(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体は、前記電子放射構造体の先端側を収容する球状の内部空間を有する本体部と、前記本体部から円柱状に突出し、前記電子放射構造体の基端側を収容する突出部とを有し、
前記位置決め部は、前記突出部に配置されている請求項1〜3のいずれか一項記載の光源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の光源装置では、対向電極間に給電を行う必要があるため筐体を貫通するように電極(又は電極への給電経路)を構成することが必須となっている。しかしながら、電極(又は電極への給電経路)が貫通している部位、或いは電極(又は電極への給電経路)の保持のために、筐体に電極(又は電極への給電経路)を埋め込むように融着している部位等が存在していると、熱膨張率の相違等に起因して筐体と電極(又は電極への給電経路)との接合部分が脆弱部分となり、筐体の封止状態を保持できなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、筐体の封止状態を良好に保持できる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る光源装置は、レーザ光を発生させるレーザ部と、レーザ光の照射によってプラズマ発光を発生する発光ガスが封入された発光封体と、を備えた光源装置であって、発光封体は、発光ガスが封入された内部空間を有する筐体と、レーザ光の照射によって電子を放射する易電子放射物質を含有する電子放射構造体と、内部空間内での電子放射構造体の位置を位置決めする位置決め部と、を有し、筐体外部から電子放射構造体に対して給電するための給電部材を備えずに、電子放射構造体及び位置決め部は、筐体に対して非貫通となるように配置され、レーザ部は、光学系を介して筐体内に集光させたレーザ光を電子放射構造体に照射して、発光ガス中のレーザ光照射領域にプラズマ発光を発生させると共に、プラズマ発光に対して継続的にレーザ光を照射することで、レーザ光の集光位置を含む所定の発光領域を有するプラズマ発光であるレーザ支持光を点灯・維持する。
【0007】
この光源装置では、筐体外部から電子放射構造体に対して給電するための給電部材を備えずに、電子放射構造体及び位置決め部が筐体に対して非貫通となるように配置されている。このような構成によれば、電子放射構造体が筐体を貫通することがなく、電子放射構造体の一部が筐体に埋没することもない。したがって、筐体に熱膨張率の相違等に起因する脆弱部分が生じることを防止でき、筐体の封止状態を良好に保持できる。筐体の封止状態を良好に保持することで、筐体の破損や発光ガスの抜けによる短寿命化を抑制できると共に、発光ガスの封入圧を高めることもできる。したがって、光源装置の輝度の向上が図られる。
【0008】
また、位置決め部は、電子放射構造体を支持しており、電子放射構造体は、位置決め部による被支持部分を除いて筐体の内壁面から離間していてもよい。これにより、筐体に熱膨張率の相違等に起因する脆弱部分が生じることをより確実に防止でき、筐体の封止状態を良好に保持できる。
【0009】
また、電子放射構造体は、易電子放射物質を含有する金属部材からなる電子放射部と、電子放射部を支持する支持部と、を有し、レーザ部は、支持部の軸線と交わる方向からレーザ光を支持部に入射させ、支持部を加熱することによって電子放射部を間接的に加熱してもよい。この場合、電子放射部にレーザ光を直接照射して加熱する場合に比べて、電子放射部でのスパッタの発生を抑制することができる。
【0010】
また、支持部は、棒状部材からなり、棒状部材は、本体部分よりも細い細径部と、細径部に支持されると共に細径部よりも太く、電子放射部を支持する中継部とを有し、レーザ部は、中継部にレーザ光を入射させ、中継部を加熱することによって電子放射部を間接的に加熱してもよい。この場合、電子放射部にレーザ光を直接照射して加熱する場合に比べて、電子放射部でのスパッタの発生を抑制することができる。また、電子放射部をより効率良く加熱することができ、効率の高い電子放射を実現できる。
【0011】
