(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200512
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】遅延ボクシング操作を含む容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/78 20060101AFI20170911BHJP
B29C 49/30 20060101ALI20170911BHJP
B29C 49/16 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
B29C49/78
B29C49/30
B29C49/16
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-542336(P2015-542336)
(86)(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公表番号】特表2015-534917(P2015-534917A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】FR2013052731
(87)【国際公開番号】WO2014076421
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年8月26日
(31)【優先権主張番号】1260993
(32)【優先日】2012年11月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507344689
【氏名又は名称】シデル パルティシパシオン エス.エー.エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリアン,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】プロテ,ピエリック
【審査官】
大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/002164(WO,A1)
【文献】
特開2008−254244(JP,A)
【文献】
特表平09−507178(JP,A)
【文献】
米国特許第06277321(US,B1)
【文献】
特開2006−346875(JP,A)
【文献】
特開平11−333912(JP,A)
【文献】
特表2013−541441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00 − 49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)の形状をなす空洞(5)を画定する壁部(4)と、空洞(5)に対して後退して延びる後退位置と空洞(5)を閉鎖する展開位置との間の壁部に対して移動可能な金型ベース(8)とを備える金型(1)内で、プラスチック材料のブランク(3)から容器(2)を製造する方法であって、ブランク(3)を金型内へ導入するフェーズと、いわゆるプレブロー成形圧力での圧力下の流体をブランク(3)内へ射出することを含むプレブロー成形フェーズと、プレブロー成形フェーズの後であり、かつ、プレブロー成形圧力よりも大きいいわゆるブロー成形圧力での圧力下の流体をブランク(3)内へ射出することを含むブロー成形フェーズと、後退位置から展開位置への金型ベース(8)の移動を含むボクシングフェーズとを含み、ボクシングフェーズは、ブランク(3)内の圧力がブロー成形圧力に達した後、ブロー成形フェーズ中に開始されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
金型ベース(8)の移動のために、
【数1】
となる時間
【数2】
で、ボクシング電磁弁の開放を指令する操作を含み、
【数3】
はボクシング電磁弁の応答時間であり、
【数4】
はブランク(3)内の圧力がブロー成形圧力に達した時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ボクシングフェーズが、金型ベース(8)が
【数5】
となる時間
【数6】
で展開位置に達するように行われ、
【数7】
は、ブランク(3)が大気と連通して配置された後に、ブランク(3)の少なくとも部分的な減圧フェーズが開始する時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
