(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力を発電する発電装置と、前記発電装置から負荷に電力を供給する電力供給線に接続され、電力を充放電する蓄電装置と、商用電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換した第1の出力電圧を前記電力供給線に出力する直流電源装置と、少なくとも前記第1の出力電圧を制御する給電管理装置とを備える電源システムの給電管理装置であって、
前記発電装置が発電する1日の発電量のうちの前記負荷で消費する消費分に対する前記1日における余剰発電分である余剰発電量に応じて定められた電圧であって、前記発電装置が前記電力供給線に出力する第2の出力電圧より低い電圧に、前記第1の出力電圧を制御する電圧制御部を備える
ことを特徴とする給電管理装置。
電力を発電する発電装置と、前記発電装置から負荷に電力を供給する電力供給線に接続され、電力を充放電する蓄電装置と、商用電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換した第1の出力電圧を前記電力供給線に出力する直流電源装置と、少なくとも前記第1の出力電圧を制御する給電管理装置とを備える電源システムの給電管理方法であって、
前記給電管理装置が、前記発電装置が発電する1日の発電量のうちの前記負荷で消費する消費分に対する前記1日における余剰発電分である余剰発電量に応じて、前記第1の出力電圧として出力する電圧を定める電圧設定ステップと、
前記給電管理装置が、前記電圧設定ステップによって定められた電圧であって、前記発電装置が前記電力供給線に出力する第2の出力電圧より低い電圧に、前記第1の出力電圧を制御する電圧制御ステップと
を含むことを特徴とする給電管理方法。
電力を発電する発電装置と、前記発電装置から負荷に電力を供給する電力供給線に接続され、電力を充放電する蓄電装置と、商用電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換した第1の出力電圧を前記電力供給線に出力する直流電源装置と、少なくとも前記第1の出力電圧を制御する給電管理装置とを備える電源システムの給電管理装置としてのコンピュータに、
前記給電管理装置が、前記発電装置が発電する1日の発電量のうちの前記負荷で消費する消費分に対する前記1日における余剰発電分である余剰発電量に応じて、前記第1の出力電圧として出力する電圧を定める電圧設定ステップと、
前記給電管理装置が、前記電圧設定ステップによって定められた電圧であって、前記発電装置が前記電力供給線に出力する第2の出力電圧より低い電圧に、前記第1の出力電圧を制御する電圧制御ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態による電源システムについて図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による電源システム1の一例を示すブロック図である。
この図において、電源システム1は、直流電源装置3、太陽光発電装置5、蓄電装置6、給電管理装置7、及び測定器91〜94を備えている。
【0029】
直流電源装置3は、例えば、整流器であり、商用電力系統2から供給される交流電力を直流電力に変更する。直流電源装置3は、直流電力に変換した出力電圧(第1の出力電圧)を電力供給線L1に出力する。なお、直流電源装置3が出力する直流電力は、電力供給線L1を介して、負荷4、及び蓄電装置6に供給される。なお、負荷4は、本実施形態による電源システム1によって給電される各種装置である。
また、直流電源装置3は、後述する給電管理装置7から出力される制御信号に基づいて、電力供給線L1に出力する出力電圧(第1の出力電圧)を変更する。
本実施形態における電源システム1は、この直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を所定の設定電圧に制御することにより、太陽光発電装置5が発電した電力を蓄電装置6に充放電して、有効に利用するものである。
【0030】
太陽光発電装置5(発電装置の一例)は、太陽光を利用して電力を発電する発電装置である。すなわち、本実施形態では、太陽光発電装置5は、自然エネルギー(再生可能エネルギー)を利用した発電装置の一例である。
【0031】
太陽光発電装置5は、太陽電池パネル51と、電力変換部52とを備えている。
太陽電池パネル51は、太陽電池の基本単位である太陽電池素子(太陽電池セル)を所定の枚数備え、太陽電池素子(太陽電池セル)を配列して、モジュール化(パッケージ化)したものである。太陽電池パネル51は、例えば、太陽光を受光して発電し、太陽光の日射強度に応じた直流電力を出力する。
【0032】
電力変換部52は、太陽電池パネル51が出力した直流電力を負荷4で利用可能な範囲の電圧に変換して、変換した出力電圧(第2の出力電圧)を電力供給線L1に出力する。なお、後述するように、第2の出力電圧には、使用される蓄電装置6の完全充電に要する電圧が選定される。
また、電力変換部52は、後述する給電管理装置7から出力される制御信号に基づいて、電力供給線L1に出力する出力電圧(第2の出力電圧)を変更する。すなわち、電力変換部52が電力供給線L1に出力する出力電圧(第2の出力電圧)は、後述する給電管理装置7から出力される制御信号に基づいて設定される。
なお、太陽光発電装置5の設備容量は、太陽光発電装置5からの発電電力を出力する出力電圧(第2の出力電圧)で負荷4に供給された際に、負荷4が消費する消費電力を上回るように選定されている。
【0033】
蓄電装置6は、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル系蓄電池などを備える蓄電池であり、太陽光発電装置5から負荷4に電力を供給する電力供給線L1に接続され、電力を充放電する。蓄電装置6は、太陽光発電装置5、又は直流電源装置3から供給された電力を充電(蓄電)するとともに、太陽光発電装置5、又は直流電源装置3の出力電圧が低下した場合に電力を放電することで負荷4に電力を供給する。
本実施形態では、蓄電装置6が複数のリチウムイオン電池を備える組電池として構成される場合の一例について説明する。なお、蓄電装置6の放電特性、及び出力電圧の詳細については後述する。
【0034】
測定器91〜94は、それぞれ電力供給線L1に配置されており、電流、及び電圧などを測定する。
測定器91(直流電源測定部)は、直流電源装置3の出力電流、及び出力電圧を測定し、当該測定データを給電管理装置7に出力する。
測定器92(負荷電流測定部の一例)は、負荷4が消費する消費電流、及び負荷4に供給される電圧を測定し、当該測定データを給電管理装置7に出力する。
測定器93(発電装置測定部)は、太陽光発電装置5の出力電流、及び出力電圧を測定し、当該測定データを給電管理装置7に出力する。
測定器94(蓄電電圧測定部の一例)は、蓄電装置6の出力電流、出力電圧(組電池の出力電圧)、及び蓄電装置6の温度(組電池の温度)を測定し、当該測定データを給電管理装置7に出力する。
【0035】
給電管理装置7は、電源システム1が備える各部を管理する管理装置であり、例えば、少なくとも第1の出力電圧を制御する。
給電管理装置7は、測定データ取得部71、入力部72、表示部73、記憶部74、及び制御部80を備えている。
【0036】
測定データ取得部71は、測定器91〜94が測定した上述した各種測定データを取得し、取得した各種測定データを制御部80に出力し、制御部80を介して、取得した各種測定データを記憶部74に記憶させる。
【0037】
入力部72は、例えば、キーボードやポインティング装置などの入力装置、又は外部からデータを入力するインターフェース部などであり、電源システム1を管理するための設定情報などの情報が入力される。入力部72は、入力された設定情報などの情報を制御部80に出力し、制御部80を介して、入力された設定情報などの情報を記憶部74に記憶させる。なお、設定情報などの情報には、各種電圧の設定値、太陽光発電装置5の容量値、気象情報(例えば、過去の天候、日射強度など)、蓄電装置6の特性情報などが含まれる。これらの情報は、入力部72を介して給電管理装置7に入力され、予め記憶部74に記憶されているものとする。
【0038】
表示部73は、例えば、液晶ディスプレイ装置などの表示装置であり、入力部72に設定情報などの情報を入力する際や、既に設定されている設定情報などの情報を利用者(管理者)が確認する際に、設定情報などの情報を表示する。
【0039】
記憶部74は、給電管理装置7で利用する各種データを記憶する。記憶部74は、例えば、上述した測定データ取得部71が取得した各種測定データ、入力部72から入力された設定情報などの情報、及び後述する制御部80が演算、又は生成した情報などを記憶する。
【0040】
制御部80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、給電管理装置7を統括的に制御する。制御部80は、電圧制御部81と、電圧算出部82とを備えている。
【0041】
電圧制御部81は、太陽光発電装置5が発電する発電量(例えば、発電電力又は発電電流)のうちの負荷4で消費する消費分(例えば、消費電力又は消費電流)に対する余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に応じて定められた電圧であって、太陽光発電装置5が電力供給線L1に出力する出力電圧(第2の出力電圧)より低い電圧に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。電圧制御部81は、例えば、蓄電装置6の放電深度が、太陽光発電装置5の余剰発電量による完全充電に対応する状態となるような電圧、すなわち、蓄電装置6の放電深度が充電で受け入れる余剰発電量と等しくなる状態に対応する電圧に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。具体的に、電圧制御部81は、後述する電圧算出部82が算出した設定電圧値(第1電圧値)に直流電源装置3の出力電圧を制御する制御信号を直流電源装置3に対して出力する。
また、電圧制御部81は、太陽光発電装置5が電力供給線L1に出力する出力電圧(第2の出力電圧)を所定の電圧値(第2電圧値)に制御する。ここで、所定の電圧値(第2電圧値)は、蓄電装置6の最大出力電圧、すなわち、完全充電(フル充電)に要する電圧を含め、これ以上の値である。具体的に、電圧制御部81は、所定の電圧値(第2電圧値)に太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)を制御する制御信号を太陽光発電装置5に対して出力する。その結果、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)は、例えば、蓄電装置6の最大出力電圧、すなわち、完全充電(フル充電)に要する電圧を含め、これ以上の値となる。
【0042】
電圧算出部82(電圧設定部の一例)は、太陽光発電装置5の発電量と、負荷4の消費量(消費分)とに基づいて、太陽光発電装置5の余剰発電量を算出し、算出した余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に応じて、電圧制御部81によって制御される直流電源装置3の出力電圧として出力する設定電圧値(第1電圧値)を算出する。電圧算出部82は、例えば、太陽光発電装置5が設置された場所において推定される最大日射強度に基づいて、太陽光発電装置5の発電量(例えば、発電の電気量)を算出し、算出した当該発電量と、負荷4の消費量(例えば、消費電流量(消費電気量))とに基づいて余剰発電量を算出する。
【0043】
なお、電圧算出部82が算出する設定電圧値(第1電圧値)は、太陽光発電装置5が設置された環境条件(例えば、日射強度)における余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に応じて定められた電圧であり、具体的には、太陽光発電装置5が設置された環境条件において、最大となる余剰発電量が算出され、この最大となる余剰発電量を充電によって受け入れ可能とする、蓄電装置6の放電深度に応じて定められた電圧である。すなわち、この設定電圧値(第1電圧値)は、最大となる余剰発電量を蓄電装置6に充電させて回収できるように、蓄電装置6を一部放電した状態とするような電圧値である。
この直流電源装置3の出力電圧として出力する設定電圧値(第1電圧値)の算出の詳細については後述する。
【0044】
ここで、電圧算出部82による直流電源装置3の出力電圧として出力する設定電圧値(第1電圧値)の算出について説明する前に、蓄電装置6の放電特性、及び出力電圧について説明する。
【0045】
<蓄電装置6の放電特性、及び出力電圧>
ここでは、蓄電装置6が備える電池(例えば、リチウムイオン電池)の放電特性の一例について説明する。
