【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、文部科学省、学習上の支援機器等教材開発支援事業に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
天野 純子,読み書きに困難をもつ子どものための学習支援システムの構築,電子情報通信学会技術研究報告,日本,2004年 9月10日,第104巻 第314号 ,p. 7-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
テキストデータ及び該テキストデータを読み上げてなる音声データを含むデジタルコンテンツのテキストデータを表示する端末表示部と、デジタルコンテンツの音声データを音声出力する音声出力部と、前記端末表示部及び前記音声出力部によって再生されたデジタルコンテンツのフレーズごとに、少なくとも該フレーズのID情報及び該フレーズの再生開始時間を再生ログデータとして記憶する再生ログデータ記憶部と、該再生ログデータ記憶部に記憶された再生ログデータを送信する送信部と、を有する1又は複数の端末装置と、
各前記端末装置から送信された再生ログデータを受信する受信部と、該受信部によって受信された各前記端末装置の再生ログデータをデジタルコンテンツのフレーズごとに再生に要した時間及び再生回数に変換するデータ変換部と、該データ変換部によって変換されたデジタルコンテンツのフレーズごとの再生に要した時間及び再生回数を表示するサーバ表示部と、前記サーバ表示部に表示させる再生ログデータのフレーズの文字列を縦方向に配置し、該フレーズの文字列の再生に要した時間を各文字列の右側に配置したマス目の横方向の長さで示すとともに、フレーズごとの再生回数を同一画面上で表示させる表示制御部と、を有するサーバ装置とを具備することを特徴とする教育支援システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
児童生徒が学習用デジタルコンテンツを再生して学習を行う場合、児童生徒を指導する指導者側で、再生終了直後に学習の進捗状況を把握、管理する必要性がある。
また、児童生徒自身も、再生終了直後に再生状況を確認した方が、自身の読解力の把握をしやすい。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、指導者及び児童生徒自身が、効果的かつ効率的な学習を行えるような情報を付与できる教育支援システム及び端末装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる教育支援システムによれば、テキストデータ及び該テキストデータを読み上げてなる音声データを含むデジタルコンテンツのテキストデータを表示する端末表示部と、デジタルコンテンツの音声データを音声出力する音声出力部と、前記端末表示部及び前記音声出力部によって再生されたデジタルコンテンツのフレーズごとに、少なくとも該フレーズのID情報及び該フレーズの再生開始時間を再生ログデータとして記憶する再生ログデータ記憶部と、該再生ログデータ記憶部に記憶された再生ログデータを送信する送信部と、を有する1又は複数の端末装置と、各前記端末装置から送信された再生ログデータを受信する受信部と、該受信部によって受信された各前記端末装置の再生ログデータをデジタルコンテンツのフレーズごとに再生に要した時間及び再生回数に変換するデータ変換部と、該データ変換部によって変換されたデジタルコンテンツのフレーズごとの再生に要した時間及び再生回数を表示するサーバ表示部と、前記サーバ表示部に表示させる再生ログデータのフレーズの文字列を縦方向に配置し、該フレーズの文字列の再生に要した時間を各文字列の右側に配置したマス目の横方向の長さで示すとともに、フレーズごとの再生回数を同一画面上で表示させる表示制御部と、を有するサーバ装置とを具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、端末装置によって再生されたデジタルコンテンツの再生ログデータがサーバ装置によって表示され、児童生徒の学習の進捗状況を容易に把握できる。
【0008】
