象者12の呼吸安定性及び/又は有効性を表す。換気指数モジュール50は、速度メトリック、無呼吸メトリック、呼気終末二酸化炭素メトリック、1回換気量メトリック、及び/又は、1若しくは複数の他のメトリックのうちの1又は複数に基づいて換気指数を測定するように構成される。換気指数は、数的メトリックを入力として用いる1又は複数の数学アルゴリズムにしたがって測定されてもよい。換気指数は、適切なメトリックを入力として用いる参照テーブルから測定されてもよい。そのような実施例では、換気指数モジュール50は、適切な指数出力に対する入力として用いられるメトリックのマッピングを実行するように構成されてもよい。換気指数は、スコア、時間、状態評価(例えば赤−黄−緑、良−中間−悪、及び/若しくは、他の評価システム)、並びに/又は他の指数であってもよい。
【0034】
アラームモジュール52は、換気指数に基づいて1又は複数のアラームを生成するように構成される。アラームの生成は、例えば、換気指数と閾値との比較、定められた範囲内の指数値の度数の観察、換気指数のアラームへのマッピング、及び/又は他の技術に基づくものであってもよい。換気指数と閾値との比較は、換気指数が閾値を超えている際の時間(又は呼吸数)の測定を含んでいてもよい。時間(又は呼吸数)がいくらかの予め定められた量に達すると、アラームが生成されてもよい。閾値及び/又は予め定められた時間は、ユーザが設定可能なものであってもよく(例えばユーザ設定に基づくものであってもよく)、カスタマイズの機会なしに予め定められてもよく、(例えば対象者12による使用の際にシステム10によって集められるデータに基づいて)自動的に決定されてもよく、且つ/或いは、他の方法で決定されてもよい。アラームは、対象者12及び/又はシステム10に関する起こり得る問題についての見解、そのアラームに対処するために提案される実行すべき行動(例えば対象者12及び/又は介護者が取るべき行動)についての見解、及び/又は他の見解をもたらすものであってもよい。アラームモジュール52によって生成されるアラームはユーザインタフェース18を介して提示されてもよい。
【0035】
図2は、対象者の呼吸を監視する方法60を示す。以下に提示される方法60の工程は例示を目的とする。いくつかの実施例では、方法60は、1又は複数の記載されていない追加的な工程と共に、且つ/或いは、説明される工程のうちの1又は複数を除いて達成されてもよい。また、
図2に示し且つ以下に説明する方法60の工程の順番は限定を目的とするものではない。
【0036】
いくつかの実施例では、方法60は、1又は複数の処理装置(例えばデジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態機械、及び/又は、電子的に情報を処理するための他の機構)で実現されてもよい。1又は複数の処理装置は、電子記憶媒体に電子的に記憶された命令に応じて方法60における工程の一部又は全部を実行する1又は複数の装置を含んでいてもよい。1又は複数の処理装置は、方法60における1又は複数の工程の実行のためにハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを用いて特別に設計されるように構成される1又は複数の装置を含んでいてもよい。
【0037】
工程62では、(i)対象者の気道と連通される呼吸可能なガスの流れについての1又は複数のガスパラメータ、及び/又は(ii)対象者についての1又は複数の生理的パラメータに関する情報を伝達する出力信号が生成される。いくつかの実施例では、工程62は、(
図1に示し且つ本書で説明する)ガスパラメータセンサ20及び/又は生理的センサ22と同じ或いは類似の1又は複数のセンサによって実行される。
【0038】
工程64では、出力信号に基づいて対象者の呼吸パラメータが測定される。呼吸パラメータは、対象者の呼吸の速度に関する第1パラメータ(例えば呼吸時間及び/若しくは呼吸速度)、対象者の呼気終末二酸化炭素に関する第2パラメータ、対象者の1回換気量に関する第3パラメータ、並びに/又は他のパラメータを含む。いくつかの実施例では、工程64は、(
図1に示し且つ本書で説明する)呼吸パラメータモジュール36と同じ或いは類似の呼吸パラメータモジュールによって実行される。いくつかの実施例では、工程64は、出力信号に基づいて呼吸可能なガスの流れについてのガスパラメータを測定し、その後にその測定されたガスパラメータに基づいて呼吸パラメータを測定することを含む。
【0039】
工程66では、出力信号に基づいて1又は複数の生理的パラメータが測定される。1又は複数の生理的パラメータは、呼吸可能なガスの流れに関する情報を伝達する出力信号から測定されなくてもよい。いくつかの実施例では、工程66は、(
図1に示し且つ本書で説明する)生理的パラメータモジュール38と同じ或いは類似する生理的パラメータモジュールによって実行される。
【0040】
工程68では、対象者による以前の通常の呼吸速度からの逸脱を示す速度メトリックが測定される。速度メトリックは、対象者による呼吸の第1セットに関する第1パラメータと1又は複数の呼吸の第1サブセットに関する第1パラメータとの比較に基づいて測定される。1又は複数の呼吸(例えば単一の呼吸)の第1サブセットは呼吸の第1セット内でもある。この比較は、1又は複数の呼吸の第1サブセットに関する第1パラメータと呼吸の第1セットに関する第1パラメータの平均及び/又は標準偏差との比較を含んでいてもよい。いくつかの実施例では、工程68は、(
図1に示し且つ本書で説明する)呼吸速度監視モジュール40と同じ或いは類似の呼吸速度監視モジュールによって実行される。
【0041】
