(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、特定の新規ジメチル安息香酸化合物、この化合物を含む医薬組成物、生理障害を治療するためのこの化合物の使用方法、ならびにこの化合物の合成に有用な中間体及びプロセスに関する。
【0002】
本発明は炎症状態の治療の分野にあり、この炎症状態は、変形性関節炎及びリウマチ性関節炎を含め、さらにはこれらの状態に伴う疼痛を含めた関節炎等である。関節炎は、米国だけでも数百万人の患者に発症しており、身体障害の主因である。治療には、しばしばNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)またはCOX−2阻害剤が含まれ、これらは有害な心血管の副作用を起こす可能性がある。よって、高血圧等の良好でない心血管プロファイルを有する患者は、NSAIDsまたはCOX−2阻害剤の使用から除外される可能性がある。したがって、好ましくは現治療法の副作用を有さない、変形性関節炎及びリウマチ性関節炎の代替治療法の必要性がある。
【0003】
4種のプロスタグランジンE
2(PGE
2)受容体サブタイプが、以下:EP1、EP2、EP3及びEP4として同定されている。EP4は、リウマチ性関節炎及び変形性関節炎のげっ歯類モデルにおいて、関節炎症性疼痛に関する主要な受容体であることが開示されている。したがって、選択的EP4アンタゴニストは、関節痛を含めた関節炎の治療に有用である可能性がある。さらに、EP4拮抗作用は、PGI
2及びTxA
2等のプロスタノイドの生合成を妨げないので、選択的EP4アンタゴニストは、NSAIDs及びCOX−2阻害剤で見られる潜在的な心血管の副作用を有しない可能性があることが示唆されている。
【0004】
国際公開第96/02509号は、例えば肺障害、CNS障害、神経性炎症及び炎症性疼痛を含めた様々な障害の治療に有用な選択的、非ペプチドNK
3アンタゴニストである特定のキノリン誘導体を開示している。さらに、米国特許第7,705,035号は、変形性関節炎、リウマチ性関節炎ならびに急性及び慢性疼痛等の様々な障害を治療するのに有用なEP4リガンド、アゴニストまたはアンタゴニストとして有用な特定のインドリンアミド誘導体を開示している。
【0005】
本発明は、EP4の阻害剤である特定の新規化合物、ならびにEP1、EP2及びEP3と比較してEP4の選択的阻害剤である特定の新規化合物を提供する。さらに、本発明は、従来のNSAIDsと比較して心血管の副作用または胃腸管の副作用を減少させる可能性を有する特定の新規化合物を提供する。
【0006】
したがって、本発明は、式I:
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供し、式中、Aは:
【化2】
であり;
WはCHまたはNであり;
YはCHまたはNであり;
XはCHまたはNであり;
R
1は、CH
3、CF
3またはFであり;
R
2は、H、F、Cl、CH
3、CF
3、CH
2OH、CH
2CH
2OH、CH
2OCH
3、OCH
3、OCF
3、またはCNであり;
R
3は、HまたはFであるか;あるいは
R
2及びR
3は一緒になって、隣接する炭素原子に結合しているOCH
2O基であり;
R
4は、H、ClまたはCH
2OH
である。
【0007】
本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、患者における関節炎を治療する方法も提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、患者における変形性関節炎を治療する方法も提供する。さらに本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、患者におけるリウマチ性関節炎を治療する方法を提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、患者における関節炎に伴う疼痛を治療する方法も提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、患者における変形性関節炎またはリウマチ性関節炎に伴う疼痛を治療する方法をさらに提供する。
【0008】
さらに本発明は、療法に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。さらに本発明は、関節炎の治療に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。特に本発明は、変形性関節炎の治療に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。さらに本発明は、リウマチ性関節炎の治療に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。本発明は、関節炎に伴う疼痛の治療に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩も提供する。本発明は、変形性関節炎またはリウマチ性関節炎に伴う疼痛の治療に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩も提供する。さらに本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の、関節炎治療薬を製造するための使用を提供する。さらに本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の、変形性関節炎治療薬を製造するための使用を提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の、リウマチ性関節炎治療薬を製造するための使用を提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の、変形性関節炎またはリウマチ性関節炎に伴う疼痛治療薬を製造するための使用を提供する。
【0009】
本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩と、1種以上の薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物をさらに提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩の合成用新規中間体及びプロセスも包含する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「治療すること(treating)」または「治療すること(to treat)」という用語には、存在する症状または障害の進行または重症度を、抑制すること、遅延させること、停止することまたは逆行させることが含まれる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、マウス、モルモット、ブタ、ラット、ネコ、イヌまたはヒト等の哺乳動物を指す。好ましい患者はヒトであることが理解されよう。
【0012】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、診断または治療下の患者に単回または複数回投与することにより、その患者において所望の効果を与える本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩の量または用量を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「R
2及びR
3は一緒になって、隣接する炭素原子に結合しているOCH
2O基である」という記載は、以下の構造を指し、例えば対応する酸素原子がフェニル基上の隣接炭素に結合している。
【化3】
【0014】
有効量は、公知の技術を使用することによって、且つ同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者としての担当診断医によって容易に決定され得る。患者に対する有効量の決定においては、担当診断医によっていくつかの因子が考慮され、この因子には、哺乳動物の種;その大きさ、年齢及び全体的な健康状態;関連する特定の疾患または障害;その疾患または障害の程度または合併症または重症度;個々の患者の反応;投与される特定の化合物;投与方法;投与される製剤の生物学的利用能特性;選択される用法;併用薬の使用;ならびに他の関連状況が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩は、広範囲の投与量にわたり概して有効である。例えば、1日当たりの用量は通常、約0.01〜約50mg/kg体重の範囲内である。いくつかの例においては、上述の範囲の下限値未満の用量レベルが十分以上であってもよく、一方、他の場合においては、さらに多くの用量が、許容可能な副作用を有して利用されてもよく、したがって、上記の用量範囲は決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0016】
本発明の化合物は、化合物を生物にとって利用しやすいものにする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化されることが好ましい。最も好ましくは、このような組成物は経口投与用である。このような医薬組成物、及びこの組成物を調製するプロセスは、当業者に周知である。(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(D.B. Troy編、第21版、Lippincott、Williams & Wilkins、2006)を参照のこと。)
【0017】
式Iの化合物は本発明の治療方法に特に有用であるが、特定の基、置換基及び立体配置が好ましい。以下の段落は、このような好ましい基、置換基及び立体配置を記載する。これらの好ましさは、本発明の新規化合物、ならびに本発明の治療方法、用途及び医薬組成物に適用できることが理解されるであろう。
【0018】
式Ia及び式Ibの化合物が好ましい。
【化4】
【0020】
上記式Ibにおいて見られるように、フェニル環上の2つの各メチル基に対しカルボン酸がメタ位にある場合、WはCでなくてはならず、CHであってはならないことが当業者に理解されよう。
【0021】
Aが:
【化5】
であることも好ましい。
【0022】
Aが:
【化6】
であることがさらに好ましい。
【0023】
Aが:
【化7】
であることが特に好ましい。
【0024】
Aが:
【化8】
であることがさらに特に好ましい。
【0025】
Aが:
【化9】
であることが最も特に好ましい。
【0028】
WがCHである場合、YがCHであることが最も好ましい。
【0030】
R
2が、CH
2OH、CH
2CH
2OH、またはOCH
3であることが好ましい。
【0031】
R
2がCH
2OHであることがさらに好ましい。
【0032】
R
2及びR
3が一緒になって、隣接する炭素原子に結合しているOCH
2O基であることも好ましい。
【0033】
R
3がHであることがさらに好ましい。
【0034】
R
2がCH
2OH、CH
2CH
2OH、またはOCH
3である場合、R
3がHであることが好ましい。
【0035】
R
2がCH
2OHである場合、R
3がHであることがさらに好ましい。
【0036】
R
4がClであることが好ましい。
好ましい化合物は、
3−[[6−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸;
3−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸;及び
3−[[3−(3−クロロフェニル)ナフタレン−1−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸;ならびにそれらの薬学的に許容できる塩である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「kPag」はキロパスカルゲージ圧を指し;「Boc」はtert−ブトキシカルボニル保護基を指し;「DMEM」はダルベッコ改変イーグル培地を指し;「ACN」はアセトニトリルを指し;「TFA」はトリフルオロ酢酸を指し;「DIEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを指し;「DMAP」は4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンを指し;「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し;「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを指し;「EtOH」はエタノールを指し;「THF」はテトラヒドロフランを指し;「MeOH」はメタノールを指し;「EtOAc」は酢酸エチルを指し;「Et
2O」はジエチルエーテルを指し;「TBME」はtert−ブチルメチルエーテルを指し;「BOP−Cl」はビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホン酸クロリドを指し;「mCPBA」は3−クロロ過安息香酸を指し;「KHMDS」はカリウムビス(トリメチルシリル)アミドを指し;「h」は時間を指し;「PGE
2」はプロスタグランジンE
2を指し;「FBS」はウシ胎仔血清を指し;「IBMX」は(3−イソブチル−1−メチルキサンチン)を指し;「MES」は(2−(N−モルホリノ)エタンスルホンを指し;「HEPES」は(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸)を指し;「S−Phos」は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルを指し;「HTRF」は均一時間分解蛍光技術を指し;「HEK」はヒト胚腎臓を指し;「HBSS」はハンクス平衡塩溶液を指し;「RT」は室温を指し;「EC
