(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記集合移送管は、前記成形管及び前記冷却管の間に、その流路形状が前記最終形状に形成されるとともに、前記成形管及び前記冷却管の間の断熱が可能な断熱管をさらに備える請求項2に記載の再成形食品製造装置。
前記集合移送管は、前記成形管及び前記冷却管の間に、その流路形状が前記最終形状に形成されるとともに、前記成形管及び前記冷却管の間の断熱が可能な断熱管をさらに備える、請求項6に記載の再成形食品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る再成形食品製造装置1及び再成形食品100の製造方法を、
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る再成形食品製造装置1の構成を模式的に示す説明図である。
【0016】
図1に示すように、再成形食品製造装置1は、再成形食品100を製造可能に形成されている。
【0017】
(再成形食品100)
再成形食品100は、所謂ムース食と呼ばれ、例えば、介護用や咀嚼・嚥下障害者用等に用いられる。再成形食品100は、その硬さが、3.0×10
3N/m
2乃至5.0×10
4N/m
2に形成されている。例えば、再成形食品100は、ユニバーサルデザインフードの区分2から区分3に該当する食品である。
【0018】
このような再成形食品100は、複数の液状素材に、それぞれたんぱく質系又はでん粉質系又は多糖類の凝固素材である卵白又はでん粉又はカードランを含有させて、所定の温度に加熱し、その後、冷却させることで固形状に成形することで製造される。
【0019】
具体的には、再成形食品100は、液状素材110を所定の温度で加熱し、その後冷却することで固化され、特定の形状に形成されることで成形される。
【0020】
液状素材110は、固形状の食品を液状にした食品素材と、液状の食品素材を所定の温度で固める凝固素材と、を含有するとともに、必要に応じて希釈水が添加される。また、液状素材110は、適宜着色される。
【0021】
食品素材は、固形状の食品を、すり鉢等によるすり潰し又はミキサー若しくはフードカッター等による切断等により粉砕されることで液状に形成される。食品素材は、例えば、固形状の食品を粒径3.0mm以下に形成されるのが好ましい。
【0022】
凝固素材は、でん粉又は卵白又は多糖類等の、加熱により凝固する成分を少なくとも一つ含み、食品素材の加熱及び冷却による固形化が可能に形成されている。でん粉及び卵白は、通常時に食品の製造に用いられるでん粉及び卵白が使用可能である。でん粉は、例えば、ばれいしょでん粉及びコーンスターチ等が用いられる。卵白は、主に鶏卵由来の凍結卵白及び乾燥卵白等が用いられる。
【0023】
また、凝固素材は、70℃以上100℃以下の温度域で凝固する増粘剤、ゲル化剤、凝固剤等が成分として含まれていることが好ましい。なお、ここで、凝固する温度域の下限を70℃とした理由としては、70℃未満で凝固する成分を含むと、液状素材110の材料を混合及び攪拌して再成形食品100を製造する過程で、液状素材110が凝固温度に達し、固形化する虞があるためである。しかし、当該製造する過程において、液状素材110の温度が凝固温度に確実に達しないことが確定している場合には、凝固する温度域の下限を70℃以下に設定してもよい。また、凝固する温度域の上限を100℃とした理由としては、100℃を超える温度で凝固する成分を含む場合、液状素材110に含まれる水分が沸騰し、水蒸気が発生することで、液状食材が凝固して固形化した際に、その内部に気泡を含む虞があるためである。
【0024】
希釈水は、液状素材110に適宜添加されることで、液状素材110を所定の粘度に調整可能に形成されている。希釈水は、液状素材110の粘度を調整可能であれば、水以外であってもよい。なお、ここで、液状素材110の所定の粘度とは、移送管26中を液状素材が流れ易い粘度であり、例えば、当該所定の粘度は0.001〜20.0Pa・sである。
【0025】
(再成形食品製造装置1)
