(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置(14)は、前記信号受信部(27)が前記信号を受信したとき、当該信号を受信した時の前記サーボモータ(12)の回転位置を記憶保持する記憶部(33)をさらに備えており、
前記信号受信部(27)が前記信号を受信した後に前記異常判断部(30)が前記機械式ブレーキ(13)に異常が在ると判断すると、前記制御装置(14)は、前記サーボ給電部(35)を制御して前記サーボモータ(12)への給電を再開させるとともに、前記サーボモータ(12)の回転位置を、前記記憶部(33)に記憶保持された前記サーボモータ(12)の回転位置に移動させるようになされている、請求項1に記載のモータ制御システム。
前記制御装置(14)は、前記サーボモータ(12)の回転位置を、前記記憶部(33)に予め記憶されている前記所定の位置に移動させた後、前記サーボ給電部(35)を制御して前記サーボモータ(12)への給電を停止させるようになされた、請求項3に記載のモータ制御システム。
【背景技術】
【0002】
従前より、サーボモータによりボールねじを回転させることによりボールねじに沿って主軸ヘッドが移動する工作機械が知られている。主軸ヘッドにはエンドミルやドリル等の工具が取付けられており、工具を回転させながら主軸ヘッドをワークに向かって移動させることにより、ワークが加工される。
【0003】
さらに、工作機械には、立形フライス盤のように、ボールねじを重力方向に延在させることにより主軸ヘッドを重力方向に上下動させるものがある。このような工作機械においては、電源オフ時や非常停止時にサーボモータの励磁が解除されてしまうと、ボールねじが自由に回転可能となり、主軸ヘッドが重力の影響によって落下する危険性がある。したがって、主軸ヘッドが上下動する工作機械においては、電源オフ時や非常停止時にサーボモータの出力軸を制動するメカブレーキが取付けられている。
【0004】
また産業用ロボットにおいても、ロボットの軸を駆動するのにサーボモータが使用されているため、電源オフ時や非常停止時にサーボモータの励磁が解除されたときにロボットのアーム部が落下する危険性がある。そのため、産業用ロボットにおいても、サーボモータの出力軸を制動するメカブレーキが搭載されている。
【0005】
また、上述したメカブレーキに異常が在るときも、電源オフ時や非常停止時に工作機械の主軸ヘッドあるいはロボットのアーム部が落下する危険性がある。そのため、特許文献1や特許文献2などに示されるように、上述したメカブレーキの異常を検出する方法が提案されている。
【0006】
特許文献1は、モータの出力軸に連結されたブレーキディスクと、ブレーキディスクに押付けられるブレーキシューとからなるメカブレーキを開示している。そして、特許文献1に開示されるメカブレーキの故障検出方法においては、モータ回転軸の制動時に、モータに供給される電流を漸増しながらそのモータ回転開始時の電流値を検出する。同様に、モータ回転軸の非制動時にも、モータに供給される電流を漸増しながらそのモータ回転開始時の電流値を検出する。そして、これら検出電流値の差と、ブレーキトルクに相当する設定値とを比較することにより、メカブレーキの故障を検出している。
【0007】
また、特許文献2に開示されるメカブレーキの異常検出方法においては、メカブレーキの摩擦制動部材の摩耗量が正常範囲にあるときに、メカブレーキを作動させずにモータを運転し、この運転時のモータ負荷電流値を予め測定して記憶する。メカブレーキを点検する場合には、摩擦制動部材の摩耗量が正常範囲にあるときと同様、メカブレーキを作動させずにモータを運転し、この運転時のモータ負荷電流の大きさを検出する。そして、検出されたモータ負荷電流検出値と予め記憶されたモータ負荷電流値とを比較することにより、メカブレーキの異常を検出している。
【0008】
さらに、上述したメカブレーキの異常が検出された場合は、サーボモータの出力軸を制動する力は大幅に低下している。したがって、メカブレーキの点検または修理が完了するまでは、工作機械の主軸ヘッドあるいはロボットのアーム部が落下する危険性がある。そのため、メカブレーキの異常を検出した後、直ちに、サーボモータの出力軸に対する制動力の不足を何らかの方法によって補うことが望まれる。その方法例として、特許文献3は、ブレーキの異常時において摩擦制動力に加えて新たな制動力を生成して、十分な制動力を確保する、車両の動力伝達制御装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1および特許文献2に開示されるようなメカブレーキの異常検出方法は、メカブレーキの点検プログラムを別途に実行して、メカブレーキに異常が有るか無いかを診断する方法である。そのため、特許文献1および特許文献2に開示されるメカブレーキの異常検出方法においては、メカブレーキの点検が実施される前にメカブレーキに既に異常が発生している場合があるという問題がある。したがって、メカブレーキの点検を実施しないときであっても、メカブレーキの異常またはその予兆を検出できる方法が望まれている。
【0011】
また、特許文献3に開示される車両の動力伝達制御装置については、摩擦制動力の不足を補う機構に複数のクラッチを使用するため、サーボモータの出力軸に適用するには構造が複雑すぎるという問題がある。
【0012】
