特許第6200433号(P6200433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200433モジュール式プレート・シェル型熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200433
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】モジュール式プレート・シェル型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20170911BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20170911BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   F28F3/08
   F28D7/16 Z
   F28F9/00 321
   F28F9/00 331
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-552216(P2014-552216)
(86)(22)【出願日】2013年1月4日
(65)【公表番号】特表2015-505027(P2015-505027A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】US2013020206
(87)【国際公開番号】WO2013106240
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】13/348,832
(32)【優先日】2012年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、クリード
【審査官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/126921(WO,A1)
【文献】 米国特許第04260013(US,A)
【文献】 特開2000−120585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/16
F28D 9/00
F28F 3/08
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(10)であって、
軸方向寸法の一端部に設けられた取外し自在な蓋体(40)、一次流体入口(26)、1次流体出口(28)、2次流体入口(42、44、46)、ドレン出口(48、50)及び伝熱組立体(36)を有する細長い圧力容器シェル(34)から成り、
伝熱組立体(36)が、
1次流体入口(26)から圧力容器(34)内へ延びる1次流体入口導管(22)と;
1次流体出口(28)から圧力容器(34)内へ延びる1次流体出口導管(24)と;
各対が周縁部に沿って密封(70)されて第1及び第2のプレート(12、14)の間に1次流体の流路を画定する縦列支持された複数の伝熱プレート対(16)であって、各伝熱プレート対を貫いて圧力容器シェルの軸方向と直交する方向に揃って1次流体が流れる並流路が形成されるように、各伝熱プレート対が1次流体入口導管(22)に直接的または間接的に流体的に接続された伝熱プレート入口(72)の開口と、1次流体出口導管に直接的または間接的に流体的に接続された伝熱プレート出口(78)の開口とを有する、縦列支持された複数の伝熱プレート対(16)と;
最初に稼働させたときの伝熱能力を上回るように、熱交換器の伝熱能力を拡張する手段とから成り、
複数の伝熱プレート対(16)はモジュール(17)単位で配列され、伝熱プレート対を少なくとも1つ含むモジュールの少なくとも1つが、非破壊的に取外し自在な機械式連結部(84)により、隣接するモジュール、1次流体入口、または1次流体出口と縦列接続されており、
熱交換器の伝熱能力を拡張する手段は伝熱能力が皆無か伝熱プレート対のモジュールと比べて相対的に無視可能であるけれども軸方向の長さは伝熱プレート対のモジュールと同じであって伝熱プレート対のモジュールに非破壊的に取外し自在な機械式連結部により縦列接続されるスペーサ・モジュールを含むものであり、さらに、スペーサ・モジュールには、それぞれがスペーサ・モジュールを軸方向に貫く、1次流体入口導管に直接的または間接的に流体的に接続された入口管路と、1次流体出口導管に直接的または間接的に流体的に接続された出口管路とが設けられており、スペーサ・モジュールを伝熱プレート対のモジュールから取り外して追加の伝熱プレート対のモジュールと置き換えることによって、熱交換器の伝熱能力を容易に拡張することができる熱交換器(10)。
【請求項2】
モジュール(17)の少なくとも幾つかは複数の伝熱プレート対(16)を含み、少なくとも1つのモジュール内の伝熱プレート対が共にタイ・ロッドによって支持されている請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項3】
