(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の電流検出器100の構成を示す概略図である。以下、電流検出器100の構成について説明する。
【0021】
〔磁性体コア〕
電流検出器100は、例えばパーマロイを用いた磁性体コア102を備えており、この磁性体コア102は全体として略角リング形状をなしている。磁性体コア102の内側(リングの内周)には略矩形状の電流導通部102aが形成されており、この電流導通部102aには、バスバー等の導体105(一次巻線)が挿通されるものとなっている。電流検出器100は導体105を通る電流を検出対象とするものであり、磁性体コア102は、導体105に被検出電流(If)が流れる際に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置されている。なお、被検出電流(If)が比較的低い水準(微弱電流)である場合、導体105を磁性体コア102に巻き付けてもよい。
【0022】
〔エアギャップ〕
上記のように磁性体コア102は略角リング形状をなしており、そのため磁性体コア102にはそれぞれ一対の短辺部102b及び長辺部102cが含まれている。また磁性体コア102には、例えば1つの長辺部102cの途中を部分的に切り欠くことでギャップ102dが形成されている。なおギャップ102dは、短辺部102bに形成されていてもよい。
【0023】
〔磁気検出素子〕
電流検出器100は、磁気検出用素子の一例としてホール素子106(MR素子、MI素子でもよい)を備えている。ホール素子106は、ギャップ102d内に挿入した状態で磁性体コア102に取り付けられている。なおホール素子106は、例えば樹脂封止によりパッケージされた電子部品であり、各ホール素子106には、例えば図示しない電源回路を通じて駆動電圧(例えば+5V)が供給されている。ホール素子106は、ギャップ102dに発生する磁界の強さ(磁束)に応じた電圧信号(ホール電圧)を出力する。
【0024】
〔専用回路〕
また電流検出器100は、専用回路108を備えている。この専用回路108は、例えば第1実施形態のようなサーボタイプの電流検出器100向けに構成を最適化し、内部に専用設計の回路をパッケージした電子部品(ディスクリート製品)である。専用回路108には、図示しない電源回路から駆動電圧(例えば+5V)が供給される他、ホール素子106から出力される電圧信号が入力されている。また専用回路108は、参照ポートとしてREFIN及びREFOUT(例えば2.5V)を有している。
【0025】
〔フィードバック回路〕
上述したように、第1実施形態の電流検出器100はサーボタイプであり、そのためフィードバック回路としての構成要素を備えている。フィードバック回路は、例えば上記の専用回路108内に図示しない差動増幅器を有する他、専用回路108に接続された二次巻線104を有している。二次巻線104は、例えば磁性体コア102の一方の長辺部102cに巻かれた状態で形成されている。二次巻線104は、ホール素子106からの電圧信号に基づいて専用回路108内で生成されたフィードバック電流(Ih)が供給されることで、被検出電流(If)により発生する磁界を打ち消す方向への逆磁界を発生させるものである。なおフィードバック回路には負荷抵抗110が設けられており、二次巻線104の電流出力(Ih)は、負荷抵抗110で電圧出力(Vout)に変換される。
【0026】
〔消磁回路〕
また、電流検出器100は消磁回路150を有している。この消磁回路150は、磁性体コア102の残留磁束を消去する(いわゆるヒステリシス除去)ものである。このため磁性体コア102には、上記の二次巻線104とは別に消磁用コイル156が巻かれており、消磁用コイル156には消磁回路150から交流電流が印加されるものとなっている。具体的には、消磁回路150は発振回路152及び減衰回路154を有している。このうち、発振回路152は所定範囲の周波数で交流電流を生成し、減衰回路154がこれを減衰させて消磁用コイル156に印加する。
【0027】
〔交流波形〕
図2は、消磁回路150から消磁用コイル156に印加される交流電流の波形を概略的に示す図である。
消磁回路150の発振回路152は、例えば以下の式で表される交流電流(Ipp)を生成する。
Ipp=Vh/Vgain・If
上式において、
Vh:ヒステリシス電圧
Vgain:0.625V
If:被検出電流(定格値)
である。
【0028】
