(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の油入変圧器の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0009】
(実施例1)
図1Aは、耐震構造を有した油入変圧器の全体の外観を示す斜視図である。
図1Aにおいて、10は油入変圧器、20はタンク、23は冷却用波形フィン、24は波形フィン23の上下に溶接した溶接線で、波形フィン23に強度を持たせ変形し難いようにしている。28はタンク20の奥行方向(Y軸方向)の周囲全体を巻いて溶接などで固定した帯状の耐震用補強部材である。ここで、座標軸を設け、変圧器の長手方向をX軸方向、奥行方向をY軸方向、高さ方向をZ軸方向とする。油入変圧器10は、珪素鋼板やアモルファス薄帯の鉄心1にコイル2を巻回して組み立て、この鉄心1とコイル2の組立体をタンク20に収納し、タンク20内に絶縁油3を充填し、鉄心1やコイル2から発生する熱を冷却するためにタンク20の周囲に波形フィン23を形成し、波形フィン23内に絶縁油3を循環するように構成して冷却するようにしている。また、
図1Aに示しているように、耐震用補強部材28は、油入変圧器のX軸方向に対し直角方向(Y軸方向)に2ヶ所配置しているが、2ヶ所以上配置してもよく、増やした方が耐震効果はある。
【0010】
次に、
図1Aに示す補強部材28の箇所のA−A断面図を
図1Bに示す。
図1Bは、タンク20の周囲を固定した補強部材28の部分の変圧器の断面図を示し、タンク20内には鉄心1とコイル2を組み立てたコイル鉄心組立体を収納し、絶縁油3を充填している。絶縁油3の油面の位置は波形フィン23の位置より高くする。また、タンク20とタンク天板27のコーナ部Bの拡大断面図をB部拡大図に示す。タンク20の上部は、タンク20の上部の先端を外側に折り曲げ、タンク20とタンク天板27との間に全周に渡って気密用ガスケット29を配置してタンク内の気密性を保持している。また、タンク20の周囲には、冷却用波形フィン23を配置する。
【0011】
タンク20の奥行方向(Y軸方向)で全周を一周して巻いた耐震用補強部材28は、タンクの天板27、両側壁、底板とを巻いて、タンク20と当接する部分は溶接などにより固定し、変圧器全体を四角形の耐震補強部材のフレームで囲う構成とし、タンク全体の剛性を向上させている。
【0012】
また、耐震補強部材28は、
図1Aに示しているように、変圧器の中央より所定の距離離れた2ヶ所に配置し、タンク20の外側壁面の波形フィン23の箇所は波形フィンを配置しないで、補強部材28をタンク側壁面に配置し、溶接などで固定し、変圧器の底板にはタンクの側壁面より補強部材28を連続して配置し、溶接などにより固定する。また、タンク天板27とタンク20の接する部分は、上記のように気密用ガスケット29を全周に配置しているので、この部分は補強部材28を折り曲げ、立ち上がらせて囲う構成にしている。そして、タンク天板27の上部には、連続した耐震用補強部材28を溶接などで固定して、変圧器一周を連続して補強部材28のフレームで固定する構成にする。このようにタンク20及びタンク天板27の周囲を中央より所定の距離離れた2ヶ所で、Y軸方向に剛性の金属板である耐震用補強部材28で巻いて固定する構成にすることにより、変圧器本体の耐震性が向上する。
【0013】
また、耐震用補強部材28は、
図1Cに示すように断面が矩形で厚みのある金属板281を用いたり、
図1Dに示すように断面形状が四角形で、中央が中空の筒体282の部材を用いると、その強度は増加する。また、四角形は横寸法が大きく、高さ寸法が小さい形状とし、補強部材の容積が大きくならないようにする。また、図示していないが、断面が三角形状で、中央が中空の筒体を用いたり、半円形の筒体を耐震用補強部材とすることも可能である。また、型鋼といわれるコ字形状、L字形状、H字形状の鋼材を用いても強度の向上した変圧器を提供できる。さらに、図示していないが、Y軸方向に垂直なX軸方向すなわち変圧器の長手方向に対して、耐震用補強部材28を用い変圧器全体を一周巻いて固定してもよく、X軸方向とY軸方向に変圧器全体を巻いて固定してもよい。