保守点検のために、取外し自在な蓋体(40)を介して伝熱組立体へアクセスする請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項4】
取外し自在な蓋体(40)を開けると、伝熱組立体(36)を圧力容器シェル(34)から取外すことができる請求項3に記載の熱交換器(10)。
【請求項5】
取外し自在な蓋体(40)を開けると、伝熱組立体(36)を摺動させて圧力容器シェル(34)から取出すことができる請求項4に記載の熱交換器(10)。
【請求項6】
伝熱組立体(36)を圧力容器(34)に取付けられた軌道(32)上に移動自在に支持することにより、伝熱組立体を軌道沿いに移動させることによって圧力容器から1つのユニットとして前記一端部(40)を介して取出すことができる請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項7】
伝熱組立体(36)は軌道(32)上に載置された車輪(33)上で支持されている請求項6に記載の熱交換器(10)。
【請求項8】
1次流体入口(26)及び1次流体出口(28)が取外し自在な蓋体(40)から延びている請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
伝熱組立体(36)にさらに別の伝熱プレート対(16)に取付けるように構成された余分の連結部(60)を設け、当初はこれら余分の連結部を密栓し、熱交換器を稼動させた後、余分の連結部の少なくとも幾つかを開栓し、さらに別の伝熱プレートをこれに取付けることにより、熱交換器の伝熱能力を当初の伝熱能力を上回るように向上させることが可能である請求項に記載の熱交換器(10)。
【請求項10】
圧力容器シェル(34)が円筒状で半球状端部(40、38)を有する請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項11】
請求項1に記載の熱交換器(10)を洗浄または修理する方法であって、
圧力容器シェル(34)の内部にアクセスし;
伝熱組立体(36)から少なくとも1対の伝熱プレート(16)を取外し;
取外した1対または複数対の伝熱プレート(16)を洗浄、修理または交換し;
洗浄、修理または交換した1対または複数対の伝熱プレート(16)を伝熱組立体(36)に再接続するステップから成る熱交換器(10)の洗浄または修理方法。
【請求項12】
圧力容器シェル(34)の内部へアクセスするステップにおいて、取外し自在な蓋体(40)を前記一端部から取外すか、圧力容器シェルのマンウェイ(56)を開放し、少なくとも1対の伝熱プレート(16)を取外すステップにおいて、1次流体入口導管(22)及び1次流体出口導管(24)から少なくとも1対の伝熱プレートを取外す請求項11に記載の熱交換器(10)の洗浄または修理方法。
【請求項13】
請求項1に記載の熱交換器(10)の修理、点検、洗浄または性能アップを行う方法であって、
圧力容器シェル(34)の内部にアクセスし;
1次流体入口導管(22)及び1次流体出口導管(24)を1次流体入口(26)及び1次流体出口(28)からそれぞれ取外すステップから成る方法。
【請求項14】
欠陥のある伝熱プレート対(16)を交換するステップを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
熱交換器(10)を稼動させた後、熱交換器の性能アップを行うために伝熱組立体(36)内の伝熱プレート対(16)の数を増やすステップを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
モジュール(17)の少なくとも幾つかは、モジュール内の各対が溶接連結部(23)によって縦列接続された複数の伝熱プレート対(16)から成る請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項17】
モジュール(17)の少なくとも幾つかは伝熱プレート(12、14)を間に挟む第1及び第2の端部に支持プレート(82)を有し、支持プレートは伝熱プレートよりも厚い請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項18】
モジュール(17)はタイ・ロッド(64)によって縦列支持されている請求項1に記載の熱交換器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年4月29日付出願の米国特許出願第12/432,147号の一部継続出願である。
