特許第6200597号(P6200597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200597自動拒絶機能を有する自動車のハーネスコネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200597
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】自動拒絶機能を有する自動車のハーネスコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20170911BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20170911BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20170911BHJP
   H01B 11/18 20060101ALI20170911BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R13/64
   H01B7/00 306
   H01B11/18 Z
   H02G15/08
【請求項の数】37
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2016-539126(P2016-539126)
(86)(22)【出願日】2014年10月9日
(65)【公表番号】特表2017-503313(P2017-503313A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】US2014059810
(87)【国際公開番号】WO2015088636
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2016年8月4日
(31)【優先権主張番号】14/490,479
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/914,829
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/034,703
(32)【優先日】2014年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/335,261
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516172075
【氏名又は名称】ジェイエイイイ オレゴン インク
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,アダム
(72)【発明者】
【氏名】奥田 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】ルトゥルノー,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ダモダラン,カストゥリ,サンカー
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−245892(JP,A)
【文献】 特開2010−267411(JP,A)
【文献】 特開2010−218925(JP,A)
【文献】 特開2014−110182(JP,A)
【文献】 特開2006−156380(JP,A)
【文献】 特開2003−323938(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0146942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプタクルと接続するコネクタ組立体であって、
複数のフィンを有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置すると共に嵌合軸及び嵌合方向を規定する少なくとも一つの導電端子と、
前記ハウジング内に設けられた複数の片持ち状のロッキング梁部と、
前記ハウジングにスライド可能に結合されたスライダであって、前記嵌合方向に延びる複数のブロッキング梁部を有するスライダと、
前記スライダを前記嵌合方向において前記ハウジングから外側に向かって離れるように付勢する圧縮部材と
を備えており、
前記フィンは、前記圧縮部材のバイアスに抗った前記ハウジングと前記スライダとの間の相対移動の初期段階において、前記ブロッキング梁部と接触するものの、前記ロッキング梁部の内側への反りを許容するように、位置しており、
前記ブロッキング梁部は、前記ハウジングと前記スライダとの間の前記相対移動の最終接続段階において前記ロッキング梁部の内側に向かう反りを防止するように構成されており、前記コネクタ組立体は、前記最終接続段階おいてのみ、電気的な相互接続状態を有している
コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記少なくとも一つの端子は、ピン受容端子である
コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記片持ち状のロッキング梁部は、ラッチとして、前記嵌合方向に延びている
コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記ロッキング梁部は、前記コネクタ組立体が前記レセプタクルと嵌合した際に、前記レセプタクルの仕切面を越えて延びるサイズを有していると共に複数の係合部と係合する形状を有している
コネクタ組立体。
【請求項5】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記ブロッキング梁部の夫々の端部は、前記嵌合方向と直交する端面を有する棒状部であり、前記棒状部は、対応する前記ロッキング梁部の径方向内側に位置しており、前記嵌合軸から前記ブロッキング梁部の夫々の前記棒状部までの距離は、前記嵌合軸から当該ブロッキング梁部と相互作用する前記対応するロッキング梁部までの距離よりも短い
コネクタ組立体。
【請求項6】
請求項5のコネクタ組立体であって、前記ハウジングの前記フィンの夫々は、前記ハウジングと前記スライダの相対移動の前記初期段階において、対応する前記棒状部と接触する
コネクタ組立体。
【請求項7】
請求項5のコネクタ組立体であって、前記ロッキング梁部の少なくとも一つは、離間配置された一対の片持ち梁部を備えており、前記片持ち梁部の先端は単一のラッチ構造により連結されている
コネクタ組立体。
【請求項8】
請求項7のコネクタ組立体であって、前記ブロッキング梁部の少なくとも一つは、前記少なくとも一つのロッキング梁部の前記一対の片持ち梁部の間で機能するように設けられている
コネクタ組立体。
【請求項9】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記ハウジングは、前記少なくとも一つの端子を収容する少なくとも一つの突起物を有しており、前記フィンのうちの対応する一つは前記少なくとも一つの突起物の外周面上に配置されている
コネクタ組立体。
【請求項10】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記ハウジングは、前記嵌合軸から径方向に延びている
コネクタ組立体。
【請求項11】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記ハウジングは、前記嵌合方向とは反対方向に向かって前記嵌合軸に沿って軸方向に延びている
コネクタ組立体。
【請求項12】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記圧縮部材は螺旋バネを備えている
コネクタ組立体。
【請求項13】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記圧縮部材は、前記嵌合軸に沿った方向に前記スライダを移動させることにより、前記ロッキング梁部が内側に反ろうとしても前記ブロッキング梁部と干渉していた状態から前記ブロッキング梁部を干渉させないように手動で操作することを許容するような圧縮係数を有している
コネクタ組立体。
【請求項14】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記最終段階にあるときに生じる反力よりも少なくとも5%大きい反力が前記初期段階において生じるように、前記圧縮部材は、構成されている
コネクタ組立体。
【請求項15】
請求項1のコネクタ組立体であって、相対移動の前記初期段階にあるときに、前記圧縮部材が十分に圧縮され、前記ハウジングを前記レセプタクルから離すように付勢する外向きの力を生じさせると共に前記レセプタクルと電気的に嵌合されていた状態の位置から離れた退避位置に前記ハウジングを維持するように、前記圧縮部材は構成されている
コネクタ組立体。
【請求項16】
請求項15のコネクタ組立体であって、前記ハウジングが前記退避位置にあるとき、前記ハウジングが前記レセプタクルと電気的に接続されている位置から明らかに離れていると見えるように、前記ハウジングは、構成されている
コネクタ組立体。
【請求項17】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記ハウジングは、ラッチ用スタブを有する本体と、前記スタブ上に対して弾性を利用して嵌め合わせられる相手側となる内腔を有するカバーとを備えており、
前記スライダ、前記圧縮部材及び前記少なくとも一つの端子は、前記本体と前記カバーにより規定された容器に収容されている
コネクタ組立体。
【請求項18】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記ハウジングは、ラッチ用スタブを有する本体と、前記スタブ上に対して弾性を利用して嵌め合わせられる相手側となるラッチを有するカバーとを備えており、
前記スライダ、前記圧縮部材及び前記少なくとも一つの端子は、前記本体と前記カバーにより規定された容器に収容されている
コネクタ組立体。
【請求項19】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記ハウジングは、ラッチ用スタブと、第1カバーと、第2カバーとを備えており、
前記第1カバーは、前記スタブ上に対して弾性を利用して嵌め合わせられる相手側となるラッチと、ガイドストレークとを有しており、
前記第2カバーは、前記第1カバーの前記ガイドストレークの相手側となるガイド溝と、前記第2カバーの前記溝が前記第1カバーの前記ストレークにスライドしつつ結合される際に前記第1カバー内部に弾性を利用して受け入れられるラッチ用スタブとを有しており、
前記スライダ、前記圧縮部材及び前記少なくとも一つの端子は、前記第1カバーと前記第2カバーにより規定された容器内に収容されている
コネクタ組立体。
【請求項20】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記ハウジングは、ラッチ用スタブと、第1カバーと、第2カバーとを備えており、
前記第1カバーは、前記スタブ上に対して弾性を利用して嵌め合わせられる相手側となるラッチと、ガイド溝とを有しており、
前記第2カバーは、前記第1カバーの前記ガイド溝の相手側となるガイドストレークと、前記第2カバーの前記ストレークが前記第1カバーの前記溝にスライドしつつ結合される際に前記第1カバー内部に弾性を利用して受け入れられるラッチ用スタブとを有しており、
前記スライダ、前記圧縮部材及び前記少なくとも一つの端子は、前記第1カバーと前記第2カバーにより規定された容器内に収容されている
コネクタ組立体。
【請求項21】
請求項1のコネクタ組立体であって、前記少なくとも一つの導電端子は、単一の導電端子からなる
コネクタ組立体。
【請求項22】
請求項21のコネクタ組立体であって、前記単一の導電端子は、同軸ケーブルの中心導体に接続するものであり、少なくとも部分的に前記ハウジング内に位置すると共に前記同軸ケーブルのシールドに対して電気的に接続される対応コンタクト(compliant contact)を更に備えている
コネクタ組立体。
【請求項23】
レセプタクルと接続するコネクタ組立体であって、
フィンを有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置すると共に嵌合軸及び嵌合方向を規定する導電端子であって、前記コネクタ組立体により終端されるケーブル又はワイヤの導体と電気的に接続する導電端子と、
前記ハウジング内に設けられた片持ち状のロッキング梁部と、
前記ハウジングにスライド可能に結合されたスライダであって、前記嵌合方向に延びるブロッキング梁部を有するスライダと、
前記スライダを前記嵌合方向において前記ハウジングから外側に向かって離れるように付勢する圧縮部材と
を備えており、
前記フィンは、前記圧縮部材のバイアスに抗った前記ハウジングと前記スライダとの間の相対移動の初期段階において、前記ブロッキング梁部と接触するものの、前記ロッキング梁部の内側への反りを許容するように、位置しており、
前記ブロッキング梁部は、前記ハウジングと前記スライダとの間の前記相対移動の最終接続段階において前記ロッキング梁部の内側に向かう反りを防止し、前記コネクタ組立体は、前記最終接続段階おいてのみ、電気的な相互接続状態を有している
コネクタ組立体。
【請求項24】
コネクタ組立体をレセプタクルに対して確実に結合する方法であって、
前記コネクタ組立体は、複数のフィンを有するハウジングと、前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置すると共に嵌合軸及び嵌合方向を規定する少なくとも一つの導電端子と、前記ハウジング内に設けられた複数の片持ち状のロッキング梁部と、前記ハウジングにスライド可能に結合されたスライダであって前記嵌合方向に延びる複数のブロッキング梁部を有するスライダと、前記スライダを前記嵌合方向において前記ハウジングから外側に向かって離れるように付勢する圧縮部材とを備えており、
前記レセプタクルは、仕切面と、ラッチ受容係合部を有するキャビティと、前記コネクタ組立体の前記少なくとも一つの導電端子と接続するための少なくとも一つの導電端子とを備えており、
前記方法は、
前記圧縮部材のバイアスに抗って前記ハウジングを前記レセプタクル内に移動させることにより完全且つ適切な接続を確保しつつ前記コネクタ組立体を前記レセプタクルに係合するステップであって、前記ブロッキング梁部を前記レセプタクルの前記仕切面に突き当てさせた後、前記フィンを前記ブロッキング梁部に突き当てさせると共に前記ロッキング梁部を前記ブロッキング梁部の外側を通過させて前記レセプタクルと接触させ、その後、前記ロッキング梁部を前記レセプタクルの前記係合部内に入り込ませると共に前記フィンにより前記ブロッキング梁部を外側に付勢して、前記ブロッキング梁部が前記ロッキング梁部の内側に位置することを可能として前記ロッキング梁部が前記レセプタクルの前記係合部から抜け出てしまうことを防止する、ステップと、
前記ハウジングの移動中であって前記ロッキング梁部が前記レセプタクルの前記係合部内に位置するまでの間、前記圧縮部材が前記レセプタクルから前記コネクタ組立体を分離するように前記圧縮部材を前記スライダと前記ハウジングとの間に位置させるステップと
を備える方法。
【請求項25】
請求項24の方法であって、
棒状部を夫々有するように前記ブロッキング梁部を構成して、複数の棒状部を設けるステップと、
前記棒状部の対応する一つに接触して当該棒状部に作用するように、前記ハウジングの前記フィンの夫々を構成するステップであって、前記ハウジングの前記レセプタクル内への移動により、当初は、前記フィンが前記棒状部に接触し、当該接触後の前記ハウジングの前記レセプタクル内への更なる移動により、前記フィンが前記棒状部を変位させ前記棒状部の前記レセプタクルの前記仕切面に対する接触を解除する、ステップと
を更に備える方法。
【請求項26】
