(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200600
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】タッチスクリーンディスプレイへの間接タッチ入力を受取る装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0481 20130101AFI20170911BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20170911BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
G06F3/0481 120
G06F3/0488
G06F3/041 532
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-547828(P2016-547828)
(86)(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公表番号】特表2016-536728(P2016-536728A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】US2013066106
(87)【国際公開番号】WO2015060824
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ライアンズ ケントン
【審査官】
岩崎 志保
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−109456(JP,A)
【文献】
特開2011−013980(JP,A)
【文献】
特開2011−120090(JP,A)
【文献】
特開2007−200002(JP,A)
【文献】
特開2002−333951(JP,A)
【文献】
特表平11−507455(JP,A)
【文献】
特開2014−123197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0481
G06F 3/041
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの主要部に選択可能要素の表示を行うことと;
前記ディスプレイの主要部に近接する入力領域でタッチ入力を受け取ることであって、前記入力領域は前記主要部と重ならない、前記受け取ることと;
を含む方法であって、前記受け取ることは、前記タッチ入力と前記入力領域とが成す第1の角度を検出することを含み、前記方法は更に、
前記入力領域でのタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力を決定することと;
前記外挿タッチ入力の位置が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行うことと;
を含み、前記決定することは、前記第1の角度に基づく前記外挿タッチ入力の特性を用いることを含む、方法。
【請求項2】
前記タッチ入力は第1のタッチ入力を含み、前記外挿タッチ入力は第1の外挿タッチ入力を含み、前記方法は:
前記入力領域で第2のタッチ入力を受け取ることと;
前記入力領域での第2のタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における第2の外挿タッチ入力を決定することと;
前記第1の外挿タッチ入力及び前記第2の外挿タッチ入力の交点が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行うこと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外挿タッチ入力の特性は、前記ディスプレイの主要部における第2の角度である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ディスプレイの主要部に外挿タッチ入力の位置を示す視覚表現を提供することを更に含む、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記視覚表現は、前記入力領域でのタッチ入力の位置から前記ディスプレイの主要部に少なくとも一部入るまで延びる半直線を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タッチ入力の角度の変化に基づいて、前記外挿タッチ入力の位置を変更することを更に含む、請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
前記入力領域は前記ディスプレイの縁部に沿って配置される、請求項1から6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
前記入力領域は、前記ディスプレイと実質的に同一平面上にある面によって規定される、請求項1から7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記入力領域は、前記ディスプレイと成す角がゼロでない面によって規定される、請求項1から7の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記入力領域は前記ディスプレイによって規定される、請求項1から8の何れかに記載の方法。
【請求項11】
ディスプレイの主要部に選択可能要素の表示を行う手段と;
前記ディスプレイの主要部に近接する入力領域でタッチ入力を受け取る手段であって、前記入力領域は前記主要部と重ならない、前記受け取る手段と;
を備える装置であって、前記受け取る手段は、前記タッチ入力と前記入力領域とが成す第1の角度を検出するように構成され、更に前記装置は、
前記入力領域でのタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力を決定する手段と;
前記外挿タッチ入力の位置が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行う手段と;
を備え、前記決定する手段は、前記第1の角度に基づく前記外挿タッチ入力の特性を用いるように構成される、装置。
【請求項12】
前記タッチ入力は第1のタッチ入力を含み、前記外挿タッチ入力は第1の外挿タッチ入力を含み、前記装置は:
前記入力領域で第2のタッチ入力を受け取る手段と;
前記入力領域での第2のタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における第2の外挿タッチ入力を決定する手段と;
前記第1の外挿タッチ入力及び前記第2の外挿タッチ入力の交点が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行う手段
を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記外挿タッチ入力の特性は、前記ディスプレイの主要部における第2の角度である、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記ディスプレイの主要部に外挿タッチ入力の位置を示す視覚表現を提供することを更に含む、請求項11から13の何れかに記載の装置。
【請求項15】
前記外挿タッチ入力の特性は、前記ディスプレイの主要部における特定の距離である、請求項1、2、4から10の何れかに記載の方法。
【請求項16】
前記外挿タッチ入力の特性は、前記ディスプレイの主要部における特定の距離である、請求項11、12、14の何れかに記載の装置。
【請求項17】
処理手段と記憶手段とを備える装置であって、前記記憶手段はプログラム命令を格納し、該プログラム命令は、前記処理手段に実行されると、前記装置に、請求項1から10、15のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成される、装置。
【請求項18】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に、請求項1から10、15のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的実施形態は、概してタッチスクリーンディスプレイを介した入力の受取りに関する。
【0002】
