(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6200601
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
A41D13/11 H
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-557333(P2016-557333)
(86)(22)【出願日】2016年4月28日
(86)【国際出願番号】JP2016063323
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】
藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−054767(JP,A)
【文献】
特開2004−049356(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3047179(JP,U)
【文献】
特開2004−113293(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3178071(JP,U)
【文献】
特開2013−172836(JP,A)
【文献】
特許第5648015(JP,B2)
【文献】
特開2011−092616(JP,A)
【文献】
一般的なSARSに関するQ&A,厚生労働省[オンライン],2004年 1月,「今冬のSARS対策について」(平成16年1月)<URL:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/index.html>のページから「『重症急性呼吸器症候群』関連情報(詳細)へ」、「4 Q&A「重症急性呼吸器症候群(SARS)」、「1.一般的なSARSに関するQ&A」をたどる。,URL,http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/06-03-01.html
【文献】
新発見!花粉症の原因は乾燥肌だった!?今年も急増する花粉症 最新対策,日本テレビ放送網株式会社[オンライン],2013年 2月,URL,http://www.ntv.co.jp/sekaju/onair/130202/03.html
【文献】
マスク2枚重ねで使う人,株式会社インタースペース[オンライン],2015年12月,URL,http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2527426
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに別体に設けられ、装着者の口を覆う第1及び第2の本体部と、
前記第1の本体部の左右両側に設けられ、当該第1の本体部を前記装着者の顔に固定するための第1の固定部と、
前記第2の本体部の左右両側に設けられ、当該第2の本体部を前記装着者の顔に固定するための第2の固定部と、を備え、
前記第1及び第2の固定部の一方は、前記装着者の耳に掛けられるループ状の耳掛部材からなり、
前記第1及び第2の固定部の他方は、前記耳掛部材に結び付けられる一対の紐からなることを特徴とするマスク。
【請求項2】
請求項1に記載のマスクにおいて、
前記第2の本体部は、前記第1の本体部よりも小さいマスク。
【請求項3】
請求項2に記載のマスクにおいて、
前記第1及び第2の本体部は、矩形をしているマスク。
【請求項4】
請求項3に記載のマスクにおいて、
前記第2の本体部の上下方向の長さは、前記第1の本体部の上下方向の長さよりも小さいマスク。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のマスクにおいて、
前記第2の本体部の左右方向の長さは、前記第1の本体部の左右方向の長さよりも小さいマスク。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかに記載のマスクにおいて、
前記第1及び第2の本体部の中心が一致するようにして当該第1及び第2の本体部が重ね合わされた状態のとき、平面視で、前記第1の本体部の周囲全体が前記第2の本体部の外側に食み出るマスク。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のマスクにおいて、
前記第2の本体部の外面の色は、前記第1の本体部の外面の色と異なるマスク。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のマスクにおいて、