このような再成形食品100を製造する再成形食品製造装置1は、貯留槽群11と、供給装置12と、加熱装置13と、冷却装置14と、受給装置15と、処理装置16と、を備えている。
【0026】
貯留槽群11は、液状素材110をそれぞれ貯留する複数の貯留槽21を備えている。例えば、貯留槽群11は、3つの貯留槽21を備えている。各貯留槽21は、それぞれ、供給装置12と接続する供給口22を備えており、所謂ホッパーと呼ばれる容器である。各貯留槽21は、液状素材110を貯留可能に形成されている。
【0027】
供給装置12は、貯留槽群11に接続される。供給装置12は、各貯留槽21にそれぞれ接続される、可撓性を有する第1移送ホース23と、第1移送ホース23にその一次側が接続されたポンプ24と、ポンプ24の二次側に接続された第2移送ホース25と、第2移送ホース25に接続され、樹脂材料又は金属材料で形成された移送管26と、を備えている。ポンプ24は、出力及び流量の制御が可能なロータリー式ポンプ又はモーノポンプを用いることが好ましい。移送管26は、例えば円筒状に形成され、その流路断面形状が円形状に形成されている。なお、移送管26は、その流路断面形状は、円形状以外であってもよい。
【0028】
供給装置12は、ポンプ24を駆動することにより、
図1中矢印で示すように、液状素材110を圧送し、貯留槽21から移送管26の二次側に向って液状素材110を移送可能に形成されている。
【0029】
加熱装置13は、移送管26に設けられ、移送管26を加熱可能に形成されている。具体的には、加熱装置13は、移送管26に設けられ、移送管26内を流れる液状素材110を所定の温度、ここでは液状素材110の固化温度、例えば、70℃以上120℃以下に加熱可能に形成されている。例えば、加熱装置13は、移送管26の周囲に設けられた円筒管であって、高温流体を流すことで熱交換を行う熱交換器や、マイクロ波、IH及びジュール熱等により移送管26を加熱する加熱手段が用いられる。
【0030】
冷却装置14は、加熱装置13の二次側であって、且つ、移送管26に設けられ、移送管26を冷却可能に形成されている。具体的には、冷却装置14は、空冷装置、移送管26の周囲に設けられた円筒管であって、低温流体を流すことで熱交換を行う熱交換器、又は、冷水が貯留された冷水槽等が用いられる。
【0031】
受給装置15は、移送管26から連続的に吐出される凝固した液状素材を切断し、一定の形状の再成形食品100を形成する切断機31と、再成形食品100を収納する容器120を搬送する搬送装置32と、を備えている。切断機31は、所定の長さとなるように、再成形食品100を切断可能に形成されている。搬送装置32は、複数の容器120を、順次各移送管26に移送させることで、各移送管26から吐出された再成形食品100を順次容器120内に収容可能に形成されている。
【0032】
処理装置16は、例えば、容器120を密閉処理可能、且つ、密閉処理された容器120をレトルト処理可能に形成されている。
【0033】
(再成形食品100の製造方法)
次に、再成形食品100の製造方法について説明する。
先ず、ポンプ24を駆動し、各貯留槽21にそれぞれ貯留されている液状素材110を所定の流量及び流速で二次側に供給する。次に、移送管26に移動した液状素材110を加熱装置13により所定の温度に加熱する。この加熱により、液状素材110は、凝固が開始され、半凝固状態となる。
【0034】
次に、加熱装置13により加熱された液状素材110は、移送管26内を流れ、冷却装置14により冷却される。この冷却により、液状素材110は、その凝固が完了する。冷却装置14により冷却された液状素材110は、完全に凝固した状態で移送管26内を移動する。さらに、移送管26を移動した凝固した液状素材110は、移送管26から吐出され、切断機31により所定の量(長さ)、即ち、再形成食品100となる長さに切断される。
【0035】
凝固した液状素材110が所定の長さに切断されることで、再成形食品100が形成される。この再成形食品100は、切断後、搬送装置32により搬送された容器120に収容される。
【0036】
なお、本実施形態においては、搬送装置32により、容器120を、3つの移送管26の二次側に順次位置させることで、容器120に各貯留槽21にそれぞれ貯留された液状素材110により成形された再成形食品100が順次収容される。