請求項24の方法であって、前記レセプタクルの前記係合部から前記ロッキング梁部が離脱することを防止する位置にある前記ブロッキング梁部を当該位置から手動でずらすことを可能とし、それにより、前記レセプタクルの前記係合部から前記ロッキング梁部が離脱することを可能とすると共に前記レセプタクルから前記コネクタ組立体を抜去することを可能とするように、前記スライダを構成するステップを更に備える方法。
【請求項27】
請求項24の方法であって、前記コネクタ組立体の前記少なくとも一つの導電端子を収容する少なくとも一つの突起物に前記フィンを形成するステップを更に備える方法。
【請求項28】
請求項24の方法であって、
前記コネクタ組立体を前記レセプタクルに係合するステップは、前記レセプタクルに対する前記コネクタ組立体の相対的な動きの単一の行為を行うステップであって、前記相対的な動きの単一の行為の間中、前記ハウジングとスライダの動きのすべての方向が前記嵌合方向と実質的に平行であるステップを備える方法
【請求項29】
コネクタ組立体をレセプタクルに対して確実に結合する方法であって、
前記コネクタ組立体は、複数のフィンを有するハウジングと、前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置すると共に嵌合軸及び嵌合方向を規定する少なくとも一つの導電端子と、前記ハウジング内に設けられた複数の片持ち状のロッキング梁部と、前記ハウジングにスライド可能に結合されたスライダであって前記嵌合方向に延びる複数のブロッキング梁部を有するスライダとを備えており、
前記レセプタクルは、仕切面と、ラッチ受容係合部を有するキャビティと、前記コネクタ組立体の前記少なくとも一つの導電端子と接続するための少なくとも一つの導電端子とを備えており、
前記方法は、
前記ハウジングの前記レセプタクルに対する相対的な動きの単一の行為で前記レセプタクルに対して前記ハウジングを移動させると共に、前記相対的な動きの単一の行為の間中、前記ハウジングとスライダの動きのすべての方向が前記嵌合方向と実質的に平行とするステップであって、前記ブロッキング梁部を前記レセプタクルの前記仕切面に突き当てさせた後、前記フィンを前記ブロッキング梁部に突き当てさせると共に前記ロッキング梁部を前記ブロッキング梁部の外側を通過させて前記レセプタクルと接触させ、その後、前記ロッキング梁部を前記レセプタクルの前記係合部内に入り込ませると共に前記フィンにより前記ブロッキング梁部を外側に付勢して、前記ブロッキング梁部が前記ロッキング梁部の内側に位置することを可能として前記ロッキング梁部が前記レセプタクルの前記係合部から抜け出てしまうことを防止する、ステップと、
前記相対的な動きの単一の行為の間であって、前記ロッキング梁部が前記レセプタクル前記係合部内に位置するまでの間、前記コネクタ組立体が前記レセプタクルに嵌合してしまうことを防止するステップと
を備える方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、
前記相対的な動きの単一の行為の間であって、前記ロッキング梁部が前記レセプタクル前記係合部内に位置するまでの間、前記コネクタ組立体が前記レセプタクルに嵌合してしまうことを防止するステップは、
前記ハウジングが前記レセプタクル内に移動させられるときに前記ハウジングが逆らうことになるようなバイアスをかける圧縮部材を、前記スライダと前記ハウジングとの間に位置させるステップと、
前記ロッキング梁部が前記レセプタクルの前記係合部内に位置するまで、前記嵌合方向において前記ハウジングから外側に向かって離れるように前記スライダを付勢して、前記レセプタクルから前記ハウジングを分離させるように、前記圧縮部材を構成するステップと
を備える方法。
【請求項31】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記ブロッキング梁部は、前記ロッキング梁部の径方向内側にある
コネクタ組立体。
【請求項32】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記ブロッキング梁部の前記フィンと接触する部分は、前記ロッキング梁部の内側にある
コネクタ組立体。
【請求項33】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記ロッキング梁部は、完全に前記ブロッキング梁部の外側にある
コネクタ組立体。
【請求項34】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記フィンは、前記ブロッキング梁部の内側にあり、
前記ブロッキング梁部は前記ロッキング梁部の内側にあり、
前記ブロッキング梁部は、前記フィンと前記ロッキング梁部との間にある
コネクタ組立体。
【請求項35】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記フィンは、前記ロッキング梁部から離れており、
前記フィンと前記ロッキング梁部との間には、その中へ前記ブロッキング梁部が移動できる空間が設けられている
コネクタ組立体。
【請求項36】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記フィンは、完全に前記ブロッキング梁部の一方の側に位置しており、
前記ロッキング梁部は、完全に前記ブロッキング梁部の反対側に位置している
コネクタ組立体。
【請求項37】
請求項1のコネクタ組立体であって、
前記フィンは、移動の前記初期段階の後、前記ブロッキング梁部に接触し、前記ブロッキング梁部を前記ロッキング梁部の方へ付勢するように構成されている
コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ケーブルの電子コネクタの内部構造及び機構に関する。特に、本発明は、車両に不可欠な安全装置を電子的に作動させるために使用されるケーブルの電子制御手段の内部構造及び機構に関する。
【0002】
また、本発明は、特定のケーブルの電気コネクタ、即ち、ケーブルの導体部を装置上のレセプタクルや他のケーブル組立体上のレセプタクルの導体部と相互接続するための確実なロック手段を配置するヘッドシェルを有するコネクタに関する。ここで、ロック手段は、実質的に永久的であるか、ケーブルのヘッドシェルをレセプタクルから抜去するために、少なくともケーブルのヘッドシェルの機構の中の少なくとも一つの機械的要素を意図的に作動させることを必要とする。
【0003】
また、本発明は、端子を有するヘッドシェル内で終端するケーブルハーネスにおいて電気ワイヤ又はケーブルを、電気的導電体からなる相手側コンタクト又はピンを有する専用のレセプタクルに対して嵌合するように主として(但し排他的ではく)設計された自動拒絶(自動不完全嵌合拒絶)機能を有する自動車のハーネスコネクタに関する。
【背景技術】
【0004】
車両内における電気信号と電力は、一般的に、ワイヤハーネス内にまとめられた電気ケーブルにより伝達される。ハーネス内のワイヤは、車両内の至る所において、電気的及び電子的な装置及びモジュールに実装されたケーブル内に集められる。電気的な相互接続は、装置及びモジュールのレセプタクルにおいて相手側コンタクト及び端子と相互嵌合する複数の電気的コンタクト又は端子を備えるケーブル端部のヘッドシェルによって提供されている。
【0005】
より具体的には、不可欠な安全装置に取り付けられたケーブルハーネス組立体を通して伝達される信号及び電力の接続用として設けられたコネクタがある。レセプタクルがケーブルハーネスのコネクタ組立体の嵌合動作に関連する車両の構造的要素にしばしば固定されることから、コネクタヘッドシェルは、レセプタクルに差し込まれ、しばしばプラグインコネクタと呼ばれる。
【0006】
不可欠な安全装置のユニットに差し込むよう設計された電気コネクタは、車両の想定される耐用年数の間、機械的ショック、振動、温度変化といった負荷のかかる物理的な環境を通じて、良好な電気的相互接続特性の効能や耐久性において非常に高いレベルの信頼性を要求される。これらのシステムに加えて、車両の初期の組み立ての際や不可欠な安全装置の抜去や再嵌合を行うようなあらゆる修理又はメンテナンスサービスの際に嵌合デバイスに対するケーブルの適切且つ信頼性のある取り付けを確証することは重要である。
【0007】
不可欠なユニットに対するハーネスの適切且つ完全な接続を確証するための一般的な方法としては、ケーブル端部のヘッドシェルが不可欠なユニットに対して適切に嵌合されていることについての視覚的な点検又は確認や電気的導通のチェックがある。これらのアプリケーションに対する典型的な相互接続の設計には、望ましくない抜去を防止する物理的なロックや接続の構造やクリック感を伴う戻り止めが含まれている。他の設計的構造としては、とても簡単で誰でも扱えるものであり、物理的なロック構造が完全には嵌合しておらず十分に機能していないときに部分的又は不完全な嵌合が電気的な相互接続テストをパスしてしまうといった組み立てエラーをもたらさないことである。
【0008】
実際には不完全である取り付けを見落としてしまうようなぞんざいな視覚的な点検に加えて、導通しているものと判断してしまうことにより引き起こされる危険は、将来的な振動、ショック及びサービス中における大気による酸化によりケーブルの接続が解除され、不可欠な安全装置が電気的に伝達された信号を受信できないほどに電気的な相互接続特性を実質的に劣化させてしまうことである。そのような一例は、助手席側エアバッグを配置するために用いられる爆発用スクイブ(点火雷管)が差し迫った必要のあるタイミングで作動エラーを起こしてしまうことである。
【0009】
本発明に潜在的に関連するものとして、米国特許第7,238,039号(ホルウェッグによる「ばね力で作動する二次的なロック機構を備えるプラグインコネクタ」は、とりわけエアバッグ維持システム用のプラグインコネクタについて記述している。当該プラグインコネクタは、相手側コネクタ内においてロッキングアームによりロックされ得る第1ハウジングと、ばね力により負荷を与えられ得るセカンダリロック機構とを備えている。セカンダリロック機構は、相手側コネクタ内において係止されてロッキングアームをブロックする舌状部と、ロッキングアームが係止するまで導入工程において相手側コネクタのエッジによりブロックされる戻り止めアームとを有している。この段階において、戻り止めアームは、相手側コネクタのエッジをスライドして離れるように構成されている。ここにおいて、前もって組み立てられていたばね力の結果として、セカンダリロック機構は最終位置まで移動させられるように構成されている。当該コネクタの嵌合は、単一動作で達成されてもよい。さらに、当該コネクタは、レセプタクルに対する単一動作接続に対して自動拒絶(自動不完全嵌合拒絶)的側面をも提供する本発明によるコネクタにおける手法と比較して能率的でない手法ではあるものの、不完全な嵌合を自動的に拒絶する機能を提供している。
【0010】
潜在的に関連ある従来技術の他のコネクタの接続確証システムは、一般的に、電磁動作若しくは連結解除、回転又は旋回要素、キー、トグル、又は揺動作動などの要素を含んでいる。具体的には、いくつかのラッチ及びロックコネクタは、ラッチング又はロッキング用の梁部又はアームを有している一方、係止状態にある梁を捕えることによりコネクタのロック状態を補強することのできるいくつかの付加的な可動要素を有している。これらの二次的な又は冗長な安全構造及びそのような安全且つ冗長なロック状態を達成する方法は、しばしば、この分野においては、「コネクタ位置保証(略称、CPA)」と言われる。本明細書において用いられる「CPA」は、MPEP201.06(d)に記載された「審査継続出願」を意味する略称と混同されるべきではない。
【0011】
CPAに加えて、用語「端子位置保証」又は「TPA」も一般的であり、これは、コネクタの前方への嵌合動作中に導電端子がハウジングの後端から押し出されないように抵抗することを保証する技術について記述する。
【0012】
かかるコネクタの例としては以下のものがある。
【0013】
カナダ特許第2124127(A1)号(ホップフ他による「電気コネクタ」)は、ヘッドシェルの嵌合動作中にレセプタクル内において規格化された環状の切り欠きに係止するロッキング梁部を有するコネクタについて記述している。二次的な動作は、ヘッドシェルによって規定された方向にロック要素を手動でスライドさせる必要がある。このセカンド動作は、レセプタクルに対するコネクタのアプローチにより規定される嵌合軸と直交している。
【0014】
カナダ特許出願第2265177号(ボウッサイリィ他による「自動挿入及び排出機能を有するコネクタ」)は、ばねにより補助された又は自動化された嵌合動作を提供するデバイスについて記述している。デバイスの嵌合の最中における自動不完全嵌合拒絶動作については記述されていない。
【0015】
カナダ特許第2277682(C)号(ミラー他による「コネクタモジュール」)は、第1コネクタハウジング、第2コネクタハウジング、及びコネクタポジティブ確証部材を備えるコネクタモジュールについて記述している。第1ハウジングの第2ハウジングに対する挿入により、組み立てられた第1及び第2ハウジング内に位置するラッチ機構がハウジング同士をラッチし、それによって、ハウジング同士が容易に外れないようになる。このようにして第1及び第2ハウジングががっちりと嵌められると、コネクタポジティブ確証部材は、第1位置から第2位置に移動可能となり、完全な嵌合がなされているといったことを保証し、ハウジング同士をロックする。第1及び第2ハウジングががっちりと嵌っていない場合、コネクタポジティブ確証部材は、かかる第1位置から第2位置に移動することができない。
【0016】
ヨーロッパ特許第0828268A2号(シャアによる「プラグインスナップ動作機構」)は、不十分な動作力が与えられた後に解除されると、電気的に接続解除を行う機構について記述している。
【0017】
ヨーロッパ特許第1207591B1号(ガンレベンによる「二次的なロック装置を有するプラグコネクタ」は、逆向きの軸方向からロッキングアームの根元において「アームピット」に挿入するばねアームを備えるコネクタについて記述している。
【0018】
日本特許出願第2000−159569号(森による「電子機器」)は、意図的に十分な力を加えた場合を除いて、動作を阻害するために物理的抵抗を提供するばねを有する押釦スイッチについて記述している。
【0019】
平成8年特許願317870号(アウルマンによる「電気スイッチ」)は、主たる手段による相互接続が達成される前に、二次的な本質的でない素子をユーザに操作させることにより、スイッチの明確な作動を保証する。
【0020】
特願平8−28549号(小薗による「開閉機器と操作装置との連結装置」は、ドライブシャフトを内部に備えると共にスリットをレセプタクル側上に備え、主たる連結力が押圧動作よりも回転機械効率により達成されるような係止手段とヘッドシェルについて記述している。
【0021】
特開平6−196039号(パジによる「回路遮断器と関連づけられる分離装置」)は、ピン(雄要素)をヘッドシェルに設けると共にピン受容端子をプラグ側に設けている。
【0022】
特願2009−265042号(川口他による「操作スイッチ」)は、板バネコンタクトを有する電気スイッチについて記述している。相互接続状態の有効且つ信頼性のあるロックをユーザに対して確証する構造はない。
【0023】
特願2005−156211号(テツヤ他による「押釦スイッチ」)は、主解除状態及び従解除状態を提供する。強いバネの力により維持された最終的な好ましい状態が維持されている。
【0024】
特願2001−198540号(関による「プッシュロックスイッチ」)は、別体のレセプタクル内の環状の凹部ではなく組立体ベースの外側を把持する押釦ハウジングのヘッドシェルについて記述している。押棒と呼ばれる内部可動要素は、組立体ベースにおいてフランジに対して十分且つ実質的に外れないように係止されなければならない。この装置のロック状態からの解除は、ボタンハウジングの回転によってなされる。ロック状態からの解除は、レセプタクルから離れる方向にボタンハウジングを引くことによってはなされない。
【0025】