減圧フェーズが、
【数8】
となる時間
【数9】
でブランク(3)を大気と連通させる脱気電磁弁の開放を指令する操作を含み、
【数10】
は、脱気電磁弁の応答時間である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
減圧フェーズが、開口部を貫く延伸ロッドによって、ブロー成形圧力で流体を容器へ射出するための脱気電磁弁および排気用電磁弁が、同時に開口する排気ステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
減圧フェーズでは、
【数11】
となる、時間
【数12】
でブロー成形電磁弁を閉鎖する操作、および時間
【数13】
で排気用電磁弁を開放する操作が先行し、ここで、
【数14】
【数15】
および
【数16】
であり、
【数17】
は、排気用電磁弁の応答時間であり、
【数18】
は、ブロー成形電磁弁の応答時間である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
減圧フェーズが、排気用電磁弁が閉鎖されている間、脱気電磁弁が開いたままである脱気ステップを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
ボクシングフェーズが、脱気ステップの終了時に開始される金型ベース(8)の高位置から低位置への後退とともに終了する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
金型ベース(8)の後退が、脱気ステップの開始と同時に、または脱気ステップの開始後に開始される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの、プラスチック材料のブロー成形ブランクによる容器の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を製造する標準的な技術は、ブロー成形(任意には、延伸と組み合わせられる)である。この技術は、容器の形状をした空洞を画定する壁部を備える金型において、材料のガラス転移温度よりも高い温度(PETの場合、約80°)まであらかじめ加熱された、ブランク(つまり、プリフォーム操作を経たプリフォームまたは中間容器)を導入すること、および、ネック部を介して、金型の壁部に材料を押し付ける圧力で、ガス(一般的に空気)などの流体をブランク内へ射出することで構成される。
【0003】
通常、この流体の射出は、2つのステップ、すなわち、低圧(一般に約5バール〜7バール)での(プレブロー成形として知られる)第1ステップ、およびこれに続く高圧(一般に約20バール〜30バール)での(ブロー成形として知られる)第2ステップで行われる。
【0004】
容器がより大きな熱応力に耐えることが必要な高温充填の用途のために、高温充填中の容器の変形を吸収するか、あるいは、熱応力により良好に耐えることを目的とした過延伸ベースを作ることが知られている。
【0005】
このような過延伸ベースを得るために、通常は、米国特許第6277321号明細書(SCHMALBACH−LUBECA)に示すように、最初に後退し、かつ、成形中にベースの領域内で材料を押し戻して展開する、移動可能な金型ベースを備えた成形ユニットが使用される。
【0006】
現在「ボクシング」として知られるこの技術を使用することは、かなり困難である。実際に、ベースの形成を増進させるために材料を最終形態を超えて延伸させたいという要求と、最終形態を得る前の状態から材料を保護する必要性との間では、妥協を見出さなくてはならない。この懸念は、上述の文献に明示されているが、これを改善することが可能な解決策については、曖昧なままであり、プレブロー成形フェーズと金型ベースの上昇との間の遅延を制限することが好ましいと示唆しているに過ぎない。
【0007】
実際には、ボクシングが行われる方式は、容器のベースの品質および性能に直接的な影響がある。
【0008】
仕様に一致する容器の取得を可能にすることが期待される機械を構成するために有用な、ベースの形成の理論的モデル化は、一般的に、一定の速度(線形モデル)で金型ベースが上昇するという仮定に基づいている。
【0009】
しかし、線形モデルは、正に現実を考慮していない。実際に、容器内の圧力変動を考慮すると、ボクシング中の金型ベースの上昇に対して容器が示す抵抗もまた可変であり、金型ベースの移動速度の変動の原因となる。
【0010】