前記第2の固定部の色は、前記第1の固定部の色と異なるマスク。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載のマスクにおいて、
前記第1又は第2の本体部に対して着脱可能に設けられた保湿材を備えるマスク。
【請求項10】
請求項9に記載のマスクにおいて、
前記保湿材は、前記第1又は第2の本体部に貼付可能であるマスク。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のマスクにおいて、
前記第1又は第2の本体部は、前記保湿材を収納するポケットを有するマスク。
【請求項12】
請求項11に記載のマスクにおいて、
前記第1又は第2の本体部は、複数の前記ポケットを有するマスク。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れかに記載のマスクにおいて、
前記保湿材は、芳香成分を含有するマスク。
【請求項14】
請求項9乃至13の何れかに記載のマスクにおいて、
前記保湿材は、抗菌成分を含有するマスク。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れかに記載のマスクにおいて、
前記第1の本体部には、当該第1の本体部を前記装着者の顔に密着させるための可塑性の第1の線状部材が設けられており、
前記第2の本体部には、当該第2の本体部を前記装着者の顔に密着させるための可塑性の第2の線状部材が設けられており、
前記第1の線状部材は、前記第1及び第2の本体部の中心が一致するようにして当該第1及び第2の本体部が重ね合わされた状態のときに前記第2の線状部材に重ならない位置に設けられているマスク。
【請求項16】
請求項15に記載のマスクにおいて、
前記第1の線状部材は、前記状態のときに前記第2の本体部に重ならない位置に設けられているマスク。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れかに記載のマスクにおいて、
前記第1及び第2の本体部とは別体に設けられ、装着者の口を覆う第3の本体部と、
前記第3の本体部の左右両側に設けられ、当該第3の本体部を前記装着者の顔に固定するための第3の固定部と、を備えるマスク。
【請求項18】
請求項17に記載のマスクにおいて、
前記第2の本体部は、前記第1の本体部よりも小さく、
前記第3の本体部は、前記第2の本体部よりも小さいマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の鼻や口を覆うマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマスクとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたマスクは、装着者の鼻及び口を覆う本体部と、本体部を装着者の顔に固定するための耳紐とを備えている。本体部は、通気性のシート状素材から形成されている。耳紐は、本体部の左右両側に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−40163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるマスクは、本体部で鼻及び口を覆うことにより、鼻腔内や口腔内に侵入しようとする有害粒子(PM2.5、花粉、細菌、ウィルス等)を遮断する機能を有する。マスクに求められる遮断機能の程度は、当該マスクを使用する状況によって異なる。例えば、有害粒子の侵入リスクが高い室外でマスクを使用する場合には高い遮断機能が求められるが、有害粒子の侵入リスクが低い室内でマスクを使用する場合であれば低い遮断機能で足りる。しかしながら、特許文献1に記載されたマスクでは、使用状況に応じて遮断機能の程度を調整することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用状況に応じて遮断機能の程度を調整することが可能なマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるマスクは、互いに別体に設けられ、装着者の口を覆う第1及び第2の本体部と、上記第1の本体部の左右両側に設けられ、当該第1の本体部を上記装着者の顔に固定するための第1の固定部と、上記第2の本体部の左右両側に設けられ、当該第2の本体部を上記装着者の顔に固定するための第2の固定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このマスクにおいては、第1の本体部に加えて、第2の本体部が設けられている。第1及び第2の本体部には、それぞれ第1及び第2の固定部が設けられている。