【0037】
次に、3種類の再成形食品100を収容した容器を、処理装置16により密閉し、レトルト処理を行う。このような工程により、再成形食品100を成形するとともに、容器120に再成形食品100を密閉してレトルト処理を行った再成形食品製品が製造される。
【0038】
このように構成された再成形食品製造装置1及び再成形食品100の製造方法によれば、貯留槽群11の各貯留槽21に貯留された複数の液状素材110を、それぞれ、移送管26により移送するとともに、加熱装置13及び冷却装置14により加熱及び冷却を行い、液状素材110を凝固させ、切断機31により所定の量だけ切断することで、再成形食品100を製造することが可能となる。
【0039】
また、複数の液状素材110から製造した再成形食品100を同一の容器120に収容し、密封し、レトルト処理を行うことで、一つの容器120に複数の再成形食品100を収納することが可能となる。これにより、各再成形食品100の色又は形状等を変更することで、再成形食品製品である、容器120内の再成形食品100の見栄えを向上することが可能となる。
【0040】
さらに、再成形食品製造装置1及び再成形食品100の製造方法によれば、移送管26内を移送させる液状素材110を加熱装置13及び冷却装置14により冷却し、その後、必要な量だけ切断することで再成形食品100を成形する簡単な構成でよい。
【0041】
また、再成形食品製造装置1は、移送管26を各貯留槽21の液状素材110を移送可能な径を有する構成とし、且つ、複数の貯留槽21にそれぞれ液状素材110を貯留させる構成とすることから、一本の移送管26により大量に液状素材110を移送させる必要がない。
【0042】
このため、加熱装置13及び冷却装置14は、複数の移送管26のそれぞれに適した加熱及び冷却の効率及び能力を有する装置であればよい。また、移送管26の径を小さくすることで、移送管26内を流れる液状素材110の加熱装置13及び冷却装置14により加熱及び冷却を行う処理時間を短縮することが可能となる。
【0043】
このように、再成形食品製造装置1及び再成形食品100の製造方法によれば、再成形食品製造装置1の設備コストの低減、及び、製造時間の短縮が可能となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0044】
上述したように、本発明の第1の実施形態に係る再成形食品製造装置1及び再成形食品100の製造方法によれば、再成形食品100の製造コストの低減が可能であって、且つ、再成形食品100の見栄えを向上することが可能となる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る再成形食品製造装置1A及び再成形食品100の製造方法について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は本発明の第2の実施形態に係る再成形食品製造装置1Aの構成を示す説明図、
図3は同再成形食品製造装置1Aに用いられる集合移送管27の構成を示す斜視図である。なお、第2の実施形態に係る再成形食品製造装置1Aのうち、上述した第1の実施形態に係る再成形食品製造装置1と同等の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図2に示すように、再成形食品製造装置1Aは、貯留槽群11と、供給装置12Aと、加熱装置13と、冷却装置14と、受給装置15と、処理装置16と、を備えている。
【0047】
貯留槽群11は、複数の液状素材110をそれぞれ貯留する複数の貯留槽21を備えている。例えば、貯留槽群11は、3つの貯留槽21を備えている。
【0048】
供給装置12Aは、貯留槽群11に接続される。供給装置12Aは、各貯留槽21にそれぞれ接続される第1移送ホース23と、ポンプ24と、第2移送ホース25と、移送管26と、各移送管26の全てと接続された集合移送管27と、を備えている。
【0049】
図3に示すように、集合移送管27は、成形管41と、断熱管42と、冷却管43と、を備えている。集合移送管27は、複数の移送管26に接続され、これら移送管26の流路を一つに集合させる集合管である。