タッチスクリーンディスプレイは、大型及び小型の両方ともユーザデバイスに益々普及しつつある。腕時計やスマートフォン、タブレットコンピュータやその他の携帯デバイスといったデバイスには、コンピュータディスプレイやテレビ等の他のデバイスと同様に、そして非携帯デバイスにも、ディスプレイスクリーンが具わるようになっており、こうしたディスプレイスクリーンは、コンテンツが表示されているスクリーンにユーザが(指やスタイラス、又は別のオブジェクト等で)触れることによって、そのユーザから入力を受け取るように構成されている。
【0003】
タッチ入力を受け取るための従来技術では、ユーザは、ユーザデバイスのタッチスクリーンに表示された選択可能要素を、その選択可能要素が表示されるべき位置におけるスクリーンにタッチすることによって選択するように要求される。その結果、ユーザが入力を行う際、こうした選択可能要素(例えば、アイコンやテキスト等)の選択に用いられるユーザの指や他のオブジェクトが、その選択可能要素自体や選択可能要素の周辺に表示されたコンテンツの一方又は両方を覆い隠すことがある。これはユーザには厄介で、ユーザが表示コンテンツを購入するのを妨げる可能性がある。そのため、ユーザが選択しようとする選択可能要素やタッチスクリーンに表示された他のコンテンツを覆い隠さずにユーザのタッチ入力を受け取る機構の提供が望まれている。
【0004】
したがって、本発明の実施形態は、選択可能要素を含むコンテンツをディスプレイの主要部に表示し、ディスプレイの主要部に近接する入力領域であって、主要部と重ならない入力領域でタッチ入力を受け取る機構を提供する。入力領域でのタッチ入力の位置に基づいて、ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力を決定することによって、外挿タッチ入力が特定の選択可能要素の位置と一致するとき、その選択可能要素の選択を完了することができる。
【0005】
またこれに伴い、実施形態によっては、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリを備える装置が提供されてもよい。前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記プロセッサを用いて、前記装置に、ディスプレイの主要部に選択可能要素の表示を行うことと;前記ディスプレイの主要部に近接する入力領域でタッチ入力を受け取ることであって、前記入力領域は前記主要部と重ならない、前記受け取ることと;前記入力領域でのタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力を決定することと;前記外挿タッチ入力の位置が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行うこと
を実行させるように構成されてもよい。
【0006】
実施形態によっては、前記タッチ入力は第1のタッチ入力を含み、前記外挿タッチ入力は第1の外挿タッチ入力を含んでもよい。前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記プロセッサを用いて、前記装置に、前記入力領域で第2のタッチ入力を受け取ることと、前記入力領域での第2のタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における第2の外挿タッチ入力を決定することと、前記第1の外挿タッチ入力及び前記第2の外挿タッチ入力の交点が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行うことを実行させるように構成されてもよい。前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記プロセッサを用いて、前記装置に、前記タッチ入力に関連する角度を検出することと、前記検出されたタッチ入力の角度に基づいて、前記外挿タッチ入力の位置を決定することを実行させるように構成されてもよい。
【0007】
場合によっては、前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記プロセッサを用いて、前記装置に、前記ディスプレイの主要部に外挿タッチ入力の位置を示す視覚表現を提供させるように構成されてもよい。前記視覚表現は、前記入力領域でのタッチ入力の位置から前記ディスプレイの主要部に少なくとも一部入るまで延びる半直線を含んでもよい。前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記プロセッサを用いて、前記装置に、前記タッチ入力の角度の変化に基づいて、前記外挿タッチ入力の位置を変更させるように構成されてもよい。
【0008】
前記入力領域は前記ディスプレイの縁部に沿って配置されてもよい。前記入力領域は、前記ディスプレイと実質的に同一平面上にある面によって規定されてもよい。他の場合では、前記入力領域は、前記ディスプレイと成す角がゼロでない面によって規定されてもよい。さらに他の実施形態では、前記入力領域は前記ディスプレイによって規定されてもよい。
【0009】
他の実施形態では、ディスプレイの主要部に選択可能要素の表示を行うことと;前記ディスプレイの主要部に近接する入力領域でタッチ入力を受け取ることであって、前記入力領域は前記主要部と重ならない、前記受け取ることと;前記入力領域でのタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力を決定することと;前記外挿タッチ入力の位置が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行うことを実行するための方法とコンピュータプログラムに基づく製品が記述される。
【0010】
場合によっては、前記タッチ入力は第1のタッチ入力を含み、前記外挿タッチ入力は第1の外挿タッチ入力を含んでもよい。前述の方法及びコンピュータプログラムに基づく製品の実施形態は、前記入力領域で第2のタッチ入力を受け取ることと、前記入力領域での第2のタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における第2の外挿タッチ入力を決定することと、前記第1の外挿タッチ入力及び前記第2の外挿タッチ入力の交点が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行うことを含むような場合もある。
【0011】
場合によっては、前記タッチ入力に関連する角度が検出され、前記検出されたタッチ入力の角度に基づいて、前記外挿タッチ入力の位置が決定されてもよい。前記外挿タッチ入力の位置の視覚表現が前記ディスプレイの主要部に提供されてもよい。実施形態によっては、前記視覚表現は、前記入力領域でのタッチ入力の位置から前記ディスプレイの主要部に少なくとも一部入るまで延びる半直線を含んでもよい。他の場合では、前記外挿タッチ入力の位置が、前記タッチ入力の角度の変化に基づいて変更されてもよい。
【0012】
前記入力領域は前記ディスプレイの縁部に沿って配置されてもよい。前記入力領域は、前記ディスプレイと実質的に同一平面上にある面によって規定されてもよい。あるいは、前記入力領域は、前記ディスプレイと成す角がゼロでない面によって規定されてもよい。
【0013】
さらに他の実施形態では、タッチスクリーンディスプレイへの間接タッチ入力を受け取る装置が記述される。前記装置は、ディスプレイの主要部に選択可能要素の表示を行う手段と;前記ディスプレイの主要部に近接する入力領域でタッチ入力を受け取る手段であって、前記入力領域は前記主要部と重ならない、前記受け取る手段と;前記入力領域でのタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力を決定する手段と;前記外挿タッチ入力の位置が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行う手段を備えてもよい。
【0014】
実施形態によっては、前記タッチ入力は第1のタッチ入力を含み、前記外挿タッチ入力は第1の外挿タッチ入力を含んでもよい。このような場合、前記装置は、前記入力領域で第2のタッチ入力を受け取る手段と、前記入力領域での第2のタッチ入力の位置に基づいて、前記ディスプレイの主要部における第2の外挿タッチ入力を決定する手段と、前記第1の外挿タッチ入力及び前記第2の外挿タッチ入力の交点が前記選択可能要素の位置と一致するとき、該選択可能要素の選択を行う手段を更に備えてもよい。
【0015】