また、各前記端末装置は、端末表示部の表示面と同じ方向を向くカメラと、カメラで撮像された端末装置の操作者の目の画像を解析することにより操作者の視線方向を算出し、算出された視線が端末表示部に表示されているデジタルコンテンツの文章のいずれの箇所に向いているかを検出する視線検出手段とを有し、該視線検出手段によって検出された視線を受けた箇所は、前記再生ログデータと関連付けして前記再生ログデータ記憶部に記憶され、前記サーバ装置の前記表示制御部は、前記サーバ表示部に表示させるフレーズの文字列に関連付けして視線が向いていた文字列を表示することを特徴としてもよい。
この構成によれば、端末装置の操作者のコンテンツ再生中の視線位置を、容易に把握することができる。このため、例えば問題文に対して回答を検討する際に正しい箇所を視線が追っているか否かを容易に把握することができる。
【0009】
また、各前記端末装置は、端末表示部がタッチパネルであり、デジタルコンテンツの再生時に端末装置の操作者が端末表示部をタップした場合にタップされた箇所が端末表示部に表示されているデジタルコンテンツの文章のいずれの箇所かを検出するタップ位置検出手段とを有し、該タップ位置検出手段によって検出されたタップされた箇所は、前記再生ログデータと関連付けして前記再生ログデータ記憶部に記憶され、前記サーバ装置の前記表示制御部は、前記サーバ表示部に表示させるフレーズの文字列に関連付けしてタップされた文字列を表示することを特徴としてもよい。
この構成によれば、端末装置の操作者が表示部をタップした部分を、容易に把握することができる。このため、例えば問題文に対して回答を検討する際に正しい箇所をタップしているか否かを容易に把握することができる。
【0010】
また、各前記端末装置は、少なくとも文字書式、文字の色、及び音声出力条件を含む再生時設定情報を、前記サーバ装置及び当該端末装置の双方からの指示によって設定可能であって、設定された条件でデジタルコンテンツの表示及び音声出力を実行させる再生条件設定部を備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、再生時の条件を各端末装置の操作者が自ら設定できるとともに、サーバ装置の操作者も各端末装置の再生時の条件を設定できる。このため、サーバ装置の操作者が学習の進捗状況等に基づいて、これに適した条件を設定することができる。
【0011】
また、各前記端末装置は、各前記端末装置の操作者が操作した内容も再生ログデータとして再生ログデータ記憶部に記憶することを特徴としてもよい。
この構成によれば、各端末装置でどのような操作がされたかも確実に把握できる。
【0012】
本発明にかかる端末装置によれば、テキストデータ及び該テキストデータを読み上げてなる音声データを含むデジタルコンテンツのテキストデータを表示する表示部と、デジタルコンテンツの音声データを音声出力する音声出力部と、
前記表示部及び前記音声出力部によって再生されたデジタルコンテンツのフレーズごとに、少なくとも該フレーズのID情報及び該フレーズの再生開始時間を再生ログデータとして記憶する再生ログデータ記憶部と、該再生ログデータ記憶部の再生ログデータをデジタルコンテンツのフレーズごとに再生に要した時間及び再生回数に変換するデータ変換部と、該データ変換部によって変換された再生ログデータのフレーズの文字列を縦方向に配置し、該フレーズの文字列の再生に要した時間を各文字列の右側に配置したマス目の横方向の長さで示すとともに、フレーズごとの再生回数を同一画面上で表示させる表示制御部と、を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、端末装置によって再生されたデジタルコンテンツの再生ログデータを表示させることができるので、児童生徒自身が、学習の進捗状況を容易に把握できる。
【0013】
また、表示部の表示面と同じ方向を向くカメラと、カメラで撮像された操作者の目の画像を解析することにより操作者の視線方向を算出し、算出された視線が表示部に表示されているデジタルコンテンツの文章のいずれの箇所に向いているかを検出する視線検出手段とを備え、該視線検出手段によって検出された視線を受けた箇所は、前記再生ログデータと関連付けして前記再生ログデータ記憶部に記憶され、前記表示制御部は、前記表示部に表示させるフレーズの文字列に関連付けして視線が向いていた文字列を表示することを特徴としてもよい。
この構成によれば、児童生徒自身が、自分の視線位置を、容易に把握することができる。このため、例えば問題文に対して回答を検討する際に正しい箇所を視線が追っているか否かを容易に把握することができる。
【0014】