【0050】
成形管41は、その一次側が複数の移送管26に接続されるとともに、その二次側の開口形状が再成形食品100の最終形状を形成可能な形状に形成されている。例えば、成形管41は、その長さに応じて、単数又は複数の部材により形成される。例えば、成形管41は、
図3に示すように、第1成形管45及び第2成形管46を備えている。
【0051】
なお、ここで、成形管41の長さは、複数の移送管26の開口形状から成形管41の二次側の開口形状(最終形状)までの開口形状の変化率や、液状素材の凝固素材によって適宜設定可能である。成形管41は、複数の移送管26の開口形状から、再成形食品100の最終形状となるように、その開口形状が漸次変形して形成される。
【0052】
また、成形管41は、その流路の断面積(開口面積)が、複数の移送管26の開口端の総断面積と同一又は小さく形成されている。具体的には、成形管41は、その流路の断面積が、複数の移送管26の総断面積の10%以上100%以下に形成されている。
【0053】
断熱管42は、成形管41の二次側の開口形状と、その流路形状である流路の断面形状が同一に形成されている。断熱管42は、成形管41及び冷却管43間を断熱可能に形成されている。
【0054】
冷却管43は、その流路形状が、成形管41の二次側の開口形状と略同一形状に形成されている。冷却管43は、冷却装置14により冷却される。
【0055】
ここで、
図3に示す本実施形態の集合移送管27は、再成形食品100の最終形状を所定の形状、例えば、魚の切り身状に形成するためのものであり、第2成形管46の二次側の開口形状、断熱管42の流路形状及び冷却管43の流路形状は、魚の切り身状に形成されている。また、集合移送管27は、最終形状に応じて、各移送管26が所定の位置に配置される。例えば、魚の切り身状に最終形状が成形される再成形食品100を形成する場合には、3つの移送管26は、例えば、それぞれ、魚の切り身状の「身部分」「血合部分」「皮部分」側に配置される。なお、このとき、各位置に配置される移送管26により移送される液状素材110は、各部分に適した色に着色される。
【0056】
加熱装置13は、移送管26、又は、移送管26及び集合移送管27の一部に設けられ、移送管26を少なくとも加熱することで、移送管26及び集合移送管27内を流れる液状素材110を所定の温度に加熱可能に形成されている。本実施形態においては、例えば、加熱装置13は、移送管26及び第1成形管45を加熱可能に形成されている。
【0057】
冷却装置14は、加熱装置13の二次側であって、且つ、集合移送管27の一部、具体的には冷却管43に設けられ、冷却管43を冷却可能に形成されている。
【0058】
受給装置15は、集合移送管27、具体的には冷却管43から連続的に吐出される凝固した液状素材110を切断する切断機31と、再成形食品100を収納する容器120を搬送する搬送装置32と、を備えている。
【0059】
(再成形食品100の製造方法)
次に、再成形食品100の製造方法について説明する。
先ず、ポンプ24を駆動し、各貯留槽21にそれぞれ貯留されている液状素材110を、所定の流量及び流速で二次側に供給する。液状素材110は、移送管26に移動するとともに、移送管26から成形管41に移動する。これにより、各貯留槽21から供給された液状素材110は成形管41にて合流する。このとき、液状素材110は、移送管26及び第1成形管45において、加熱装置13により所定の温度に加熱される。この加熱により、液状素材110は、凝固が開始し、半凝固状態となる。
【0060】
次に、加熱装置13により加熱された液状素材110は、第1成形管45から第2成形管46及び断熱管42を流れながら余熱により加熱が維持されるとともに、第2成形管46の二次側の開口によって再成形食品100と同等の断面形状である最終形状に形成される。次に、最終形状、ここでは魚の切り身状に形成された半凝固状態の液状素材110は、冷却管43において、冷却装置14により冷却される。この冷却により、液状素材110は、凝固が完了するとともに、その断面形状が最終形状である魚の切り身状に形成される。