このため、第1又は第2の本体部の何れか一方のみが顔に固定された状態(第1の状態)でマスクを使用することも、第1及び第2の本体部の双方が顔に固定された状態(第2の状態)でマスクを使用することもできる。第2の状態では、第1の状態に比して、有害粒子が通過しにくくなり、マスクの遮断機能が高くなる。したがって、装着者は、使用状況に応じて第1の状態と第2の状態とを切り替えることにより、マスクの遮断機能の程度を調整することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用状況に応じて遮断機能の程度を調整することが可能なマスクが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるマスクの第1実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1のマスクの本体部12及び本体部14が重ね合わされた状態を示す平面図である。
【
図3】本発明によるマスクの第2実施形態を示す平面図である。
【
図4】
図3のマスクにおいて固定部25が固定部22に結び付けられた状態を示す平面図である。
【
図5】本発明によるマスクの第3実施形態を示す平面図である。
【
図6】本発明によるマスクの第4実施形態を示す平面図である。
【
図8】
図7のマスクの本体部12、本体部14及び本体部16が重ね合わされた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明によるマスクの第1実施形態を示す平面図である。マスク1は、本体部12(第1の本体部)、本体部14(第2の本体部)、固定部22(第1の固定部)、及び固定部24(第2の固定部)を備えている。
【0012】
各本体部12,14は、矩形のシート状をしており、装着者の口を覆う。各本体部12,14は、装着者の目、鼻及び口のうち、鼻及び口のみを覆うものであってもよいし、口のみを覆うものであってもよい。これらの本体部12,14は、互いに別体に設けられている。各本体部12,14は、通気性を有する材料からなる。かかる材料としては、例えば、不織布又は紙を用いることができる。本体部12と本体部14とは、同一の材料からなっていてもよいし、異なる材料からなっていてもよい。また、本体部12の外面と本体部14の外面とは、同一の色を有していてもよいし、異なる色を有していてもよい。ここで、外面とは、装着者の顔に対向する面である内面とは反対側の面をいう。
【0013】
本体部14は、本体部12よりも小さい。すなわち、平面視で、本体部14の面積は、本体部12の面積よりも小さい。詳細には、本体部14の上下方向の長さは本体部12の上下方向の長さよりも小さく、本体部14の左右方向の長さは本体部12の左右方向の長さよりも小さい。
【0014】
本体部12の左右両側には、本体部12を装着者の顔に固定するための固定部22が設けられている。同様に、本体部14の左右両側には、本体部14を装着者の顔に固定するための固定部24が設けられている。これらの固定部22,24は、装着者の耳に掛けられるループ状の耳掛部材からなる。かかる耳掛部材としては、例えばゴム紐を用いることができる。固定部22の色は、本体部12の色と同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、固定部24の色は、本体部14の色と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、固定部22と固定部24とは、同一の色を有していてもよいし、異なる色を有していてもよい。
【0015】
また、本体部12には、本体部12を装着者の顔に密着させるための線状部材32(第1の線状部材)が設けられている。同様に、本体部14には、本体部14を装着者の顔に密着させるための線状部材34(第2の線状部材)が設けられている。線状部材32及び線状部材34は、それぞれ本体部12の上端及び本体部14の上端に沿って延在している。線状部材32は、例えば、本体部12の上端付近を袋状に形成し、その中に収容すればよい。線状部材34についても同様である。各線状部材32、34は、可塑性を有している。各線状部材32,34の材料としては、例えば、金属又は樹脂を用いることができる。
【0016】
図2は、本体部12及び本体部14の中心が一致するようにして本体部12及び本体部14が重ね合わされた状態を示す平面図である。同図に示すように、当該状態のとき、平面視で、本体部12の周囲全体が本体部14の外側に食み出る。また、同図からわかるように、線状部材32は、上記状態のときに線状部材34に重ならない位置に設けられている。特に本実施形態において線状部材32は、本体部14にも重ならない位置に設けられている。
