特許第6200439号(P6200439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200439電気部品ユニット、ヒュージブルリンクユニット、及び固定構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200439
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】電気部品ユニット、ヒュージブルリンクユニット、及び固定構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/20 20060101AFI20170911BHJP
   H01H 85/22 20060101ALI20170911BHJP
   H01H 85/54 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01H85/20 D
   H01H85/20 A
   H01H85/22
   H01H85/54
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-5304(P2015-5304)
(22)【出願日】2015年1月14日
(65)【公開番号】特開2016-131118(P2016-131118A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】小野田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】石川 義紀
(72)【発明者】
【氏名】板垣 辰昌
(72)【発明者】
【氏名】塩浜 貴宏
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−260344(JP,A)
【文献】 米国特許第05645448(US,A)
【文献】 特開昭58−186157(JP,A)
【文献】 実開平01−048850(JP,U)
【文献】 特開2013−037949(JP,A)
【文献】 特開2000−331591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/20
H01H 85/22
H01H 85/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの外面の一部が1段下がって形成された設置面部に固定される電気部品と、
前記バッテリの前記設置面部から突出した電極に固定されるバッテリ端子と、
前記バッテリ端子とは別体に形成されて前記バッテリに固定されるとともに前記電気部品を支持する支持部材と、を備え、
前記電気部品は、電気部品本体と、該電気部品本体から露出するように導電性金属で形成されて前記バッテリ端子を介して前記電極に電気的に接続される給電端子と、を備え、
前記支持部材が、前記外面における前記設置面部よりも高い面部分と、当該面部分から前記設置面部へと至る段差側面とにかけて被せられる第1部分と、前記バッテリ端子において前記給電端子と電気的に接続される端部を囲むように前記設置面部に対して壁状に立設された第2部分を有し、前記電気部品本体を、前記設置面部に略直交する直交方向に延在するように前記第2部分に沿わせて支持することを特徴とする電気部品ユニット。
【請求項2】
前記支持部材における前記第2部分には、前記直交方向に延びるとともに、互いに対向して開口した一対の溝部が設けられ、
前記電気部品本体は、前記一対の溝部に各々が嵌合する一対の突起部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気部品ユニット。
【請求項3】
前記支持部材は、前記第2部分の外側面に設けられて前記直交方向に延在するように前記電気部品本体を支持する本体支持部と、該本体支持部及び前記バッテリ端子から離れた前記第2部分の内側の位置に配置されて前記給電端子が固定される端子固定部と、を備え、
前記給電端子は、一端が前記バッテリ端子に固定されて他端が前記端子固定部に固定される接続部材によって前記バッテリ端子に電気的に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気部品ユニット。
【請求項4】
バッテリが有する設置面部に固定され、前記バッテリからの電力を、該電力を受けて動作する回路へと、閾値以上の電流が流れると溶断する可溶体を介して供給するためのヒュージブルリンクと、
前記バッテリの前記設置面部から突出した電極に固定されるバッテリ端子と、
前記バッテリ端子とは別体に形成されて前記バッテリに固定されるとともに前記ヒュージブルリンクを支持する支持部材と、を備え、
前記ヒュージブルリンクは、リンク本体と、該リンク本体から露出するように導電性金属で形成されて前記バッテリ端子を介して前記電極に電気的に接続される給電端子と、を備え、
前記支持部材が、前記外面における前記設置面部よりも高い面部分と、当該面部分から前記設置面部へと至る段差側面とにかけて被せられる第1部分と、前記バッテリ端子において前記給電端子と電気的に接続される端部を囲むように前記設置面部に対して壁状に立設された第2部分を有し、前記リンク本体を、前記設置面部に略直交する直交方向に延在するように前記第2部分に沿わせて支持することを特徴とするヒュージブルリンクユニット。