本発明は熱交換器、特に積層プレート型熱交換器のモジュール化に係わる。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における蒸気発生器への給水は蒸気発生器の2次側に導入する前に予熱するのが一般的である。原子力でない発電所の場合でも同様に、ボイラーへ導入する前に給水を予熱する。通常、給水熱交換器はこの目的に使用する。従来、熱交換器はプレート構造の熱交換器とチューブ・シェル構造の熱交換器とに大別される。構造と伝熱に関するこれら2つのタイプの大きい相違点は、一方は伝熱面が主としてプレートであるが、他方はチューブであるという点にある。
【0003】
多くの給水ヒーターに用いられるチューブ・シェル型熱交換器は、両端部が半球状またはフラットで、水平または垂直に配置される円筒状シェルを採用している。水平シェルの内部はシェルの軸線と直交する管板によって区分されている。詳説すると、シェルの一端にある管板の一方の側に、注水口を有する注水室及び排水口を有する排水室を含む水室部が画定される。U字形のチューブ・シェル型熱交換器では、管板の他方の側からシェルの軸線に沿って延びる複数の伝熱管がそれぞれの中央部でU字形に曲げられている。これらの伝熱管は両端を管板に固定され、それぞれの伝熱管の一端が注水室に開口し、他端が排水室に開口する。別の型のチューブ・シェル型熱交換器では直管が用いられ、注水室と排水室が相対する端部にそれぞれある。伝熱管は長手方向に適当なピッチで配置された複数の伝熱管支持板によって支持される。伝熱管が配列されているシェル部分に蒸気送入口、ドレン入出口が形成されている。
【0004】
稼働中、注水室から給水ヒーターに流入する給水はU字形伝熱管内を流動することによって、蒸気送入口から給水ヒーターに流入する加熱蒸気から熱を吸収し、蒸気を復水させる。復水はシェルの底部に集められ、シェル底部のドレンを通って外部に放出される。シェル及び伝熱管が円筒形であるから、構造が圧力容器としては好適であり、従って、チューブ・シェル型熱交換器はこれまで超高圧用として使用されている。
【0005】
チューブ・シェル型熱交換器の最大の欠点は伝熱面の表面積の割には重量が大きい点にある。そのため、チューブ・シェル型熱交換器は通常、大型である。また、伝熱効率、流量特性、コストを考慮してチューブ・シェル型熱交換器を設計し、製造するのは容易ではない。
【0006】
典型的なプレート型熱交換器は、畝または溝付きの矩形プレートを端板によって互いに圧接させ、端板を締めねじまたは締め棒を介して積層プレートの端部に締め付けたものである。プレート間の間隙は外周に設けた帯状シールによって閉じて密封されるが、このようなシールは流路にも使用される。しなやかなプレートの支圧強度は低いので、互に隣接するプレートの溝が交差するようにして支圧強度を高める一方、溝の畝が支持し合うようにして構造の耐圧性を強化している。しかし、より重要な点は伝熱における溝の存在意義であり、溝の形状及び流れに対する溝の角度が伝熱及び圧力損失に影響する。従来のプレート型熱交換器では、熱供給媒体がプレート間の一つおきの間隙を流動し、受熱媒体が残りの間隙を流動する。一つおきのプレート対のプレート間で、それぞれのプレートの隅部近傍に設けられた孔を介して流れが誘導される。一つおきのプレート対のプレート間のそれぞれの間隙は例外なく閉じたリムに囲まれた2個の孔のほかに、プレート間の間隙のための入口及び出口流路として機能する2個の孔を含む。小型軽量の構造が望ましい場合、プレート型熱交換器を比較的薄いプレートで構成するのが一般的である。プレートは所要の形状にできるから、殆ど如何なる用途でも伝熱特性を適合させることができる。従来のプレート型熱交換器における最大の弱点は熱交換器の耐圧性及び耐熱性を制約するシールにある。即ち、腐食性の熱供給媒体または受熱媒体との併用を制約する場合があった。
【0007】
シールをすべてなくし、これに代えて半田継ぎ手または溶接シームを採用することによってプレート型熱交換器を改良しようとする試みがある。半田継ぎ手または溶接継ぎ手によって製造されたプレート型熱交換器はシールを採用するプレート型熱交換器と殆ど変わらない。外見上のもっとも顕著な違いは端部間に締めねじが存在しない点である。しかし、半田付けまたは溶接による構造では、不可能ではないまでも、洗浄のためにプレート型熱交換器を非破壊的に分解することは困難である。
【0008】
構造の一部が双方の基本タイプに類似するチューブ・シェル型熱交換器とプレート型熱交換器のそれぞれの長所を組み合わせた熱交換器を開発する試みがなされている。その1つが米国特許第5,088,552号に開示された、円形または多角形のプレートを積層し、これを端板で支持するものである。このプレート積層体を、両側に熱供給媒体及び受熱媒体それぞれの入口及び出口流路を設けたシェルで囲む。従来のプレート型熱交換器とは異なり、プレート間隙への流体はすべてプレートの外側から流入する。この公報に開示されている熱交換器を溶接によって閉じれば、プレート型熱交換器の伝熱性能と共に、チューブ・シェル型熱交換器を使用する場合と同じ圧力を得ることができる。
【0009】