【0014】
次に、
図2A及び
図2Bを用いて
図1Aに示した変圧器10を床に固定する変圧器のベースについて説明する。
図2A及び
図2Bは、変圧器のタンク下部の部分拡大図を示す。
図2Aにおいて、耐震用補強部材28は波形フィン23を配置しないタンク20の側壁面に配置されて、タンク20の底板で折り曲げられて連続して配置され、溶接などでタンク底板に固定される。また、耐震用補強部材28の横側にアンカーボルト用の孔61を有したベース60をタンク20の底板に配置し、溶接などにより底板に固定している。また、ベース60の形状はU字形状とし、ベースの強度を増加している。
【0015】
ベース60の長さは、Y軸方向のタンクの底板の長さよりも長く取ることもでき、タンク途中までの長さにしてもよく、アンカーボルト用の孔61の部分がタンク底板より出て、アンカーボルトを取り付けることが可能であればよい。また、ベースの形状は、
図2AではU字形状としているが、四角形の筒形状でも、三角形の筒形状でも良い。
【0016】
(実施例2)
次に、ベースの別の実施例を
図2Bに示し、この構成について説明する。
図2Bは、実施例2のベースの構造で、耐震用補強部材28とアンカーボルト用のベース60を溶接などにより一体化した構造を示す斜視図である。補強部材28は、タンク20の側壁面の波形フィン23のない部分に配置され、タンク20の底板で折り曲げられて底板に配置され、溶接などにより固定されている。また、ベース60は断面がU字形状での金属板で形成し、U字形の溝の中に補強部材28が収まる構成とし、U字形状の辺の高さを底板部より高くする場合は図のように切欠きを設けてタンク下部に当接して配置し、溶接などで固定する。そして、U字形状のベースの溝のY軸方向の外側には、アンカーボルト用孔61を配置している。ベース60のタンク側壁面からの長さは、波形フィン23の高さよりも短くし、変圧器の設置面積をできるだけ小さくなるようにする。
【0017】
また、ベース60のU字形状の金属材は厚さが厚いほど強度が増すが、変圧器の重量や外部の力などからベース60の厚みを求めることが可能である。また、図示していないが、ベース60のU字形状の2辺の上に耐震用補強部材28を載せて一体化する構成もある。この構成においては、U字形状のベースと補強部材28との間に空間を生じるため、この空間を塞ぐように金属板を当て固定し、外から雨などの水滴がベース60内に入らないようにする。
【0018】
(実施例3)
図3Aは、本発明の耐震構造を有した油入変圧器の全体の外観を示す斜視図で、
図3Aにおいて、
図1Aと同じ名称のものは省略し、異なる点を挙げると、30が変圧器のX軸方向に2ヶ所配置したステーで、32は中央部に配置したステーを示す。
次に、実施例3の変圧器の第三角法の図を用いて説明する。
図3Bは本発明の油入変圧器の正面図を示し、
図3Cは側面図を示し、
図3Dは上面図を示す。
図3Bにおいて、タンク20の両側には波形フィン23が配置され、31はタンク下部21の底板に設置、固定されるベースで、30はベース31に接続されるステーである。ベース31及びステー30は、変圧器の長手方向をX軸、高さ方向をZ軸、奥行方向をY軸とすると、変圧器のX軸方向において、中央より両側で等距離の位置に配置する。また、ベース31及びステー30の構造については、後で説明する。タンク20の中央部には、ステー32をタンク下部21からタンク上部22まで通しで配置している。
【0019】
次に、
