(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載の対基板作業システムによれば、不良基板の出荷を防止することが可能となる。ただし、不良基板の製造は無駄であり、できる限り、不良基板の製造を抑制することが望ましい。このため、対基板作業機において、不良基板の製造を抑制するために、対基板作業機による作業の適否を確認するための所定の処理を行うことが考えられる。具体的には、例えば、回路基板に電子部品を装着する装着機において、電子部品が回路基板に装着される前に、電子部品の装着向きを確認するための処理を行うことが考えられる。このような処理を行うことで、例えば、電子部品の装着向きが適正である場合に装着作業を実行し、適正でない場合には、電子部品の装着向きを適正化させるための処置を施すことが可能となり、不良基板の製造を抑制することが可能となる。しかしながら、そのような処理を行うことで、生産性は低下する。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、生産性を低下させることなく、不良基板の製造を抑制することが可能な対基板作業システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の対基板作業システムは、回路基板に対する作業を実行する対基板作業機と、前記対基板作業機によって作業が実行された回路基板に対する作業結果を検査する検査機と、前記対基板作業機の作動を制御する制御装置とを備えた対基板作業システムであって、前記制御装置が、前記対基板作業機によって回路基板に対する作業を実行するための第1プログラムと、前記第1プログラムに対基板作業機による作業の適否を確認するための処理を含んだ第2プログラムとを記憶するプログラム記憶部と、前記検査機によって作業結果が良好でないと判断され
、その良好でないと判断された作業結果の発生を、前記第2プログラムに含まれる処理によって防止可能である場合に、前記第2プログラムに従って前記対基板作業機の作動を制御する作動制御部とを有することを特徴とする。
【0006】
【0007】
また、
請求項2に記載の対基板作業システムでは、請求項
1に記載の対基板作業システムにおいて、前記第2プログラムに含まれる処理が、前記対基板作業機に設けられた撮像装置による撮像データに基づいて、対基板作業機による作業の適否を確認するための処理であることを特徴とする。
【0008】
また、
請求項3に記載の対基板作業システムは、請求項1
または請求項2に記載の対基板作業システムにおいて、前記第2プログラムに従った前記対基板作業機による作業の実行を禁止するための操作ボタンを備え、前記作動制御部が、前記検査機によって作業結果が良好でないと判断された場合であっても、前記操作ボタンがユーザにより操作された場合は、前記第1プログラムに従って前記対基板作業機の作動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の対基板作業システムでは、第1プログラムと、その第1プログラムに対基板作業機による作業の適否を確認するための処理(以下、「確認処理」と略す場合がある)を含んだ第2プログラムとが記憶されている。そして、対基板作業機は、通常時において、第1プログラムに従って作業を実行し、検査機による検査結果が良好でない場合に、第2プログラムに従って作業を実行する。このため、検査機による検査結果が良好である状態、つまり、対基板作業機による作業が適切に行われている状態での、確認処理の実行を防止することが可能となり、生産性の低下を抑制することが可能となる。一方、不良基板が発生した場合、若しくは、不良基板が発生しそうな場合に、確認処理を含んだ第2プログラムが実行されることで、不良基板の製造が抑制される。このように、請求項1に記載の対基板作業システムでは、必要時にのみ、確認処理を実行することで、生産性の低下を最低限に抑え、不良基板の製造を抑制することが可能となる。
【0010】
また、
請求項1に記載の対基板作業システムでは、検査機による検査結果が良好でなく、その良好でないと判断された作業結果の発生を、第2プログラムに含まれる確認処理によって防止可能である場合に、対基板作業機は第2プログラムに従って作業を実行する。具体的には、例えば、電子部品が正しい方向とは異なる方向を向いた状態で装着された回路基板が製造された場合に、確認処理が、回路基板に装着される前の電子部品の装着向きを確認するための処理であれば、不良基板の製造を抑制することが可能である。このため、このような場合には、対基板作業機は第2プログラムに従って作業を実行する。一方、電子部品が装着予定位置に装着されていない回路基板が製造された場合には、確認処理が、回路基板に装着される前の電子部品の装着向きを確認するための処理であっても、不良基板の製造を抑制することはできない。このため、このような場合には、対基板作業機は第2プログラムに従って作業を実行しない。これにより、不良基板の製造を抑制することが可能である場合にのみ、第2プログラムの実行が許容されるため、効果的に不良基板の製造を抑制するとともに、生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0011】