国際公開WO91/09262号は上記公報の発明の改良に係り、プレート型熱交換器及びチューブ・シェル型熱交換器双方の特徴をより鮮明に発揮できるとしている。円形プレートは入口及び出口流路を形成する孔のリムを介して溶接することによって2枚一組の形態で積層されている。上記の態様で得られたプレート対をプレートの外周縁に沿って一括して溶接することによって、一方の伝熱媒体が流動するための閉回路が得られる。従来のプレート型熱交換器とは異なり、この構造には溶接が施され、プレートには2個の孔が形成されているだけである。他方の伝熱媒体はプレート積層体を囲むシェルを介してプレート間の他のすべての間隙へ向けられる。流れがプレート積層体とシェルとの間を流動するのを防止するためにシールが採用されるが、このシールは主として流れに対するデフレクターとして利用される。明らかに、このデフレクターに耐圧性は要求されていない。プレート積層体の構造上、シールを採用するのは困難である。例えば、洗浄のため熱交換器を分解できるように、シールの代わりに弾性ゴム・ガスケットの使用が妥当と考えられる。
【0010】
原子力発電所が現在使用しているシェル・チューブ型熱交換器に共通する設計上の問題点として、チューブが劣化した場合、漏れを最小限に抑えるには損傷したチューブを塞ぐという選択肢しかなく、その結果サーマル・デューティーが低下するということがある。給水システムにおけるサーマル・デューティーの低下は原子力発電所にとって高いコストを伴うものであり、結局はシェル・チューブ型給水ヒーターの交換が必要になる。シェル・チューブ型熱交換器設計のもう1つの問題点として、シェル側の点検が多くの場合小さい手穴や点検ポートに限定されるから、腐食/浸食/損傷を検出し難いということがある。顕著な腐食/浸食が内部バッフルに発生し、結果として、(1)フロー・バイバス及び熱的性能の劣化や、(2)流れが引き起こす振動によるチューブの損耗を招く可能性がある。顕著な腐食/浸食はシェル・チューブ型給水ヒーターのシェル内面でも観察されている。
【0011】
このような現状に鑑み、既存のシェル・チューブ型給水ヒーターよりも長期に亘ってサーマル・デューティーが維持され、長期に亘って構造部品が健全性を維持できるような、斬新な給水ヒーターの設計が望まれる。伝熱面を非作用状態にしなくても、必要に応じて伝熱面を交換または修理することによって、長期に亘ってサーマル・デューティーを維持できることが望ましい。さらに、発電所の効率向上に対応するため、給水ヒーター全体を交換しなくても給水ヒーターの伝熱能力を増加できることが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
上記目的は、原子力発電所において、ドレン・フロー及び抽出蒸気から熱を給水に伝達するために、シェル内に溶接した伝熱プレート対を配置したモジュール式プレート・シェル型給水ヒーターによって達成される。伝熱プレート対、または溶接や他の方法で接合された伝熱プレート対の群、即ち伝熱プレート対のモジュールを縦列配置し、モジュールの少なくとも幾つかをガスケットを介して接続して、給水入口及び出口ノズルにそれぞれ接続する共通の入口導管及び出口導管を並列に共用させる。好ましくは、入口導管、出口導管及び伝熱プレート対によって形成される伝熱組立体を、シェル内部に取付けた内部軌道上に載置され、この軌道に沿って移動自在な構造体によって支持させることにより、伝熱プレートの取外しを容易にする。モジュール式プレート・シェル型給水ヒーターは点検、修理または交換を目的に伝熱プレートを取外すためのシェルと一体の取外し自在なヘッドを有する。入口及び出口ノズルをして取外し自在な蓋体を貫通させ密封することが好ましい。
【0013】
本明細書記載の熱交換器は、好ましくは、熱交換器が据付けられた発電所の性能をアップさせるために、ある時間経過後に伝熱能力を向上させる手段を含む。一実施態様では、入口及び出口導管が、当初は密栓されている伝熱プレート対のための多数の補足取付け点を含む。別の実施態様では、伝熱プレート対またはモジュールを追加することによって、入口及び出口導管を拡張することができる。後者の実施態様では、当初、伝熱能力が皆無か相対的に無視可能なスペーサ・モジュールを、熱交換器の伝熱プレート・モジュールと縦列支持する。後日、スペーサ・モジュールを伝熱プレート・モジュールと置き換えることによって、熱交換器の伝熱能力を向上させることができる。伝熱プレート対同士、または伝熱プレート対が接合されて成るモジュール同士の連結部の少なくとも一部を着脱自在にすることによって、修理や交換を容易にすることが望ましい。好ましくはタイ・ロッドによりモジュール同士を接続するが、モジュール間を入口及び出口導管が延びる実施態様ではタイ・ロッドにより圧縮力を印加することによって、対面するモジュールの導管セグメント同士の界面を圧接し、液密シールを形成する。
【0014】
好ましくは、伝熱組立体をヘッドが取外し自在なシェルから取り出せるようにする。代替的には、給水入口ノズルを給水入口導管から切り離し、給水出口導管を給水出口ノズルから切り離すため、シェル内部へアクセスするためのマンウェイをシェルに設ける。あるいは、これらのオプションを両方設けてもよい。