また、交流電流(Ipp)の周波数は、8kHz〜17kHzの範囲内に設定されている。減衰回路154は、交流電流(Ipp)を時間の経過とともに減衰し、印加開始から減衰時間Tsで概ね電流値を0にする。ここでは、減衰時間Tsを例えば50msとする。なお、減衰時間Tsは例えば5ms〜1000msの範囲内で設定することができる。
【0029】
〔周波数範囲の設定〕
ここで、交流電流(Ipp)の周波数を8kHz〜17kHzの範囲内に設定する根拠について説明する。周波数の範囲は、以下の試験に基づいて設定されている。
【0030】
〔ヒステリシス除去試験〕
図3は、消磁回路150を用いたヒステリシス除去効果を確かめるための実験モデル(電流センササンプル)の構成を概略的に示す図である。実験モデルでは、例えば試験用コア302が珪素鋼板製の積層タイプの電流センサとする。また、試験用コア302には上記の消磁用コイル156を巻き、消磁回路150を接続する。一方、試験用コア302には磁束変化の監視用コイル5を巻き、これに電圧モニタ160を接続する。なお、ここでは消磁用コイル156の巻き数は例えば13ターン、監視用コイル5の巻き数は例えば5ターンとする。
【0031】
〔試験条件〕
ヒステリシス除去試験は、例えば以下の条件下で行うものとする。
(1)消磁器で実験用電流センサのコア302を消磁して、電源±15Vを接続し、マルチメータで、オフセット電圧を測定する。
(2)実験用電流センサの電源をOFFに設定する。実験用電流センサのコア302に10倍定格電流を貫通してから、電源をONにする。実験用電流センサのオフセット電圧を測定する。
(3)消磁用コイル156に通電して、電圧モニタ160で励起波形を監視し、励起波形の観察ができれば、消磁効果を「有」と観察する。消磁コイル156の信号をOFFして、実験用電流センサの出力電圧(オフセット電圧)を測定して、消磁コイル156を働かせた前後のオフセット電圧の変化は消磁効果とする。
(4)上記(3)の後、試験用コア302を一旦励磁し、試験用コア302に残留磁束を発生させる。通過電流は43.8A×13(ターン数)=570ATとする。
(5)そして、消磁回路150をヒステリシス除去の態様で作動させ、減衰特性を有する交流電流を印加する。
【0032】
〔試験結果〕
図4は、ヒステリシス除去試験の結果を示す図である。ここでは、試験を10回(No.1〜No.10)行い、それぞれの回で得られた各種の値を一覧にしている。また試験は、回毎に印加電流の周波数を変えて行った。
【0033】
〔測定項目〕
毎回の試験における測定項目(周波数は設定による)は、以下の通りである。
(1)消磁後のオフセット電圧:Voffset(mV)
(2)励磁後のヒステリシス:VH(mV)
(3)印加電流のRMS値(A)×13T:印加する交流電流の巻き数倍とする。
(4)ヒステリシス除去周波数(Hz):設定した周波数。
(5)電流印加後(消磁試験後)のオフセット電圧:VOFFSET(mV)
(6)ヒステリシス除去効果(mV):VoffsetとVOFFSETとの差を除去効果とする。
(7)監視波形:VRMS(mV)、電圧モニタ160で監視された波形の電圧RMS値。
以下、試験結果について説明する。
【0034】
〔試験1回目〕
図4中、「No.1」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を10Hzに設定した場合、ヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)としては何らかの値(−9.29mV)が得られているが、監視波形は観測されなかった。
【0035】
〔試験2回目〕
次に、
図4中、「No.2」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を10倍の100Hzに設定した場合、同じくヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)としては何らかの値(−5.80mV)が得られているが、やはり監視波形は観測されなかった。
【0036】
〔試験3回目〕
次に、
図4中、「No.3」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数をさらに10倍の1kHzに設定した場合、ここでもヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)としては何らかの値(−9.60mV)が得られているが、依然として監視波形は観測されなかった。
【0037】
〔試験4回目〕
そこで、