【0046】
図2は、本実施形態における電池の放電特性の一例を説明する説明図である。
この図において、波形W1は、リチウムイオン電池(未使用で完全充電状態(初期状態))の単セルにおける放電特性を示しており、放電量に応じて、出力電圧が低下していくことを示している。このグラフにおいて、縦軸は、単セル当りの電圧(V/セル)を示し、横軸は、放電量(%)を示している。ここで、放電量とは、完全充電状態を“100”とした場合の放電した電気量(又は電力量)を示しているとともに、充電可能な電気量を示している。この放電量は、放電深度(%)又は、未充電量(%)と同義である。
なお、
図2において、4.1Vが、リチウムイオン電池を蓄電装置6に使用した場合の完全充電に要する電圧になる。
【0047】
図2に示す例では、例えば、完全充電状態では、リチウムイオン電池の単セルにおける出力電圧は、“4.1V”であり、放電深度が“20%”の場合(ポイントP1)に、出力電圧が“4.0V”であることを示している。また、放電深度が“30%”の場合(ポイントP2)に、出力電圧が“3.9V”であることを示し、放電深度が“50%”の場合(ポイントP3)に、出力電圧が“3.8V”であることを示している。ここで、例えば、放電深度が“30%”である場合(ポイントP2)には、リチウムイオン電池の“30%”分の電気量(電力量)を充電可能であることを示している。
【0048】
また、
図3は、本実施形態における蓄電装置6の放電深度と直流電源装置3の出力電圧の設定値との一例を説明する説明図である。
この図において、蓄電装置6は、リチウムイオン電池の単セルを12個直列に接続する組電池を有しており、例えば、放電深度が“20%”の場合、蓄電装置6の出力電圧は、単セル基準で“4.0V”であり、蓄電装置6全体において“48V”となることを示している。なお、この場合、直流電源装置3の出力電圧の設定値を“48V”にすることで、蓄電装置6の“20%”分が自動的に放電され、蓄電装置6は、“20%”分の充電可能な領域を確保することになる。
同様に、放電深度が“30%”の場合、蓄電装置6の出力電圧は、蓄電装置6全体において“46.8V”となることを示し、放電深度が“50%”の場合、蓄電装置6の出力電圧は、蓄電装置6全体において“45.6V”となることを示している。
【0049】
また、
図4は、本実施形態における蓄電装置6の出力電圧と電池の単セル電圧との関係を説明する説明図である。併せて、
図4は、太陽光発電装置5からの電力を、電力変換部52を介して負荷4に供給する際の電圧についても示している。
図4(a)は、48V系電源の出力保障範囲と蓄電装置6の出力電圧の関係を示し、
図4(b)は、これに対応するリチウムイオン電池の単セル電圧を示している。なお、48V系電源の出力保障範囲(負荷の動作保障範囲は、48V±5V(=43V〜53V)であり、直流電源装置3の出力電圧は、この範囲内で設定可能である。また、太陽光発電装置5の出力電圧も、同様に、48V±5V(=43V〜53V)で設定可能である。ただし、電池の完全充電の確保と、過充電の防止の観点から電圧選定が行われ、ここでは、太陽光発電装置5の出力電圧は、蓄電装置6の完全充電に相当する電圧値(ポイントP4の4.1V/ セル)とされる。また、直流電源装置3をフロート充電によって運用する際にも、この電圧が選定される。
【0050】
この図に示すように、リチウムイオン電池の完全充電に相当する単セル電圧が、“4.1V”である場合、蓄電装置6の出力電圧は、“49.2V”に対応する(ポイントP4参照)。このポイントP4に示す例は、“4.1V”のリチウムイオン電池の単セルを12個直列に接続した組電池の出力電圧(又は、充電電圧)が“49.2V”であることを示している。また、リチウムイオン電池の単セル電圧が、“3.9V”である場合に、蓄電装置6の出力電圧は、“46.8V”に対応する(ポイントP5参照)。この場合は、上述した放電深度が“30%”の場合を示している。
このように本実施形態において、蓄電装置6の出力電圧は、リチウムイオン電池の単セル電圧を12倍した電圧となる。
【0051】
次に、本実施形態における太陽光発電装置5の発電特性について説明する。
<太陽光発電装置5の発電特性>
図5は、本実施形態における太陽光発電装置5の時刻に対する発電特性の一例を説明する説明図である。
なお、ここでは、負荷4の消費電力(消費量)が500W(ワット)(消費電流が、電圧50Vの場合に10A)であり、太陽光発電装置5の設備容量が、1000Wである場合の一例について説明する。
【0052】
この図に示すグラフにおいて、縦軸は、日射強度(kW(キロワット)/m2(平方メートル))及び太陽光発電装置5の発電電流(A)を示し、横軸は、1日における時刻を示している。また、波形W2は、太陽光発電装置5が設置されている場所におけるある月(例えば、7月)の最大日射強度(及び最大日射強度における発電電流)の1日の変化を示している。波形W3は、太陽光発電装置5が設置されている場所におけるある月(例えば、7月)の平均日射強度(及び平均日射強度における発電電流)の1日の変化を示している。また、波形W4は、太陽光発電装置5が設置されている場所におけるある月(例えば、7月)の最低日射強度(及び最低日射強度における発電電流)の1日の変化を示している。
【0053】
ここで、太陽光発電装置5の発電量(発電電流)は、太陽光発電装置5の変換効率及び太陽電池パネル51の面積に基づく換算式(又は換算テーブル)を利用して、日射強度から算出可能である。
図5に示す例では、例えば、最大日射強度のピーク時である1kW/m2に対応する発電電流は、20Aに換算される。
また、負荷4の消費電流Iloadは、10Aである場合を示しており、負荷4の消費電流Iloadを超えた分が余剰発電量となる。
図5に示す例では、領域A1は、最大日射強度における余剰発電量(余剰電気量)を示している。この場合、領域A1の余剰発電量は、その月における最大充電量(最大充電電気量)になる。
【0054】
次に、上述した蓄電装置6の放電特性及び出力電圧と、上述した太陽光発電装置5の発電特性とを前提として、本実施形態における直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の設定処理について、
図6及び
図7を参照して説明する。
【0055】
<直流電源装置3の出力電圧の設定処理>
図6は、本実施形態による電源システム1における太陽光発電装置5の余剰発電量の一例を説明する説明図である。
この図に示すグラフにおいて、縦軸は、太陽光発電装置5が発電する電流(A)及び電気量(Ah)を示し、横軸は、1日における時刻を示している。
このグラフにおいて、波形W5は、太陽光発電装置5の最大日射強度における発電特性を示し、波形W6は、太陽光発電装置5において、負荷4の消費電流Iloadを超える余剰な発電電流を累積した電気量を示している。なお、ここでは、負荷4の消費電流Iloadは、10Aであり、時刻T1から時刻T2までの期間において、太陽光発電装置5の余剰な発電電流が発生する。また、領域A1は、太陽光発電装置5の余剰発電分を示している。
【0056】
電圧算出部82は、
図6に示すように、余剰な発電電流の累積値を算出することにより、最大日射強度の日における太陽光発電装置5の余剰発電量“50Ah”(領域A1の面積に相当)を算出する。すなわち、電圧算出部82は、太陽光発電装置5が設置された場所において推定される最大日射強度に基づいて、発電量を算出し、算出した当該発電量と、負荷4の消費量(消費分)とに基づいて余剰発電量を算出する。
なお、本実施形態における電源システム1では、算出した太陽光発電装置5の余剰発電量(電気量“50Ah”)を蓄電装置6が充電により受け入れ可能となるように、蓄電装置6を“50Ah”分放電させた状態で維持する。すなわち、本実施形態における電源システム1では、蓄電装置6が“50Ah”分放電された状態になるように、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)よりも低い値に設定する。
なお、本実施形態では、後ほど図を用いて説明するように、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)は、常時、この値に保たれる。
【0057】
次に、
図7を参照して、太陽光発電装置5の余剰発電量(電気量“50Ah”)に基づいた直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の設定電圧値(第1電圧値)の設定処理について説明する。
図7は、本実施形態による電源システムにおける直流電源装置3の出力電圧の設定例を説明する説明図である。
なお、この図において、蓄電装置6の完全充電電圧が4.1V/セルであり、且つ、放電容量が200Ahであるリチウムイオン電池を単セルとして備える場合の一例について説明する。
【0058】
この図に示すグラフは、縦軸が蓄電装置6の単セル当りの出力電圧(V/セル)を示し、横軸は、蓄電装置6の放電量(放電深度)(%)を示している。なお、横軸の放電量(%)には、電気量(Ah)及び負荷4の消費電流における放電時間(h)の換算値を併記している。
また、この図に示す波形W7は、負荷4の消費電流Iloadと等しい10Aにおける蓄電装置6の単セルでの放電特性を示している。直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の選定に当たっては、この図に示すように負荷と等しい電流における放電特性が用いられる。
【0059】
電圧算出部82は、算出した上述の太陽光発電装置5の余剰発電量(電気量“50Ah”)から、波形W7に示す放電特性を利用して、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の設定電圧値(第1電圧値)を算出する。具体的に、電圧算出部82は、波形W7に示す放電特性に基づいて、電気量“50Ah”(放電量(放電深度)“25%”)に対応する電圧値“3.95V”(ポイントP6の電圧値)を算出する。ここで、蓄電装置6は、上述したように単セルを12個直列に接続した組電池であるので、電圧算出部82は、電圧値“3.95V”を12倍した“47.4V”を設定電圧値(第1電圧値)として算出する。
なお、上述した日射強度及び太陽光発電装置5の発電特性の情報と、上述した蓄電装置6の放電特性の情報は、予め記憶部74に記憶されており、電圧算出部82は、記憶部74に記憶されているこれらの情報に基づいて、設定電圧値(第1電圧値)を算出する。
【0060】
本実施形態では、電圧制御部81は、電圧算出部82が上述のように算出した設定電圧値(第1電圧値)に直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。すなわち、電圧制御部81は、太陽光発電装置5が設置された環境条件における余剰発電量に応じて定められた電圧(例えば、余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に応じて定められた電圧)に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。なお、上述に示す例の場合には、電圧制御部81は、太陽光発電装置5が設置された環境条件において、最大となる余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に応じて定められた電圧に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。
【0061】
次に、本実施形態における電源システム1の動作について図面を参照して説明する。
図8は、本実施形態による電源システム1における直流電源装置3の出力電圧の設定手順を示すフローチャートである。
ここでは、所定の期間ごと(例えば、1ヶ月ごと)に、直流電源装置3の出力電圧を設定し直す場合の一例について説明する。
【0062】
この図において、給電管理装置7の電圧算出部82は、日射強度情報を取得する(ステップS101)。すなわち、電圧算出部82は、例えば、記憶部74に予め記憶されている、所定の期間に対応する日射強度情報を取得する。
【0063】
次に、電圧算出部82は、取得した日射強度情報に基づいて余剰発電量を算出する(ステップS102)。電圧算出部82は、例えば、
図6を参照して説明したように、所定の期間内の最大日射強度における太陽光発電装置5の発電量(例えば、発電電流)と、負荷4の消費量(消費電流Iload)とに基づいて、余剰発電量(
図6に示す電気量“50Ah”)を算出する。
【0064】
次に、電圧算出部82は、余剰発電量に対応する放電深度から設定電圧値(第1電圧値)を算出する(ステップS103)。すなわち、電圧算出部82は、余剰発電量と等しくなる放電深度に対応する設定電圧値(第1電圧値)を算出する。電圧算出部82は、例えば、