そこで本発明は、上述した従来技術の課題に鑑み、サーボモータに備わるメカブレーキの異常を早期に検出し、なおかつ、異常の検出後に直ちに制動力の不足を補えるモータ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一態様によれば、サーボモータと、サーボモータあるいはサーボモータにより駆動される軸に作用する機械式ブレーキと、サーボモータに電力を供給するサーボ給電部と、サーボモータ、機械式ブレーキおよびサーボ給電部を制御する制御装置と、サーボモータの回転位置または軸の位置を検出する位置検出器と、を備え、
制御装置は、
機械式ブレーキを作動させる信号を受信する信号受信部と、
位置検出器によってサーボモータの回転位置を監視し、信号受信部が信号を受信してからサーボモータの回転が止まるまでのサーボモータの回転位置の履歴を取得する位置監視部と、
信号受信部が信号を受信してからサーボモータの回転が止まるまでのサーボモータの回転変位量を履歴から算出する変位量算出部と、
算出された回転変位量が所定の第一閾値を超えている場合に機械式ブレーキに異常が在ると判断する異常判断部と、を備え、
信号受信部が信号を受信すると、制御装置はサーボ給電部を制御してサーボモータへの給電を停止させ、
さらに異常判断部が機械式ブレーキに異常が在ると判断すると、制御装置はサーボ給電部を制御してサーボモータへの給電を再開させるようになされている、モータ制御システムが提供される。
この第一態様により上述の課題が解決される。しかし、本発明は、第一態様に限られず、以下の第二態様ないし第四態様のいずれかを提供することもできる。
【0014】
本発明の第二態様によれば、第一態様のモータ制御システムであって、
制御装置は、信号受信部が信号を受信したとき、当該信号を受信した時のサーボモータの回転位置を記憶保持する記憶部をさらに備えており、
信号受信部が信号を受信した後に異常判断部が機械式ブレーキに異常が在ると判断すると、制御装置は、サーボ給電部を制御してサーボモータへの給電を再開させるとともに、サーボモータの回転位置を、記憶部に記憶保持されたサーボモータの回転位置に移動させるようになされている、モータ制御システムが提供される。
【0015】
本発明の第三態様によれば、第一態様のモータ制御システムであって、
制御装置は、サーボモータの回転位置に関して所定の位置が予め記憶されている記憶部をさらに備えており、
信号受信部が信号を受信した後に異常判断部が機械式ブレーキに異常が在ると判断すると、制御装置は、サーボ給電部を制御してサーボモータへの給電を再開させるとともに、サーボモータの回転位置を、記憶部に予め記憶されている所定の位置に移動させるようになされた、モータ制御システムが提供される。
【0016】
本発明の第四態様によれば、第三態様のモータ制御システムであって、
制御装置は、サーボモータの回転位置を、記憶部に予め記憶されている所定の位置に移動させた後、サーボ給電部を制御してサーボモータへの給電を停止させるようになされた、モータ制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第一態様によれば、機械式ブレーキを作動させる信号が受信されてからサーボモータの回転が止まるまでのサーボモータの回転位置の変位量を算出している。そして、算出された回転変位量が所定の第一閾値を超えているかどうかを判断することにより、機械式ブレーキの異常またはその予兆を検出することができる。つまり、本願発明によれば、例えば工作機械またはロボットなどによる作業を終了する時や、作業を非常停止させた時に機械式ブレーキの効力低下の程度が分かるようになる。よって、機械式ブレーキの点検を別途に実行することなく、機械式ブレーキの異常およびその予兆を検出することができる。言い換えれば、工作機械やロボットなどの故障につながる機械式ブレーキの異常またはその予兆を早期に検出して高度な予防保守を実現するモータ制御システムを提供できる。
【0018】
さらに、本発明の第一態様によれば、メカブレーキの異常を検出した後に、サーボモータへの給電を再開させることにより、サーボモータの励磁によってサーボモータの回転子および回転軸部を固定することができる。つまり、メカブレーキの異常を検出した後、直ちに、サーボモータの出力軸に対する制動力の不足をサーボモータの励磁によって補うことができる。さらに、メカブレーキの異常を検出した後、主軸ヘッドの落下の危険性も迅速に取除かれることとなる。
【0019】
また、本発明の第二態様によれば、メカブレーキの異常を検出した後に、サーボモータの回転位置を、ブレーキ信号を受信した時の位置に移動させることができる。それにより、メカブレーキの異常を検出したとき、主軸ヘッドに取付けられた工具とワークとが互いに干渉する状態であっても、その状態を迅速に取除くことができる。
【0020】
本発明の第三態様によれば、メカブレーキに異常が在ったとしてもサーボモータおよび、それにより駆動される軸に対して過大な負荷が掛からないような安全な位置を記憶部に予め記憶しておくことができる。そのため、メカブレーキの異常を検出した後に、サーボモータの回転位置を、記憶部に予め記憶されている安全な位置に移動させることができる。
【0021】
本発明の第四態様によれば、サーボモータの回転位置を、記憶部に予め記憶されている安全な位置に移動させた後、サーボモータの励磁は解除されることとなる。このため、メカブレーキの点検や修理が容易となる。
【0022】