特願平11−184285号(高橋他による「ケーブルコネクタのロック、アンロック構造及びロック、アンロック方法」)は、ユーザにより手動であぶみにより駆動される2つのロック解除補助板を有する装置について記述している。
【0026】
米国特許第5,183,410号(イナバ他による「コネクタ組立体」)は、ある程度の自動拒絶機能を有するコネクタラッチ機構と、設計上、レセプタクル側に設けられた片持ち状のラッチ構造とについて記述しており、内部スライド要素の移動メカニズムがリジット部分の回転動作により達成される。
【0027】
米国特許第5,647,757(A)号(クリソストモウによる「端子位置保証付き電気コネクタ」は、カム動作により支持部材と言われる付加的要素を操作するCPA部材を有するヘッドシェルを備えるコネクタについて記述している。二番目の移動は、一番目の嵌合動作とは区別される。それ故、コネクタは、より便利な単一動作機構に対してCPAの自動発動機能又は自動拒絶機能を提供していない。
【0028】
米国特許第5,746,618号(ガウカーによる「自動車のエアバッグ組立体用の点火コネクタ」)は、補助的ロック動作に欠けると共にそのための自動スナップオン手段に欠ける装置と自動拒絶動作を示す。
【0029】
米国特許第5,848,912(A)号(オカベによる「半嵌合防止コネクタ」)は、自動拒絶機能を有するがラッチ機能をスライド要素に組み込んでいないコネクタについて記述している。このように、ラッチは、ハウジングと相手側のレセプタクルとの間における第1の主たる相互作用ではなく、スライダは後でフォローしており、これらの主たるラッチ手段のラッチ解除を不能としている。
【0030】
米国特許第5,947,763号(アラクシンによる「双方向に構成されたCPA」)は、係止解除のために回転動作を必要とするコネクタであって、手動で駆動される補助的なロックを有し回転動作を防止するコネクタについて記述している。コネクタは、補助的なロックの自動的なスナップインを提供しておらず、自動拒絶機能も提供していない。
【0031】
米国特許第6,019,629(A)号(イトウ他による「コネクタ」)は、第1ヘッドシェル上にカンチレバーラッチを有するコネクタであって、第1ヘッドシェルが嵌合時において相手側の第2ヘッドシェルに保持されたバネ駆動のスライダ要素を阻止するスタブを有するコネクタについて記述している。スライダのランプ(傾斜路)は、所定の部分又は完全嵌合位置というよりはむしろ、加えられた嵌合力の閾値がスライダを始動させてロック位置に移動させるような所定の角度を有している。スライダは、ブロッキング構造を有しておらず、むしろ前述のカンチレバー上のスタブを捕捉する窓を有している。この装置は、バネ駆動されたスライダが相手側の第2ヘッドシェルの嵌合面から自身を押し離すことにより、自動拒絶するものと思われる。但し、何かが破損するまで部分を引き離すことは通常は明らかに発明の技術的範囲外の応用に向けられた方法であり、そのような接続解除中の破損は権限無く改ざんしたことを示すために用いられるけれども、接続解除の手段は開示されていない。
【0032】
米国特許第6,024,595(A)号(サバ他による「コネクタ」)は、バネ駆動されておらず、むしろ初期嵌合動作の後の第2の動作により操作されるスライド可能な検知部材を備えるコネクタについて記述している。このデバイスは、不完全嵌合未遂のときに自動的に拒絶する機能を備えていない。
【0033】
米国特許第6,325,663(B1)号(フクバによる「半嵌合防止コネクタ」)は、スライダによる自動拒絶効果を有するデバイスについて記述している。ここで、スライダは、自動的拒絶効果に不可欠な弾性部を有している。螺旋バネのような別部材としての圧縮要素も設けられていないし、サービス中における不要な切断を防止する二次的なリロッキング又はブロッキング機能も設けられていない。
【0034】
米国特許第6,435,895(B1)号(フィンク他による「コネクタ位置保証装置」)は、それ自身のラッチを有する複雑なスライダ要素について記述しており、嵌合するコネクタヘッドシェルの相補的なペアであってコネクタハウジングのすぐ近くにあるがコネクタハウジングとは無関係なものを想定している。これらの一般的なコネクタハウジングのペアの適切な相互嵌合の際に、構成要素は、嵌合方向に沿って二番目の移動として更に動かされ、それによって、ヘッドシェル上のリブがラッチ解除動作をブロックする一方で、ラッチがヘッドシェル同士を停止させつつヘッドシェル同士をロックする。そこには、バネ駆動の自動的な相互ロック又は自動拒絶動作はない。
【0035】
米国特許第6,468,104(B2)号(ヨシヒロによる「コネクタ」)は、バネ駆動された回転可能なダボであって、第2の相手側コネクタ上に位置するウェッジの傾斜面上を乗り越えつつダボを回転させる径方向スタブを有するダボを備える第1コネクタのヘッドシェルについて記述している。この嵌合されたペアは、蓄積されたバネ力がウェッジの後方垂直面の陰においてスタブを回転させたときに、ロックされる。このデバイスは、片持ち状の梁ラッチを有しておらず、また、切断を防止することのできる自動的なロッキング又はブロッキング梁部も有しておらず、更には、不完全嵌合未遂のときに自動的に拒絶するための効果的な機構も有していない。
【0036】
米国特許第6,857,892(B2)号(マクラーレン他による「コネクタ位置保証部材を有する電気コネクタ」は、相互嵌合する2つの相補的なコネクタについて記述しており、コネクタの嵌合動作とは別の第2の接触動作を必要とする手動のCPA部材を含んでいる。そのコネクタ位置保証要素(CPA要素)は、ロックされたラッチのラッチ解除動作と干渉するが、CPAのブロッキング構造は、CPA上の中心に位置する単一部位である。
【0037】
米国特許第7,326,074(B1)号(リム他による「コネクタ位置保証デバイス及びコネクタ位置保証デバイスを取り入れたコネクタ組立体」)は、より大きな一次的なラッチにより相補的なインラインケーブルコネクタハウジングに対してラッチ可能なケーブルヘッドシェルを備えるコネクタについて記述している。ヘッドシェルは、自身の小さな二次的なラッチを有する可動要素を備えている。可動要素がスライドさせられ、二次的なラッチのコネクタハウジングに対する係合がなされると共に、可動要素は一時的なラッチがラッチ解除されることをブロックする。二次的要素は、自動的な段階及び内部スライダのリリース動作よりもむしろユーザによる第2の動きを要求する。更に、コネクタは、不完全嵌合を視覚的に示したり不完全嵌合の際に自動的に拒絶する機構を提供しない。
【0038】
米国特許第8,616,914号(ムァンパーによる「チェック可能なプラグイン接続及びプラグイン接続の接続状態をチェックする方法」)は、ヘッドシェル上において移動可能な「検証要素」であって、嵌合が完全になされ且つロックされたときに視覚的に変位するものを備えるコネクタについて記述している。この要素は、切断を可能とするためのツールとして機能する。この検証要素は、インストーラにより除去して、確認された正しい嵌合状態の権限のない改ざんを防止することができる。検証要素の再挿入によってのみラッチング手段を変位させることができるためである。
【0039】
米国特許出願公開第2002/0115338(A1)号(ナカムラによる「コネクタ及びコネクタの組立法」)は、自動的に拒絶する機能を提供する一方で自動的に嵌合する二次的なロックも一時的なロックの切断を防止することのできる二次的なロック内のブロック手段も備えていないコネクタについて記述している。
【0040】
米国特許出願公開第2009/0035980(A1)号(ナカムラによる「コネクタ及びコネクタ組立体」)は、検査窓を開けられたコネクタハウジングであって、その窓内の視覚的立証可能ゾーン内に移動させることにより完全嵌合の試みを示す明確な色の他の構成要素も有するコネクタハウジングについて記述している。
【0041】
米国特許出願公開第2010/0233897(A1)号(セオ他による「コネクタ位置保証デバイスを有する電気コネクタ組立体」)は、手動で駆動される二次的なロックを有するデバイスについて記述しているが、二次的なロックに自動的にスナップインする機能や自動的に拒絶する機能は提供していない。
【0042】
米国特許出願公開第2011/0021060号(ウラノ他による「コネクタ」)は、手動で駆動される二次的なロックを有するコネクタについて記述している。このコネクタは、二次的なロックに自動的にスナップインする機能や自動的に拒絶する機能は提供していない。
【0043】
米国特許出願公開第2004/0038569(A1)号(ヤマオカ他による「コネクタ及びコネクタ組立体」)は、バネ駆動の自動拒絶機能と同様のものを提供するコネクタであって、コネクタによる嵌合のアプローチがなされているときに蓄積され圧縮された力を開放するための駆動機構をむしろ含んでいるコネクタについて記述している。離脱力は、別の付加的なスライド要素の付加的な手動動作により二次的且つ冗長なロックが確立されている間も蓄積され続けている。
【0044】
米国特許出願公開第2004/0192098号(パヴロヴィック他による「バネ/バック自動拒絶構造を有する電気コネクタ」)は、不完全嵌合を自動的に拒絶する機能を提供するコネクタについて記述している。但し、自動的な拒絶は、レセプタクルの「突当」面を弾性部材に直接接触させることにより、機能させるものである。ヘッドシェルを嵌合方向へ移動させるとき、弾性部材に設けられた戻り止め構造により、離脱力が突然大幅に減らされてしまうまで、又は離脱力が弾性部材自体ではなくレセプタクルの方へ向け直されてしまうまで、離脱力は弾性部材に蓄積される。このコネクタは、先に係止されたラッチの二次的なロッキング機能を提供していない。
【0045】
米国特許出願公開第2006/0086900(A1)号(ナカムラによる「コネクタ」)は、リム他のコネクタと及びホップフ他のコネクタ同様の構成要素を備えるコネクタについて記述している。コネクタ組立体は、最初はヘッドシェルの外形にしっかりと立っている移動可能な検知部材を有するケーブルヘッドシェルを備えている。それは、ヘッドシェルと相手側となる受容レセプタクルとの間で完全な嵌合がなされるまで、検知部材自身がヘッドシェルの外形と面一になるまで押し下げられるようにならないよう検知部材をブロックしたままとすることにより、不完全嵌合未遂を検知する。ホップフ他のコネクタと同様に、ヘッドシェルに対してスライド可能となるように連結された付加的な構成要素は、初期の嵌合動作と直交する第2の動作であって初期の嵌合動作よりは少し不便な第2の動作において検知部材を乗り越えてカバーすることができる。また、ホップフ他のコネクタのように、二次的な構成要素は、内部のスライダの自動的な段階及び解除動作よりむしろ、ユーザによる二次的な動きを要求する。更に、ナカムラのコネクタは、不完全嵌合未遂を視覚的に示したり不完全嵌合未遂を自動的に拒絶したりするための機構を提供しない。
【0046】
米国特許出願公開第2007/0254518(A1)号(ネアルによる「CPAプラグを有する電気コネクタ」)は、2部品からなるコネクタハウジング内に実質的に収容されたスライドするCPA部材を有するコネクタであって、自動的なスナップオンロッキング動作をもたらす圧縮力を蓄積し且つ開放するためのバネや他の圧縮部材を有していないコネクタについて記述している。螺旋バネ、弾性部材その他の駆動機構も開示されていない。
【0047】
米国特許出願公開第2007/0264863(A1)号(ナカムラによる「コネクタ及びコネクタ組立体」)は、スライダ上に設けられたラッチと、ラッチ片持ち梁部上に設けられたフィンとを備えるコネクタであって、バネ駆動のスライダを備えておらず且つ自動拒絶動作も提供しないコネクタについて記述している。
【0048】
米国特許出願公開第2014/0004732(A1)号(ハイル他による「コネクタ組立体用のコネクタ位置保証デバイス」)は、手動で駆動される二次的なロックであって、2つのコネクタハウジングの嵌合動作の後に二次的な動作により操作されるロックを有するコネクタについて記述している。この二次的なロックは、バネ駆動されてもいないし、確認された完全な嵌合が確立した所定ポイントにおいて始動されるものでもない。
【発明の開示】
【0049】
発明に係るコネクタ組立体は、与えられた挿入力を機械的に蓄積する手段を備えており、コネクタとレセプタクルとの間でロッキング手段が積極的且つ完全には配置されないような不完全嵌合未遂が生じた場合に、蓄積された力が利用されて自動的に嵌合を拒絶して、即ち、自主的にヘッドシェルを変位させレセプタクルから分離させることにより、コネクタ同士を完全に嵌合することに失敗した場合には、導通チェック中に不導通であるとして検出可能な電気的な切断に至ることになると共に、自主的な変位が十分に大きいことから、適切に取り付けられなかったことが視覚的に明らかとなる。即ち、コネクタのハウジングは、2つの視覚的に区別され得る位置(即ち、レセプタクルに対してコネクタの如何なる接続もなされていない変位位置と、レセプタクルに対してコネクタが疑いなく電気的に接続されている嵌合位置)に置かれる構成要素を備えている。このコネクタには、中間位置がない(即ち、コネクタは、レセプタクルから離れている切断位置や、レセプタクルに対して電気的に接続された接続位置を有するが、これらは両方とも、コネクタをレセプタクルに対して嵌合しようとした人により容易に理解されることができる)。
【0050】
発明に係るコネクタ組立体は、螺旋バネのような圧縮部材により駆動されるスライダと呼ばれる内部構成要素を用いることによりCPAを成し遂げており、従って、スライダは、所定の十分に嵌合した時点では解放される。このように解放されると、スライダは、自動的に駆動され、ブロッキング梁部を先に嵌合しているラッチング梁部のすぐ背後に挿入し、それによって、ラッチ解除に必要とされる動作スペースはブロックされる。ラッチは、この時点で、ロック状態に駆動されており、ケーブル側のコネクタは相手側となるプラグ側のレセプタクルから抜去することができない。コネクタ組立体は、ある点において、二次的なロッキング要素がラッチ解除されないようにこれらの片持ち構造を補強している観点から、従来技術のコネクタよりも有利であり、特に、相手側の構造にロッキングするような片持ち状の手段を有さない従来技術のラッチングコネクタよりも有利である。
【0051】
また、自動的に開始及び解除する(cock and release)嵌合動作のせいで、発明に係るコネクタは、ユーザの二次的な手動の動作により駆動される二次的なロッキング要素を含む従来技術のデバイス、二次的なロック要素が実質的にコネクタのヘッドシェルの外部にあるようなデバイス、及び、安全クリップや「キーパー」や閉じ込められたハードウェアなどの外部の構成要素を用いたり、構成要素に接触する補助的なその他の動作を用いたりするデバイスとは異なっている。
【0052】
また、コネクタが一定の耐用期間の間に多数回の嵌合及び抜去(嵌合解除)を行えるように設計されていることから、当該コネクタは、何らかの構成要素が強制的に破壊されない限り、許可なされていないラッチ解除による権限のない切断に抵抗する又は当該切断であることを示すように設計されているラッチングコネクタ(即ち、それは、単一使用コネクタとは対照的な多数使用コネクタである)とは異なっている。話はそれるが、人間の患者に挿入されるように設計された装置用の多くの医療コネクタは、過去に使用されたデバイスが再接続されたり他の人体において再び使用されたりすることを防ぐために、切断されたときに何等か壊れるように構成されている。切断を否定するためのより直接的な理由は、中古の自動車部品の売買に現れる。工場で充填されたエアバッグを含むステアリングコラム組立体のような中古自動車とより大きな部品組み立て品が行政監督と交換されてもよい一方、ガス生成装置を詳細に吟味する人は、知ってか知らずか、そのような人の規則及びライセンス付与を含む、爆発物の所持、保管及び輸送を管轄する27CFR55の十分な矛先に出くわしてもよい。自己破壊的であり、開封明示機構を有すると共に使い捨て可能なこれらの特別なコネクタ技術もまた本発明とは異なっている。
【0053】