また、電子放射構造体は、易電子放射物質を含有する金属部材からなる電子放射部と、電子放射部を支持する支持部と、を有し、電子放射部は、レーザ光の入射軸に対して傾斜する傾斜面を有していてもよい。この場合、レーザ光の照射によって電子放射部で発生するスパッタの放出方向をレーザ光の入射方向に対してずらすことが可能となる。このため、スパッタが筐体の内壁側に付着して、レーザ光の入射の妨げになることを抑制することができる。
【0012】
また、筐体は、電子放射構造体の先端側を収容する球状の内部空間を有する本体部と、本体部から円柱状に突出し、電子放射構造体の基端側を収容する突出部とを有し、位置決め部は、前記突出部に配置されていてもよい。これにより、筐体の封止状態を良好に保持しながら、電子放射構造体を本体部の内部空間内の所望の位置に配置することが容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筐体の封止状態を良好に保持できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一側面に係る光源装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光源装置の概略を示す図である。同図に示すように、光源装置1は、レーザ光を発生させるレーザ部2と、レーザ部2からのレーザ光Lを導光する光学系3と、レーザ光Lの照射によって電子を放射する易電子放射物質を含有する金属構造体(電子放射構造体)13及び発光ガスGを収容する発光封体11とを含んで構成されている。この光源装置1では、金属構造体13に連続レーザ光Lを照射すると、金属構造体13の近傍における連続レーザ光Lの照射領域に、発光ガスGによるプラズマが発生する。なお、プラズマは、連続レーザ光Lの照射によって金属構造体13から放射された電子が発光ガスGをイオン化し、イオン化された発光ガスGに連続レーザ光Lが照射されることで発生していると推測される。そして、発生したプラズマに連続レーザ光Lを継続的に照射する(プラズマに対して継続的にレーザエネルギーを供給する)ことで、光源7である発光封体11内において、連続レーザ光Lの集光位置Fを含む所定の発光領域を有するプラズマ発光である高輝度のレーザ支持光を点灯・維持させることができる。レーザ支持光は、例えば半導体検査用の光源や分光計測用の光として使用される。
【0017】
レーザ部2は、例えばレーザダイオードである。レーザ部2は、連続レーザ及びパルスレーザのいずれであってもよいが、本実施形態では連続レーザが用いられている。レーザ部2からは、発光ガスGの吸収スペクトルに合わせ、例えば波長980nmのレーザ光Lが連続波で出射する。レーザ光Lの出力は、例えば60W程度となっている。レーザ部2から出射したレーザ光Lは、光ファイバ4によって光学系3に導光される。光学系3は、レーザ部2からのレーザ光Lを発光封体11に向けて集光する光学系である。光学系3は、例えば2つのレンズ5,6によって構成されている。光ファイバ4のヘッド4aから出射したレーザ光Lは、レンズ5によって平行光化した後、レンズ6によって光軸LAをもって発光封体11に向けて集光する。
【0018】
発光封体11は、より具体的には、内部空間Sに発光ガスGが高圧に封入されたバルブ(筐体)12と、レーザ光Lの照射によって電子を放射する易電子放射物質を含有する金属構造体13と、内部空間S内での金属構造体13の位置を位置決めする位置決め部14とによって構成されている。
【0019】
バルブ12は、例えばガラスによって中空に形成されており、金属構造体13が位置すると共に球状の外径及び球状の内部空間Sを有する球状部分(本体部)12aと、球状部分12aの一部から円柱状に突出する突出部分(突出部)12bとを有している。バルブ12の内部空間Sには、発光ガスGとして例えばキセノンガスが高圧で封入されている。本実施形態では、球状部分12aのうち、突出部分12bと反対側に位置する頂部12cがレーザ光Lの入射部分(レーザ入射窓部LW)となっている。なお、レーザ入射窓部LWは、所望のレーザ入射部に臨んでいれば、頂部12cに限らず、球状部分12aのいずれの部位であってもよい。
【0020】