図7を参照して説明したように、余剰発電量(例、電気量“50Ah”)に等しい放電深度(25%)から設定電圧値(例、3.95V)を定める。
【0065】
次に、給電管理装置7の電圧制御部81は、直流電源装置3の出力電圧を、算出した設定電圧値(第1電圧値)に制御する(ステップS104)。具体的には、電圧制御部81は、直流電源装置3の出力電圧を電圧算出部82によって設定された設定電圧値に変更させる制御信号を直流電源装置3に出力して、直流電源装置3の出力電圧を変更する。
【0066】
次に、電圧制御部81は、所定の期間が経過したが否か(見直し時期か否か)を判定する(ステップS105)。電圧制御部81は、例えば、1ヶ月経過したか否かを判定する。電圧制御部81は、所定の期間が経過した場合(ステップS105:YES)に、処理をステップS101に戻し、電圧算出部82は、次の所定の期間(例えば、次の月)の日射強度情報を取得する。
また、電圧制御部81は、所定の期間が経過していない場合(ステップS105:NO)に、処理をステップS104に戻す。
【0067】
このように、給電管理装置7は、所定の期間ごと(例えば、1ヶ月ごと)に、日射強度情報に基づいて設定電圧値を定めて、直流電源装置3の出力電圧を設定電圧値に変更する。すなわち、所定の期間ごと(例えば、1ヶ月ごと)に、該当月の最大日射強度を求め、これに対応する直流電源装置3の出力電圧を再設定する。これにより、該当月における余剰発電量は、全て蓄電装置6によって回収することが可能となる。
【0068】
次に、
図9及び
図10を参照して、本実施形態における電源システムの動作の一例を説明する。なお、これらの図における蓄電装置6の容量や余剰発電量等の諸条件は、すでに説明してきた内容と同一である。また、本実施例では、直流電源装置3の出力電圧は、常時、設定電圧値(第1電圧値)に保たれている。
図9は、本実施形態による電源システム1の動作の一例を示す第1のタイムチャートである。
ここでは、日射強度が、平均日射強度であり、太陽光発電装置5の余剰発電量が発生しない場合の一例について説明する。
【0069】
この図において、縦軸は、(a)蓄電装置6の出力電圧と、(b)負荷4への供給電流を示している。また、横軸は、1日における時刻を示している。
また、波形W8は、蓄電装置6の出力電圧の変化を示し、波形W9は、平均日射強度における発電電流の波形を示している。なお、波形W10は、比較のために、最大日射強度における発電電流の波形を示している。ここで、負荷4が消費する電流は、消費電流Iloadである。また、“Vf=47.4V”は、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)に相当し、“Vsolar=49.2V”は、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)に相当する。
【0070】
図9に示す例では、時刻T10(0時)から時刻T11(6時)までの期間TR1において、太陽光発電装置5が発電を行わないため、直流電源装置3が負荷4に電力を供給する。したがって、この期間TR1における蓄電装置6の出力電圧は、例えば、上述した設定電圧値(第1電圧値)を示す“Vf=47.4V”のままである。そして、この出力電圧で維持された蓄電装置6は、最大余剰発電量分に対応する放電深度(50Ah,放電深度25%)まで、既に放電された状態になる。
【0071】
次に、時刻T11(6時)において、太陽光発電装置5が発電を開始して、時刻T11(6時)から時刻T13(12時)までの期間において、太陽光発電装置5の発電量が徐々に増加する。なお、この時刻T11(6時)から時刻T13(12時)までの期間において、直流電源装置3及び太陽光発電装置5が負荷4に電力を供給する。
【0072】
また、時刻T13(12時)から時刻T15(18時)までの期間において、太陽光発電装置5の発電量が徐々に減少し、時刻T15(18時)において、太陽光発電装置5が発電を終了する。なお、この時刻T13(12時)から時刻T15(18時)までの期間においても、直流電源装置3及び太陽光発電装置5が負荷4に電力を供給する。
【0073】
このように、時刻T11(6時)から時刻T15(18時)までの期間TR2において、太陽光発電装置5が発電し、直流電源装置3及び太陽光発電装置5が負荷4に電力を供給する。そして、時刻T15(18時)以降の期間TR3において、再び、直流電源装置3が負荷4に電力を供給する。
ここで、領域A2は、太陽光発電装置5の供給分の供給電流を示し、領域R1及び領域R2は、直流電源装置3の供給分の供給電流を示している。
なお、この図において、時刻T12から時刻T14までの期間は、最大日射強度における発電電流の場合(波形W10)において余剰発電量が発生する期間を比較のために示している。
【0074】
この
図9に示した例では、太陽光発電装置5の余剰発電量が発生しない場合であるが、太陽光発電装置5の発電量に応じて、直流電源装置3及び太陽光発電装置5の出力電力が適切な配分で負荷4に供給される。
一方、
図9から明らかなように、蓄電装置6の充電は行われないため、波形W8に示すように日中において蓄電装置6の電圧上昇は起こらない。
【0075】
図10は、本実施形態による電源システム1の動作の一例を示す第2のタイムチャートである。
ここでは、日射強度が、最大日射強度であり、太陽光発電装置5の余剰発電量が最大となる場合の一例について説明する。
【0076】
この図において、縦軸は、(a)蓄電装置6の出力電圧と、(b)負荷4への供給電流を示している。また、横軸は、1日における時刻を示している。
また、波形W11は、蓄電装置6の出力電圧の変化を示し、波形W9及び波形W10は、
図9と同様である。また、負荷4が消費する電流は、
図9と同様に、消費電流Iloadである。
【0077】
図10に示す時刻T10(0時)から時刻T11(6時)までの期間TR1において、
図9と同様であり、太陽光発電装置5が発電を行わないため、直流電源装置3が負荷4に電力を供給する。
次に、時刻T11(6時)において、太陽光発電装置5が発電を開始して、時刻T11(6時)から時刻T12(9時)までの期間TR21において、太陽光発電装置5の発電量が徐々に増加する。そして、時刻T12(9時)において、太陽光発電装置5の発電量(発電電流)が、負荷4の消費電流Iloadと等しくなる。なお、この期間TR21において、直流電源装置3及び太陽光発電装置5が負荷4に電力を供給する。
【0078】
次に、時刻T12(9時)から時刻T13(12時)を経て時刻T14(15時)までの期間TR22において、太陽光発電装置5では、太陽光発電装置5からの発電量(発電電流)が、負荷4の消費電流Iloadを超えて、余剰発電量が発生する。この期間TR22において、太陽光発電装置5が負荷4に電力を供給するとともに、余剰発電量が全て蓄電装置6に充電される。これにより、蓄電装置6の出力電圧は、上昇して行き、時刻T14において、蓄電装置6の充電が完了して太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧、Vsolar=49.2V)と等しい電圧となる。すなわち、この時点で、蓄電装置6の電圧は、完全充電状態に相当する電圧まで上昇する。
【0079】
次に、時刻T14(15時)から時刻T15(18時)までの期間TR23において、蓄電装置6及び太陽光発電装置5が負荷4に電力を供給し、さらに、続く期間TR4において蓄電装置6に充電された電力が全て放電される。
そして、時刻T15(18時)において、太陽光発電装置5が発電を終了し、時刻T15(18時)から時刻T16までの期間TR4において、蓄電装置6及び直流電源装置3が負荷4に電力を供給し、蓄電装置6からの放電の終了に伴い、出力電圧が上述した設定電圧値(第1電圧値)を示す“Vf=47.4V”に戻る。このように、この条件の場合、蓄電装置6に充電された余剰発電量の全てが放電される期間は、時刻T14(15時)から時刻T16までの期間TR5である。
そして、時刻T16以降の期間TR6において、直流電源装置3が負荷4に電力を供給する。
【0080】
ここで、領域A1は、太陽光発電装置5の余剰発電量を示し、領域A3は、太陽光発電装置5の供給分の供給電流を示し、領域R3及び領域R4は、直流電源装置3の供給分の供給電流を示している。また、領域D1は、蓄電装置6の供給分の供給電流を示している。
【0081】
この
図10は、太陽光発電装置5の余剰発電量が最大となる場合の例であり、上述の条件設定により、最大日射強度の日において、太陽光発電装置5の余剰発電量を蓄電装置6に充電するとともに、太陽光発電装置5が発電を終了した後に、蓄電装置6が充電した余剰発電量分の電力を負荷4に供給することができる。なお、最大日射強度の日の余剰発電量に対応した条件設定を行うと、最大日射強度以下の日の余剰発電量が全て充電によって回収できることになる。従って、先にも示したように、ある月において、その月の最大日射強度の日に対応した条件を設定すれば、その月において、余剰発電量が発生する全ての日において、余剰発電量が回収されることになる。
このように、電源システム1は、太陽光発電装置5が発電した電力を有効に利用することができる。
【0082】
なお、本実施形態における電源システム1では、太陽光発電装置5が発電していない場合には、蓄電装置6の出力電圧は、余剰発電量の最大値を充電で受け入れ可能な放電深度に対応する電圧値となる。そのため、直流電源装置3が停電して蓄電装置6をバックアップ電源とした場合、完全充電状態にある蓄電装置6に比べると、負荷4に電力を供給する期間が短くなる。そこで、その対策として、
図11に示すように、蓄電装置6の容量を予め大きく設定してもよい。
【0083】
図11は、本実施形態における蓄電装置6の容量設定の一例を説明する説明図である。
この図に示すグラフにおいて、縦軸は、蓄電装置6の単セル電圧(V/セル)を示し、横軸は、蓄電装置6の放電量(%)を示している。なお、この図により容量設定を行う場合には、負荷電流と同じ電流における放電特性が用いられる。
この図において、波形W12は、電池容量を増加していない場合の蓄電装置6における単セルでの放電特性を示しており、波形W13は、電池容量を増加した場合の蓄電装置6における単セルでの放電特性を示している。
【0084】
ここで、波形W12において、期間TR10は、完全充電状態から負荷4に電力を供給する場合の期間であり、例えば、直流電源装置3の出力電圧を3.9Vにした場合の蓄電装置6の放電深度は、ポイントP7に示す30%になる。この放電深度が30%である場合、期間TR11分が既に放電された状態であるため、ポイントP7の時点から負荷4に電力を供給できる期間TR12は、期間TR10の70%に相当する。
そこで、同一の電流を放電した場合の放電特性を示す波形W13において、ポイントP8の3.9Vからの放電時間(期間TR13)が期間TR10と等しくなるように、バックアップ電源とした蓄電装置6の容量を選定してもよい。具体的には、バックアップ電源とした蓄電装置6の容量を以下の式(1)に算出されるように増加させる。
【0085】
蓄電装置6の容量=100/0.7=142(%) ・・・ (1)
【0086】
この場合、本実施形態における電源システム1では、蓄電装置6の容量が、42%分増加させて設定される。これにより、電源システム1は、電流値や放電深度が上記と異なる場合でも、同様の処理で行うことができる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態における電源システム1は、太陽光発電装置5(発電装置の一例)と、蓄電装置6と、直流電源装置3と、給電管理装置7とを備えている。太陽光発電装置5は、電力を発電し、蓄電装置6は、太陽光発電装置5から負荷4に電力を供給する電力供給線L1に接続され、電力を充放電する。直流電源装置3は、商用電力系統2から供給される交流電力を直流電力に変換した第1の出力電圧を電力供給線L1に出力し、給電管理装置7は、少なくとも第1の出力電圧を制御する。そして、給電管理装置7は、太陽光発電装置5が発電する発電量のうちの負荷で消費する消費分に対する余剰発電量に応じて定められた電圧であって、太陽光発電装置5が電力供給線L1に出力する第2の出力電圧より低い電圧に、第1の出力電圧を制御する電圧制御部81を備えている。
【0088】
これにより、本実施形態における電源システム1は、太陽光発電装置5が発電していない場合には、蓄電装置6を第1の出力電圧に対応する放電深度まで放電させた状態で、直流電源装置3から負荷4に電力を供給する。また、太陽光発電装置5が発電し、且つ、余剰発電量が生じていない場合には、本実施形態における電源システム1は、直流電源装置3、及び太陽光発電装置5から、太陽光発電装置5の発電量に応じた適切な配分で負荷4に電力を供給する。そして、太陽光発電装置5が発電し、且つ、余剰発電量が生じている場合には、本実施形態における電源システム1は、太陽光発電装置5から負荷4に電力を供給するとともに、余剰発電量分を蓄電装置6に充電する。そして、蓄電装置6の放電深度は、例えば、最大日射強度の日における最大余剰発電量に対応しているので、この条件に設定しておくことで、最大日射強度以下の全ての日の余剰発電量の回収が可能になる。このように、本実施形態における電源システム1は、太陽光発電装置5の余剰発電量分を蓄電装置6に充電することにより、太陽光発電装置5が発電した電力を有効に利用することができる。