【請求項5】
バッテリに対して電気部品を固定するための固定構造であって、
前記バッテリは、前記電気部品を設置するための設置面部と、前記設置面部から突出してバッテリ端子が固定される電極と、を有し、
前記電気部品は、電気部品本体と、該電気部品本体から露出するように導電性金属で形成されて前記バッテリ端子を介して前記電極に電気的に接続される給電端子と、を備え、
前記バッテリ端子とは別体に形成されて前記バッテリに固定される支持部材が、前記外面における前記設置面部よりも高い面部分と、当該面部分から前記設置面部へと至る段差側面とにかけて被せられる第1部分と、前記バッテリ端子において前記給電端子と電気的に接続される端部を囲むように前記設置面部に対して壁状に立設された第2部分を有し、前記電気部品本体を、前記設置面部に略直交する直交方向に延在するように前記第2部分に沿わせて支持することを特徴とする固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品ユニット、ヒュージブルリンクユニット、及び固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリの電極ポストに固定されるバッテリ端子と、このバッテリ端子に固定される電気部品(ヒューズやヒュージブルリンク等)とを備えた電気部品ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電気部品ユニットでは、バッテリ端子に立設されたボルトを挿通可能な補強板が設けられ、電気部品は、その電源側端子が補強板を介してバッテリ端子のボルトと、ナットによって締結されることで、バッテリに固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−37949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の電気部品ユニットでは、電気部品がバッテリの電極に固定される構成であるため、電気部品の全荷重が電極に作用することとなり、電極に対する負荷が大きくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、上記のような問題点に着目し、バッテリの電極に作用する電気部品の荷重を軽減することができる電気部品ユニット、ヒュージブルリンクユニット、及び、電気部品をバッテリに固定するための固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、バッテリの外面の一部が1段下がって形成された設置面部に固定される電気部品と、前記バッテリの前記設置面部から突出した電極に固定されるバッテリ端子と、前記バッテリ端子とは別体に形成されて前記バッテリに固定されるとともに前記電気部品を支持する支持部材と、を備え、前記電気部品は、電気部品本体と、該電気部品本体から露出するように導電性金属で形成されて前記バッテリ端子を介して前記電極に電気的に接続される給電端子と、を備え、前記支持部材が、前記外面における前記設置面部よりも高い面部分と、当該面部分から前記設置面部へと至る段差側面とにかけて被せられる第1部分と、前記バッテリ端子において前記給電端子と電気的に接続される端部を囲むように前記設置面部に対して壁状に立設された第2部分を有し、前記電気部品本体を、前記設置面部に略直交する直交方向に延在するように前記第2部分に沿わせて支持することを特徴とする電気部品ユニットとなっている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気部品ユニットにおいて、前記支持部材における前記第2部分には、前記直交方向に延びるとともに、互いに対向して開口した一対の溝部が設けられ、前記電気部品本体は、前記一対の溝部に各々が嵌合する一対の突起部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電気部品ユニットにおいて、前記支持部材は、前記第2部分の外側面に設けられて前記直交方向に延在するように前記電気部品本体を支持する本体支持部と、該本体支持部及び前記バッテリ端子から離れた前記第2部分の内側の位置に配置されて前記給電端子が固定される端子固定部と、を備え、前記給電端子は、一端が前記バッテリ端子に固定されて他端が前記端子固定部に固定される接続部材によって前記バッテリ端子に電気的に接続されることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、バッテリが有する設置面部に固定され、前記バッテリからの電力を、該電力を受けて動作する回路へと、閾値以上の電流が流れると溶断する可溶体を介して供給するためのヒュージブルリンクと、前記バッテリの前記設置面部から突出した電極に固定されるバッテリ端子と、前記バッテリ端子とは別体に形成されて前記バッテリに固定されるとともに前記ヒュージブルリンクを支持する支持部材と、を備え、前記ヒュージブルリンクは、リンク本体と、該リンク本体から露出するように導電性金属で形成されて前記バッテリ端子を介して前記電極に電気的に接続される給電端子と、を備え、前記支持部材が、前記外面における前記設置面部よりも高い面部分と、当該面部分から前記設置面部へと至る段差側面とにかけて被せられる第1部分と、前記バッテリ端子において前記給電端子と電気的に接続される端部を囲むように前記設置面部に対して壁状に立設された第2部分を有し、前記リンク本体を、前記設置面部に略直交する直交方向に延在するように前記第2部分に沿わせて支持することを特徴とするヒュージブルリンクユニット。