工程70では、生成された出力信号及び/又は測定されたパラメータに基づいて無呼吸メトリックが測定される。無呼吸メトリックは、対象者が現に無呼吸を経験しているかを表す。無呼吸を経験している対象者に対しては、無呼吸メトリックは、その無呼吸の重症度及び/又は期間を示してもよい。いくつかの実施例では、工程70は、(
図1に示し且つ本書で説明する)無呼吸監視モジュール42と同じ或いは類似の無呼吸監視モジュールによって実行される。
【0042】
工程72では、呼気終末二酸化炭素メトリックが測定される。呼気終末二酸化炭素メトリックは、対象者による呼吸の際の呼気終末二酸化炭素のその対象者にとっての標準的な或いは典型的なレベルからの逸脱を示す。呼気終末二酸化炭素メトリックは、対象者による呼吸の第2セットに関する第2パラメータと1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータとの比較に基づいて測定される。1又は複数の呼吸(例えば単一の呼吸)の第2サブセットは呼吸の第2セット内でもある。呼吸の第2セットは、呼吸の第1セットと同じであってもよく異なるものであってもよい。1又は複数の呼吸の第2サブセットは、1又は複数の呼吸の第1サブセットと同じであってもよく異なるものであってもよい。この比較は、1又は複数の呼吸の第2サブセットに関する第2パラメータと呼吸の第2セットに関する第2パラメータの平均及び/又は標準偏差との比較を含んでいてもよい。いくつかの実施例では、工程72は、(
図1に示し且つ本書で説明する)呼気終末二酸化炭素監視モジュール44と同じ或いは類似の呼気終末二酸化炭素監視モジュールによって実行される。
【0043】
工程74では、1回換気量が測定される。1回換気量メトリックは、対象者の1回換気量の対象者にとっての典型的な或いは標準的なレベルからの逸脱を示す。1回換気量メトリックは、対象者による呼吸の第3セットに関する第3パラメータと1又は複数の呼吸の第3サブセットに関する第3パラメータとの比較に基づいて測定される。1又は複数の呼吸(例えば単一の呼吸)の第3サブセットは、呼吸の第3セット内でもある。呼吸の第3セットは、呼吸の第1セット及び/又は第2セットと同じであってもよく或いは異なるものであってもよい。1又は複数の呼吸の第3サブセットは、1又は複数の呼吸の第1サブセット及び/又は第2サブセットと同じであってもよく或いは異なるものであってもよい。この比較は、1又は複数の呼吸の第3サブセットに関する第3パラメータと呼吸の第3セットに関する第3パラメータの平均及び/又は標準偏差との比較を含んでいてもよい。いくつかの実施例では、工程74は、(
図1に示し且つ本書で説明する)1回換気量監視モジュール46と同じ或いは類似の1回換気量監視モジュールによって実行される。
【0044】
工程76では、1又は複数の他のメトリックが測定される。1又は複数の他のメトリックは、工程62、64、及び/又は66のうちの1又は複数で生成される出力信号及び/又は測定されるパラメータに基づいて測定される。いくつかの実施例では、工程76は、(
図1に示し且つ本書で説明する)他の監視モジュール48と同じ或いは類似の1又は複数の他の監視モジュールによって実行される。
【0045】
工程78では、換気指数が測定される。換気指数は、対象者の呼吸安定性及び/又は有効性を表す。換気指数は、速度メトリック、無呼吸メトリック、呼気終末二酸化炭素メトリック、1回換気量メトリック、及び/又は他のメトリック若しくはパラメータのうちの1又は複数に基づいて測定される。いくつかの実施例では、工程78は、(
図1に示し且つ本書で説明する)換気指数モジュール50と同じ或いは類似する換気指数モジュールによって実行される。
【0046】
工程80では、1又は複数のアラームが換気指数に基づいて生成される。1又は複数のアラームは、警告であるアラーム、対象者の状態に関する見解をもたらすアラーム、1又は複数の取るべき行動に関する見解をもたらすアラーム、及び/又は他のアラームを含んでいてもよい。1又は複数のアラームは、換気指数と閾値との比較に基づいて生成されるアラームを含んでいてもよい。いくつかの実施例では、工程80は、(
図1に示し且つ本書で説明する)アラームモジュール52と同じ或いは類似するアラームモジュールによって実行される。
【0047】
請求項では、括弧内に置かれる何れの参照符号も請求項を限定するものとして解釈されてはならない。“有する”又は“含む”という語は、請求項に列挙された要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除しない。複数の手段を列挙する装置クレームでは、それらの手段のいくつかは同じ1つのハードウェアアイテムで具体化されてもよい。要素に先行する単数形の不定冠詞は、その要素が複数あることを排除しない。複数の手段を列挙する何れの装置クレームにおいても、それらの手段のいくつかは、同じ1つのハードウェアアイテムで具体化されてもよい。特定の複数の要素が互いに異なる従属項に記載されているという単なる事実は、それらの要素が組み合わせで使用され得ないことを示すことはない。
【0048】
上述の説明は例示を目的として現時点において最も実用的で且つ望ましい実施例であると考えられるものに基づいて詳細を提供するが、当然のことながら、その詳細は単に例示を目的とするのみであってその開示内容が明確に開示された実施例に限定されることはなく、反対に、添付の請求項の精神及び範囲内にある改良及び均等な構成をカバーすることを意図する。例えば、当然のことながら、本開示は、可能な限りにおいて、任意の実施例における1又は複数の特徴が任意の他の実施例における1又は複数の特徴と組み合わされ得ることを予期する。