【0061】
冷却装置14により冷却された液状素材110は、完全に凝固するとともに、冷却管43の吐出口から吐出され、切断機31により所定の長さに切断される。
【0062】
凝固した液状素材110が所定の長さに切断されることで、所定の厚さの魚の切り身状の再成形食品100が形成される。この再成形食品100は、切断機31で切断後、搬送装置32により搬送された容器120に収容される。容器120に再成形食品100が収容された後、搬送装置32により容器120が処理装置16に搬送され、処理装置16において、容器120を密封し、その後、レトルト処理を行う。このような工程により、再成形食品100を成形するとともに、容器120に再成形食品100を密封してレトルト処理を行った、再成形食品製品が製造される。
【0063】
このように構成された再成形食品製造装置1A及び再成形食品100の製造方法によれば、貯留槽群11の各貯留槽21に貯留された複数の液状素材110を、それぞれ、集合移送管27で集合させ、液状素材110を加熱装置13及び冷却装置14により加熱及び冷却を行い固化させ、切断機31により所定の量だけ切断する。これにより、再成形食品製造装置1A及び再成形食品100の製造方法は、その再成形食品100の最終形状を、移送管26の流路形状でなく、集合移送管27の流路形状に変形させて再成形食品100を製造することが可能となる。
【0064】
また、複数の液状素材110から一つの再成形食品100を製造することで、再成形食品100の形状を適宜設定することが可能、且つ、各液状素材110の色を変化させることで、ひとつの再成形食品100中に複数の色を用いることが可能となる。また、液状素材110の食品素材をそれぞれ変えることで、再成形食品100の各部位において異なる味とすることも可能となる。結果、再成形食品100の見栄えを向上するとともに、味を複雑に変化させることも可能となる。
【0065】
さらに、再成形食品製造装置1A及び再成形食品100の製造方法によれば、移送管26内を移送させる液状素材110を加熱装置13及び冷却装置14により冷却し、その後、必要な量だけ切断することで再成形食品100を成形する簡単な構成でよい。
【0066】
また、再成形食品製造装置1Aは、複数の移送管26を集合移送管27で集合させ、各移送管26で移送される各液状素材110を用いて再成形食品100を成形する構成である。このため、再成形食品製造装置1Aは、移送管26の径を、各液状素材110のみを移送可能な径とする構成でよく、一つの移送管により再成形食品100を成形するために必要な液状素材110を移送する場合に比べ、移送管26を小径とすることが可能となる。このため、移送管26の設備コストを低減することが可能となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0067】
上述したように、本発明の第2の実施形態に係る再成形食品製造装置1A及び再成形食品100の製造方法によれば、再成形食品100の製造コストの低減が可能であって、且つ、再成形食品100の見栄えを向上することが可能となる。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る再成形食品製造装置1Bに用いられる集合移送管27B及び再成形食品100の製造方法について、
図4を用いて説明する。
図4は本発明の第3の実施形態に係る再成形食品製造装置1Bに用いられる移送管26及び集合移送管27Bの構成を示す説明図である。なお、第3の実施形態に係る再成形食品製造装置1Bのうち、上述した第2の実施形態に係る再成形食品製造装置1Aと同等の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0069】
再成形食品製造装置1Bは、貯留槽群11と、供給装置12Bと、加熱装置13と、冷却装置14と、受給装置15と、処理装置16と、を備えている。
【0070】
貯留槽群11は、複数の液状素材110をそれぞれ貯留する複数の貯留槽21を備えている。供給装置12Bは、貯留槽群11に接続される。供給装置12Bは、各貯留槽21にそれぞれ接続される第1移送ホース23と、ポンプ24と、第2移送ホース25と、移送管26と、移送管26に接続される集合移送管27Bと、を備えている。