場合によっては、前記タッチ入力に関連する角度を検出する手段と、前記検出されたタッチ入力の角度に基づいて、前記外挿タッチ入力の位置を決定する手段を更に備えてもよい。加えて又あるいは、前記装置は、前記ディスプレイの主要部に外挿タッチ入力の位置を示す視覚表現を提供する手段を更に備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の例示的実施形態を一般的に説明してきたが、ここで添付の図面を参照する。なお図面のスケールは正確であるとは限らない。
【0017】
【
図1】本発明の例示的実施形態に従う通信システムの一例を示す。
【0018】
【
図2】本発明の例示的実施形態に従う、タッチスクリーンディスプレイへの間接タッチ入力を受け取る装置の略ブロック図を示す。
【0019】
【
図3】本発明の例示的実施形態に従う、主要部と入力領域を有したタッチスクリーンディスプレイを備えるユーザデバイスを示す。
【0020】
【
図4】本発明の例示的実施形態に従う、主要部と入力領域を有したタッチスクリーンディスプレイを備えるユーザデバイスを示し、ディスプレイにはタッチ入力の位置から延びる半直線が示されている。
【0021】
【
図5】本発明の例示的実施形態に従う、主要部と入力領域を有したタッチスクリーンディスプレイを備えるユーザデバイスを示し、入力領域は2つのタッチ入力を受け取るためにディスプレイの2つの縁部に沿って延在している。
【0022】
【
図6A】本発明の例示的実施形態に従って、ユーザがユーザデバイスにある角度でタッチ入力を行う状況を示す。
【
図6B】本発明の例示的実施形態に従って、ユーザがユーザデバイスにある角度でタッチ入力を行う状況を示す。
【0023】
【
図7A】本発明の例示的実施形態に従って、ユーザがユーザデバイスに
図6A及び6Bで示されたものとは別の角度でタッチ入力を行う状況を示す。
【
図7B】本発明の例示的実施形態に従って、ユーザがユーザデバイスに
図6A及び6Bで示されたものとは別の角度でタッチ入力を行う状況を示す。
【0024】
【
図8A】本発明の例示的実施形態に従って、ユーザがユーザデバイスに揺動(rock)タッチ入力を行う状況を示す。
【
図8B】本発明の例示的実施形態に従って、ユーザがユーザデバイスに揺動(rock)タッチ入力を行う状況を示す。
【0025】
【
図9】本発明の別の例示的実施形態に従う、主要部と入力領域を有したタッチスクリーンディスプレイを備えるユーザデバイスを示す。
【0026】
【
図10】本発明の例示的実施形態に従う、タッチスクリーンディスプレイへの間接タッチ入力を受け取る方法のフローチャートを示す。
【0027】
ここから、本発明の幾つかの例示的実施形態について、添付図面を参照してより詳細に説明する。なお、本発明の全ての実施形態が紹介されるわけではない。実際、本発明は様々な形態で実施されることができるので、本発明の実施形態がここで紹介される実施形態に限定されると考えてはならない。むしろここで紹介される実施形態は、本明細書が法的な要件を充足するために紹介されるものである。本明細書及び図面を通じて同様の符号は同様の要素を表す。本明細書で使用されるとき、"データ"や"コンテンツ"、"情報"又は同様の用語は、本発明の実施形態において送信されたり受信されたり、保存されたりしうるデータを言い表すために互いに代替しうるように使用される。このため、このような用語が本発明の実施形態の範囲や技術思想を制限するものと考えてはならない。
【0028】
また、本明細書において「回路(circuitry)」という用語は、(a)ハードウェアのみにより実装される回路(例えばアナログ回路及び/又はデジタル回路による実装)や、(b)1つ以上のコンピュータ可読メモリに記録されるソフトウェア及び/又はファームウェアと回路との組合せであって、本明細書に記載の1つ以上の機能を協働して装置に実行させる組合せ、(c)例えば1つ以上のマイクロプロセッサや、1つ以上のマイクロプロセッサの部分であるような、1つ以上の回路であって、動作するために、(たとえ物理的には存在しないものであっても)ソフトウェア又はファームウェアを必要とするような回路、を言い表す。「回路(circuitry)」のこの定義は、本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって適用されるべきものである。さらなる例として、本明細書で使用されるとき、「回路(circuitry)」という用語は、1つ以上のプロセッサ及び/又はこれらの1つ以上の部分と、これらに付随するソフトウェア及び/又はファームウェアを含む実装を含む。更なる例として、本明細書で使用されるとき、「回路(circuitry)」との用語は、例えば、携帯電話のためのベースバンド統合回路やアプリケーションプロセッサ統合回路を意味することができ、また、サーバやセルラネットワークデバイス、その他のネットワークデバイス、その他のコンピューティングデバイスの中の、同様の集積回路を意味することができる。
【0029】
本明細書において"コンピュータ可読記憶媒体"との用語は、物理的な記憶媒体を言い表し、例えば揮発性又は非揮発性の記憶デバイスであり、電磁信号を言い表す"コンピュータ可読送信媒体"からは区別されうるものである。
【0030】
前述の通り、タッチスクリーンを備えるユーザデバイスは、選択可能要素を含むコンテンツを表示し、更に、ある動作を実行する目的で特定の1つ又は複数の選択可能要素を選択するためにユーザからタッチ入力を受け取るように構成される。ここで、「選択可能要素」という用語は、例えばアプリケーションを起動するアイコンやウェブサイトに案内するリンク、更に、選択されると特定の動作を実行するその他のグラフィックコンテンツ又はテキストコンテンツを指している。
【0031】
従来型タッチスクリーンを有するデバイスでは、ユーザのタッチ入力は、所望の選択可能要素が表示される位置と一致するスクリーン上の位置で受け取られる。タッチ入力を行うための用いられるオブジェクト(例えば、ユーザの指)のサイズと比べたときの選択可能要素のサイズによっては、オブジェクトが入力を行う進路によって選択されるべき選択可能要素が覆い隠されることが頻発する。例えば、タッチ入力がタッチスクリーンに行われようとするとき、一時的にユーザの指が選択可能要素の文字や画像を隠してしまう可能性がある。場合によっては、タッチ入力を行うオブジェクトが、選択されるべき選択可能要素の周辺にあり、他の選択可能要素とユーザが購入すべき他のコンテンツを含むコンテンツを隠してしまうこともある。したがって、選択可能要素の位置と一致するタッチ入力を与えることによって、少なくとも一時的には、ユーザによる表示されたコンテンツの購入を妨げることもあり、入力が行われる時点で選択されるべき特定の1つ(又は複数)の選択可能要素をユーザが見て確認できないこともあり、あるいはその両方がありうる。
【0032】
加えて、タッチスクリーンディスプレイが比較的大きい場合であって、例えば教室や会議室の壁に設置されたディスプレイの場合、ユーザがタッチ入力を行うために選択可能要素が表示されている位置まで届くのが困難であるかもしれない。この場合、ユーザは所望の選択可能要素の位置に届くように何歩か移動しなくてはならないこともあり、ディスプレイの大きさや選択可能要素の位置、ユーザの身長によっては、踏台の上に立つ必要もあり、あるいはその両方がありうる。ユーザが選択可能要素を選択しようと手を伸ばすことによって、ディスプレイに表示されるべき他のコンテンツが(例えば、教室の生徒や聴衆に対して)隠されてしまうという事実に加えて、前述のような課題も存在する。
【0033】
これに伴い、本発明の例示的実施形態は、タッチスクリーンディスプレイの主要部に近接し、ディスプレイの主要部とは重ならずにユーザのタッチ入力を受け取るように構成される入力領域を提供することによって、ディスプレイの主要部に表示される選択可能要素及び/又は他のコンテンツを覆い隠さずにタッチ入力を受け取る機構を提供する。以降で詳述する通り、入力領域のタッチ入力の位置に基づいて、ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力を決定することができ、外挿タッチ入力が特定の選択可能要素の位置と一致するとき、その選択可能要素の選択を完了することができる。
【0034】
次に、
図1を検討する。
図1には、ある例示的実施形態であって、本発明の実施形態から利益を享受する携帯端末10のブロック図が示されている。なお、示された携帯端末10は、本発明の実施形態から利益を享受しうるような装置の単なる例であり、本発明の実施形態の範囲を制限するものと受け取られてはならない。それ故、携帯情報端末(PDA)や腕時計,携帯電話,ポケットベル,携帯テレビ,ゲーム機器,ラップトップコンピュータ,カメラ,タブレットコンピュータ,タッチパネル,ウェアラブルデバイス,ビデオレコーダー,オーディオ/ビデオプレーヤー,ラジオ,電子書籍,全地球測位システム(GPS)デバイス等の測位デバイス,又はこれらの組合せ,及びその他の音声・テキスト通信システムといった多種多様な携帯端末が本発明の実施形態を採用できる。また、固定式(非携帯式)電子デバイスを含む他のデバイスであっても、壁に設置できるように構成される、あるいは集団に見せるコンテンツを提供するように構成される大型独立式タッチスクリーンディスプレイのような例示的実施形態を採用することができる。