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、バッテリに対して電気部品を固定するための固定構造であって、前記バッテリは、前記電気部品を設置するための設置面部と、前記設置面部から突出してバッテリ端子が固定される電極と、を有し、前記電気部品は、電気部品本体と、該電気部品本体から露出するように導電性金属で形成されて前記バッテリ端子を介して前記電極に電気的に接続される給電端子と、を備え、前記バッテリ端子とは別体に形成されて前記バッテリに固定される支持部材が、前記外面における前記設置面部よりも高い面部分と、当該面部分から前記設置面部へと至る段差側面とにかけて被せられる第1部分と、前記バッテリ端子において前記給電端子と電気的に接続される端部を囲むように前記設置面部に対して壁状に立設された第2部分を有し、前記電気部品本体を、前記設置面部に略直交する直交方向に延在するように前記第2部分に沿わせて支持することを特徴とする固定構造となっている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項4、及び請求項5に記載の発明によれば、バッテリ端子とは別体に形成されてバッテリに固定される支持部材が、電気部品本体(請求項4にあってはリンク本体)を、設置面部に略直交する直交方向に延在するように支持する。その結果、電気部品(請求項4にあってはヒュージブルリンク)の荷重は支持部材によって支えられることとなるので、バッテリの電極に作用する電気部品の荷重を軽減することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、電気部品の支持に寄与する一対の溝部が、電気部品を、前記直交方向に延在するように取り付ける際にガイドの役割を果たす。これにより、電気部品の取付け作業における作業性を向上させることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によれば、支持部材が、本体支持部に加えて、本体支持部及び前記バッテリ端子から離れた位置に配置されて電気部品の給電端子が固定される端子固定部を備えている。その結果、電気部品の荷重は、その殆どが、支持部材における本体支持部と端子固定部とで負担されることとなるので、バッテリの電極に作用する電気部品の荷重を一層軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態のヒュージブルリンクユニットを示す斜視図である。
図2図1に示されているヒュージブルリンクユニットから第1のヒュージブルリンクと第2のヒュージブルリンクが外された状態を示す斜視図である。
図3図1に示されている第1のヒュージブルリンクを示す図である。
図4図1に示されている第2のヒュージブルリンクを示す図である。
図5】本発明の第2実施形態のヒュージブルリンクユニットを示す斜視図である。
図6図5に示されているヒュージブルリンクユニットからヒュージブルリンクが外された状態を示す斜視図である。
図7図5に示されているヒュージブルリンクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の電気部品ユニット、ヒュージブルリンクユニット、及び固定構造にかかる第1実施形態について図1図4を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態のヒュージブルリンクユニットを示す斜視図である。この図1に示されているヒュージブルリンクユニット10は、第1のヒュージブルリンク21、第2のヒュージブルリンク22、バッテリ端子3、及び支持部材4を備えている。第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22は、バッテリ1が有する設置面部1bに固定されるものであり、本発明にいう電気部品の一例に相当する。バッテリ端子3は、バッテリ1の設置面部1bから突出した電極ポスト1c(電極)に固定されるものである。そして、支持部材4は、バッテリ1とは別体に形成されてバッテリ1に固定されるとともに第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22を支持する部材である。
【0016】
図1に示されているヒュージブルリンクユニット10は、本発明にいう電気部品ユニットの一例に相当するとともに、本発明にいうヒュージブルリンクユニットの一例にも相当している。また、このヒュージブルリンクユニット10において、第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22をバッテリ1に対して固定するための構造が、本発明にいう固定構造の一例に相当する。