【0017】
マスク1の効果を説明する。マスク1においては、本体部12に加えて、本体部14が設けられている。本体部12及び本体部14には、それぞれ固定部22及び固定部24が設けられている。このため、本体部12又は本体部14の何れか一方のみが顔に固定された状態(第1の状態)でマスク1を使用することも、本体部12及び本体部14の双方が顔に固定された状態(第2の状態)でマスク1を使用することもできる。第2の状態では、本体部12と本体部14とが互いに重ね合わされた状態で装着者の口を覆う。この第2の状態では、第1の状態に比して、有害粒子が通過しにくくなり、マスク1の遮断機能が高くなる。したがって、装着者は、使用状況に応じて第1の状態と第2の状態とを切り替えることにより、マスク1の遮断機能の程度を調整することができる。なお、第2の状態でマスク1を使用する場合、本体部14は、本体部12の内面側に配置されてもよいし、本体部12の外面側に配置されてもよい。
【0018】
例えば、装着者は、有害粒子の侵入リスクが高い室外(特に人込みの中)では、遮断機能がより高い第2の状態でマスク1を使用する一方で、有害粒子の侵入リスクが低い室内では、第1の状態でマスク1を使用することができる。第1の状態には、第2の状態に比して呼吸がしやすいという利点がある。
【0019】
本体部14は、本体部12よりも小さい。このように大きさの異なる本体部12,14が設けられていることにより、第1の状態でマスク1を使用する際、装着者の顔の大きさ等に応じて適度な大きさの本体部(本体部12又は本体部14)を選択することが可能となる。
【0020】
本体部14の上下方向の長さは、本体部12の上下方向の長さよりも小さい。このため、本体部14が本体部12の内面側に配置されるようにして第2の状態でマスク1を使用した場合、本体部14の上下両端を本体部12で覆うことができる。これにより、本体部14の上下両端から有害粒子が侵入しにくくなる。また、本体部14の上端から息が漏れにくくなる。かかる息漏れを少なくすることは、眼鏡の曇りを防止する観点から好ましい。
【0021】
本体部14の左右方向の長さは、本体部12の左右方向の長さよりも小さい。このため、本体部14が本体部12の内面側に配置されるようにして第2の状態でマスク1を使用した場合、本体部14の左右両端を本体部12で覆うことができる。これにより、本体部14の左右両端から有害粒子が侵入しにくくなる。
【0022】
本体部12及び本体部14が重ね合わされた状態(
図2参照)のとき、平面視で、本体部12の周囲全体が本体部14の外側に食み出る。このため、本体部14が本体部12の内面側に配置されるようにして第2の状態でマスク1を使用した場合、本体部14の上下両端及び左右両端を本体部12で覆うことができる。これにより、本体部14の上下両端からも左右両端からも有害粒子が侵入しにくくなる。
【0023】
本体部14の外面の色が本体部12の外面の色と異なる場合、第1の状態でマスク1を使用する際、本体部12又は本体部14の何れを選択するかによって異なる色が呈されることになる。また、本体部14が本体部12の外面側に配置されるようにして第2の状態でマスク1を使用した場合には、本体部14の外面の色のみならず、本体部12の外面の一部(本体部14の外側に食み出した部分)の色も見えることになる。このため、マスク1のファッション性が向上する。
【0024】
固定部22は、装着者の耳に掛けられるループ状の耳掛部材からなる。これにより、装着者の顔に本体部12を容易に固定することができる。また、固定部24も、同様の耳掛部材からなる。これにより、装着者の顔に本体部14を容易に固定することができる。
【0025】
固定部24の色が固定部22の色と異なる場合、第2の状態でマスク1を使用する際、2色の耳掛部材が露出することになる。これにより、マスク1のファッション性が向上する。また、この場合、本体部12に設けられた固定部(固定部22)と、本体部14に設けられた固定部(固定部24)とを容易に見分けることができる。このため、第2の状態から第1の状態に切り替える際、本体部12又は本体部14の取外しをスムーズに行うことができる。
【0026】
線状部材32は、本体部12及び本体部14が重ね合わされた状態(
図2参照)のときに線状部材34に重ならない位置に設けられている。このため、線状部材32及び線状部材34を顔の立体形状に沿って塑性変形させる際、線状部材32及び線状部材34が互いに邪魔になるのを防ぐことができる。これにより、本体部12及び本体部14の顔に対する密着度を向上させることができる。
【0027】