【0035】
携帯端末10は、送信機14及び受信機16と協働する(1つ又は複数の)アンテナ12を備えていてもよい。携帯端末10はさらに、送信機14への信号送信と受信機16からの信号受信を制御する、プロセッサ20や処理デバイス(
図2のプロセッサ70等)のような装置を備えていてもよい。この信号は、利用可能なセルラシステムの無線インタフェース規格に従うシグナリング情報を含んでいてもよく、ユーザの音声や受信データ、ユーザが生成したデータ等を含んでいてもよい。あるいは(又は加えて)、携帯端末10はセルラ方式ではない通信メカニズムに従って動作可能であってもよい。例えば、携帯端末10は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)や他の通信ネットワークで通信可能であってもよい。
【0036】
実施形態によっては、プロセッサ20は携帯端末10の音声・論理機能を実装する回路を備えていてもよい。プロセッサ20は、例えば、DSPやマイクロプロセッサ、種々のA/DコンバータやD/Aコンバータ、サポート回路を備えていてもよい。携帯端末10の信号及び情報処理機能は、それぞれの能力に従って、これらのデバイスの中に割り当てられている。プロセッサ20は、変調及び送信を行う前に、畳み込み的な符号化や、メッセージ及びデータのインタリーブを行う機能を有していてもよい。プロセッサ20は更に、音声符号部やデータモデムを内蔵していてもよい。さらに、プロセッサ20は、メモリに記録されうる1つ又は複数のソフトウェアプログラムを実行する能力を有してもよい。例えばプロセッサ20は、標準的に用いられているウェブブラウザのような通信プログラムを実行する能力を有していてもよい。そのような通信プログラムは、携帯端末10がウェブコンテンツを送受信できるようにする。そうしたウェブコンテンツには、WAP(Wireless Application Protocol)やHTTP(Hypertext Transfer Protocol )位置ベースのコンテンツなどに従う位置ベースのコンテンツやその他のウェブページコンテンツ等がある。
【0037】
携帯端末10はまた、出力デバイスであるイヤホンやスピーカ24やリンガ22,マイクロフォン26,ディスプレイ28,及びユーザ入力インタフェースを含むユーザインタフェースを備えていてもよく、これら全てがプロセッサ20に接続される。ユーザ入力インタフェースは、携帯端末10のデータ受信を可能にし、また携帯端末10のデータ受信を可能にするデバイスをいくつ備えていてもよい。こうしたデバイスには、例えばキーパッド30やタッチスクリーンディスプレイ(タッチスクリーンディスプレイを提供するディスプレイ28)等の入力デバイスが存在する。キーパッド30を含む実施形態において、当該キーパッド30は、0−9の数字キーや関連するキー(#,*)、携帯端末10を操作するその他のハードキーやソフトキーを備えてもよい。あるいは、又は加えて、キーパッド30は、一般的なQWERTY配列のキーパッドを備えていてもよい。キーパッド30はまた、それぞれ機能に関連付けられた多くのソフトキーを備えていてもよい。あるいは、又は加えて、携帯端末10は、ジョイスティック又はユーザ入力インタフェースのようなインタフェースデバイスを備えてもよい。タッチスクリーンディスプレイを含む実施形態においては、後述のように、キーパッド30だけでなくスピーカ24や,リンガ22,マイクロフォン26の何れかを省略していてもよい。さらに装置10は、装置10を動作させるための様々な回路に電源を供給し、また検知可能な出力としての機械的な振動を提供する、振動バッテリパックのようなバッテリ34を備えてもよい。
【0038】
携帯端末10はユーザ識別モジュール(UIM)38を備えていてもよい。UIM38は、典型的には内蔵のプロセッサを有するメモリデバイスである。UIM38には、例えば、加入者識別モジュール(SIM)や、UICCカード、USIM、R−UIMなどが含まれる。UIM38は、典型的に、携帯加入者に関する情報要素を格納する。UIM38に加えて携帯端末10はメモリを備えていてもよい。例えば携帯端末10は、データの一時的な保管のためのキャッシュ領域を備えるランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性メモリ40を備えてもよい。携帯端末10は、内蔵及び/又は着脱可能な不揮発性メモリ42を備えていてもよい。これらのメモリは、携帯端末10の機能を実装するために携帯端末10に使用される情報・データを任意の数だけ格納してもよい。
【0039】
本発明のある例示的実施形態が
図2を参照してこれから説明される。
図2には、タッチスクリーンディスプレイへの間接タッチ入力の受取りを行う、装置50の特定の要素が描かれている。
図2の装置50は、例えば、
図1の携帯端末10に用いられてもよい。しかし、
図2の装置50は、携帯式又は固定式に関わらず、その他の様々なデバイスに関連して用いられることに留意しなくてはならない。したがって、本発明の実施形態は、
図1の携帯端末10のようなデバイスへの適用に限定してはならない。例えば、装置50は腕時計やパーソナルコンピュータ、タブレット、携帯電話、大型独立取付式ディスプレイ、その他のユーザ端末に採用されてもよい。また、場合によっては、装置50の一部又は全部が、サーバや他のサービスプラットフォーム等の固定デバイスにあってもよく、その中身が(例えば、サーバ/クライアントの関係を通じて)固定デバイスで生じる処理に基づくユーザ端末として、リモートデバイスに存在していてもよい。
【0040】
図2は、間接タッチ入力を受け取る装置の構成例の一つを示しているが、本発明の実施形態を実装するためにその他多数の構成が用いられ得ることにも留意しなくてはならない。それ故、本出願のデバイスや要素は相互通信するように示されているが、実施形態によっては、こうしたデバイスや要素が同一のデバイス又は要素に実装可能であると見做すべきである。したがって、相互通信するように示されるデバイスや要素は、同一のデバイス又は要素の一部として代替されうるものと理解すべきである。
【0041】
以下、
図2を参照すると、装置50は、プロセッサ70やユーザインタフェース・トランシーバ72,通信インタフェース74,メモリデバイス76を備えてもよく、あるいはそれらが相互に通信していてもよい。実施形態によっては、プロセッサ70(及び/又はコプロセッサや、プロセッサ70をアシストする、あるいは関連する他の処理回路)は、装置50のコンポーネント間で情報をやり取りするバスを介してメモリデバイス76と通信してもよい。メモリデバイス76は、例えば、1つ又は複数の揮発性及び/又は非揮発性のメモリを含んでもよい。換言すれば、メモリデバイス76は、コンピュータ可読ストレージメディアのような、ゲートを備える電子的なストレージデバイスであってもよく、例えばプロセッサ70のような計算デバイス等の機械によって呼び出されうるデータ(たとえばビット)を格納するように構成されてもよい。本発明の例示的実施形態に従う様々な機能を装置が実行することを可能にするべく、メモリデバイス76は、情報やデータ、コンテンツ、ファイル、アプリケーション、命令及び同様のものを格納するように構成されてもよい。例えばメモリデバイス76は、プロセッサ70より処理される入力データをバッファするように構成されてもよい。さらに又は代替的に、メモリデバイス76は、プロセッサ70により実行される命令を格納するように構成されてもよい。
【0042】
実施形態によっては、装置50は、本発明の例示的実施形態を採用するように構成される、移動端末10のような移動端末や、固定式通信デバイス又は計算デバイスであってもよい。しかし実施形態によっては、装置50は、チップ又はチップセットとして具現化されてもよい。換言すれば、装置50は、基板等の構造組立部品に素材や部品,配線等を備える、1つ又は複数の物理的パッケージ(チップ等)を備えてもよい。構造組立部品は物理的な強度やサイズの保全を提供してもよく、また、要素回路の電気的な相互作用を抑える役割を果たしてもよい。したがって、装置50は場合によっては、単一のチップや単一のシステム・オン・チップ(SoC)上に、本発明の実施形態を実装するように構成されてもよい。このように場合によっては、チップ又はチップセットは本明細書に記載される機能を提供する1つ又は複数の処理を実行する手段を構成してもよい。