【0089】
さらに、本実施形態における電源システム1は、直流電源装置3の出力電圧である第1の出力電圧を制御するという簡易な制御により、直流電源装置3が商用電力系統2から変換した電力と太陽光発電装置5が発電した電力とを適切に配分して負荷に供給することができる。なお、本実施形態における電源システム1では、直流電源装置3から負荷4への電力の供給、及び太陽光発電装置5から負荷4への電力の供給を切り替えるための切り替え手段(例えば、スイッチなど)を必要としない。そのため、本実施形態における電源システム1では、構成を簡略化することができる。
【0090】
また、本実施形態では、電圧制御部81は、余剰発電量を蓄電装置6に充電可能な放電深度に対応する電圧(例えば、蓄電装置6の放電深度が充電で受け入れる余剰発電量と等しくなる状態に対応する電圧)に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1では、余剰発電量分を無駄なく蓄電装置6に充電することができるので、太陽光発電装置5が発電した電力を有効に利用することができる。
【0091】
また、本実施形態では、太陽光発電装置5は、自然エネルギー(例えば、太陽光)を利用して発電し、電圧制御部81は、太陽光発電装置5が設置された環境条件(例えば、日射強度などの気象条件)における余剰発電量に応じて定められた電圧に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1では、太陽光発電装置5が設置された場所における余剰発電量に応じた電圧に直流電源装置3の出力電圧を制御するので、直流電源装置3の出力電圧を適切に制御することができる。
【0092】
また、本実施形態では、電圧制御部81は、環境条件(例えば、日射強度などの気象条件)において、最大となる余剰発電量に応じて定められた電圧に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1は、太陽光発電装置5が設置された場所において最大となる余剰発電量に応じて直流電源装置3の出力電圧を適切に制御することができるので、余剰発電量分を無駄なく確実に、蓄電装置6に充電することができる。
【0093】
また、本実施形態では、給電管理装置7は、太陽光発電装置5の発電量と、負荷4の消費分(消費量)とに基づいて、余剰発電量を算出し、算出した余剰発電量に応じて、電圧制御部81によって制御される第1の出力電圧として出力する電圧値を定める電圧算出部82(電圧設定部の一例)を備えている。
これにより、本実施形態における電源システム1は、例えば、太陽光発電装置5の発電量(例えば、発電電力又は発電電流)や負荷4の消費分(例えば、消費電力又は消費電流)が変動した場合であっても、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を適切に設定することができる。
【0094】
また、本実施形態では、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)は、蓄電装置6の完全充電に要する電圧(例えば、蓄電装置6の完全充電(フル充電)に相当する電圧)以上である。
これにより、本実施形態における電源システム1は、蓄電装置6を完全充電(フル充電)状態まで充電して利用することができる。よって、本実施形態における電源システム1は、太陽光発電装置5が発電した電力を有効に利用することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、給電管理装置7は、太陽光発電装置5が発電する発電量のうちの負荷で消費する消費分に対する余剰発電量に応じて(例えば、余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に応じて)定められた電圧であって、太陽光発電装置5が電力供給線L1に出力する第2の出力電圧より低い電圧に、第1の出力電圧を制御する電圧制御部81を備えている。
これにより、本実施形態における給電管理装置7は、電源システム1と同様に、太陽光発電装置5が発電した電力を有効に利用することができる。
【0096】
また、本実施形態における給電管理方法は、上述した電源システム1の給電管理方法であって、電圧設定ステップと、電圧制御ステップとを含んでいる。電圧設定ステップにおいて、給電管理装置7が、太陽光発電装置5が発電する発電量のうちの負荷4で消費する消費分に対する余剰発電量に応じて(例えば、余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に応じて)、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力する電圧を定める。そして、電圧制御ステップにおいて、給電管理装置7が、電圧設定ステップによって定められた電圧であって、太陽光発電装置5が電力供給線L1に出力する第2の出力電圧より低い電圧に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。
これにより、本実施形態における給電管理方法は、上述した電源システム1と同様に、太陽光発電装置5が発電した電力を有効に利用することができる。
【0097】
次に、本発明に係る第2の実施形態による電源システムについて図面を参照して説明する。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、入力部72から入力されて予め記憶部74に記憶されている気象情報(例えば、過去の天候、日射強度など)に基づいて、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を設定する一例について説明したが、太陽光発電装置5が設置されている気象情報が、入力部72から入力された気象情報とずれている場合が考えられる。そこで、本実施形態では、日射強度を測定し、測定データに基づいて直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として設定された電圧値(第1電圧値)を補正する場合の一例について説明する。
【0098】
図12は、本実施形態による電源システム1aの一例を示すブロック図である。
この図において、電源システム1aは、直流電源装置3、太陽光発電装置5、蓄電装置6、給電管理装置7a、測定器91〜94、及び日射計95を備えている。
なお、この図において、
図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、電源システム1aは、日射計95を備え、給電管理装置7aが、日射計95で測定した測定データに基づいて、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として設定された電圧値(第1電圧値)を補正する点が第1の実施形態と異なる。
【0099】
日射計95(日射測定部の一例)は、例えば、太陽光発電装置5が設置されている場所の日射強度を測定し、当該測定データを給電管理装置7aに出力する。
【0100】
給電管理装置7aは、電源システム1aが備える各部を管理する管理装置であり、例えば、少なくとも第1の出力電圧を制御する。
給電管理装置7aは、測定データ取得部71a、入力部72、表示部73、記憶部74、及び制御部80aを備えている。
【0101】
測定データ取得部71aは、測定器91〜94、及び日射計95が測定した上述した各種測定データを取得し、取得した各種測定データを制御部80aに出力し、制御部80aを介して、取得した各種測定データを記憶部74に記憶させる。
【0102】
制御部80aは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、給電管理装置7aを統括的に制御する。制御部80aは、電圧制御部81aと、電圧算出部82aとを備えている。
電圧制御部81aは、
図1に示す第1の実施形態における電圧制御部81と同様の機能を備えるとともに、日射計95が測定した日射強度と、予め取得している最大日射強度と、測定器94が測定した蓄電装置6の出力電圧とに基づいて、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力する電圧を変更する。ここで、予め取得している最大日射強度は、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の設定電圧値(第1電圧値)を定める際に用いた日射強度であり、設定電圧値(第1電圧値)を定める際に推定した(想定した)日射強度である。
【0103】
具体的に、電圧制御部81aは、日射計95が測定した日射強度が上述の最大日射強度以上であり、且つ、蓄電装置6の出力電圧が太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)よりも低い場合に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力する電圧を高くする制御を行う。ここでは、設定された設定電圧値(第1電圧値)が適正な電圧値よりも低いため、蓄電装置6の放電深度が最大余剰発電量よりも大きくなっていることを示している。この状態は、蓄電装置6が最大余剰発電量によって完全充電されないことを意味している。そこで、このような場合に、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を高くする補正を行う。
【0104】
また、電圧制御部81aは、日射計95が測定した日射強度が上述した最大日射強度以上であり、且つ、蓄電装置6の出力電圧が第2の出力電圧まで上昇する状態、もしくは、この電圧によって所定の時間、定電圧充電されるような状態となる日数が、所定の回数に達した際に、第1の出力電圧として出力する電圧を低くする制御を行う。すなわち、上記の状態は、想定した最大余剰発電量よりも蓄電装置6の放電深度が浅いことを意味している。言い換えれば、推定した最大日射強度以上となる日が観測され、蓄電装置6の電圧値が、上述のような状態になっていれば、設定された設定電圧値(第1電圧値)が適正な電圧値よりも高く、太陽光発電装置5の発電電力を十分に利用できていないことになる。つまり、予め設定されている蓄電装置6の放電深度が、最大余剰発電量よりも小さいために、余剰発電量が生じる時間帯の途中で、完全充電状態に達し、いわゆる定電圧充電状態になる。このため、適切な充電量であれば、
図10に示すように、本来、余剰発電量の発生期間が終了する時刻T14近辺で定電圧に到達するのに対し、上述の状態では、途中のT13近辺で、定電圧に達することになる。そこで、このような場合、放電深度を深くするために、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を低くする補正を行う。
【0105】
次に、
図13を参照して本実施形態における直流電源装置3の出力電圧の設定手順について説明する。
図13は、本実施形態による電源システム1aにおける直流電源装置3の出力電圧の設定手順を示すフローチャートである。
ここでは、
図8に示す第1の実施形態と同様に、所定の期間ごと(例えば、1ヶ月ごと)に、直流電源装置3の出力電圧を設定し直す場合の一例について説明する。
【0106】
図13において、ステップS201からステップS204までの処理は、
図8に示すステップS101からステップS104までの処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。
続く、ステップS205において、電圧制御部81aは、日射計95及び測定器94が測定した測定データを取得する。すなわち、電圧制御部81aは、例えば、日射計95によって測定された日射強度情報(例えば、直近1日分の日射強度情報)、及び測定器94によって測定された蓄電装置6の出力電圧(例えば、1日のうちの最大電圧)を記憶部74から取得する。
【0107】
次に、電圧制御部81aは、測定した日射強度が推定した日射強度以上であるか否かを判定する(ステップS206)。すなわち、電圧制御部81aは、ステップS205において取得した日射強度が、推定していた日射強度(例えば、月ごとの最大日射強度)以上であるか否かを判定する。電圧制御部81aは、測定した日射強度が推定した日射強度以上である場合(ステップS206:YES)に、処理をステップS207に進める。また、電圧制御部81aは、測定した日射強度が推定した日射強度未満である場合(ステップS206:NO)に、処理をステップS211に進める。