発明に係るコネクタは、過負荷回路ブレーカーやタイミング遅延装置におけるもののように、電気的な接続の際にバネを閉め、サービスインターバルの際には接続を維持し、その後、蓄えられたバネ力を開放して電気的に切断する装置とも異なっている。本発明に係るコネクタの構造は、一様且つ一斉に動作するよりも段階的な一連の動きに対する反対のバネや多数のバネを有する機構とも異なっているし、オーバーセンター、スライダクランク、旧式の3又は4バー結合、カム及びカムフォロワ、レバーと支点、すべてのねじ結合や、あらゆる戻り止め機構とも異なっている。本発明に係るコネクタの構造は、ハウジングと、等速で又はハウジングの動きとは異なる動きで電気的接触を移動させるコンタクト/端子キャリアとを備える機構とも異なっている。本発明に係るコネクタは、完全な嵌合を電気的に伝達する手段として導体間の短絡を構成する又は破断するコネクタとも異なっている。主たるラッチをラッチ解除しないようにブロッキング部材を配置するスライダ部材を含むが別々の構成要素により駆動されるものではなく一体ものの圧縮部材を含むようなコネクタと同様のものだけれども、本発明に係るコネクタは他の観点において本コネクタの明細書から読み取ることのできるようなコネクタとも異なっている。
【0054】
本発明に係るコネクタは、有利なことに、正しく且つ信頼性のある相互接続がなされたときに触知性のある信号と可聴式のクリック音の両方を提供することにより、現在施行されている自動車業界の仕様書の要求を満たしている。
【0055】
本発明に係るコネクタの実施形態の他の重要な利点は、全体的に自動的な操作によりロック解除がブロックされるようになるロック嵌合状態にヘッドシェル組立体がパチンと受容されるまで相手側の受容レセプタクルに対して位置合わせされたコネクタのヘッドシェル組立体を押圧挿入することにより達成された直線的な単一の嵌合動作中にすべての機械的な働きが生じることである。単一方向におけるこの単一動作は、従って、コネクタをレセプタクルに対して完全に嵌合させるために、異なる方向(中には直交方向もある)における2つの別々の動作を必要とする従来技術のコネクタとは異なっている。
【0056】
コネクタ組立体は、一次的には、SRS(supplemental restraint system)エアバッグシステム用として設計されているものであるが、その用途はかかるシステムには限られず、多数の他の異なる用途が本発明の技術的範囲内に属するものと考えられる。
【0057】
他のコネクタ組立体は、一次的には、SRS(supplemental restraint system)エアバッグシステム用として設計されているものであるが、その用途はかかるシステムには限られず、多数の他の異なる用途が本発明の技術的範囲内に属するものと考えられる。これらの用途は、自動車分野の内部のものであってもよいし、自動車分野の外部のものであってもよい。
【0058】
このコネクタ組立体に関して、ケーブルヘッドシェルは、少なくとも一つの又は二つ以上の特定の配置の電気的端子を有しており、相手側のレセプタクルは少なくとも一つの又は二つ以上の相手側の嵌合位置及び配置のピン又はコンタクトを有しており、また、ヘッドシェルはラッチ構造を有する片持ちラッチを備えている。ヘッドシェルとレセプタクルは、規定された物理的構造(その要素としては、規定されたサイズ及び輪郭形状の外周、キー溝、スタブ、ペグ及び溝がある)の相補的なセットを有している。これらの構造の相補的セットは、取り付けられたヘッドシェルの好ましい位置決めを強化することができ、また、相手側コーディング構造のセットを有するヘッドシェルのみを受け入れるような配置上の標準化されたコーディング構造をレセプタクルが有することを許容する一方で、代わりのコーディング構造を有する他の如何なるヘッドシェルは、拒絶されレセプタクルに挿入することができない。
【0059】
受け入れ可能なヘッドシェルをできる限り完全に挿入すると、ヘッドシェルのラッチがレセプタクルの係合部に受容され、更に、ロック状態にブロックされるようになる。頑丈な相互嵌合状態が得られ、電気的且つ電子的な装置の耐用期間に亘って、耐久性のある電気的伝導が維持される。
【0060】
これらの本発明のコネクタ組立体は、一方の他方への挿入が十分な完全なものとならない限り、ヘッドシェルをレセプタクルから視認可能で且つ電気的に切断するといった新規且つ有益な自動拒絶(自動不完全嵌合拒絶)機能を提供する。完全な且つ電気的な係合が一旦確立されると、機構的な操作はヘッドシェル内部にて始動されて、一次的及び二次的又は冗長的なロック状態が確立され、それによって、ショック、振動、腐食、又は高信頼性の自動車部品に想定された長期間の耐用期間の間であっても偶発的又は意図しない切断を防止する。更に、電気的導通チェックは、ヘッドシェルとレセプタクルがこの高信頼性の冗長なロック状態を成し得たときだけ、成功するだろう。
【0061】
それ故、電気的導通チェックの成功や完全嵌合状態の視覚的な観測のいずれも、適切な活性化信号が自動車の安全システムコントローラからそれに伝達されてきたときに電気的に接続されたデバイスが機能しないといったことがないことと、この機能を果たすための準備状態が少なくとも合理的な且つ想定された自動車の耐用期間の全体に亘って維持されるだろうということを高い信頼性で裏付ける。
【0062】
ある変形は、二端子アプリケーションのレセプタクルであって、完全な物理的且つ電気的な接続が相手側のヘッドシェルとの間で確立するまで2つのコンタクト又はピン間の電気的短絡を維持するための成型金属のショートクリップを最近まで含んでいたレセプタクルのように、技術分野において普及しているレセプタクルの特定のスタイルを利用する。
【0063】
ショートクリップの発展は、静電気効果に起因した不要なエネルギーや無線送信が望ましくなく且つ想定してもいないときに爆発物のチャージを爆発させることになる不要電流を誘発することが知られるようになった爆破(取り壊し)作業地や採掘場、採石場における爆薬の商業的使用からその歴史をたどっている。ショートクリップは、スクイブ、マッチ、電気的に絶縁された爆破雷管のような電気的な開始剤が、チャージを取り扱ったりセットしているときと爆破雷管や電気マッチのような電気的な開始剤を初期に接続したときには、機能せず且つ電気的に絶縁された状態にしていた。
【0064】
車両にエアバッグが搭載され始めたころ、ショートクリップは、スクイブの外での使用における恐ろしい事故の過去の記録を考慮して、慎重さと不安の感覚から自動車組立分野に取り込まれた。取り扱い、組み立て及び品質管理における最近の改良と、特に、現代の工場環境における静電気と疑似的な電磁ノイズ(EMI)の自覚と排除は、自動車業界と増えつつあるOEMとを煽って、信頼性を有するショートクリップを省き、それによって、部品を減らし車両のコストと重量を減らそうとしている。
【0065】
本発明の実施形態と共に用いられるレセプタクルに関して、ショートクリップは、以前は、レセプタクルの露出し且つ外側に面した仕切面の直下においてレセプタクル内部の溝内に配置されていた。この仕切面は、ショートクリップを導くためのアクセス孔又は開口により貫通されている。このようなレセプタクルと相互に嵌合するように構成されたヘッドシェルは、通常、嵌合の際に開口を貫通して且つその開口内に受容されるペグ、スタッド、ピン又は同様な突起物であって、完全嵌合状態において貫通部材がショートクリップに衝突して変位させてしまいショートクリップのコンタクト又はピンとの電気的導通を遮断してしまって、それにより、電気信号又は電力がケーブルハーネスから接続された装置に伝達されることを許容するような、長さと先端配置とを有しているペグ、スタッド、ピン又は同様な突起物を含んでいる。クリップはアクセス孔より物理的に広いので、アクセス孔の奥の末端スペースは、また、アクセス孔よりも大きく、それによって、上述したラッチ受容係合部と同様の手法で、本発明のラッチ受容係合部として機能することができる。
【0066】
要するに、コネクタ組立体は、現代のレセプタクル構成の特別な応用に対する高度の相互接続信頼性を確立する点において効果的である段階的な一連の機械的操作に適用し、それによって、改善された機構を現時点でも需要のある古いシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明は、図面を伴って以下に詳述される本発明の実施形態により、更に十分に理解されるであろう。
図1は、本発明によるコネクタ組立体が嵌合するレセプタクルの一例を示している。
図2は、図1に示されるレセプタクルに対して嵌合する際の本発明によるコネクタ組立体の初期のアプローチの一例を示している。
図3は、第1中間嵌合状態にあるコネクタのハウジングを示している。
図4は、図3において矢印4−4で囲われた領域の拡大図である。
図5は、第2中間嵌合状態にあるレセプタクルとコネクタのロッキング要素とを示している。
図6は、最終嵌合ロック状態にあるレセプタクルとコネクタのロッキング要素とを示している。
図7は、本発明によるコネクタのライトアングルタイプの実施形態であって、端子により規定される嵌合方向の直交方位を表現すると共にハウジングとカバーからなる単一のヘッドシェルを描写する実施形態を示している。
図8は、図7に示されるコネクタの実施形態の分解図であってすべての要素を含んでいる。
図9は、本発明によるストレート型のヘッドシェルのハウジングの組立体の実施形態を示している。
図10は、本発明によるコネクタであって同軸ケーブルと嵌合するように構成されたコネクタの斜視図である。
図11は、図10に示されるコネクタにおいて用いられた電気端子に対する同軸ケーブルの接続を示す斜視図である。
図12は、本発明によるコネクタであって単一の信号搬送線と嵌合するように構成されたコネクタの斜視図である。
図13は、図12に示されるコネクタの分解斜視図である。
図14は、図12に示されるコネクタの分解平面図である。
図15は、図2に示されるコネクタと同様のコネクタであって図1に示されるレセプタクルにアプローチしているコネクタを示している。
図16は、内部構造を露出させるために切り欠き面に沿って部分的に切り欠いた本発明のコネクタ組立体を示している。
図17は、図16に示されるコネクタ組立体の分解図である。
図18Aは、コネクタ組立体をレセプタクル内に挿入する際のブロッキング梁部とラッチの相対位置を示す断面図である。
図18Bは、図18Aにおける18B−18B線に沿った断面図である。
図19Aは、レセプタクルに対してコネクタ組立体を嵌合させた際のブロッキング梁部とラッチの相対位置を示す断面図である。
図19Bは、図19Aにおける19B−19B線に沿った断面図である。
図20A図20B図20C及び図20Dは、本発明の様々な構成によるコネクタ組立体において用いられる駆動構造を示している。
図21は、ラッチ可能な係合面(逃げ溝面)を有するキャビティに通ずる開口を有するレセプタクルを示している。
図22及び図23は、コネクタ組立体のハウジングを示している。ここでは、ラッチをブロックする機能は、駆動機能とは分けられている。
図24は、図16に示されるコネクタ組立体と同様なコネクタ組立体を示している。ここで、単一の駆動構造は2つの可動構造に対して相互作用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
添付の図面(各図においては、同一又は類似の要素に対して同一の参照符号が付されている)を参照すると、図1は、非常に信頼性のある確実な手法により本発明のコネクタ組立体の嵌合相手として構成されたレセプタクルの一例としての典型的且つ一般的な円形のレセプタクルの破断部分断面図を示す。レセプタクルのいくつかの構造は、規格により定まるものであり、本発明の技術的範囲外である。概略、レセプタクルは、実質的に環状のキャビティ1と、キャビティ1の内側にある円柱形状部の外部に面した仕切面2と、内部に一組の電気的導電性端子又は端子ピン5が設けられた複数の端子収容開口部3とを有している。ここで、仕切面2は、レセプタクルに対するコネクタ組立体の嵌合動作の動線の方向とほぼ直交している。
【0069】
円柱形状部内にある開口部3は、キャビティ1の内面を規定する円柱形状の縁から離れて位置する実質的に円柱形状の面によって規定されており、図1に示されるように端子5もまた実質的に円柱形状であり、それによって、各開口部3とその内側に位置する対応する端子5との間に環状の空間が規定されている。端子5は、本発明の属する技術分野の当業者にとって既知の手法により、電子的構成要素に対して電気的に接続され、コネクタ組立体に対して電気的に接続される。
【0070】
実施形態において、端子5の数と、本発明のコネクタ組立体により電気的に相互接続される信号線及びコンタクトの数は、2である。
【0071】
環状のキャビティ1は、ラッチ受容係合溝(ラッチ受容逃げ溝)4を有している。ラッチ受容係合溝4は、実施形態のようにキャビティ1の周囲に沿うようにして延びる内部溝であってもよいし、また、途切れ途切れに構成されて、嵌合動作の動線と交差するように延びる一群の断続的なラッチ受容開口部又はラッチ受容ポケットを有するものであってもよい。いずれの場合も、後述する目的のため、複数の係合部(逃げ溝領域)が形成される。係合溝(逃げ溝)4は、環状のキャビティ1の外側の円柱形状の面を規定する面上に形成される。
【0072】
仕切面2は、レセプタクル本体と一体でもよいが、より一般的には、永久的に組み込まれた特別のインサートであって、本発明のコネクタ組立体に一体化された相手側の物理的構造を受容又は排出するよう構成され且つ物理的な識別及びキー構造を有するインサートである。識別及び極性を強いる構造の具体例は、本発明の技術的範囲外であり、これらのキー構造はここでは例示されていない。更に、応用例としては、近接配置されたレセプタクルのグループであって夫々指定されたヘッドシェルにより正しく接続されなければならないレセプタクルのグループがある。混乱を排除し正しい組立を助けるために、ヘッドシェルとレセプタクルの誤配線を防ぐキー識別は、プラスチック部品をカラーコード化して成形することにより強化される。それによって、種々に色づけられたいくつかのヘッドシェルから選択された一つを有するユーザは、同じカラーコードのインサートを有する適切なレセプタクルのところへ迅速に持っていくことができ、正しい組立を続けることができる。
【0073】
環状のキャビティ1は、実質的に環状形状の概形を有する深い堀であるとみなしてもよい。堀は、多くの場合、連続し且つ閉じた概形を有しているが、断続的な概形を有していてもよい。概形は、レセプタクルに対するコネクタの嵌合方向とほぼ直交している実質的に平坦な仕切面2の周囲を囲んでいる。内部に配置された電気的導電性の端子又は端子ピン5(「コンタクト」又は「ピン」とも呼ばれる)を有する一つ以上の開口部3(ここにおいては「ポケット」とも呼ばれる)は、集められており、アレイを構成している。概形で示される堀は、係合溝4の係合部を更に有している。ここで、係合溝4は、周囲に沿って連続していてもよいし、断続的であり、それによっていくつかの係合部を有するものであってもよい。係合溝4は、後述するようにヘッドシェルのラッチ構造の引っかかりを有する。係合溝4は、交差する穴又はラッチを受容可能であると共に抜去力に対して対抗可能なあらゆる構造により構成されていてもよい。本発明において、例えば図21を参照して以下に説明されるように、先に開示された本発明の運動学の殆どを採用することにより、レセプタクルの表面は、使用可能となっている。
【0074】
図2は、参照符号10を付された本発明によるコネクタ組立体に近接する図1のレセプタクルの破断部分断面と同様のものを示している。コネクタ組立体10は、「ヘッドシェル組立体」とも呼ばれるものであり、(図2に示される配置において)ヘッドシェル組立体の下面から延びると共に中空の内部を有する複数の管状の突起物6を有している。突起物6は、概略、互いに平行であり、それらの平行な軸方向が嵌合方向を規定している。
【0075】
ヘッドシェル組立体10は、レセプタクル(図1参照)のラッチ受容係合溝4に係合する片持ち状の複数のロッキング梁部11も有している。ロッキング梁部11は、ここでは、ラッチ部材とみなされ及び/又は参照される。雌側電気的端子(図2には図示せず)は、突起物6内において参照符号9で示される付近に配置されており、ヘッドシェル組立体10がレセプタクルと嵌合した際にレセプタクルピン5と電気的接触を図る。
