特許第6200507号(P6200507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200507コード式刈払回転ヘッドならびにこのようなヘッドと前記ヘッドの駆動シャフトとで構成されるアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200507
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】コード式刈払回転ヘッドならびにこのようなヘッドと前記ヘッドの駆動シャフトとで構成されるアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/73 20060101AFI20170911BHJP
   A01D 34/416 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   A01D34/73 104
   A01D34/416
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-531629(P2015-531629)
(86)(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公表番号】特表2015-528306(P2015-528306A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】FR2013052107
(87)【国際公開番号】WO2014041316
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年3月29日
(31)【優先権主張番号】1258674
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512271033
【氏名又は名称】ペランク(ソシエテ アノニム)
【氏名又は名称原語表記】PELLENC(SOCIETE ANONYME)
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ペランク,ロジェ
(72)【発明者】
【氏名】ブラシュ,マティウ
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−060263(JP,A)
【文献】 特開2008−253216(JP,A)
【文献】 特表2003−518935(JP,A)
【文献】 実開平07−014815(JP,U)
【文献】 国際公開第2006/017372(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/416
A01D 34/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもの向けのコード式刈払回転ヘッドであって、前記ヘッドは、一方では、このヘッド内で軸方向中央に延び駆動シャフト(20)を収容して、結合用および駆動トルク伝達用手段(21、22)を用いて、回転軸(X)を中心とする前記ヘッドの回転駆動ならびにヘッドの軸方向ロック手段(23、24、28)の駆動シャフト(20)上での回転駆動を可能にするハブ(18、19)、そして他方では、短尺のまたは長尺の刈払または刈込み用の少なくとも二本のコード(5、5’)の固定システム(3、3’、4、4’、12)を含む支持本体(2)、および支持本体(2)と一体化され、該当する場合には前記ヘッド内での各々の長尺コード(5、5’)の巻取りを可能にする巻取り軸(6)を格納するハウジング(1)を含み、ヘッドにはさらに、ハウジング(1)と支持本体(2)の間の連結手段(7、8)が含まれ、その前記ハブ(18、19)はハウジング(1)および/または支持本体(2)と一体化され、前記ハウジングには内部を前記コードが通過するための少なくとも二つのオリフィス(9、9’)が含まれている刈払ヘッドであって、
固定システム(3、3’、4、4’、12)が、一方では、互いに独立しかつ各々支持本体(2)内に組込まれた締付け用表面(4、4’)と組合わされ、締付け面(10、10’)と支え面(11、11’)とを含む少なくとも二つの可動固定要素(3、3’)を、そして他方では、関係する固定要素(3、3’)の締付け面(10、10’)とそれに組合わされる締付け用表面(4、4’)との間に各コード(5、5’)を締付け固定することを可能にする各固定要素(3、3’)の支え面(11、11’)上に応力を及ぼし適用することのできる唯一の弾性機構(12)を含んでいること、ならびに、支持本体(2)およびハウジング(1)が、該当する場合には締付けおよび固定状態で各長尺コード(5、5’)を巻取り軸(6)の周りに巻取ることができるようにする目的で、相互間で回転組付けされるように適応されていることを特徴とする刈払ヘッド。
【請求項2】
各固定要素(3、3’)が、枢動軸(13、13’)を中心にして枢動する形で組付けられていること、ならびに各枢動軸(13、13’)が、関係する固定要素(3、3’)と一体化され、かつ軸受台(141、141’)を介して支持本体(2)上に固定された軸受(14、14’)内に組付け可能であるか、あるいは、各枢動軸が、支持本体(2)と一体化され、かつ関係する固定要素(3、3’)内に固定されるかまたは組込まれた軸受内に組付け可能であることを特徴とする、請求項1に記載のヘッド。
【請求項3】
各締付け用表面(4、4’)が、前記ヘッドの回転軸(X)との関係においてほぼ直交するかまたは傾斜した一平面内に延在していること、および各固定要素(3、3’)の枢動軸(13、13’)が前記締付け用表面に対してほぼ平行に延在していることを特徴とする、請求項2に記載のヘッド。
【請求項4】
各枢動軸(13、13’)が、関係する固定要素(3、3’)と一体化されており、各軸受台(141、141’)は前記軸受台の軸受(14、14’)内への枢動軸(13、13’)の挿入用開口部を少なくとも一つ呈していること、および各挿入用開口部が弾性変形可能な壁(140、140’)よって画定されていて、各固定要素(3、3’)の枢動軸(13、13’)が可逆的弾性嵌合により、関係する軸受(14、14’)内に挿入され得るようになっており、こうして特に支持本体(2)からの各固定要素(3、3’)の取外しが可能となることを特徴とする、請求項2または3に記載のヘッド。
【請求項5】