上記状態のとき、線状部材32は、本体部14にも重ならない位置に設けられている。これにより、本体部12における本体部14から食み出した部分の顔に対する密着度を向上させることができる。
(第2実施形態)
【0028】
図3は、本発明によるマスクの第2実施形態を示す平面図である。マスク2は、本体部12、本体部14、固定部22、及び固定部25(第2の固定部)を備えている。本体部12、本体部14及び固定部22の構成は、マスク1について説明したとおりである。
【0029】
本体部14の左右両側には、本体部14を装着者の顔に固定するための固定部25が設けられている。固定部25は、固定部22(耳掛部材)に対して着脱可能な取付部材からなる。本実施形態において取付部材は、固定部22に結び付けられる一対の紐である。対をなしている2本の紐は、本体部14における略同一の位置に取り付けられている。本体部14の左右両側には、かかる紐が二対ずつ設けられている。本体部14の左右両側のそれぞれにおいて、一対の紐は本体部14の上端近傍に位置し、もう一対の紐は本体部14の下端付近に位置している。
図4に示すように、各対の紐を固定部22に結び付けることにより、本体部12を介して本体部14を装着者の顔に固定することができる。マスク2のその他の構成は、マスク1と同様である。
【0030】
マスク2の効果を説明する。マスク2においては、固定部25が固定部22に対して着脱可能な取付部材からなる。固定部25を固定部22に取り付けることにより、本体部14を装着者の顔に固定することができる。このように固定部25を耳に掛けることなく本体部14を顔に固定することができるため、装着者の耳裏にかかる負担を軽減することができる。
【0031】
上記取付部材は、固定部22に結び付けられる一対の紐である。これにより、簡易な構成で、固定部22に対して着脱可能な取付部材を実現することができる。マスク2のその他の効果は、マスク1と同様である。
【0032】
なお、本実施形態においては、本体部12に設けられた固定部(第1の固定部)が装着者の耳に掛けられるループ状の耳掛部材からなり、本体部14に設けられた固定部(第2の固定部)が耳掛部材に対して着脱可能な取付部材からなる場合を例示した。しかし、第2の固定部が耳掛部材からなり、第1の固定部が取付部材からなっていてもよい。
(第3実施形態)
【0033】
図5は、本発明によるマスクの第3実施形態を示す平面図である。マスク3は、本体部12、本体部14、固定部22及び固定部24に加えて、保湿機能を有する保湿材42を備えている。本実施形態においては、2つの保湿材42が設けられている。保湿材42は、本体部12又は本体部14に対して着脱可能に設けられている。保湿材42は、各本体部12,14よりも小さいシート状をしており、本体部12又は本体部14に貼付可能である。具体的には、保湿材42は、その片面に粘着剤が塗布されており、本体部12,14に貼付することも、本体部12,14から剥離することも可能である。
【0034】
この保湿材42は、各本体部12,14における任意の位置に貼付することができる。保湿材42は、各本体部12,14の外面に貼付してもよいし、内面に貼付してもよい。また、保湿材42は、本体部12及び本体部14の何れか一方にのみ貼付してもよいし、双方に貼付してもよい。
図5は、保湿材42が本体部12にのみ貼付された場合を示している。図中の上側の保湿材42は、概ね、装着者の鼻と口の間の領域に重なる部分に位置している。また、下側の保湿材42は、概ね、装着者の口の下の領域に重なる部分に位置している。
【0035】
保湿材42としては、例えば、保湿成分を含有する液体を含浸させた不織布を用いることができる。保湿成分としては、例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、グリセリン類が挙げられる。
【0036】
保湿材42には、保湿成分と共に、芳香成分及び/又は抗菌成分が含有されていてもよい。芳香成分としては、例えば、ユーカリ、ローズマリーその他のハーブの香りを発するものが挙げられる。また、抗菌成分としては、例えば、カテキンその他のタンニンが挙げられる。タンニンとしては、お茶やコーヒーに含有されているものを用いることができる。マスク3のその他の構成は、マスク1と同様である。
【0037】
マスク3の効果を説明する。マスク3においては、保湿材42が設けられている。このため、喉の乾燥を効果的に防ぐことができる。しかも、この保湿材42は、着脱可能に設けられている。これにより、マスク3は、保湿材42が取り付けられた状態でも、取り外された状態でも使用することができるため、装着者にとっての利便性が高まる。
【0038】