【0076】
雌側電気的端子の構造は、本発明の技術的範囲外のことであり、従って、図2においては省略されている。しかしながら、雌側電気的端子の一例は、後述する図3に示される雌コンタクト12である。ヘッドシェル組立体10内に引き込まれると共に、雌側電気的端子に接続された電気的ワイヤも同様に省略されている。なお、雌側電気的端子は、当業者にとって既知な構成であって上記以外のあらゆる構成を有していてもよい。
【0077】
図示された実施形態は、雌側電気的端子12を夫々含む2つの突起物6を有しているが、ヘッドシェル組立体10が単一の突起物6と単一の雌側電気的端子だけを有するように構成することも可能であるし(図12〜14を参照して後述する)、また2以上の突起物とそれに対応する数の雌側電気的端子を有するように構成することも可能である。
【0078】
また、ヘッドシェル組立体10は、スライダ7を有している。このスライダ7は、実施形態において、二放射相称となるように配置され且つヘッドシェル組立体10の主部の周囲に沿うように取り付けられている2つの耳部7Aを有している。スライダ7は、軽く圧縮されプリロードされた圧縮部材8により、ヘッドシェル組立体10内でスライド可能に連結されている。実施形態において、圧縮部材8は、螺旋バネである。但し、スライダ7に力を加えてヘッドシェル組立体10の本体から離させるような他の似たような構造もまた本発明の技術的範囲内に含まれる。以下においては、圧縮部材8はバネと参照されることもある。
【0079】
静止している状態において、圧縮部材8は、スライダ7とヘッドシェル組立体10の上側支持壁との間に配置されており、スライダ7を嵌合方向において十分に拡張された位置(拡張位置)まで押しやっている。ばね8の一端は、典型的には、(図2及び図3に示されるように)ばね8を保持する突起を規定するスライダ7のばね支持部7C上に載っていてもよい。ばね支持部7Cは、(図8に最も良く示されるように)耳部7A間に跨るスライダ7のブリッジ部7Dに位置している。ブリッジ部7Dは実体肋板であり、ばね支持部7Cが形成された領域において多数のばねが駆動されたときの衝撃に耐えることのできるように好ましくは補強されている。使用時においては、この衝撃により音が発生し、それによって、ユーザーはスライダ7が最終位置に達したものと容易に連想することができる。この方法により、戻り止めのようなクリック感を生じさせる信号とカチっといったような音のような聴き取れるノイズの両方を要求している規格「USCAR−2」は、ヘッドシェル組立体10による電気的接続が達成される最終ステージにスライダ7が届くときに、満たされるだろう。
【0080】
ばね8の他端は、ヘッドシェル組立体10、具体的にはそのカバー20の内面に形成された突起15上に載っている。これは、ばね8が使用中にヘッドシェル組立体10から外れてしまうことを明らかに防いでいる。他のばね保持構造が本発明に従って用いられてもよい。
【0081】
また、スライダ7は、複数のブロッキング梁部7Bを有している。ブロッキング梁部7Bは、嵌合方向に延びており、ヘッドシェル組立体10の片持ち状のロッキング梁部11と干渉し、それによって、スライダ7がロッキング梁部11を曲げようとしても曲げることができない。即ち、ロッキング梁部11は、スライダ7が拡張位置から移動しない限り、ラッチ受容係合溝4に係合してレセプタクルの位置をロックできない。
【0082】
より具体的には、スライダ7の構造は、径方向外側に向かって延びる部分と、コネクタヘッドシェル組立体10の嵌合軸と平行に延びる部分とを夫々有する耳部7Aを備えている。各耳部7Aの径方向外側に向かって延びる部分は、スライダ7の一部が本体内にあり且つスライダ7の他の一部(即ち、コネクタヘッドシェル組立体10の嵌合軸と平行に延びる各耳部7Aの部分:図2及び図3参照)が本体外部にあって手で触れることができるように、ヘッドシェル組立体10の本体の内壁を通っている。このため、スライダ7は、耳部7Aの外側部分を掴むことにより、移動させることができる。
【0083】
また、スライダ7は、耳部7Aの径方向に延びる部分が突出した領域の上下において嵌合方向に延びるブロッキング梁部7Bを備えている(図3及び図4参照)。以下において更に詳しく説明される棒状体14は、各ブロッキング梁部7Bの下縁に形成されている。
【0084】
図3は、レセプタクルに対して部分的で不完全な嵌合をしている第1中間位置にあるヘッドシェル組立体10を示しており、スライダ7の操作の更に詳細な説明を可能としている。また、図3は、レセプタクルピン5の断面を示している。上述した雌側電気的端子の一例として、ヘッドシェル組立体10の本体部の内部に保持された雌コンタクト12のうちの関連する部分は、電気的導電性のコンタクト梁又はコンタクト刃の先端近傍に少なくとも一つの接点を有している。
【0085】
更に先に進める前に、以下の一連の操作についての詳しい記述は1か所のラッチ位置における一組の相互関連した部材に焦点を当てたものとなっているが、本発明によるコネクタ組立体においては、複数の位置において複数の嵌合動作が同時に行われていると必ずや理解されるだろう。例えば、実施形態において、後述するラッチ及びロックは、円形のレセプタクル内において直径方向において実質的に反対側に位置する2つの位置においてなされている。
【0086】
第1中間位置において、コンタクト12はレセプタクルピン5に未だ接触していない一方、この時点でスライダ7のブロッキング梁部7Bに設けられた棒状体14の端面は仕切面2に接触している。ここで、当該端面は嵌合方向と直交している(図3及び図4参照)。この第1中間位置においては、図2に示される位置から図3に示される位置までレセプタクルに向けてヘッドシェル組立体10が移動させられていることから、ばね8はより圧縮されている。そのため、ヘッドシェル組立体10の本体に対して加えられていた嵌合力が除かれると、ばね8の圧縮は、当初の嵌合動作に反して、スライダ7を通じてレセプタクルの仕切面2に対して加えられる。そのままにすると、コネクタ組立体10はレセプタクルから離れて落ちるか、完全且つ十分に嵌合された状態からは明らかに離れたところに少なくとも位置する。
【0087】
図5は、図4と同じ断面において、本発明のコネクタシステムの最終的且つ完全な嵌合により近い第2中間位置にあるときのスライダ7とヘッドシェル組立体10の重要な構造の詳細な相互作用を示す。レセプタクルのこの詳細な図において、ヘッドシェル組立体10の本体に設けられたフィン16は、スライダ7のブロッキング梁部7Bの棒状部14の背面傾斜部に突き当たる。フィン16は、突起物6の外周面上に形成されている。突起物6の夫々に対して一以上のフィン16が形成されていてもよい。また、棒状部14の下面は、図4及び図5のように見た場合、仕切面2の縁部を受ける段差を備えている。
【0088】
棒状部14は、レセプタクルに対するコネクタ組立体10の中間動作の際に、フィン16に接触するように構成された上側斜面(即ち、背面傾斜部:図5参照)を有している。レセプタクルに対するコネクタ組立体10の更なる動作を考慮すると、フィン16は傾斜面に沿ってスライドし、棒状部14とブロッキング梁部7Bを全体的に外側に向けて付勢して、仕切面2を越えさせる(図6に示される位置に至る)。この後者の段階の際に、ロッキング梁部11はレセプタクルに設けられた係合溝4のロッキング梁部に対応する係合部内に(図6に示される位置に)入り込む。
【0089】
更に、ヘッドシェル組立体10の本体の片持ち状のロッキング梁部11は、レセプタクルのラッチ受容用の係合溝4に近づくにつれて(但し、引っかかってはない、即ち、ロックされていない)曲げられる又は反らされる。レセプタクルピン5とコネクタ端子12とが導通することは(必須ではないが)可能である。この位置において、ばね8は、より一層圧縮されており、十分な力を保持していることから、第2中間位置において嵌合力が除かれてしまったならば、ブロッキング梁部7Bの棒状部14がレセプタクルの仕切面2に突き当たっているので、バネ力がブロッキング梁部7Bの棒状部14を通して伝達され、(前述した図3及び図4の第1中間位置に至り)コネクタ組立体10は、レセプタクルから接続解除される。加えて、物理的に分離されることから、第2中間位置において存在していた導通状態は終了する。
【0090】
レセプタクルに対してコネクタ組立体10を更に挿入すると、フィン16が棒状部14を退避状態、即ち、棒状部14が仕切面2の縁を避けて離れ落ちた状態(図6参照)に追いやる。それにより、十分に嵌合し且つロックされた状態が確立する。このとき、スライダ7とヘッドシェル組立体10の間で延びることができる状態にあったバネ8の力により、スライダ7は、レセプタクルのキャビティに更に突き落ち、それにより、上述の接続解除力は消失する。更に、ヘッドシェル組立体10の本体の片持ち状のロッキング梁部11は、レセプタクルのラッチ受容用の係合溝4内に完全に係合しており、ばね8により駆動されたスライダ7が拡張された位置にあるとき、ブロッキング梁部が干渉位置に移動して、有利なことに、片持ち状のロッキング梁部11がレセプタクルのラッチ受容用の係合溝4から抜け出てしまうことを防止する。
【0091】
そのため、このコネクタシステムに対して想定された合理的な堅牢さを超えるような極端な力が加わらない限り、十分に嵌合し且つロックされたコネクタの状態は維持される。一方、抜去が望まれる場合、これらの構成要素を逆に動かすプロセスが行われる:スライダ7の耳部7Aだけを摘まんで、コネクタ組立体全体をレセプタクルから引き離すと、スライダ7とコネクタ組立体ヘッドシェル10の本体の間のバネ8を圧縮される。スライダ7の耳部7Aは、本体の外側にあることから、手で触れることができる(図2及び図3参照)。それにより、棒状部14が片持ち状のロッキング梁部11から引き離され、片持ち状のロッキング梁部11はレセプタクルのラッチ受容用の係合溝4から抜け出て離れることができる。そのような解除により、ヘッドシェル組立体10をレセプタクルから簡単に抜ける。
【0092】
図7は、本発明の技術的範囲内に属するライトアングルコネクタのデザインを示す。スライダ、圧縮部材及びピン受容端子については明瞭のため省略し、複数の部品からなる格納ハウジングに専念することとする。信号搬送ケーブル又は信号搬送線30が描かれており、併せて、ライトアングルコネクタヘッドシェルのピン受容端子の方向も幻像線で示唆されている。ヘッドシェルは、ハウジング19とカバー20を一体化した組立体であり、ハウジング19は、嵌め合わせて組み立てる際にカバー20が一時的に変形することによりカバー20の内腔21内に係合するための複数のスタブ22を有している。このように、実質的に堅くて曲がらず且つ単一のヘッドシェルであって端子を有すると共に端子に繋がる信号伝達ワイヤ30を収容するヘッドシェルがハウジング19とカバー20とから構成されている。
【0093】
ハウジング19とカバー20を接続するための他の機構もまた本発明の技術的範囲内に含まれる。そのような機構は本明細書では接続手段と呼ばれる。接続手段は、スタブ及び内腔、ハウジングに設けられた部品とカバーに設けられた部品の2つの部品を接続する他の機構、並びに、本発明の属する技術分野において当業者に知られているコネクタの要素の対を接続するために用いられる他のあらゆるコネクタを含んでいる。
【0094】
加えて、複数のスタブ22とその相手側の内腔21を設けなければならないわけではなく、一組のみのスタブと内腔とを設けることとしてもよい。
【0095】
図7に示されるように、ロッキング梁部11は2つの離間配置された片持ち状部38及び40を備えている。片持ち状部38及び40の先端は、単一のラッチ構造により連結されている。同じ構造は、ハウジング19の反対側にも設けられている。ブロッキング梁部7Bの一方は、ロッキング梁部11の対応する片持ち状部38,40の間において機能するように設けられている。
【0096】
図8は、すべての構成要素を含む図7に示されるライトアングルコネクタ設計の分解図である。(本実施形態においては2つある)メスコンタクト12の夫々は、対応する信号搬送線30と接続されたコネクタ端子50の一部として示されている。
【0097】
図9は、アキシャルコネクタ又はストレートコネクタを示す。ストレートコネクタにおいて、ヘッドシェル組立体は、複数のカバー要素(本実施形態においては、第1カバー32及び第2カバー34)とハウジング18からなる。第1カバー32は、ハウジング18に形成された相手側となるスタブ36上に弾性を利用して嵌る複数のラッチ26を有している。第2カバー34は、第1カバー32に設けられたガイドストレーク(ガイド条板)25を収容するガイド溝24を有している。第1カバー32が一時的に変形することにより第2カバー34上のスタブ22が第1カバー32の内面に係合する一方、第2カバー34はスライドしつつ第1カバーに組み付けられる。
【0098】
ハウジング18をカバー32に接続しカバー32をカバー34に接続する他の機構も本発明の技術的範囲内に含まれており、そのような機構は本明細書においては接続手段と呼ばれる。接続手段は、スタブ及び内腔、溝及びストレーク、ハウジング(又は第1カバー)に設けられた部品と第1カバー(又は第2カバー)に設けられた部品の2つの部品を接続する他の機構、並びに、本発明の属する技術分野において当業者に知られているコネクタの要素の対を接続するために用いられる他のあらゆるコネクタを含んでいる。
【0099】
加えて、複数のラッチ26とその相手側のスタブ36を設けなければならないわけではなく、一組のみのラッチ26とスタブ36とを設けることとしてもよい。また、複数の溝24とガイドストレーク25を設けなければならないわけではなく、一組のみの溝24とガイドストレーク25とを設けることとしてもよい。
【0100】
図9は、また、図7に示された構造に対応する構造を示している。即ち、ロッキング梁部11は、2つの離間配置された片持ち状部44,46であって、その先端において単一のラッチ構造により連結された片持ち状部44,46を有している。同じ構造は、ハウジング18の反対側にも設けられている。ブロッキング梁部7Bの一方は、ロッキング梁部11の対応する片持ち状部44,46の間において機能するように設けられている。
【0101】
上述した説明は、多くの具体例を含んでいるが、それらは本発明の技術的範囲を制限ものであると解釈すべきではなく、いくつかの好ましい実施形態の単なる実例であると解釈すべきである。例えば、好ましい一実施形態として例示されたヘッドシェルにおいて、端子のピン受容方向はコネクタのヘッドシェル組立体10から延びる信号線ワイヤにより規定された方向と実質的に直交している。このような構成は一般に「ライトアングル」ヘッドシェルとして知られている。他の構成では、ピン受容コンタクトが、コネクタのヘッドシェルから延びる信号線ワイヤと実質的に平行な方向に延びている。このような構成は一般に「ストレートタイプ」又は「アキシャル」コネクタとして知られている。
【0102】
また、例えば、コネクタ及びレセプタクルにおいて描かれた信号線の数は2であるが、あらゆるアレイ構成においてあらゆる数の信号を有する他の実施例も本発明の技術的範囲内に含まれる。
【0103】
また、例えば、本発明は、標準化された環状の係合溝、即ち、現状の工業的標準である単数の係合溝を有するレセプタクルと嵌合するものとして上述してきた。しかし、ヘッドシェル組立体10は、そのようなレセプタクルと嵌合しなければならないわけではなく、環状の係合溝を有さないレセプタクルであっても等しく有益である。例えば、レセプタクルキャビティの側壁を貫通する一組の横断孔又は断続する溝であってもよい。後者は、ヘッドシェル組立体10のレセプタクルに対する具体的な向きを捜し求めており、且つ、コネクタのレセプタクルに対する回動が望まれていないのであれば、とりわけ有益である。
【0104】
更に例えば、ここに記載された実施形態は2つのフィン16と2つのロッキング梁部11を含んでいるが、2以上のフィン及び/又は2以上のロッキング梁部が設けられていてもよいことが考えられる。
【0105】
図面に描かれ且つ上述した実施形態の変形例は、本発明の技術的範囲内に含まれると考えられる。他の変形例のうち、ある実施形態から異なる特徴を他の開示された実施形態に対して可能な範囲で組み込むこととしてもよい。