各固定要素(3、3’)が、相対する二つの第一の側面、および前記第一の面に対しほぼ直交する相対する二つの第二の面を有し、そのうち前記相対する第二の面のうちの一方が締付け面(10、10’)を形成し、反対側の他方の第二の面が支え面(11、11’)を形成すること、および各固定要素(3、3’)の枢動軸(13、13’)が、前記第一の面をほぼ直交する形で横断し、かつ各々前記第一の面のうちの一つの上に固定された二つの側方軸によって構成されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一つに記載のヘッド。
【請求項6】
各軸受台(141、141’)が、対面する二つの側板を含み、これらの側板は、関係する固定要素(3、3’)の二つの側方軸のうちの一方を前記側板に対しほぼ直交する形で収容して各固定要素が二つの対応する側板の間で枢動可能になることのできる一つの軸受(14、14’)を各々組込んでいること、および、各締付け用表面(4、4’)が、前記軸受台(141、141’)のうちの一方の軸受台の二つの側板の間に延在し、前記側板を分離する空間が、延在する収容および誘導用通路を形成していることを特徴とする、請求項5に記載のヘッド。
【請求項7】
収容および誘導用通路が、締付けおよび固定を目的として支持本体(2)内の各コード(5、5’)に対して、ヘッドの回転軸との関係において半径方向に延在していることを特徴とする、請求項6に記載のヘッド。
【請求項8】
巻取り軸(6)が、支持本体(2)内に固定されており、二つの通過用開口部(15、15’)を含み各コード(5、5’)が一つの開口部を介して通過することを可能にする円筒形状の周囲壁で構成されていること、および前記ヘッドが二つのほぼ同心のチャンバ、すなわちハブ(18、19)と周囲壁(6)の間に画定され固定システム(3、3’、4、4’、12)を収容する中央チャンバ(16)、および、該当する場合には各コード(5、5’)の巻を収容するハウジング(1)の内側壁と前記周囲壁の間に画定された周囲チャンバ(17)を含んでいることを特徴とする、請求項2〜のいずれか一つに記載のヘッド。
【請求項9】
周囲壁(6)が円筒形状を示し、その一方の端面が開放され、他方の端面が底部(200)によって閉鎖されていること、および該当する場合には、各軸受(14、14’)が前記底部上に固定されていることを特徴とする、請求項に記載のヘッド。
【請求項10】
ハブ(18、19)が、一方ではハウジング(1)内に組込まれているかまたは一体化された第一のハブ部分(18)と、支持本体(2)内に組込まれているかまたは一体化された第二のハブ部分(19)とを含み、他方では、前記第一および第二のハブ部分(18、19)を、互いの間でかつ互いの延長部分内で相互間の回転を妨げながら連結できるようにする連結手段(7、8)を含み、前記連結手段は同様に、前記ハウジング(1)と前記支持本体(2)の間の連結手段(7、8)を形成して、それら相互間の回転を固定すると共にそれらを互いに連結できるようにし、こうして駆動シャフト(20)上での軸方向にロックされたヘッドの回転を可能にするか、あるいはそれらの連結を解除してヘッドの取外しまたは固定要素(3、3’)へのアクセスを可能にするか、または支持本体(2)とハウジング(1)が相互間で回転組付けされるように適応されている場合には、ヘッド内への締付けおよび固定を伴う各コードそれらの挿入状態において各コード(5、5’)の巻取りを可能にすることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載のヘッド。
【請求項11】
連結手段(7、8)が、各ハブ部分(18、19)内に設けられた溝で構成されていることを特徴とする、請求項10に記載のヘッド。
【請求項12】
唯一の弾性機構が、ハブ(18、19)をその全長または一部分にわたり軸方向に取り囲む唯一のコイルばね(12)であり、前記ハブが前記コイルばねを軸方向に貫通していることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載のヘッド。
【請求項13】
前記ばねが、一方ではハウジング(1)と一体化した第一のストッパ面(29)と、他方では各コード(5、5’)が挿入状態にある場合、固定要素(3、3’)上に締付け応力を及ぼしながらこれらの固定要素の各支え面(11、11’)と、コード(5、5’)が非挿入状態にある場合、ばね(12)が固定要素(3、3’)の前記支え面と接触するのを妨げるストッパを形成する第二のストッパ面(30、30’)との間で、軸方向に維持されていることを特徴とする、請求項12に記載のヘッド。
【請求項14】
第一のストッパ面(29)が、各支え面(11、11’)または該当する場合には第二のストッパ面との関係における、軸方向離隔距離について調節可能であり、こうして唯一のコイルばね(12)の復元力つまり各固定要素(3、3’)上にこのコイルばねが及ぼす応力を調節することができることを特徴とする、請求項13に記載のヘッド。
【請求項15】
ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもの向けのコード式刈払回転ヘッドと動力式ポータブル型刈払機用の駆動シャフト(20)とで構成されるアセンブリであって、前記ヘッドに対して駆動トルクを伝達するために前記ヘッドのハブ(18、19)内に前記駆動シャフト(20)を組付けることができ、前記ヘッドは請求項1〜14のいずれか一つに記載の特徴を示し、
軸方向ロック手段(23、24、28)が制御用手段(24)を含み、一方では、該当する場合には各コードの予備締付けを伴う挿入と唯一の弾性機構の予応力の状態から、駆動シャフト(20)上へのヘッドの軸方向ロックまたはロック解除を制御し可能にするように、そして他方では、ロック状態においてはヘッド内での各コード(5、5’)の締付けおよび固定を実現できるようにする固定要素(3、3’)上での弾性機構(12)の締付け応力を確立し、ロック解除状態においては前記締付け応力を除去するように適応されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
軸方向ロック手段(23、24、28)が同様に、該当する場合にはロック状態においては、第一および第二のハブ部分(18、19)の間で連結および固定用手段(7、8)を用いて連結を確立するように、ロック解除状態においては、前記連結に反対する応力を及ぼす唯一の弾性機構(12)の作用下で前記第一および第二のハブ部分の間の連結解除を確立するように適応されていることを特徴とする、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