金属構造体13は、例えばタングステンといった高融点金属によって形成され、易電子放射物質として例えばバリウムを含有する電子放射部13aと、電子放射部13aを支持する支持部13bとを有している。レーザ光Lが照射される電子放射部13aは、
図1に示すように、例えば細径の円柱状に形成され、レーザ光Lの入射部となる先端13cがバルブ12の頂部12c(レーザ入射窓部LW)を向くようにして球状部分12aの内部に配置されている。なお、連続レーザ光Lの入射部は、先端13cに限らず、電子放射部13aの側面部であってもよい。
【0021】
一方、支持部13bは、例えばモリブデンといった高融点金属によって円柱状に形成された棒状部材15を有している。支持部13bの先端側には、電子放射部13a(先端13c)が球状部分12a内の内部空間Sの所望の位置に配置されるように支持されており、支持部13bの基端側は、突出部分12b内の内部空間Sに配置されている。なお、電子放射部13aと支持部13bとは、必ずしも構成材料を変える必要はなく、電子放射部13aに用いる材料で支持部13bを一体に形成してもよい。また、同一の金属で基体を一体に形成し、電子放射部13aに相当する部分にのみ易電子放射物質を含有させてもよい。また、電子放射部13aや金属構造体13の全体が易電子放射物質自体で構成されていてもよい。さらに、電子放射構造体の基体は、タングステンやモリブデンといった金属(導電物)に限られず、セラミック等の絶縁物であってもよい。
【0022】
このような発光封体11は、バルブ12の内部空間S内における金属構造体13の位置決め部14として、支持部13bである棒状部材15を把持する小径部16を有している。小径部16は、突出部分12bの内壁の一部を用いて設けられ、棒状部材15に当接するように突出部分12bの内径が他の部分よりも縮径された状態となっている。なお、小径部16は、棒状部材15の周面に接触しているだけであり、棒状部材15への融着はなされていない。また、小径部16は、
図1に例示した位置よりも基端寄り(図面下側)に設けてもよく、先端側(図面上側)寄りに設けてもよい。さらに、小径部16を複数設けてもよい。
【0023】
以上のように、発光封体11では、発光ガスGが封入されたバルブ12内に易電子放射物質を含有する金属構造体13が収容されている。金属構造体13を用いることにより、この発光封体11では、金属構造体13へのレーザ光Lの照射によってプラズマを発生させると共に、プラズマにレーザ光Lを継続して照射させることで高輝度のレーザ支持光を点灯・維持することができる。なお、発光封体11からプラズマ発光を取り出す際には、レーザ光Lの光軸LAと交差する方向から取り出すことが好ましく、直交する方向から取り出すことがより好ましい。
【0024】
この発光封体11では、レーザ光Lの照射によって電子を放射する易電子放射物質を含有する金属構造体13を用いることにより、従来のようにアーク放電を発生させるために対向電極間に給電を行う必要がない。つまり、この発光封体11では、金属構造体13に対してはバルブ12外部からの給電部材等の接続は不要となる。つまり、金属構造体13は、給電が必須である電極とは異なる構成であるため、発光封体11には電極は存在しないと言える。また、発光封体11では、バルブ12の内部空間S内に金属構造体13の全体が配置され、金属構造体13の位置決め部14(小径部16)がバルブ12の一部によって構成されている。したがって、この発光封体11では、金属構造体13及び位置決め部14がバルブ12を貫通したり、或いはその一部がバルブ12に埋没することがなく、ガラス製のバルブ12に脆弱部分が形成されないので、バルブ12の封止状態を良好に保持できる。バルブ12の封止状態を良好に保持できるため、バルブ12の破損や発光ガスGの抜けによる短寿命化を抑制できると共に、発光ガスGの封入圧を高めることもできるので、光源装置1の輝度の向上も図ることができる。
【0025】
また、発光封体11では、電子放射部13aが棒状部材15(支持部13b)の先端側に支持され、バルブ12は、棒状部材15の先端側及び電子放射部13aが位置する球状部分12aと、球状部分12aから突出し、棒状部材15の基端側が収容されて位置決め部14(小径部16)を構成する突出部分12bとを有している。これにより、バルブ12の封止状態を良好に保持しながら、電子放射部13aを球状部分12a内の内部空間S内の所望の位置に配置することが容易となる。