【0017】
図2は、図1に示されているヒュージブルリンクユニットから第1のヒュージブルリンクと第2のヒュージブルリンクが外された状態を示す斜視図であり、図3は、図1に示されている第1のヒュージブルリンクを示す図であり、図4は、図1に示されている第2のヒュージブルリンクを示す図である。図3及び図4では、図3(a)及び図4(a)に斜視図が示されており、図3(b)及び図4(b)に正面図が示されている。
【0018】
本実施形態では、バッテリ1は、概ね直方体形状を有している。そして、上面1aにおける任意の角の周辺部が、上面1aにおける他の部分よりも1段下がっており、その1段下がった部分が、第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22を設置するための設置面部1bとなっている。この設置面部1bには、このバッテリ1から電力を取り出すための電極ポスト1cが突出している。
【0019】
電極ポスト1cには、次のようなバッテリ端子3が固定される。バッテリ端子3は、概ね直方体形状に形成され、その長手方向の一端側に電極ポスト1cが挿通する電極挿通孔31と、その電極挿通孔31に至る切込み32が設けられている。また、長手方向の他端側には、第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22を電気的に接続するためのボルト33が立設されている。
【0020】
ここで、上記の電極挿通孔31は、切込み32の幅を縮めることで縮径されるようになっており、バッテリ端子3には、この切込み32の幅を縮めるための締付けネジ34が設けられている。締付けネジ34が締め付けられると、切込み32の幅が縮められることで電極挿通孔31が縮径される。バッテリ端子3は、電極挿通孔31に電極ポスト1cが挿通した状態で締付けネジ34が締め付けられて電極挿通孔31が縮径されることより、電極ポスト1cに対する機械的な固定と電気的な接続とが行われる。
【0021】
また、本実施形態では、バッテリ1に、第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22を支持する支持部材4が固定される。この支持部材4は、樹脂製の支持部材本体41と、バッテリ1において互いに直交する2つの外側面それぞれに設けられた合計2箇所の被係止部1dに係止する2つの係止金具42と、を備えている。支持部材本体41は、バッテリ1の上面1aと、その上面1aから設置面部1bへと至る段差側面とにかけて被せられる第1部分411と、バッテリ端子3においてボルト33が立設されている他端部を囲むとともに第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22が取り付けられる第2部分412を備えている。図1に示されているように、第1のヒュージブルリンク21及び第2のヒュージブルリンク22は、この第2部分412に、設置面部1bに略直交する直交方向D1に延在するように支持される。
【0022】
第1のヒュージブルリンク21は、図3に示されるように、リンク本体211(電気部品本体)と、このリンク本体211から露出するように導電性金属で形成されて上記のバッテリ端子3を介して電極ポスト1cに電気的に接続される給電端子212とを備えている。リンク本体211は、平面視で概ね長方形の部材であり、2つの回路端子211aと、2つの可溶体211bとを備えている。
【0023】
給電端子212は、支持部材本体41における第2部分412に第1のヒュージブルリンク21が取り付けられたときにバッテリ1側を向く面の上縁近傍から、この面に略直交して突出するように設けられている。給電端子212は、導電性金属で板状に形成されるとともに、貫通孔212aが1つ設けられている。
【0024】
2つの回路端子211aそれぞれは、導電性金属で板状に形成されるとともに、バッテリ1からの電力によって動作する回路に至る不図示のハーネスの端子が接続される。各回路端子211aには、ハーネスの端子が接続されるボルト211cが、給電端子212の突出方向とは逆向きに突出するように立設されている。2つの回路端子211aは、ボルト211cの立設面が互いに同一平面をなすとともに、給電端子212と直交する方向に延在するように並べて配置されている。
【0025】
2つの可溶体211bそれぞれは、屈曲した帯状に形成されるとともに、一端が回路端子211aに接続されているとともに他端が給電端子212に接続されている。各回路端子211aには、バッテリ1からの電流が各可溶体211bを介して流れる。そして、閾値以上の電流が流れると可溶体211bが溶断することで、各回路端子211aの下流側に過剰な電流が流れることが回避されるようになっている。
【0026】