駆動シャフト(20)がその自由端部において結合用エンドピース(23)で終結していること、およびロック手段(23、24、28)がエンドピース(23)と、前記エンドピース上で前記ヘッドの軸(X)を中心として回転組付けされ支持本体(2)と協働する前記制御用手段を形成する制御用部品(24)とを含んでおり、こうして制御用部品(24)の回転が、ハウジング(1)内において、ヘッドの回転軸(X)に沿った支持本体(2)の並進移動をひき起こすことになり、これにより、前記部品の回転方向にしたがって、ロックを実現できる回転方向において前記締付け応力を確立すること、そして該当する場合には第一および第二のハブ部分(18、19)の間の連結を確立することが可能となるか、ロック解除を実現する回転方向においては、前記締付け応力を除去すること、そして該当する場合には前記第一および第二のハブ部分の間の連結解除を実現することが可能となることを特徴とする、請求項15または16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
エンドピース(23)が、その外側側面上に設けられたねじ山を有すること、および制御用部品(24)が、制御用部品(24)とエンドピース(23)との間の螺入による結合、およびこの制御用部品の回転を確保できるようにするねじ溝を有することを特徴とする、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
駆動シャフト(20)とハブ(18、19)の間の結合および駆動トルク伝達用手段(21、22)が、駆動シャフト(20)と一体化した第一の結合手段(21)、および第二のハブ部分(19)と一体化した第二の結合手段(22)で構成され、こうしてハウジング(1)は第一のハブ部分(18)を介して駆動シャフト(20)上で自由に回転するよう組付けられ、支持本体(2)は制御用部品(24)のロック後、駆動トルクをハブ(18、19)、つまり刈払ヘッドに伝達するようになっていることを特徴とする、請求項1518のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性または剛性コードの形状の刈払回転要素を有する動力式ポータブル刈払機の分野に関するものであり、ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもののためのコード式刈払回転ヘッドを目的とする。本発明は同様に、このようなヘッドおよび前記ヘッドの駆動シャフトで構成されるアセンブリをも目的としている。
【背景技術】
【0002】
一般に、動力式ポータブル型刈払機は、概してその一方の端部に、内燃機関または電動機と、概してU字形または丸形である誘導および動力制御用のグリップとを有し、他方の端部にはコード式刈払回転ヘッドを有している柄を含んでいる。同様に、電動機が刈払ヘッドの端部にあるシステムも存在する。これらの各システムは同様に、原動機により回転運動させられ、かつヘッド内で軸方向に方向付けされ配置されたハブ内に差し込まれてヘッドに駆動トルクを伝達することを確保する、動力シャフトまたは駆動シャフトをも含んでいる。
【0003】
これらの刈払ヘッドは、一本以上の可撓性コードを収容し維持するように適応されており、これらのコードの数は、運動を平衡化するように概して偶数であり、最も多くの場合、ヘッドの軸に対して対称に配置された二本のコードである。各コードは、その一方の端部を固定することによってヘッド内に取り付けられており、この端部から半径方向外側に向かってそのもう一方の端部がはみ出し、こうしてヘッドの回転と組合わさって、一つ以上の刈払刃、つまり刈払ストランド、概してヘッドの軸との関係において直径方向に相対する二本の刈払ストランドをヘッドの外側に形成する。
【0004】
これらの刈払ヘッドのうち一部は、一本以上の短尺コードを使用し、ユーザーは、刈払ストランドが過度に摩耗した時点でこのコードを交換する。他のヘッドは長尺コードを使用し、このためにコンテナ、すなわちヘッド内に配置されたリールと呼ばれる円筒形壁の周りに螺旋状の巻の形で巻取ることによってヘッドの内部で長尺にわたり刈払ストランドを延長できるようにする、ヘッド内に位置する空間またはチャンバを有しており、こうして、コードの備蓄またはボビンを構成して、刈払ストランドが摩耗、または断線した場合に、一本または複数のコードを頻繁に交換することが回避される。
【0005】
巻を伴うこのタイプのヘッドにおいては、ヘッドのレベルでの手作業によりまたは半自動式に、「タップアンドゴー」の名称で知られるシステム、すなわち作動中のヘッドに対して加えられる衝撃により、ヘッドの回転によって生成される遠心力と組合せてコードの摩耗に応じて所与の長さのコードを解放するシステムによって、ユーザーが、巻取られたコードを繰出すことのできるものもある。巻を伴う他のヘッドは、電動機を用いて、または遠心力のみによって、巻取られたコードの自動的繰出しが可能になるように適応されている。
【0006】
その上、これらの刈払ヘッドは、刈払ストランドと同数の通過オリフィスまたはアイレットを有し、これらのストランドをヘッド内部で延長させて締付け機構を用いて固定しかつ/またはヘッドの内部に収納されたボビン上へとそれらを巻取ることのできる保護用ケーシングまたはハウジングを含んでいる。
【0007】
国際公開第2006/017372号は、短尺コードを使用する、すなわちこれらのコードのヘッド内への巻取りのない、特に二本または四本の短尺コードがヘッドの外側に向かって直径方向に相対する形で延びている、コード式刈払回転ヘッドについて記載している。各短尺コードは、ばねと組合わされた可動締付け要素を含む挟持機構を用いて、実質的に閉鎖したチャンバ内に離脱可能な形で挟持によりヘッド内に固定されている。すなわち、各締付け要素は独自のばねを有し、各ばねは、組合わされる締付け要素を、前記チャンバ内に差し込まれた刈払ストランドの近傍端部に対し押圧する傾向を有する。
【0008】
しかしながら、短尺コードを収容するためにのみ適応されている国際公開第2006/017372号に記載のタイプの刈払ヘッドは、刈払ヘッドへのコードの挿入または抜去を可能にするために、各締付け用要素に作用してばねが加える拮抗作用に対抗してこの要素をコードから遠ざけることを目的として、手による作業を必要とする。したがって、交換を目的として各コードを解放するために、特定の手作業によって各ばねに対抗する作用、つまり無効化を行う必要のあるこのタイプのヘッドは、ばねの各アクチュエータ機構のレベルでのヘッドの事前洗浄が系統的に必要となるため、ユーザーにとって極めて煩わしいものである。
