特許第6200496号(P6200496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200496
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ハンマー上昇装置
(51)【国際特許分類】
   B25D 9/12 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   B25D9/12
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-517185(P2015-517185)
(86)(22)【出願日】2013年6月12日
(65)【公表番号】特表2015-519215(P2015-519215A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】KR2013005180
(87)【国際公開番号】WO2013187691
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年6月2日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0063876
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514316341
【氏名又は名称】シンウ ヘビー インダストリー カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHINWOO HEAVY INDUSTRY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジョン ジク
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−086620(JP,A)
【文献】 特開昭52−008608(JP,A)
【文献】 実開昭55−036296(JP,U)
【文献】 特開昭51−087307(JP,A)
【文献】 特開平03−104570(JP,A)
【文献】 特開平09−094769(JP,A)
【文献】 特公昭47−023274(JP,B1)
【文献】 特公昭47−031818(JP,B1)
【文献】 米国特許第05002136(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D1/00−17/32
B25C1/04
E02D3/00−3/155
E02D7/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧制御バルブの操作によって流体が供給されるサブシリンダーと;
前記サブシリンダーに一部が収容され、前記流体によって上昇または下降するサブピストンと;
前記サブピストンの終端に密着されて、前記サブピストンの上昇によって上昇し、密着された前記サブピストンの終端が離隔されると下降するメインピストンと;
前記メインピストンを収容するメインシリンダーと;
前記メインピストンが前記メインシリンダー内で移動可能な最高点に到逹すれば、前記サブピストンを前記メインピストンから離隔させる転換バルブと;を含み、
前記サブピストンは、第1サブピストン、第2サブピストンを含み、前記第1サブピストンと第2サブピストンが前記メインピストンを交互に上昇させることを特徴とするハンマー上昇装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンマー上昇装置に関するもので、より詳しくは、上側に上がったピストンが下側へ下降する際に、ピストンとメインシリンダー内の流体抵抗を排除させて、ピストンの打撃強度を増加させるハンマー上昇装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハンマーは油圧ポンプを有する掘削機、ローダーなどのような装備に装着されて、油圧ポンプで供給される高圧流体を予め所定流路とバルブで制御して、油圧ハンマーの内部に設置されたピストンを上昇及び下降させて、ツール(tool)を打撃するようにし、その反力でツールが岩盤やコンクリート地面などを破鎖するようにする器機を言う。
【0003】
図1は従来の油圧式ハンマーを示している。以下、図1を利用して従来の油圧式ハンマーの構成及び動作について詳しく説明する。
【0004】
図1によれば、油圧式ハンマーは、バルブ、アキュムレーター、シリンダー、ピストン、充電ガス貯蔵部を含む。もちろん、上述した構成以外に他の構成が油圧式ハンマーに含まれることができることは自明である。
【0005】
バルブ100が開放されると、油圧ポンプから供給された高圧流体がシリンダー102の内部に流入される。高圧流体がシリンダー108の内部99に流入されると、流入される流体の圧力によってシリンダー108の内部に収容されているピストン102を上昇させる。