さらに、保湿材42は、本体部12,14に貼付可能であるため、本体部12,14への着脱が容易である。また、保湿材42を本体部12,14における任意の位置に貼付することができるため、装着者は、本体部12,14に取り付けられた保湿材42の位置を変えることにより、保湿の程度を調整することができる。
【0039】
保湿材42は、複数設けられている。このため、装着者は、本体部12,14に取り付けられた保湿材42の個数を変えることにより、保湿の程度を調整することができる。ただし、保湿材42は、1つだけ設けられてもよい。
【0040】
保湿材42が芳香成分を含有する場合、当該成分が呼吸時に鼻腔に吸い込まれることにより、装着者は、より快適にマスク3を使用することができる。保湿材42が抗菌成分を含有する場合、吸気中や呼気中の雑菌が繁殖するのを抑制することができるため、装着者は、より衛生的にマスク3を使用することができる。マスク3のその他の効果は、マスク1と同様である。
(第4実施形態)
【0041】
図6は、本発明によるマスクの第4実施形態を示す平面図である。マスク4は、本体部12、本体部14、固定部22及び固定部24に加えて、保湿機能を有する保湿材44を備えている。本実施形態においては、2つの保湿材44が設けられている。保湿材44は、本体部12又は本体部14に対して着脱可能に設けられている。具体的には、本実施形態において本体部12又は本体部14はポケット46を有しており、このポケット46内に保湿材44が出入自由に収納される。保湿材44は、各本体部12,14よりも小さいシート状をしている。保湿材44としては、保湿材42と同様、保湿成分を含有する液体を含浸させた不織布を用いることができる。保湿材44に芳香成分及び/又は抗菌成分が含有されていてもよいことは、保湿材42と同様である。
【0042】
ポケット46は、各本体部12,14における任意の位置に設けることができる。ポケット46は、各本体部12,14の外面に設けてもよいし、内面に設けてもよい。また、ポケット46は、本体部12及び本体部14の何れか一方にのみ設けてもよいし、双方に設けてもよい。
図6は、ポケット46が本体部12及び本体部14の双方に設けられた場合を示している。同図において、保湿材44は、本体部12に設けられたポケット46に収納されている。図中の上側のポケット46は、概ね、装着者の鼻と口の間の領域に重なる部分に位置している。また、下側のポケット46は、概ね、装着者の口の下の領域に重なる部分に位置している。
【0043】
ポケット46の材料としては、例えば不織布を用いることができる。ポケット46は、左右両端及び下端が各本体部12,14に接着される一方で、上端は各本体部12,14に接着されていない。したがって、ポケット46は、その上端から保湿材44を出し入れすることが可能な構造をしている。マスク4のその他の構成は、マスク1と同様である。
【0044】
マスク4の効果を説明する。マスク4においては、保湿材44が設けられている。このため、喉の乾燥を効果的に防ぐことができる。しかも、この保湿材44は、着脱可能に設けられている。これにより、マスク4は、保湿材44が取り付けられた状態でも、取り外された状態でも使用することができるため、装着者にとっての利便性が高まる。
【0045】
本体部12,14は、保湿材44を収納するポケット46を有している。このため、保湿材44の着脱を容易に行うことができる。さらに、本実施形態においては、複数のポケット46が設けられている。このため、装着者は、本体部12,14に取り付けられた保湿材44の個数や位置を変えることにより、保湿の程度を調整することができる。ただし、ポケット46は、1つだけ設けられてもよい。マスク4のその他の効果は、マスク3と同様である。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、2つの本体部(本体部12,14)が設けられた場合を例示した。しかし、本体部は、例えば
図7に示すように、3つ以上設けられていてもよい。同図においてマスク5は、本体部12,14に加えて、本体部16(第3の本体部)を備えている。
【0047】
本体部16は、矩形のシート状をしており、装着者の口を覆う。本体部16は、装着者の目、鼻及び口のうち、鼻及び口のみを覆うものであってもよいし、口のみを覆うものであってもよい。本体部16は、本体部12,14とは別体に設けられている。本体部16は、通気性を有する材料からなる。本体部16の外面は、本体部12,14の外面と同一の色を有していてもよいし、異なる色を有していてもよい。本体部16は、本体部14よりも小さい。本体部16の上下方向の長さは本体部14の上下方向の長さよりも小さく、本体部16の左右方向の長さは本体部14の左右方向の長さよりも小さい。