これらの条件の下で、金型ベースが、論理的モデルが予測する時間での移動を達成しないだけでなく、1つの金型と次の金型と(したがって1つの容器と次の容器と)の差異が現れ、同じ仕様に一致する同一の容器を取得することを困難にすることが分かった。
【0011】
さらに、所与の金型ベースの最初の下降位置では、最終容器のベースの限界を超えて径方向に過延伸された材料が、金型ベースの上昇中に挟まれる(場合によっては穿孔される)危険性がある。
【0012】
先述の理由は、正当な理由とともに、ブロー成形に関連したボクシングを予測する、つまり、高圧で流体をブランク内へ射出する前に金型ベースの上昇を行う動機を提供する。また、このことは、上記で引用した引用文献米国特許第6277321号明細書で推奨されているが、完全に正当化はされていない。
【0013】
今日まで、成形中のブランクの直接観察手段が欠落しているために、取得した容器の品質の検査、および、機械にプログラムされたパラメータ(特に圧力およびブロー成形の流量、金型ベースの移動を指令する時間)の検証(または変更)は、容器の品質を視覚的に、かつ手作業で評価する十分な資格および経験がある操作者によって行われる。
【0014】
しかし、人間による検査は、必要ではあるが、信頼性が高く、迅速で、特に機械一式に拡張することができるプログラミングを可能にするために、やはり時間が掛かり過ぎ、主観的である。今日まで、設定は推測によって行われているので、不適合な容器の蓄積を防止するために、製造ラインを停止することが依然としてしばしば必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6277321号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、ボクシングで容器を製造する技術を向上させ、特に、製造の自動化を容易にし、そして、容器の品質および一貫性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このために、本発明は、容器の形状をなす空洞を画定する壁部と、空洞に対して後退して延びる後退位置と空洞を閉鎖する展開位置との間の壁部に対して移動可能な金型ベースとを備える金型内で、プラスチック材料のブランクから容器を製造する方法を提案し、この方法は、ブランクを金型内へ導入するフェーズと、いわゆるプレブロー成形圧力での圧力下の流体をブランク内へ射出することを含むプレブロー成形フェーズと、プレブロー成形フェーズの後であり、かつプレブロー成形圧力よりも大きいいわゆるブロー成形圧力での圧力下の流体を、ブランク内へ射出することを含むブロー成形フェーズと、後退位置から展開位置への金型ベースの移動を含むボクシングフェーズとを含み、このボクシングフェーズは、ブランク内の圧力がブロー成形圧力に達した後、ブロー成形フェーズ中に開始される。
【0018】
このように、金型ベースの移動は、ほぼ一定であるため、容器内の圧力とは無関係となる。定速指令とともに、金型ベースの移動速度は、金型ベースが移動の終端に達する時間と同じように、結果的に一定となる。したがって、この方法の自動化は、本質的に複雑な非線形モデルを使用したボクシングのモデル化を検討する必要なしに容易化される。
【0019】
様々な追加的特徴が、以下の通り、単独または組み合わせて想定される。
−時間
【数1】
でボクシング電磁弁の開放を指令する操作は、
【数2】
となることが予測され、ここで、
【数3】
はボクシング電磁弁の応答時間であり、
【数4】
はブランク内の圧力がブロー成形圧力に達した時間である。
−金型ベースは、
【数5】
となる時間
【数6】
で展開位置に達し、ここで、
【数7】
は、ブランクが大気と連通して配置された後に、ブランクの少なくとも部分的な減圧が開始する時間である。
−減圧フェーズは、開口部を貫く延伸ロッドによって、ブロー成形圧力で流体を容器へ射出するための脱気電磁弁および排気用電磁弁が同時に開口する排気ステップを含む。
−減圧フェーズは、
【数8】
となる時間
【数9】
で、ブランクを大気と連通させる脱気電磁弁の開放を指令する操作を含み、ここで、
【数10】
は、脱気電磁弁の応答時間である。
− 減圧フェーズでは、
【数11】
となる、時間
【数12】
でブロー成形電磁弁を閉鎖する操作、および時間
【数13】
で排気用電磁弁を開放する操作が先行し、ここで、
【数14】
【数15】
および
【数16】
であり、
【数17】
は、排気用電磁弁の応答時間であり、
【数18】
は、ブロー成形電磁弁の応答時間である。