80」は、その薬剤で可能な最大有効度の80%を示す薬剤濃度を指し;「IC
50」は、その薬剤で可能な最大阻害反応の50%を示す薬剤濃度を指す。
【0038】
薬学的に許容できる塩、及びそれらを調製する一般的方法は、当該分野において周知である。例えば、Gould, P.L.、「Salt selection for basic drugs」、International Journal of Pharmaceutics, 33: 201−217 (1986);Bastin, R.J.ら、「Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities」、Organic Process Research and Development, 4: 427−435 (2000);及びBerge, S.M.ら、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Sciences, 66: 1−19, (1977)を参照のこと。本発明の化合物は、当業者に周知の技術及び条件を使用して、塩酸塩等の薬学的に許容できる塩に容易に変換され、薬学的に許容できる塩として単離されてもよいことを合成分野の当業者は理解するであろう。さらに、式Iの化合物は、対応する薬学的に許容できる塩から、対応する遊離塩基または遊離酸に容易に変換され、対応する遊離塩基または遊離酸として単離されてもよいことを合成分野の当業者は理解するであろう。
【0039】
本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、当該分野において公知の様々な手順によって調製してもよく、それらのいくつかを以下のスキーム、調製例及び実施例に例示する。記載される各経路の特定の合成工程は、違う方法で組み合わせるか、または異なるスキームからの工程と共に組み合わせて、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩を調製してもよい。以下のスキームにおける各工程の生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕及び結晶化を含めた従来の方法によって回収することができる。試薬及び出発材料は当業者に容易に入手可能である。別段の指定がない限り、全ての置換基は上で規定される通りである。これらのスキーム、調製例及び実施例は、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではないことが理解されよう。
【0041】
調製例1:3−アミノ−2,4−ジメチル−安息香酸メチル
【化11】
【0042】
スキーム1、工程A。1,3−ジメチル−2−ニトロベンゼン(68.5g、453.2mmol)に、硫酸(27.2mL、510mmol)、酢酸(543.8mL、9.49mol)、ヨウ素(46g、181.3mmol)及びHIO
4(91.9g、403.3mmol)を加える。反応物を90℃で7日間加熱する。反応混合物を周囲温度に冷却し、水(500mL)を加える。得られた固体を濾過により回収し、冷水で洗浄する。固体を減圧下、45℃で一晩乾燥させ、黄色固体として1−ヨード−2,4−ジメチル−3−ニトロ−ベンゼンを得る(119g、95%)。
1H NMR(300.16MHz、CDCl
3):δ7.80(d、J=8.2Hz、1H)、6.85(d、J=8.2Hz、1H)、2.37(s、3H)、2.23(s、3H)。
【0043】
スキーム1、工程B。機械撹拌しながら、1−ヨード−2,4−ジメチル−3−ニトロ−ベンゼン(70g、252.7mmol)、Pd(OAc)
2(2.8g、12.6mmol)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(6.5g、15.2mmol)、アセトニトリル(462mL)、トリエチルアミン(88.2mL)及びメタノール(280mL)を、2LのParrオートクレーブに加える。Parrオートクレーブを密閉し、COでパージして、551.6kPa(80psig)まで加圧する。混合物を100℃で2時間加熱する。混合物を周囲温度まで冷却し、次いで通気する。次に、混合物を減圧下で濃縮乾固する。EtOAc(300mL)及び水(300mL)を加える。層を分離し、水層を捨てる。有機層をMgSO
4で乾燥して濾過し、濃縮乾固して、赤色油状物質として2,4−ジメチル−3−ニトロ−安息香酸メチルを得る。それを静置して結晶化させる(52g、98%)。
1H NMR(300.13MHz、CDCl
3):δ7.89(d、J=8.2Hz、1H)、7.19(d、J=8.2Hz、1H)、3.91(s、3H)、2.49(s、3H)、2.33(s、3H)。
【0044】
スキーム1、工程C。メタノール(370mL)に溶かした2,4−ジメチル−3−ニトロ−安息香酸メチル(37g、176.9mmol)の溶液に、10%パラジウム炭素50%湿潤(5.6g)を加える。反応物を水素でバブリングし、水素雰囲気下に6日間置く。混合物を珪藻土で濾過し、濾液を蒸発乾固する。得られた残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の20%EtOAcで溶出させて精製し、黄色油状物質として3−アミノ−2,4−ジメチル−安息香酸メチルを得る(20.5g、65%)。質量スペクトル(m/z):180.1(M+H)
+。
【0046】
調製例2:4−アミノ−3,5−ジメチル−安息香酸メチル
【化13】
【0047】
スキーム2、工程A。MeOH(150mL)に溶かした3,5−ジメチル−4−ニトロ−安息香酸(10.0g、0.0512mol)の溶液に、塩化チオニル(10ml)を0℃で加え、反応物を80℃に加熱する。16時間後、反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残渣を水(50ml)で希釈し、飽和NaHCO
3溶液でpH7〜8にし、EtOAc(2×120mL)で抽出する。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧下で除去して、淡黄色固体として3,5−ジメチル−4−ニトロ−安息香酸メチルを得る(10.71g、98.3%)。
1H NMR(400MHz、DMSO):δ7.83(s、2H)、3.88(s、3H)、2.30(s、6H)。
【0048】
スキーム2、工程B。メタノール(100mL)に溶かした3,5−ジメチル−4−ニトロ−安息香酸メチル(10.0g、0.0478mol)の溶液に、鉄粉末(15.7g、0.2869mol)及び37%HCl(1.72g、0.0478mol)を0℃で加える。反応混合物を80℃で16時間加熱する。混合物を室温まで冷却し、珪藻土で濾過し、MeOHで洗浄する。濾液を濃縮して、褐色固体として標題化合物を得る(7.8g、99%)。質量スペクトル(m/z):180.2(M+H)
+。
【0050】
調製例3:6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸
【化15】
【0051】
スキーム3、工程A。CH
2Cl
2(130mL)に溶かした3−メチルピリジン−2−カルボン酸メチル(13.0g、0.086mol)の溶液に、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(89.05g、0.258mol、50%w/w)を0℃で少しずつ加える。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次に周囲温度までゆっくり温める。16時間後、飽和NaHCO
3溶液(100mL)を加える。混合物を30分間撹拌し、CH
2Cl
2で抽出する。合わせた有機層を0.5M NaOH水溶液(2×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮して、黄白色固体として3−メチル−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−2−カルボン酸メチルを得る(13.0g、89.9%)。残渣は、さらなる精製なしで、次工程で使用する。質量スペクトル(m/z):168.2(M+H)
+。
【0052】
スキーム3、工程B。3−メチル−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−2−カルボン酸メチル(13.0g、0.077mol)に、POCl
3(30.0mL)を0℃で30分以上かけて加える。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次に周囲温度までゆっくり温める。16時間後、反応混合物を0℃に冷却し、過剰なPOCl
3を減圧下で除去する。次に、氷を加えることにより粗製残渣を急冷し、水及びCH
2Cl
2(50mL)で希釈する。有機層を飽和NaHCO
3溶液、水及び飽和食塩水で順次洗浄し;硫酸ナトリウムで乾燥し;濾過し;減圧下で濃縮する。粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の5〜10%EtOAcで溶出させて精製し、白色固体として6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルを得る(3.00g、20.9%)。質量スペクトル(m/z):186.2(M+H)
+。
【0053】
スキーム3、工程C。THF(10mL)に溶かした6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(0.500g、2.702mmol)の溶液に、撹拌しながら2N NaOH水溶液(5mL)を0℃で加える。混合物を50℃で2時間加熱する。反応混合物をクエン酸水溶液で酸性化し、EtOAc(2×10ml)で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮して、黄白色固体として標題化合物を得る(0.45g、97%)。残渣は、さらなる精製なしで、次工程で使用する。質量スペクトル(m/z):172.0(M+H)
+。
【0055】
調製例4:3−[(5−ブロモ−2−メチル−ベンゾイル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル
【化17】
【0056】
スキーム4、工程A。THF(5.0ml)、CH
2Cl
2(5.0ml)及びDMF(50.0μl、646.6μモル)に溶かした5−ブロモ−2−メチル−安息香酸(1.0g、4.7mmol)の溶液に、塩化オキサリル(2.6ml、5.1mmol)を0℃で滴下する。反応混合物を、ゆっくり周囲温度に温まるまで放置する。2時間後、溶媒を減圧下で除去する。残渣をCH
2Cl
2(5ml)で希釈し、混合物を0℃に冷却する。3−アミノ−2,4−ジメチル安息香酸メチル(957.9mg、4.70mmol)を加え、その後N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(28.4mg、0.232mmol)及びピリジン(1.1ml、14.0mmol)を加える。冷却浴を取り除き、周囲温度に温まるまで透明溶液を放置する。2時間後、溶液を濃縮する。残渣をEtOAcで希釈し、1N HCl、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、及び飽和食塩水で順次洗浄する。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、ヘキサン中の30%EtOAcで粉砕し、固体を濾過して標題化合物を得る(680.0mg;38.9%)。質量スペクトル(m/z):376.0(M+H)
+。
【0057】
以下の化合物は、適切なカルボン酸及びアミンを使用して、本質的には上記の方法(スキーム4、工程A)により調製する。
【表1】
【0058】
調製例6:3−[[5−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−メチル−ベンゾイル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル
【化18】
【0059】
スキーム4、工程B。1,4−ジオキサン(3.0ml)及びH
2O(0.3ml)に溶かした3−[(5−ブロモ−2−メチル−ベンゾイル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(0.18g、0.478mmol)の溶液に、(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)ボロン酸(87.2mg、0.574mmol)を加え、その後K
2CO
3(132.2mg、0.956mmol)及びPdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(19.5mg、0.024mmol)を加える。反応混合物をアルゴンで5分間パージし、次に110℃で加熱する。2時間後、反応物を室温に冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣を、ヘキサン中の40%EtOAcを使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。生成物をTBMEで粉砕し、濾過して標題化合物を得る(0.105g、54.4%)。質量スペクトル(m/z):404.2(M+H)
+。
【0060】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステル及びボロン酸を使用して、本質的には上記の方法により調製する。
【表2-1】
【表2-2】
【0061】