リンク本体211では、給電端子212、2つの回路端子211a、及び2つの可溶体211bからなる構造物が、絶縁樹脂材料でモールディングされて形成されている。絶縁性樹脂材料からなる樹脂ハウジング211dは、給電端子212及び各回路端子211aの接続面が露出し、かつ可溶体211bの溶断が視認可能なように窓211eが設けられた状態で、上記構造物の一部を覆い固めている。この樹脂ハウジング211dは、インサート成形により、上記構造物と一体的に形成されている。樹脂ハウジング211dにおける溶断視認用の窓211eには、透明カバー211fが被せられており、可溶体211bの溶断は、この透明カバー211f越しに視認される。また、樹脂ハウジング211dには、各回路端子211aに端子接続されたハーネスが、平面視で長方形を有するリンク本体211の長手方向に沿って配索されるように案内する案内壁211gが形成されている。この案内壁211gにより、支持部材本体41における第2部分412に第1のヒュージブルリンク21が取り付けられたときに、ハーネスが上記の直交方向D1に沿うように配索されることとなる。また、樹脂ハウジング211dにおける給電端子212側の左右両端縁には、支持部材本体41における第2部分412にこのリンク本体211が支持されるための一対の突起部211hが形成されている。
【0027】
第2のヒュージブルリンク22は、支持部材本体41における第2部分412に第2のヒュージブルリンク22が取り付けられたときに、ハーネスが上記の直交方向D1に対して傾いて配索される点を除いて、第1のヒュージブルリンク21と略同等な構成を有している。第2のヒュージブルリンク22は、図4に示されるように、リンク本体221(電気部品本体)と、このリンク本体221から露出するように導電性金属で形成されて上記のバッテリ端子3を介して電極ポスト1cに電気的に接続される給電端子222とを備えている。給電端子222は、導電性金属で板状に形成されるとともに、貫通孔222aが1つ設けられている。
【0028】
リンク本体221は、給電端子222、2つの回路端子221a、及び2つの可溶体221bからなる構造物が、絶縁樹脂材料でモールディングされて形成されている。2つの回路端子221aそれぞれには、不図示のハーネスの端子が接続されるボルト221cが立設されている。絶縁性樹脂材料からなる樹脂ハウジング221dは、給電端子222及び各回路端子221aの接続面が露出し、かつ可溶体221bの溶断が視認可能なように窓221eが設けられた状態で、上記構造物の一部を覆い固めている。この樹脂ハウジング221dは、インサート成形により、上記構造物と一体的に形成されている。樹脂ハウジング221dにおける溶断視認用の窓221eには、透明カバー221fが被せられており、可溶体221bの溶断は、この透明カバー221f越しに視認される。また、樹脂ハウジング221dには、各回路端子221aに端子接続されたハーネスを案内する案内壁221gが形成されている。この案内壁221gは、第2のヒュージブルリンク22では、支持部材本体41における第2部分412に第2のヒュージブルリンク22が取り付けられたときに、ハーネスが上記の直交方向D1に対して傾いて配索されるように傾斜している。また、樹脂ハウジング221dにおける給電端子222側の左右両端縁には、支持部材本体41における第2部分412にこのリンク本体221が支持されるための一対の突起部221hが形成されている。
【0029】
そして、図2に示されているように、支持部材4の支持部材本体41における第2部分412に、第1のヒュージブルリンク21の給電端子212と第2のヒュージブルリンク22の給電端子222が固定される端子固定部412aが設けられている。この端子固定部412aは、バッテリ端子3から離れた位置に配置されており、上記の2つの給電端子212,222が固定されるためのボルト412bが立設されている。
【0030】
バッテリ端子3におけるボルト33の立設部と端子固定部412aとの間には、導電性金属で帯板状に形成されたバスバ43が架け渡される。このバスバ43の一端側にはバッテリ端子3のボルト33が貫通する貫通孔431が設けられ、他端側には端子固定部412aのボルト412bが貫通する貫通孔432が設けられている。
【0031】
バスバ43におけるバッテリ端子3側は、図1に示されているように、貫通孔431を貫通したボルト33にナット44が締め付けられることでバッテリ端子3に固定される。一方、バスバ43における端子固定部412a側には、第1のヒュージブルリンク21の給電端子212、第2のヒュージブルリンク22の給電端子222が重ねられる。そして、バスバ43の貫通孔432、2つの給電端子212,222の貫通孔212a,222aを貫通した、端子固定部412aのボルト412bにナット45が締め付けられることで、バスバ43と2つの給電端子212,222とが共締めされて端子固定部412aに固定される。このように一端がバッテリ端子3に固定されて他端が端子固定部412aに固定されるバスバ43により、2つの給電端子212,222がバッテリ端子3に電気的に接続される。
【0032】
さらに、図2に示されているように、支持部材4の支持部材本体41における第2部分412には、第1のヒュージブルリンク21を支持するために一対の第1溝部412c(一対の溝部、本体支持部)が設けられ、第2のヒュージブルリンク22を支持するために一対の第2溝部412d(一対の溝部、本体支持部)が設けられている。一対の第1溝部412cは、設置面部1bに略直交する直交方向D1に延びるとともに、互いに対向して開口するように設けられ、一対の第2溝部412dも同様に設けられている。また、一対の第1溝部412cは、第2部分412において、端子固定部412aから離れた、2本のボルト33,412bの配列方向と平行な側面に設けられ、一対の第2溝部412dは、端子固定部412aから離れた、上記の配列方向と直交する側面に設けられている。