図4中、「No.4」の試験結果に示されるように、今度は印加する交流電流の周波数を8kHzに設定した。この結果、ヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)として良好な値(−11.25mV)が得られるとともに、監視波形(120mV)が観測された。
【0038】
〔試験5回目〕
続いて、
図4中、「No.5」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を17kHzに設定した。ここでも、ヒステリシス除去効果(VOFFSET−Voffset)として良好な値(−8.33mV)が得られるとともに、監視波形(156mV)が観測された。
【0039】
〔試験6回目以降〕
また、
図4中、「No.6」〜「No.8」の試験結果に示されるように、印加する交流電流の周波数を20kHz、25kHz、30kHzと次第に高くしていっても、ヒステリシス除去効果の値(−8.68mV、−12.00mV、−9.12mV)が得られ、監視波形(192mV、307mV、355mV)が観測された。
【0040】
同様に、
図4中の「No.9」及び「No.10」の試験結果は、それぞれ周波数を50kHz、100kHzにまで高く設定したものである。これら試験では、ヒステリシス除去効果の値(−10.75mV、−11.88mV)が得られ、監視波形(575mV、1060mV)が観測されている。
【0041】
〔試験結果のまとめ(1)〕
以上の試験結果「No.1」〜「No.10」から、以下のことが明らかとなる。
(i)電流センササンプルの消磁用コイル156に交流電流を印加すると、結果としてヒステリシス除去の効果が得られる。
(ii)ただし、8kHzより低い周波数域では監視波形が得られていないことから、これら低周波数域(10Hz〜1000Hz)では試験用コア302に磁束変化が表れていない。
(iii)一方、8kHz以上の高い周波数域では監視波形が得られることから、試験用コア302に磁束変化が現れる周波数は8kHz以上であることがわかる。
【0042】
〔ヒステリシス除去効果の測定〕
そこで、印加する交流電流の周波数を10kHzに設定した上でさらに複数回(ここでは12回)の試験を行い、各回のヒステリシス除去効果を測定した。なお、試験条件は
図4に示したものと同じである。この試験では、毎回の印加する交流電流のRMS値を変化させている。
【0043】
図5は、交流電流の周波数を10kHzに設定した場合のヒステリシス除去効果の結果を示す図である。また
図6は、
図5の測定結果に基づき、交流電流の実効値とヒステリシス変化量との関係をプロットした図である。
図5中の「ヒステリシス除去効果(mV)」は、「励磁後ヒステリシスVH(mV)」と「Voffset(mV)」との差である。また、「監視波形VRMS(mV)」のカラムに「ok」とあるのは、有意な波形が観測されたことを表している。なお、各回「No.1」〜「No.12」における各測定値の詳細については図示のものを参照するものとし、ここでは個別の言及を省略する。
【0044】
〔試験結果のまとめ(2)〕
以上の試験結果(
図5中のNo.1〜No.12及び
図6)から、以下のことが明らかとなっている。
(i)10kHzの周波数で交流電流を消磁用コイル156に印加すると、全ての回においてオフセット電圧に有意な変化が見られることから、ヒステリシス除去効果があることが分かる。
(ii)このとき、印加する交流電流の実効値を大きくすると、それに伴ってオフセット電圧の変化量(絶対値)も全体としては大きくなる傾向にある(多少のばらつきはある)。
【0045】
〔実施例〕
以上の電流センササンプルを用いた試験結果を踏まえ、
図1に示す第1実施形態のサーボタイプの電流検出器100において実際にヒステリシス除去試験を行った。今回の試験は、電流検出器100を実際に使用するシステム(例えば冷凍機)の電源を遮断した状態として導体105に定格値の10倍の直流電流を通したとき、磁性体コア102に残留したヒステリシスを消磁回路150によって除去することを目的とする。
【0046】
〔理論推測〕
ここで、実際の試験に先立ち、磁性体コア102の素材及び専用回路108(ディスクリート製品)の特性から以下の理論的な推測が成り立つ。
(a)オフセット電圧(VOFFSET)=2.5V、定格電流If=7A
(b)上記の誤差=±20mV
(c)ヒステリシス相当の電流値(計算値):Ipp=Vh/Vgain・Ifの式から、20/625×7=0.224A=224mA
(d)したがって、ヒステリシス除去用の電流値は0mAから224mAの範囲で高下しつつ減衰する。