また、
請求項2に記載の対基板作業システムでは、記対基板作業機に設けられた撮像装置による撮像データに基づいて、確認処理が行われる。これにより、対基板作業機による作業の適否を好適に確認することが可能となる。
【0012】
また、
請求項3に記載の対基板作業システムには、第2プログラムに従った対基板作業機による作業の実行を禁止するための操作ボタンが設けられている。そして、検査機による検査結果が良好でない場合であっても、操作ボタンが作業者によって操作されている場合には、対基板作業機は第1プログラムに従って作業を実行する。つまり、不良基板が発生した場合であっても、作業者の意思に従って、確認処理の実行を禁止することが可能となり、生産効率を重視した作業を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0015】
<電子部品実装システムの構成>
図1に、本発明の実施例の電子部品実装システム(以下、「実装システム」と略す場合がある)10を示す。実装システム10は、回路基板に電子回路部品(以下、「電子部品」と略す場合がある)を実装するためのシステムである。実装システム10は、電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)12と、検査機14とを有しており、検査機14は、装着機12の下流側に配設されている。なお、以下の説明において、装着機12と検査機14との配列方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0016】
装着機12は、搬送装置20と、装着ヘッド移動装置22と、装着ヘッド24と、供給装置26とを備えている。
【0017】
搬送装置20は、X軸方向に延びる1対のコンベアベルト30と、コンベアベルト30を周回させる電磁モータ(
図2参照)32とを有している。回路基板は、それら1対のコンベアベルト30によって支持され、電磁モータ32の駆動により、X軸方向に搬送される。また、搬送装置20は、基板保持装置(
図2参照)36を有している。基板保持装置36は、コンベアベルト30によって支持された回路基板を、所定の位置において固定的に保持する。
【0018】
装着ヘッド移動装置22は、X軸方向スライド機構50とY軸方向スライド機構52とによって構成されている。X軸方向スライド機構50は、X軸方向に移動可能にベース54上に設けられたX軸スライダ56を有している。そのX軸スライダ56は、電磁モータ(
図2参照)58の駆動により、X軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸方向スライド機構52は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダ56の側面に設けられたY軸スライダ60を有している。そのY軸スライダ60は、電磁モータ(
図2参照)62の駆動により、Y軸方向の任意の位置に移動する。そのY軸スライダ60には、装着ヘッド24が取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド24は、装着ヘッド移動装置22によってベース54上の任意の位置に移動する。
【0019】
装着ヘッド24は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド24は、下端面に設けられた吸着ノズル70を有している。吸着ノズル70は、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(
図2参照)76に通じている。吸着ノズル70は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド24は、吸着ノズル70を昇降させる昇降装置(
図2参照)78を有している。その昇降装置78によって、装着ヘッド24は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。なお、吸着ノズル70は、装着ヘッド24に着脱可能とされている。
【0020】
供給装置26は、フィーダ型の供給装置であり、複数のテープフィーダ80を有している。テープフィーダ80は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ80は、送出装置(
図2参照)86によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置26は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。なお、テープフィーダ80は、ベース54に着脱可能とされており、電子部品の交換,電子部品の不足等に対応することが可能とされている。
【0021】
また、装着機12は、パーツカメラ(
図2参照)90と、マークカメラ(
図2参照)92と、サイドビューカメラ(