図3Cの油入変圧器の側面図において、タンク20の前後に波形フィン23が配置され、タンク下部21に設置固定されたベース31は、波形フィン23の下側でタンク下部21の前側から後側まで連続した構成となっている。また、ベース31の前面のG部分の拡大断面図を下図に示す。タンク20の下部は下側に凸部形状としており、タンク下部21の前面側は、その断面をみると階段状となり、段差の部分にベース31の折り曲げたコーナ部を当接して設置し溶接などによりベース31とタンク下部21を固定する構成とする。この構成は前後同じ構成である。また、ベース31に接続したステー30は、タンク下部21からタンク上部22に細長い矩形の板材を伸ばしタンク上部22に当接し、溶接などにより固定する。
【0020】
次に、
図3Dに本発明の油入変圧器の上面図を示す。
図3Dにおいて、タンク20の周囲には、波形フィン23を配置している。ベース31は、X軸方向において中心より所定の距離離れた箇所にそれぞれ配置している。X軸方向の中心に配置したステー32はタンク20の側壁面に設けている。また、ベース31の両端は、波形フィン23の先端より出ないように構成している。
【0021】
次に、
図3Eを用いて変圧器下部のベース31の構成について説明する。
図3Eは、油入変圧器の下側の右のベース31の部分の拡大斜視図である。
図3Eにおいて、ベース31の構造は、断面でU字形状を有し、このU字形状をタンク下部の底板にY軸方向に当接するように配置する。当接する部分は溶接などにより固定する。またこのU字形状で、内側のZ軸方向の辺311の高さは高くして、外側のZ軸方向の高さは低くしている。そして、ベース31のU字形状の内側の辺311において、形状は矩形で、外側の上のコーナ部をカットし傾斜部を有し、内側のコーナ部はタンク下部21の階段状の段差部分に当接させ、溶接などにより固定する。
【0022】
また、ベース31のU字形状の外側の辺312において、ステー30をZ軸方向に形成する。ステー30は、所定の幅を有した矩形の金属板で、長さはタンク下部21からタンク上部22までの長さを有し、波形フィン23の間に配置し、タンク20の外壁に当接するように配置している。ステー30とU字形状のベース31とは金属の板材を折り曲げて形成してもよく、それぞれの金属板を溶接などで接続して形成してもよい。
【0023】
次に、油入変圧器の底部について、
図3Fを用いて説明する。
図3Fにおいて、
図3F(a)は変圧器の底部の平面図、
図3F(b)はベース部のC−C断面図、
図3F(c)はベース部のD−D断面図、
図3F(d)はベース部の中央部のE−E断面図を示す。
図3F(a)において、タンク20の周囲には波形フィン23を配置し、ベース31はX軸方向に中心より離れた位置にそれぞれ2ヶ所配置している。ベース31の両端には孔313を配置し、この孔313はベース31を床に固定するためのアンカーボルト用孔である。さらに、ベース31のU字形状において、内側の辺311の外側のコーナ部をカットし傾斜部を設けたのは、アンカーボルトを取り付けるとき作業し易くするためである。
【0024】
また、タンク下部21の中央のY軸方向の上下には、ステー32を配置している。
図3F(b)は、
図3F(a)のベース部31のC−C断面図を示し、ベース部31のY軸方向の両端にはタンク下部21と溶接などで固定するための台形辺311を形成している。ベース部31の中央部は、タンク下部21の底板と当接する部分で、溶接等で固定する。
図3F(c)は、
図3F(a)のベース部31のD−D断面図で、ベース部31のU字形状の外側の辺312の高さをtとし、対面の台形の辺311の高さをTとすると、長さ(T−t)がタンク下部21の高さとなる。ベース部31のU字形状の幅Mは、狭くするより幅広にした方が強度は増加する。
図3F(d)は、
図3F(a)のベース部31の中央付近の断面図を示し、U字形状の高さtを等しくしており、タンク20の底板に両辺を当設させ、溶接により固定する。
【0025】
次に、ベース部31の構造の斜視図を
図3Gに示す。
図3Gにおいて、断面がU字形状のベース部31の両端のそれぞれの辺の一方には、タンク下部21と固定する台形辺311が形成され、対向する他方の辺312にはステー30が接続されている。ステー30は、ベース部31と一体で折り曲げ囲うで製造してもよく、別物を溶接などで製造してもよい。