【0026】
また、発光封体11では、電子放射部13aが棒状部材15(支持部13b)に比べて十分に細径化されている。これにより、電子を放射し易くなるように、電子放射部13aがレーザ光Lによって加熱する時間を短縮できるので、レーザ支持光の点灯までの時間を短縮できると共に、金属構造体13のスパッタの発生も低減できる。なお、対向電極間のアーク放電を利用する方式の発光封体では、アーク放電によって生じた熱による電極の損傷を抑制するために電極の放熱性を重視する必要性があるので、一定以上の太さの電極が必要であったが、この発光封体11のような金属励起方式では、アーク放電を利用しないために電子放射部13aの放熱性を重視する必要性はない。したがって、電子放射部13aの細径化を十分に実施することができる。また、バルブ12内に存在する易電子放射物質を含む含浸材の総量を減らすことができるので、含浸材に起因するバルブ12の内壁への汚れの付着も抑えられる。
【0027】
位置決め部14の構成は、他の態様を採り得る。例えば
図2(a)に示すように、バルブ12における突出部分12bの内径に略一致する外径の筒状部材に棒状部材15の外径に略一致する内径を有する貫通孔を備えたスペーサ部材17を位置決め部14として用いてもよい。この場合、スペーサ部材17を用いて、棒状部材15のスペーサ部材17の貫通孔に対する嵌合と、スペーサ部材17の突出部分12bの内部空間Sに対する嵌合とにより、スペーサ部材17を介して棒状部材15の基端側を突出部分12bの内部空間Sに嵌合させてもよい。
【0028】
さらに、例えば
図2(b)に示すように、外向きに湾曲する板バネ部材(弾性部材)18を位置決め部14として用いてもよい。この場合、板バネ部材18を棒状部材15の基端側に設け、板バネ部材18を突出部分12bの内壁に対して弾性を備えた状態で当接させることで、板バネ部材18を介して棒状部材15の基端側を突出部分12bの内部空間Sに嵌合させてもよい。これらの構成では、位置決めされた金属構造体13をスペーサ部材17、板バネ部材18によってそれぞれ好適に保持できる。
【0029】
なお、スペーサ部材17の構成材料は、バルブ12(突出部分12b)と同じ材料であることが好ましいが、熱膨張係数が近い材料であれば、その他の材料であってもよい。なお、スペーサ部材17の構成材料がバルブ12(突出部分12b)と同じ材料、若しくは熱膨張係数が近い材料であれば、スペーサ部材17の外表面と突出部分12bの内壁表面とを融着させることで、スペーサ部材17を固定してもよい。
【0030】
外向きに湾曲する板バネ部材18に限らず、突出部分12bの内部空間Sに内向きに湾曲する板バネ部材を配置して、棒状部材15を板バネ部材間に差し込むことで棒状部材15の嵌合を行ってもよい。また、板バネ部材に限らず、棒状部材15と突出部分12bの内壁の間を弾性によって嵌合状態にできるものであれば、その他の弾性部材を用いてもよい。さらに、いずれの位置決め部14においても、棒状部材15及び突出部分12bとの嵌合部位は、基端側(図面下側)に限らず、先端側(図面上側)寄りにしてもよい。また、これらの位置決め部14を複数設けてもよい。
【0031】
また、位置決め部14の更に別の形態として、例えば
図3(a)に示すように、金属構造体13を内部空間S内において金属構造体13の軸方向に移動可能とし、コイル(磁力付与部)19を位置決め部14として用いてもよい。この形態では、位置決め部14として、突出部分12bの内壁が縮径されてなると共に支持部13bである棒状部材15を金属構造体13(棒状部材15)の軸方向に摺動可能に把持する小径部16と、棒状部材15の端部に設けられ、小径部16に通された部位よりも大きな径を有することで小径部16に当接可能となるように設けられた大径部13dとが設けられている。
【0032】