図2参照)96を備えている。パーツカメラ90は、上を向いた状態でベース54上に設けられており、装着ヘッド24の吸着ノズル70によって保持された電子部品を下方から撮像する。また、マークカメラ92は、下方を向いた状態でY軸スライダ60の下面に固定されている。これにより、Y軸スライダ60が、装着ヘッド移動装置22によって移動させられることで、ベース54上の任意の位置を撮像することが可能である。さらに、サイドビューカメラ96は、装着ヘッド24の吸着ノズル70を向いた状態でY軸スライダ60に固定されており、吸着ノズル70によって保持された電子部品を側方から撮像する。
【0022】
さらに、装着機12は、
図2に示すように、制御装置100を備えている。制御装置100は、コントローラ102と、複数の駆動回路106とを備えている。複数の駆動回路106は、上記電磁モータ32,58,62、基板保持装置36、正負圧供給装置76、昇降装置78、送出装置86に接続されている。コントローラ102は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路106に接続されている。これにより、搬送装置20、装着ヘッド移動装置22等の作動が、コントローラ102によって制御される。また、コントローラ102は、画像処理装置108に接続されている。画像処理装置108は、パーツカメラ90、マークカメラ92、サイドビューカメラ96によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ102は、画像処理装置108によって処理されたデータから各種情報を取得する。
【0023】
また、検査機14は、
図1に示すように、搬送装置110と、検査ヘッド112と、検査ヘッド移動装置114とを備えている。搬送装置110は、装着機12の搬送装置20と同じ構造であり、搬送装置20に連結されている。これにより、装着機12の搬送装置20から搬出された回路基板が、検査機14の搬送装置110に搬入される。
【0024】
検査ヘッド112は、下端面に設けられた検査カメラ116を有しており、その検査カメラ116の撮像により、回路基板への電子部品の装着作業の良否が検査される。また、検査ヘッド移動装置114は、装着機12の装着ヘッド移動装置22と同じ構造であり、検査ヘッド移動装置114のY軸スライダ118には、検査ヘッド112が取り付けられている。これにより、検査カメラ116は、回路基板上の任意の位置を撮像することが可能である。
【0025】
また、検査機14は、
図2に示すように、制御装置120を備えている。制御装置120は、コントローラ122と、複数の駆動回路124とを備えている。複数の駆動回路124は、搬送装置110の電磁モータ126および基板保持装置128、検査ヘッド移動装置114の電磁モータ130,132に接続されている。コントローラ122は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路124に接続されている。これにより、搬送装置110、検査ヘッド移動装置114の作動が、コントローラ122によって制御される。また、コントローラ122は、画像処理装置136に接続されている。画像処理装置136は、検査カメラ116によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ122は、画像処理装置136によって処理されたデータに基づいて、回路基板への電子部品の装着作業の良否を判定する。
【0026】
<電子部品実装システムによる作業>
実装システム10では、上述した構成によって、装着機12において、回路基板に電子部品を装着する装着作業が実行される。そして、検査機14において、装着機12によって装着作業が行われた回路基板に対して、検査作業が実行される。
【0027】
具体的には、まず、装着機12において、制御装置100のコントローラ102からの指令により、搬送装置20が、回路基板を作業位置まで搬送し、その位置において固定的に保持する。次に、コントローラ102からの指令により、装着ヘッド24が、供給装置26の供給位置上に移動し、供給装置26から電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド24が、回路基板上に移動し、その回路基板に電子部品を装着する。そして、装着作業の終了した回路基板が、搬送装置20よって検査機14に向かって搬送される。
【0028】
次に、検査機14では、制御装置120のコントローラ122からの指令により、搬送装置110が、回路基板を作業位置まで搬送し、その位置において固定的に保持する。そして、コントローラ122からの指令により、検査ヘッド112が、回路基板上に移動し、検査カメラ116が回路基板を撮像する。検査カメラ116によって得られた画像データは、画像処理装置136において処理され、電子部品の回路基板への装着状態に関する情報が取得される。その情報に基づいて、電子部品が装着された回路基板に対する検査作業が行われる。そして、検査作業が行われた回路基板が、搬送装置110によって検査機14から搬出される。
【0029】
<電子部品装着機による装着作業の確認>