【0071】
なお、本実施形態の再成形食品製造装置1Bは、上述した再成形食品製造装置1Aと、集合移送管27Bの形状が異なる構成であり、また、集合移送管27Bの形状の相違に依存して、使用する液状素材110の種類、貯留槽21の数及び再成形食品100の最終形状等が異なるが、他の構成は略同一である。
【0072】
例えば、本実施の形態においては、再成型食品100に、液状素材110が2種類用いられる。また、再成形食品100の最終形状は、その中心を通る一の中心線を境に一方側及び他方側に用いられる液状素材110が異なる形状、換言すると、異なる液状素材110により形成された半円状部が接合された円状に形成される。
【0073】
図4に示すように、集合移送管27Bは、成形管41Bと、冷却管43Bと、を備えている。集合移送管27Bは、例えば、2つの移送管26に接続され、これら移送管26の流路を一つに集合させる集合管である。集合移送管27Bは、成形管41B及び冷却管43Bが、断面形状が円形状に形成されたステンレス製の配管により一体に形成されている。また、集合移送管27Bは、同一径により形成されるとともに、その断面積が、例えば、2つの移送管26の総断面積の50%に形成されている。
【0074】
成形管41Bは、その一次側が2つの移送管26に接続されるとともに、その二次側の開口形状が再成形食品100の最終形状である円状を形成可能な形状に形成されている。成形管41Bは、その内部において、一部が一の移送管26で移送される液状素材110の流路F1を形成するとともに、他部が他の移送管26と移送される液状素材110の流路F2を形成する仕切部44を備えている。成形管41Bは、仕切部44の二次側において、これら流路F1,F2が合流可能に形成されている。即ち、成形管41Bは、その開口形状が円状であって、その一次側の内部に、その内部を二分する仕切部44が形成された管体である。仕切部44は、成形管41Bの内部、即ち、冷却管43Bの一次側、さらに言えば、冷却装置14の一次側に配置される。
【0075】
冷却管43Bは、その流路形状が、成形管41Bの二次側の開口形状と同一形状に形成された、開口形状が円状の管体である。冷却管43Bは、成形管41Bと一体に形成される。冷却管43Bは、冷却装置14により冷却される。
【0076】
(実施例1)
次に、このような再成形食品製造装置1Bを用いた再成形食品100の製造の一例として、以下の条件で再成形食品100を製造した実施例1について説明する。
実施例1に係る再成形食品100は、上述した集合移送管27Bを用いて成形される。再成形食品100は、円形状であって、一の中心線を挟んで異なる2つの液状素材110として第1液状素材及び第2液状素材を用いて、2つの半円形状が組み合わさる構成に形成される。
【0077】
具体的には、下記に示す材料を混合することにより、第1液状素材及び第2液状素材を形成する。
【0078】
・第1液状素材
すり潰したにんじん 200重量部
卵白 75重量部
水 100重量部
・第2液状素材
すり潰した玉ねぎ 100重量部
卵白 75重量部
水 200重量部
次に、上述した再成形食品製造装置1Bを用い、再成形食品100を成形する。具体的には、先ず、一の貯留槽21に第1液体素材を供給するとともに、他の貯留槽21に第2液体素材を供給する。次に、各ポンプ24を駆動し、それぞれの移送管26を介して第1液体素材及び第2液体素材を成形管41Bに供給する。このとき、一方の流路F1に第1液体素材を、他方の流路F2に第2液体素材を供給する。
【0079】
その後、加熱装置13により第1液体素材及び第2液体素材を90℃に加熱する。なお、加熱装置13は、移送管26及び集合移送管27Bの外周に配設された配管であって、移送管26及び集合移送管27Bと二重配管を形成する熱交換器を用いた。次に、冷却装置14により、加熱処理によって半凝固状態の第1液体素材及び第2液体素材を冷却する。なお、冷却装置14は、冷水が貯留された冷水槽を用い、当該冷水槽に集合移送管27Bの冷却管43Bを配置する構成を用いた。
【0080】