つまり、この形態では、支持部13bは、棒状部材15および大径部13dから構成されている。そして、コイル19は、大径部13dの位置に対応するように突出部分12bの外壁側に設けられ、金属構造体13をその軸方向に移動させるような磁力を磁性材料からなる支持部13bに付与する。具体的には、コイル19が磁力を支持部13bに付与して金属構造体13を電子放射部13a側(球状部分12a側)に移動させる力を加える一方、大径部13dが小径部16に当接することで、その移動を制限する。つまり、コイル19、小径部16、大径部13dの協働によって、移動可能な金属構造体13を所定の位置に位置決めすることができる。
【0033】
コイル(磁力付与部)19を位置決め部14として用いる場合、例えば
図3(b)に示すように、位置決め部14として、棒状部材15が金属構造体13(棒状部材15)の軸方向に摺動可能に挿通するように突出部分12bの内壁に嵌合するスペーサ部材17と、棒状部材15の端部に設けられ、スペーサ部材17に通された部位よりも大きな径を有することでスペーサ部材17に当接可能となるように設けられた大径部13dとを有していてもよい。
【0034】
この場合においても、コイル19は、大径部13dの位置に対応するように突出部分12bの外壁側に設けられ、金属構造体13をその軸方向に移動させるような磁力を磁性材料からなる支持部13bに付与する。具体的には、コイル19が磁力を支持部13bに付与して金属構造体13を電子放射部13a側(球状部分12a側)に移動させる力を加える一方、大径部13dがスペーサ部材17に当接することで、その移動を制限する。つまり、コイル19、スペーサ部材17、大径部13dの協働によって、移動可能な金属構造体13を所定の位置に位置決めすることができる。
【0035】
なお、上述した大径部13dは、棒状部材15と同材料であってもよく、異材料であってもよい。例えば、大径部13dを非磁性材料で構成する場合には、棒状部材15がコイル19からの磁力を受けて金属構造体13の位置決めに寄与することとなり、その逆の場合もあるが、少なくとも大径部13d及び棒状部材15の一方は磁性材料からなる。また、上記構成において、レーザ支持光の点灯後にコイル19のスイッチをオフ状態として磁力の付与を停止することで、大径部13dを突出部分12bの底部側に当接させるように金属構造体13を大径部13d側(突出部分12b側)に移動させてもよい。この場合、レーザ光Lの焦点位置から電子放射部13aの先端13cが離れることで、電子放射部13aに照射されるレーザ光Lのエネルギーを低下させることが可能となる。これにより、金属構造体13のスパッタの発生を好適に低減できる。なお、コイル19の給電状態はこれに限られず、発光封体11の配置等の違いによって、様々な状態を適宜選択することができる。
【0036】
また、金属構造体13の構成についても、他の態様を採り得る。
図1に示した形態では、支持部13bとして、電子放射部13aに比べて大径の棒状部材15を例示したが、例えば
図4(a)に示すように、支持部13bとして、電子放射部13aと同径の棒状部材20を用いてもよい。また、例えば
図4(b)に示すように、棒状部材20の先端側において、電子放射部13aを支持すると共に本体部分20bよりも細い細径部20aが形成されていてもよい。この場合、電子放射部13aにレーザ光Lが照射された際の熱が棒状部材20(本体部分20b)に伝わりにくく、電子放射部13aを効率良く加熱することができる。したがって、効率の良い電子放射を実現できる。
【0037】
また、
図4(c)に示すように、レーザ光Lの光軸LAに対して傾斜する傾斜面13eを有する電子放射部13aを棒状部材20で支持してもよい。傾斜面13eの傾斜角度は任意に設定できる。この場合、レーザ光Lの照射によって電子放射部13aで発生するスパッタの放出方向をレーザ光Lの入射方向に対してずらすことが可能となり、スパッタがバルブ12のレーザ入射窓部LWの内壁側に付着して、レーザ光Lの入射の妨げになることを抑制することができる。なお、この構成では、バルブ12からのレーザ支持光の取出方向をスパッタの放出方向の反対側(例えば
図4(c)中の矢印WSで示すように、傾斜面13eと対面しない側)とすることで、レーザ支持光の取出し部へのスパッタの影響が低減し、より好適である。
【0038】
また、