【0009】
仏国特許第2781976号明細書は、二重チャンバ付きのボビン内に組込まれる二本のコードを含む刈払ヘッドにおいて、各コードに一つずつの二つのチャンバが、作業状態にある前記ヘッドの回転軸の垂直方向の方向付けを考慮して重ね合わされており、刈払ヘッドのコードの排出用アイレットのレベルでヘッドの内部に位置付けされた半径方向間仕切りによって分離されている刈払ヘッドを目的としている。ヘッドは同様に、半径方向間仕切りの中に収納された摩擦による固定機構を含んでおり、この機構は、ヘッドの内部で狭窄して、関係するコードを挿入しこれを摩擦により一定の長さにわたり固定する挿入用のチャネルまたはガイドで構成されている。
【0010】
ただし、仏国特許第2781976号明細書中に記載のタイプのヘッドには複数の欠点がある。第一に、重ね合わされた二つのチャンバを分離する半径方向間仕切りの正面にある排出用アイレットの位置設定は、ヘッドの下端部側から離れた状態に、すなわちこのヘッドの作業状態において地面に対し比較的高い位置に各コードを位置付けることになり、これによって短い刈払を行うにはヘッドを地面に無理に擦り付ける必要があり、それにより摩耗の増大および摩耗部品の交換コストの上昇を招き、さらにヘッドを傾ける必要も生じ、これにより地面と各刈払ストランドの過剰な摩擦が発生し、こうしてその摩耗および消費量は増大する。また、コードの摩擦を可能にする各コードの挿入チャネルの寸法は、唯一つのコード直径を使用するように限定され、異なる直径または異なる形状のコードは各々、摩擦によるブロッキング効果を著しく変更し、この効果は不充分で作動中のヘッドからのコードの離脱をひき起こす可能性がある。このような離脱は、ヘッド内に最初に導入された時点での刈払ストランドとその端部の間の初期距離をはるかに超える大量のコードの損失をひき起こす。さらに、巻回または巻取りの開始時にコードを維持できるように充分な摩擦によるコードの固定応力を確保するためには、各チャネルの長さは長くなければならず、こうして巻取りの終了時には、刈払ストランドを形成するのに使用可能であり得るコード長に多大な損失が発生する。最後に、このタイプのヘッドは、短尺コードには適応していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、削減された数の摩耗部品しか内蔵せず、各刈払コードの迅速な交換、および該当する場合には各コードの迅速な巻取りを保証しながら、さまざまな形状および寸法の、剛性または可撓性の、長尺または短尺の刈払コードを収容するように適応された、原価の安い、ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもの向けのコード式刈払回転ヘッドを提案して、これらの不都合を改善することを目的としている。その上、本発明に係るこのようなヘッドは、コードが摩耗、劣化または断線し、かつ/または該当する場合には完全に繰出された場合に、ヘッド内に延びる、残留または使用不能のコードの長さを、制限または削減することによって、刈払コードの使用を最適化できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもの向けの、本発明にかかるコード式刈払回転ヘッドは、一方では、このヘッド内で軸方向に中央に延び駆動シャフトを収容して、結合用および駆動トルク伝達用手段を用いて回転軸を中心とする前記ヘッドの回転駆動ならびにヘッドの軸方向ロック手段の駆動シャフト上での回転駆動を可能にするハブ、そして他方では、短尺のまたは長尺の刈払または刈込み用の少なくとも二本のコードの固定システムを含む支持本体、および任意には好ましくは支持本体と一体化され該当する場合には前記ヘッド内での各長尺コードの巻取りを可能にする巻取り軸を格納するハウジングを含み、ヘッドにはさらに、ハウジングと支持本体の間の連結手段が含まれ、その前記ハブはハウジングおよび/または支持本体と一体化され、前記ハウジングには内部を前記コードが通過するための少なくとも二つのオリフィスが含まれている刈払へッドであって、固定システムが、一方では、互いに独立しかつ各々支持本体内に組込まれた締付け用表面と組合わされ、締付け面と支え面とを含む少なくとも二つの可動固定要素を、そして他方では、関係する固定要素の締付け面とそれに組合わされる締付け用表面との間に各コードを締付け固定することを可能にする各固定要素の支え面上に応力を及ぼし適用することのできる唯一の弾性機構を含んでいること、ならびに任意には、支持本体およびハウジングが、該当する場合には締付けおよび固定状態で各長尺コードを巻取り軸の周りに巻取ることができるようにする目的で、相互間で回転組付けされるように適応されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は同様に、ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもの向けのコード式刈払回転ヘッドと動力式ポータブル型刈払機用の駆動シャフトとのアセンブリをも目的としており、該アセンブリは、前記ヘッドに対して駆動トルクを伝達するために前記ヘッドのハブ内に前記駆動シャフトを組付けることができ、前記刈払ヘッドは、本発明にしたがって定義された刈払ヘッドの特徴を示し、軸方向ロック手段が制御用手段を含み、一方では、該当する場合に各コードの予備締付けを伴う挿入と唯一の弾性機構の予応力の状態から、駆動シャフト上へのヘッドの軸方向ロックまたはロック解除を制御し可能にするように、そして他方では、ロック状態において、ヘッド内での各コードの締付けおよび固定を実現できるようにする固定要素上での弾性機構の締付け応力を確立し、ロック解除状態においては、前記締付け応力を除去するように適応されていることを特徴とする。
【0014】
本発明は、非限定的な例として示され添付の概略的図面を参照しながら説明されている好ましい一実施形態に関連する以下の記述によって、より良く理解できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(ヘッドの回転軸の垂直方向の方向付けを考慮した場合の、またはこのヘッドの作業状態での)ヘッドの反転構成における、各々一つの刈払要素を形成する二本の刈払ストランドを含む本発明に係る刈払ヘッドの斜視図を示す。