次に、集合移送管27Bの開口端から吐出された固化した第1液体素材及び第2液体素材を、切断機31により所定の長さで切断することにより、再成形食品100を成形した。
【0081】
このように成形された再成形食品100を、第1液体素材及び第2液体素材の接合部及び最終形状を目視により確認したところ、第1液体素材及び第2液体素材の接合部は、良好に接合されていた。また、最終形状は、円形状を維持していた。さらに、容器内に水を貯留し、水中に再成形食品100を配置後、電子レンジにより加熱しても、当該接合部が分離することなく、又、最終形状を維持していた。
【0082】
このように構成された再成形食品製造装置1Bによれば、上述した再成形食品製造装置1Aと同様に、再成形食品100の製造コストの低減が可能であって、且つ、再成形食品100の見栄えを向上することが可能となる。
【0083】
また、集合移送管27Bは、成形管41B及び冷却管43Bを有し、断熱管42を設けない構成であっても、再成形食品100を成形することが可能となる。但し、断熱管42を設けるほうが、加熱及び冷却が効率的に行えるため好ましい。
【0084】
また、集合移送管27Bは、成形管41Bの一部に仕切部44が設けられていても、良好に、異なる液状素材を接合することが可能となる。また、仕切部44により、異なる液状素材を所定の形状、且つ、所定の位置に配置して凝固させることが可能となり、見栄えをより向上することが可能となる。
【0085】
さらに、仕切部44は、冷却管43B(冷却装置14)の一次側に設けられることで、半凝固状態の液状素材110を冷却装置14で冷却して完全に凝固させるときに、各液状素材110を接触した状態とすることで、確実に複数の半凝固状態の液状素材110を接合することが可能となる。
【0086】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。上述した例では、集合移送管27は、仕切部を有さない構成を説明したが、集合移送管27Bと同様に仕切部44を有する構成であってもよい。即ち、上述した集合移送管27を魚の切り身状とした場合には、「身部分」「血合部分」「皮部分」間を仕切部44により仕切る構成であってもよい。
【0087】
また、
図5に示す本発明の一変形例に係る集合移送管27Cに示すように、成形管41Cを円筒状の仕切部44Cによって、二重円筒状にする構成であってもよい。このような集合移送管27Cは、内側の流路F1及び外側の流路F2に異なる液状素材110を移送させて、加熱装置13及び冷却装置14により液状素材110を凝固させる構成である。このような集合移送管27Cは、上述の集合移送管27、27Bに変えて、再成形食品製造装置1A,1Bに用いることが可能である。
【0088】
また、上述した例では、再成型食品製造装置1は、移送管26の少なくとも冷却部14で冷却される部位の流路断面形状を円形状とする構成を説明したがこれに限定されない。移送管26の流路断面形状を、円形以外とすることで、再成型食品100の形状を流路断面形状で形成することが可能となる。例えば、移送管26の流路断面形状は、多角形状、楕円形状、魚状及び星形状等、適宜設定可能である。再成型食品製造装置1は、移送管26の流路断面形状を適宜設定することで、再成型食品100の見栄えを、より向上することが可能となる。
【0089】
さらに、再成形食品製造装置1A,1Bは、上述した再成形食品製造装置1の移送管26と同様に、集合移送管27,27B,27C等を複数並列に設け、一つの容器120に、各集合移送管27,27B,27Cで成形した異なる再成形食品100を収容する構成であってもよい。
【0090】
また、上述した例では、供給装置12は、液状素材110の圧送を、ポンプ24を用いて行う構成を説明したがこれに限定されない。例えば、圧縮空気により液状素材110を圧送する手段であってもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 液状に形成された食品素材及び加熱されることで前記食品素材を凝固させる凝固素材を含有する液状素材を貯留可能な複数の貯留槽と、
前記貯留槽にそれぞれ設けられ、前記液状素材を圧送可能な供給装置と、
前記貯留槽にそれぞれ接続され、前記供給装置で圧送された前記液状素材を移送する移送管と、