図4(d)に示すように、棒状部材20の先端側において、本体部分20bよりも細い細径部20aのさらに先端側に、中継部20cが形成されていてもよい。中継部20cは、細径部20aに支持されると共に、細径部20a及び電子放射部13aよりも太くなっており、その先端側で電子放射部13aを支持している。この場合、棒状部材20の軸線SAと交わる方向からレーザ光Lを中継部20cに入射させて中継部20cを加熱することで、電子放射部13aを間接的に加熱することができる。その後、加熱された電子放射部13aにレーザ光Lを照射することで、より効率良く高輝度のレーザ支持光を点灯できる。この場合、電子放射部13aにレーザ光Lを直接照射して加熱する場合に比べて、電子放射部13aでのスパッタの発生を抑制することができる。また、細径部20aによって、中継部20cの熱が本体部分20bには伝達し難く、かつ電子放射部13aには伝達し易くなる。したがって、電子放射部13aをより効率良く加熱することができ、効率の高い電子放射を実現できる。なお、傾斜面13eは、必ずしも設けなくてもよい。
[第2実施形態]
【0039】
図5は、本発明の第2実施形態に係る光源装置を示す図である。同図に示すように、第2実施形態に係る光源装置は、発光封体21におけるバルブ22の形状、金属構造体23の形状、及び位置決め部24の構成がそれぞれ第1実施形態と異なっている。
【0040】
より具体的には、発光封体21では、バルブ22が、球状部分22aと、球状部分22aの一部から突起状に突出する突出部分22bとを有する略球状の筐体となっており、バルブ22の内部空間Sに配置される金属構造体23も球状をなしている。また、金属構造体23の表面の略半分程度を覆うように、例えばニッケル膜25のような強磁性体による磁性膜で、その表面にコーティングが施されている。バルブ22の内部空間Sの底部には、位置決め部24として、金属構造体23の一部(例えばニッケル膜25がコーティングされている部分)が嵌合する嵌合部26aを有する第1の台座26が配置されている。より詳細には、第1の台座26は、突出部分22bの内壁に形成された凹部である嵌合部26aを有している。なお、バルブ22の排気および発光ガスG封止に用いた排気管を封止した後の構造物を、突出部分22bおよび嵌合部26aとして利用することもできる。
【0041】
また、位置決め部24は、バルブ22の底部が嵌合する嵌合部27aを有する第2の台座27も有している。より詳細には、第2の台座27は、バルブ22を外部から保持する部材であって、バルブ22の底部および突出部分22bの形状に対応した凹部である嵌合部27aを有している。このように、嵌合部27aが突出部分22bに対応した形状を有しているため、バルブ22の安定性が一層確保されている。
【0042】
さらに、位置決め部24は、第1の台座26に対向する位置において第2の台座27に埋設された磁石28を有している。より詳細には、磁石28は、第2の台座27の嵌合部27aに対応する領域であって、第1の台座26に配置された金属構造体23のニッケル膜25に対して磁力を及ぼすような位置に埋設されており、ニッケル膜25と協働して位置決め部24として機能する。つまり、位置決め部24のうち、ニッケル膜25及び第1の台座26は、バルブ22の内部空間Sにのみ配置され、第2の台座27及び磁石28は、バルブ22の外部にのみ配置されており、いずれもバルブ22を貫通したり、或いはその一部がバルブ22に埋没することがない。
【0043】
このような発光封体21においても、金属構造体23及び位置決め部24がバルブ22を貫通したり、或いはその一部がバルブ22に埋没することがなく、ガラス製のバルブ22に脆弱部分が形成されないので、バルブ22の封止状態を良好に保持できる。この発光封体21では、第1の台座26の嵌合部26aに金属構造体23の一部を嵌め込むことで金属構造体23を位置決めできる。また、第2の台座27の嵌合部27aにバルブ22の底部を嵌め込むことによっても金属構造体23を位置決めできる。
【0044】