添付図面に示される本発明の典型的な実施形態の詳細な説明から、本発明のこれらの目的、特徴および利点ならびに他の目的、特徴および利点がさらに明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、以下では、工作機械に適用されたモータ制御システムを例にして説明するが、本発明はこれに限られない。
【0025】
(第一実施形態)
図1は第一実施形態のモータ制御システムの構成を示すブロック図である。
第一実施形態のモータ制御システムは、
図1に示されるように、工作機械11に内蔵されたサーボモータ12と、サーボモータ12あるいはサーボモータ12により駆動される軸に作用するメカブレーキ13と、サーボモータ12およびメカブレーキ13を制御する制御装置14と、を備えている。
【0026】
工作機械11は、例えば、立形マシニングセンタまたは立形フライス盤などである。工作機械11は、加工対象のワークWが載置される作業テーブル15と、作業テーブル15の上方に設けられ、作業テーブル15に載置されたワークWを加工する工具16が取付けられた主軸ヘッド17と、を備える。主軸ヘッド17は、重力方向に延びるボールねじ18に沿って移動可能である。そして、ボールねじ18はサーボモータ12の出力軸に連結されている。
【0027】
工作機械11は、サーボモータ12の出力軸の位置(回転位置)を検出する位置検出器19、例えばエンコーダを備える。さらに、制御装置14は、工作機械11のサーボモータ12に接続されていてサーボモータ12を制御するサーボアンプ20と、メカブレーキ13に接続されていてメカブレーキ13を制御するブレーキ制御部21と、を備える。
【0028】
サーボアンプ20およびブレーキ制御部21には指令部22が接続されている。指令部22は、サーボモータ12の回転速度、回転位置などの指令値をサーボアンプ20に与える。そして、サーボアンプ20は、指令部22の指令値と位置検出器19の出力値とに基づき、サーボモータ12をフィードバック制御する。
【0029】
また、制御装置14は、指令部22からの指令に応じて、共通電源36の電力をサーボモータ12に供給したり遮断したりするサーボ給電部35を備えている。厳密に言えば、本実施形態においては、
図1に示されるようにサーボ給電部35によって共通電源36の電力をサーボアンプ20に供給または停止することにより、サーボモータ12に対して電力が供給または停止される。また、共通電源36は、制御装置14の各構成部の動作に必要な電力を供給する電源であり、共通電源36には例えば無停電電源装置が使用される。なお、
図1においては、図面の理解を容易にするため、サーボ給電部35以外の構成部と共通電源36との間の電気接続線は省略されている。
【0030】
さらに、サーボ給電部35は、共通電源36の電力をサーボモータ12に供給する電源線上に設けられた電磁接触器(図示せず)を有するとよい。そして、指令部22からの信号に応じて電磁接触器の接点の開閉を切替えることにより、サーボモータ12への給電をオンまたはオフにすることが好ましい。なお、サーボアンプ20からサーボモータ12に電力を供給するとき、サーボ給電部35からの直流電圧、例えばバス電圧を、サーボアンプ20内のインバータ回路(不図示)によって所定の周波数の交流電圧に変換してサーボモータ12に供給している。
【0031】
さらに、指令部22は、後述の電源オフ信号を受信すると、サーボ給電部35に電力遮断信号を出力するとともに、ブレーキ制御部21にブレーキ信号を出力する。そして、サーボ給電部35は、指令部22から電力遮断信号を受信すると、電磁接触器(図示せず)の接点を開いてサーボモータ12への給電を停止する。一方、ブレーキ制御部21は、ブレーキ信号によりメカブレーキ13を作動させる。また、サーボ給電部35は、後述する指令部22から給電再開信号を受信すると、電磁接触器(図示せず)の接点を閉じてサーボモータ12への給電を再開させる。
【0032】
なお、本実施形態の工作機械11の主軸ヘッド17はボールねじ18に沿って重力方向に上下動するものである。そのため、ボールねじ18を回転駆動するサーボモータ12への給電が停止した時にメカブレーキ13を作動させることにより、主軸ヘッド17が重力の影響によって落下するのを防いでいる。
【0033】
ここで、メカブレーキ13の一例を述べる。メカブレーキ13は、例えば、ソレノイド(図示せず)により駆動される摩擦制動部材(図示せず)と、摩擦制動部材をサーボモータ12の出力軸またはこれに結合された部材に付勢する弾性体(図示せず)と、を備える。そして、ソレノイドに給電することにより、摩擦制動部材が弾性体の付勢力に抗してサーボモータ12の出力軸から離れる。すなわち、メカブレーキ13が解除される。一方、上述したブレーキ信号に応じてソレノイドへの給電を停止することにより、摩擦制動部材が弾性体によってサーボモータ12の出力軸に押付けられる。すなわち、摩擦制動部材によってサーボモータ12の出力軸が固定される。なお、メカブレーキ13の一例として、サーボモータ12の出力軸に作用するものを示したが、本発明はこれに限定されない。つまり、メカブレーキ13は、サーボモータ12により駆動される軸、すなわちモータの出力軸の回転に従動して駆動される軸に作用するものであってもよい。
【0034】
また、