また、前記視線検出手段によって検出された視線を受けた箇所は、テキストデータ表示中の表示部に表示されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、視線の位置をリアルタイムで操作者に把握させることができる。
【0015】
また、表示部がタッチパネルであり、デジタルコンテンツの再生時に操作者が表示部をタップした場合にタップされた箇所が表示部に表示されているデジタルコンテンツの文章のいずれの箇所かを検出するタップ位置検出手段とを有し、該タップ位置検出手段によって検出されたタップされた箇所は、前記再生ログデータと関連付けして前記再生ログデータ記憶部に記憶され、前記表示制御部は、前記表示部に表示させるフレーズの文字列に関連付けしてタップされた文字列を表示することを特徴としてもよい。
この構成によれば、児童生徒自身が、自分が表示部をタップした部分を、容易に把握することができる。このため、例えば問題文に対して回答を検討する際に正しい箇所をタップしているか否かを容易に把握することができる。
【0016】
また、操作者が操作した内容も再生ログデータとして再生ログデータ記憶部に記憶することを特徴としてもよい。
この構成によれば、各端末装置でどのような操作がされたかも確実に把握できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、児童生徒の読解力の支援を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明にかかる教育支援システムの全体構成を
図1に示す。
教育支援システム20は、1又は複数のサーバ装置30と、1又は複数の端末装置40とを備えている。
図1では、1台のサーバ装置30に、複数の端末装置40がインターネット等のネットワーク21を介して接続されているところを示している。
【0020】
教育支援システム20は、児童生徒一人一人が少なくとも1台の端末装置40を所有しているものであり、各端末装置40において学習用デジタルコンテンツをサーバ装置30からダウンロードして各児童生徒が学習用デジタルコンテンツを視聴するものである。学習用デジタルコンテンツとしては、DAISY規格による電子図書を採用している。児童生徒が端末装置40を操作して学習用デジタルコンテンツを再生することで、学習用デジタルコンテンツの文章部分が端末装置に表示されるとともに表示された文章部分に対応する音声データを端末装置が読み上げるように動作する。
また、サーバ装置30は、児童生徒の指導者又は教師など、児童生徒を束ねる立場にある者が操作可能とするものである。
【0021】
端末装置40の構成を示す
図2に基づいて、端末装置40について説明をする。
端末装置40は、インターネットに接続可能な携帯端末であるタブレット端末(スレート型PC)を採用することができる。
端末装置40は、タッチパネルを採用した表示部41と、インターネットに接続するためのインターフェース部42と、CPU及びメモリ等から構成される制御部44と、音声を出力するスピーカ47とを備えている。なお、特許請求の範囲の端末表示部は、上記の表示部41が該当する。また、特許請求の範囲の音声出力部は、上記のスピーカ47が該当する。
【0022】
端末装置40は、サーバ装置30に記憶されているデジタルコンテンツを再生する再生ソフトウェアAを備えている。再生ソフトウェアは、サーバ装置30からダウンロードしたデジタルコンテンツを再生可能(ダウンロードしながら再生するストリーミング再生を含む)な機能を有するプログラムから構成されている。再生ソフトウェアAは、半導体メモリなどの記憶部46に記憶されており、制御部44が再生ソフトウェアAを読み出して実行することでデジタルコンテンツの再生が行われる。
【0023】
端末装置40は、少なくとも文字書式、文字の色、及び音声出力条件を含む再生時設定情報を設定することができる。この再生時設定情報に基づいてデジタルコンテンツの再生が行われる。再生時設定情報として、さらに具体的には、文字の書体、文字の大きさ、音声再生速度などを挙げることができる。
【0024】
端末装置40は、再生時設定情報を端末装置40の操作者(児童生徒)によって設定可能であって、設定された条件でデジタルコンテンツの表示及び音声出力を実行させる再生条件設定部49を有している。