実施例1:3−[[5−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−メチル−ベンゾイル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸
【化19】
【0062】
スキーム4、工程C。THF(2.0ml)及びMeOH(1.0ml)に溶かした3−[[5−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−メチル−ベンゾイル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(0.102g、0.252mmol)の溶液に、撹拌しながら1N NaOH水溶液(0.5ml)を加える。50℃で12時間加熱後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化する。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空オーブン中40℃で1時間乾燥させて、白色固体として標題化合物を得る(95.0mg、96.5%)。質量スペクトル(m/z):390.2(M+H)
+。
【0063】
以下の化合物は、本質的には実施例1に記載の方法により、調製例に記載されている対応するカルボン酸エステルから調製する。
【表3-1】
【表3-2】
【0064】
調製例17:3−[[5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル
【化20】
【0065】
CH
2Cl
2(6ml)に溶かした5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)安息香酸(1.0g、3.53mmol)の溶液に、3−アミノ−2,4−ジメチル安息香酸メチル(0.44g、2.47mmol)及びトリエチルアミン(1.0ml、7.06mmol)を室温で加える。10分間撹拌した後、1−プロパンホスホン酸環状無水物(EtOAc中の50%溶液、5.6ml、8.83mmol)をシリンジで加える。周囲温度で14時間後、反応混合物をCH
2Cl
2で希釈し、水で洗浄後、飽和食塩水で洗浄する。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、ヘキサン中の20%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、白色固体として標題化合物を得る(0.6g、39%)。質量スペクトル(m/z):430.0(M+H)
+。
【0066】
以下の化合物は、適切なカルボン酸及びアミンを使用して、本質的には上の調製例17に記載の方法により調製する。
【表4】
【0067】
実施例12:4−[[5−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸
【化21】
【0068】
スキーム4、工程C。THF(8.0ml)及びMeOH(2.0ml)に溶かした4−[[5−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸メチル(0.09g、0.197mmol)の溶液に、撹拌しながら2N NaOH水溶液(2.0ml)を加える。室温で12時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、水/アセトニトリル(10〜90%)中の0.1%TFAを使用して分取HPLCにより精製して、標題化合物を得る(25.0mg、29.7%)。質量スペクトル(m/z):444.2(M+H)
+。
【0069】
調製例19:3−[(5−ブロモ−2−フルオロ−ベンゾイル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル
【化22】
【0070】
CH
2Cl
2(5.0ml)に溶かした5−ブロモ−2−フルオロ−安息香酸(0.5g、2.28mol)の溶液に、3−アミノ−2,4−ジメチル安息香酸メチル(0.38g、2.17mol)及びDIEA(1.17g、9.13mol)を室温で加える。10分間撹拌した後、1−プロパンホスホン酸環状無水物(EtOAc中の50%溶液、2.0ml、3.42mol)をシリンジで加える。周囲温度で16時間後、反応混合物を水で希釈し、CH
2Cl
2で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、22%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、黄白色固体として標題化合物を得る(0.80g、93%)。質量スペクトル(m/z):380.0(M+H)
+。
【0071】
以下の化合物は、適切なカルボン酸及びアミンを使用して、本質的には上の調製例19に記載の方法により調製する。
【表5】
【0072】
実施例13:3−[[2−フルオロ−5−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]ベンゾイル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸
【化23】
【0073】
THF(5.0ml)及びt−ブタノール(5.0ml)に溶かした3−[[2−フルオロ−5−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]ベンゾイル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(0.30g、0.737mmol)の溶液に、撹拌しながら4N NaOH水溶液(5.0ml)を加える。60℃で16時間加熱後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化し、CH
2Cl
2で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮して、黄白色固体として標題化合物を得る(0.19g、65.5%)。質量スペクトル(m/z):392.1(M−H)
+。
【0074】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステルを使用して、本質的には上の実施例13の方法により調製する。
【表6】
【0076】
調製例23:3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボン酸メチル
【化25】
【0077】
スキーム5、工程A。1,4−ジオキサン(17mL)及び水(3.0ml)に溶かした6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(1.0g、5.39mmol)、フェニルボロン酸(0.79g、6.47mmol)の溶液に、K
2CO
3(1.64g、11.8mmol)を加える。反応混合物をアルゴンで15分間パージし、PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(131.9mg、0.162mmol)を加える。反応混合物を再度アルゴンで5分間パージする。110℃で2時間加熱後、反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。粗製残渣を、ヘキサン中の0〜20%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、透明油状物質として標題化合物を得る(985.0g、80.5%)。質量スペクトル(m/z):228.0(M−H)
+。
【0078】
調製例24:3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボン酸
【化26】
【0079】
スキーム5、工程B。THF(5.0ml)及びMeOH(5.0ml)に溶かした6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(985mg、4.33mmol)の溶液に、撹拌しながら1N NaOH水溶液(8.7ml)を加える。混合物を周囲温度で3時間撹拌し、減圧下で濃縮し、1N HClでpH3に酸性化する。得られた沈殿を濾過により単離し、水で洗浄し、真空オーブン中40℃で乾燥させて、標題化合物を得る(685.0mg、74.1%)。質量スペクトル(m/z):214.0(M−H)
+。
【0080】
調製例25:2,4−ジメチル−3−[(3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]安息香酸メチル
【化27】
【0081】
スキーム5、工程C。CH
2Cl
2(8ml)に溶かした3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボン酸(342.0mg、1.60mmol)の溶液に、3−アミノ−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(287.4mg、1.60mmol)及びDIEA(699.3mg、4.01mmol)を室温で加える。10分間撹拌した後、1−プロパンホスホン酸環状無水物(EtOAc中の50%溶液、1.22g、1.92mmol)をシリンジで加える。50℃で15時間後、反応混合物をCH
2Cl
2/TBMEで粉砕し、得られた沈殿を濾過によって単離して、白色粉末として標題化合物を得る(0.41g、68%)。質量スペクトル(m/z):375.2(M+H)
+。
【0082】
実施例15:2,4−ジメチル−3−[(3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]安息香酸
【化28】
【0083】
スキーム5、工程D。THF(3.0ml)、MeOH(3.0ml)及びH
2O(1.0ml)に溶かした2,4−ジメチル−3−[(3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]安息香酸メチル(0.28g、0.75mmol)の溶液に、LiOH・H
2O(0.157g、3.75mmol)を加える。50℃で1時間加熱後、反応混合物をpH約6に酸性化する。水層を固体NaClで飽和し、EtOAc(4×20mL)で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をジエチルエーテルで粉砕して、白色固体として標題化合物を得る(0.231g、85.7%)。質量スペクトル(m/z):361.2(M+H)
+。
【0084】
2,4−ジメチル−3−[(3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]安息香酸の代替合成(実施例15)
スキーム6
【化29】
【0085】
スキーム6、工程A。3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(16.8g、139mmol)を含む丸底フラスコに、塩化メチレン(70mL)、及びメチルトリオキソレニウム(VII)(1.42g、5.57mmol)、過酸化水素(24mL、279mmol)をゆっくり加える。混合物を一晩撹拌し、さらに24時間撹拌した。撹拌を止め、層を分離する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣をTBME(150mL)で粉砕し、固体を濾過し、減圧下で乾燥して、黄色固体として3−メチル−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−2−カルボニトリルを得る(16.2g、86.7%)。質量スペクトル(m/z):135.0(M+H)
+。
【0086】
スキーム6、工程B。3−メチル−1−オキソ−ピリジン−2−カルボニトリル(16.2g、120.77mmol)、トルエン(8mL)、及び塩化ホスホリル(16.83mL;181.2mmol)を丸底フラスコに入れる。混合物を90℃で90分間撹拌し、室温まで冷却し、2M KH
2PO
4(483mL;966mmol)水溶液に滴下する。混合物を30分間撹拌し、層を分離する。有機層をMgSO
4で乾燥して濾過し、濃縮して、6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニトリルを得る。質量スペクトル(m/z):153.0(M+H)
+。この粗製物に、フェニルボロン酸(17.94g、144.9mmol)、トルエン(130mL)、炭酸ナトリウム(190.2g、362.31mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(856mg;1.21mmol)を加える。混合物を80℃で1時間撹拌し、室温に冷却する。層を分離し、有機層をMgSO
4で乾燥して濾過し、濃縮する。この物質を、ヘキサン中の20〜100%塩化メチレンを使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(400g ISCO(登録商標)カートリッジ)により精製して、3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニトリル(6.7g、28.6%)を得た。質量スペクトル(m/z):195.1(M+H)
+。
【0087】
スキーム6、工程C。エタノール(30mL)に溶かした3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニトリル(6.10g、31.41mmol)の淡黄色懸濁液に、18N水酸化ナトリウム水溶液(10.7mL、188.43mmol)及び水(10.98mL)を加える。黄色懸濁液を100℃で18時間加熱し、22℃に冷却する。混合物を水(100mL)で希釈し、12M HCl水溶液(18.6mL、219.8mmol)で中和して、pH約1にする。固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下45℃で乾燥して、白色固体として3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボン酸を得る(6.50g、94.2%)。質量スペクトル(m/z):214.1(M+H)