前記移送管に設けられ、前記移送管内を移送された前記液状素材を加熱して凝固させる加熱装置と、
前記加熱装置の二次側であって、前記移送管に設けられ、前記加熱装置で凝固した前記液状素材を冷却する冷却装置と、
を備えることを特徴とする再成形食品製造装置。
[2] 前記移送管から移送された、前記冷却装置で冷却された凝固した前記液状素材を所定の量で切断することで再成形食品を成形する切断機をさらに備えることを特徴とする[1]に記載の再成形食品製造装置。
[3] 液状に形成された食品素材及び加熱されることで前記食品素材を凝固させる凝固素材を含有する液状素材を貯留可能な複数の貯留槽と、
前記貯留槽にそれぞれ設けられ、前記液状素材を圧送可能な供給装置と、
前記貯留槽にそれぞれ接続され、前記供給装置で圧送された前記液状素材を移送する移送管と、
前記移送管の二次側に設けられ、複数の前記移送管を集合させる集合移送管と、
前記移送管及び前記集合移送管の少なくとも一方に設けられ、前記集合移送管を移送する前記液状素材を加熱して凝固させる加熱装置と、
前記加熱装置の二次側であって、前記集合移送管に設けられ、前記加熱装置で加熱された凝固した前記液状素材を冷却する冷却装置と、
を備えることを特徴とする再成形食品製造装置。
[4] 前記集合移送管は、
複数の前記移送管に接続され、その二次側の開口形状が前記液状素材の最終形状に形成された成形管と、
前記成形管の二次側に設けられ、その流路形状が前記最終形状に形成された前記冷却装置が設けられる冷却管と、
を備えることを特徴とする[3]に記載の再成形食品製造装置。
[5] 前記加熱装置は、前記移送管のみ、又は、前記移送管及び前記成形管を加熱することを特徴とする[4]に記載の再成形食品製造装置。
[6] 前記集合移送管は、前記成形管及び前記冷却管の間に、その流路形状が前記最終形状に形成されるとともに、前記成形管及び前記冷却管の間の断熱が可能な断熱管をさらに備えることを特徴とする[5]に記載の再成形食品製造装置。
[7] 前記集合移送管は、前記冷却装置の一次側に、前記食品素材の流路を分割する仕切部が設けられることを特徴とする[3]乃至[6]に記載の再成形食品製造装置。
[8] 複数の貯留槽にそれぞれ貯留された液状に形成された食品素材及び加熱されることで前記食品素材を凝固させる凝固素材を含有する液状素材を、それぞれ移送管に圧送し、
前記移送管に圧送された液状素材を加熱装置で加熱し、
前記加熱装置で加熱されることで凝固した前記液状素材を冷却装置で冷却し、
前記冷却装置で冷却され、前記移送管から吐出された前記液状素材を、再成形食品を形成する所定の量で切断する、
ことを特徴とする再成形食品の製造方法。
[9] 複数の貯留槽にそれぞれ貯留された液状に形成された食品素材及び加熱されることで前記食品素材を凝固させる凝固素材を含有する液状素材を、それぞれ移送管に圧送し、
前記移送管の二次側に接続された集合移送管により集合した前記移送管によりそれぞれ移送される前記液状素材を加熱装置で加熱し、
前記加熱装置で加熱されることで凝固した前記液状素材を冷却装置で冷却し、
前記冷却装置で冷却され、前記移送管から吐出された前記液状素材を、再成形食品を形成する所定の量で切断する、
ことを特徴とする再成形食品の製造方法。
[10] 前記集合移送管は、
前記複数の前記移送管に接続され、その二次側の開口形状が前記液状素材の最終形状に形成された成形管と、
前記成形管の二次側に設けられ、その流路形状が前記最終形状に形成された前記冷却装置が設けられる冷却管と、
を備えることを特徴とする[9]に記載の再成形食品の製造方法。
[11] 前記加熱装置は、前記移送管のみ、又は、前記移送管及び前記成形管を加熱することを特徴とする[10]に記載の再成形食品の製造方法。
[12] 前記集合移送管は、前記成形管及び前記冷却管の間に、その流路形状が前記最終形状に形成されるとともに、前記成形管及び前記冷却管の間の断熱が可能な断熱管をさらに備えることを特徴とする[11]に記載の再成形食品の製造方法。
[13] 前記集合移送管は、前記冷却装置の一次側に、前記食品素材の流路を分割する仕切部が設けられることを特徴とする[9]乃至[12]に記載の再成形食品の製造方法。