なお、再生条件設定部49は、端末装置40の操作者(児童生徒)だけでなく、サーバ装置30からも操作可能に設けられている。すなわち、サーバ装置30の操作者(指導者)によって、各児童生徒に適した再生時の設定を行うことができ、学習効果を上げることができる。
【0025】
本実施形態におけるデジタルコンテンツは、電子図書であるとする。電子図書の規格としては、デジタル録音図書であるDAISY規格などが代表的である。
DAISY規格の電子図書データは、smil(Synchronized Multimedia Integration Language)ファイルと、見出し情報が記述されたnccファイル又はncxファイルと、表示部41に表示可能なテキストデータを記述したhtmlファイル又はxmlファイルと、テキストデータを読み上げた音声データファイルとを備えている。
【0026】
smilファイルは、マークアップ言語の一種であり、htmlファイル又はxmlファイル内の各フレーズの表示する順番と、各フレーズに対応する音声データファイルの再生開始・終了時間が記述されている。
【0027】
端末装置40において、制御部44が再生ソフトウェアAを実行すると、所定のデジタルコンテンツのフレーズごとにテキストデータが表示部41に表示される。また、端末装置の操作者(児童生徒)が後述する再生ボタン50をタップすることにより、表示部41に表示されているテキストデータに該当する部分の音声データファイルがテキストデータと同期してスピーカ47から音声出力される。
【0028】
再生ソフトウェアAの実行に伴い、端末装置40の表示部41には、例えば
図3に示すような画面が表示される。
この図に示す例では、右から左方向にデジタルコンテンツ中の文章の一部が表示されている。また、文章の下部には、再生ボタン50、早送りボタン52、巻き戻しボタン54、次ページボタン56、前ページボタン58が表示されている。
【0029】
表示部41は、タッチパネルであるので、操作者(児童生徒)が、上記の再生ボタン50、早送りボタン52、巻き戻しボタン54、次ページボタン56、前ページボタン58のいずれか、または聞きたいフレーズを直接タップすることによって、再生ソフトウェアAは各動作を実行する。
【0030】
例えば、操作者(児童生徒)が再生ボタン50をタップすると、再生ソフトウェアAは表示部41に表示されている文章に対応する音声データファイルを再生する。
音声データファイルの再生が終了すると、操作者(児童生徒)は、理解が進まなかった場合は、巻き戻しボタン54をタップすることによって、もう一度同じフレーズを再生できる。
また、次のページに進む場合には、次ページボタン56をタップすることで、再生ソフトウェアは、次のフレーズの文章を表示部41に表示させる。
【0031】
音声データファイルの再生が行われると、1つのフレーズごとのフレーズのID情報と再生開始時間が再生ログデータとして記憶部46に記憶される。なお、その他に再生ログデータとしては、日時、端末装置40において操作された操作情報(再生ボタンや停止ボタンなどの操作)、再生情報(フレーズの内容)、サーバ装置30からの設定値変更情報などを含むデータ等も含む。
【0032】
再生ソフトウェアは、ピンチイン及びピンチアウトについても対応可能である。操作者(児童生徒)がピンチインをすると、再生ソフトウェアが表示部41に表示されている各文字を縮小し、さらに多くの文字を表示させる。したがって、1画面当たりにおける表示文字数が増加することとなる。
一方、操作者(児童生徒)がピンチアウトをすると、再生ソフトウェアが表示部41に表示されている各文字を拡大し、表示されている文字数を減らす。したがって、1画面当たりにおける表示文字数が減少することとなる。
【0033】
ピンチイン又はピンチアウトすることに伴って、1画面ごとの再生時間も異なってくるが、再生ログデータとしては、1つのフレーズ単位で再生時間とともに画面に表示されている先頭のフレーズと最後のフレーズもログとして記憶することで、ピンチイン又はピンチアウトの操作を記録することができる。同様に、スクロールの操作も記録することができる。
【0034】
記憶部46に記憶された再生ログデータは、1つの学習用デジタルコンテンツの再生が終了したのちに、まとめてサーバ装置30へ送信される。再生ログデータの送信タイミングとしては、再生ソフトウェアAが再生終了のタイミングで送信を行えばよい。
ただし、再生ログデータのサーバ装置30への送信は、1つフレーズにおける再生時間の検出が終了する都度、フレーズごとの再生ログデータを送信してもよい。