−脱気フェーズは、脱気電磁弁および排気用電磁弁が同時に開放される排気ステップを含む。
−減圧フェーズは、排気用電磁弁が閉鎖されている間、脱気電磁弁が開いたままである脱気ステップを含む。
−ボクシングフェーズは、脱気ステップの終了時に開始される金型ベースの高位置から低位置への後退とともに終了する。
−金型ベースの後退は、脱気ステップの開始と同時に、または脱気ステップの開始後に開始される。
【0020】
本発明の他の目的および利点は、添付の図面を参照した以下の説明を鑑みて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】プレブロー成形操作の開始時を示す、容器の成形が行われている金型を示す断面図である。
【
図2】
図1と同様の、プレブロー成形操作の終了時の図である。
【
図3】
図1と同様の、ボクシング操作の終了時の図である。
【
図4】金型ベースの配置、ブランクおよびブランクから成形される容器に広がる圧力の変化の曲線、およびプレブロー成形、ブロー成形、ボクシング、排気および脱気の操作を指令するタイミング図が平行して描かれた図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図3では、プラスチック材料の(実際には、射出によって得られるプリフォームを一般的に含む)ブランク3から、延伸ブロー成形によって容器2を製造するための金型1が示されている。
【0023】
この金型1は、金型の主軸6の周りに分布する内部空洞5を画定する壁部4を含み、主軸6は、成形される容器が回転対称である場合に、金型1の対称軸を形成する。
【0024】
空洞5は、容器2の側壁または胴体のための形状を、部分的に画定する。壁部4は、下部において、金型ベース8用の通路を画定する開口部7を示し、金型ベース8は、金型ベース8がベースに向かって開口部7から離間している
図1および
図2に示す低位置と、金型ベース8が開口部7を遮断する
図3に示す高位置との間の壁部4に対して取り付けられ、かつ移動可能である。金型ベース8は、容器2のベース用の形状を画定する上面9を有する。高位置では、金型ベース8が空洞5を閉鎖することによって、容器2の形状を完成させるのに対して、材料はブロー成形中に与えられる。金型ベースの「移動」によって、
図4に示すCは、低位置と高位置とを離間する距離を意味する。
【0025】
ブランク3およびそこから成形された容器2は、ブランク3の(または容器2の)鍔部11を用いて金型1の上面10に基礎を置き、鍔部11は、金型1の外側で保持されるブランク3の(または容器2の)ネック12の範囲を定める。
【0026】
鍔部11の下で、ブランク3(ひいては容器2)は、軸方向に全体的に延びる胴体部13と、まず第1に半球状(
図1)であるベース部14とを有し、その後、金型ベース8(
図3)に対して成形されると、胴体部13の下方端から径方向に全体的に延びる。
【0027】
ブランク3から容器2を製造するための手順は以下の通りである。
【0028】
ベース8が低位置にある、
図1に示す構成の金型1では、材料のガラス転移温度(PETの場合約80℃)よりも高い温度にあらかじめ加熱されるブランク3が導入される。
【0029】
その後、ネック12を介して、軸方向に移動可能な延伸ロッド15がブランク3へ導入され、ロッド15がブランク3のベース部14に達するや否や、プレブロー成形のための圧力P1(15バール未満、かつ、例えば5バール〜7バール程度)で、流体(特に空気)をブランク3内へ射出することによって、プレブロー成形が開始される。好ましい実施形態によれば、ロッド15は、中空であり、空洞5に開口する穴が貫かれている。
【0030】
延伸速度および空気流量は、ロッド15が、プレブロー成形全体を通してブランク3のベース部14と当接したままとなるようにされる。
【0031】
成形されつつある容器のベース部14を押圧することによって(
図2)、ロッド15が金型ベース8に達する場合、金型ベース8は依然として低位置にある。
【0032】
プレブロー成形圧力P1は、金型1の壁部4に対して材料を完全に押圧するには不十分であり、成形された容器2へ、プレブロー成形圧力P1よりも大きいブロー成形圧力P2(実際には、ブロー成形圧力P2は15バール以上であり、例えば、20バール〜30バール程度である)で射出する必要がある。
【0033】
その後、この圧力がブロー成形圧力P2と等しくなるまで、圧力の急激な上昇がブランク3内に生じる。こうして成形される容器2内でブロー成形圧力P2を維持する所定期間後、ブロー成形圧力P2は、2段階で減圧される。