【0006】
図1に示すように、ピストン102は円柱状で、中央部分が突出された形状を有する。シリンダー108は内部にピストン102を収容するために通孔形態を保持し、ピストン102の上下移動を誘導する。また、シリンダー108は中央部分が突出された形状を有するピストン102が所定範囲内で上下移動することができるように、通孔の直径を同じく形成しない。即ち、ピストン102の突出された部分が上下に移動する領域は他の領域よりシリンダーの通孔の直径を大きく形成する。もちろん、油圧ハンマーは高圧流体がピストン102とシリンダー108との間の隙間を通じて外部に流出されないように、ピストン102とシリンダー108との間の隙間を完璧に密閉させることが何より重要である。
【0007】
ピストン102の上昇によりシリンダーの上部に形成された充電ガス貯蔵部106に貯蔵されたガスは徐徐に圧縮される。油圧によってピストン102が設定された位置まで上昇すれば、バルブ100が閉まり、その後、ピストン102自体の荷重と充電ガス貯蔵部106に圧縮されたガスの力によってピストンは下側に移動する。
【0008】
この場合、シリンダーとピストンとの間にある流体はアキュムレーター104に移動する。このように従来の油圧式ハンマーは上述した動作を繰り返すことによって岩盤やコンクリート地盤を破鎖する。
【0009】
しかし、従来の油圧式ハンマーは、ピストンとシリンダーとの隙間に高圧流体が離脱しないように下端部に密閉部材を用い、これによりピストンとシリンダーとの間の摩擦によって下側に移動するシリンダーの加速度を減少させる。また、摩擦によってピストンとシリンダーを密閉させる密閉部材である下端部のシーリング部材88が損傷され、所望の密閉状態を保持するために、損傷された部材を周期的に取り替えなければならない。
【0010】
また、ピストンが下側に移動する際に、シリンダーの内部99にあった流体があっという間にアキュムレーター104に流出されなければならないため、この場合に発生する抵抗によってピストンの打撃強度が顕著に減少される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、ピストンとシリンダーとの間の摩擦力を減少させ、下側に移動するピストンの加速度を増加させて、ピストンの打撃強度を増加させる方案を提案することにある。
【0012】
本発明が解決しようとする他の課題は、ピストンとシリンダーとの間を密閉させる下端部に形成されているシーリング部材を用いなくても済むので、管理費用を減少させることができる方案を提案することにある。
【0013】
本発明が解決しようとするまた他の課題は、ドレーン(排出)ラインの抵抗を減少させるために、大型配管を用いないので、付加的にシリンダーとピストンとの間の過熱現象を防止する方案を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明のハンマー上昇装置は、流体の供給を制御する油圧制御バルブと、上記油圧制御バルブの操作によって流体が供給されるサブシリンダーと、上記サブシリンダーに一部が収容され、上記流体によって上昇または下降するサブピストンと、上記サブピストンの終端に密着されて、上記サブピストンの上昇によって上昇し、密着された上記サブピストンの終端が離隔されると下降するメインピストンと、上記メインピストンを収容するメインシリンダーとを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるハンマー上昇装置は、メインシリンダーの内部に流体を投入しないで、外部に設置されているシリンダーとピストンを利用して、メインシリンダーの内部に形成されているメインピストンを上昇させることによって、メインシリンダーとメインピストンとの間に別途の密封部材を用いない。このように、別途の密封部材を用いないことによって、メインシリンダーとメインピストンとの間の摩擦力による抵抗によって加速度減少現象を防止することができる。また、複数のサブピストンを利用してメインピストンを上昇させることによって、ピストンの打撃回数を増加させることができるという長所がある。
【0016】
さらに、本発明のハンマー装置は、打撃のためのメインピストンの移動範囲を自在に調節することができるという長所がある。即ち、従来のハンマー装置は流体をメインシリンダーの内部に投入させなければならなく、メインピストンの移動範囲によって投入される流体の量も増加されなければならないが、本発明のハンマー装置は流体をメインシリンダーに投入しないで、サブピストンを利用することによって、自在に移動範囲を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の油圧式ハンマーを示す。
図2】本発明の一実施例によるハンマー装置を示す。