【0035】
端末装置40には、表示部41の表面と同一方向を向くカメラ70が設けられている。カメラ70は、表示部41を操作する操作者(児童生徒)の方を向くように配置されている。カメラ70は、レンズと撮像素子とを有している。カメラ70には、撮影された画像から視線を検出する視線検出部75が接続されている。
【0036】
視線検出部75は、演算装置及びメモリ等から構成されており、撮像素子からのデータが入力され、視線を検出する。
視線検出の方法としては種々のものがある。例えば、視線検出部75は、撮影された画像の中から瞳孔の位置と角膜反射を検出することにより、視線の位置を決定することができる。また、別の方法としては、視線検出部75が瞳孔の中心を検出し、この瞳孔の中心位置を視線位置とする方法がある。
【0037】
視線検出部75は、視線位置を連続して検出する。検出された視線位置は、視線上に表示されているテキストデータのフレーズの再生ログデータと共に、記憶部46に記憶される。
また、視線検出部75は、検出された視線が同じ位置で停止している場合、その停止時間も計測する。計測された視線の停止時間は、再生ログデータと共に、記憶部46に記憶される。
【0038】
なお、カメラ70の動作は、表示部41に表示される視線追尾ボタン(図示せず)を操作者(児童生徒)がタップすることにより開始される。また、カメラ70の動作終了も、表示部41に表示される視線追尾ボタン(図示せず)を操作者(児童生徒)がタップすることにより終了する。
ただし、カメラ70の動作を、操作者(児童生徒)が指示した場合にのみ行うのではなく、再生ソフトウェアAが起動した後、デジタルコンテンツの再生と共に自動的にカメラ70も自動的に視線位置の検出を行ってもよい。
【0039】
さらに、端末装置40は、学習用デジタルコンテンツを再生中に、操作者(児童生徒)が表示部41をタップした場合に、その位置を検出するタップ位置検出部72を備えている。タップ位置検出部72は、表示部41からのタップの検出信号に基づいて、再生ソフトウェアAによって再生されている学習用デジタルコンテンツのいずれのテキストデータの箇所でタップされているかを検出する。このタップ位置検出部72は制御部44の一機能として設けられていてもよい。
【0040】
次に、サーバ装置30の構成を
図4に示す。
サーバ装置30は一般的なコンピュータ(PC)を採用することができる。サーバ装置30は、HDD等から構成される記憶部60と、インターネットに接続するためのインターフェース部62と、CPU及びメモリ等から構成される制御部64と、モニタ等で構成される表示部63と、マウス及びキーボード等を含む入力部65とを備えている。
【0041】
なお、特許請求の範囲のサーバ表示部は、上記の表示部63が該当し、特許請求の範囲の受信部は、上記のインターフェース部62が該当し、特許請求の範囲の表示制御部は、上記の制御部64が後述する表示ソフトウェアを実行することで実現される。
【0042】
サーバ装置30では、各端末装置40から送信されてきた再生ログデータ(視線位置、タップ位置があればそれを含めたデータ)をインターフェース部62で受信し、記憶部60に記憶している。
サーバ装置30の制御部64は、記憶部60に記憶されている再生ログデータ(少なくともフレーズごとのID情報及びフレーズごとの再生開始時間を含む)を、フレーズごとに再生に要した時間及びフレーズごとの再生回数に変換し、変換したフレーズごとに再生に要した時間及びフレーズごとの再生回数を表示部63に表示させることができる。すなわち、特許請求の範囲でいうデータ変換部は、制御部64がデータ変換機能を実現する。
【0043】
ここで、再生ログデータの構成を
図5に示す。
各端末装置40にて生成される再生ログデータは、何らかの操作ボタンが操作された日時、操作の内容、端末装置40の状態、タイトル名、再生ファイル名、フレーズID、該当フレーズのテキストデータが含まれている。
【0044】
制御部64は、フレーズごとの再生開示時間と次のフレーズの再生開始時間に基づいて、各フレーズの再生に要した時間を算出する。また、制御部64は、フレーズごとのファイル名に関して同じファイル名がいくつ存在するかに基づいて、各フレーズの再生回数を算出する。
【0045】
制御部64によって再生ログデータから算出された、各フレーズの再生に要した時間及び各フレーズの再生回数の表示は、あらかじめ記憶部60に記憶されていた表示ソフトウェアBによって実行される。