【0015】
望ましくは、モジュールの端部にそれぞれ支持パネルがあり、タイ・ロッドが支持パネル間を延びる。伝熱プレート対は支持パネル同士の間に挟まれ、一実施態様では1次流体入口導管及び1次流体出口導管がモジュールを貫通する。支持パネルは伝熱プレートより厚いことが好ましい。一実施態様では、支持パネル間の伝熱プレートを互いに、また、支持パネルに溶接して、隣り合う支持パネルが互いに機械的に連結されるようにする。
【0016】
本発明は、下記ステップを含む給水ヒーターの洗浄または修理方法をも提供する:圧力容器シェルの内部にアクセスし;伝熱プレートの組立体から少なくとも1対の伝熱プレートを取外し;取外した伝熱プレート対を洗浄、修理または交換し;洗浄、修理または交換した伝熱プレート対を伝熱組立体に再接続する。圧力容器内にアクセスするステップにおいて取外し自在なヘッドを取外し、少なくとも1対の伝熱プレート対を取外すステップにおいて給水入口導管及び給水出口導管からこの1対の伝熱プレートを取外すことが好ましい。
【0017】
本発明は圧力容器が取外し自在なヘッドを有する給水ヒーターを修理、点検、洗浄または性能アップする方法をも含む。この方法は下記ステップを含む:伝熱組立体が圧力容器内に存在する状態において、取外し自在なヘッドを取り外すか、または他の方法で圧力容器内部にアクセスし;給水入口導管及び給水出口導管を給水入口ノズル及び給水出口ノズルからそれぞれ切り離す。この方法はさらに、欠陥のある伝熱プレート対を交換するステップと、熱交換器を稼動させた後、熱交換器の性能をアップするために伝熱プレート対の数を増やすステップをも含む。
【0018】
本発明の詳細を、好ましい実施態様を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施態様の給水ヒーターを示す立面図である。
【0020】
図2図1に示した本発明の給水ヒーターの頂面図である。
【0021】
図3】伝熱組立体をモジュールに分解して一部をシェルから取外した本発明の給水ヒーターの別の実施態様を示す斜視図である。
【0022】
図4図3に示した実施態様の端部伝熱プレート対モジュールの1つを示す斜視図である。
【0023】
図5図3、4に示した伝熱組立体の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【0024】
図6図3−5に示した実施態様の給水ヒーターを通る1次流体の流れ模式図である。
【0025】
図7】伝熱プレート対の側面図である。
【0026】
図8】伝熱プレート・モジュールの一実施態様の模式図である。
【0027】
図9】伝熱プレート・モジュールの第2の実施態様の模式図である。
【0028】
図10】スペーサ・モジュールの断面図である。
【0029】
図11】2つの伝熱プレート・モジュールの連結に用いる、タイ・ロッドのセグメントの部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
原子力発電所が現在採用している設計の給水ヒーターはシェル・チューブ型熱交換器を用いている。1923年以来今も使用されている熱交換器のもう1つの一般的なタイプはプレート・フレーム型熱交換器である。後者はコンパクトな設計、高い伝熱係数、プレート内での高い流体圧降下を特徴とし、一般的には、低圧流体に限定される。本明細書に記載する実施態様は、プレート・フレーム型熱交換器と従来のシェル・チューブ型熱交換器の特徴を組み合わせて最適化したもので、保守点検が簡便で、所望により伝熱能力を増加するための設計変更を容易且つ比較的安価に行えるプレート・シェル型給水ヒーターを提供する。
【0031】
本発明の一実施態様の給水ヒーター10を図1では立面図で、図2では頂面図でそれぞれ示す。2枚の伝熱プレート12、14を、両プレート間に従来のプレート型熱交換器におけると同様に給水流体の流路が形成された溶接プレート対16を形成するように溶接する。一実施態様では、伝熱プレート対16を、一端を入口ヘッダー・パイプ22に、他端を出口ヘッダー・パイプ24に対して、また、それぞれが入口及び出口ヘッダー・パイプ22、24と流体連通関係になるように、例えば、ガスケット18及びボルト締めフランジ継ぎ手20を介して取外し自在に接続する。多数のこのような溶接伝熱プレート対16を互に間隔を保って縦列配列し、それぞれを入口ヘッダーと出口ヘッダーとの間に連結して、並流路を有する伝熱組立体を形成する。このような構成を図2に示した。尚、多数の伝熱プレート対16を直列に連結し、この直列構成の両端を前記構成と同様、入口ヘッダー・パイプ22及び出口ヘッダー・パイプ24にそれぞれ取外し自在に取付けるようにしてもよい。いずれの実施態様においても、伝熱プレート対16の末端部は入口ヘッダー・パイプ22及び出口ヘッダー・パイプ24に直接的または間接的に連結される。入口ヘッダー・パイプ22及び出口ヘッダー・パイプ24は、伝熱プレート対16を入口及び出口ヘッダー・パイプ22、24に取外し自在に固定する前述した実施態様と同様に、好ましくはガスケットを含むボルト締めを利用して給水入口ノズル及び給水出口ノズル26、28にそれぞれ連結される。但し、他の取外し自在の連結手段を利用することも可能である。