図3】本発明の他の実施例によるハンマー装置を示す。
図4a】本発明の一実施例によるメインピストン上昇装置の構造を示す。
図4b】本発明の一実施例によるメインピストン上昇装置の構造を示す。
図4c】本発明の一実施例によるメインピストン上昇装置の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前述した、また追加的な本発明の様相は添付された図面を参照して説明される好ましい実施例を通じてさらに明らかになる。以下では、本発明のこのような実施例を通じて当業者が容易に理解して再現することができるように詳しく説明する。
【0019】
図2は本発明の一実施例によるハンマー装置を示す。以下、図2を利用して本発明の一実施例によるハンマー装置について詳細に説明する。
【0020】
図2によれば、ハンマー装置は、油圧制御バルブ、メインシリンダー、メインピストン、サブシリンダー、サブピストン、充電ガス貯蔵部を含む。もちろん、上述した構成以外に他の構成がハンマー装置に含まれることができることは自明である。
【0021】
油圧制御バルブ200は、油圧ポンプから供給される高圧で形成された流体の移動を制御する。油圧制御バルブ200が開放されると、油圧ポンプから供給される流体をサブシリンダー202に供給する。サブシリンダー202に供給された高圧流体はサブシリンダー202の内部に存在するサブピストン204を上昇させる。サブピストン204はメインピストン206の突出された部分の下端に密着されて、サブピストン204の上昇によってメインピストン206も上昇する。
【0022】
メインピストン206は円柱状で、中央部分が突出された形状を有する。メインシリンダー208は内部にメインピストン206が収容されるように通孔形態を有し、メインピストン206の上下移動を誘導する。
【0023】
また、中央部分が突出された形状(突出部)を有するメインピストン206が所定範囲内で上下に移動することができるように通孔の直径を同一に形成しない。即ち、メインピストン206の突出された部分が上下に移動する領域は他の領域よりメインシリンダー208の通孔の直径を大きく形成する。メインシリンダー208内でメインピストン206の上下移動範囲は製作者の意図によって多様に製作することができる。本発明はサブピストンを利用してメインピストンを上昇させることによって、メインピストンとメインシリンダーとの間の下端部シールが必要なくなる。
【0024】
メインピストン206の上昇によってメインシリンダー208の上部に形成された充電ガス貯蔵部210に貯蔵されたガスが圧縮される。メインピストン206がメインシリンダー208内で設定された位置まで上昇すると、転換バルブ(図示しない)が動作するようになる。転換バルブの動作によって、サブピストン204はメインピストン206の下端から離脱するようになり、サブピストン204が離脱されば、メインピストン206はメインピストン206自体の荷重と充電ガス貯蔵部210に貯蔵された圧縮ガスの力によって下側に移動するようになる。もちろん転換バルブが作動すると同時に、油圧制御バルブ200は閉まる。この場合、上述したように、メインピストン206とメインシリンダー208との間に摩擦力が発生しなくなり、これにより、下側に移動するメインシリンダーの加速度は従来に比べて増加するようになる。
【0025】
また、上述したように、メインシリンダー内でメインピストンの上下移動範囲を製作者の意図によって多様に製作可能になるので、必要な場合、移動範囲を大きくしてメインピストンによって発生する打撃強度を高めることができる。これに比べて従来の油圧ハンマーはシリンダー内でピストンの上下移動範囲を調節するためにはアキュムレーターの大きさ、供給される流体を増加させなければならないという短所を有する。
【0026】
メインピストン206から離脱されたサブピストン204は下側に移動し、下側に移動したサブピストンは再びメインピストンを上昇させる。
【0027】
図2はメインピストンの中央部分が突出された形状を有するものに示されたが、これに限定されるのではない。即ち、メインピストンの中央部分が所定深さの溝を形成し、サブピストンは形成された溝を利用して、メインピストンを上昇させることができる。
【0028】
図3は本発明の他の実施例によるハンマー装置を示す。以下、図3を利用して本発明の他の実施例によるハンマー装置について詳細に説明する。
【0029】
図3によれば、ハンマー装置は、第1油圧制御バルブ、第2油圧制御バルブ、メインシリンダー、メインピストン、第1サブシリンダー、第2サブシリンダー、第1サブピストン、第2サブピストン、充電ガス貯蔵部を含む。もちろん、上述した構成以外に他の構成がハンマー装置に含まれることができることは自明である。
【0030】