【0046】
図6及び
図7に、表示部63に表示される各フレーズの再生に要した時間及び各フレーズの再生回数の表示例を示す。
図6のグラフは、横軸に時間を表し、縦軸は上から学習用デジタルコンテンツの文頭で下が文末となるように、文章を所定の範囲(フレーズ範囲)で区切っている。また、再生回数はグラフ右側において、横軸を再生回数にした棒グラフで表現している。
【0047】
具体的に説明すると、縦軸の欄には、学習用デジタルコンテンツの文章がフレーズ範囲で区切られ、区切られた文字列が上から順番に表示されている。このフレーズに対応する再生時間が横軸のマス目の長さで表示される。
【0048】
なお、この学習用デジタルコンテンツは、文末に問題文が表示される。児童生徒は、問題文に対して、表示された学習用デジタルコンテンツを巻き戻して該当箇所を検討することになる。
【0049】
図6では、グラフが文末まで到達した後、児童生徒が再度問題文の箇所を巻き戻して表示させていることがわかる。また、その後に空白部分があるが、この時間は、児童生徒が紙の問題文を見ている時間である。そして、紙の問題文を見た後、3回ほど巻き戻して再生したことがわかる。
【0050】
その後にも空白部分がある。この時間は、児童生徒が回答を記入している時間である。
一方、グラフの右端では、所定箇所ごとの再生回数が右方向に積み重ねられるような棒グラフで表示されるので、児童生徒がいずれの箇所をよく再生したかが容易に判明する。
【0051】
再生回数をみると、本来の正答箇所を再生した回数が少なく、誤回答した箇所の再生箇所が多いことがわかる。したがって、児童生徒の文章の内容の理解度が低かったことが判明する。また、どの部分で誤答したのかが明確になるので、児童生徒に対する今後の指導の参考になる。
【0052】
図7では、児童生徒の視線位置及びタップ位置を各フレーズの再生に要した時間及び各フレーズの再生回数と共に表示したところを示している。
図7のグラフも横軸に時間を表し、縦軸は上から学習用デジタルコンテンツの文頭で下が文末となるように、文章のフレーズで区切っている。また、再生回数はグラフ右側において、横軸を再生回数にした棒グラフで表現している。これらの点は、
図6と同様である。
【0053】
図7のグラフでは、各フレーズの再生時間を示すマス目内に、そのフレーズに視線が存在した場合には、丸印を表示させている。丸印は、マス目の色と異なる色で表示させるとよい。視線の位置が判明することにより、児童生徒が文章を確実に読んでいたかどうかの判断を容易にすることができる。
【0054】
さらに、
図7のグラフでは、児童生徒が端末装置40の表示部41をタップしていた箇所の再生時間を示すマス目の色を、他の箇所のマス目の色と異ならせて表示している。児童生徒がタップした位置が判明することにより、児童生徒が文書を確実に読んでいたかどうかの判断を容易にすることができる。
【0055】
図7では、2回目に再生した際(文末の問題文を読んだ後)には、途中で早送りした箇所がある。この箇所は、問題文に対する回答とは無関係であるが、1回目の再生時に児童生徒は、この箇所が問題文に対する回答とは無関係であることを認識したうえで早送りしているので、児童生徒が文章をよく理解していることが判断できる。
【0056】
なお、グラフ右端の再生回数(図面上では再生頻度と表示)の棒グラフにより、再生回数が多い箇所が判断でき、再生時間が大きい箇所も判断できるので、児童生徒にとって文章中の理解が難しい箇所が容易に把握できる。
【0057】
図8に示すグラフは、ある児童生徒Xが、デジタルコンテンツの再生に要した時間及び視線位置を示すグラフである。上に示すグラフは、表示部41においてフレーズごとのハイライト表示なし、及び音声再生なしで視線位置のみを示したものである。下に示すグラフは、表示部41においてフレーズごとにハイライト表示させた場合であって、且つ音声再生も行った場合の各フレーズの再生に要した時間と視線位置を示すグラフである。
なお、
図8の[で表されている箇所は、1画面分に表示している先頭のフレーズと最後のフレーズとを示している。
【0058】
なお、ハイライト表示とは、表示部41において、他の箇所と背景色を変更して所定のフレーズを目立たせるように表示させる表示方法をいう。操作者(児童生徒)は再生条件設定部49を操作することによって、ハイライト表示するかしないかを設定することができる。
【0059】