【0034】
第1段階は、容器が大気(つまり外気)と連通している間に、排気用電磁弁(閉鎖されたブロー成形用電磁弁)を用いて、ブロー成形圧力P2で流体を容器2内へ射出することを維持することにある。
【0035】
排気として知られるこの段階は、壁部4との接触を保って壁部4をヒートセットしながら、流体を容器2内で循環させて、流体とともに材料を固定することを可能にする。容器2内の圧力は、プレブロー成形圧力P1とブロー成形圧力P2との間の中間値P3を安定させるまで、第1の急速な低下を受ける。
【0036】
脱気として知られる第2段階は、容器2の大気との接触を維持しながら、排気用電磁弁による射出を停止することにある。その後、容器2内の圧力は、大気圧に達するまで第2の急速な低下を受ける。
【0037】
ボクシングとして知られる金型ベース8を上昇させる操作は、ブロー成形操作中に開始され、分子の配向(したがって剛性)をもたらし、かつ、金型ベース8の上面9上の形成することを助長するわずかな過延伸を、ベース部14の材料に与える。
【0038】
図4は、tで示される時間関数としての曲線を示しており、上部では、金型ベース8の軸位置(またはHで示される高さ)を表し、中間部では、成形中にブランク3(または容器2)内に広がるPで示される圧力を表し、下部では、プレブロー成形(Pre−blow.)、ブロー成形(Blow.)、排気(Scav.)、ボクシング、つまり金型ベース(MB)8の移動、および脱気(Degass.)のフェーズを指令する電磁弁のタイミング図を表す。
【0039】
曲線は、共通の時間軸上で同期し、縦の点線は、特定の選択された時間における曲線の整合を行うことを可能にする。
【0040】
プレブロー成形用電磁弁の開指令は、「プレブロー成形のピーク開始」として知られる時間
【数19】
で与えられる。プレブロー成形用電磁弁には応答時間
【数20】
が割り当てられるので、容器2内に広がる圧力Pは、
【数21】
となる「プレブロー成形の実際の開始」として知られる時間
【数22】
からの上昇を受ける。
【0041】
同様に、ブロー成形用電磁弁の開指令は、「ブロー成形のピーク開始」として知られる時間
【数23】
で与えられる。プレブロー成形用電磁弁には応答時間
【数24】
が割り当てられるので、容器2内に広がる圧力Pは、
【数25】
となる「ブロー成形の実際の開始」として知られる時間
【数26】
において屈曲(急激に上昇)する。
【0042】
ブランク内の圧力Pは、成形の全期間にわたって容器に広がる圧力の最大値に対応するブロー成形圧力P2の値に達するまで、(圧力Pがプレブロー成形圧力P1の値とほぼ等しい)時間
【数27】
から急速に上昇する。圧力Pがブロー成形圧力P2の値に達する時間、つまり、圧力Pの値が上昇を停止する時間は、
【数28】
で示される。
【0043】
金型ベース8の移動を指令するボクシング電磁弁の開指令は、「ボクシングのピーク開始」として知られる時間
【数29】
で与えられる。ボクシング電磁弁には応答時間
【数30】
が割り当てられるので、低位置からの金型ベース8の移動は、
【数31】
となる「ボクシングの実際の開始」として知られる時間
【数32】
で開始する。
【0044】
既に
図4に示して分かるように、ボクシングは、ブランク3内の圧力Pが最大値、つまりブロー成形圧力P2に達した後、ブロー成形中に開始される。換言すれば、ボクシングの実際の開始
【数33】
は、ブランク3内の圧力Pが最大値に達するかあるいは
【数34】
となる時間
【数35】
より遅いことが意図される。
【0045】
これは想定し得ることではあるが、ブランク3内の圧力Pが最大値に達する時間
【数36】
の後にボクシングピーク開始
【数37】
を指令することは、必ずしも十分ではない。
【0046】
微調整を行うために、ボクシング電磁弁の応答時間
【数38】
を考慮することが実際には好ましく、調整することはできないが公知であり、かつ(補償することが可能なこの応答時間
【数39】
の導関数とは別に)固定されていることである。
【0047】
したがって、先行するものを考慮して、ボクシングを時間
【数40】
後に開始するために、
【数41】
となるボクシングのピーク開始
【数42】
を調整することでは十分である。
【0048】
ブランク3が大気と連通している間のブランク3の減圧フェーズの開始時間は、
【数43】
として示される。この時間
【数44】
は排気ステップを開始し、このステップでは、外気中に配置し、かつ、排気用電磁弁を介した圧力下でブロー成形流体を射出することが、容器2内での流体の循環を保証し、結果的に容器2が冷却され、胴体部13およびベース部14の両方の形状が得られる。これに先立ち、