第1油圧制御バルブ300は油圧ポンプから供給される高圧流体を第1サブシリンダー302に供給することを制御する。第2油圧制御バルブ320は油圧ポンプから供給される高圧流体を第2サブシリンダー312に供給することを制御する。
【0031】
第1油圧制御バルブ300が開放されると、油圧ポンプから供給される流体を第1サブシリンダー302に供給する。第2油圧制御バルブ320が開放されると、油圧ポンプから供給される流体を第2サブシリンダー312に供給する。本発明において、第1油圧制御バルブ300と第2油圧制御バルブ310は同時に開放されるのではなく交互に開放する。
【0032】
第1サブシリンダー302に供給された高圧流体は第1サブシリンダー302の内部に存在する第1サブピストン304を上昇させる。第1サブピストン304はメインピストン306の突出された部分の下端に密着されて、第1サブピストン304の上昇によってメインピストンも上昇する。
【0033】
メインピストン306の上昇によってメインシリンダー308の上部に形成されている充電ガス貯蔵部310に貯蔵されているガスが圧縮される。メインピストン306が設定された位置まで上昇すると、第1転換バルブ(図示しない)が動作する。第1転換バルブの動作によって第1サブピストン304はメインピストン306の下端から離脱され、第1サブピストン304が離脱されると、メインピストン306はメインピストン306自体の荷重と充電ガス貯蔵部310に貯蔵された圧縮ガスの力によって下側に移動する。もちろん第1転換バルブが作動すると同時に、第1油圧制御バルブ300は閉まる。
【0034】
第2サブシリンダー312、第2サブピストン314、第2転換バルブ(図示しない)も第1サブシリンダー302、第1サブピストン304、第1転換バルブと同じ動作をする。上述したように、第1サブシリンダー302、第1サブピストン304、第1転換バルブで構成される第1駆動部と第2サブシリンダー312、第2サブピストン314、第2転換バルブで構成される第2駆動部と同じ時点で同じ動作を行うのではなく、交互に周期的に動作を行う。このように複数の駆動部を利用することによって、メインピストンの上下移動回数を増加させることができる。即ち、メインピストンが下降によって最低点に到逹する前に、第1サブピストン、第2サブピストンの中の少なくとも一つのサブピストンは移動によって最低点に到逹することによって、メインピストンの上下移動回数を増加させることができる。
【0035】
図3は二つの油圧制御バルブを形成しているが、これに限定されるのではない。即ち、一つの油圧制御バルブを利用して二つのサブピストンを動作させる。
【0036】
図4は本発明の一実施例によるメインピストンの構造による上昇方式を示している。以下、図4を利用して本発明の一実施例によるメインピストンの構造による上昇方式について詳細に説明する。
【0037】
図4aによれば、メインピストンは溝部を形成しており、溝部にメインピストン上昇装置400が密着されている。メインピストン上昇装置400はサブピストンの終端に連結されている。メインピストン上昇装置400は溝部が形成されている下側に位置し、メインピストン上昇装置400の上昇によってメインピストンを上昇させる。転換バルブはメインピストンの最高点に到逹すると、メインピストン上昇装置400をメインピストンから離隔させる。
【0038】
図4bによれば、メインピストンは溝部を形成しており、溝部にメインピストン上昇装置が密着されている。メインピストン上昇装置400はサブピストンの終端に連結されている。メインピストン上昇装置400は溝部が形成されている上側に位置し、メインピストン上昇装置400の上昇によってメインピストンを上昇させる。転換バルブはメインピストンの最高点に到逹すると、メインピストン上昇装置400をメインピストンから離隔させる。
【0039】
図4cによれば、メインピストンは「T」字状に構成され、「T」字の下端にメインピストン上昇装置400が密着されている。メインピストン上昇装置400はサブピストンの終端に連結されている。メインピストン上昇装置は「T」字の下端に位置し、メインピストン上昇装置の上昇によってメインピストンを上昇させる。メインピストンの最高点に到逹すると、メインピストン上昇装置がメインピストンから自動的に離隔される。
【0040】
本発明は図面に示した一実施例を通じて説明されたが、これは例示的なものに過ぎなく、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0041】
200:油圧制御バルブ
202:サブシリンダー
204:サブピストン
206:メインピストン
208:メインシリンダー
210:充電ガス貯蔵部
300:第1油圧制御バルブ
302:第1サブシリンダー
304:第1サブピストン
310:充電ガス貯蔵部
312:第2サブシリンダー
314:第2サブピストン
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c