【0106】
例えば、上述したコネクタは、ラッチ受容面を構成する環状の係合溝を有する概略円形で単一の溝の周囲内に概略嵌合するように構成されていたが、本発明による他の実施形態のコネクタは、円形ではない任意の形状を有する単一の溝内に係止するよう構成されていてもよいし、コネクタがレセプタクル側の取付点の数に対応するラッチを有するように本発明によるコネクタが設計されており、それにより、複数の溝を有するレセプタクルと係止することができるようにしてもよい。
【0107】
更に例えば、コネクタヘッドシェル10の本体は図2その他に一体型として示されており、図7及び図8においては夫々2部品及び3部品からなる組立体として示されていたが、他の実施形態は、実際には、弾性を利用して嵌め合わせられて単一のヘッドシェル構造体を構成するクラムシェルや、2部品、3部品若しくは3つ以上の部品からなる同様の組立体を備えていてもよい。
【0108】
更に例えば、図7のハウジングとカバーのようにヘッドシェルを構成する例示された構成要素は、異質で似ていない部品であったが、ライトアングルコネクタの左半分及び右半分のハウジングや、弾性を利用して組み立てられてストレートコネクタの一体型のハウジングを構成するシェルであって軸方向において雌雄同体である2つのシェルのような対称なデザインは、すべて本発明の技術的範囲内に属する。
【0109】
更に例えば、図9に示されるヘッドシェルを構成する構成要素は、少なくとも一つのガイドストレークを有する第1カバーと少なくとも一つのガイド溝を有する第2カバーを有していたが、第1カバーが少なくとも一つのガイド溝を有すると共に第2カバーが少なくとも一つのガイドストレークを有するようなストレークと溝の相補的な配置は、本発明の技術的範囲内に含まれると考えられる。
【0110】
更に例えば、図示されたように二放射相称である2つの耳部7Aを有していたが、スライダ7は、ヘッドシェル本体10の周囲にピッタリ沿った単一の連続した概略アーチ状の形態や対称又は非対称に配置された2つ以上の耳部を含む操作部を備えていてもよい。
【0111】
更に例えば、機械的エネルギーを蓄えるための圧縮部材は通常螺旋バネであるが、弾性を有し且つ十分に圧縮可能な如何なる部材を圧縮部材8の代わりに用いて、完全に嵌合したときにラッチのロックを機能させるために用いられたり、嵌合が不完全だったときにレセプタクルに対するコネクタ組立体10の嵌合を拒絶するために用いられる圧縮力を蓄積し且つ開放することとしてもよい。
【0112】
更に例えば、ハウジングは、スライダ7、圧縮部材8及び端子だけを備えているのではなく、RFチョークやフィルタ、一以上のフェライトビーズといったような電気的な機能を有する構成要素をも備えており、それによって、ケーブルハーネス内の他の箇所で吸収された疑似の電気的エネルギー又は不必要な電気的ノイズであって、本発明によるコネクタ組立体を通して伝達されることを意図されていない若しくは望まれていない疑似の電気的エネルギー又は不必要な電気的ノイズ、又は本発明によるコネクタ組立体が取り付けられるかもしれない不可欠ななユニットに入ってしまうことの認められていない疑似の電気的エネルギー又は不必要な電気的ノイズを回避させ、吸収し又は拒否する。多くの場合、フェライトビーズ又は電磁チョークは、車両の乗客の安全制御システムからエアバッグを展開させる信号が出されていないときに、疑似の電気的ノイズがエアバッグの展開を誤って引き起こしてしまうことを妨げるために用いられる。
【0113】
更に例えば、例示された信号配線は、2つの導電体30からなるツイストペア線であるが(図7及び図8参照)、本発明によるコネクタ組立体は、あらゆる数の信号線の相互接続用として適切なように構成されていてもよく、そのような信号線は、ツイスト編組、フラットリボンケーブル、又は一組の弛み線、又は、同軸ケーブルやシールデッド同軸ケーブルをふくむジャケット内にまとめられた又は束ねられた一組のワイヤの形態で構成されていてもよい。信号ワイヤのこれらの構成のすべてもまた、本発明の技術的範囲内に含まれる。
【0114】
図示された又は説明された実施形態のいずれもが、本発明によるコネクタ組立体の利点であって同様の従来技術のコネクタと比較した場合の利点を示している。とりわけ、本発明によるコネクタ組立体の一以上の実施形態は、ケーブルハーネスのコネクタヘッドシェルの受容レセプタクルに対する不完全な相互接続において、過信を実質的に除去する。更に、不完全な嵌合の場合、本発明によるコネクタ組立体の一以上の実施形態がレセプタクルに対するコネクタヘッドシェルの接続を物理的に拒絶することとなる機構を含んでいることから、当該機構が電気的な接触を分離して電気的な相互接続を終了し、従って、導電チェックの結果は不良となるだろう。
【0115】
更に他の利点として、不完全な嵌合の場合、本発明によるコネクタ組立体の一以上の実施形態がレセプタクルに対するコネクタヘッドシェルの接続を物理的に拒絶することとなる機構を含んでいることから、相互接続をしようとしたユーザは、合理的な仮説として、コネクタヘッドシェルがレセプタクルから視覚的に明らかに物理的な接続を解除されていることをもって、又はレセプタクルに嵌合されたものと想定されるときのヘッドシェルの位置からヘッドシェルが視覚的に明らかな程度ずれていることをもって、正しく且つ完全な機械的及び電気的な相互接続が許容されなかったことを理解し得る。
【0116】
更に他の利点として、本発明によるコネクタ組立体の一以上の実施形態は、ハウジングとカバーのような複数の部品でヘッドシェル組立体を構成することにより、スライダ、圧縮部材、端子及び端子に接続されたワイヤのような内部要素を他の内部要素と共に組み立てることがより簡単になっている。
【0117】
上述したコネクタ組立体10は、レセプタクルに対する最適な接続方法を有しており、確実な接続がなされなかった場合に自動的に接続を拒絶する構造を提供している。この方法は、コネクタをバネ8のバイアスに抗ってハウジングを(図4に示される位置から)レセプタクル内に移動させることにより完全且つ適切な接続を確保しつつコネクタをレセプタクルに係合するステップを有しており、ブロッキング梁部7Bをレセプタクルの仕切面2に突き当てさせた後、フィン16をブロッキング梁部7B(の背面傾斜部)に突き当てさせると共にロッキング梁部11をブロッキング梁部7Bの外側を通過させてレセプタクルと接触させ(図5参照)、その後、ロッキング梁部11をレセプタクルの係合溝4のロック領域内に入り込ませると共にフィン16によりブロッキング梁部7Bを外側に付勢して、ブロッキング梁部7Bがロッキング梁部11の内側に位置することを可能としてロッキング梁部11がレセプタクルの係合溝4のロック領域から抜け出てしまうことを防止する(図6参照)。また、スライダ7とハウジングとの間に設けられたバネ8は、ハウジングの移動中であってロッキング梁部11がレセプタクルの係合溝4内に位置するまでの間、レセプタクルからコネクタ組立体10を離す方向に力を加えるように構成されている。
【0118】
フィン16は、バネ8のバイアスに抗ったヘッドシェル組立体20とスライダ7との間の相対移動の初期段階において、ブロッキング梁部7Bと接触するものの、ロッキング梁部11の内側への反りを許容するように、位置している(図5参照)。ブロッキング梁部7Bは、コネクタ組立体10とスライダ7との間の相対移動の最終段階の後にロッキング梁部11の内側に向かう反りを防止するように構成されており(図6参照)、その際、コネクタが最終段階のあるときにおいてのみ電気的な相互接続状態を有するといった有利な結果も生じている。最終段階に達するまでは、コネクタ組立体10とレセプタクルとの間には電気的な相互接続は生じていない。
【0119】
この過程の助けとなるため、バネ8は特別な構成を有していてもよいし、操作上の特性を備えていてもよい。即ち、バネ8は、最終段階にあるときに生じる反力よりも少なくとも5%大きい反力が初期段階において生じるように、構成されている。しかしながら、好ましい実施形態においては、最終位置にあるときのバネ8に生じた反力は、実用上の限界にとどまっており、そのため、最終段階よりも実質的に高い圧縮力に初期段階において達するような実施例が好まれる。最終段階の反力の約500%までの反力が初期段階においてバネ8に生じるような実施例も考えられ、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。
【0120】
バネ8が最終段階に比べて初期段階において僅かに又は著しく大きな反力を有することにより、バネ8は、レセプタクルからヘッドシェル組立体10を分離する際において接続失敗又は接続不良が生じてしまった場合にバネ8の有する主たる役割を果たすことが可能となる。同時に、最終段階におけるバネ8の低い反力(即ち、ヘッドシェル組立体10が適切にレセプタクルに嵌合してバネ8が緩和した後における反力)のため、ヘッドシェル組立体10に大きすぎるストレスが加わることがない。しかしながら、バネ8の反力は、ブロッキング梁部7Bをヘッドシェル組立体10とレセプタクルとの嵌合の後の位置に維持するためには、十分である。戻り止めのような手法において、初期段階に向かって移動中にバネ8に蓄積された反力と、それに続く最終段階に向かうスライダの移動中に僅かに又は実質的に減った力は、双方とも取り付け中にユーザの手を通して感知され、2段階の感触が変化する信号をユーザに対して伝達し、当該ユーザは、本発明の成功した初期の操作が成功したことを直感的に確信する。更に、スライダは、最終段階に向かう移動中の最後においてハウジングに突然衝突することにより止まるが、このときの衝突により、聞き取れる信号と完全な感触の信号の両方が生じる(この点に関しては、スライダ7のバネ支持部7Cとヘッドシェル組立体10上の突起15との間にバネ8を取り付けることに関する上述した事項を参照のこと)。この強弱のついた感触としての信号と聞き取れる衝突により、ユーザは正しく且つ完全な取り付けと望ましい高信頼性の電気的相互接続が適切且つ強固に確立されたと確信する。
【0121】
この操作を更に考察すると、バネ8の一端を支持しているスライダ7のバネ支持部7C、ヘッドシェル組立体10の内面上に設けられたバネ8の他端の座部、ブロッキング梁部7Bを備えるスライダ7の構造、並びにスライダ7とロッキング梁部11の間の普遍的な相互作用は、概略、バネ制御手段を構成していると考えてもよい。これらのバネ制御手段は、ヘッドシェル組立体10のレセプタクルに対する初期嵌合段階の間、バネの圧縮力を増加させ、初期段階において最大値に達し、その後、ヘッドシェル組立体10がレセプタクルに対して嵌合すると、圧縮力を減少させる。バネ8に影響を及ぼす他の構造であって、本明細書に開示された事項から当業者にとって自明なものは、本発明の技術的範囲内に含まれるものと考えられる。
【0122】
ヘッドシェル組立体10をレセプタクルから抜去したとしてもヘッドシェル組立体10を繰り返し使用できるようにするため、レセプタクルの係合溝4からのロッキング梁部11の解除とヘッドシェル組立体10のレセプタクルからの抜去とを防いでいた位置からブロッキング梁部7Bを手動で外すことができるように、スライダ7を構成してもよい。耳部7Aを掴んで操作し、スライダ7を上方へ移動させると、係合溝4からのロッキング梁部11の解除が許容される。
【0123】
コネクタ組立体10のレセプタクルに対する嵌合は、レセプタクルに対するコネクタ組立体10の相対的な動きの単一の行為のみを有利なことに要求することとしてもよい。ここで、相対的な動きの単一の行為の間中、コネクタ組立体10とスライダ7の動きのすべての方向が嵌合方向と実質的に平行である。この単一の行為は、実質的に一定速度で行われてもよいし、一定でない速度で行われてもよい。
【0124】
本発明によるコネクタには、一本以上の信号搬送線が取り付けられていてもよい。最も一般的な実施形態では、図7及び図9に示されるように、ツイストペア線が用いられるが、この分野においては、また本明細書の開示の目的からすると、特に、同軸ケーブル出てくるまでの技術がツイストペア線であったことから、ツイストペア線が用いられているところであればどこでも同軸ケーブルも考慮され、また、逆も同様に考慮される。
【0125】
例えば、米国特許6,510,152号(ゲオルガとルトコヴィスキに付与された「同軸ケーブル/ツイストペア線を引き込まれまとめられた住宅ゲートウェイに制御されたセットトップボックス」)では、そのタイトル自体にスラッシュマークが含まれており、それによれば、ある種のケーブルを扱えると、明らかな変形として他の種のものも扱える可能性があることが暗示されている。
【0126】
この代用可能性の他の例は、米国特許第7,121,888号(「マルチワイヤケーブルコネクタ)において、発明者のブランドとプローエンが明細書全体を通して大量に使用した文言「同軸ケーブル又はツイストペア線」にも見られる。
【0127】
米国特許第4,169,650号(シュバイツァーに付与された「ワイヤラップ組立体コネクタ」)は、信号線、ツイストペア線及びシールデッドケーブルを終端するコネクタについて記述したものであり、「単一線、ツイストペア線、シールデッドツイストペア線、又はシールデッド同軸ケーブルを個別に又は同時に使用可能なアプリケーションにおいて広く行われている」ことであると明記している。
【0128】
米国特許第7,210,940号(バイリー及びレイスンに付与された「誘導結合を有するコネクタ」)は、「同軸又はツイストペア構成のものであってもよい」ケーブルを受容し且つ電気的に扱うコネクタについて記述している。
【0129】
従って、本発明のツイストペア線の実施形態の技術的範囲は、同軸ケーブルの使用も想起させ、また同軸ケーブルの使用は前述の技術的範囲に含まれる。
【0130】
この目的のため、最も効果的に同軸ケーブルを扱うためには付加的な構成要素が必要とされる。例えば、同軸ケーブルに適した本発明によるデザインは、図2図7及び図9に暗示されたように端子のペアに終端してもよいし、ハウジングに保持されると共に同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続された単一のピン端子を有し且つ補助的な位置において補助的な相互接続を行うための編組導体シールドに電気的に接続された少なくとも一つの補助対応の相互接続手段を有していてもよい。この補助的なコンタクトは、一般的に「グランドコンタクト」と呼ばれる。
【0131】
図10及び図11に示される例において、本発明による同軸コネクタ52は、商業的に利用可能な、軸方向対応コンタクト(axially compliant contact)又は「ポゴピン」54と呼ばれるピンを受容するためのハウジングを備えている。そのようなピンの典型的な出典は、ニューヨークのオイスターベイのミル−マックスカンパニーである。
【0132】
対応コンタクト(compliant contact)54は、従って、グランドコンタクトであり、常識として、コネクタハウジング内に位置しており、嵌合方向に移動すると、信号端子同士の電気的な接続の前に、レセプタクル又はレセプタクルを保持する装置の導電材料にグランドコンタクトが電気的に接触することができる。この接触は、典型的には、同軸ケーブル58の中心導体が同軸レセプタクル(図示せず)の中心端子に接触する前に生じる。
【0133】
ケーブルを抜去すると、グランドコンタクトの接続解消の前に信号線の接続が解消される。このような信号コンタクト間の相互接続を許容する前に装置間のシールド間又はグランド間の接続を確立する方法は、工業分野において有益であると周知されており、「アーリーメイト、レイトブレイク」、「EMLB」や「ファーストメイト、ラストブレイク」、「FMLB」、その他のマーケティング用語で広告されている。概ね、コネクタ52は、図1図9に関連して上述されたコネクタと同一又は類似の構成要素及び操作を有している。コネクタ52のハウジング19’及びカバー20’は、それらの後部に、図7に示される信号搬送線のツイストペアより大きな断面を有する同軸ケーブル58を収容することのできるチャネル56を規定する点においてハウジング19及びカバー20とは異なっている。
【0134】