【0033】
そして、第1のヒュージブルリンク21に設けられた一対の突起部211hが、一対の第1溝部412cに上方からスライドして嵌合することで、第1のヒュージブルリンク21のリンク本体211が、上記の直交方向D1に延在するように支持される。同様に、第2のヒュージブルリンク22に設けられた一対の突起部221hが、一対の第2溝部412dに上方からスライドして嵌合することで、第2のヒュージブルリンク22のリンク本体221が、上記の直交方向D1に延在するように支持される。
【0034】
以上に説明した本実施形態のヒュージブルリンクユニット10によれば、バッテリ端子3とは別体に形成されてバッテリ1に固定される支持部材4における一対の第1溝部412c及び一対の第2溝部412dが、2つのヒュージブルリンク21,22それぞれのリンク本体211,221を、設置面部1bに略直交する直交方向D1に延在するように支持する。その結果、2つのヒュージブルリンク21,22の荷重は支持部材4における各溝部412c,412dによって支えられることとなるので、バッテリ1の電極ポスト1cに作用する2つのヒュージブルリンク21,22の荷重を軽減することができる。
【0035】
また、本実施形態のヒュージブルリンクユニット10によれば、2つのヒュージブルリンク21,22それぞれの支持に寄与する一対の溝部412c,412dが、各ヒュージブルリンク21,22を、上記の直交方向D1に延在するように取り付ける際にガイドの役割を果たす。これにより、各ヒュージブルリンク21,22の取付け作業における作業性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態のヒュージブルリンクユニット10によれば、支持部材4が、一対の第1溝部412c及び一対の第2溝部412dに加えて、各溝部412c,412d及びバッテリ端子3から離れた位置に配置されて各ヒュージブルリンク21,22の給電端子212,222が固定される端子固定部412aを備えている。その結果、2つのヒュージブルリンク21,22の荷重は、その殆どが、支持部材4における一対の第1溝部412c、一対の第2溝部412d、及び端子固定部412aで負担される。これにより、バッテリ1の電極ポスト1cに作用する荷重を一層軽減することができる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態について図5図7を参照して説明する。尚、第2実施形態は、端子固定部が設けられておらず、バッテリ端子3にヒュージブルリンクの給電端子が固定される点が、上述した第1実施形態とは異なっている。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点に注目して説明する。また、図5図7では、図1図4に示されている構成要素と同等な構成要素については図1図4と同じ符号が付されて示されており、以下ではそれら同等な構成要素の重複説明を省略する。
【0038】
図5は、本発明の第2実施形態のヒュージブルリンクユニットを示す斜視図である。この図5に示されているヒュージブルリンクユニット15では、バッテリ1に対して固定される電気部品が、1個のヒュージブルリンク61となっている。図6は、図5に示されているヒュージブルリンクユニットからヒュージブルリンクが外された状態を示す斜視図であり、図7は、図5に示されているヒュージブルリンクを示す図である。
【0039】
本実施形態でも、ヒュージブルリンク61を支持するための支持部材5は、支持部材本体41の第1部分411に設けられた係止金具42が、バッテリ1の外側面に設けられた被係止部1dに係止することでバッテリ1に固定される。そして、支持部材本体41の第2部分512には、図2に示されている端子固定台412aに相当する構成は設けられておらず、図2に示されている一対の第1溝部412cに相当する一対の溝部512cが設けられている。
【0040】
ヒュージブルリンク61は、図3に示されている第1のヒュージブルリンク21と略同等な構成を有している。即ち、ヒュージブルリンク61は、リンク本体211と給電端子612とを備えている。リンク本体211は、図3に示されている第1のヒュージブルリンク21のリンク本体211と同じものであり、ハーネス端子固定用のボルト211cが各々に設けられた2つの回路端子211aと、2つの可溶体211b(図3参照)とを備えている。給電端子612、2つの回路端子211a、及び2つの可溶体211b(図2参照)とからなる構造物は、各端子の接続面が露出され可溶体視認用の窓211eが設けられつつ樹脂ハウジング211dに覆われている。窓211eには透明カバー211fが被せられており、可溶体211bの溶断は、この透明カバー211f越しに視認される。また、樹脂ハウジング211dには、ヒュージブルリンク61が支持部材本体41の第2部分512に支持されるための一対の突起部211hが設けられている。