上述したように、実装システム10では、装着機12によって装着作業が行われた回路基板に対して、検査作業が実行される。これにより、検査結果の良好な回路基板、つまり、正常な回路基板のみを出荷し、検査結果の良好でない回路基板(以下、「不良基板」と略す場合がある)の出荷を防止することが可能となる。ただし、不良基板の製造は無駄であり、できる限り、不良基板の製造を抑制することが望ましい。このため、実装システム10では、装着機12において、不良基板の製造を抑制するために、装着作業の適否を確認するための所定の処理を行うことが可能となっている。
【0030】
例えば、不良基板の一例として、電子部品が正しい方向とは異なる方向を向いた状態で装着された回路基板(以下、「方向違い基板」という場合がある)が挙げられる。このような回路基板に対しては、回路基板に装着される前の電子部品の向きの確認(以下、「方向確認」という場合がある)を行うことで、方向違い基板の製造を抑制することが可能である。
【0031】
具体的には、コントローラ102からの指令により、電子部品を吸着ノズル70によって保持した状態の装着ヘッド24が、パーツカメラ90の上方に移動し、パーツカメラ90が、吸着ノズル70に保持された電子部品を撮像する。パーツカメラ90によって得られた画像データは、画像処理装置108において処理され、吸着ノズル70によって保持された電子部品に関する情報が取得される。そして、コントローラ102は、その情報に基づいて、電子部品の向きが正常であるか否かを判定する。電子部品の向きが正常である場合には、吸着ノズル70によって保持された電子部品が、回路基板に装着される。一方、電子部品の向きが正常でない場合には、吸着ノズル70によって保持された電子部品は、装着機12のベース54上に設けられた廃棄ボックス(図示省略)に廃棄される。そして、吸着ノズル70により、別の電子部品が保持され、その電子部品に対して、上記方向確認が行われる。このように、方向確認を行うことで、方向違い基板の製造を抑制することが可能となる。
【0032】
また、吸着ノズル70に保持される前の電子部品、つまり、供給装置26の供給位置において供給される状態の電子部品の向きを確認することでも、方向確認を行うことが可能である。具体的には、コントローラ102からの指令により、マークカメラ92が、供給装置26による電子部品の供給位置の上方に移動し、マークカメラ92が、供給位置で供給されている状態の電子部品を撮像する。マークカメラ92によって得られた画像データは、画像処理装置108において処理され、供給位置で供給されている状態の電子部品に関する情報が取得される。そして、コントローラ102は、その情報に基づいて、電子部品の向きが正常であるか否かを判定する。電子部品の向きが正常である場合には、その電子部品が吸着ノズル70によって保持され、以降の装着作業が継続される。一方、電子部品の向きが正常でない場合には、その電子部品が、吸着ノズル70によって保持され、その保持された電子部品が、廃棄ボックスに廃棄される。そして、供給装置26は、新たな電子部品を供給し、その電子部品に対して、上記方向確認が行われる。このように、方向確認を行うことでも、方向違い基板の製造を抑制することが可能となる。なお、吸着ノズル70によって保持された電子部品に対する方向確認、および、供給位置で供給されている電子部品に対する方向確認において、繰返し、電子部品の向きが正常でないと判定された場合には、エラー報知がなされ、作業者による検査が行われる。
【0033】
また、例えば、不良基板の一例として、電子部品が裏向きに装着された回路基板(以下、「裏打ち基板」という場合がある)が挙げられる。このような回路基板に対しては、回路基板に装着される前の電子部品が表向きであるか裏向きであるかの確認(以下、「表裏確認」という場合がある)を行うことで、裏打ち基板の製造を抑制することが可能である。
【0034】
具体的には、コントローラ102からの指令により、サイドビューカメラ96が、吸着ノズル70によって保持された状態の電子部品を撮像する。サイドビューカメラ96によって得られた画像データは、画像処理装置108において処理され、吸着ノズル70によって保持された電子部品に関する情報が取得される。そして、コントローラ102は、その情報に基づいて、電子部品が表向きであるか裏向きであるかを判定する。電子部品が表向きである場合には、吸着ノズル70によって保持された電子部品が、回路基板に装着される。一方、電子部品が裏向きである場合には、吸着ノズル70によって保持された電子部品は、廃棄ボックスに廃棄される。そして、吸着ノズル70により、別の電子部品が保持され、その電子部品に対して、上記表裏判定が行われる。このように、表裏判定を行うことで、裏打ち基板の製造を抑制することが可能となる。なお、表裏判定において、繰返し、電子部品が裏向きであると判定された場合には、エラー報知がなされ、作業者による検査が行われる。
【0035】
また、例えば、不良基板の一例として、電子部品の装着予定位置に電子部品が装着されていない回路基板(以下、「欠品基板」という場合がある)が挙げられる。このような回路基板に対しては、回路基板への電子部品の装着前後に吸着ノズル70が電子部品を保持しているか否かの確認(以下、「電子部品保持確認」という場合がある)を行うことで、欠品基板の製造を抑制することが可能である。
【0036】