また、ハウジング19’は、対応コンタクト54(図10参照)を収容するように、変形される。ハウジング19が変形され得る方法は、本明細書に開示された点において当業者の範囲内にある。同軸ケーブル58のシールド編組は、ポゴ対応コンタクト54に電気的に接続される。
【0135】
また、スライダ7及びハウジング19’を変形して、単一のロッキング梁部11、棒状部14、ブロッキング梁部7B及びフィン16のみを含むようにすることもできる。また、レセプタクルにより規定された環状キャビティ1の周囲の外側にあるグランドコンタクトが図10に示される一方、本発明のコネクタは、一つ又は任意の数のグランドコンタクトを位置決めし、前述の周囲内において又は前述の周囲内外において機能する。
【0136】
図11に示されるように、同軸ケーブル58は、雌側電気端子12を有する端子50により終端されている。この終端は、従来の方法同軸ケーブル58のジャケットを剥いて、シールド編組の一部を露出させ、その後、トリムされる(調整する)。中心導体は、端子50に対してクリンプされる。中心導体は、このようにして、端子50に電気的に接続される。
【0137】
さもなければ、ハウジング19’がスライダ7及びバネ8と協働してハウジング19とスライダ7及びバネ8との協働に関して上述したような動作を提供する方法は、本質的には同じである。
【0138】
図12図14は、雌側電気端子を有する雌側端子を一つのみ備えるコネクタ60についての実施形態を示す。それ故、ハウジング19は、この単一の雌側電気端子50のみを収容するように構成されている。例えば、単一の信号搬送線をコネクタ60の内部に引き込むために後側に単一のチャネル60のみが設けられている。スライダ7、ハウジング19及びカバー20は、さもなければ、上述した実施形態のいずれかに示された構成と同じ構成を本質的に有していてもよい。
【0139】
図10及び図11を参照して上述した同軸ケーブルコネクタの実施形態のように、スライダ7及びハウジング19は、ロッキング梁部11、棒状部14、ブロッキング梁部7B及びフィン16を一つずつのみ含まれるように変更されてもよい。このように、単一のフィンと単一のラッチ領域を有するコネクタは、単一の信号搬送線又は信号搬送ケーブルと接続するように設けられる。
【0140】
本明細書に記載されたコネクタの変形例は、また、本発明の一部として検討され考慮される。例えば、図示された実施形態において、スライダ7のブロッキング梁部7Bは、径方向においてロッキング梁部11の内側に位置しており、ヘッドシェル組立体10のセンターラインに沿って互いに直径上の両端に位置している。このように、嵌合軸から各ブロッキング梁部7Bまでの距離は、嵌合軸から各ブロッキング梁部7Bと交差するロッキング梁部11までの距離より短い。しかしながら、直径上において両端に位置することは必要ではなく、ブロッキング梁部7Bとロッキング梁部11はヘッドシェル組立体10の直径からズレてセンターライン上に位置していてもよい。但し、まだ嵌合軸からブロッキング梁部7Bの棒状部14までの距離を嵌合軸から各ブロッキング梁部7Bと交差するロッキング梁部11までの距離より短い状態に維持している。これにより、図示された実施形態に示されるものと同様に、スライダ7の耳部7Bがヘッドシェル組立体10を越えて突出していないことから、ヘッドシェル組立体10の直径全体を減らすことができる。
【0141】
上述した本発明の一以上の実施形態は、上述した本発明の背景技術において言及した従来技術とは異なる。
【0142】
実際、上述した従来例のいくつかは、電気的相互接続の成功した正しい動作の後において接続解除に抵抗するためのラッチ手段、バネに補助された駆動、及びロック手段を有する電気コネクタについて大まかに記述しているが、完全且つ適切な嵌合がなされなかったときに、相手側となるレセプタクルに対する第1プラグコネクタの嵌合を拒絶し易くするモードにおいて、少なくとも一つの螺旋バネのように圧縮可能な部材を一般的には用いていない。また、上述した従来技術のいくつかは、一連の嵌合動作で最初にラッチし、次いでロックする効果的な条件について確立していない。即ち、本明細書において開示された本発明のコネクタと同一の利益的効果を達成するような同一の構成要素の同一の配置についてのいかなる組み合わせも示されていない。
【0143】
例えば、ホルウェッグのコネクタに関して、このコネクタにおいては、ブロッキング梁部の片持ちの固定端に対するロッキングアームの片持ちの固定端の方向は、上述した本発明の一以上の実施形態における方向と逆である。それ自体、主及び従のロックの運動学が全体として異なっている。
【0144】
更に、ホルウェッグのコネクタは、機能的に類似しているバネ負荷のCPAを備えている。その駆動機構は、説明されたように、ロッキングアームのオイラー座屈にかかっており、一旦座屈するに十分な圧縮力が梁部にしまうと、その後、梁部は相手側レセプタクルの遮断面を滑って通過し、嵌合動作が続いてしまうかもしれない。ホルウェッグの発明によるコネクタの始動ポイントは、柱の力の閾値を超えることにより制御される。それは、それ自体、バネや他の圧縮部材のバネ定数や製品の寸法のようなたくさんの変数に依存しており、また、ロッキングアームの材料特性にも依存している。これらすべては、梁部の正確な座屈ポイントに影響を及ぼし且つ混乱させ、この機構の振る舞いと信頼性にランダムさを追加する。不利なことに、ホルウェッグのコネクタにおける始動ポイントは、相手側ケーブルコネクタの受容レセプタクルに対する正確且つ予測可能な指示された相対位置と直接的には関係しない。
【0145】
更に、たとえ、プラスチックや他の吸湿性の材料が本発明の分野内において慣用されているものとして用いられたとしても、座屈におけるホルウェッグのコネクタのロッキングアームのリジットさは、少なくとも幾分は、個別の装置の夫々により経験された大気の湿度の当面の履歴に依存しているかもしれない。例えば、ナイロンがこの部分に用いられていたとすると、湿潤な沿岸の地において数週間にわたってストレージ内に置かれていた装置は、それらの部分を製造した成型施設から直接送りだされた後に乾燥した高地に受け入れられた他の装置とは異なって駆動できただろう。
【0146】
対照的に、本発明によるコネクタの始動ポイントは、スライダの棒状部の背面傾斜部にハウジング上のフィン構造が接触する相互作用によって、確実に規定されている。そのため、所望とする運動学的な動作が、嵌合した部分の相対位置に直接関連した接触点において生じる。また、コネクタの始動ポイントに影響を与える要因は、例えば、相互作用する部分の単なる形状のように、非本質的で、利用しやすく、ある程度の寸法により直接的に決定される。従って、凝固における構造的構成、複合ファイバの流動方位、異方性の効果、及びホルウェッグコネクタを製造する際に必要とされる他の本質的な特性のような、いくつかの材料的な要因の繰り返し可能な均一性を維持するよりも、成型する際に外形の公差を維持することがより良く理解されることから、始動ポイントは、より簡単且つシビアに制御される。本発明によるコネクタは、それ故、如何なる場所に設置されようともパフォーマンスにおいて優れた一貫性を提供するものと期待される。
【0147】
コネクタの嵌合のための互いに異なった動作方向において2つの別個の動作を必要とするホップフ他のコネクタに関して、本発明によるコネクタの実施形態は、有利なことに、使いやすく直感的な単一の動作により、主及び副のロックを成し遂げる。
【0148】
更に、ホップフ他のコネクタの二番目のロック動作は、一番目の動作(即ち、相手側のレセプタクルに対する完全な挿入)が適切になされなかったときでさえも、行えてしまう。これに対して、本発明による一以上の実施形態においては、ヘッドシェルが自動的に不完全嵌合を拒絶し、それによって、導通チェックにより検出可能な電気的な切断を形成すると共に、不完全な嵌合を拒絶する際に、ヘッドシェルは不完全嵌合未遂から完全に抜け落ちるか、期待された嵌合位置から著しく離れたところに位置しており、ヘッドシェルは、期待された正しく完全な嵌合状態ができないことを示す視認可能な変位位置(displaced position)に代わりに位置している。加えて、本発明の一以上の実施形態は、正しく嵌合されたとき、有利なことに、カチっといったような聴き取れる音と確実に分かるクリック感を発することから、これらの人間工学的信号の欠如は、合理的に警告に至り、経験したユーザに対して、嵌合行為が成功したか否かを疑問に思わせ、もし成功していなかった場合には後続する行為を準備するだろう。
【0149】
本発明の一以上の実施形態において不適切な嵌合が生じた場合、自動的な不完全嵌合拒絶動作は、有利なことに、引き続き矯正嵌合行為をすぐにでも行える位置に、すべての構成要素をリセットする。有害に、ホップフ他のコネクタは、都合の悪いことに嵌合軸に直交する動作と嵌合動作とにより、手動でリセットされなければならない。
【0150】
ガンレベンのコネクタに関して、このコネクタのロッキングアームは、本発明の一以上の実施形態と比較して、軸方向に反対にされており、ばねアームは、逆向きの軸方向からロッキングアームの根元において「アームピット」に挿入する。これに対して、本発明の一以上の実施形態のブロッキング梁部は、片持ち状のロッキング梁部の陰に滑り込み、すべてが同一の挿入方向に向いており、これらすべてがヘッドシェルから延びている。この構成によれば、本発明の実施形態は、より軸方向においてコンパクトとなり、更に、嵌合行為の初期の位置合わせ段階における衝突の衝撃を受けたレセプタクル表面から大きく離れた重要なゾーンに、ラッチングの際の折り曲げ応力が蓄積される。また、本発明のこの実施形態は、ガンレベンのコネクタより、この点に関して、ダメージを受けにくい。イナバ他のコネクタ組立体に関して、本発明の一以上の実施形態は、嵌合の所定の中間段階においてフィンが斜面に接触することにより、それとは異なるように駆動され、内部のスライダは、本発明のコネクタの嵌合軸に沿ってもっぱらガイドされる。
【0151】
マクラーレンのコネクタに関して、本発明の一以上の実施形態は、コネクタ及びレセプタクルのシステムの実質的に外周の輪郭に沿って複数のラッチ部分を提供するのに適しており、単一の嵌合動作の間、特定且つ所定の始動ポイントにおいて同時に且つ自動的に動作するように設計された個々のロッキング梁部とブロッキング梁部を提供する。
【0152】
米国特許公開2007/0264863(A1)の中村のコネクタに関して、このコネクタは開示された本発明のものに類似するものと思われる構成要素を備えているが、これらの構成要素は、本発明における構成要素と同様に協働するわけではなく、従って、本発明のもののようには、構成要素の協働により得られる利点を提供することができない。更に、コネクタは、ラッチされたコネクタがアンラッチされてしまうことを防止するような本発明の実施形態の有する補助的なブロッキング効果を提供しない。
【0153】
図15〜25を参照して、図15は、実質的に恒久的な相互接続をなすためのラッチ113や片持ち状のロッキング梁部のような積極的ロック手段を配備するヘッドシェル110を有するコネクタ組立体を示している。それは、殆どの実施形態において、そのような嵌合がなされてしまった後にケーブルヘッドシェル110をレセプタクルから抜去するために、ケーブルヘッドシェル機構の少なくとも一つの機械的構成要素の意図的な駆動を必要とする。また、内部構造は、ヘッドシェル110のレセプタクルに対する相互接続の程度や距離が十分でなかった場合には、自主的にそれ自身を相互接続状態から視認可能に電気的に切断する。上述したように、この動作は、「自動拒絶(自動不完全嵌合拒絶)」と呼ばれる。
【0154】
本機構には、ケーブルヘッドシェル組立体の実質的な内部構成要素であるスライダ114であって、最も一般的には、抜去のために摘まんで引く動作を提供するフランジや耳部114’を有する外部からアクセス可能な部位を備えるスライダ114が設けられている。
【0155】
ヘッドシェル110は、嵌合軸と実質的に平行な長手軸を有すると共に、ロッキング構造として長手軸と交差するように延びる歯又はフランジ構造(以下、「ラッチ113」という)を少なくとも一つ有する実質的にリジットな梁部であるラッチング梁部を備えている。本明細書内において、アイテム110は、ハウジング及び一以上のカバー要素を備えるヘッドシェル組立体、又は、ハウジングと呼ばれるヘッドシェル組立体の主たる構成要素のみを指すことができる。
【0156】
レセプタクルは、上述したように、一以上の係合部を含む少なくとも一つの係合溝4を有しており(図1参照)、それらはラッチ113を受容し且つラッチング効果を保証する。ラッチング梁部は、嵌合の際に撓ませられるが、レセプタクルに対するヘッドシェル110の十分な挿入によりラッチ113がレセプタクルのラッチ受容係合溝4に入り込むことができるようになるまでは係止しない(即ち、ロックしない)。ラッチ解除を許容するためには、ラッチング梁部(ラッチ113)は、嵌合の際に用いられたスペース内に撓めることができなければならない。ラッチング梁部が撓む際にラッチング梁部が通過するスペースのボリュームは、動作スペースと呼ばれる。
【0157】
スライダ114は、バネ128のような圧縮部材と共に動作して、スライダ114の一部であるブロッキング梁部のようなブロッキング構造を延ばし、それによって、ラッチング梁部がロック状態から解除されるために必要とされる動作スペース内において、ブロッキング梁部はラッチング梁部の近傍に留まるようになる。完全な嵌合状態を確立する際、バネ128は、スライダ114をヘッドシェル110の嵌合方向に移動させることができ、その結果、ブロッキング梁部は、ラッチ解除のための動作スペースを占め、それによって、片持ち状のラッチング梁部のラッチをレセプタクルの係合溝4内に捉える。
【0158】
厳しく計画された一連のイベントは、上述したようにコネクタの嵌合動作時に生じる。ここに要約すると:まず、レセプタクルに対するコネクタヘッドシェル110のアプローチの際に、被駆動梁部(駆動され得る梁部)の棒状部構造体の端面115とレセプタクルの仕切面2との間に初期の接触が生じる。これが第1中間位置である。
【0159】
第1中間位置にあるときに嵌合力がヘッドシェルから撤回されると、初期の嵌合動作に抗って、バネ128における圧縮がスライダ114を通じてレセプタクルの仕切面2に対して加えられることに注意されたい。そのままにすると、コネクタ組立体は、レセプタクルから全体的に抜け落ちるか、正しく且つ完全に嵌合した状態から視覚的に明らかに離れた位置に少なくとも維持される。この切断又は変位が自動的な不完全嵌合拒絶の一形態である。
【0160】
続いて、コネクタのヘッドシェルを嵌合方向に更に移動させると、ラッチング梁部のラッチ113がレセプタクル内に挿入され、更にレセプタクル内にあるそれらの相手側であるラッチ受容係合部に近づいていく。スライダ114はこの時点で動かなくなり、従って、バネ128は、静止したスライダ114とコネクタ組立体の移動しているヘッドシェルとの間でますます圧縮されることになる。
【0161】
端面115の反対側に、被駆動梁部の先端にある棒状部は、背面傾斜部116を有している。ハウジングは、内部に設けられ且つ嵌合方向に延びる電気的端子を受容する中空の中心111であって嵌合軸を規定する中空の中心111を有する突起物6及び6’を備えている。電気的端子は、本発明の技術的範囲外であり、図示されていない。
【0162】
嵌合動作において、第1中間位置を越えて第2中間位置に向かって進んでいくと、電気的コンタクトはヘッドシェル端子とレセプタクル端子又はピン5との間に配置されるが、上述した自動不完全嵌合拒絶により電気的切断が生じるだろう。
【0163】
嵌合方向に更に移動させると、コネクタシステムの最終且つ完全な嵌合により近い第2中間位置に到達する。この時点において、ヘッドシェル組立体の本体内にあるフィン又はスタブ112は、傾斜構造、即ち、スライダ114の被駆動梁部121の棒状部の背面傾斜部116に突き当たる。
【0164】
上述した実施形態において、一以上のフィン112が端子を包含する突起物6の外周面上に設けられている。しかしながら、本発明は、駆動機構の駆動構造112として以下において参照される代替的実施形態及びフィンの代替的位置を紹介する。駆動構造112の機能は、スライダ114の背面傾斜部116に相互作用してスライドさせ、且つ、スライダ114と被駆動梁部の棒状部全体を外側に向けて付勢して、仕切面2を回避させることである(図5及び図6参照)。