【0032】
図1、2に示した実施態様において、ヘッダー・パイプ22、24は円筒状シェル34の下方部分に取付けられた内側軌道32に載置されたフレーム構造物30によって支持されており、円筒状シェルは伝熱プレート組立体36を囲む圧力容器を形成する。軌道32及びフレーム構造物30上の車輪33は修理、洗浄または能力向上のために伝熱プレート組立体をシェルから取外す作業を容易にする。一実施態様において、シェルはその一方の側にこれと一体の半球状端部38を、他端に取外し自在な半球状ヘッド40を有し、円筒状シェル34、半球状端部38及び取外し自在なヘッド40によって形成される圧力容器内に伝熱組立体36を完全に包囲し密閉する。本発明を活用する上で、両端部は必ずしも半球状でなくてもよいが、高圧を扱う場合には両端部を半球状にすることが好ましい。図1、2に示すように、給水入口ノズル26及び給水出口ノズル28が取外し自在なヘッド40を貫通する。あるいは、伝熱プレート組立体36を修理するためのシェル34内部へのアクセスをさらに容易にするために、ヘッド40でなくて半球状端部38を取外し可能にするか、または半球状端部38とヘッド40の両方を、フランジをボルト締めすることにより、シェル34に接続することも可能である。シェル34には、抽出蒸気入口42、排水入口44、46及び排水出口48、50をも取付けてある。
【0033】
稼動中、送入される給水は入口ノズル26、入口ヘッダー・パイプ22、給水がドレン・フローと抽出蒸気によって加熱される溶接された伝熱プレート対16、出口ヘッダー・パイプ24及び出口ノズル28を通過する。抽出蒸気は、抽出蒸気入口42から給水ヒーターに流入すると、蒸気緩衝プレート52によって分配され、シェル上部領域を通過しながらドレン・フロー入口ノズル44、46から流入するドレン・フローと混合する。次いで、抽出蒸気とドレン・フローは溶接された伝熱プレート対16の間を通過し、給水によって冷却され、凝縮してシェルの下部領域へ流れ、ドレン・フロー出口ノズル48、50から排出される。
【0034】
発電所の停止期間中、下記ステップを利用して伝熱プレート及びシェル内面の検査を行なうことができる。先ず、フランジ54のボルトを緩めてシェル端部38を取外す。次いで、入口及び出口ノズル26、28からヘッダー・パイプ22、24を取外す。ヘッド40に設けられたマンウェイ56を利用すると、入口及び出口ヘッダー・パイプ22、24と入口及び出口ノズル26、28との接続部へアクセスすることができる。ヘッド40をフランジ58の位置で取外す場合には、伝熱組立体36を軌道32上で摺動させてヘッド40を外方へ移動させると、入口及び出口ヘッダー22,24と給水入口及び出口ノズル26、28との接続部にアクセスすることができる。ヘッド40を動かす前に、スプール配管(図示せず)を入口及び出口ノズル26、28から取外す必要がある。次いで、シェル34の底部に設けた軌道32に沿って伝熱プレート組立体36を1つのユニットとして、個々の伝熱プレート12、14及びシェル34の内部の損傷を検査できる位置まで移動させる。こうして個々の伝熱プレート対16を洗浄し、必要なら修理または交換することができる。修理または交換が必要なら、問題のある伝熱プレート対16を入口ヘッダー・パイプ22及び出口ヘッダー・パイプ24から取外して新品か修理した伝熱プレート対16と交換して、その場所にボルトで固定すればよい。出口ヘッダー・パイプ24及び入口ヘッダー・パイプ26には1つまたは2つ以上の別の開口60を設けてあり、当初はプラグで密栓してある。これらの別の開口の密栓を解けば、将来性能アップが必要となった場合に別の伝熱プレート対16を取付けるための開口となる。
【0035】
プレートを取外し可能に設計することで、伝熱面の取替え及び伝熱プレートとガスケットの量産が可能になり、結果として重要な予備部品のコスト低減につながる。この設計を採用することによってプレートの枚数を、従って、伝熱面積を拡大することによって、出力の向上に対応すると共に、シェル関連の検査をさらに充実することができる。
【0036】