+。
【0088】
スキーム6、工程D。3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボン酸(5.52g、25.89mmol)に、塩化チオニル(18.9mL、258.9mmol)を22℃で加える。黄色溶液を22℃で8時間撹拌し、濃縮して、淡褐色固体として3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニルクロリドを得る(7.0g、25mmol)。この物質をTHF(70mL)で希釈し、窒素下22℃において、THF(35mL)に溶かした3−アミノ−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(4.54g、25.32mmol)の溶液で処理する。ピリジン(6.1mL、75.97mmol)をゆっくり加え、反応混合物を45分間撹拌する。懸濁液を濾過し、固体をEtOAcですすぎ、濾液を褐色油状物質になるまで濃縮する。油状物質を水(50mL)で処理し、超音波浴に10分間入れる。懸濁液を濾過し、固体を水で洗浄し、乾燥して、淡褐色固体として2,4−ジメチル−3−[(3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]安息香酸メチルを得る(9.81g、95.8%)。質量スペクトル(m/z):375.1(M+H)
+。
【0089】
スキーム6、工程E。THF(90mL)及びMeOH(36mL)に溶かした2,4−ジメチル−3−[(3−メチル−6−フェニル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]安息香酸メチル(9.00g、23.80mmol)の溶液に、1M NaOH水溶液(71.4mL、71.4mmol)を加える。混合物を50℃で4時間加熱し、22℃に冷却し、濃縮して有機溶媒を除去する。水性残渣を水(50mL)で希釈し、EtOAc(20mL)で洗浄し、10% HCl水溶液(13.5mL、40.4mmol)で最終pH約3まで酸性化する。固体を濾過し、水で洗浄し、アセトン/水から再結晶し、真空オーブン中45℃で18時間乾燥して、黄白色固体として標題化合物を得る(6.20g、72.3%)。質量スペクトル(m/z):361.1(M+H)
+。
【0091】
調製例26
3−[[6−(4−クロロフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル
【0092】
スキーム7、工程A。CH
2Cl
2(4ml)に溶かした6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸(0.8g、4.6mmol)の溶液に、3−アミノ−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(0.84g、4.6mmol)及びTEA(945.0mg、9.3mmol)を室温で加える。10分間撹拌した後、1−プロパンホスホン酸環状無水物(EtOAc中の50%溶液、2.97g、9.3mmol)をシリンジで加える。35℃で2時間後、反応混合物を飽和NaHCO
3溶液で希釈し、CH
2Cl
2で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の10%EtOAcで溶出させて精製し、無色油状物質として3−[(6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチルを得る(1.1g、72%)。質量スペクトル(m/z):333.3(M+H)
+。
【0093】
スキーム7、工程B。1,4−ジオキサン(5.0ml)及びH
2O(1.0ml)に溶かした3−[(6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(230.0mg、0.692mmol)の溶液に、(4−クロロフェニル)ボロン酸(120.0mg、0.761mmol)を加え、その後Na
2CO
3(220.0mg、2.08mmol)及びPdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(60.0mg、0.069mmol)を加える。反応混合物をアルゴンで5分間パージし、次に100℃で加熱する。14時間後、反応物を室温に冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣を、ヘキサン中の50%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得る(0.17g、60.7%)。
【0094】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステル及びボロン酸を使用して、本質的には上の調製例26に記載の方法により調製する。
【表7-1】
【表7-2】
【0095】
実施例16
3−[[6−(4−クロロフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸
【0096】
スキーム7、工程C。THF(8.0ml)及びMeOH(2.0ml)に溶かした3−[[6−(4−クロロフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(0.17g、0.41mmol)の溶液に、撹拌しながら1N NaOH水溶液(2.0ml)を加える。40℃で12時間加熱後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化する。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、水/アセトニトリル中の0.1%TFAを使用して分取HPLCにより精製して、白色固体として標題化合物を得る(155mg、95.9%)。質量スペクトル(m/z):395.1(M+H)
+。
【0097】
実施例17
3−[[6−(3−クロロフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸
【化31】
【0098】
スキーム7、工程C。THF(8.0ml)及びMeOH(2.0ml)に溶かした3−[[6−(1,3−ベンゾジオキソ−ル−5−イル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(0.17g、0.416mmol)の溶液に、0℃で撹拌しながら2N NaOH水溶液(2.0ml)を加える。60℃で2時間加熱後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化し、CH
2Cl
2で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮して、白色固体として標題化合物を得る(0.104g、64%)。質量スペクトル(m/z):395.2(M+H)
+。
【0099】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステルを使用して、本質的には上の実施例17に記載の方法により調製する。
【表8】
【0100】
実施例22
3−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸
【化32】
【0101】
スキーム7、工程C。THF(10ml)に溶かした3−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(0.13g、0.32mmol)の溶液に、0℃で撹拌しながら2N NaOH水溶液(2ml)を加える。50℃で2時間加熱後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化し、濃縮する。粗生成物を、水/CH
3CN中の5mM NH
4OAcの10〜90%勾配を使用し、分取HPLCにより精製して、白色固体として標題化合物を得る(0.122g、97%)。質量スペクトル(m/z):391.12(M+H)
+。
【0102】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステルを使用して、本質的には上の実施例22に記載の方法により調製する。
【表9】
【0104】
3−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸の代替合成(実施例22)
【0105】
スキーム8、工程A。エタノール(10L)に溶かした3−メチルピリジン−2−カルボン酸(1000g、7.3mol)の溶液に、濃硫酸(1.216L、21.9mol)を45分以上かけて加える。反応物を19時間加熱還流し、冷却し、固体炭酸水素ナトリウム(約4kg)で処理してpH約8にする。混合物をEtOAc(10L)で希釈し、フィルターセルで濾過する。溶媒を減圧下で除去して、3−メチルピリジン−2−カルボン酸エチルを得る(939g、78%)。MS(m/z)166[M+H]
+。
【0106】
スキーム8、工程B。HOAc(4.5L)に溶かした3−メチルピリジン−2−カルボン酸エチル(452g、2.74mol)の溶液に、30%過酸化水素(1.52L、13.7mol)を加える。混合物を60℃で4.5時間加熱し、次に一晩で室温に冷却する。反応物を亜硫酸ナトリウム/氷水(10L)に注ぎ、塩化メチレン(2×4L)で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、淡黄色油状物質として3−メチル−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−2−カルボン酸エチルを得る(502g、定量)。MS(m/z)182[M+H]
+。
【0107】
スキーム8、工程C。DMF(2.45L、24.8mol)及び塩化メチレン(4.5L)の溶液に、オキシ塩化リン(1.16L、12.4mol)を0℃で〜1時間かけて滴下する。反応物を0℃で30分間撹拌し、次に3−メチル−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−2−カルボン酸エチル(450g、2.48mol)を加える。反応物を、ゆっくり室温に温まるよう一晩放置し、反応混合物を氷水(10L)に注ぐ。10%炭酸ナトリウムを用いてpHをpH約8に調節し、混合物を1時間撹拌する。層を分離し、水層を塩化メチレン(2×2L)で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮して、ベージュ色半固体として6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸エチルを得る(425g、86%)。MS(m/z)200[M+H]
+。
【0108】
スキーム8、工程D。6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸エチル(750g、4.05mol)を、イソプロパノール(14L)に溶かしたKOH(272g、4.84mol)の溶液に約20分かけて少しずつ加える。混合物を2時間撹拌し、濾過し、イソプロパノール(500mL)及びヘプタン(2L)で順次洗浄する。固体を減圧下、50℃で48時間乾燥して、白色固体として6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸カリウムを得る(767g、97%)。MS(m/z)210[M+H]
+。
【0109】
スキーム8、工程E。DMF(4.75L)に入れた6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸カリウム(300g、1.431mol)の混合物に、固体のBOP−Cl(662.9g、2.604mol)を加える。〜5℃での穏やかな発熱反応後、混合物を1時間撹拌する。3−アミノ−2,4−ジメチル−安息香酸メチル塩酸塩(277.7g、1.288mol)及びジイソプロピルエチルアミン(950mL、5.438mol)を反応物に順次加える。混合物を一晩撹拌し、水(10L)及び氷(4kg)に注ぐ。1時間撹拌後、混合物を濾過し、固体を水で洗浄し、減圧下50℃で12時間乾燥する。固体をヘプタン(12L)中で1時間スラリー化し、濾過し、減圧下50℃で乾燥して、3−[(6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(430g、90%)を得る。MS(m/z)333[M+H]
+。
【0110】
スキーム8、工程F。ジオキサン(2.5L)に溶かした3−[(6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(250g、0.751mol)及び3−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(137g、0.902mol)の溶液に、2M Na
2CO