図8の上のグラフの例で、ハイライトなし、音声出力もなしの場合には、同じフレーズを何度も見ていたり、1つのフレーズに視線が長く滞留していることで、この児童生徒Xの読みが遅くなっていることがわかる。
図8の下のグラフの例で、ハイライトあり、音声出力ありの場合には、読みの速度が速く、画面外も含めて視線の暴れが多く、視覚で文字を読んでおらず、音声の情報保障により読みの速度が速くなっていることがわかる。
【0060】
視線位置が表示部41ではなく、表示部41の外に位置する場合もある。このような場合、再生ソフトウェアAは、下のグラフのようにグラフの最下部に視線位置を表示させるようにすればよい。グラフの最下部に視線位置が表示されている場合、この箇所ではデジタルコンテンツをほとんど読んでいないことがわかる。
【0061】
図9に示すグラフは、ある児童生徒Yが、デジタルコンテンツの再生に要した時間及び視線位置を示すグラフである。上に示すグラフは、表示部41においてフレーズごとのハイライト表示なし、及び音声再生なしで視線位置のみを示したものである。下に示すグラフは、表示部41においてフレーズごとにハイライト表示させた場合であって、且つ音声再生も行った場合の各フレーズの再生に要した時間と視線位置を示すグラフである。
図9の上のグラフと下のグラフとでは、両者の読みの速度に大きな差はないことがわかる。
【0062】
図8のグラフと
図9のグラフとの互いの下のグラフどうしを比較すると、
図9のグラフの方が再生に要した時間のマス目と視線位置とが一致しており、再生に要した時間のマス目の傾きが急であるので、児童生徒Yの方が視覚によっても正確にデジタルコンテンツを読んでいることがわかる。
【0063】
次に、端末装置40自体が、
図6〜
図9のような表示を行う例について説明する。
この場合の端末装置40の構成を
図10に示す。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0064】
端末装置40の制御部44は、記憶部46に記憶されている再生ログデータ(少なくともフレーズごとのID情報及びフレーズごとの再生開始時間を含む)を、フレーズごとに再生に要した時間及びフレーズごとの再生回数に変換し、変換したフレーズごとに再生に要した時間及びフレーズごとの再生回数を表示部41に表示させることができる。
各フレーズの再生に要した時間及び各フレーズの再生回数の表示は、あらかじめ記憶部46に記憶されていた表示ソフトウェアBが制御部44に読み出されることによって実行される。
【0065】
このとき、各フレーズの再生に要した時間及び各フレーズの再生回数のみを表示する場合、端末装置40の表示部41には、
図6に示した内容と同一の内容が表示される。
また、各フレーズの再生に要した時間及び各フレーズの再生回数と、視線位置と、タップ位置とを合わせて端末装置40の表示部41に表示する場合、
図7に示した内容と同一の内容が表示される。
【0066】
また、デジタルコンテンツの再生に要した時間及び視線位置を示すグラフとして、フレーズごとのハイライト表示なし及び音声再生なしで視線位置のみを示したグラフ、並びにフレーズごとにハイライト表示させた場合であって、且つ音声再生も行った場合の各フレーズの再生に要した時間と視線位置を示すグラフを、端末装置40の表示部41に表示する場合、
図8又は
図9に示した内容と同一の内容が表示される。
【0067】
これらの表示を端末装置40で実行することによって、児童生徒自身が、文章の内容の理解度を認識することができる。
【0068】
また、端末装置40は、学習用デジタルコンテンツの再生中に、検出した視線位置を表示できる。この例を
図11に示す。
端末装置40の再生ソフトウェアAは、カメラ70によって撮影され、視線検出部75によって検出された視線位置をリアルタイムで表示する。再生ソフトウェアAは、高速再生中に視線位置を丸い形状で表示する。
【0069】
なお、上述してきた実施形態は、録音された音声データを再生するものについて説明してきた。しかし、録音された音声データが無く、テキストデータを音声データに変換するTTS(text to speech)システムを採用することも可能である。ただし、TTSシステムを採用する場合、端末装置40においてTTS機能を備えた制御部を設けることが必要となる。
【0070】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。