図1に示されるように、制御装置14は制御電源23をさらに備えている。この制御電源23は指令部22に接続されている。制御電源23は、停電発生時に電源オフ信号が入力される停電検出回路24と、制御装置14の外部に設けられた電源スイッチ25がオンからオフに切り換えられた時に電源オフ信号が入力される電源オフ検出回路26と、を備える。なお、電源スイッチ25は、工作機械11の運転中はオンの状態にされており、工作機械11による作業を終了する時や、工作機械11を非常停止する時にオフの状態にされる。また、電源スイッチ25の他に、例えば工作機械11内への人間の侵入を検知できるエリアセンサを設け、そのエリアセンサの検知信号を電源オフ信号として電源オフ検出回路26に入力してもよい。また、工作機械の不具合の発生を外部に報知させるときに音や光などを発生させる信号、すなわちアラーム信号を電源オフ信号として電源オフ検出回路26に入力してもよい。
【0035】
電源スイッチ25がオフの状態にされた時、すなわち電源オフ時には、電源オフ検出回路26が電源オフ信号を検出して指令部22に出力する。また、停電時には、停電検出回路24が電源オフ信号を検出して指令部22に出力する。
【0036】
指令部22は、制御電源23の停電検出回路24あるいは電源オフ検出回路26からの電源オフ信号に応じて、電力遮断信号をサーボ給電部35へ出力するとともにブレーキ信号をブレーキ制御部21へ出力するようになっている。また、指令部22がブレーキ信号を出力した後に、後述するように出力部32から異常検出信号を受信したとき、指令部22は、上述した給電再開信号をサーボ給電部35に出力するようになっている。言い換えれば、指令部22は、異常判断部30がメカブレーキ13に異常が在ると判断したとき、サーボモータ12への給電を再開させる指令をサーボ給電部35に与える。なお、指令部22は工作機械11の運転プログラムの異常を検知する信号を上記のブレーキ信号としてブレーキ制御部21へ出力してもよい。
【0037】
サーボ給電部35は、指令部22から電力遮断信号を受信すると、工作機械11のサーボモータ12への給電を止める。この結果、サーボモータ12は無励磁の状態となる。その一方で、ブレーキ制御部21は、指令部22からブレーキ信号を受取ると、工作機械11のメカブレーキ13を作動させる。それにより、主軸ヘッド17は制動させられる。特に、主軸ヘッド17を上下動させる工作機械11においては、電源オフ時または停電時に主軸ヘッド17の位置がメカブレーキ13によって保持される。
【0038】
さらに、本願において、ブレーキ制御部21は、メカブレーキ13に異常が在るかどうかを判断している。
ここで、「メカブレーキの異常」とは、メカブレーキ13の摩擦制動部材の表面に油が付着した、あるいは、摩擦制動部材の表面が変化し摩擦力が低下した、あるいは、摩擦制動部材を付勢する弾性部材が破損した、あるいは、摩擦制動部材が著しく摩耗した、などの要因により、意図した制動力が得られない状態をいう。
【0039】
より具体的には、ブレーキ制御部21は、
図1に示されるように、ブレーキ信号受信部27、位置監視部28、変位量算出部29、異常判断部30、出力部32、第一記憶部31、および第二記憶部33を有する。以下に、これらを使用してメカブレーキ13の異常を検出する時の第一実施形態のモータ制御システムの動作を説明する。
【0040】
図2は、メカブレーキ13の異常を検出する時の第一実施形態のモータ制御システムの動作を示すフローチャートである。
図1とともに
図2を参照すると、まず、ブレーキ制御部21のブレーキ信号受信部27は、指令部22からブレーキ信号を受信する(
図2のステップS11)。それに伴い、ブレーキ信号受信部27はメカブレーキ13を作動させ、サーボ給電部35はサーボモータ12への給電を停止する(
図2のステップS12)。例えば、ブレーキ信号受信部27はブレーキ信号をメカブレーキ13のブレーキ回路(図示せず)に出力する。ブレーキ回路はブレーキ信号の入力によりメカブレーキ13のソレノイドへの給電を停止する。それにより、メカブレーキ13の摩擦制動部材が弾性体によってサーボモータ12の出力軸に押付けられる。つまり、メカブレーキ13が作動する。このとき、指令部22からサーボ給電部35に電力遮断信号が送られているため、サーボ給電部35はサーボモータ12への給電を停止している。言い換えれば、サーボモータ12の励磁が解除されている。
【0041】
さらに、ブレーキ信号受信部27は、メカブレーキ13の作動と同時に、指令部22からのブレーキ信号を位置監視部28に出力する。
【0042】
続いて、ブレーキ制御部21の位置監視部28は、位置検出器19、例えばエンコーダによって、サーボモータ12の出力軸の位置(回転位置)を監視する。特に、位置監視部28は、上述のブレーキ信号をトリガ信号としてサーボモータ12の回転位置の検出を開始し、その検出開始からサーボモータ12の回転が止まるまでの、サーボモータ12の回転位置の履歴を取得する(
図2のステップS13)。
【0043】
その後、ブレーキ制御部21の変位量算出部29は、位置監視部28により取得されたサーボモータ12の回転位置の履歴から、サーボモータ12の回転変位量を算出する(
図2のステップS14)。このステップS14において算出される回転変位量は、サーボモータ12の出力軸の制動を開始してからサーボモータ12の回転が止まるまでの間にサーボモータ12の出力軸の位置が回転方向に変化した量である。このように算出された回転変位量は、メカブレーキ13の作動後の主軸ヘッド17の落下量に相当している。そのため、変位量算出部29により算出された回転変位量が大きいほど、メカブレーキ13の制動力の低下が大きいと推定できる。これにより、ブレーキ制御部21の異常判断部30は、変位量算出部29により算出された回転変位量が所定の第一閾値を超えている場合にメカブレーキ13に異常が在ると判断するようになっている(