【0048】
本体部16の左右両側には、本体部16を装着者の顔に固定するための固定部26(第3の固定部)が設けられている。固定部26は、装着者の耳に掛けられるループ状の耳掛部材からなる。固定部26の色は、本体部16の色と同一であってもよいし、異なっていてもよい。固定部26は、固定部22,24と同一の色を有していてもよいし、異なる色を有していてもよい。また、本体部16には、本体部16を装着者の顔に密着させるための線状部材36(第3の線状部材)が設けられている。線状部材36は、本体部16の上端に沿って延在している。線状部材36は、可塑性を有している。
【0049】
図8は、本体部12、本体部14及び本体部16の中心が一致するようにして本体部12、本体部14及び本体部16が重ね合わされた状態を示す平面図である。同図に示すように、当該状態のとき、平面視で、本体部14の周囲全体が本体部16の外側に食み出る。また、同図からわかるように、線状部材34は、上記状態のときに線状部材36に重ならない位置に設けられている。特に本実施形態において線状部材34は、本体部16にも重ならない位置に設けられている。
【0050】
かかる構成の場合、本体部12、本体部14又は本体部16の何れか1つのみが顔に固定された状態(第1の状態)、これらの何れか2つのみが顔に固定された状態(第2の状態)、及びこれらの全てが顔に固定された状態(第3の状態)の何れでもマスク5を使用することができる。第3の状態では、本体部12、本体部14及び本体部16が互いに重ね合わされた状態で装着者の口を覆う。第2の状態では、第1の状態に比して、有害粒子が通過しにくくなり、マスク5の遮断機能が高くなる。さらに、第3の状態では、第2の状態に比して、有害粒子が通過しにくくなり、マスク5の遮断機能が高くなる。したがって、装着者は、使用状況に応じて第1、第2又は第3の状態を切り替えることにより、マスク5の遮断機能の程度を調整することができる。
【0051】
マスク5においては、このように3つの状態間での切替えが可能であるため、2つの状態間での切替えしかできない場合よりも、遮断機能の程度を細かく調整することができる。例えば、室内では第1の状態でマスク5を使用する一方で、室外では第2又は第3の状態でマスク5を使用することが考えられる。室外で使用する場合において、PM2.5の発生時やインフルエンザの流行時のように有害粒子を特に避けたい状況下では第3の状態でマスク5を使用し、その他の状況下では第2の状態でマスク5を使用するということも可能である。
【0052】
なお、マスク5においては、本体部12に設けられた固定部(第1の固定部)、本体部14に設けられた固定部(第2の固定部)及び本体部16に設けられた固定部(第3の固定部)の全てが、装着者の耳に掛けられるループ状の耳掛部材からなっている。しかし、第1、第2及び第3の固定部の何れか1つ又は2つは、耳掛部材に対して着脱可能な取付部材からなっていてもよい。
【0053】
上記実施形態においては、本体部14が本体部12よりも小さい場合を例示した。しかし、本体部14は、本体部12と同一の大きさをしていてもよい。同様に、
図7に示した本体部16は、本体部14と同一の大きさをしていてもよい。
【0054】
上記実施形態においては、本体部12及び本体部14にそれぞれ線状部材32及び線状部材34が設けられた場合を例示した。しかし、これらの線状部材32及び線状部材34を設けることは、必須でない。線状部材32又は線状部材34の何れか一方のみを設けてもよいし、何れも設けなくてもよい。同様に、
図7に示した本体部16においても、線状部材36を設けることは必須でない。
【符号の説明】
【0055】
1 マスク
2 マスク
3 マスク
4 マスク
5 マスク
12 本体部(第1の本体部)
14 本体部(第2の本体部)
16 本体部(第3の本体部)
22 固定部(第1の固定部)
24 固定部(第2の固定部)
25 固定部(第2の固定部)
26 固定部(第3の固定部)
32 線状部材(第1の線状部材)
34 線状部材(第2の線状部材)
36 線状部材(第3の線状部材)
42 保湿材
44 保湿材
46 ポケット
【要約】
使用状況に応じて遮断機能の程度を調整することが可能なマスクを提供する。マスク(1)は、本体部(12)、本体部(14)、固定部(22)、及び固定部(24)を備えている。本体部(12,14)は、装着者の口を覆う部分であり、互いに別体に設けられている。本体部(12)の左右両側には、本体部(12)を装着者の顔に固定するための固定部(22)が設けられている。本体部(14)の左右両側には、本体部(14)を装着者の顔に固定するための固定部(24)が設けられている。