【0043】
プロセッサ70は様々な方法で具現化されてもよい。例えばプロセッサ70は、1つ又は複数の様々な処理手段として具現化されてもよい。そのような処理手段には例えば、コプロセッサやマイクロプロセッサ,コントローラー,デジタルシグナルプロセッサ(DSP),DPS搭載型又は非搭載型の処理要素,その他様々な処理回路が含まれる。また、そのような処理回路には、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)やFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ),マイクロコントローラーユニット(MCU),ハードウェアアクセラレータ,特定用途向けコンピュータチップ等が存在する。それ故、実施形態によっては、プロセッサ70は独立して動作するように構成される1つ又は複数の処理コアを備えてもよい。マルチコアプロセッサによって単一の物理的パッケージで複数の処理が実行可能になる。あるいは、又は加えて、プロセッサ70はバスを介して直列に配される1つ又は複数のプロセッサを備え、独立に命令を実行できてもよく、パイプライン及び/又はマルチスレッドプロセスを実行できてもよい。
【0044】
ある例示的実施形態において、プロセッサ70は、メモリデバイス76に格納された命令を実行するように構成されてもよい。あるいは、プロセッサ70は、自身がアクセス可能な命令を実行するように構成されてもよい。あるいは又は加えて、プロセッサ70は、ハードコードされた機能を実行するように構成されていてもよい。このように、ハードウェアにより構成されるかソフトウェアによる手法により構成されるか、又はこれらの組合せにより構成されるかに関わらず、プロセッサ70は、本発明の実施形態に従う処理を実行する能力を有する(例えば、物理的に回路の中に具現化された)要素を表す。例えば、プロセッサ70がASICやFPGAのようなものにより具現化されるとき、プロセッサ70は、本明細書により説明される処理を遂行するために特別に構成されたハードウェアと考えられうる。又は、別の実施形態では、プロセッサ70はソフトウェア命令を実行する実行機器として具現化される。そのような命令は、実行されることにより、プロセッサ70を、本明細書に記載されるアルゴリズム又は処理を遂行するように構成しうる。しかし、ある場合では、プロセッサ70は、たとえば移動端末やネットワークデバイス等の特定の装置のプロセッサである場合もある。その場合、そのような装置は、本明細書に記載されるアルゴリズム又は処理を実行するための命令によりプロセッサ70を構成することにより、本発明の実施形態を取り入れるように構成される。プロセッサ70はとりわけ、その動作をサポートするクロックや算術演算ユニット(ALU)、ロジックゲートを備える。
【0045】
通信インタフェース74は、ネットワークや、装置50と通信可能なデバイスやモジュールとの間でデータを受信及び/又は送信するように構成されたデバイスや回路のような、如何なる手段であってもよい。こうした手段は、ハードウェアやハードウェアとソフトウェアの組合せなどとして具現化される。この点において、通信インタフェース74は例えば、(1つ又は複数の)アンテナと、無線通信ネットワークとの通信を可能にするサポートハードウェア及び/又はソフトウェアを備えていてもよい。あるいは、又は加えて、通信インタフェース74は、(1つ又は複数の)アンテナとやり取りして、(1つ又は複数の)アンテナを介して信号を送信したり、(1つ又は複数の)アンテナを介して受信される信号を処理したりする回路を備えていてもよい。設置環境によっては、通信インタフェース74は有線通信をサポートしてもよい。それ故、通信インタフェース74は例えば、ケーブルTVやデジタル加入者線(DSL),USB(ユニバーサル・シリアル・バス),その他の機構をサポートする通信モデム及び/又はその他のハードウェア/ソフトウェアを備えていてもよい。
【0046】
ユーザインタフェース・トランシーバ72は、ユーザ入力を示す情報を受け取ってもよく、聴覚的,視覚的,機械的又はその他の出力をユーザに提供するために、プロセッサ70と通信してもよい。それ故、ユーザインタフェース・トランシーバ72は例えば、キーボードやマウス,ジョイスティック,ディスプレイ,タッチスクリーン,タッチ領域,ソフトキー,マイクロフォン,スピーカ,その他の入出力機構の何れかを備えていてもよい。あるいは、又は加えて、プロセッサ70は、スピーカやリンガ,マイクロフォン,ディスプレイ等の1つ又は複数のユーザインタフェースの要素の少なくとも何れかを制御するように構成されるユーザインタフェース回路を備えていてもよい。プロセッサ70及び/又はプロセッサ70を含むユーザインタフェース回路は、コンピュータプログラム命令を通じて、ユーザインタフェースの1つ又は複数の要素の1つ又は複数の機能を制御するように構成されてもよい。そうしたコンピュータプログラム命令は、例えばメモリデバイス76のような、プロセッサ70がアクセス可能なメモリに格納される、ソフトウェア及び/又はファームウェア等であってもよい。
【0047】
ある例示的実施形態において、装置50は、タッチスクリーンディスプレイ68(例えばディスプレイ28を備えるか、又はタッチスクリーンディスプレイ168と通信してもよい。別の例では、タッチスクリーンディスプレイ68は、二次元(2D)ディスプレイ又は三次元(3D)ディスプレイであってもよい。タッチスクリーンディスプレイ68は、既知の如何なるタッチスクリーンディスプレイとして実装されてもよい。従って例えば、タッチスクリーンディスプレイ68は、適切な如何なる技術によりタッチ認識を可能にしてもよい。例えば抵抗を利用したもの、コンデンサーを利用したもの、赤外線を利用したもの、歪みゲージを利用したもの、表面波を利用したものなどがあり、また、光学式、分散信号技術を利用したもの、音響パルスを利用したもの、その他の技術を利用したものもあるが、これらいずれを用いてもよい。ユーザインタフェース・トランシーバ72は、タッチスクリーンディスプレイ68と通信するようにされてもよい。それによってユーザインタフェース・トランシーバ72は、タッチスクリーンディスプレイ68におけるタッチ入力を受け取ったり、それを解析したり、そのような指示(すなわちタッチ入力)に対する応答を修正したりしてもよい。タッチ入力に対する応答は、タッチ入力から推定された(又は決定された)ユーザアクションに基づいて行われてもよい。
【0048】
図2を更に参照する。ある例示的実施形態において、装置50はタッチスクリーンインタフェース80を備えてもよい。ある例において、タッチスクリーンインタフェース80は、ユーザインタフェース・トランシーバ72の一部であってもよい。しかし、別のある実施形態においては、タッチスクリーンインタフェース80は、プロセッサ70により実装されてもよく、又はプロセッサ70により制御される別の要素であってもよい。このように、実施形態によっては、プロセッサ70は、タッチスクリーンインタフェース80が関与する様々な機能の起動や実行を、生じさせたり、指示したり、命令したりするものであると考えられうる。タッチスクリーンインタフェース80は、ソフトウェアに従って動作するデバイスや回路、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせのような、如何なる手段であってもよい。例えばソフトウェア制御で動作するプロセッサ70や、本明細書で説明される処理を実行するように特別に構成されたASICやFPGAとして具現化されるプロセッサ70や、これらの組み合わせであってもよい。そのような手段は、デバイスや回路を、以下に説明されるタッチスクリーンインタフェース80の機能を実行するように構成する。従って、ソフトウェアが用いられるある例では、ソフトウェアを実行するデバイスや回路(その一例はプロセッサ70である)は、そのような手段に関連する構成を形成する。
【0049】
タッチスクリーンインタフェース80は、タッチスクリーンディスプレイ68におけるタッチイベントの形の入力を受け取るように構成されてもよい。そこでタッチスクリーンインタフェース80は、タッチスクリーンディスプレイ68と通信するようにされてもよい。それによってタッチスクリーンインタフェース80は、タッチスクリーンディスプレイ68におけるユーザ入力を受け取ったり、ユーザ入力に対する応答を修正したりしてもよい。ユーザ入力に対する応答は、ユーザ入力から推定された(又は決定された)ユーザアクションに基づいて行われてもよい。タッチイベントの認識に続いて、場合によっては、タッチスクリーンインタフェース80はタッチイベントの分類を決定し、タッチイベントに基づいて対応する機能を提供するように構成されてもよい。