【0041】
ここで、本実施形態では、支持部材本体41の第2部分512に設けられた一対の溝部512cに、ヒュージブルリンク61のリンク本体211に設けられた一対の突起部211hが上方からスライドして嵌合することで、ヒュージブルリンク61が、設置面部1bに略直交する直交方向D1に延在するように支持部材本体41に支持される。他方、ヒュージブルリンク61の給電端子612がバッテリ端子3に直に固定される。このため、本実施形態では、給電端子612は、図3に示されている第1のヒュージブルリンク21の給電端子212とは異なり、バッテリ端子3に重ねられる位置に設けられている。そして、給電端子612には、バッテリ端子3のボルト33が貫通する貫通孔612aが設けられ、この貫通孔612aを貫通したボルト33にナット44が締め付けられることで給電端子612がバッテリ端子3に固定される。
【0042】
以上に説明した第2実施形態のヒュージブルリンクユニット15では、バッテリ端子3を介して電極ポスト1cにヒュージブルリンク61の荷重が多少掛かるものの、支持部材本体41における第2部分512の一対の溝部512c(一対の溝部、本体支持部)によってヒュージブルリンク61の荷重のかなりの部分が分担される。これにより、この第2実施形態においても、上述した第1実施形態のヒュージブルリンクユニット10と同様に、電極ポスト1cに掛かるヒュージブルリンク61の荷重を軽減することができる。
【0043】
また、一対の溝部512cが、ヒュージブルリンク61を上記の直交方向D1に延在するように取り付ける際にガイドの役割を果たし、ヒュージブルリンク61の取付け作業における作業性が向上している点も、上述した第1実施形態と同様である。
【0044】
尚、以上に説明した2つの実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の電気部品ユニット、ヒュージブルリンクユニット、及び固定構造の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0045】
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、いずれも、本発明にいう電気部品の一例としてヒュージブルリンク21,22,61が例示されている。しかしながら、本発明にいう電気部品はこれに限るものではなく、バッテリ端子を介してバッテリの電極に電気的に接続される電気部品であれば、例えば単体のヒューズやリレー等といったヒュージブルリンク以外の部品であってもよく、その具体的な態様を問うものではない。
【0046】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、いずれも、本発明にいう支持部材の一例として、係止金具42の係止によってバッテリ1に固定される支持部材4が例示されている。しかしながら、本発明にいう支持部材はこれに限るものではなく、バッテリに固定されるものであれば、例えばバッテリにネジ止めされるもの等であってもよく、バッテリに対する具体的な固定態様を問うものではない。
【0047】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、いずれも、本発明にいう支持部材の一例として、ヒュージブルリンク(電気部品)に設けられた一対の突起が嵌合する一対の溝部を備えた支持部材4が例示されている。しかしながら、本発明にいう支持部材はこれに限るものではなく、バッテリ端子とは別体に形成されてバッテリに固定されて、電気部品における電気部品本体を、バッテリの設置面部に略直交する直交方向に延在するように支持する部材であれば、例えば電気部品本体がネジ止め固定される部材等であってもよく、具体的な支持態様を問うものではない。
【0048】
また、上述した第1実施形態では、本発明にいう接続部材の一例として、一端がバッテリ端子3に固定されて、他端が、支持部材本体41における第2部分412に設けられた端子固定部412aに固定されるバスバ43が例示されている。しかしながら、本発明にいう接続部材は、これに限るものではなく、端子固定部に固定された給電端子をバッテリ端子に電気的に接続する部材であれば、例えば端子付きの電線等といったバスバ以外のものであってもよく、その具体的な態様を問うものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 バッテリ
1a 上面
1b 設置面部
1c 電極ポスト(電極)
3 バッテリ端子
4 支持部材
10,15 ヒュージブルリンクユニット(電気部品ユニット)
21 第1のヒュージブルリンク(電気部品)
22 第2のヒュージブルリンク(電気部品)
43 バスバ(接続部材)
61 ヒュージブルリンク(電気部品)
211,221 リンク本体(電気部品本体)
211h,221h 一対の突起部
212,222,612 給電端子
412a 端子固定部
412c 一対の第1溝部(一対の溝部、本体支持部)
412d 一対の第2溝部(一対の溝部、本体支持部)
512c 一対の溝部
D1 直交方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7