【0108】
また、ステップS207において、電圧制御部81aは、蓄電装置6の出力電圧が、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)以上であるか否かを判定する。すなわち、電圧制御部81aは、ステップS205において取得した蓄電装置6の出力電圧が、設定している太陽光発電装置5の出力電圧以上であるか否かを判定する。具体的には、電圧制御部81aは、蓄電装置6の電圧を監視し、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)と比較する。電圧制御部81aは、この比較により、蓄電装置6の電圧が、余剰発電量の受け入れの途中で、太陽光発電装置5の出力電圧に到達し、この電圧で定電圧充電となりこの状態が所定時間(余剰発電量の発生時間帯の半分、等)経過するか否かにより判定する。すなわち、電圧制御部81aは、定電圧充電の状態が所定の時間の経過が観測されるようであれば、ここで言う、「太陽光発電装置5の出力電圧以上である場合」に相当する、と判定する。そして、電圧制御部81aは、蓄電装置6の出力電圧が、太陽光発電装置5の出力電圧以上である場合(ステップS207:YES)に、処理をステップS209に進める。また、電圧制御部81aは、蓄電装置6の出力電圧が、太陽光発電装置5の出力電圧未満である場合(ステップS207:NO)に、処理をステップS208に進める。
【0109】
ステップS208において、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を上昇させる。すなわち、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を上昇させる補正(変更)を行い、補正(変更)した設定電圧値(第1電圧値)を直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力するように、直流電源装置3に対して制御信号を出力する。なお、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を予め定められた所定の電圧値だけ上昇させてもよい。ステップS208の処理の後、電圧制御部81aは、処理をステップS211に進める。
【0110】
ステップS209において、電圧制御部81aは、蓄電装置6の出力電圧が、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)以上の日数が所定の日数以上であるか否かを判定する。すなわち、電圧制御部81aは、蓄電装置6の出力電圧が、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)に等しくなり、この電圧によって定電圧充電状態となり所定時間経過する日数が所定数であるか否かを判定する。つまり、電圧制御部81aは、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)による定電圧充電によって蓄電装置6の完全充電が所定の時間維持されるような状態となる日数が、所定の日数(例えば、3日)以上あるか否かを判定する。電圧制御部81aは、蓄電装置6の出力電圧が、太陽光発電装置5の出力電圧と等しくなり、この電圧による定電圧充電が所定時間継続する状態となる日数が所定数以上である場合(ステップS209:YES)に、処理をステップS210に進める。また、逆に、電圧制御部81aは、蓄電装置6が、太陽光発電装置5の出力電圧による定電圧充電となる日数が所定数未満である場合(ステップS209:NO)に、処理をステップS210に進める。
【0111】
ステップS210において、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を低下させる。すなわち、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を低下させる補正(変更)を行い、補正(変更)した設定電圧値(第1電圧値)を直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力するように、直流電源装置3に対して制御信号を出力する。なお、電圧制御部81aは、設定電圧値(第1電圧値)を予め定められた所定の電圧値だけ低下させてもよい。ステップS210の処理の後、電圧制御部81aは、処理をステップS211に進める。
【0112】
なお、ステップS211の処理は、
図8に示すステップS105の処理と同様であり、ここではその説明を省略する。
このように、給電管理装置7aは、所定の期間ごと(例えば、1ヶ月ごと)に、日射強度情報に基づいて直流電源装置3の出力電圧である設定電圧値を定めるとともに、日射計95によって計測した日射強度情報に基づいて設定電圧値を適切に変更する。
【0113】
以上説明したように、本実施形態における電源システム1aは、太陽光発電装置5が設置された場所の日射強度を測定する日射計95(日射測定部)と、蓄電装置6の出力電圧を測定する測定器94(蓄電電圧測定部)とを備えている。給電管理装置7aの電圧制御部81aは、日射計95が測定した日射強度と、推定した最大日射強度と、測定器94が測定した蓄電装置6の出力電圧とに基づいて、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力する電圧を変更する。
これにより、本実施形態における電源システム1aは、例えば、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の設定の際に推定した最大日射強度と、実際の太陽光発電装置5が設置された場所の日射強度とに乖離がある場合でも、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を適切に制御することができる。また、負荷4の消費量(例えば、消費電流)が変動して、余剰発電量に変動が生じた場合であっても、本実施形態における電源システム1aは、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を適切に制御することができる。
【0114】
また、本実施形態では、電圧制御部81aは、日射計95が測定した日射強度が最大日射強度以上であり、且つ、蓄電装置6の出力電圧が第2の出力電圧よりも低い場合に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力する電圧を高くする制御を行う。
これにより、本実施形態における電源システム1aは、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を適切に変更して、蓄電装置6をバックアップ電源とした際の電力の供給期間を長くさせることができる。
【0115】
また、本実施形態では、電圧制御部81aは、日射計95が測定した日射強度が最大日射強度以上であり、且つ、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)による定電圧充電によって蓄電装置6の完全充電が所定の時間維持されるような状態となる日数が、所定の回数(所定数)に達した際に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力する電圧を低くする制御を行う。すなわち、本実施形態では、電圧制御部81aは、日射計95が測定した日射強度が最大日射強度以上であり、且つ、蓄電装置6の出力電圧が第2の出力電圧と等しくなり、この電圧によって所定の時間、定電圧充電されるような場合の日数が、所定数に達した際、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)として出力する電圧を低くする制御を行う。
これにより、本実施形態における電源システム1aは、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を適切に変更して、太陽光発電装置5の発電電力の利用率を向上させることができる。
【0116】
次に、本発明に係る第3の実施形態による電源システムについて図面を参照して説明する。
[第3の実施形態]
本実施形態では、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を1日の中で所定の期間、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)より低下させる制御を行う場合の一例について説明する。
【0117】
図14は、本実施形態による電源システム1bの一例を示すブロック図である。
この図において、電源システム1bは、直流電源装置3、太陽光発電装置5、蓄電装置6、給電管理装置7b、及び測定器91〜94を備えている。太陽光発電装置5は、1日のうちの所定の期間(第1の期間)に発電する。
なお、この図において、
図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、電源システム1bは、給電管理装置7bが、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を変更する期間、及び設定電圧値(第1電圧値)を算出する電圧・期間算出部83と、電圧・期間算出部83が算出した期間、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)より低下させる制御を行う電圧制御部81bとを備える点が第1の実施形態と異なる。
【0118】
給電管理装置7bは、電源システム1bが備える各部を管理する管理装置であり、例えば、少なくとも第1の出力電圧を所定の期間(第2の期間)低下させる制御を行う。
給電管理装置7bは、測定データ取得部71、入力部72、表示部73、記憶部74、及び制御部80bを備えている。
【0119】
制御部80bは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、給電管理装置7bを統括的に制御する。制御部80bは、電圧制御部81bと、電圧・期間算出部83とを備えている。
電圧制御部81bは、少なくとも第1の期間の一部期間を含む第2の期間に対して、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)より低い電圧に制御する。ここで、第1の期間は、1日のうちの太陽光発電装置5が発電する期間である。電圧制御部81bは、例えば、第2の期間における蓄電装置6の放電量と、第2の期間における太陽光発電装置5の余剰発電量とが等しくなるように、第2の期間及び直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。さらに、電圧制御部81bは、太陽光発電装置5が発電する第1の期間の前に、推定される余剰発電量と等しい放電量を蓄電装置6に放電させるように、蓄電装置6の放電を開始させる第2の期間の開始時刻を制御するとともに、第1の期間において余剰発電量が蓄電装置6に充電され、放電量が蓄電装置6に充電されるように、第2の期間の終了時刻を制御する。具体的に、電圧制御部81bは、後述する電圧・期間算出部83が算出した設定電圧値(第1電圧値)及び第2の期間により、直流電源装置3の出力電圧を制御する制御信号を直流電源装置3に対して出力する。
【0120】
また、電圧制御部81bは、蓄電装置6が特性変化した場合に、蓄電装置6の放電特性に応じて設定電圧値(第1電圧値)を補正し、補正した設定電圧値(第1電圧値)に直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。電圧制御部81bは、例えば、蓄電装置6が特性変化して、充電可能な電気量が低下した場合に、放電特性に応じて、設定電圧値(第1電圧値)を低下させる制御を行う。なお、この補正した設定電圧値(第1電圧値)は、電圧・期間算出部83によって算出されてもよい。
【0121】
電圧・期間算出部83(電圧設定部の一例)は、上述した直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の設定電圧と、第2の期間を算出する。電圧・期間算出部83は、太陽光発電装置5の発電量と、負荷4の消費量(消費分)とに基づいて、太陽光発電装置5の余剰発電量を算出し、算出した余剰発電量に応じて、電圧制御部81bによって制御される直流電源装置3の出力電圧として出力する設定電圧値(第1電圧値)を算出する。なお、電圧・期間算出部83による直流電源装置3の出力電圧として出力する設定電圧値(第1電圧値)の算出(設定)処理は、第1及び第2の実施形態と同様である。
また、電圧・期間算出部83は、上述した第2の期間における蓄電装置6の放電量と、第2の期間における太陽光発電装置5の余剰発電量とが等しくなるように、第2の期間を算出(設定)する。この直流電源装置3の出力電圧の低下期間(第2の期間)の設定処理の詳細については後述する。