【0026】
次に、
図3Hに変圧器の中央部に配置するステー32の斜視図を示す。中央部に配置するステー32は、細長い矩形の金属板で形成され、その幅は2個のベース部31に配置しているステー30と同じ幅とする。また、ステー32の長さは、変圧器のタンク下部21からタンク上部22までの長さとし、ステー32をタンク下部21とタンク上部22に垂直に当接して溶接などにより固定する。
【0027】
次に、
図4を用いて地震などが発生した場合、変圧器に生じる力について説明する。
図4において、40は変圧器の重心、W
H水平方向の力、W
Vは垂直方向の力、41はベース部、42はアンカーボルト、43は床面を示し、アンカーボルト42は、床面43に埋め込まれる。地震などが発生した場合、水平方向の力WHにより生じるアンカーボルト部42の回転力は、ベースを固定する孔313から変圧器の重心までの距離とその力に比例し、回転力 ∝ W
H/0.5L の関係がある。ここで、Lはアンカーボルト間の距離を表す。また、鉛直方向においては、逆回りの回転力が生じ、同じように、回転力 ∝ W
V/H の関係となる。ここで、Hは変圧器の重臣40の床面からの高さである。
【0028】
これら鉛直方向及び水平方向の回転力の差分がアンカーボルト42に加わる。従って、水平方向においては、アンカーボルト42間の距離Lが長いほど回転力は小さくなり、また転倒し難い。鉛直方向においては、同じように重心高さHを小さくする程耐震性は向上する。
【0029】
一般的に、変圧器10のタンク20の寸法は三相の場合X軸方向に長く、Y軸方向に短い構造となっている。これはタンク20内に収納されているコイルをX軸方向に並べて構成しているためである。この構成によって、X軸方向の回転力は小さく、安定性は高くなっており、耐震性を強化するにはX軸方向のせん断に対する強度を確保しながらY軸方向の回転力、せん断に対する強度を強化することが変圧器の転倒防止、耐震性の向上の重要課題となる。
【0030】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について、
図5A及び
図5Bを用いて説明する。
図5Aは、本発明の実施例4の油入変圧器の底部の平面図を示す。
図5Aにおいて、21はタンク20の底部、50は追加ベース、51は追加ベース51にスライド可能に取り付けられたベースを示す。ベース50は中心線より所定距離離れた位置の2ヶ所に配置して、溶接などにより固定している。また、ベース51の端部F部の部分拡大図を下図に示し、F部の部分の斜視図を
図5Bに示す。
【0031】
図5Bにおいて、実施例4の追加ベースの構造は、断面が四角形の筒状体を示し、タンク底部21に配置し、固定する部分は断面がU字形状とし、タンク底部21より外側においては四角形の筒状体としている。そして、内側の四角形の筒状体50の外側に二重構造の四角形の筒状体51を取り付け、スライドできる構成としている。また、スライド可能な外側のベース51は、変圧器に耐震性を向上させるとき内側のベース50よりスライドして延長し、アンカーボルトで止める位置の間隔を大きくすることができる。図においては、延長可能なベース51にアンカーボルト用の取り付け孔53、54を複数配置している。また、内側のベース50の取り付け孔52は、
図3Fの孔313と同じ位置に配置している。さらに、
図5Bの取り付け孔55,56は、
図3Fのベース31に接続し固定するための取り付け孔を示す。
【0032】
上記の追加ベースにおいて、その構成を四角形の筒状体としているため、延長するベースはねじれの変形がし難く、また回転力に対しても防止でき、耐震性のための強度向上のため床に固定する寸法を大きくでき、剛性を上げることができる。
図5A及び
図5Bに示したベースは追加ベースとして説明しているが、追加ではなく、
図3Fなどに示したベースとして使用してもよい。