図4に示すように、ブロー成形は、時間
【数45】
でブロー成形用電磁弁を閉鎖することによって停止される。
【0049】
ブロー成形用電磁弁の閉鎖が指令される時間は、
【数46】
で示され、ブロー成形用電磁弁が閉鎖指令後に実際に閉鎖される時間は、
【数47】
で示される:
【数48】
である。
【0050】
また、容器を大気と連通させるように配置するために、脱気電磁弁の開放が指令される時間は、
【数49】
で示される。脱気電磁弁には応答時間
【数50】
が割り当てられるので、脱気電磁弁は、容器内の減圧を開始する
【数51】
で示される時間が、時間
【数52】
よりも遅くなるように指令される:
【数53】
である。
【0051】
排気が実施されると、排気用電磁弁の指令(応答時間
【数54】
が割り当てられた)が時間
【数55】
で実施され、これにより、排気用電磁弁の開放は、時間
【数56】
よりも確実に遅いが、
【数57】
よりも早い時間
【数58】
(ここで
【数59】
)で有効となり、減圧が開始されるまで容器内の圧力を維持する:
【数60】
および
【数61】
である。
【0053】
減圧が開始されると、容器2内の圧力は、中間値P3で安定するまで急速に低下する。容器2内の圧力Pが、(排気圧として知られ、ブロー成形圧力P2の値およびブロー成形および脱気電磁弁の流量に依存する)中間圧力P3に達する時間は、
【数63】
で示される。
【0054】
排気用電磁弁の閉鎖は、
【数64】
で示される時間に指令される。排気用電磁弁の応答時間
【数65】
を考慮して、ブロー成形圧力P2での流体は、
【数66】
となる
【数67】
で示される時間に、容器2内へ射出されなくなる。
【0055】
この時間
【数68】
から、脱気ステップは、容器2内の圧力Pが、大気圧まで達して安定する新たな低下を受ける間に開始される。
【0056】
また、金型ベースが展開位置(つまり、移動の終端)に達する時間は、
【数69】
で示される。好ましい実施形態によれば、
図4に示すように、この時間
【数70】
は、脱気フェーズの開始時間
【数71】
よりも短い:
【数72】
である。
【0057】
換言すれば、ボクシングフェーズは、遅くともブロー成形フェーズの終了時(つまり、時間
【数73】
での脱気ステップの開始前)に完了する。脱気電磁弁の応答時間
【数74】
を考慮して、脱気電磁弁の開放が指令される時間
【数75】
は、
【数76】
となるように選択される。
【0058】
ボクシングフェーズは、金型ベース8の高位置から低位置への後退によって終了する。この後退は、
【数77】
で示される時間に指令され、
【数78】
となる、
【数79】
で示される時間から有効に開始される。
【0059】
この後退は、好ましくは、早くとも排気ステップの終了時、および任意には脱気中に開始される。換言すれば、容器内の圧力が大気圧と等しい時間が
【数80】
で示される場合、
【数81】
である。
【0060】
容器2内の圧力Pが、ボクシングが開始される前に最大値(つまり、ブロー成形圧力P2)に達すると、容器2内の金型ベース8に加わり、かつ、ボクシング中のベース8の上昇に対向する力は、ボクシング中に増加しない。したがって、金型ベース8の移動を継続させるために、金型ベース8に加わる力を増加させる必要はない。
【0061】
さらに、容器内の圧力の急激な上昇期が既に完了しているので、ブランク2の材料は、実質的に金型ベース8(ロッド15によって中心に保たれる上面9)に達し、ボクシングフェーズ中の材料の可能性のある移動に関連する成形の不確実性が限定される。この効果は、製造される容器の品質におけるより高い一貫性にある。
【0062】
金型ベース8がブロー成形の終了前に高位置に達することを確実にするように、ボクシングが行われる場合、金型ベース8の移動速度は、ボクシング全体の間ほぼ一定である。この線形は、時間
【数82】
と
【数83】
との間の、
図4の金型ベースの移動曲線によって描かれる。この効果は、金型ベース8の移動、およびこれによる容器2のベース部14の形成の、改善された予測性にある。
【0063】
ここまで説明した方法は、全ての金型に適しておらず、この方法は、特に、(添付の図面に示したような)金型に適しており、ここで、低位置での金型の壁部と金型ベースとの間の材料の挟み込みの問題、または、前記成形が求める必要性に対するわずかなボクシング移動によるこれらの問題は生じない。