【0050】
ある実施形態において、タッチスクリーンインタフェース80は、検出部82,ディスプレイマネージャ84,ジェスチャ分類部86を備えてもよい。検出部82,ディスプレイマネージャ84,ジェスチャ分類部86の各々は、如何なるデバイスや手段でもよく、ハードウェアで実装されたものや、ハードウェア及びソフトウェアの組合せで実装されたものでもよい。いずれにせよこれらは、それぞれ検出部82,ディスプレイマネージャ84,ジェスチャ分類部86が持つ機能を遂行するように構成される。ある例示的実施形態において、検出部82,ディスプレイマネージャ84,ジェスチャ分類部86の各々はプロセッサ70により制御されてもよく、又は、プロセッサ70により具現化されてもよい。
【0051】
検出部82は、ユーザ入力を受け取るべくタッチスクリーンディスプレイ68と通信するようにされてもよく、受け取った入力に基づいてタッチイベントを認識したり判断したりしてもよい。タッチイベントは、オブジェクトの検出として定義されてもよい。ここで上記オブジェクトとしては、例えばスタイラスや指、ペン、鉛筆、携帯電話、デジタルカメラ、その他の携帯デバイス(例えば
図1に示される移動端末10)であってもよく、「タッチ」であると記録されるに十分なくらい、タッチスクリーンディスプレイの部分に接触しようとするオブジェクトであることができる。これに関して、例えば、タッチイベントは、タッチスクリーンディスプレイ68のスクリーン上で、所定の範囲にわたって所定の閾値を超える圧力が検出されることであってもよい。各タッチイベントに続いて、検出部82は、タッチイベントに対応するデータを、ジェスチャの分類のために、ジェスチャ分類部86に届けるように構成されてもよい。ここで上記のデータとしては、例えばタッチが検出された位置、タッチの長さ、タッチしたオブジェクトの数、タッチの圧力、タッチの面積、動きの速さ、動きの宝庫、遅延の長さ、タッチの周波数等であることができる。このようにして、検出部82は、例えばタッチイベントの結果として印加されるタッチ圧(所定の範囲に亘る力)の大きさを測定するように構成される一つ又は複数の力センサを備えるか、又はそのような力センサと通信状態にあってもよい。
【0052】
ジェスチャ分類分86は、タッチイベントの対応する分類を認識し決定するように構成されてもよい。つまり、ジェスチャ分類部86は、タッチイベントをいくつかの可能性のあるジェスチャのいずれかに分類すべく、ジェスチャ分類を行うように構成されてもよい。認識可能なジェスチャの例には、タッチやマルチタッチ、ストローク、文字、記号、形、ピンチ・イベント(つまみイベント、例えばピンチインやピンチアウト)等がある。
【0053】
ジェスチャ分類部86は、タッチイベントの認識,検出,分類の少なくとも一つに関する検出情報を、ディスプレイマネージャ84に伝えるように構成されてもよい。ディスプレイマネージャ84は、タッチスクリーンディスプレイ68に表示されているものについての修正に関する制御を提供するように構成されてもよい。そのような制御は、検出部82から受け取った検出情報に基づくものであってもよく、また、ジェスチャ分類部86により決定される、各ジェスチャ分類及び実装特性の各々に規定される応答に従って、ジェスチャ分類分86から提供されるジェスチャの分類に基づくものであってもよい。すなわち、ディスプレイマネージャ84は、ディスプレイ上で検出されうるタッチイベントについて決定されたジェスチャ分類及び実装特性分類に従って、ディスプレイを構成してもよい。ここで例えば、表示されるコンテンツに関連して、及び/又は表示されているコンテンツに対して提示されているユーザインタフェース効果に関連して、ディスプレイを構成してもよい。
【0054】
次に、
図3を検討する。(
図2に示す)装置50は通常、(
図2のディスプレイ68のような)タッチスクリーンディスプレイ105を備えるデバイス100によって具現化された装置として提供される。場合によっては、タッチスクリーンディスプレイ105が
図1に示す携帯端末10(例えば、携帯電話)のディスプレイ28でもよい。前述のように、装置は、少なくとも1つのプロセッサ(例えば
図2のプロセッサ70)と、コンピュータプログラムコードを格納する少なくとも1つのメモリ(例えば
図2のメモリデバイス76)を備えてもよい。少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサを用いて装置に選択可能要素をディスプレイ105の主要部115に表示させるように構成されてもよい。
図3に描かれた実施形態では、ディスプレイの主要部115にアイコン110a、110b、110cを含む3つの選択可能要素が表示されている。アイコン110aは電子メールアプリケーションを起動し、アイコン110bはワードプロセッシングアプリケーションを起動し、アイコン110cは電話をかける。
【0055】
少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサを用いて、ディスプレイ105の主要部に近接する入力領域125で(楕円120で表わされる)タッチ入力を受け取ることと、入力領域でのタッチ入力120の位置に基づいて、ディスプレイの主要部115における(破線楕円120'で表わされる)外挿タッチ入力を決定することを装置に実行させるように構成されてもよい。少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサを用いて装置に、外挿タッチ入力の位置が選択可能要素の位置と一致するとき、その選択可能要素の選択を行わせるように構成されてもよい。
図3に示すように、入力領域125はディスプレイ105の主要部115とは重ならない。
【0056】
なお、入力領域125は、デバイス100のタイプとその構成(例えば、ディスプレイ105の大きさやデバイスの使用用途等であって、デバイスが携帯型であるか、ユーザの机に固定するスタンドに取り付けられるのか、あるいは壁に取り付けされるのか等)を考慮した上で、ユーザにとって便利な位置なら何処にでも設けることができる。例えば、図示された実施形態では、入力領域125はディスプレイ105によって規定され、ディスプレイの端部に沿って配置される。
図3では、入力領域125は、例えばディスプレイ105の右端部に沿って配置されるが、
図5では、入力領域125はディスプレイの右端部と下端部の両方に沿って配置される。また、実施形態によっては、入力領域125が複数の領域を備えてもよい。その各領域は、ユーザのデバイスや好みの何れか又は両方に応じて、連続していても離れていてもよい。
【0057】
その結果、実施形態によっては、入力領域125は、ディスプレイ105と同一平面上にある面(ディスプレイ表面でもよく、そうでなくてもよい)によって規定されてもよい。
図9に示す実施形態のような他の実施形態では、入力領域125は、ディスプレイ105と成す角度がゼロでない面であって、図に示されるようにディスプレイの面に対して垂直な面によって規定されてもよい。例えば
図9では、以降で詳述するが、装置は腕時計であるデバイス100によって具現化される。この場合、入力領域125はディスプレイ105の周縁に(この場合、時計の文字盤として)設けられる。したがって、
図9に描かれた実施形態では、入力領域は、デバイスの外縁部に設けられた1つ又は複数のタッチセンサを介して提供される。こうしたタッチセンサはデジタル腕時計のボタンが設けられる所以外の所に設けられる。タッチスクリーンディスプレイに関連して前述したように、
図9のような実施形態において入力領域125を規定する面は、あらゆる適切な技術であって、例えば抵抗や電気容量、赤外線、歪みゲージ、表面波、光学イメージ、分散信号技術、音響パルス、その他の技術の何れか又は全てによってタッチ認識を可能にしてもよい。
【0058】
図示されていない他の実施形態で、前述のように装置が腕時計によって具現化されるものでは、入力領域125が、タッチスクリーンディスプレイの一部ではなく、タッチスクリーンディスプレイと同一平面上(又は実質的に同一平面上)にある領域に設けられてもよい。例えば、入力領域は、ディスプレイのベゼル(
図9に示すように円形でもよく、矩形でも他の形状でもよい)に設けられることで、実質的に同一平面上にあるが、ディスプレイの画素が設けられた所以外に設けられてもよい。
【0059】
再び、