図2】刈払コードなしの、方向付けされ図1に表わされている通りの刈払ヘッドと前記ヘッドのハウジング内に組付けられた駆動シャフトとで構成された本発明に係るアセンブリの部分断面かつ分解組立斜視図を示す。
図3】ヘッドを組付けた状態で、支持本体との関係におけるハウジングの自由な回転を可能にする構成における、刈払コードなしの図2に表わされたアセンブリの横断面図を示す。
図4】ヘッドを組付けた状態の、そしてコードを収容できる状態にあり支持本体との関係におけるハウジングの自由回転を可能にするヘッドの構成における、図1で表わされた刈払ヘッドを示す。
図5図4で表わされたアセンブリの横断面を示す。
図6】二本のコードがヘッド内に挿入された状態で、かつこれらのコードの予備締付け状態における、図5に表わされたアセンブリを示す。
図7】二本の刈払コードがヘッド内に挿入された状態で、かつコードが締付けられ最終固定された状態、そしてヘッドと支持本体が連結されこれらの相互の回転を妨げている状態における、図5に表わされたアセンブリを示す。
図8】ハウジングの部分図を伴う図1で表わされた刈払ヘッドの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図は、ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもの向けの本発明に係るコード式刈払回転ヘッドを示しており、前記ヘッドは、一方では、このヘッド内で軸方向に中央に延び駆動シャフト20を収容して、結合用および駆動トルク伝達用手段21、22を用いて、回転軸Xを中心とする前記ヘッドの回転駆動ならびにヘッドの軸方向ロック手段23、24、28の駆動シャフト20上での回転駆動を可能にするハブ18、19、そして他方では、短尺のまたは長尺の刈払または刈込み用の少なくとも二本のコード5、5’の固定システム3、3’、4、4’、12を含む支持本体2、および任意には好ましくは支持本体2と一体化され、該当する場合には前記ヘッド内での各々の長尺コード5、5’の巻取りを可能にする巻取り軸6を格納するハウジング1を含み、ヘッドにはさらに、ハウジング1と支持本体2の間の連結手段7、8が含まれ、それの前記ハブ18、19はハウジング1および/または支持本体2と一体化され、前記ハウジングには内部を前記コードが通過するための、より詳細には、各オリフィス9、9’の内部を各コード5、5’が通過するための、少なくとも二つのオリフィス9、9’、例えばアイレットが含まれている。
【0017】
本発明によると、固定システム3、3’、4、4’、12は、一方では、互いに独立しかつ各々支持本体2内に組込まれた締付け用表面4、4’と組合わされ、締付け面10、10’と支え面11、11’とを含む少なくとも二つの可動固定要素3、3’を、そして他方では、関係する固定要素3、3’の締付け面10、10’とそれに組合わされる締付け用表面4、4’との間に各コード5、5’を締付け固定することを可能にする各固定要素3、3’の支え面11、11’上に応力を及ぼし適用することのできる唯一の弾性機構12を含んでいる。さらに、支持本体2およびハウジング1は、該当する場合には締付けおよび固定状態で各長尺コード5、5’を巻取り軸6の周りに巻取ることができるようにする目的で、好ましくはヘッドの回転軸Xを中心にして相互間で回転組付けされるように適応され得る。
【0018】
本発明は、短尺コード5、5’を収容するためのみに適応された刈払ヘッド、すなわち巻取り軸6またはヘッド内に巻取り用ボビンを形成する別の要素を具備していないもの、あるいはヘッド内、そしてより詳細にはヘッド内に配置され、例えば以下で詳述するようにハウジング1の内部壁と支持本体2の周囲壁との間で画定され得る巻取り用チャンバ内での、長尺コード5、5’の巻取りを可能にする巻取り軸6を特別に有する長尺コード5、5’ならびに短尺コード5、5’を収容するように適応されたヘッドを想定し得るものであることがわかる。
【0019】
好ましい実施形態においては、各固定要素3、3’は、枢動軸13、13’を中心にして枢動する形で組付けられ得る。さらに、各枢動軸13、13’は関係する固定要素3、3’と一体化され、かつ軸受台141、141’を介して支持本体2内に固定されるかまたは組込まれた軸受14、14’内に組付け可能である(図2、3、5、6、7)。図示されていない一変形形態では、各枢動軸は支持本体2と一体化され、かつ関係する固定要素3、3’内に固定されるかまたは組込まれた軸受内に組付け可能であり得る。
【0020】
その上、枢動する各々の固定要素3、3’は、枢動軸13、13’との関係において支え面と反対側、好ましくはこの支え面11、11’の後方に位置する接触面110、110’を含むことができる。好ましくは、各固定要素の支え面および接触面は、この要素の枢動軸を含む平面の両側に位置してよく、こうして、これらの面は、各支え面の上下動空間を許容するために互いに偏心させられる(図2、3、5、6、7)。このような接触面110、110’により、ユーザーは前記接触面上へ圧力を及ぼすことによって手作業により各固定要素3、3’を上下動させて、各締付け面10、10’を組合わされる締付け用表面4、4’から遠ざけて、これらの間に固定された関係するコード5、5’を解放することができる。
【0021】
好ましくは、各締付け用表面4、4’は、カットヘッドの回転軸(X)との関係においてほぼ直交するかまたは傾斜した一平面内に延在していてよく、各固定要素3、3’の枢動軸13、13’は締付け用表面に対してほぼ平行に延在していてよい(図2、3、5、6)。
【0022】
好ましくは、各固定要素3、3’または各軸受14、14’は、ヘッド内で、好ましくはヘッドの(作業状態における前記ヘッドの回転軸の垂直方向の方向付けを考慮して)下部側とほぼ同じレベルかまたはそれに近接して位置付けされ得、ヘッドの前記下部側の内側面は、支持本体2または周囲壁の底部200(図2および図3)によって構成されており、それにより刈払コード5、5’つまり刈払面を、地面または刈払いすべき表面の近くに位置付けすることができ、かつ特に過剰な傾斜角でヘッドを傾斜させる必要なく、あるいはヘッドを地面に無理に擦り付けことなく短い刈払を実施することができ、つまりヘッドおよび刈払ストランドの摩擦をより少ないものにすることができる。
【0023】
好ましい一実施形態において、巻取り軸6は支持本体2内に固定され得、好ましくは円筒形状の周囲壁で構成され得る。
【0024】
円筒形周囲壁6の端面の一方は開放されてよく、他方の端面は底部200により閉鎖されていてよい。さらに、各固定要素3、3’が枢動するように組付けられている場合、本発明は、各軸受台141、141’が前記底部200上に固定され得ることを想定することができる(特に図2および3)。