【0122】
次に、本実施形態における直流電源装置3の出力電圧の低下期間(第2の期間)の設定処理について、
図15及び
図16を参照して説明する。
【0123】
<直流電源装置3の出力電圧の低下期間(第2の期間)の設定処理>
図15は、本実施形態による電源システム1bの直流電源装置3の出力電圧の低下期間の概要を説明する説明図である。
この図に示すグラフにおいて、縦軸は、太陽光発電装置5が発電する電流(A)を示し、横軸は、1日における時刻を示している。
このグラフにおいて、波形W14は、太陽光発電装置5の最大日射強度における発電特性を示している。また、領域A1は、負荷4の消費電流Iloadを超える余剰な発電電流である太陽光発電装置5の余剰発電分を示している。また、領域A4は、太陽光発電装置5から負荷4に供給する電気量を示している。また、領域D2は、蓄電装置6から負荷4に供給する電気量(放電量)を示している。
【0124】
また、この図において、期間TR20は、直流電源装置3の出力電圧の低下期間(第2の期間)を示しており、時刻T
STは、この第2の期間TR20の開始時刻を示し、時刻T
ENは、この第2の期間TR20の終了時刻を示している。
電圧・期間算出部83は、例えば、第2の期間TR20の終了時刻(時刻T
EN)を、太陽光発電装置5の最大日射強度の発電特性において、発電量が低下して発電電流と負荷4の消費電流Iloadとが一致する時刻に設定する。さらに、電圧・期間算出部83は、上述した太陽光発電装置5の余剰発電分(領域A1)と、蓄電装置6から負荷4に供給する放電量(領域D2)とが等しくなるように、第2の期間TR20の開始時刻(時刻T
ST)を算出(設定)する。
【0125】
図16は、本実施形態による電源システムの直流電源装置の出力電圧の低下期間の設定処理の一例を示すタイムチャートである。なお、この図は、日射強度が最大となり、余剰発電量の最大値が生じている場合の例である。
この図において、縦軸は、(a)負荷4への供給電流(電流(A))、及び、太陽光発電装置5の発電及び蓄電装置6の充放電の電気量(Ah)と、(b)直流電源装置3の出力電圧(V)とを示している。また、横軸は、1日における時刻を示している。
ここで、波形W15は、太陽光発電装置5の最大日射強度における発電特性を示し、波形W16は、太陽光発電装置5の余剰発電量の累積値(電気量)を示している。また、領域A1及び領域D2は、
図15と同様である。
【0126】
電圧・期間算出部83は、波形W15の発電特性から発電量が低下して発電電流と負荷4の消費電流Iloadとが一致する時刻T25(16時)を第2の期間TR20の終了時刻(時刻T
EN)として設定する。また、電圧・期間算出部83は、時刻T24(9時)から時刻T25(16時)までの余剰発電量が発生する期間において、蓄電装置6の充電に利用可能な太陽光発電装置5の電気量(余剰発電量)の累積値を波形W16のポイントP9に示すように算出する。
図16に示す例では、電圧・期間算出部83は、蓄電装置6の充電に利用可能な余剰発電量“50Ah”を算出する。
【0127】
次に、電圧・期間算出部83は、発電量が上昇して発電電流と負荷4の消費電流Iloadとが一致する時刻T24(9時)において、上述した余剰発電量“50Ah”を蓄電装置6に充電可能なように、第2の期間TR20の開始時刻(時刻T
ST)を算出する。具体的に、電圧・期間算出部83は、時刻T24(9時)において、上述した余剰発電量“50Ah”に対応する放電量(ポイントP10)になるような放電及び充電の波形W17に基づいて、第2の期間TR20の開始時刻(時刻T
ST)を算出する。ここで、上述のポイントP10における放電量は、領域D2における累積値である。
なお、ここでは、波形W17は、余剰発電量と放電量とが等しい場合の充放電特性を示し、波形W18は、放電量が余剰発電量(充電量)より少ない場合の充放電特性を示し、波形W19は、放電量が余剰発電量(充電量)より大きい場合の充放電特性を示している。
【0128】
図16に示す例では、電圧・期間算出部83は、余剰発電量“50Ah”と放電量(ポイントP10)が等しくなるような波形W17に基づき、時刻T22(3時)を開始時刻(時刻T
ST)として算出する。この場合、電圧制御部81bは、
図16(b)に示す波形W20のように、直流電源装置3の出力電圧を制御する。
なお、
図16(b)において、電圧Vrfは、太陽光発電装置5の出力電圧に等しい電圧値であるフロート電圧を示し、例えば、
図4におけるポイントP4の値である。そして、電圧(Vrf−d1)は、最大日射強度における太陽光発電装置5の余剰発電量が、蓄電装置6の充電によって全て回収可能となるような放電深度に対応する電圧値(第1電圧値)である。この例では、電圧制御部81bは、第2の期間TR20、蓄電装置6が余剰発電量と等しい放電量を放電した場合の放電深度(第1の放電深度)に対応する電圧(Vrf−d1)(第1電圧値)に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。すなわち、電圧制御部81bは、第2の期間TR20、蓄電装置6の放電深度(第1の放電深度)が余剰発電量と等しい放電量となるような電圧(Vrf−d1)(第1電圧値)に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。
【0129】
また、例えば、上述の時刻T22(3時)から時刻T25(16時)までの期間を第2の期間TR20とした場合には、波形W17に示すように、放電分は余剰発電量を100%利用した充電によって回復されることになる。一方、例えば、開始時刻を時刻T23(4時)に設定した場合には、波形W18に示すように、余剰発電量を一部無駄にすることになる。この場合、余剰発電量の累積値は、波形W21のように変化し、充電に利用される電気量は、ポイントP9よりも少ない値となる。すなわち、余剰発電量に未利用分が生じることを表している。また、例えば、開始時刻を時刻T21(2時)に設定した場合には、波形W19に示すように、放電量の累積値が余剰発電量を上回り、余剰発電量を100%利用しても完全には回復できないことになる。
【0130】
次に、本実施形態における電源システム1bの動作について図面を参照して説明する。
図17は、本実施形態による電源システム1bにおける直流電源装置3の出力電圧の制御の一例を示すフローチャートである。
ここでは、所定の期間ごと(例えば、1ヶ月ごと)に、直流電源装置3の出力電圧を設定し直す場合の一例について説明する。
【0131】
図17において、ステップS301からステップS302までの処理は、
図8に示すステップS101からステップS102までの処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。なお、ステップS301からステップS302までの処理は、給電管理装置7bの電圧・期間算出部83によって実行される。
【0132】
続く、ステップS303において、電圧・期間算出部83は、余剰発電量と等しい放電量になるように、第2の期間TR20(開始時刻及び終了時刻)、及び直流電源装置3の設定電圧値(第1電圧値)を算出する。電圧・期間算出部83は、例えば、上述の
図15及び
図16において説明したように、第2の期間TR20(開始時刻及び終了時刻)、及び直流電源装置3の設定電圧値(第1電圧値)を定める。
【0133】
次に、給電管理装置7bの電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧を、フロート電圧(Vrf)に設定する(ステップS304)。具体的に、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧をフロート電圧にする制御信号を直流電源装置3に出力して、直流電源装置3の出力電圧を設定する。なお、フロート電圧値は、蓄電装置6を完全充電状態にする電圧値である。
【0134】
次に、電圧制御部81bは、開始時刻になったか否かを判定する(ステップS305)。すなわち、電圧制御部81bは、電圧・期間算出部83が算出した開始時刻になったか否かを判定する。電圧制御部81bは、開始時刻になった場合(ステップS305:YES)に、処理をステップS306に進め、開始時刻になっていない場合(ステップS305:NO)に、ステップS305の処理を繰り返す。
【0135】
ステップS306において、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧を算出した設定電圧値(第1電圧値)に変更する。具体的に、電圧制御部81bは、電圧・期間算出部83によって設定された設定電圧値に、直流電源装置3の出力電圧を変更させる制御信号を直流電源装置3に出力して、直流電源装置3の出力電圧を変更する。
【0136】
次に、電圧制御部81bは、終了時刻になったか否かを判定する(ステップS307)。すなわち、電圧制御部81bは、電圧・期間算出部83が算出した終了時刻になったか否かを判定する。電圧制御部81bは、終了時刻になった場合(ステップS307:YES)に、処理をステップS308に進め、終了時刻になっていない場合(ステップS307:NO)に、ステップS307の処理を繰り返す。
【0137】
ステップS308において、給電管理装置7bの電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧を、フロート電圧(Vrf)に設定する。具体的に、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧をフロート電圧にする制御信号を直流電源装置3に出力して、直流電源装置3の出力電圧を設定する。なお、フロート電圧値は、前述した、蓄電装置6を完全充電状態にする電圧値である。
【0138】
次に、電圧制御部81bは、所定の期間が経過したが否か(見直し時期か否か)を判定する(ステップS309)。電圧制御部81bは、例えば、1ヶ月経過したか否かを判定する。電圧制御部81bは、所定の期間が経過した場合(ステップS309:YES)に、処理をステップS301に戻し、電圧・期間算出部83は、次の所定の期間(例えば、次の月)の日射強度情報を取得する。
また、電圧制御部81bは、所定の期間が経過していない場合(ステップS309:NO)に、処理をステップS305に戻す。
【0139】
このように、給電管理装置7bが、直流電源装置3の出力電圧を制御することにより、直流電源装置3の出力電圧は、
図16の波形W20の示すように変化し、蓄電装置6は、波形W17の示すように充放電される。なお、
図16に示す例は、日射強度が最大である場合の動作を示しており、次に、日射強度が平均日射強度よりも低く、余剰発電量を生じない場合の動作について説明する。
【0140】
図18は、本実施形態による電源システム1bの動作の一例を示す第1のタイムチャートである。ここでは、日射強度が平均日射強度よりも低く、余剰発電量を生じない場合の動作について説明する。
図18において、縦軸は、(a)負荷4への供給電流(電流(A))、及び、蓄電装置6の充放電の電気量(Ah)と、(b)直流電源装置3の出力電圧(V)とを示している。また、横軸は、1日における時刻を示している。
ここで、波形W22は、太陽光発電装置5の日射強度が平均日射強度よりも低い日射強度における発電特性を示し、波形W23は、蓄電装置6の充放電量の変化を示している。また、領域R21及び領域R22は、負荷4への供給電流のうちの直流電源装置3の供給分を示し、領域D21は、蓄電装置6の供給分を示している。また、領域A21は、太陽光発電装置5の供給分を示している。なお、ポイントP10、第2の期間TR20(開始時刻T
ST及び終了時刻T
EN)、負荷4の消費電流Iload、設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)及び波形W20は、
図16と同様である。
【0141】
なお、波形W23において、第2の期間TR20の開始時刻T
STから時刻T26までの期間、蓄電装置6が放電され、時刻T26から第2の期間TR20の終了時刻T
ENまでの期間、蓄電装置6の充放電が休止され、終了時刻T
EN以降に、蓄電装置6が充電される。また、波形W23において、太陽光発電装置5の発電量が
図16に示す場合より少ないため、
図16に示すポイントP10よりも早い時刻T26で電圧・期間算出部83が最大余剰発電量に基づいて算出した放電量に達することを示している。
この
図18に示す例では、太陽光発電装置5の余剰発電量が生じないため、太陽光発電装置5の発電が開始されても蓄電装置6は放電される。しかしながら、本実施形態では、給電管理装置7bが直流電源装置3の出力電圧を設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)に制御しているために、時刻T26において、ポイントP10に対応する放電深度で蓄電装置6の放電が停止する。なお、波形W24は、参考として、本実施形態のように直流電源装置3の出力電圧を設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)に制御せずに、直流電源装置3の出力を停止した場合の放電特性を示している。