【0047】
〔試験結果〕
図7及び
図8は、印加する電流の周波数と電流値の条件を各種に異ならせた場合の試験結果を示す図である。このうち
図7中(A)は、消磁用コイル156の巻き数を1回(1T)とした場合の試験結果を示し、
図7中(B)及び
図8中(A),(B)は、いずれも消磁用コイル156の巻き数を5回(5T)とした場合の試験結果を示している。ヒステリシス除去効果の有無の判定は、試験後のオフセット電圧が理論上のオフセット電圧=2.5V±10mVにあれば「有」とし、それ以外は「無」とする。
【0048】
図7中(A):交流電流の周波数を8kHzとし、各回(No.1〜No.5)に示す電流値にてヒステリシス除去を試みた。このうち、「No.1」〜「No.4」に示す試験では、いずれもヒステリシス除去効果が「無」の判定となった。「No.5」に示す試験のみがヒステリシス除去効果「有」となっている。
【0049】
図7中(B):次に、電流値を100mAに設定し、交流電流の周波数を11kHz〜17kHzまで変化させて各回(No.1〜No.7)の試験を行った。ここでのヒステリシス相当の電流実効値は44.8mAである。この結果、全ての回でVoffsetが安定した値(2.499V)に落ち着き、ヒステリシス除去効果は全て「有」となった。
【0050】
図8中(A):交流電流の周波数を500Hzと低く設定し、各回(No.1〜No.4)に示す電流値にてヒステリシス除去を試みた。ここでのヒステリシス相当の電流実効値は112mAである。この結果、全ての回でVoffsetが許容範囲を超えた値(2.490V)となり、ヒステリシス除去効果が「無」の判定となった。
【0051】
図8中(B):交流電流の周波数を
図8中(A)より高い1kHzに設定し、各回(No.1〜No.4)に示す電流値にてヒステリシス除去を試みた。ここでのヒステリシス相当の電流実効値は112mAである。しかし、ここでも全ての回でVoffsetが許容範囲を超えた値(2.490V)となり、いずれもヒステリシス除去効果は「無」の判定となった。
【0052】
〔試験結果のまとめ(3)〕
サーボタイプの電流検出器100を用いた試験結果から、以下のことが明らかとなる。
(i)
図7中(A)においてヒステリシス除去効果「有」となる周波数の下限は8kHzである。特に図示していないが、別途試験を行った結果、印加する交流電流の周波数が8kHzより低いと、高インピーダンスのために充分なヒステリシス除去効果が得られないことが分かっている。
(ii)また、
図7中(B)においてヒステリシス除去効果が「有」となる周波数は11kHz〜17kHzである。特に図示していないが、別途試験を行った結果、周波数が17kHzより高くなると磁性体コア102がACCTとして働き、サーボ作用が止まるために充分なヒステリシス除去効果が得られないことが分かっている。
(iii)よって、交流電流の最適な周波数の範囲は8kHz〜17kHzであり、この範囲内の周波数で減衰特性を有した交流電流を消磁用コイル156に印加すると、一例として好適に設定した減衰時間Ts(50ms)内でヒステリシス除去を完了することができる。なお、図示しない別途試験の結果によれば、減衰時間Tsは5ms〜1000msの範囲内で設定することができる。すなわち、減衰時間Tsが5msより短いと十分なヒステリシス除去効果が得られないし、減衰時間Tsが1000msを超えるとシステム起動時の応答性(スタートアップ時間)に悪影響を生じるためである。
【0053】
〔第2実施形態〕
図9は、第2実施形態の電流検出器200の構成を示す概略図である。なお、ここでは第1実施形態と共通する事項について、図示も含めて共通の符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。以下、第2実施形態の電流検出器200について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
第2実施形態では、磁性体コア102に消磁用コイルが巻かれておらず、消磁回路150はコンデンサ158を介して二次巻線104に接続されている。このため第2実施形態では、二次巻線104をヒステリシス除去の用途に兼用することができ、それだけ巻線使用量を低減することができる。