具体的には、コントローラ102からの指令により、サイドビューカメラ96が、供給装置26から電子部品を保持する工程を行った後の吸着ノズル70の先端部を撮像する。サイドビューカメラ96によって得られた画像データは、画像処理装置108において処理され、吸着ノズル70の先端部に関する情報が取得される。そして、コントローラ102は、その情報に基づいて、吸着ノズル70が電子部品を保持しているか否かを判定する。吸着ノズル70が電子部品を保持している場合には、吸着ノズル70によって保持された電子部品が、回路基板に装着される。一方、吸着ノズル70が電子部品を保持していない場合には、電子部品の吸着ミスが発生しているため、吸着ノズル70による供給装置26からの電子部品の保持工程が、再度、行われる。そして、吸着ノズル70に対して、上記電子部品保持確認が行われる。
【0037】
また、吸着ノズル70によって保持された電子部品が回路基板に装着される工程が行われた後においても、サイドビューカメラ96は、吸着ノズル70の先端部を撮像する。サイドビューカメラ96によって得られた画像データは、画像処理装置108において処理され、吸着ノズル70の先端部に関する情報が取得される。そして、コントローラ102は、その情報に基づいて、吸着ノズル70が電子部品を保持しているか否かを判定する。吸着ノズル70が電子部品を保持していない場合には、電子部品が回路基板に装着されており、以降の作業が行われる。一方、吸着ノズル70が電子部品を保持している場合には、吸着ノズル70による電子部品の持ち帰りが発生しており、電子部品は回路基板に装着されていない。このため、吸着ノズル70によって保持された電子部品の回路基板への装着工程が、再度、行われる。このように、電子部品保持確認を行うことで、欠品基板の製造を抑制することが可能となる。なお、電子部品保持確認において、繰返し、電子部品の吸着ミス,電子部品の持ち帰りが発生した場合には、エラー報知がなされ、作業者による検査が行われる。
【0038】
<検査結果に応じた作業プログラムの選択>
上述したように、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認を行うことで、不良基板の製造を抑制することが可能となる。一方で、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認を行う際には、マークカメラ92等による撮像,撮像データの処理等に時間を要するため、生産性が低下する虞がある。そのようなことに鑑みて、実装システム10では、装着機12による装着作業を実行するための生産プログラムとして、上記各種確認を実行するための処理を含んだ制御プログラム(以下、「確認処理含有プログラム」という場合がある)と、上記各種確認を実行するための処理を含んでいない制御プログラム(以下、「確認処理非含有プログラム」という場合がある)とが用意されており、検査機14による検査結果に応じて、生産プログラムの選択が行われる。
【0039】
具体的には、装着機12の制御装置100のコントローラ102には、<電子部品実装システムによる作業>の欄に示した装着機12による装着作業を実行するための確認処理非含有プログラムと、その確認処理非含有プログラムに、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認の少なくとも1つを実行するための処理を含んだ複数の確認処理含有プログラムとが記憶されている。複数の確認処理含有プログラムには、確認処理非含有プログラムに方向確認を実行するための処理を含んだ第1確認処理含有プログラムと、確認処理非含有プログラムに表裏確認を実行するための処理を含んだ第2確認処理含有プログラムと、確認処理非含有プログラムに電子部品保持確認を実行するための処理を含んだ第3確認処理含有プログラムと、確認処理非含有プログラムに方向確認,表裏確認を実行するための処理を含んだ第4確認処理含有プログラムと、確認処理非含有プログラムに方向確認,電子部品保持確認を実行するための処理を含んだ第5確認処理含有プログラムと、確認処理非含有プログラムに表裏確認,電子部品保持確認を実行するための処理を含んだ第6確認処理含有プログラムと、確認処理非含有プログラムに方向確認,表裏確認,電子部品保持確認を実行するための処理を含んだ第7確認処理含有プログラムとがある。
【0040】
装着作業が実行される際に、通常は、確認処理非含有プログラムが実行されている。そして、そのプログラムの実行により製造された回路基板が、検査機14において良好でないと判定された場合に、その良好でないと判定された検査結果が、装着機12にフィードバックされる。装着機12では、フィードバックされた検査結果から不良基板の要因が認定され、その不良基板の要因に方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理によって対処可能であるか否かが判定される。つまり、検査機14において検査結果が良好でないと判定された不良基板が、方向違い基板、裏打ち基板、欠品基板のいずれかに該当するか否かが判定される。
【0041】