図2のステップS15)。所定の第一閾値は設定変更可能な値であって、第一記憶部31に予め記憶されている。
【0044】
そして、ブレーキ制御部21の出力部32は、メカブレーキ13に異常が在ることを示す異常検出信号を指令部22に送信する(
図2のステップS16)。なお、
図1に示される構成においては、異常検出信号は、出力部32から第二記憶部33を通って指令部22に送信されるようになっているが、本実施形態はこの構成に限定されない。つまり、異常検出信号は、出力部32から指令部22に直接的に送信されてもよい。さらに、出力部32は、メカブレーキ13に異常が在ることを制御装置14の外部に出力することが好ましい。この出力方法としては、ディスプレイ表示、印刷表示、光や音でのアラームなどが考えられる。
【0045】
続いて、指令部22が出力部32から異常検出信号を受信すると、指令部22は、給電再開信号をサーボ給電部35に出力する。それにより、サーボ給電部35は、電磁接触器(図示せず)の接点を閉じてサーボモータ12への給電を再開させる(
図2のステップS17)。
【0046】
つまり、メカブレーキ13の異常が検出された場合は、サーボモータ12の出力軸を制動する力は大きく低下していると考えられる。したがって、本願においては、メカブレーキ13の異常を検出した後に、サーボモータ12への給電を再開させてサーボモータ12の励磁を再び発生させることにより、サーボモータ12のロータおよびその回転軸部を固定することができる。つまり、メカブレーキ12の異常を検出した後、直ちに、サーボモータ12の出力軸に対する制動力の不足をサーボモータ12の励磁によって補うことができる。さらに、メカブレーキ12の異常検出後、主軸ヘッド17の落下の危険性も迅速に取除かれることとなる。
【0047】
ここで、上述したメカブレーキ13の異常を検出する原理を説明する。
図3は、メカブレーキ13の作動後(例えば非常停止信号の入力後)の主軸ヘッド17の落下量を表したグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間を、縦軸は主軸ヘッド17の位置を表している。また、グラフ内の実線は、メカブレーキ13が正常であるときの主軸ヘッド17の位置の変化を表している。さらに、グラフ内の一点鎖線は、メカブレーキ13に異常が在るときの主軸ヘッド17の位置の変化を表している。
【0048】
例えば、工作機械11の制御装置14に非常停止信号が入力されると、サーボモータ12への給電が停止するとともにメカブレーキ13が作動して、主軸ヘッド17は制動させられる。作動したメカブレーキ13が正常である場合は、
図3に実線で示されるように、非常停止信号が入力されてからサーボモータ12の回転が止まったときの主軸ヘッド17の位置Xbは、非常停止信号入力時の主軸ヘッド17の位置Xaから僅かに落下した位置となる。メカブレーキ13が正常であっても微少な落下量が在るのは、摩擦制動方式のメカブレーキ13においては組立精度やギヤのバックラッシなどに起因した制動がかからない時間があるからである。
【0049】
しかし、メカブレーキ13に異常が生じていると、メカブレーキ13の制動開始からサーボモータ12の回転が止まるまでの時間が上述の時間よりも長くなる。したがって、メカブレーキ13に異常が在る場合は、
図3に一点鎖線で示されるように、非常停止信号が入力されてからサーボモータ12の回転が止まったときの主軸ヘッド17の位置Xcは、非常停止信号入力時の主軸ヘッド17の位置Xaから、ブレーキ正常時の位置Xbよりも大きく落下した位置となる。
【0050】
以上の事から、本願発明による制御装置14は、
図1に示される位置監視部28によって、
図3に示されるような非常停止信号が入力されてからサーボモータ12の回転が止まるまでの主軸ヘッド17の位置の変化を取得する。そして、
図1に示される変位量算出部29および異常判断部30によって、非常停止信号が入力されてからの主軸ヘッド17の落下量(変位量)を算出し、その算出された変位量から、メカブレーキ13に異常が在るかどうかを判断している。つまり、本願発明によれば、工作機械11による作業を終了する時や、工作機械11を非常停止する時にメカブレーキ13の効力低下の程度が分かる。よって、メカブレーキ13の点検を別途に実行することなく、メカブレーキ13の異常およびその予兆を検出することができる。
【0051】
なお、上述した第一実施形態において、
図1に示される第一記憶部31は、ブレーキ信号の受信の度に、すなわちメカブレーキ13の作動毎に、変位量算出部29により算出された回転変位量を逐次記憶していく機能を備えていてもよい。このような機能を備えた場合、異常判断部30は、ブレーキ信号の受信の度に、変位量算出部29により算出された回転変位量と、以前に第一記憶部31内に記憶した回転変位量とを比較することができる。そして、ブレーキ信号の受信の度に、変位量算出部29により算出された回転変位量が増加している場合には、異常判断部30は、メカブレーキ13の効力低下の兆しが在ると判断することが好ましい。
【0052】
(第二実施形態)