以上、本発明の特定の実施態様を詳述したが、当業者には明らかなように、開示内容全体に照らして、細部に種々の変更、代案を試みることができる。例えば、図1、2に示した実施態様では入口及び出口ヘッダー・パイプまたは導管を分離した構成を開示したが、本発明の趣旨から逸脱することなく同様の機能を発揮する他の構造を採用することができる。例えば、図3、4、5に示す実施態様では、伝熱組立体36の入口導管22及び出口導管24のセグメントが伝熱プレート対16と一体化している。図3、4、5では、図1、2に示したものと対応する構成要素に同様の符号を付している。図3、4、5に示す実施態様では、伝熱組立体36は多数の伝熱プレート・モジュール17によって構成される。図5にはこのような伝熱プレート・モジュール17が4個見える。モジュール17はそれぞれ縦方向に離隔配置された多数の伝熱プレート対16から成り、これら伝熱プレート対は一体的なユニットを形成するように接合されている。図3、4、5に示す各モジュール17はこのような伝熱プレート対16を約10個有している。ここで、伝熱プレート対の数は任意でよいが、モジュール1個当たりの伝熱プレート対の数が増すとモジュールの交換費用がかさむことを認識されるべきである。もっとも、モジュールの数が増すと、ガスケット及び密封装置に要する費用がかさむ。モジュール1個当たりの最適なプレートの枚数は、経済的な観点から用途毎に決定されるべきである。伝熱組立体36中のモジュール17の数もまた、モジュール1個当たりの伝熱プレート対16の数と熱交換器の用途による伝熱要件とに応じて変わり得る。
【0037】
図3、4、5に示す実施態様において、各伝熱プレート対16の外側表面(即ち、表と裏)には2つの開口が設けられている。対応する開口同士は実質的に整列して、該開口に入口及び出口導管22、24の増分セグメントが溶接、ろう付けまたは他の適当な方法によって接合されており、伝熱プレート対16同士の間の部分でも入口及び出口導管22、24の中と周りを流れる流体を実質的に通さない、実質的な剛性で耐久性のある継ぎ手を形成する。伝熱プレート対16と隣接する伝熱プレート対16の外側表面の間を延びる入口及び出口導管22、24の増分セグメントは、伝熱プレート対16同士の間に抽出蒸気とドレン・フローの流路を提供する。各モジュール17を貫く入口及び出口導管22、24の外端部にフランジを設けるのが好ましく、そのフランジ上に、隣接する伝熱プレート・モジュールのセグメント23の対応フランジを、好ましくはフランジ同士の間にガスケットを圧入して接続する。次いで、各モジュール17の外側セグメント23を、隣接するモジュールの対応外側セグメントに、間にガスケットを挟み、図3、4、5に示すタイ・ロッド64を用いて取り付ける。但し、タイ・ロッドの代わりに他の機械式取付け手段を使用してもよい。図3、4、5に示す実施態様では、タイ・ロッド64によって表面と裏面のフレームまたはプレート62同士を引き寄せることにより、モジュール17を定位置に保つ。伝熱プレート組立体の表面プレート62には、入口及び出口導管22、24の開口があるので、外側セグメント23のフランジを(図2に示す)入口ノズル26及び出口ノズル28にそれぞれ取り付けることができる。外側セグメント23、即ち、伝熱組立体36の端部80にある裏側伝熱プレート上の入口及び出口、を密栓して給水流ループを閉じるか、または裏側伝熱プレートに入口及び出口の孔を設けないようにする。
【0038】
上述した実施態様の伝熱プレート組立体は伝熱プレート対16を貫く並流路を有するが、図6はその伝熱プレート組立体を通る1次流体の流れを模式的に示す。図7は伝熱プレート対の構成を示す。図7に示すように、溶接ビード66は、伝熱プレート12、14の対応する開口のところで、入口導管22の各増分セグメント23の周囲を延びて、界面に流体密封部を形成する。同様に、溶接ビード68は、伝熱プレート12、14の対応する開口のところで、出口導管24の増分セグメント23の周囲を延びて、界面に流体密封部を形成する。さらに、伝熱プレート対16の周縁全体に亘ってガース溶接部70が延びている。図7に示すように、1次流体は各伝熱プレート対16を隣接する伝熱プレート対または支持プレートへ接続する入口導管22の入口72に流入する。1次流体の一部は伝熱プレート12、14間を流下して、そこで伝熱プレート対の外側を流れる抽出蒸気とドレン・フローから熱を吸収した後、出口78から出口導管24へ流出して、そこで出口導管の入口76から伝熱プレート対16に入ってきた、他の伝熱プレート対から上流へ向かう1次流体の流れと合流する。伝熱組立体36の端部80(図5)にある最後の伝熱プレート対16を除き、所与の伝熱プレート対16の入口72から入ったけれども伝熱プレート12、14間を流れなかった残りの1次流体は、入口導管の出口74から隣接する伝熱プレート対16へ流れる。入口導管を通り抜けて伝熱組立体36の端部80に達した1次流体は全て、伝熱プレート12、14の最後の対間を流れた後、図6に示すように出口導管24から流出する。流れが入口導管22から出口導管24へ向かうならば、伝熱プレート対16を流れる水が(図6に示すように)上向きでも、(ここに記載したように)下向きでも、または横向きであっても、それは重要なことではない。
【0039】