不良基板が方向違い基板、裏打ち基板、欠品基板のいずれかに該当する場合には、該当する不良基板の要因に応じて、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認の何れかの処理を含む第1〜第7確認処理含有プログラムが選択される。このため、装着機12では、装着作業時において、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理のうちの、不良基板の要因に該当しない確認処理は実行されず、不良基板の要因に該当する確認処理のみが実行される。これにより、不良基板の製造を適切に抑制するとともに、生産性の低下を最低限に抑えることが可能となる。
【0042】
一方、不良基板が方向違い基板、裏打ち基板、欠品基板のいずれにも該当しない場合には、不良基板の要因に方向確認,表裏確認,電子部品保持確認によって対処できないため、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認の処理を含まない確認処理非含有プログラムが選択される。つまり、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理の実行によって、不良基板の製造を抑制することができない場合には、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理は実行されない。これにより、装着作業時における無駄な確認処理の実行を防止することが可能となり、生産性の低下を抑制することが可能となる。なお、検査機14における検査結果が良好である場合にも、確認処理非含有プログラムが選択される。これにより、不良基板が製造されていない状態、つまり、装着機12による装着作業が適切に行われている状態での、確認処理の実行を防止することが可能となり、生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0043】
また、実装システム10では、検査機14において検査結果が良好でないと判定され、不良基板が方向違い基板、裏打ち基板、欠品基板のいずれかに該当する場合であっても、作業者に意思に従って、装着作業時における確認処理の実行を禁止することが可能である。詳しくは、実装システム10には、確認ボタン(図示省略)が設けられており、その確認ボタンが操作された場合には、確認処理含有プログラムが実行される前に、プログラム変更確認画面が、表示パネル(図示省略)に表示される。プログラム変更確認画面には、不良基板が発生したために、確認処理非含有プログラムから確認処理含有プログラムに変更する旨のコメントと、変更ボタン(図示省略)が表示される。表示パネルは、タッチパネルとされており、変更ボタンが操作された場合には、装着作業を行うための生産プログラムが、確認処理非含有プログラムから確認処理含有プログラムに変更される。一方、変更ボタンが操作されない場合には、確認処理含有プログラムの実行が禁止され、確認処理非含有プログラムが継続して実行される。これにより、作業者は、生産効率重視の装着作業と、不良基板の発生抑制重視の装着作業とを選択することが可能となり、便利である。なお、確認ボタンが操作されていない場合には、検査機14において検査結果が良好でないと判定され、不良基板が方向違い基板、裏打ち基板、欠品基板のいずれかに該当する場合に、必ず、生産プログラムが、確認処理非含有プログラムから確認処理含有プログラムに変更される。
【0044】
<制御プログラム>
上述した検査機14の検査結果に応じた生産プログラムの変更は、
図3ないし
図5にフローチャートを示す制御プログラムが実行されることで行われる。制御プログラムでは、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、装着機12の搬送装置20に、回路基板を搬入する旨の指令が送信される。次に、S2において、装着機12の装着ヘッド移動装置22,装着ヘッド24等に、装着作業を実行する旨の指令が送信される。
【0045】
続いて、S3において、検査機14の検査ヘッド移動装置114,検査カメラ116等に、検査作業を実行する旨の指令が送信される。そして、S4において、検査機14による検査結果が良好であるか否かが判定される。検査結果が良好である場合には、S1に戻る。一方、検査結果が良好でない場合には、S5に進む。
【0046】
S5において、検査結果の不良基板に関する情報が、検査機14のコントローラ122から装着機12のコントローラ102にフィードバックされる。そして、S6において、装着機12のコントローラ102は、不良基板に関する情報から不良基板の原因を確認する。続いて、S7において、装着機12のコントローラ102は、不良基板の原因に、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理によって対処可能であるか否かを判定する。不良基板の原因に、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理によって対処可能でない場合には、S1に戻る。一方、不良基板の原因に、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理によって対処可能である場合には、S8に進む。