次に第二実施形態について説明する。但し、ここでは、第一実施形態と同じ構成要素については同一の符号を使用して説明を割愛する。よって、第一実施形態の構成要素に対して異なる点のみを以下に述べる。
【0053】
上述した第一実施形態においては、異常判断部30がメカブレーキ13に異常が在ると判断すると、サーボモータ12への給電を再開させてサーボモータ12の回転軸部を動かないようにしている。そのため、メカブレーキ13の異常を検出してサーボモータ12の回転軸部を動かないようにしたときの主軸ヘッド17の位置は、ブレーキ正常時の位置よりも大きく落下した位置である。つまり、
図3を使って説明すると、非常停止信号入力時の主軸ヘッド17の位置Xaからブレーキ正常時の位置Xbよりも大きく落下した位置Xcに、主軸ヘッド17が静止していることになる。このとき、主軸ヘッド17に取付けられている工具16がワークWに干渉していると、大きな負荷が工具16やワークWだけでなく、ボールねじ18、サーボモータ12などの回転機構部にも作用する。そして、工具16をワークWから隔離しない限り、その負荷は継続する。さらに、負荷の時間が長いほど、工作機械11の損害が大きくなると予想される。よって、そのような負荷は迅速に取除かれることが望ましい。
【0054】
そのため、第二実施形態においては、メカブレーキ13の異常を検出したら、サーボモータ12の回転位置を、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置に移動させることにする。何故なら、ブレーキ信号は、工作機械11による作業を終了する時や、工作機械11を非常停止する時などにおいて出力されるからである。つまり、そのようなブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置は、大抵、工具16がワークWに干渉する前の位置にあるからである。
【0055】
そこで、第二実施形態のモータ制御システムは、上述した第一実施形態のモータ制御システムにおいて、
図1に示されるように第二記憶部33をさらに備えている。そして、第二記憶部33は、上述したようなブレーキ信号をブレーキ信号受信部27が受信した時の、サーボモータ12の回転位置を記憶保持するようになっている。さらに、指令部22が、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置に対応する位置指令値をサーボアンプ20に与えるようになっている。
【0056】
以下に、メカブレーキ13の異常を検出する時の第二実施形態のモータ制御システムの動作を詳述することとする。
図4は、メカブレーキ13の異常を検出する時の第二実施形態のモータ制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0057】
図1とともに
図4を参照すると、まず、ブレーキ制御部21のブレーキ信号受信部27は、指令部22からブレーキ信号を受信する(
図4のステップS21)。このとき、指令部22からサーボ給電部35に電力遮断信号が送られる。以上のことにより、ブレーキ信号受信部27はメカブレーキ13を作動させ、サーボ給電部35はサーボモータ12への給電を停止する(
図4のステップS22)。なお、ステップS21、S22はそれぞれ、
図2を参照して上述したステップS11、S12に相当する。
【0058】
さらに、ブレーキ信号受信部27は、メカブレーキ13の作動と同時に、指令部22からのブレーキ信号を位置監視部28に出力する。
【0059】
続いて、ブレーキ制御部21の位置監視部28は、位置検出器19、例えばエンコーダによって、サーボモータ12の出力軸の位置(回転位置)を監視する。特に、位置監視部28は、上述のブレーキ信号をトリガ信号としてサーボモータ12の回転位置の検出を開始し、その検出開始からサーボモータ12の回転が止まるまでの、サーボモータ12の回転位置の履歴を取得する(
図4のステップS23)。このステップS23は、
図2を参照して上述したステップS13に相当する。
【0060】
また、ブレーキ信号受信部27がブレーキ信号を受信した時に、位置監視部28は、位置検出器19を用いてサーボモータ12の回転位置を取得し、当該回転位置のデータを第二記憶部33に出力する。それにより、第二記憶部33は、ブレーキ信号受信部22がブレーキ信号を受信した時の、サーボモータ12の回転位置を記憶保持する(
図4のステップS24)。
【0061】
その後、ブレーキ制御部21の変位量算出部29は、位置監視部28により取得されたサーボモータ12の回転位置の履歴から、サーボモータ12の回転変位量を算出する(
図4のステップS25)。このステップS25は、
図2を参照して上述したステップS14に相当する。
【0062】
続いて、ブレーキ制御部21の異常判断部30は、変位量算出部29により算出された回転変位量が所定の第一閾値を超えている場合にメカブレーキ13に異常が在ると判断するようになっている(
図4のステップS26)。このステップS26は、
図2を参照して上述したステップS15に相当する。なお、所定の第一閾値は設定変更可能な値であって、第一記憶部31に予め記憶されている。
【0063】
そして、ブレーキ制御部21の出力部32は、メカブレーキ13に異常が在ることを示す異常検出信号を第二記憶部33に送信する(
図4のステップS27)。
【0064】