【0142】
また、時刻T
ENにおいて、給電管理装置7bが、直流電源装置3の出力電圧をフロート電圧(Vrf)に復帰させることにより、蓄電装置6は、直流電源装置3から供給される電力により充電される。
このように、本実施形態における電源システム1bでは、太陽光発電装置5の余剰発電量が生じない場合であっても、蓄電装置6の最大放電深度は、余剰発電量と等しい値に抑えられ、過放電状態になることがない。
【0143】
次に、蓄電装置6が特性変化した場合に、蓄電装置6の放電特性に応じて設定電圧値(第1電圧値)を補正する動作の一例について説明する。
図19は、本実施形態による電源システムの動作の一例を示す第2のタイムチャートである。ここでは、蓄電装置6が特性変化している場合の動作を、日射強度が平均日射強度よりも低く、余剰発電量を生じない場合を例にして説明する。
【0144】
図19において、縦軸は、(a)負荷4への供給電流(電流(A))、及び、蓄電装置6の充放電の電気量(Ah)と、(b)蓄電装置6の放電特性(電圧(V/セル))と、(c)直流電源装置3の出力電圧(V)とを示している。また、横軸は、1日における時刻を示している。
ここで、波形W25は、蓄電装置6の特性変化前の放電特性を示し、波形W26は、蓄電装置6の特性変化後の放電特性を示している。波形W25及び波形W26のいずれも、負荷4と同じ電流における放電特性である。また、波形W27は、補正後の直流電源装置3の出力電圧の波形を示している。なお、波形W22〜波形W24、領域R21、領域R22、領域D21、領域A21、ポイントP10、第2の期間TR20(開始時刻T
ST及び終了時刻T
EN)、負荷4の消費電流Iload、及び波形W20は、
図18と同様である。
【0145】
この
図19の波形W26に示すように、蓄電装置6が特性変化した場合に、蓄電装置6の電圧は、放電により特性変化前の放電特性(波形W25)よりも早く低下する。例えば、蓄電装置6の電圧が本来の設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)に達する時刻は、波形W25では、ポイントP11の時刻T26に対して、波形W26では、ポイントP12の時刻T27となる。そのため、時刻T27におけるポイントP13に示すように、蓄電装置6からは、十分な放電量が得られない。これは、蓄電装置6の特性が変化すると、太陽光発電装置5の余剰発電量の受け入れ率が100%以下になることを示している。
そこで、本実施形態では、電圧制御部81bは、放電量がポイントP14の放電深度に対応する波形W26におけるポイントP15の設定電圧値(Vrf−d1−r)(第1電圧値)に直流電源装置3の出力電圧を補正する。すなわち、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧を波形W27のように制御する。
ここで、予め蓄電装置6の特性変化(劣化状況)が判明している場合、上述したように、劣化した場合の特性に応じた電圧が選定される。一方、電圧制御部81bは、蓄電装置6の放電中に放電量を測定器94により計測し、所定の放電量に至った時点で、直流電源装置3の出力電圧値をその時点での電圧値に設定することも可能である。
【0146】
このように、本実施形態における電源システム1bは、蓄電装置6に特性変化が生じた場合であっても、蓄電装置6からの放電量を特性変化前と同様に確保することができる。
【0147】
なお、上述した実施形態では、電圧制御部81bが、最大日射強度における余剰発電量と等しい放電量を放電した場合の放電深度(第1の放電深度)に対応する設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)に、直流電源装置3の出力電圧を制御する場合を説明したが、さらに低い電圧にしてもよい。ここでは、
図20を参照して、上述した設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)よりも低い電圧に、直流電源装置3の出力電圧を制御する場合について説明する。
【0148】
図20は、本実施形態による電源システム1bの変形例の動作の一例を示すタイムチャートである。ここでは、電圧制御部81bが、
図17に示す設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)以下の電圧値であって、蓄電装置6が過放電となる放電深度に対応する電圧よりも高い設定電圧値(Vrf−d2)(第3電圧値)に直流電源装置3の出力電圧を制御する。
【0149】
図20において、縦軸は、(a)負荷4への供給電流(電流(A))、及び、蓄電装置6の充放電の電気量(Ah)と、(b)直流電源装置3の出力電圧(V)とを示している。また、横軸は、1日における時刻を示している。
ここで、波形W28は、蓄電装置6の充放電量の変化を示している。また、波形W29は、設定電圧値(Vrf−d2)(第3電圧値)にした場合の直流電源装置3の出力電圧を示している。その他は、
図18と同様である。
【0150】
図20に示す例では、電圧制御部81bは、波形W29に示すように、設定電圧値(Vrf−d1)(第1電圧値)以下の電圧である設定電圧値(Vrf−d2)(第3電圧値)に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。ここで、設定電圧値(Vrf−d2)(第3電圧値)は、蓄電装置6が過放電となる放電深度に対応する電圧よりも高い電圧である。すなわち、設定電圧値(Vrf−d2)(第3電圧値)は、蓄電装置6が過放電にならないように設定された電圧である。
この場合、波形W28に示すように、蓄電装置6は、設定電圧値(Vrf−d2)(第3電圧値)まで蓄電装置6の出力電圧が低下する時刻T28まで放電し、設定電圧値(Vrf−d2)(第3電圧値)で放電が停止する。これにより、電源システム1bは、蓄電装置6が過放電状態になることを防止することができる。
なお、本実施形態では、蓄電装置6からの放電深度が、最大余剰発電量を超えるが、時刻T
ENを深夜時間帯に設定することで、蓄電装置6の充電を深夜電力料金の時間帯で行うことができる。
【0151】
以上説明したように、本実施形態における電源システム1bでは、太陽光発電装置5は、1日のうちの第1の期間(例えば、昼間の期間)に発電する。電圧制御部81bは、少なくとも第1の期間の一部期間を含む第2の期間TR20に対して、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を、太陽光発電装置5の出力電圧(第2の出力電圧)より低い電圧に制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1bは、第2の期間TR20のうちの太陽光発電装置5が発電していない期間において、蓄電装置6を放電させて負荷4に電力を供給する。そして、本実施形態における電源システム1bは、第2の期間TR20のうちの太陽光発電装置5が発電している期間において、太陽光発電装置5の余剰発電量を蓄電装置6に充電する。そのため、本実施形態における電源システム1bは、太陽光発電装置5が発電した電力を有効に利用することができる。
【0152】
また、本実施形態では、電圧制御部81bは、第2の期間TR20における蓄電装置6の放電量と、第2の期間TR20における余剰発電量とが等しくなるように、第2の期間TR20(例えば、第2の期間TR20の時間帯)、及び直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1bは、第2の期間TR20において、蓄電装置6に放電させた放電量分の電力を、余剰発電量により回収することができる。
【0153】
また、本実施形態では、電圧制御部81bは、第1の期間の前に、推定される余剰発電量と等しい放電量を蓄電装置6に放電させるように、蓄電装置6の放電を開始させる第2の期間TR20の開始時刻を制御する。また、電圧制御部81bは、第1の期間において余剰発電量が蓄電装置6に充電され、放電量が蓄電装置6に充電されるように、第2の期間TR20の終了時刻を制御する。すなわち、電圧制御部81bは、第1の期間の前に、推定される余剰発電量と等しい放電量を蓄電装置6に放電させるように、第2の期間TR20の開始時刻の選定と制御する。電圧制御部81bは、第1の期間において余剰発電量が蓄電装置6に充電され、放電された電気量相当分が蓄電装置6に回復されるように、第2の期間TR20の終了時刻を制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1bは、第2の期間TR20において、蓄電装置6に放電させた放電量分の充電によって太陽光発電装置5の余剰発電量を適切に回収することができる。
【0154】
また、本実施形態では、電圧制御部81bは、第2の期間、蓄電装置6が余剰発電量と等しい放電量を放電した場合の放電深度である第1の放電深度に対応する第1電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d1))に、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。
これにより、蓄電装置6が余剰発電量と等しい放電量を放電した場合に、蓄電装置6の放電が停止するので、本実施形態における電源システム1bは、複雑な制御を必要とせずに、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)の調整という簡易な制御により、蓄電装置6の充放電を適切に制御することができる。また、本実施形態における電源システム1bは、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御するという簡易な制御により、蓄電装置6の過放電を防止することができる。
【0155】
また、本実施形態では、電圧制御部81bは、蓄電装置6の放電特性に応じて第1電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d1))を補正し、補正した第1電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d1−r))に直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1bは、蓄電装置6に特性変化が生じた場合であっても、蓄電装置6に必要とされる放電量を放電させることができる。
【0156】
また、本実施形態では、電圧制御部81bは、蓄電装置6が余剰発電量と等しい放電量を放電した場合の放電深度である第1の放電深度に対応する第1電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d1))以下の電圧値であって、蓄電装置6が過放電となる放電深度に対応する電圧よりも高い第3電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d2))に第1の出力電圧を制御する。
これにより、本実施形態における電源システム1bは、蓄電装置6の過放電を防止することができる。そして、本実施形態における電源システム1bは、深夜電力を利用した蓄電装置6の充電と放電による利用ができる。
【0157】
次に、本発明に係る第4の実施形態による電源システムについて図面を参照して説明する。
[第4の実施形態]
本実施形態では、第3の実施形態で説明した第2の期間において、蓄電装置6の放電量に応じて、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を変更する制御を行う場合の一例について説明する。
【0158】
本実施形態における電源システムの構成は、
図14に示す第3の実施形態の電源システム1bと同様であるので、ここではその説明を省略する。
本実施形態における電源システム1bでは、電圧制御部81bによる制御が一部異なり、ここでは、その異なる制御について説明する。
本実施形態における電圧制御部81bは、第2の期間の開始時刻において、蓄電装置6が余剰発電量と等しい放電量を放電した場合の放電深度である第1の放電深度に対応する第1電圧値よりも低い第2電圧値(例えば、直流電源装置3のスタンバイ電圧)に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。電圧制御部81bは、蓄電装置6からの放電量が第2の期間TR20の終了時刻より前に第1の放電深度に達した場合に、直流電源装置3の出力電圧を上述した第1電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d1))に変更する。ここで、直流電源装置3のスタンバイ電圧とは、例えば、直流電源装置3の動作を停止させた場合の出力電圧である。