第2実施形態では、消磁回路150をコンデンサ158でフィートバックコイル104に結合し、消磁用の交流信号で磁性体コア102のヒステリシスを除いた後にこの交流信号をフィートバック系の電流電圧変換用高精度抵抗に通過させれば、そのまま電流検出器200による出力側の値を観察することができるが、ここではフィートバックコイル104を消磁コイルとしても機能させて磁性体コア102を消磁することにより、電流検出器200をONにして先ず消磁の動作を行い、その後で電流検出器200としての動作を行うことができる。したがって、消磁時間内では電流検出器200としての信号出力(電流検出値の出力)は行わない。
なお、コンデンサ158としては、静電容量が50nF〜0.22μFのものを用いることができる。
【0055】
その他の専用回路108やフィードバック回路の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、ここではその説明を省略する。
【0056】
〔第3実施形態〕
図10は、第3実施形態の電流検出器300の構成を示す概略図である。ここでも第1,第2実施形態と共通する事項については、図示も含めて共通の符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。以下、第3実施形態の電流検出器300について、第1,第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
〔オープンタイプ〕
すなわち、第3実施形態の電流検出器300は、二次巻線を持たないオープンタイプである点が異なっている。第3実施形態の電流検出器300は、専用回路108に代えて増幅回路308を有しており、ホール素子106からの信号は増幅回路308にて増幅されて電圧出力(Vout)となる。
【0058】
このようなオープンタイプの電流検出器300においても、消磁用コイル156に8kHz〜17kHzの周波数で交流電流を印加することにより、第1,第2実施形態と同様にヒステリシス除去を行うことができる。
【0059】
〔動作制御例〕
次に、各実施形態の電流検出器100,200,300の動作制御の好適な例について説明する。
【0060】
第1〜第3実施形態において、電流検出器100,200,300は、それぞれが適用されるシステム(例えば冷凍機)の電源がオフの状態からオンの状態になるタイミング(起動時)を起点としてヒステリシス除去の動作を開始することができる。
【0061】
〔第1,第2実施形態の制御例〕
具体的には、第1,第2実施形態の制御例では、電流検出器100,200が適用されたシステムに電源が投入(OFF→ON)されると、これをトリガとして専用回路108から消磁回路150に作動信号を出力する構成とする。そして、これを受けて消磁回路150が交流電流の印加を開始し、減衰時間Ts内でヒステリシス除去を完了する手順を制御プログラムに組み込んでおく。以後、システムの稼働中は消磁用コイル156に通じる電流が0の近似値にまで減衰しているので、消磁用コイル156が磁性体コア102に磁束を発生させることはない。
【0062】
〔第3実施形態の制御例〕
また、第3実施形態の制御例は、電流検出器300が適用されたシステムに電源が投入(OFF→ON)されると、これをトリガとして増幅回路308から消磁回路150に作動信号を出力する構成とする。これを受けて消磁回路150が交流電流の印加を開始し、同じく減衰時間Ts内でヒステリシス除去を完了する手順を制御プログラムに組み込んでおく。以後、システムの稼働中は消磁用コイル156に通じる電流が0の近似値にまで減衰しているので、消磁用コイル156が磁性体コア102に磁束を発生させることはない。
【0063】
上述した各実施形態によれば、ヒステリシスの影響が最も顕著となるシステムの起動時にヒステリシス除去の動作を行うことで、システムの稼働開始初期から高精度に電流の検出を行うことができる。
【0064】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。例えば、磁性体コア102の形状は各実施形態で挙げた四角リング形状だけでなく、その他の多角形リング形状であってもよいし、円形状や楕円形状であってもよい。また磁性体コア102は、パーマロイ以外の磁性材料(フェライト、珪素鋼板、鉄−ニッケル合金等)を用いて製作してもよく、磁性体コア102にはトロイダル構造や積層構造を採用することができる。なお、磁性体コア102の具体的な形状や大きさ、厚み等の仕様は、実際に対象とする被検出電流の特性に合わせて適宜に変更することができる。
【0065】
その他、図示とともに挙げた電流検出器100,200,300やその一部の構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換しても本発明を好適に実施可能であることはいうまでもない。