3(1.13L、2.253mol)を加える。混合物を40℃に温め、窒素流で1時間脱気する。ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(26.4g、0.0376mol)を加え、反応物を窒素流でさらに20分間脱気する。反応物を1.5時間加熱還流し、室温に冷却し、珪藻土で濾過し、減圧下で濃縮して有機溶媒を除去する。水性混合物をEtOAc(2×2L)で抽出する。合わせた有機層を飽和食塩水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣をトルエン(1.5L)に溶解し、シリカゲル(2kg)上に載せる。カラムから、ヘプタン中0〜50%EtOAcの勾配を用いて溶出させる。生成物の分画を、ベージュ色固体になるまで濃縮する(〜300g)。固体を2−メチルテトラヒドロフラン(2.5L)に溶解し、メルカプトプロピルシリカゲルで処理し、撹拌しながら50℃で2時間加熱し、一晩で室温に冷却する。混合物を濾過し、シリカゲルをEtOAc(3L)ですすぐ。溶媒を減圧下で除去して白色固体(297g)を得て、これをイソプロパノール(1.5L)で希釈し、透明溶液が得られるまで加熱還流する。溶液を一晩冷却し、沈殿を濾過により単離し、真空オーブン中50℃で乾燥して、3−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチルを得る(256g、84%)。MS(m/z)405[M+H]
+。
【0111】
スキーム8、工程G。MeOH(2L)に溶かした3−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル(207g、0.512mol)の溶液に、水酸化カリウム(86g、1.537mol、3当量)を加える。反応物を16時間加熱還流し、室温に冷却し、減圧下で濃縮乾固する。残渣を、水(2L)とTBMEとの間で分割する。水層を10%HClでpH約2に調節し、沈殿を濾過し、水(1L)及びヘプタン(1L)で洗浄し、減圧下50℃で乾燥する(197g、98%)。固体を別の実施からの物質と合わせ(合計226g)、エタノール(2L)中で2時間還流する。室温に冷却後、固体を濾過し、減圧下50℃で16時間乾燥して、標題化合物を得る(211g)。MS(m/z)391[M+H]
+。
【0112】
実施例25
4−[[6−(1,3−ベンゾジオキソ−ル−5−イル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸
【化34】
【0113】
スキーム4、工程C。水(1.0ml)に溶かしたLiOH(50mg、1.18mmol)の水溶液に、THF(2.0ml)及びMeOH(2.0ml)中の4−[[6−(1,3−ベンゾジオキソ−ル−5−イル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸メチル(240.0mg、0.573mmol)を加える。周囲温度で3時間後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をジエチルエーテルから結晶化させて、標題化合物を得る(0.2g、86.4%)。MS(m/z):405.2(M+1)
+。
【0115】
調製例39:4−アミノ−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチル
【0116】
スキーム9、工程A。酢酸(8ml)に溶かした3,5−ジメチルピリジン(20.0g、186.65mmol)の溶液に、過酸化水素(60.0ml、1.96mol)を室温で加える。70℃で24時間加熱後、反応混合物を水で希釈し、5%MeOH:CH
2Cl
2で抽出する。有機層を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、CH
2Cl
2中の10%MeOHを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄白色粉末として3,5−ジメチル−1−オキシド−ピリジン−1−イウムを得る(12.2g、53.1%)。質量スペクトル(m/z):124.1(M+1)
+。
【0117】
スキーム9、工程B。硝酸(20.0ml、463.08mmol)に、硫酸(60ml、1.13mol)を0℃でゆっくり加え、その後3,5−ジメチル−1−オキシド−ピリジン−1−イウム(8.0g、64.96mmol)を加える。反応混合物を70℃で6時間加熱し、水で希釈し、5%MeOH:CH
2Cl
2で抽出する。有機層を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、CH
2Cl
2中の10%MeOHを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、3,5−ジメチル−4−ニトロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウムを得る(3.8g、34.8%)。質量スペクトル(m/z):169.09(M+1)
+。
【0118】
スキーム9、工程C。3,5−ジメチル−4−ニトロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム(3.5g、20.69mmol)及びシアン化亜鉛(4.86g、41.38mmol)をアセトニトリル(30ml)に溶かした溶液に、N,N−ジメチルカルバモイルクロリド(2.86ml、31.04mmol)をアルゴン下で滴下する。100℃で16時間加熱後、反応混合物を氷水で希釈し、EtOAcで抽出する。有機層を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、ヘキサン中の20%EtOAcを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、2種の化合物を得る。3,5−ジメチル−4−ニトロ−ピリジン−2−カルボニトリル(0.47g、12.8%)、
1H NMR(300.16MHz、CDCl
3):δ8.58(s、1H)、2.52(s、3H)、2.39(s、3H)、及び4−クロロ−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボニトリル(1.05g、30.5%)。質量スペクトル(m/z):167.07(M+1)
+。
【0119】
スキーム9、工程D。エタノール(2ml)に溶かした3,5−ジメチル−4−ニトロ−ピリジン−2−カルボニトリル(0.45g、2.54mmol)の溶液に、濃硫酸(2ml、37.52mmol)を0℃で滴下する。90℃で18時間加熱後、反応混合物を氷上に注ぎ、EtOAcで抽出する。有機層を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、ヘキサン中の40%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3,5−ジメチル−4−ニトロ−ピリジン−2−カルボン酸エチルを得る(0.35g、61.5%)。質量スペクトル(m/z):225.1(M+1)
+。
【0120】
スキーム9、工程E。エタノール(5ml)に溶かした3,5−ジメチル−4−ニトロ−ピリジン−2−カルボン酸エチル(0.30g、1.34mmol)の溶液に、10%Pd活性炭素(0.06g)を加え、混合物をアルゴンで10分間パージし、その後水素ガスを加える。5時間後、反応混合物を珪藻土で濾過し、エタノールで洗浄する。濾液を減圧下で濃縮して、4−アミノ−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチルを得る(0.24g、92.3%)。質量スペクトル(m/z):195.17(M+1)
+。
【0121】
スキーム9、工程F。1,4−ジオキサン(6ml)に溶かした4−クロロ−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボニトリル(0.6g、3.60mmol)とフェニルメチルアミン(0.58g、5.40mmol)の溶液をアルゴンでパージし、炭酸セシウム(3.52g、10.8mmol)、S−Phos(147.5mg、0.36mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(329.7mg、0.60mmol)を加える。100℃で4時間加熱後、反応混合物をフィルターセルで濾過し、EtOAcで洗浄する。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を、ヘキサン中の40%EtOAcを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、4−(ベンジルアミノ)−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボニトリル(0.61g、71.4%)を得る。質量スペクトル(m/z):238.06(M+1)
+。
【0122】
スキーム9、工程G。エタノール(5.0ml)に溶かした4−(ベンジルアミノ)−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボニトリル(0.6g、2.53mmol)の溶液に、濃硫酸(5.0ml)を0℃で滴下し、反応混合物を室温に温める。100℃で32時間加熱後、反応混合物を飽和NaHCO
3溶液で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、CH
2Cl
2中の10%MeOHを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得る(0.4g、81.4%)。質量スペクトル(m/z):195.1(M+1)
+。
【0124】
実施例26
4−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸
【0125】
スキーム10、工程A。THF(15mL)に溶かした6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸(220mg、1.28mmol)の溶液に、アルゴン下0℃でクロロギ酸イソブチル(192.6mg、1.41mmol)及びN−メチルモルホリン(259.4mg、2.56mmol)を加える。反応混合物を0℃で40分間撹拌し、THF(1.5mL)に溶かした4−アミノ−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチル(249mg、1.28mmol)の溶液を加える。50℃で18時間後、中性アルミナを充填したカラム上に反応混合物を注ぎ、フラッシュクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の40%EtOAcで溶出させて精製し、4−[(6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチル(0.03g、7.6%)を得る。質量スペクトル(m/z):348.0(M+1)
+。
【0126】
スキーム10、工程B。1,4−ジオキサン(1.0ml)及び水(0.5ml)に溶かした4−[(6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチル(30mg、0.09mmol)の溶液に、(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)ボロン酸(14.4mg、0.09mmol)を加え、その後Cs
2CO
3(56.2mg、0.172mmol)及びPdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(14.1mg、0.017mmol)を加える。反応混合物をアルゴンで5分間パージし、次いで100℃で加熱する。2時間後、反応混合物を室温に冷却し、珪藻土で濾過し、EtOAcで洗浄する。濾液を濃縮し、残渣を、ヘキサン中の50%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、無色油状物質として4−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチルを得る(0.02g、60.8%)。質量スペクトル(m/z):420.3(M+1)
+。
【0127】
スキーム10、工程C。水(1ml)に溶かしたLiOH(18.01mg、0.429mmol)の水溶液に、THF(1ml)及びMeOH(1ml)中の4−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸エチル(36mg、0.09mmol)を加える。周囲温度で3時間後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をペンタンで粉砕し、濾過して、標題化合物を得る(0.02g、56.8%)。質量スペクトル(m/z):392.2(M+1)
+。
【0129】
調製例40:5−アミノ−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル
【0130】
スキーム11、工程A。塩化メチレン(40.0ml)に溶かした3−アミノ−2,4−ジメチルピリジン(1g、8.19mmol)の溶液に、塩化メチレン(10.0ml)に溶かした臭素(0.55ml、40.64mmol)の溶液を、0℃で5分以上かけて加える。周囲温度で12時間後、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、ヘキサン中の10〜100%EtOAcを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、6−ブロモ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−アミンを得る(992mg、60.3%)。質量スペクトル(m/z):201.0(M+1)
+。
【0131】
スキーム11、工程B。6−ブロモ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−アミン(0.99g、4.92mmol)、Pd(OAc)
2(112mg、0.50mmol)、PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(331mg、0.6mmol)、CH