さらに、発光封体21では、金属構造体13の一部が強磁性体からなる磁性膜であるニッケル膜25によって表面をコーティングされており、このニッケル膜25と第2の台座27に埋設された磁石28とが協働することで、バルブ22を介し、金属構造体23を磁力によって位置決めできる。なお、本実施形態では、位置決め部24として、第1の台座26、第2の台座27、及び磁石28の3つの構成を備えているが、これらのいずれか一つ、或いはいずれか二つの組み合わせによって金属構造体23の位置決めを行ってもよい。また、発光封体21では、金属構造体23が球状であることから、金属構造体23を回転させれば、レーザ光Lの入射部位となる領域を変えることができるので、点灯性が悪化した場合等に対応することもできる。
[第3実施形態]
【0045】
図6は、本発明の第3実施形態に係る光源装置を示す図である。同図に示すように、第3実施形態に係る光源装置は、発光封体31におけるバルブ32の形状、金属構造体33の形状、及び位置決め部34の構成がそれぞれ第1実施形態と異なっている。
【0046】
より具体的には、発光封体31では、バルブ32が円柱状部分32aによって形成され、バルブ32の内部空間Sに配置される金属構造体33も円柱状をなしている。金属構造体33の外径は、バルブ12の内径よりも僅かに小径となっており、バルブ32の内部空間Sの基端側に配置されている。バルブ32の胴部の内壁には、金属構造体33の位置決め部34として、金属構造体33の周面側に突出する小径部35が形成されている。
【0047】
このような発光封体31においても、金属構造体33及び位置決め部34がバルブ32を貫通したり、或いはその一部がバルブ32に埋没することがなく、ガラス製のバルブ32に脆弱部分が形成されないので、バルブ32の封止状態を良好に保持できる。また、この発光封体31では、円柱状をなすバルブ32の軸方向の端面32bからレーザ光Lを入射させることができる。したがって、球状のバルブにレーザ光Lを入射させる場合に比べて、レーザ光Lの収差(例えば非点収差)を抑えることができる。また、小径部35により、簡単な構造で金属構造体33の位置決めを行うことが可能となる。なお、小径部35に代わって、
図2(a)や
図2(b)で用いたスペーサ部材や弾性部材を用いてもよいし、金属構造体33も
図1や
図3で示したような構成としてもよい。
[第4実施形態]
【0048】
図7は、本発明の第4実施形態に係る光源装置を示す図である。同図に示すように、第4実施形態に係る光源装置は、発光封体41におけるバルブ42の形状、金属構造体43の形状、及び位置決め部44の構成がそれぞれ第1実施形態と異なっている。
【0049】
より具体的には、発光封体41では、バルブ42が円柱状部分42aによって形成される一方、バルブ42の内部空間Sに配置される金属構造体43が球状となっている。また、金属構造体43の略半分程度を覆うように、例えばニッケル膜45のような強磁性体からなる磁性膜による表面のコーティングが施されている。バルブ42の内部空間Sの底部には、位置決め部44として、金属構造体43の一部(例えばニッケル膜45がコーティングされている部分)が嵌合する嵌合部46aを有する第1の台座46が配置されている。一方、バルブ42の外部には、第1の台座46に対向する位置に位置決め部44としての磁石47が配置されている。
【0050】
このような発光封体41においても、金属構造体43及び位置決め部44がバルブ42を貫通したり、或いはその一部がバルブ42に埋没することがなく、ガラス製のバルブ42に脆弱部分が形成されないので、バルブ42の封止状態を良好に保持できる。また、この発光封体41では、円柱状をなすバルブ42の軸方向の端面42bからレーザ光Lを入射させることができる。したがって、球状のバルブにレーザ光Lを入射させる場合に比べて、レーザ光Lの収差(例えば非点収差)を抑えることができる。
【0051】
さらに、この発光封体41では、第1の台座46の嵌合部46aに金属構造体43の一部を嵌め込むことで金属構造体43を位置決めできる。さらに、発光封体41では、金属構造体43の一部が強磁性体からなる磁性膜によって表面のコーティングが施されており、第1の台座46に対向してバルブ42の外部に磁石47が配置されている。これにより、第1の台座46によって位置決めされた金属構造体43を磁力によって好適に保持できる。