【0025】
その上、ハウジング1は、支持本体2、そして該当する場合には巻取り軸6を形成する周囲壁を収容できるように、半球形の形状、または一方の端部が開放された状態の全体として円筒形の形状を呈することができる。さらに、この周囲壁を、支持本体2との関係におけるハウジングの回転誘導を可能にする目的でハウジング1の自由縁部を収容することのできるフランジ26により、横方向に、特にその底部のレベルで外向きに拡げることができる(図)。このようなフランジ26は、その構造的剛性を確保し、特に材料注入を介する成形プロセスによって獲得され得るため、補強材27を有することができる。同様にして、支持本体2も、同じ理由で、特にその底部200と周囲壁6の間に補強材27’を含むことができる。
【0026】
こうして、支持本体2が、長尺コード5、5’を収容するための巻取り軸6を含む場合、支持本体2は、全体としてボビン形状を呈することができる。
【0027】
各枢動軸13、13’が、関係する枢動固定要素3、3’と一体化され得る場合、本発明は、各軸受台141、141’が、関係する軸受14、14’内への枢動軸13、13’の挿入用開口部を少なくとも一つ呈し得ること、および各挿入用開口部が弾性変形可能な壁140、140’によって画定されていて、各固定要素3、3’の枢動軸13、13’が可逆的弾性嵌合により、関係する軸受14、14’内に挿入され得るようになっていることを想定することができる(特に図2および3)。このような嵌合は、特に支持本体2からの各固定要素3、3’の取外しを特定の工具を使用せずに容易に可能にする。
【0028】
より詳細に図2、3、5、6および7を参照すると、各固定要素3、3’は、その好ましい一実施形態において、各々相対する二つの第一の側面、および前記第一の面に対しほぼ直交する相対する二つの第二の面を有することができ、そのうち前記相対する第二の面のうちの一方が締付け面10、10’を形成し、反対側の他方の第二の面が支え面11、11’を形成する。さらに各固定要素3、3’の枢動軸13、13’は、前記第一の面をほぼ直交する形で横断することができ、あるいは各々前記第一の面のうちの一つの上に固定された二つの側方軸またはジャーナルなどによって構成されることができる。
【0029】
その好ましい一実施形態によると、各軸受台141、141’は、対面する二つの側板を各々含み、これらの側板は、関係する固定要素3、3’の二つのジャーナルのうちの一方を前記側板に対しほぼ直交する形で収容して各固定要素が二つの対応する側板の間で枢動可能になることのできる一つの軸受を各々組込んでいてよい(図2、3、5、6および7)。さらに、各締付け用表面10、10’は、前記軸受台のうちの一方の軸受台の二つの側板の間に延在することができ、各軸受けの壁を分離する空間は、締付けおよび固定を目的として支持本体2内の各コード5、5’に対して、ヘッドの回転軸との関係において好ましくは半径方向に延在する収容および誘導用通路を形成することができる(特に図5、6および7)。
【0030】
巻取り軸6を形成する周囲壁は、二つの通過用開口部15、15’を含むことができ、これらの開口部はそのうちの一つを介した各コード5、5’の通過を可能にしている。
【0031】
さらに本発明に係るヘッドは、二つのほぼ同心のチャンバ16および17、すなわちハブ18、19と周囲壁6の間に画定され得かつ固定システム3、3’、4、4’、12を収容できる中央チャンバ16、および、ハウジング1の内側壁と前記周囲壁の間に画定され得かつ該当する場合に各コード5、5’の巻を収容できる周囲チャンバ17を含むことができる(図3、5、6、7および8)。より詳細には、周囲チャンバ17は、該当する場合には支持本体2の底部200のレベルで、ハウジング1の自由縁部と協働するフランジ26により画定され得る。
【0032】
好ましい実施形態において、弾性機構12はばね、さらに詳細にはハブ18、19を軸方向に取り囲むコイルばね12であってよく、その場合、このハブ18、19は前記ばねを軸方向に貫通する(図2、3、5、6、7、8)。
【0033】
好ましくは、ハブ18、19は、一方ではハウジング1内に組込まれているかまたは一体化された第一のハブ部分18と、支持本体2内に組込まれているかまたは一体化された第二のハブ部分19とを含み、他方では、前記第一および第二のハブ部分18、19を、互いの間でかつ互いの延長部分内で相互間の回転を妨げながら連結できるようにする連結手段7、8を含むことができる。さらに、前記連結手段7、8は同様に、前記ハウジング1と前記支持本体2の間に連結手段を形成して、相互間の回転を固定すると共にそれらを互いに連結できるようにし、こうして駆動シャフト20上での軸方向にロックされたヘッドの回転を可能にするか、あるいはそれらの連結を解除またはそれらを分離して特にヘッドの取外しまたは固定要素3、3’へのアクセスを可能にするか、または支持本体2とハウジング1が相互間で回転組付けされるように適応されている場合には、各コード5、5’の巻取りを可能にすることができる(図2、3、5、6、7)。
【0034】
より詳細には、図2を見ればわかるように、連結手段7、8は、例えば各ハブ部分18、19内に設けられた溝で構成され得る。より詳細には、第二のハブ部分19はその自由端縁部に設けられた溝8を含むことができ、そして第一のハブ部分18は溝7を含む内部肩部を含むことができ、これによって第一のハブ部分18内への第二のハブ部分19の溝付き縁部の嵌合が可能になっており、前述の連結を確立させるようにそれぞれの部分の溝は接触している(図2、3、5、6、7、8)。
【0035】
好ましくは、唯一の弾性機構12は、ハブ18、19をその全長または一部分にわたり軸方向に取り囲む唯一のコイルばねであり得る。コイルばね12は、ハウジング1と一体化した第一のストッパ面29と固定要素3、3’の各支え面11、11’との間で軸方向に維持され得る。このとき、唯一のばねは、その末端螺旋を用いてヘッド内に軸方向に維持され得、これらの螺旋は、その一方の端部については、例えばハウジング1の底部200の一部分によって形成されていることでハウジング1内に固定されるかまたは組込まれ得る第一のストッパ面29によって支持され得、そしてばねの他方の端部については、固定要素3、3’の支え面11、11’によって支持され得る、ということがわかる(図2、3、5、6、7、8)。
【0036】