3CN(30.0ml)、トリエチルアミン(1.75ml)及びMeOH(20.0ml)を、100mlParrオートクレーブに機械撹拌しながら加える。Parrオートクレーブを密閉し、COでパージして、689.5kPa(100psig)まで加圧する。混合物を85℃で3時間加熱する。混合物を周囲温度まで冷却し、通気する。混合物を濾過し、MeOHですすぎ、減圧下で濃縮乾固する。残渣を、溶離液として塩化メチレン中の0〜5%の2M NH
3/MeOHの勾配を使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。生成物の分画を合わせ、濃縮する。残渣をEtOAcで粉砕し、濾過する。濾液を濃縮して、標題化合物を得る(537.0mg、60.4%)。質量スペクトル(m/z):181.0(M+1)
+。
【0133】
実施例27
5−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸
【0134】
スキーム12、工程A。1,4−ジオキサン(17.9ml)及びH
2O(2.9ml)に溶かした6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(1.0g、5.39mmol)の溶液に、(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)ボロン酸(0.982g、6.47mmol)を加え、その後K
2CO
3(1.86g、13.47mmol)及びPdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(131.9mg、0.13mmol)を加える。反応混合物をアルゴンで5分間パージし、次に110℃で加熱する。2時間後、反応物を室温に冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣を、ヘキサン中の70%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルを得る(0.713g、51.4%)。質量スペクトル(m/z):258.0(M+1)
+。
【0135】
スキーム12、工程B。CH
2Cl
2(13.9ml)に溶かした6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(713.0mg、2.77mmol)の溶液に、1H−イミダゾール(285.8mg、4.16mmol)を加え、その後、t−ブチルジメチルクロロシラン(516.7mg、3.33mmol)を加える。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次に水、飽和NaHCO
3溶液及び飽和食塩水で順次洗浄する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濃縮して、6−[3−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(920.0mg、89.4%)を得る。質量スペクトル(m/z):372.2(M+1)
+。
【0136】
スキーム12、工程C。THF(5.0ml)及びMeOH(5.0mL)に溶かした6−[3−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(920.0mg、2.48mmol)の溶液に、撹拌しながら1N LiOH(207.8mg、4.95mmol)の水溶液を加える。周囲温度で2時間撹拌後、混合物を水で希釈し、10%MeOH/塩化メチレンで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣を、ヘキサン中の0〜100%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、6−[3−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸を得る(589.0mg、66.5%)。質量スペクトル(m/z):358.2(M+1)
+。
【0137】
スキーム12、工程D。THF(8.4ml)に溶かした6−[3−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボン酸(300.0mg、0.839mmol)の溶液に、クロロギ酸イソブチル(128.6mg、0.923mmol)及びN−メチルモルホリン(101.8mg、1.01mmol)を0℃で加える。反応混合物を0℃で20分間撹拌し、THF(2.0ml)に溶かした5−アミノ−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(151.2mg、0.839mmol)の溶液を加える。反応混合物を周囲温度に温める。12時間後、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣を、ヘキサン中の0〜40%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5−[[6−[3−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルを得る(192mg、44%)。質量スペクトル(m/z):520.2(M+1)
+。
【0138】
スキーム12、工程E。THF(2.0ml)に溶かした5−[[6−[3−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(190mg、0.366mmol)の溶液に、THF中の1.0M Bu
4NF(0.548ml、0.548mmol)を0℃で加える。反応混合物を周囲温度にゆっくり温める。2時間後、反応混合物を氷水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣を、ヘキサン中の0〜40%EtOAcを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルを得る(133.0mg、89.8%)。質量スペクトル(m/z):406.2(M+1)
+。
【0139】
スキーム12、工程F。THF(2.0ml)及びMeOH(2.0ml)に溶かした5−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチル(130.0mg、0.32mmol)の溶液に、撹拌しながら1N NaOH水溶液(0.64ml)を加える。周囲温度で2時間後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化する。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空オーブン中40℃で1時間乾燥して、白色固体として標題化合物を得る(88.0mg、70.0%)。質量スペクトル(m/z):392.2(M+1)
+。
【0140】
調製例41:4−[[6−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸メチル
【化39】
【0141】
CH
2Cl
2(8.0ml)に溶かした6−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボン酸(0.40g、1.77mmol)の溶液に、4−アミノ−3,5−ジメチル安息香酸メチル(0.318mg、1.77mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.573g、4.43mmol)を室温で加える。混合物を10分間撹拌した後、1−プロパンホスホン酸環状無水物(EtOAc中の50%溶液、1.35g、2.13mmol)をシリンジで加える。周囲温度で36時間後、反応混合物を50℃で7日間加熱する。反応混合物を濃縮し、MeOHで粉砕して、白色固体として標題化合物を得る(456.0mg、66.5%)。質量スペクトル(m/z):387.2(M+1)。
【0142】
以下の化合物は、適切なカルボン酸及びアミンを使用して、本質的には上の調製例41に記載の方法により調製する。
【表10】
【0144】
調製例43:4−[[6−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸メチル
【化41】
【0145】
スキーム13、工程A。ジオキサン(4mL)及び水(1mL)中の4−[(6−クロロ−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル)アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸メチル(200mg、1.18mmol)、(3−メトキシフェニル)ボロン酸(198mg、1.3mmol)、炭酸カリウム(170mg、1.23mmol)、及びPdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(20mg)の混合物を、マイクロ波反応器内で、110℃で120分加熱する。混合物を疎水性フリットで濾過し、塩化メチレン(2×10mL)で洗浄する。濾液を濃縮し、ヘキサン中の15%酢酸エチルを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物として4−[[6−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸メチルを得る(194mg、収率41%)。質量スペクトル(m/z):405.2(M+H)
+。
【0146】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステル及びボロン酸を使用して、本質的には上の調製例43に記載の方法により調製する。
【表11-1】
【表11-2】
【0147】
実施例28
4−[[6−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸
【化42】
【0148】
スキーム13、工程B。MeOH(3mL)、THF(2mL)及び1N NaOH(1.2mL)中の4−[[6−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸メチル(194mg、0.479mmol)のスラリーを、室温で3晩以上撹拌する。反応混合物を1N HCl(1.2mL)で処理し、水で希釈する。固体を減圧濾過により回収し、減圧下で乾燥して、標題化合物を得る(172mg、収率92%)。質量スペクトル(m/z):391.2(M+H)
+。
【0149】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステルを使用して、本質的には上の実施例28に記載の方法により調製する。
【表12-1】
【表12-2】
【0151】
実施例36
3,5−ジメチル−4−[(2−フェニルキノリン−4−カルボニル)アミノ]安息香酸
【0152】
スキーム14、工程A。CH
2Cl
2(6.0ml)に溶かした2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(193.5g、0.776mmol)の溶液に、4−アミノ−3,5−ジメチル−安息香酸エチル(150.0g、0.776mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.338ml、1.94mmol)を0℃で加える。反応混合物を10分間撹拌し、1−プロパンホスホン酸環状無水物(酢酸エチル中の50%溶液、0.555ml、0.932mmol)をシリンジで加える。混合物を周囲温度で48時間撹拌し、水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をCH
2Cl
2で粉砕し、濾過して、白色固体として3,5−ジメチル−4−[(2−フェニルキノリン−4−カルボニル)アミノ]安息香酸エチルを得る(93.5mg、28.4%)。質量スペクトル(m/z):425.2(M+H)
+。
【0153】
スキーム14、工程B。THF(3.0ml)に溶かした3,5−ジメチル−4−[(2−フェニルキノリン−4−カルボニル)アミノ]安息香酸エチル(93.5mg、0.220mmol)の溶液に、撹拌しながら1N NaOH水溶液(1.0ml)を加える。50℃で8時間加熱後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化する。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空オーブン中40℃で1時間乾燥して、白色固体として標題化合物を得る(70.0mg、80.2%)。質量スペクトル(m/z):397.2(M+H)
+。
【0155】
調製例51:4−[(2−クロロキノリン−4−カルボニル)アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸エチル
【化45】
【0156】
スキーム15、工程A。CH
2Cl
2(15ml)に溶かした2−クロロキノリン−4−カルボン酸(1.07g、5.17mmol)の溶液に、4−アミノ−3,5−ジメチル−安息香酸エチル(1.00g、5.17mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.26ml、12.94mmol)を0℃で加える。反応混合物を10分間撹拌した後、1−プロパンホスホン酸環状無水物(酢酸エチル中の50%溶液、3.70ml、6.21mmol)をシリンジで加える。反応混合物を周囲温度で24時間撹拌し、水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をMeOHで粉砕し、濾過する。濾液を、高pH逆相クロマトグラフィー(5%MeOH/CH
3CN中、0〜100%の10mM炭酸水素アンモニウム水溶液)により精製して、白色固体として標題化合物を得る(0.49g、25%)。質量スペクトル(m/z):383.1(M+H)