【0165】
第2中間位置にあるこの段階の間、ヘッドシェル組立体の片持ち状のラッチ113は、嵌合の際に撓ませられるが、レセプタクルのラッチ受容係合溝4内には、まだ係止していない。即ちロックしない。しかしながら、駆動構造112とスライダ114の被駆動梁部の背面傾斜部116との相互作用は、ここで棒状部に移され、従って、それは、ラッチング梁部のラッチ113をレセプタクルの係合溝4に挿入するために十分な嵌合方向における更なる動作とまさに協力して、仕切面2の縁部を避けて離れ落ち、ロック状態を達成する(図6参照)。
【0166】
以前に静止したスライダ114は、バネ128に蓄積された圧縮力により駆動されることから、この時点で嵌合方向に更に移動可能であり、スライダ114は、レセプタクルキャビティ1の輪郭溝の内側を突き落ちる。それは、片持ち状のロッキング梁部のラッチ構造がレセプタクルのラッチ受容係合溝4から抜け出てしまうことを有利なことに防ぐ位置である干渉位置にブロッキング梁部の一部を移動させる。最終的な完全なロックされた十分に嵌合された状態は、このようにして達成され、それは、このコネクタシステムに想定された合理的な耐久力の範囲を超える過度な力がない限り、維持される。
【0167】
抜去が望まれる場合、これらのイベントを逆にしたプロセスが行われる:スライダ114の耳部114’のみを摘まんでコネクタ組立体全体をレセプタクルから引き離すと、スライダ114とコネクタ組立体ヘッドシェル110の本体との間のバネ128が圧縮される。スライダ114の耳部114’は、本体の外側に位置しているので、手で触ることができる。それにより、ブロッキング梁部が片持ち状のラッチング梁部から引き離され、それによって、ラッチング梁部はレセプタクルのラッチ受容係合溝4から抜け出し外れることができる。このような抜去の際、ヘッドシェル組立体は簡単にレセプタクルから自由になる。
【0168】
駆動構造112の形状及び位置に着目した具体的な記述を除き、上述した。また、ブロッキング梁部は、端面115を有する棒状部を有し且つ背面傾斜部116を有しているのであれば、係止梁部と実質的に同じ梁部であってもよい。
【0169】
ここで、図16及び図17を参照すると、本発明の更なる側面が理解される。図16は、コネクタ組立体の切り欠き面又は断面図であり、切り欠き面は図示された実施形態の2つの端子を保持する突起物の2つの軸を通る平面と平行且つ離れている。図17は、コネクタ組立体ヘッドシェル110の分解図である。例えば、図3図6に開示された実施形態とは異なり、本発明のスライダ114は、駆動構造又は駆動機構120と相互作用するための梁部121のような第1組の駆動構造を有していてもよいし、更に重要なことととして、スライダ114は、駆動構造120と相互作用することを要しないブロッキング梁部117のように動作する第2組の他の梁部を有していてもよい。
【0170】
ここで使用されるように、駆動構造の「組」は、単一の駆動構造のみを有していてもよいし複数の駆動構造を有していても良いように、定義される。同様に、第2組のブロッキング梁部117のように、構成要素又は要素の「組」がここで言及されるときはいつでも、単一の認識された構成要素又は要素のみを有していてもよいし、複数の構成要素又は要素を有していてもよい。通常は、一組の構成要素又は要素が他の一組の構成要素又は要素と協働し又は係合するときはいつでも、各組には同数の構成要素又は要素が含まれているだろうし、また、ある組の各構成要素は他の組の構成要素のうちの対応する一つと協働し又は係合するだろう。それにもかかわらず、この一対一の対応は、本発明のすべての実施形態においては必要とされていない(図24を参照した後述参照)。
【0171】
ブロッキング梁部117は、単にそれら自身の邪魔をして、ラッチ113の動作スペースを占め、ラッチ113が相手側となる係合溝4から脱出することをブロックする。ここで、ラッチは、ロックされ且つブロックされた状態にある(図19A及び図19B参照)。二つの組の梁部は、同一部位(即ち、スライダ114)の一部なので、被駆動梁部を駆動してスライダ114に対して圧縮部材からの力の下で下方に突き進むことを許容するような如何なる動作も、あらゆるすべてのブロッキング梁部を対応するラッチング梁部近傍の干渉位置に夫々同時に落とすだろう。
【0172】
例えば図3図6に開示された実施形態は、中空の端子保持突起物6から突出したフィンを有しており、フィンの効果的な外形は、突起物6により規定された軸を通る平面内に概ね向いている。しかしながら、少なくとも図16及び図17に示される実施形態に関しては、駆動構造120の表面は、突起物の軸を通る必要のない平面内において作用する。例えば、図16において、2つの端子保持突起物の2つの軸を通る平面から離れた切り欠き面は、この発明及び関連する発明のすべての必須作用構造を図らずも示している:端子保持突起物6から突出している駆動構造120、並びに、被駆動梁部121の棒状部の端面115及び背面傾斜部116である。また、本実施形態においては、関連する発明による先端において連結されたラッチ113を有するツイン梁構成からなる第1ラッチング梁部や、径方向において第1ラッチ113の反対側にあるラッチ113’を有する第2ラッチング梁部も見える。
【0173】
図17に見られるように、コネクタ組立体ヘッドシェル110は、当業者に既知の様々な手法(上述した構造を用いるものを含む)により互いに嵌め合わせられるカバー124とハウジング126とを備えている。バネ128は、カバー124とスライダ114との間に配置される。各雌コンタクト30は、信号搬送線134の対応する一つと接続されたコネクタ端子132の一部として示される。
【0174】
図18Aは、ツイン梁ラッチ113の橋渡し部の中間面とブロッキング梁部117の一部を通る断面図であり、係合部に向かってそして最終的には係合部内までラッチがレセプタクルの表面に沿って移動する際にラッチ113が内向きに曲がることのできるように、ラッチ113から離れているブロッキング梁部117の位置を示している(この内向きの曲げ又は撓みは幻影線で示されている)。図18Bは、ラッチ113の陰にブロッキング梁部117が隠れていることを示している。ここで、コネクタ組立体ヘッドシェル110は最終嵌合状態まで移動させられることができる。
【0175】
図19Aは、レセプタクルに対してコネクタ組立体ヘッドシェル110の最終的な挿入状態にあるときのブロッキング梁部117の位置を示している。図19Bに示されるように、ブロッキング梁部117は、ラッチ113とレセプタクルの内側表面との間に位置しており、このようにして、ラッチ113の内向きの撓みを防止すると共に係合部からラッチ113が外れることを防止する。
【0176】
続いて、図20Aは、一群の端子保持突起物6の夫々が関連する発明による駆動構造112を有している実施形態を示している。何故なら、駆動構造112が突起物6から突出しているだけではなく、アクティブな構造が各駆動構造に対応する突起物6により規定された軸を含む平面内において実質的に作用するように、夫々向けられていることが理解されるためである。
また、一つの電気的線を有する実施形態や一以上の電気的線を有する実施形態の両方が検討されてきたし、また、本出願の殆どの図面は2つの線を示しているけれども、本発明の技術的範囲に属するこの特定の実施形態は4つの線を有している。
【0177】
図20B図20C及び図20Dは、駆動構造の配置とコネクタ組立体のヘッドシェル110のハウジング本体に対するそれらの取り付けに関する付加的な実施形態を示している。これらの実施形態は、被駆動梁部が端子アレイの位置や配置から独立して配置されることを許容している。
【0178】
この独立は、図20Bに示される。当該図においては、駆動構造120が端子保持突起物6に貼り付けられている必要もないし端子保持突起物6から突出している必要もないことが更に示されている。むしろ、本実施形態においては、スタッド(丸いびょう)、支柱、ツームストーン(墓石)又はペグのような分離された支持手段171が、適切な位置において駆動構造120を支持することができる。支持手段171は、コネクタヘッドシェルのハウジングから嵌合方向(突起物6が延びる方向と同じ方向)に延びるような、あらゆる構造を包含している。支持手段171は突起物から離間配置されている。
【0179】
図示されたように、支持手段171は嵌合方向において長方形状の断面を有しており、且つ、突起物6に向いた広い面(主面)を有している。但し、この支持手段171の向きは本発明を限定しない。
【0180】
突起物6に向いている方の裏面である支持手段の広い面(主面)上にある単一の駆動構造120のみの存在もまた、単なる本実施形態の一例であり、代替的に又は付加的に、他の駆動構造120が突起物に向いている面上に位置していてもよい。もし、複数の駆動構造120が支持手段171上に設けられている場合、それらは同一であっても良いし、異なっていてもよい。
【0181】
更に、支持手段171は、好ましくは、駆動構造120がここに記載されたような機能を発揮できるように十分に堅くて曲がらない材料からなる。
【0182】
図20Bは、一つのみの電気的線を有する実施形態を示している点にも気づかれたい。しかしながら、突起物6が一つ以上の端子を収容していてもよい。
【0183】
図20Cは、他の実施形態においては、一以上の駆動構造120を支持する支持手段171が考慮され示されることを示している。支持手段171は、コネクタヘッドシェルのハウジングから嵌合方向(2つの端子を保持する突起6が延びる方向と同じ方向)に延びるような、あらゆる構造を包含している。図示されるように、支持手段171は嵌合方向において長方形状の断面を有しており、且つ、突起物6の中心近傍に向いた狭い面(側面:端面)を有している。但し、この支持手段171の向きは本発明を限定しない。
【0184】
この図は、平板状の支持手段171の2つの広い面(主面)上に設けられた鼻のような駆動構造120を示している。但し、あらゆる数の駆動構造120が考慮されてもよい。例えば、支持手段が多角形の棒状に構成されており、多角形の各面から少なくとも一つの駆動構造が突出していてもよい。このような支持手段は、ここに開示された他の実施形態において用いられてもよい。
【0185】
ここに例示され且つ開示された駆動構造の殆どは形状又は断面において実質的に三角形のように見えるが、被駆動梁部の棒状部の背面傾斜部と適切に相互作用することのできるような他の形状も考慮される。図20Dに示される実施形態において、スタッド172は、端子保持突起物6により規定される軸と実質的に直交する軸をスタッド172が有するように、端子保持突起物6から突出している。勿論、他の支持手段171から突出するスタッドを使用することも本発明の技術的範囲内に属すると考えられる。
【0186】
図21は、発明の概要の欄において上述したレセプタクルを示す。この特定な変形は、2本線を有するアプリケーションであり、相手側となるヘッドシェル上に設けられた長鼻により駆動される成形金属のショートクリップを典型的には含んでいる。本実施形態において、仕切面2はアクセス孔又は開口181により貫通されており、アクセス孔181はアクセス孔の奥側にある末端のスペースまで通じている。末端のスペースは、アクセス孔181よりも大きく、少なくとも一つの天面を提供している。それによって、上述した実施形態におけるラッチ受容係合溝と同様の手法によりラッチ受容係合溝として機能する。ここで、ラッチング梁部の位置は、全体的にコネクタの構成におけるコンタクトの配置や位置からは全体的に独立していてもよい。
【0187】
更に、ラッチ受容面182を有することに加えて、アクセス孔又は開口181の縁部はスライダの被駆動梁部を停止するために用いられ、係止されたときに、梁部が縁部から離れ落ちて開口181内に突き進むこととしてもよい。
【0188】
図22及び図23は、図21に示されるレセプタクルと同様のレセプタクルに対して嵌合するときの、スタッド172(即ち、ペグ)を有する単一の突起物を備えるコネクタ組立体のハウジングを示す。スタッド172は、まず、図22に示される位置から、仕切面2に突き当たっている被駆動梁部121に接触するように移動させられる。スタッド172が被駆動梁部121に接触して駆動すると、梁部121が仕切面2の外側に移動させられる一方、(図23に示されるように)ラッチ113を越える位置までスライダのブロッキング梁部117が内側に移動させられる。同時に、スライダの連続した内側への移動の際に、被駆動梁部121は開口181内に入る。
【0189】
最後に図24を参照すると、本実施形態は、上で特定された構造と同じ構造を殆ど備えており、実質的に同じ手法で動作する。本実施形態における大きな相違点は、突起物6の両側部から突出した突起物6上に単一の駆動構造120Aが設けられていることである。この単一の駆動構造120Aは、それ自体、2つの被駆動梁部121に同時に相互作用することができる。単一の駆動構造が2つ以上の被駆動梁部に相互作用する実施形態は、このように、本発明の一部である。
【0190】
上述したケーブルヘッドシェル110は、レセプタクルに対する最適な接続方法を有しており、確実な連結に対して自動拒絶構造を提供している。この方法は、バネのバイアスに抗ってハウジングをレセプタクル内に移動させることにより、スライダ114の被駆動梁部121を(端面115を介して)レセプタクルの仕切面2に突き当てさせて、その後、駆動構造120を被駆動梁部121(具体的には背面傾斜部116)に突き当てさせ、ラッチ113に対して被駆動梁部121の外側を通過させてレセプタクルに嵌合させて、完全且つ適切な接続を保証する一方で、コネクタをレセプタクルに嵌合することに関係する。移動は、また、ラッチ113をレセプタクルの係合部内に入り込ませ、駆動構造120に対して被駆動梁部121を外側に向けて付勢させ、被駆動梁部121がラッチ113の内側に位置することを可能とし、レセプタクルの係合部から外れることを防止する。ラッチ解除防止は、また、スライダ114のブロッキング梁部117により助けられる。
【0191】
また、ラッチ113の夫々がレセプタクルの対応する係合部内に位置するまでハウジングが移動するときにバネがコネクタをレセプタクルから分離させるように、スライダ114とハウジングとの間のバネは配置されている(「自動拒絶(自動不完全嵌合拒絶)」構造)。
【0192】
ハウジングをレセプタクル内へ移動させると、最初のうちは、駆動構造120を棒状部に接触させ、そのような接触の後、ハウジングをレセプタクル内へ引き続き移動させると、駆動構造120が棒状部を変位させてレセプタクルの仕切面と接触しないように移動するように、各駆動構造120は、対応する棒状部に接触し、且つ、棒状部に相互作用するよう、構成されている。スライダ114は、ラッチ113の夫々がレセプタクルの係合部から外れることを防止する位置から被駆動梁部121を手動でずらすことができるようにして、それによって、ラッチの夫々がレセプタクルの係合部から外れることを可能とし、レセプタクルからのコネクタの抜去を可能とするように、構成されていてもよい。
【0193】
レセプタクルに対するケーブルヘッドシェル110の嵌合は、都合のよいことに、レセプタクルに対するケーブルヘッドシェル110の相対的な単一動作のみを必要とする。この際、ケーブルヘッドシェル110とスライダ113の動きのすべての方向は、相対的な単一動作の全体を通して、嵌合方向と実質的に平行である。この単一動作は、実質的に一定速度で行われてもよいし、一定でない速度で行われてもよい。
【0194】
それ故、上述の説明は、たくさんの具体例を含んでいるが、これらは本発明の技術的範囲を限定するものを構成されるべきではなく、いくつかの好ましい実施形態を単に例示するものと構成されるべきである。上述し且つ図示された実施形態の変形例は、本発明の技術的範囲内に属するものと考えられ、従って、本発明の技術的範囲は、所定の例ではなく、添付の請求の範囲及びその法的均等物により決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図21
図22
図23
図24