第二記憶部33は、異常検出信号を受信すると、その異常検出信号と、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置とを指令部22に送信する(
図4のステップS28)。
【0065】
続いて、指令部22は、第二記憶部33から異常検出信号を受信すると、給電再開信号をサーボ給電部35に出力する。それにより、サーボ給電部35は、電磁接触器(図示せず)の接点を閉じてサーボモータ12への給電を再開させる(
図4のステップS29)。このステップS26は、
図2を参照して上述したステップS17に相当する。
【0066】
さらに、指令部22は、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置を位置指令値としてサーボアンプ20に与える。それにより、サーボアンプ20は、サーボモータ12の回転位置を、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置に移動させる(
図4のステップS30)。なお、この移動後もサーボモータ12の励磁を解除しないこととしている。
【0067】
以上に説明した第二実施形態によれば、ブレーキ信号を受信してメカブレーキ13の異常を検出したら、サーボモータ12の回転位置を、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置に移動させている。それにより、メカブレーキ13の異常を検出したとき、主軸ヘッド17に取付けられた工具16とワークWとが互いに干渉する状態であっても、その状態を迅速に取除くことができる。
【0068】
(第三実施形態)
次に第三実施形態について説明する。但し、ここでは、第一実施形態および第二実施形態と同じ構成要素については同一の符号を使用して説明を割愛する。よって、第一実施形態および第二実施形態の構成要素に対して異なる点のみを以下に述べる。
【0069】
上述した第二実施形態においては、ブレーキ信号を受信してメカブレーキ13の異常を検出すると、サーボモータ12への給電を再開し、サーボモータ12の回転位置を、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置に移動させている。しかし、本発明においては、メカブレーキ13の異常を検出した後にサーボモータ12の回転位置を移動させる位置は、ブレーキ信号を受信した時のサーボモータ12の回転位置に限定されない。つまり、本発明においては、主軸ヘッド17の落下による危険性がより低くなれば、メカブレーキ13の異常を検出した後に移動させるサーボモータ12の回転位置は、どこでも構わない。この点を考慮に入れた例が第三実施形態である。
【0070】
以下に、メカブレーキ13の異常を検出する時の第三実施形態のモータ制御システムの動作を詳述する。
図5は、メカブレーキ13の異常を検出する時の第三実施形態のモータ制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0071】
図1とともに
図5を参照すると、まず、ブレーキ制御部21のブレーキ信号受信部27は、指令部22からブレーキ信号を受信する(
図5のステップS31)。このとき、指令部22からサーボ給電部35に電力遮断信号が送られている。以上のことにより、ブレーキ信号受信部27はメカブレーキ13を作動させ、サーボ給電部35はサーボモータ12への給電を停止する(
図5のステップS32)。なお、ステップS31、S32はそれぞれ、
図2を参照して上述したステップS11、S12に相当する。
【0072】
さらに、ブレーキ信号受信部27は、メカブレーキ13の作動と同時に、指令部22からのブレーキ信号を位置監視部28に出力する。
【0073】
続いて、ブレーキ制御部21の位置監視部28は、位置検出器19、例えばエンコーダによって、サーボモータ12の出力軸の位置(回転位置)を監視する。特に、位置監視部28は、上述のブレーキ信号をトリガ信号としてサーボモータ12の回転位置の検出を開始し、その検出開始からサーボモータ12の回転が止まるまでの、サーボモータ12の回転位置の履歴を取得する(
図5のステップS33)。このステップS33は、
図2を参照して上述したステップS13に相当する。
【0074】
その後、ブレーキ制御部21の変位量算出部29は、位置監視部28により取得されたサーボモータ12の回転位置の履歴から、サーボモータ12の回転変位量を算出する(
図5のステップS34)。このステップS34は、
図2を参照して上述したステップS14に相当する。
【0075】
続いて、ブレーキ制御部21の異常判断部30は、変位量算出部29により算出された回転変位量が所定の第一閾値を超えている場合にメカブレーキ13に異常が在ると判断するようになっている(
図5のステップS35)。このステップS35は、
図2を参照して上述したステップS15に相当する。なお、所定の第一閾値は設定変更可能な値であって、第一記憶部31に予め記憶されている。
【0076】
そして、ブレーキ制御部21の出力部32は、メカブレーキ13に異常が在ることを示す異常検出信号を第二記憶部33に送信する(
図5のステップS36)。
【0077】
第二記憶部33は、異常検出信号を受信すると、その異常検出信号と、第二記憶部33に予め記憶されているサーボモータ12の回転位置とを指令部22に送信する(