+。
【0157】
以下の化合物は、適切なカルボン酸及びアミンを使用して、本質的には上の調製例51に記載の方法により調製する。
【表13】
【0158】
調製例54:4−[[2−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]キノリン−4−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸エチル
【化46】
【0159】
スキーム15、工程B。1,4−ジオキサン(17.0ml)及びH
2O(2.5ml)に溶かした4−[(2−クロロキノリン−4−カルボニル)アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸エチル(0.49g、1.27mmol)の溶液に、(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)ボロン酸(231.9mg、1.53mmol)を加え、その後K
2CO
3(439.2mg、3.18mmol)及びPdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(103.9mg、0.0127mmol)を加える。反応混合物をアルゴンで5分間パージし、次に110℃で加熱する。3時間後、混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、濃縮する。残渣を、ヘキサン中の40%酢酸エチルを使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得る(0.42g、72.3%)。質量スペクトル(m/z):455.2(M+H)
+。
【0160】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステル及びボロン酸を使用して、本質的には上の調製例54に記載の方法により調製する。
【表14-1】
【表14-2】
【0161】
a)
1H NMR(400MHz、DMSO):10.23(s、1H)、8.37−8.36(m、1H)、8.32−8.30(m、1H)、8.12(d、J=1.9Hz、1H)、8.11−8.08(m、1H)、7.83−7.83(m、1H)、7.76−7.74(m、3H)、7.62−7.59(m、2H)、7.49(t、J=7.7Hz、1H)、7.38−7.36(m、1H)、5.29(t、J=5.7Hz、1H)、4.61−4.60(m、2H)、4.30(q、J=7.1Hz、2H)、2.39(s、6H)、1.31(t、J=7.1Hz、3H)。
【0162】
実施例37
4−[[2−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]キノリン−4−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸
【化47】
【0163】
スキーム15、工程C。THF(10.0ml)及びMeOH(3.0ml)に溶かした4−[[2−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]キノリン−4−カルボニル]アミノ]−3,5−ジメチル−安息香酸エチル(0.42g、0.920mmol)の溶液に、撹拌しながら1N NaOH水溶液(1.9ml)を加える。40℃で12時間加熱後、反応混合物を1N HCl水溶液でpH1〜2に酸性化する。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空オーブン中40℃で1時間乾燥して、白色固体として標題化合物を得る(333.0mg、84.9%)。質量スペクトル(m/z):427.2(M+H)
+。
【0164】
以下の化合物は、適切なカルボン酸エステルを使用して、本質的には上の実施例37に記載の方法により調製する。
【表15-1】
【表15-2】
【0165】
調製例61:3−[(3−ブロモナフタレン−1−カルボニル)アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル
【化48】
【0166】
CH
3CN(10.0ml)に溶かした3−ブロモナフタレン−1−カルボン酸(0.42g、1.67mmol)と3−アミノ−2,4−ジメチル安息香酸メチル(0.30g、1.67mmol)の溶液に、三塩化リン(0.292ml、3.35mmol)を0℃で加える。マイクロ波反応器中100℃で1.5時間加熱後、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、減圧下で濃縮して、黄白色泡状物質として標題化合物を得る(0.60g、86.7%)。質量スペクトル(m/z):412.0(M+H)
+。
【0168】
3−[[3−(3−クロロフェニル)ナフタレン−1−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸の代替調製(実施例43)
【0169】
スキーム16、工程A。反応器に水10Lと、炭酸水素ナトリウム585g(6.970mol)を入れる。溶液を50℃に加熱し、窒素を15分間注入する。3−ブロモ−1−ナフタレンカルボン酸500g(1.991mol)を加え、混合物を75℃に加熱する。酢酸パラジウム4.47g(19.9mmol)を加える。3−クロロフェニルボロン酸358g(2.290mol)を50gずつ、1時間以上かけて入れる。75℃で2時間撹拌する。25℃に冷却し、水2L、25%水酸化ナトリウム水溶液0.5L、及びTHF1.5Lを加える。水溶液を、2×2Lのヘプタンで洗浄する。洗浄した水溶液に、THF10L及び酢酸エチル2.5Lを加える。890gの37%HClを加え、pHを約2にする。相を分離し、THF2Lと酢酸エチル0.5Lの混合物を用いて水相を抽出する。合わせた有機溶液を飽和食塩水1Lで洗浄する。活性炭素100gを使用して溶液を20℃で1時間処理し、混合物を珪藻土で濾過する。金属スカベンジングシリカ400gを加え、懸濁液を50℃に加熱後、50℃で4時間撹拌する。20℃に冷却し、濾過してシリカを取り除く。新しいスカベンジャー400gを入れて同じ操作を繰り返す。20℃に冷却し、濾過してスカベンジャーを除去し、溶液を減圧下で蒸発乾固する。粗製物質をTHF8Lに溶解し、ヘプタン12Lを加える。溶液を900gのシリカ床で濾過し、THFとヘプタン2〜3の混合物4×900mLで抽出する。濾液を減圧下で蒸発させて懸濁液を得る。固体を濾過により回収し、50℃、2〜10mbarで4時間乾燥して、3−(3−クロロフェニル)ナフタレン−1−カルボン酸502g(89%)を得る。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.48−7.51(m、1H)、7.56(t、J=8.1Hz、1H)、7.61−7.69(m、2H)、7.81−7.83(m、1H)、7.92(d、J=2.2Hz、1H)、8.10−8.13(m、1H)、8.42(d、J=2.2Hz、1H)、8.54(d、J=2.2Hz、1H)、8.85(d、J=8.4Hz、1H)、13.35(brs、1H)。
【0170】
スキーム16、工程B。20Lの反応器に、3−(3−クロロフェニル)ナフタレン−1−カルボン酸485g(1.715mol)、ピリジン136g(1.715mol)、及びトルエン4.85Lを入れる。混合物を75℃に加熱し、塩化チオニル306g(2.573mol)を約15分以上かけて加える。反応混合物を75℃で3時間撹拌し、塩化チオニル102g(0.858mol)を加え、残りの出発物質の酸を消費させる。反応混合物を1時間撹拌後、75℃で上層をデカンテーションし、下の廃棄層を捨てる。塩化チオニル102g(0.858mol)と、ピリジン34g(0.429mol)を加える。反応混合物を75℃で1時間撹拌する。反応混合物を20〜25℃で一晩維持する。有機層を2×0.5Lの水で洗浄する。水2.425Lに溶かした3−アミノ−2,4−ジメチル−安息香酸メチル370g(1.715mol)の溶液を反応器に一度で加える。水4.850Lに溶かした炭酸水素カリウム859g(8.577mol)の溶液を40分以上かけて加える。反応混合物を20〜25℃で2時間撹拌する。THF4.850Lを加え、固体が全て溶解するまで撹拌する。デカンテーションし、下の水相を捨てる。2.57gのNa
2S・9H
2Oを水0.970Lに溶かした溶液で上の有機相を洗浄し、水相を捨てる。有機層を飽和食塩水0.970Lで3回洗浄し、次に1N塩酸0.970L、最後に飽和食塩水0.970Lで洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。生成物溶液(THF−トルエン)を減圧下で濃縮して、THFを除去する。結晶性生成物を用いてバッチに種晶添加し、約1時間以上かけて45℃から37℃に温度を下げる。結晶化が進行する際、トルエン1.94Lを加え、温度を20℃に下げる。2時間撹拌後、生成物を濾過により回収する。生成物の塊をTBME1.94Lで洗浄し、一定重量になるまで80℃、2〜10Torrで乾燥する。固体を55℃でアセトン0.970Lに溶解し、TBME1.940Lを加える。溶液を1時間以上かけて20℃に冷却し、生成物を結晶化させる。20℃で2時間撹拌後、白色の結晶性固体を濾過により回収し、一定重量になるまで80℃、2〜10Torrで乾燥する。短いシリカ床(1.5kg、3部)でのクロマトグラフィーにより、ジクロロメタンで溶出させて物質を精製し、白色固体として3−[[3−(3−クロロフェニル)ナフタレン−1−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル442g(58%)を得る。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ2.41(s、3H)、2.53(s、3H)、3.85(s、3H)、7.30(d、J=8.0Hz、1H)、7.51(d、J=8.0Hz、1H)、7.59(d、J=8.0Hz、1H)、7.63−7.65(m、2H)、7.69(d、J=8.0Hz、1H)、7.90(d、J=8.0Hz、1H)、8.02(s、1H)、8.10−8.14(m、1H)、8.20(s、1H)、8.37−8.40(m、1H)、8.46(s、1H)、10.20(brs、1H)。
【0171】
スキーム16、工程C。20Lの反応器に、水酸化カリウム178g(3.176mol)と、水1.59Lを入れる。混合物を、完全に溶解するまで撹拌する。イソプロパノール4.7Lを加え、溶液を65℃に加熱する。THF1.88Lに溶かした3−[[3−(3−クロロフェニル)ナフタレン−1−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸メチル470g(1.059mol)の溶液を、65℃で、反応器に約1時間で加える。添加終了後、反応混合物を65℃で2時間撹拌する。活性炭素23.5gを加え、混合物を65℃で1時間撹拌する。混合物を20℃に冷却し、珪藻土で濾過する。イソプロパノール0.94Lで塊をすすぎ、その後2×0.94Lの水ですすぐ。溶液を減圧下で濃縮して有機溶媒を除去する。水溶液を10Lの反応器に移し、水3.76Lで希釈する。0.95Lの3N HClを加えることにより、pH3.0に酸性化する。イソプロパノール0.94Lを加え、懸濁液を20℃で一晩撹拌する。生成物を濾過により回収し、水2.82Lで洗浄する。粗生成物を50℃で、週末を通して乾燥する。乾燥した固体を20Lの反応器に移し、アセトン4.70Lを加え、懸濁液を2時間加熱還流する。懸濁液を3時間以上かけて20℃に冷却し、この温度で一晩維持する。懸濁液を8℃に冷却し、1時間撹拌する。生成物を濾過により回収し、アセトン1.41Lで塊を洗浄する。50℃、2〜10Torrで一晩乾燥し、白色固体として標題化合物を得る(378.0g、収率83%)。質量スペクトル(m/z):430.3(M+H)
+。
【0172】
生体外でのヒトEP1、EP2、EP3及びEP4に対する結合
hEP1及びhEP4膜を、ヒトEP1(Genbank受入番号AY275470)またはEP4(Genbank受入番号AY429109)受容体を安定に発現する組換えHEK293細胞から調製する。hEP2及びhEP3膜を、EP2(Genbank受入番号AY275471)またはEP3(アイソフォームVI:Genbank受入番号AY429108)受容体プラスミドで一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞から調製する。凍結した細胞ペレットを、テフロン(登録商標)/ガラスホモジナイザーを使用して、均質化緩衝液中で均質化する。膜タンパク質を一定分量ずつ分け、−80℃で保存する前にドライアイス上で急速凍結させる。均質化緩衝液は、10mMのTris−HCl(pH7.4)と、250mMのスクロースと、1mMのEDTAと、0.3mMのインドメタシンとを含み、さらにRoche Molecular Biochemicals(カタログ番号1697498)から入手したComplete(商標)をEDTAと共に含んだ。
【0173】
各受容体に対する[
3H]−PGE
2結合についてのKd値を、飽和結合研究または相同競合によって決定する。化合物は、3倍連続希釈を使用し、96ウェルフォーマットで試験して10点曲線を作成する。希釈した化合物を、0.3〜0.5nMの[
3H]−PGE
2(PerkinElmer、118〜180Ci/mmol)の存在下で、20μg/ウェルのEP1、10μg/ウェルのEP2、1μg/ウェルのEP3または10〜20μg/ウェルのEP4膜と共に、25℃で90分間インキュベートする。結合反応は、0.5mLのポリスチレン96ウェルディープウェルプレートを使用して、200μLのMES緩衝液(KOHを含む10mM MES pH6.0、10mM MgCl