付加的な特徴において、ヘッドは第二のストッパ面30、30’を含むことができ、ばねは、コード5、5’が挿入されていない状態で、第一のストッパ面29と第二のストッパ面30、30’との間で軸方向に維持され得、この第二のストッパ面はこのとき、固定要素3、3’の支え面11、11’とばね12が接触するのを妨げるストッパを形成し、これにより、ばね12の応力下で、ヘッド内にコード5、5’が挿入されていない状態での、それぞれの締付け用表面4、4’と各締付け面10、10’の加圧下での接触、つまり前記締付け面の摩耗または劣化が回避される(特に図2および5)。
【0037】
好ましくは、第二のストッパ面30、30’は、各軸受台141、141’の面、例えば関係する軸受台141、141’の各側板の、固定側とは反対にある自由な側の外部面によって構成され得る(特に図2および5)。
【0038】
好ましい一実施形態において、第一のストッパ面29は、各支え面11、11’またはコードがない場合には第二のストッパ面30、30’との関係における、軸方向離隔距離、すなわち軸方向の接近または離隔について調節可能であり、こうして、それが各コード5、5’の挿入の際に予備締付を容易にするためであれ、あるいはコード5、5’の挿入状態において、固定を伴う締付けを実施するためであれ、唯一のばね12の復元力つまり各固定要素3、3’上にこのコイルばねが及ぼす応力を調節することができる。
【0039】
このような調節は、例えば、ヘッドの回転軸Xに沿った相互間の相対的な軸に沿った移動によって、ハウジング1内で支持本体2を移動させることにより実施可能である。
【0040】
図2、3、5、6、7および8は、同様に、ブラッシュカッター、草刈機、ボーダートリマー、ヘッジトリマー、またはそれに類するもの向けのコード式刈払回転ヘッドと動力式ポータブル型刈払機用の駆動シャフト20とで構成されるアセンブリであって、前記ヘッドに対して駆動トルクを伝達するために前記ヘッドのハブ18、19内に前記駆動シャフト20を組付けることができ、前記ヘッドが本発明にしたがって定義された特徴を示す、アセンブリを示している。
【0041】
本発明によると、軸方向ロック手段23、24、28は制御用手段24を含み、一方では、任意にはまたは該当する場合には各コードの挿入時点直後の予備締付けと唯一の弾性機構の予応力の状態から、駆動シャフト20上へのヘッドの軸方向ロックまたはロック解除を制御し可能にするように、そして他方では、ロックの際に、ロック状態においてはヘッド内での各コード5、5’の締付けおよび固定を実現できるようにする支え面11、11’を介した、固定要素3、3’上での弾性機構12の締付け応力を確立し、ロック解除状態においては締付け応力を除去するように適応されている。
【0042】
軸方向ロック手段23、24、28は同様に、該当する場合にロック状態においては、第一および第二のハブ部分18、19の間で連結および固定用手段7、8を用いて連結を確立するように、ロック解除状態においては、前記連結に反対する応力を及ぼす唯一の弾性機構12の作用下で前記第一および第二のハブ部分の間の連結解除を確立するように適応され得る。
【0043】
アセンブリの好ましい一実施形態において、駆動シャフト20はその自由端部において結合用エンドピース23で終結していてよく、ロック手段23、24、28はエンドピース23と、前記エンドピース上で前記ヘッドの軸Xを中心として回転組付けされ前記制御用手段を形成する制御用部品24とを含むことができる。制御用部品24は、支持本体2と協働でき、こうして制御用部品24の回転が、ヘッドの回転軸Xに沿ってハウジング1内での支持本体2の並進移動をひき起こすことができ、これにより、前記部品の回転方向にしたがって、ロックを実現できる回転方向において、締付け応力を確立すること、そして該当する場合には第一および第二のハブ部分18、19の間の連結を確立することが可能となるか、あるいはロック解除を実現できる回転方向においては、締付け応力を除去するかまたは低減させること、そして該当する場合には前記第一および第二のハブ部分の間の連結解除を実現することが可能となる。
【0044】
締付け応力の確立は、本発明によって具備され得る固定要素上の唯一の弾性機構12の予応力のために、コード5、5’の予備締付けのない状態から直接得られるか、または前記予応力の後に得られ、その場合、締付け応力の確立は、予備締付け応力の増大に対応することになるということがわかる。
【0045】
エンドピース23は、その好ましい一実施形態において、その外側側面上にねじ山を有することができ、制御用部品24は、制御用部品24とエンドピース23との間の螺入による結合、およびこの制御用部品の回転を確保できるようにする(例えば制御用部品24と一体化させたナット25内に組込まれた)ねじ溝を有することができ、こうして制御用部品24の回転方向にしたがった前述の効果を実現することが可能となる。
【0046】
アセンブリの好ましい一実施形態において、駆動シャフト20とハブ18、19の間の駆動トルクの伝達を確保できるようにする、結合および駆動トルク伝達用手段21、22は、駆動シャフト20と一体化した第一の結合手段21、および第二のハブ部分19と一体化した第二の結合手段22で構成されていてよく、こうしてハウジング1は第一のハブ部分18を介して駆動シャフト20上で自由に回転するよう組付けられ得、支持本体2は制御用部品24のロック後、駆動トルクをハブ18、19、つまり刈払ヘッドに伝達できるようになっている(特に図2)。
【0047】
本発明は、ハブ18、19内への挿入の際に、例えばハウジング1の第一のハブ部分18の一縁部により形成されるハウジングのストッパに対し当接することになる肩部28を特別に有することのできる、巻取り軸20上でのハウジングの並進移動の固定を想定し得る、という点が指摘される(図2、3、5、6、7、8)。
【0048】