図3に示す実施形態を検討する。例えば、ユーザが入力領域125に対してディスプレイ105のy軸方向の点にタッチ入力120を(例えば、ユーザの指を使って)行うとする。この点は、所望の選択可能要素(この場合、電子メールアプリケーションを起動するアイコン110a)が表示されるy軸方向の点y1に対応する。少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサを用いて(例えば、
図2に示すタッチスクリーンインタフェース80の検出部82を介して)、タッチ入力120のy軸方向の位置がアイコン110aのy軸方向の位置に一致することを決定してもよい。外挿タッチ入力120'は、行われたタッチ入力120と同じy座標でx軸方向の1つ又は複数の点として決定されてもよい。
【0060】
場合によっては、外挿タッチ入力120'の位置(例えば、図示した実施形態における外挿タッチ入力のy座標)がアイコン110aの位置からy軸方向で特定の距離以内にあるとき、この外挿タッチ入力120'は選択可能要素の位置と一致するとみなされてもよい。例えば、表示アイコン110aの中心がそのアイコンの基準位置とみなすことができ、アイコンの中心点から特定のy方向距離以内(例えば、携帯電話に設けられたタッチスクリーンに対して1cm以内)にある外挿タッチ入力120'を生じさせる任意のタッチ入力120は、そのアイコンの位置に対応するタッチ入力とみなされてもよい。他の実施形態では、タッチ入力120とその結果生じる外挿タッチ入力120'は、特定の範囲(例えば、タッチスクリーン105でユーザの指又はオブジェクトからの圧力が加わる範囲)を有するとみなされてもよく、外挿タッチ入力の位置の対応する範囲がアイコンの表示される範囲と重なるとき、外挿タッチ入力の位置は、選択可能要素110aの位置と一致するとみなされてもよい
【0061】
少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサを用いて装置に、ディスプレイの主要部における外挿タッチ入力120'の位置を示す視覚表現を提供させるように構成されてもよい。例えば
図3では、こうした視覚表現は、外挿タッチ入力120'の大まかな位置を示す破線楕円や他の視覚標示(例えば、色や網掛け部分等)でもよい。ただし他の場合では、外挿タッチ入力120'の位置はタッチスクリーンディスプレイ105上では視覚的に表現されなくてもよい。
【0062】
また更に他の実施形態では、視覚表現は
図4に示すように、入力領域125のタッチ入力120の位置からディスプレイ105の主要部115に少なくとも一部入るまで延びた半直線(ray)130を含んでもよい。半直線130は、例えば図に示すように、タッチ入力120の位置から(例えば、タッチ入力の中心のようなタッチ入力の基準位置から)x軸方向にディスプレイの主要部の中まで延びた光る半直線でもよい。この場合、外挿タッチ入力120'は、半直線130に沿った任意の点とみなされることで、半直線130が選択可能要素と交わるときに、選択可能要素110aの位置と一致するとみなされてもよい。
【0063】
図5を参照すると、実施形態によっては、タッチ入力120は第1のタッチ入力120-yを含み、外挿タッチ入力120'は第1の外挿タッチ入力120'-yを含んでもよい。少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは更に、プロセッサを用いて、ディスプレイ105の入力領域125で第2のタッチ入力120-xを受け取ることと、入力領域での第2のタッチ入力の位置に基づいて、ディスプレイの主要部115における第2の外挿タッチ入力120'-xを決定することと、第1の外挿タッチ入力及び第2の外挿タッチ入力の交点が選択可能要素110aの位置と一致するときに、選択可能要素の選択を行うことを装置に実行させるように構成されてもよい。
【0064】
例えば
図5では、入力領域125は、y軸方向に延在するディスプレイの一部分と、x軸方向に延在するディスプレイの一部分を含む。y軸方向に延在する部分を介して受け取られるタッチ入力120−yは、所望の選択可能要素のy座標に対応する第1のタッチ入力120−yとみなされ、x軸方向に延在する部分を介して受け取られるタッチ入力120−xは、所望の選択可能要素のx座標に対応する第2のタッチ入力120−xとみなされてもよい。こうして、第1及び第2のタッチ入力120−x・120−yの組合せが、図に示すような所望の選択可能要素のx−y座標位置(x
1, y
1)を与えてもよい。
【0065】
図5に示す実施形態において、電子メールアプリケーション用アイコン110aとワードプロセッシングアプリケーション用アイコン110bが接近している場合、ユーザは、所望の選択可能要素をより正確に特定するために、2つのタッチ入力をほぼ同時に(例えば、第1のタッチ入力の接触時間が第2のタッチ入力の接触時間と少なくとも一部重なるような方法で)行う必要があるかもしれない。ただし他の場合では、所望の選択可能要素のx及びy座標の指定とみなされるために、第1のタッチ入力を第2のタッチ入力と同時に行う必要がないこともある。例えば、第1及び第2のタッチ入力が順々に(例えば、第1のタッチ入力を行ってから特定の時間、例えば1-5秒以内に第2のタッチ入力が行われるように)与えられてもよい。このようにして、ユーザは、片手及び/又は指一本で第1及び第2のタッチ入力の両方を与えることができる。これは例えば、(壁掛けディスプレイ等の)大型ディスプレイが用いられるときには有益となり得る。この場合、ユーザが第1及び第2のタッチ入力の両方を同時に行うことは(ディスプレイの面積が広いために)物理的にも不可能である。
【0066】
図5では例えば、アイコン110a・110bは同じy座標に配置される。したがって、例えば
図3に示すように行われた単一のタッチ入力は、2つのアイコン110a・110bのうちユーザが選択したい方を指し示すには適切でないかもしれない。第2のタッチ入力を追加することで、所望の選択可能要素のx座標が表わされ、外挿タッチ入力120'-x・120'-yの交点が、ユーザが選択したい選択可能要素を正確に示すことができる。
【0067】
図6Aから7Bを参照すると、実施形態によっては、少なくとも一つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサを用いて、タッチ入力120に関連する(
図6B及び7Bに示す)角度θを検出することと、検出されたタッチ入力の角度に基づいて、外挿タッチ入力の位置を決定することを装置に実行させるように構成されてもよい。 角度θは、例えば、ディスプレイに対する指又は他のオブジェクトの角度を検知するセンサ(例えば、ディスプレイに内蔵された、あるいは関連する圧力センサアレイ及び/又は近接アレイ)によって検出されてもよい。
【0068】
例えば
図6A及び6Bでは、ユーザが入力領域125でタッチ入力を行い、このタッチ入力のy座標に対応するy座標に位置せず(例えば、タッチ入力と直接一致せず)、行われたタッチ入力の位置から特定の角度にある(例えば、行われたタッチ入力のy方向位置の「下方」にある)選択可能要素110cを選択することができる。
図6Bに示すように、描かれた実施形態では、ユーザは、ディスプレイ105の面Pに対して角度θで指135(又は他のオブジェクト)を当てる。ここで、角度θは(
図6Aにおいて半直線130で表わされる)外挿タッチ入力を決定するために用いられる角度 θ'に対応する。ワードプロセッシングアプリケーション用アイコン110bのような別の選択可能要素を選択するために、ユーザは、別の角度θで指135を当ててもよい。この別の角度θは、(
図7Aにおいて半直線130で表わされる)外挿タッチ入力を決定するために用いられる別の角度 θ'に対応してもよい。
図6B及び7Bでは角度θがy−z平面での角度として示されているが、他の実施形態では角度θがx−z平面のような他の平面や複数の平面での角度であってもよいが理解されよう。加えて、角度θが、例えば所望の選択可能要素までの距離のような、外挿タッチ入力の他の特性を決定するために用いられてもよい(例えば、角度θが狭くなる程、ユーザの指135から選択可能要素までの距離が長くなる)。
【0069】
これに伴って、
図8A及び8Bに示すように、少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサを用いて装置に、タッチ入力120の角度θの変化に基づいて、外挿タッチ入力の位置を変更させるように構成されてもよい。例えば、ユーザは、第1の角度θ
1での開始位置137から第2の角度θ
2での終了位置138まで指135を「揺動(rock)」させてもよい(