2及び1mM EDTA)中で実施する。2μMのPGE
2の存在及び非存在下で結合を比較することにより、非特異的結合を算出する。膜を濾過(TomTek収集器)によって回収し、冷たい緩衝液(KOHを含む10mM MES pH6.0、10mM MgCl
2)で4回洗浄し、60℃のオーブン中で乾燥させ、TopCount検出器を使用して放射能をカウント毎分(CPM)として定量する。パーセント特異結合は、2μMのPGE
2存在下での結合について補正した、任意の阻害剤の非存在下での結合のパーセントとして算出する。データは、y=(A+((B−A)/(1+((C/x)^D))))で示されるような4パラメータ非線形ロジスティック方程式(ABase Equation 205)を使用して分析する。式中、y=%特異阻害、A=曲線の最小値;B=曲線の最大値;C=相対IC
50=最大値から最小値までのデータ範囲に基づき、50%阻害を引き起こす濃度;D=勾配、Slope=曲線の傾き。IC
50値からのK
iの変換(K
i=IC
50/(1+[L]/K
d)、式中、[L]はリガンド濃度)。結果は相乗平均±標準偏差として表し;n=独立測定数である。標準偏差はデルタ法により算出し、SD
logKi×相乗平均×ln(10)である。
【0174】
本明細書の実施例1〜43の化合物を、本質的に上記のとおり試験すると、hEP4についてのK
i値は1μM未満を示す。
【表16】
【0175】
表1のデータは、実施例1及び実施例22の化合物が、hEP1、hEP2及びhEP3よりも強くhEP4に結合していることを実証しており、hEP4受容体への選択性を示している。
【0176】
生体外ヒトEP4機能的アンタゴニスト活性
試験は、ヒトEP4受容体を安定に発現する組換えHEK293細胞において実施する。細胞株は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1mMピルビン酸ナトリウム、10mM HEPES、500μg/mlジェネテシン、及び2mM L−グルタミンを追加した、高グルコース及び塩酸ピリドキシン含有DMEM(Invitrogen)で培養することによって維持する。コンフルエントな培養物を、5%CO
2を含む雰囲気下、37℃で増殖させる。細胞は、2.5%トリプシン−EDTAを使用して回収し、10
7細胞/mLで凍結培地(6%DMSOを含むFBS)中に懸濁させ、一定分量ずつを液体窒素中で保存する。試験直前に細胞をDMEM中で解凍し、遠心分離し、cAMP緩衝液中で再懸濁させる。
【0177】
EP4アンタゴニストによるPGE
2刺激cAMP産生の阻害は、HTRF(Cisbioカタログ番号62AM4PEB)を使用して測定する。4000細胞に相当する一定分量を、EC
80のPGE
2(Sigmaから入手した0.188nM PGE
2、カタログ番号P5640−10mg)及びアンタゴニストを含有するcAMP試験緩衝液50μLと共に室温で20分間インキュベートする。cAMP試験緩衝液は、500mL HBSS(ハンクス平衡塩溶液)、0.1%BSA、20mM HEPES、及び200μM IBMX(Sigma I5879)を含有する。CJ−042794(4−{(1S)−1−[({5−クロロ−2−[(4−フルオロフェニル)オキシ]フェニル}カルボニル)アミノ]エチル}安息香酸)は陽性対照として役立つ(Murase, A.ら、Life Sciences, 82:226−232 (2008)を参照のこと)。cAMP濃度を測定するため、溶解緩衝液中のcAMP−d2複合体及び抗cAMP−クリプテート複合体を、処理した細胞と共に室温で1時間インキュベートする。EnVision(登録商標)プレート読取り器(Perkin−Elmer)を使用してHTRF信号を検出して、665nmでの蛍光と620nmでの蛍光の比を算出する。各実験で作成したcAMP検量線を使用して、生データをcAMP量(pmol/ウェル)に変換する。データは、y=(A+((B−A)/(1+((C/x)^D))))で示されるような4パラメータ非線形ロジスティック方程式(ABase Equation 205)を使用して分析する。式中、y=%特異阻害、A=曲線の最小値;B=曲線の最大値;C=相対IC
50=最大値から最小値までのデータ範囲に基づき、50%阻害を引き起こす濃度;D=勾配、Slope=曲線の傾き。結果は相乗平均±標準偏差として表し;n=独立測定数である。標準偏差はデルタ法により算出し、SD
logIC50×相乗平均×ln(10)である。
【0178】
本質的に上記のとおりの手順に従って行うと、実施例1の化合物は、2.31±2.02nM(n=2)のIC
50を有する。これは、実施例1の化合物が生体外でヒトEP4のアンタゴニストであることを実証している。
【0179】
生体外ラットEP4機能的アンタゴニスト活性
ラットEP4 cDNA(Genebank受入番号NM_03276)をpcDNA3.1ベクターにクローニングし、続いて受容体発現のためHEK293細胞にトランスフェクトする。ラットEP4安定クローンをスケールアップし、次いで今後の化合物スクリーニング用に細胞バンクとして凍結させる。rEP4細胞においてEP4アンタゴニスト化合物を試験するため、凍結細胞を解凍し、次いで細胞をcAMP試験緩衝液中で再懸濁させる。cAMP緩衝液は、20mM HEPES(Hyclone、SH30237)、0.1%BSA(Gibco、15260)及び125μM IBMX(Sigma、I5879)を追加した、フェノールレッド不含HBSS(Hyclone、SH30268)によって作製する。細胞を、96ウェルハーフエリア平底ポリスチレン黒色プレート(Costar3694)に播種する。化合物をDMSOで連続希釈して、10点濃度反応曲線を得る。次に、希釈した化合物をcAMP試験緩衝液に加える。cAMP試験緩衝液は、1/100のDMSO/緩衝液比でPGE
2(Cayman14010、EC
80を得る所定濃度)を含有する。細胞を、PGE
2(EC
80濃度)存在下、室温で30分間、化合物で処理する。細胞から産生したcAMP濃度を、cAMP HTRF試験キット(Cisbio 62AM4PEC)によって定量する。プレートは、HTRF最適化プロトコル(PerkinElmer)を使用してEnVisionプレート読取り器で読み取る。Graphpad Prism (v. 4)非線形回帰、S字用量反応曲線フィッティングを使用してIC
50を算出する。
【0180】
本質的に上記の手順に従って行うと、ラットEP4で測定される実施例1の化合物が有するIC
50は、1.51nMである。これは、実施例1の化合物が、生体外でラットEP4のアンタゴニストであることを実証している。
【0181】
ヒト全血における生体外アンタゴニスト活性
マクロファージ/単球からのLPS誘発TNFα産生に対するPGE
2の阻害効果は、EP
4受容体によって媒介されると考えられる(Murase, A.ら、Life Sciences, 82:226−232 (2008)を参照のこと)。ヒト全血におけるLPS誘発TNFα産生に対するPGE
2の阻害効果を逆転する、実施例1の化合物の能力は、機能的活性の兆候である。
【0182】
正常なボランティアドナーから血液を採取し、ヘパリンナトリウムバキュテナーチューブに入れる。ドナーは、提供の48時間以内にNSAIDsもしくはセレコキシブを摂取していないか、または提供の2週間以内にグルココルチコイドを摂取していない。全てのチューブ/ドナーを50mLのFalcon円錐型遠心管にプールし、98μL/ウェルを96ウェル組織培養プレート(Falcon3072)に分配する。化合物をDMSO内で、最終100倍で希釈し、1μL/ウェルを3回繰り返して血液に加えて、7点濃度反応曲線を得る。血液を、5%CO
2湿潤雰囲気中37℃で30分間、化合物で前処理し、その後、0.2mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)/PBS+/−1mM PGE
2(Cayman14010)中の1mg/mLリポ多糖(LPS)(Sigma0111:B4)の溶液1μL/ウェルを加え、最終LPS濃度10μg/mL+/−10nM PGE
2を得る。プレートを、5%CO
2湿潤雰囲気中、37℃で20〜24時間インキュベートする。プレートを、1800×gで、22℃で10分間、Eppendorf5810R遠心機で遠心分離する。血漿を細胞層から除去し、v底ポリプロピレンプレートに移す。2μL血漿中のTNFα濃度を、Immulon 4 HBXプレート(Thermo3855)及び3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジアミン基質(KPL50−76−03)を使用して、市販の酵素免疫測定法(R&D Systems DY210)によって定量する。プレートは、SOFTmaxPRO (v. 4.3.1)ソフトウェアを使用して、プレート読取り器(Molecular Devices Versamax)で、A
450〜A
650において読み取る。Graphpad Prism (v. 4)非線形回帰、用量反応S字曲線フィッティングを使用してIC
50を算出する。結果は相乗平均±標準偏差として表し;n=独立測定数である。標準偏差はデルタ法により算出し、SD
logIC50×相乗平均×ln(10)である。
【0183】
本質的に上記の手順に従って行うと、実施例1の化合物は、0.0595±0.0378μM(n=3)のIC
50を有する。これは、実施例1の化合物が、ヒト血液TNFα誘発試験においてEP4アンタゴニストであることを実証している。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 以下の式の化合物またはその薬学的に許容できる塩:
【化50】
(式中、
Aは、
【化51】
であり;
Wは、CHまたはNであり;
Yは、CHまたはNであり;
Xは、CHまたはNであり;
R1は、CH3、CF3またはFであり;
R2は、H、F、Cl、CH3、CF3、CH2OH、CH2CH2OH、CH2OCH3、OCH3、OCF3、またはCNであり;
R3は、HまたはFであるか;あるいは
R2およびR3は一緒になって、隣接する炭素原子に結合しているOCH2O基であり;
R4は、H、ClまたはCH2OHである)。
[2] 式:
【化52】
の[1]記載の化合物または塩。
[3] 式:
【化53】
の[1]または[2]のいずれかに記載の化合物または塩。
[4] Aが
【化54】
である、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物または塩。
[5] R1がCH3である、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物または塩。
[6] R3がHである、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物または塩。
[7] R2がCH2OH、CH2CH2OHまたはOCH3である、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物または塩。
[8] R2がCH2OHである、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物または塩。
[9] R2およびR3が一緒になって、隣接する炭素原子に結合しているOCH2O基である、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物または塩。
[10] R4がClである、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物または塩。
[11] 3−[[6−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸;
3−[[6−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−3−メチル−ピリジン−2−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸;および
3−[[3−(3−クロロフェニル)ナフタレン−1−カルボニル]アミノ]−2,4−ジメチル−安息香酸である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[12] 患者における変形性関節炎を治療する方法であって、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む方法。
[13] 患者におけるリウマチ性関節炎を治療する方法であって、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む方法。
[14] 患者における変形性関節炎またはリウマチ性関節炎に伴う疼痛を治療する方法であって、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む方法。
[15] 療法に使用するための、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
[16] 変形性関節炎の治療に使用するための、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
[17] リウマチ性関節炎の治療に使用するための、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
[18] 変形性関節炎またはリウマチ性関節炎に伴う疼痛の治療に使用するための、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
[19] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、1種以上の薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物。