【0047】
S8において、装着機12のコントローラ102は、確認ボタンが操作されているか否かを判定する。確認ボタンが操作されていない場合には、S11に進む。一方、確認ボタンが操作されている場合には、S9に進む。S9において、コントローラ102は、プログラム変更確認画面を表示パネルに表示する。そして、S10において、コントローラ102は、変更ボタンが操作されたか否かを判定する。変更ボタンが操作されていない場合には、S1に戻る。一方、変更ボタンが操作された場合には、S11に進む。
【0048】
S11において、コントローラ102は、プログラム決定サブルーチンを実行する。プログラム決定サブルーチンでは、S21において、コントローラ102は、不良基板の原因が、電子部品が回路基板に裏向きに装着されたことにより生じたものであるか否かを判定する。つまり、不良基板が裏打ち基板であるか否かを判定する。不良基板が裏打ち基板である場合には、S22において、生産プログラムに表裏確認を実行するための処理が追加された確認処理含有プログラムが選択される。そして、S23に進む。一方、不良基板が裏打ち基板でない場合にも、S23に進む。
【0049】
S23において、コントローラ102は、不良基板の原因が、電子部品が正常な方向と異なる方向の向きに装着されたことにより生じたものであるか否かを判定する。つまり、不良基板が方向違い基板であるか否かを判定する。不良基板が方向違い基板である場合には、S24において、生産プログラムに方向確認を実行するための処理が追加された確認処理含有プログラムが選択される。そして、S25に進む。一方、不良基板が裏打ち基板でない場合にも、S25に進む。
【0050】
S25において、コントローラ102は、不良基板の原因が、電子部品が装着予定位置に装着されていないことにより生じたものであるか否かを判定する。つまり、不良基板が欠品基板であるか否かを判定する。不良基板が欠品基板である場合には、S26において、生産プログラムに電子部品保持確認を実行するための処理が追加された確認処理含有プログラムが選択される。そして、プログラム決定サブルーチンが終了する。一方、不良基板が裏打ち基板でない場合にも、プログラム決定サブルーチンが終了する。
【0051】
プログラム決定サブルーチンが終了すると、S12において、コントローラ102は、生産プログラムを、確認処理非含有プログラムから選択された確認処理含有プログラムに変更する。以上の処理により、本制御プログラムが終了する。
【0052】
<制御装置の機能構成>
上記制御プログラムを実行する制御装置100のコントローラ102および、制御装置120のコントローラ122は、それの実行処理に鑑みれば、
図2に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、制御装置100のコントローラ102は、プログラム記憶部150,判定部152,作動制御部154を有している。プログラム記憶部150は、確認処理非含有プログラムおよび、確認処理含有プログラムを記憶する機能部である。判定部152は、不良基板の原因に、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理によって対処可能であるか否かを判定する機能部である。作動制御部154は、確認処理非含有プログラム若しくは、確認処理含有プログラムに従って、装着機12の作動を制御する機能部である。また、制御装置120のコントローラ122は、検査部156を有している。検査部156は、検査機14による検査作業を実行する機能部である。
【0053】
ちなみに、上記実施例において、電子部品実装システム10は、対基板作業システムの一例である。電子部品装着機12は、対基板作業機の一例である。検査機14は、検査機の一例である。パーツカメラ90,マークカメラ92,サイドビューカメラ96は、撮像装置の一例である。制御装置100は、制御装置の一例である。プログラム記憶部150は、プログラム記憶部の一例である。作動制御部154は、作動制御部の一例である。また、確認処理非含有プログラムは、第1プログラムの一例である。確認処理含有プログラムは、第2プログラムの一例である。
【0054】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、装着機12による装着作業の適否を確認するための処理として、方向確認,表裏確認,電子部品保持確認処理が採用されているが、種々の確認処理を採用することが可能である。具体的には、例えば、吸着ノズル70による電子部品の吸着位置,供給装置26による電子部品の供給位置,搬送装置20による回路基板の保持位置,回路基板の反り等の確認処理等を行うことが可能である。
【0055】
また、装着作業の適否を確認する際に、上記実施例では、パーツカメラ90等の撮像装置が用いられているが、撮像装置だけでなく、高さセンサ,位置センサ等の各種センサを用いることが可能である。
【0056】
また、上記実施例では、対基板作業機として、装着機12が採用されているが、回路基板に流体を吐出・塗布するための作業機,回路基板に対する各種の処理を実行する作業機等、種々の作業機を採用することが可能である。