図8は伝熱プレート・モジュール17の一実施態様の模式図である。図示したモジュール17は伝熱プレート対16を4個備えているが、上述したように、伝熱プレート対16の数は変えてもよい。伝熱プレート対16の外側の伝熱プレート12、14は支持プレート82と比較して相対的に薄く、このため外側の支持プレート82は内側の伝熱プレート対16よりも厚くなっている。支持プレート82は支持プレートと称されるものの中で最も長く、他の支持プレートを上回って図3、4、5に示すタイ・ロッドを受入れるほどに長い。尚、本実施態様は図3、4、5に示す実施態様とは若干異なる。但し、モジュール同士を互いに固定する方法は同じであるが、他の固定手段、例えば連続するねじ山を有する棒やボルト等も使用可能である。内側の伝熱プレート同士を、それらの間を導管の増分セグメント23(図4に示す)が延びるように溶接するが、入口及び出口導管22、24の増分セグメントの円形開口の周囲には溶接部が、また、外縁部には外周プレート状溶接部70が延びている。ガスケットが隣接するモジュール17の係合支持プレート82との界面で開口を密封するように、支持プレート82の入口及び出口導管22、24開口の周囲にガスケット溝84が設けられている。
【0040】
図9は、伝熱プレート対モジュール17の第2の実施態様を示す。外側伝熱プレートの入口及び出口導管22、24の開口の周囲にガスケット保持リング86があることを除き、図9に示す実施態様は図8に関して述べたものとよく似ている。支持プレートを1枚、モジュール17と保持リング86上のガスケットとの間に挿入することによって、各支持プレートと伝熱プレートとの間で開口22、24を密封する。あるいは、支持プレートの片側または両側に、ガスケットを保持する溝を設けてもよい。
【0041】
将来、熱交換器が据付けられた発電所の性能をアップさせるために、既存のシェルの伝熱能力を増加する必要がある場合には、伝熱プレート対モジュール17の代わりにスペーサ・モジュール88を挿入することによって、後日別の伝熱プレート対17モジュールを追加するためのスペースを確保するようにしてもよい。かかるスペーサ・モジュール88の一実施態様を図10に示す。好ましくは、スペーサ・モジュール88は採用される熱交換ユニット10の標準伝熱プレート対17モジュールとサイズが同じである。本実施態様のスペーサ・モジュールは、上述したようなガスケット溝84がある2枚の支持プレート82を有し、これらの支持プレートは上部支持体96と2次流体ドレン94を有する下部支持体98とによって隔てられている。上部支持体96と下部支持体98は1つの連続した支持シリンダの一部としてよい(が、そうすることは必須ではない)。図10に示す実施態様は伝熱プレート対モジュール17同士の間に挿入されることを想定して、パイプ90が各支持プレートとの界面でその周囲を溶接され密閉シールを形成する。パイプ90は入口導管22の一部を形成し、パイプが接続する伝熱プレート対モジュール17同士の間において1次流体を運ぶ。同様にスペーサ・モジュール88の支持プレート82に溶接されたパイプ92が支持プレート同士の間を繋ぎ、出口導管24を通る1次流体を運ぶ。スペーサを伝熱プレート組立体36の端部80に用いる場合には、スペーサ・モジュールの支持プレート82に開口は不要である。
【0042】
図11は、モジュール17と88を互いに引き寄せるのに使用可能なタイ・ロッドの一実施態様を示す。タイ・ロッド64は、図5に示す支持フレーム62同士の間におけると同様に、支持プレート82同士の間を延びるように設計されている。図11に示す実施態様では、タイ・ロッド64の一端部は縮径されて周面にねじ104が切られている。周面ねじ104が終端する担持面106は、モジュール支持プレート周縁部の側面に設けた孔の周囲に当接する大きさだが、ねじ104はこの孔を貫通して反対側へ突き出る大きさである。タイ・ロッド64の反対側の端部には雌ねじ100が設けられており、隣接支持プレート82の対応する孔を貫通する隣接タイ・ロッド64の雄ねじ104と螺合する大きさである。タイ・ロッドの雌ねじ100を有する側の外周部102の輪郭は、トルクをかけやすいように、四角形または六角形であることが好ましい。
【0043】
上述したように、伝熱プレート組立体36は保守点検を容易にするために、軌道32に載置される車輪33を備えている。本実施態様の保守点検は、伝熱プレート組立体の能力を向上させるために、スペーサ・モジュール88を取り外して代わりにさらに別の伝熱プレート・モジュール17が連結されている点を除き、図1、2に示した実施態様と同じである。
【0044】
また、給水ヒーター用としての好ましい実施態様を説明したが、本発明を他の多様なタイプの熱交換器に採用しても有益な成果を挙げることができる。従って、以上に開示した具体的な実施態様は飽くまでも説明のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許性の範囲及びこれとの等価物によって定められるものである。
図1
図2
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図5
図6
図7
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図10
図11