こうして、本発明に係るヘッドおよびアセンブリは、短尺または長尺の各コード5、5’の挿入モード(図5)、該当する場合には挿入された各コード5、5’の予備締付けモード(図6)、およびヘッド内の各コード5、5’の締付けおよび固定モード(図7)に連続的に入ることが可能である。これらのモードに入る前には、ハウジング1と支持本体2の間の回転を自由にさせるような形で、ヘッドを組付けるかまたは制御することができる。ヘッドにすでにコード5、5’が挿入されている状態から、前記制御は、ユーザーにとって、唯一の弾性機構12の作用下で二つのハブ部分18および19を連結解除し、つまりハウジング1および支持本体2の相互間の回転を分離し解放するような形でヘッドの回転軸Xを中心として回転させることによって、制御用部品24に対し作用させることからなる。一方、例えば矢印(図1および4)などの目印を支持本体2の外側面上に作製して、各固定要素3、3’の位置付け、より詳細には各々の通過用開口部15、15’が各アイレット9、9’と対面する位置付けを可能にすることができる。こうして、挿入モードにおいて、このときユーザーは、対応するアイレット9、9’を通して各コード5、5’を、関係する固定要素3、3’に向かって、より詳細には各軸受14、14’の二つの側板141、141’の間、そして関係する固定要素の締付け面10、10’と支持本体2の対応する締付け用表面4、4’の間に差し込むことができる。コード5、5’が正しく位置付けされたことをユーザーに知らせるため、任意にはハブ18、19の外側壁と当接するまで各コード5、5’を差し込むことができる。
【0049】
この挿入モードでは、ばねは、各固定要素3、3’に対して及ぼされる応力がゼロとなるように配置され得る。好ましくは、各固定要素3、3’上に及ぼされる応力が締付け応力よりも小さく、こうして、各コード5、5’をヘッド内に保持し維持することのできる各コードの予備締付けを保証しながら、関係する固定要素3、3’の締付け面10、10’と、組合わされる締付け用表面4、4’との間の、各コード5、5’の挿入を可能にする予応力を締付け要素上で確立するような形で、ばねを配置することができる。さらに予備締付けによって、長尺コードの場合、ヘッド内におけるコードの自由端部のうちの一方を介したコードの維持によって、巻取り方向の如何に関わらず、支持本体2とハウジング1の間の相対的回転による周囲チャンバ17内の周囲壁6の周りへのコードの巻取りが可能になる。
【0050】
その後、好ましくは各コード5、5’の予備締付けを実施することによりひとたび各コード5、5’が挿入されると、ユーザーは、締付けモードにおいて、該当する場合には二つのハブ部分18、19同士の連結の回転状態のロックを実現し、各固定要素3、3’の支え面11、11’上に締付け応力を適用するために唯一の弾性機構12に力を及ぼすような形で、制御用部品24を回転させることで制御用部品に作用させながら、該当する場合には駆動シャフト上でヘッドを回転位置にロックすると共に、支持本体2とハウジング1を連結することができる。このような応力は、各固定要素3、3’と、該当する場合には締付け面10、10’内に設けられた歯そして唯一の弾性機構12の応力が及ぼす圧力との組合わさった作用の下で、前記締付け用表面4、4’と支え面10、10’の間のコード5、5’の締付けを確立する効果、予備締付けの場合にはこの締付けを増大させる効果を有する。ヘッドの締付けおよびロックの状態において、コード5、5’を逆方向に引き抜くことはもはや不可能である。
【0051】
長尺コード5、5’の巻取りの終了時に、あるいは刈払要素を形成する短尺コード5、5’のストランドが摩耗した時に、各アイレット9、9’とヘッド内のその固定点との間に残留するコード部分は制限されかつ少ないため、ヘッド内の残留コード部分の長さがより大きいか、または不充分な締付けシステムのために早期の締付けの緩みやヘッドの作動中に大量のコードの排出が誘発される現在のシステムとは異なり、使用不能なコードの長さを最適化することができる、という点が指摘される。
【0052】
より詳細には、長尺コード5、5’の場合、これらのコードがひとたび固定要素3、3’の締付け面10、10’と、組合わされる締付け用表面4、4’の間に差し込まれるかまたは噛合わされた時点で、ユーザーは、ヘッドの回転軸を中心として可能な二つの回転方向のうちの任意のいずれか一方に、ハウジング1との関係において支持本体2を回転させるだけで、周囲チャンバ17内で周囲壁6の周りにコードを巻取るかまたは巻回し、次に巻取りまたは巻回が終了した時点でヘッドから出ているコードの部分を所望の長さに切断して、刈払ストランドを形成することができる。同様にして、短尺コード5、5’の場合には、各コード5、5’がひとたび締付け位置に挿入された時点で、ユーザーは、刈払ヘッドをそのままの状態で使用するか、または各コード5、5’を切断するだけで、所望の長さの刈払ストランドを得ることができる。
【0053】
ヘッドから使用済みの各コード5、5’を除去するかまたは引抜くためには、ユーザーは、該当する場合にはエンドピース23から制御用部品24を完全に回転させて、つまりはそのネジを緩めて、作用の連動を解除するか、または応力そして該当する場合には予応力を各固定要素上の弾性機構12から除去し、こうして例えばそれぞれの接触面110、110’に支えられることにより、逆方向に各枢動要素を単に上下動させながら、ハウジング1から支持本体2を抜き出してコード5、5’を取外すことを可能にすることができる。
【0054】
ヘッド、特に支持本体2およびハウジング1を構成する要素はあらゆる材料で製造されてよく、より詳細にはハウジング1に関しては好ましくは金属材料またはプラスチック材料で、そして支持本体2に関しては好ましくはプラスチック材料で製造され得る。より詳細には、好ましくは固定要素3は、金属材料で製造され得る。
【0055】
当然のことながら、本発明は、記載され添付図面に表わされた実施形態に限定されない。特にさまざまな要素の構成の観点から見た修正、あるいは等価の技術での置換による修正がなおも可能であり、そのために本発明の保護範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0056】
1 ハウジング
2 支持本体
3、3’ 固定要素
4、4’ 締付け用表面
5、5’ コード
6 巻取り軸
7、8 連結手段
9、9’ オリフィス
10、10’ 締付け面
11、11’ 支え面
12 弾性機構
13、13’ 枢動軸
14、14’ 軸受
15、15’ 通過用開口部
16 中央チャンバ
17 周囲チャンバ
18、19 ハブ
20 駆動シャフト
21 第一の結合手段
22 第二の結合手段
23、24、28 ロック手段
26 フランジ
27、27’ 補強材
29 第一のストッパ面
30、30’ 第二のストッパ面
110、110’ 接触面
140、140’ 弾性変形可能な壁
141、141’ 軸受台
200 底部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】国際公開第2006/017372号
【特許文献2】仏国特許第2781976号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8