図8に示す)。場合によっては、こうした揺動によって、ユーザが特定の選択可能要素を選択するために半直線130の位置を調節することができてもよい。ただし他の場合では、
図8Bに示すθ
1からθ
2への角度変化が、特定範囲140(
図8Aに示される半直線130の間に規定される範囲)を「スイープ(sweep)」する外挿タッチ入力を決定するために使用されてもよい。こうして、ユーザは、多数の選択可能要素がディスプレイ105に提示されていて(例えば、図示された3つのアイコンよりも多くて)、より細かい粒度での制御を要する状況においても、選択可能要素を選択することができる。また、こうした「スイープ」入力によって、ユーザは複数の選択可能要素を選択することができる(例えば、スイープ範囲140の中にある全ての選択可能要素を選択できる)。
【0070】
次に
図9を検討する。
図9では、入力領域125がディスプレイスクリーン105の周縁に設けられ、ユーザは、ディスプレイスクリーン105の縁部外側に対して「揺動」入力を与えることができる。例えば、ユーザは、第1の角度θ
1で(破線で示される)開始位置137から第2の角度θ
2で(実線で示される)終了位置138まで指135を「揺動」させてもよい。前述のように、こうした「揺動」によって、ユーザは半直線130の位置を調節し、特定の選択可能要素(図示せず)の選択や、複数の選択可能要素の選択を行うことができる(例えば、スイープ範囲の中にある全ての選択可能要素を選択できる)。
【0071】
図10は、本発明の例示的実施形態に従うシステム、方法、コンピュータプログラムに基づく製品のフローチャートである。フローチャートの個々のブロック及びフローチャートのブロックの組合せは様々な手段によって実施されることに留意されたい。そのような手段には、例えばハードウェアやファームウェア、プロセッサ、回路、及び/又はソフトウェアの実行に関連付けられるデバイスが含まれる。また当該ソフトウェアは1つ又は複数のコンピュータプログラム命令を含む。例えば、上述の1つ又は複数の処理は、コンピュータプログラム命令によって具現化されてもよい。これに関して、前述の処理を具現化するコンピュータプログラム命令は、本発明の例示的実施形態を採用する装置のメモリデバイスに格納され、装置のプロセッサにより実行されてもよい。当然のことながら、こうしたコンピュータプログラム命令は、コンピュータや他のプログラム可能な装置(例えばハードウェア)にロードされて機械を構成する。すなわち、命令がロードされたコンピュータ又はプログラム可能な装置は、フローチャートの(1つ又は複数の)ブロックにより特定される機能を実装するための手段を具現化する。これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読メモリに格納されてもよく、固有の方法でコンピュータ又はその他のプログラム可能な装置を機能させるべく命令してもよい。すなわち、コンピュータ可読メモリに格納される命令は、実行されることにより、一つ又は複数のフローチャートのブロックにより特定される機能を実装する製品を形成する。コンピュータプログラム命令はコンピュータ又はその他のプログラム可能な装置にロードされ、一連の動作を前記コンピュータ又はその他のプログラム可能な装置で実行させることにより、コンピュータ実装プロセスを生成する。すなわち、コンピュータ又はその他のプログラム可能な装置で命令が実行されることにより、フローチャートブロックの一つ又は複数で特定される機能を実装するための動作を提供する。
【0072】
したがって、フローチャートのブロックは、特定の機能を実行する手段の組み合わせや、特定の機能を実行する処理の組み合わせ、特定の機能を実行するプログラム命令手段の組み合わせ、をサポートする。また、フローチャートの1つ又は複数のブロック、及びフローチャートの複数のブロックの組合せは、特定の機能を実行する特定目的のハードウェアベースのコンピュータシステムや、特定目的のハードウェアとコンピュータ命令との組合せによって実装されてもよいことも理解されたい。
【0073】
これに関して、間接タッチ入力を受け取る方法の例示的実施形態が
図10に示されている。
図10はこうした方法の例示的実施形態を示し、この方法は、ブロック200でディスプレイの主要部に選択可能要素の表示を行うことと、ブロック210でディスプレイの主要部に近接する入力領域でタッチ入力を受け取ることを含み、入力領域は主要部と重ならない。場合によっては、入力領域はディスプレイの縁部に沿って配置されてもよい。ディスプレイの主要部での外挿タッチ入力は、前述のように、ブロック220で、入力領域のタッチ入力の位置に基づいて決定されてもよく、外挿タッチ入力が特定の選択可能要素の位置と一致するとき、選択可能要素の選択が行われてもよい。
【0074】
場合によっては、第1のタッチ入力は第1のタッチ入力を含み、外挿タッチ入力は第1の外挿タッチ入力を含んでもよい。第2のタッチ入力が入力領域で受け取られ、入力領域での第2のタッチ入力の位置に基づいて、ディスプレイの主要部における第2の外挿タッチ入力が決定されてもよい。選択可能要素の選択は、第1の外挿タッチ入力及び第2の外挿タッチ入力の交点が選択可能要素の位置と一致するときに行われてもよい。
【0075】
さらに他の場合では、ブロック240でタッチ入力に関連する角度が検出され、検出されたタッチ入力の角度に基づいて、外挿タッチ入力の位置が決定されてもよい。また、ブロック250で、外挿タッチ入力の位置の視覚表現がディスプレイの主要部に提供されてもよい。例えば前述のように、視覚表現は、入力領域でのタッチ入力の位置からディスプレイの主要部に少なくとも一部入るまで延びた半直線を含んでもよい。加えて実施形態によっては、外挿タッチ入力の位置が、タッチ入力の角度の変化に基づいて変更されてもよい。
【0076】
実施形態によっては、上述の処理のいずれかは変形される場合があり、また後述のように強化される場合がある。さらに実施形態によっては、更なる処理が加えられる場合もある。上述の処理に対する修正や追加、強化は、どのような順番又は組み合わせによって行われてもよい。
【0077】
ある例示的実施形態において、上述の
図10の方法を実行する装置は、上述の処理(200−250)の何れか又は複数を実行するように構成される処理手段(例えば、
図2のプロセッサ70)を備えていてもよい。処理手段はまた、例えば、ハードウェアにより実装された論理機能を実行することにより、又は格納した命令を実行することにより、又は各処理を実行するためのアルゴリズムを実行することにより、処理(200−250)を実行するように構成されていてもよい。あるいは、装置が上述の処理の各々を実行する手段を備えていてもよい。これに関して、ある例示的実施形態においては、処理200、210及び240の少なくとも一部を実行する手段の例は、例えば、プロセッサ70やユーザインタフェース送受信機72、メモリデバイス76を備えてもよく、また、上述の情報処理を行うアルゴリズムを実行する命令を実行するデバイスや回路を備えてもよい。処理220を実行する手段の例は、例えば、プロセッサ70を備えてもよく、また、上述の情報処理を行うアルゴリズムを実行する命令を実行するデバイスや回路を備えてもよい。処理230を実行する手段の例は、例えば、プロセッサ70やユーザインタフェース送受信機72、通信インタフェース74、メモリデバイス76を備えてもよく、また、上述の情報処理を行うアルゴリズムを実行する命令を実行するデバイスや回路を備えてもよい。処理250を実行する手段の例は、例えば、プロセッサ70やユーザインタフェース送受信機72を備えてもよく、また、上述の情報処理を行うアルゴリズムを実行する命令を実行するデバイスや回路を備えてもよい。
【0078】
前述の説明や関連する図面に示される教示から利益を受けうる当業者には、ここで説明された発明についての多くの変形やその他の実施形態が想起されるであろう。したがって、本発明は開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、その変形と他の実施形態も添付する特許請求の範囲内に含まれることを理解されたい。加えて、前述の内容及び関連する図面は、要素及び/又は機能に関する特定の例示的組み合わせの状況における例示的実施形態を示すものであって、添付する特許請求の範囲を逸脱しないような代替的実施形態によって、要素及び/又は機能に関する別の組み合わせも提供されうることにも理解されるべきである。ここで例えば、上で明示的に説明されている要素や機能の組み合わせ以外の組み合わせも、添付の請求項のいずれかの範囲に属するものと考えるべきである。本願では特定の術語が使用されているが、それらは一般的説明を目的として使用されており、限定目的ではない。