図5のステップS37)。ここで、第二記憶部33に予め記憶されているサーボモータ12の回転位置は、主軸ヘッド17に取付けられた工具16がワークWに干渉しない位置であるとよい。例えば、
図1に示されるように作業テーブル15に固定されたワークWの上方の空間を除いた任意の位置が、第二記憶部33に予め記憶される。また、そのように第二記憶部33に記憶される位置としては、例えば、工作機械に設置された自動工具交換装置(図示せず)の工具交換位置が考えられる。
【0078】
つまり、工作機械においては、主軸ヘッド17に取付可能な複数の工具16を収容するタレットやマガジンなどの工具収容部(図示せず)と、主軸ヘッド17に取付けられている工具16を工具収容部に収容された他の工具16と交換する自動工具交換装置(図示せず)とを備える形態がある。この形態の工作機械は、工具16どうしを交換するとき、主軸ヘッド17に取付けられた工具16を、自動工具交換装置に予め設定された工具交換位置に移動させている。勿論、主軸ヘッド17は重力方向の移動に限られず、水平方向にも移動する構成であってもよい。そして、そのような工具交換位置は、主軸ヘッド17に取付けられた工具16がワークWに干渉しない位置である。さらに、主軸ヘッド17に取付けられた工具16は自動工具交換装置によって取外されるため、主軸ヘッド17の落下による危険度はより低くなる。したがって、本実施形態においては、自動工具交換装置の工具交換位置を第二記憶部33に予め記憶させておき、メカブレーキ13の異常を検出したら、その工具交換位置を第二記憶部33から指令部22に送信することが好ましい。
【0079】
上述したステップS37に続いて、指令部22は、第二記憶部33から異常検出信号を受信すると、給電再開信号をサーボ給電部35に出力する。それにより、サーボ給電部35は、電磁接触器(図示せず)の接点を閉じてサーボモータ12への給電を再開させる(
図5のステップS38)。このステップS38は、
図2を参照して上述したステップS17に相当する。
【0080】
さらに、指令部22は、第二記憶部33に予め記憶されているサーボモータ12の回転位置をサーボアンプ20に指令する。それにより、サーボアンプ20は、サーボモータ12の回転位置を、指令部22により指令されたサーボモータ12の回転位置に移動させる(
図5のステップS39)。このとき、例えば、工具16が取付けられている主軸ヘッド17を、上述したような工作機械の自動工具交換装置の工具交換位置に移動させる。
【0081】
その後、位置検出器19により検出されるサーボモータ12の回転位置が、上記ステップS39において指令されたサーボモータ12の回転位置、例えば工具交換位置になったとき、指令部22は、サーボモータ12への給電を停止させる指令をサーボ給電部35に出力する。それにより、サーボアンプ20はサーボモータ12への給電を停止する(
図5のステップS40)。また、このステップS40により、主軸ヘッド17を移動させるサーボモータ12の励磁は解除されることとなる。このため、メカブレーキ13の点検や修理が容易となる。
【0082】
なお、上記ステップS40において、指令部22は、位置検出器19により検出されるサーボモータ12の回転位置を、ブレーキ制御部21の位置監視部28を介して取得することが好ましい。
【0083】
以上に説明した第三実施形態によれば、メカブレーキ13に異常が在ったとしてもサーボモータ12および、それにより駆動される軸に対して過大な負荷が掛からないような安全な位置が、第二記憶部33に予め記憶されている。言い換えれば、メカブレーキ13の異常により主軸ヘッド17が落下しても、主軸ヘッド17に取付けられた工具16とワークWとが互いに干渉しない位置、例えば自動工具交換装置の工具交換位置が第二記憶部33に予め記憶されている。それにより、ブレーキ信号を受信してメカブレーキ13の異常を検出したら、主軸ヘッド17を自動工具交換装置の工具交換位置に移動させることができる。つまり、メカブレーキ13の異常を検出したとき、主軸ヘッド17の落下による危険度をより低くすることができる。
【0084】
(その他の実施形態)
さらに、上述した各実施形態のモータ制御システムは、メカブレーキ13の作動後の主軸ヘッド17の落下量(変位量)を取得するために、エンコーダといったパルスコーダによりサーボモータ12の回転方向の位置を検出している。しかし、そのようなエンコーダの代わりにリニアスケールを用いて、メカブレーキ13の作動後の主軸ヘッド17の落下量(変位量)を直接的に取得してもよい。
【0085】
また、上述した各三実施形態のモータ制御システムは、
図1に示されるような工作機械11ではなく、産業用ロボットや電動プレス機などに適用されていてもよい。例えば、産業用ロボットに適用する場合には、サーボモータ12はロボットの軸を駆動し、位置検出器19はロボットの軸の変位量を監視するのに使用される。
【0086】
また、
図1に示されるようにサーボモータ12の外部にメカブレーキ13が設置されているが、サーボモータ12にメカブレーキ13が内蔵されて両者が一体として設けられていてもよい。つまり、メカブレーキ13は、サーボモータ12の出力軸またはその出力軸に連結されたボールねじ18のような駆動軸を制動するようになされていればよい。
【0087】
以上では典型的な実施形態を示したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲で上述の実施形態を様々な形、構造や材料などに変更可能である。