なお、蓄電装置6の特性変化により、第1の放電深度と第1電圧値との対応関係がずれるような場合には、電圧制御部81bは、放電量の積算を行い、第1電圧値を第1の放電深度に到達した際の電圧値としてもよい。
【0159】
次に、本実施形態における電源システム1bの動作について図面を参照して説明する。
図21は、本実施形態による電源システム1bにおける直流電源装置3の出力電圧の制御の一例を示すフローチャートである。
ここでは、所定の期間ごと(例えば、1ヶ月ごと)に、直流電源装置3の出力電圧を設定し直す場合の一例について説明する。
【0160】
図21において、ステップS401からステップS405までの処理は、
図17に示すステップS301からステップS305までの処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。
続く、ステップS406において、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧をスタンバイ電圧に変更する。具体的には、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧を変更する制御信号を直流電源装置3に出力し、直流電源装置3の出力電圧をスタンバイ電圧に変更する。
【0161】
次に、電圧制御部81bは、蓄電装置6の出力電圧が、算出した設定電圧以下か否かを判定する(ステップS407)。すなわち、電圧制御部81bは、測定器94によって測定した蓄電装置6の出力電圧が、上述した電圧・期間算出部83によって算出された設定電圧値(Vrf−d1)以下になったか否かを判定する。電圧制御部81bは、蓄電装置6の出力電圧が、設定電圧値(Vrf−d1)以下である場合(ステップS407:YES)に、処理をステップS408に進め、設定電圧値(Vrf−d1)より大きい場合(ステップS407:NO)に、処理をステップS409に進める。
【0162】
ステップS408において、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力電圧を算出した設定電圧値(第1電圧値)に変更する。具体的に、電圧制御部81bは、電圧・期間算出部83によって設定された設定電圧値(Vrf−d1)に、直流電源装置3の出力電圧を変更させる制御信号を直流電源装置3に出力して、直流電源装置3の出力電圧を変更する。
【0163】
ステップS409において、電圧制御部81bは、終了時刻になったか否かを判定する。すなわち、電圧制御部81bは、電圧・期間算出部83が算出した終了時刻になったか否かを判定する。電圧制御部81bは、終了時刻になった場合(ステップS409:YES)に、処理をステップS410に進め、終了時刻になっていない場合(ステップS409:NO)に、ステップS407の処理に戻す。
続く、ステップS410及びステップS411の処理は、
図17に示すステップS308及びステップS309の処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0164】
図22は、本実施形態による電源システム1bの動作の一例を示すタイムチャートである。ここでは、日射強度が平均日射強度よりも低く、余剰発電量を生じない場合の動作について説明する。
【0165】
図22において、縦軸は、(a)負荷4への供給電流(電流(A))、及び、蓄電装置6の充放電の電気量(Ah)と、(b)蓄電装置6の放電特性(電圧(V/セル))と、(c)直流電源装置3の出力電圧(V)とを示している。また、横軸は、1日における時刻を示している。
ここで、波形W30は、直流電源装置3の出力電圧の変化を示している。その他は、
図19と同様である。
【0166】
図22において、給電管理装置7bは、上述した第2の期間TR20の開始時刻T
STに直流電源装置3の出力電圧をスタンバイ電圧(Vst)に変更する。そして、給電管理装置7bは、例えば、波形W25のポイントP11に示すように、蓄電装置6の出力電圧が、設定電圧値(Vrf−d1)に達した場合に、直流電源装置3の出力電圧を設定電圧値(Vrf−d1)に変更する(ポイントP16参照)。その後に動作は、第3の実施形態と同様である。
【0167】
以上説明したように、本実施形態における電源システム1bでは、電圧制御部81bは、第2の期間の開始時刻において、蓄電装置6が余剰発電量と等しい放電量を放電した場合の放電深度である第1の放電深度に対応する第1電圧値よりも低い第2電圧値(例えば、直流電源装置3のスタンバイ電圧)に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。電圧制御部81bは、蓄電装置6が第2の期間TR20の終了時刻より前に第1の放電深度に達した場合に、直流電源装置3の出力電圧を上述した第1電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d1))に変更する。すなわち、電圧制御部81bは、蓄電装置6からの放電量の積算値が第2の期間TR20の終了時刻より前に第1の放電深度に対応する第1電圧値に達した場合に、直流電源装置3の出力電圧を上述した第1電圧値(例えば、設定電圧値(Vrf−d1))に変更する。
これにより、本実施形態における電源システム1bは、第3の実施形態と同様に、第2の期間TR20において、蓄電装置6に放電させた放電量分の電力を、太陽光発電装置5の余剰発電量により適切に回収することができる。また、本実施形態における電源システム1bは、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)を制御するという簡易な制御により、蓄電装置6の過放電を防止することができる。
なお、本実施形態では、第1の放電深度に対応する第1電圧値で判定しているが、電源システム1bは、開始時刻T
ST以降の蓄電装置6からの放電量の積算を行い、積算値が想定されている余剰発電量と等しくなった時点(ポイントP14)で、直流電源装置3の出力電圧(第1の出力電圧)をポイントP11の電圧値(Vrf−d1)に変更してもよい(ポイントP16)。
【0168】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上述の第1〜第4の実施形態において説明した各機能は、任意に組み合わせることができる。
【0169】
また、上記の各実施形態において、例えば、1ヵ月ごとに直流電源装置3の出力電圧の設定電圧を見直す場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、季節ごと、1週間ごと、毎日などの所定の期間ごとに見直してもよい。
また、設定電圧を見直す場合に、例えば、
図23に示すように、気象情報を無線通信により取得し、取得した気象情報に基づいて設定電圧を見直してもよい。
【0170】
図23は、第2の実施形態による電源システム1aの変形例を示すブロック図である。
この図において、電源システム1cは、直流電源装置3、太陽光発電装置5、蓄電装置6、給電管理装置7c、測定器91〜94、及び日射計95を備えている。
なお、この図において、
図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
給電管理装置7cは、測定データ取得部71a、入力部72、表示部73、記憶部74、気象情報受信部75、及び制御部80aを備えている。
気象情報受信部75は、例えば、無線通信により、気象情報送信部76から気象情報を受信して、受信した気象情報を制御部80aに出力する。
【0171】
この場合、電圧制御部81aは、気象情報(例えば、気象予測データ)を気象情報受信部75から取得する。電圧制御部81aは、予測される気象(例えば、快晴、曇天、雨など)に応じて、規格化された日射強度(予め定められた日射強度)を推定(想定)する。そして、電圧制御部81aは、予測される気象に応じて推定された日射強度に基づいて算出された余剰発電量に対応する蓄電装置6の放電深度に対応する設定電圧に、直流電源装置3の出力電圧を制御する。
なお、
図23に示す例では、第2の実施形態に適用する場合を説明したが、他の実施形態においても同様に、気象情報を無線通信により取得し、取得した気象情報に基づいて設定電圧を見直してもよい。
【0172】
また、上記の各実施形態では、負荷4の消費電流が一定である場合について説明したが、負荷4の消費電流が一定でない場合も考えられる。負荷4の消費電流が一定でない場合には、測定器92により負荷4の消費電流を測定し、測定データに基づいて算出した平均電流値を負荷4の消費電流として利用してもよい。
【0173】
また、上記の各実施形態において、発電装置の一例として太陽光発電装置5を利用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の発電装置を利用してもよい。発電装置は、例えば、風力発電装置、潮力発電装置、水力発電装置などの自然エネルギーを利用する発電装置であってもよい。
また、上記の各実施形態において、最大日射強度に基づいて直流電源装置3の出力電圧の設定電圧が定められる場合について説明したが、余剰発電量が発生する日射強度であれば、他の日射強度に基づいて直流電源装置3の出力電圧の設定電圧が定められてもよい。例えば、平均日射強度に基づいて、直流電源装置3の出力電圧の設定電圧が定められてもよい。
【0174】
また、上記の各実施形態において、給電管理装置7(7a、7b、7c)が、電圧算出部82(82a)、又は電圧・期間算出部83を備える場合について説明したが、電圧算出部82(82a)、又は電圧・期間算出部83を備えずに、直流電源装置3の出力電圧の設定電圧又は第2の期間の情報が予め定められていてもよい。この場合、記憶部74が、予め定められた直流電源装置3の出力電圧の設定電圧又は第2の期間の情報を記憶していてもよい。
【0175】
また、上記の第3及び第4の実施形態において、第2の期間TR20、直流電源装置3の出力電圧(スタンバイ電圧、設定電圧値(Vrf−d1)、設定電圧値(Vrf−d2)など)を、太陽光発電装置5の出力電圧より低下させる場合について説明したが、電圧制御部81bは、直流電源装置3の出力を停止させる制御を行ってもよい。
【0176】
また、上記の第3及び第4の実施形態において、電源システム1bは、第2の期間TR20の期間を調整する機能を備えていてもよい。例えば、給電管理装置7bは、蓄電装置6の充放電状態を推定し、蓄電装置6が放電状態である場合に、第2の期間TR20の開始時刻を遅くしてもよい。また、給電管理装置7bは、逆に、蓄電装置6が放電状態にならない場合に、第2の期間TR20の開始時刻を早めるように調整してもよい。なお、この場合、給電管理装置7bは、蓄電装置6の放電電流と充電電流との計測値(または、直流電源装置3から供給される電流値の計測結果(電流値が、負荷4の消費分と同等か、上回るか、)に基づいて、蓄電装置6の充放電状態を推定してもよい。
また、給電管理装置7bは、第2の期間TR20の終了時刻を深夜電力料金が適用される時刻に設定してもよい。これにより、電源システム1b(給電管理装置7b)は、蓄電装置6の充電を、他の料金体系よりも低価格な深夜電力料金で行うことができる。
【0177】
また、上記の各実施形態において、蓄電装置6は、12個のリチウムイオン電池のセルを備える組電池である場合について説明したが、これに限定されるものではない。蓄電装置6は、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル系蓄電池など電池でもよいし、12個以外の組電池であってもよい。
また、上記の各実施形態において、余剰発電量は、余剰発電電気量(余剰発電電流量)である場合について説明したが、余剰発電電力量、又は余剰発電電流であってもよい。また、負荷4の消費量は、負荷の消費電流(Iload)である場合について説明したが、負荷4の消費電力であってもよい。
なお、電源システム1(1a、1b、1c)は、携帯電話などの基地局に使用される直流電源として利用できる。
【0178】
なお、本発明における電源システム1(1a、1b、1c)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した電源システム1(1a、1b、1c)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0179】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に節電支援システム1(1a、1b)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0180】
また、上述した機能の一部または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。