特許第6200747号(P6200747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200747ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200747
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器
(51)【国際特許分類】
   C08L 25/04 20060101AFI20170911BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20170911BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20170911BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20170911BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20170911BHJP
   C08J 9/14 20060101ALI20170911BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   C08L25/04
   C08K3/36
   C08K3/26
   C08K5/098
   C08K5/103
   C08J9/14CET
   C08J3/22CEZ
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-202395(P2013-202395)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-67705(P2015-67705A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】大西 俊行
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 翔太
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−016231(JP,A)
【文献】 特開2001−048992(JP,A)
【文献】 特開2002−173544(JP,A)
【文献】 特開2003−171472(JP,A)
【文献】 特開2007−239122(JP,A)
【文献】 特開2012−072230(JP,A)
【文献】 特開2012−214688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 25/00 − 25/18
C08L 51/00 − 51/10
C08J 3/00 − 3/28
C08J 9/00 − 9/42
C08L 71/00 − 71/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂に混合させるために用いられるポリスチレン系樹脂組成物であって、
ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルと、ポリスチレン系樹脂とを含有しており、
前記ハイドロタルサイト焼成物の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記シリカ系消臭剤の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記脂肪酸金属塩の含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であり、
前記グリセリン脂肪酸エステルの含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記シリカ系消臭剤が、シリカ単独粒子、及び、シリカと酸化亜鉛との複合粒子の少なくとも何れか一方を有する請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛を有する請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレートを有する請求項1〜3の何れか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物たる第1樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂と、ポリフェニレンエーテル系樹脂とを混合することにより第2樹脂組成物を得、該第2樹脂組成物を押出発泡して得られ、
前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られるポリスチレン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
請求項5に記載のポリスチレン系樹脂発泡シートが成形されて得られる容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリスチレン系樹脂発泡シートは、食品用容器(食品用トレー、カップ等)等の材料として広く用いられている。しかし、ポリスチレン系樹脂からなるポリスチレン系樹脂発泡シートで形成された食品用容器は、耐熱性が十分に高いものではないため、電子レンジ等によって加熱されると変形してしまう等の問題を有する。これに対して、耐熱性を高めるべく、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を発泡剤により発泡させて形成されたポリスチレン系樹脂発泡シート(「発泡シート」ともいう。)が提案されている。
【0003】
しかるに、斯かるポリスチレン系樹脂発泡シートは、ポリフェニレンエーテル系樹脂が含有されることによって特有の臭気が生じるため、そのままでは食品用容器等の形成材料として利用し難いという問題がある。
【0004】
斯かる観点から、消臭剤としてのハイドロタルサイト焼成物やシリカ系消臭剤が、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂とともに含有されているポリスチレン系樹脂発泡シートが提案されている(特許文献1)。
【0005】
このポリスチレン系樹脂発泡シートの製造の際には、ハイドロタルサイト焼成物、シリカ系消臭剤、ポリスチレン系樹脂、及び、ポリフェニレンエーテル系樹脂を押出機内で溶融混合して溶融物を作製し、該溶融物を押出発泡させることが行われている。
また、消臭剤としてのハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂に均一に分散させるべく、予め、ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を溶融物よりも高濃度にポリスチレン系樹脂組成物に含有させ、このポリスチレン系樹脂組成物を用いて溶融物を作製することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許5023237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ポリスチレン系樹脂発泡シート内に異物が混入するのを防止すべく、押出機の出口付近にスクリーンを設け、このスクリーンで溶融物から異物を除去することが行われている。
【0008】
しかし、この溶融物に消臭剤が含有されていると、消臭剤が異物共にスクリーンで溶融物から除去されてしまうという問題がある。また、これにより、スクリーンが消臭剤で目詰まりし、スクリーンの交換の頻度やスクリーンの洗浄の頻度が高まり、生産効率の低下をきたしてしまうという問題がある。
【0009】
本発明者らは、消臭剤がスクリーンで溶融物から除去される原因について検討したところ、消臭剤の分散性の乏しさに原因があることを見出した。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、消臭剤の分散性に優れるポリスチレン系樹脂組成物を提供することを課題とし、ひいては、生産性に優れるポリスチレン系樹脂発泡シート及び容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らが鋭意研究したところ、ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルとをそれぞれ所定量含有するポリスチレン系樹脂組成物を用いることにより、溶融物にハイドロタルサイト焼成物とシリカ系消臭剤とが比較的均一に分散されることを見出し、本発明を想到するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂に混合させるために用いられるポリスチレン系樹脂組成物であって、
ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルと、ポリスチレン系樹脂とを含有しており、
前記ハイドロタルサイト焼成物の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記シリカ系消臭剤の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記脂肪酸金属塩の含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であり、
前記グリセリン脂肪酸エステルの含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記ポリスチレン系樹脂組成物たる第1樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂と、ポリフェニレンエーテル系樹脂とを混合することにより第2樹脂組成物を得、該第2樹脂組成物を押出発泡して得られ、
前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られるポリスチレン系樹脂発泡シートを提供する。
【0014】
さらに、本発明は、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートが成形されて得られる容器を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消臭剤の分散性に優れるポリスチレン系樹脂組成物を提供し得る。また、生産性に優れるポリスチレン系樹脂発泡シート及び容器を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ハイドロタルサイトのTG/DTAチャートを示す図。
図2】ハイドロタルサイトの粉末X線回折パターンを示す図。
図3】ハイドロタルサイト焼成物の粉末X線回折パターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
まず、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物について説明する。
本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂に混合させるために用いられるポリスチレン系樹脂組成物である。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルと、ポリスチレン系樹脂とを含有している。また、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂から臭気の元になる成分を除去することが出来る点において、ポリスチレン系樹脂シートに含有させるポリフェニレンエーテル系樹脂の一部を含有してもよい。さらに、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、添加剤を含有してもよい。前記添加剤としては、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等があげられる。
【0019】
ハイドロタルサイトは、天然に産出する粘土鉱物の一種であり、通常、下記一般式で表される複水酸化物である。

18-x2x(OH)16CO2・nH2

ここで、M1 としては、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2+の何れかであり、M2 としては、Al3+、Fe3+、Mn3+の何れかであり、xは2〜5が好ましく、nは0以上の整数である。
【0020】
また、近年では合成品も市販されており、例えば、塩基性炭酸マグネシウム粒子の水懸濁液と水酸化アルミニウムの水懸濁液とを、マグネシウム原子とアルミニウム原子との比(Mg/Al)が所定の割合(例えば2.6〜3.2)となるように混合し、さらに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの苛性アルカリを加えてpH8.5〜11.5の反応液を得る工程、該工程によって得られた前記反応液を、例えば、50〜100℃で0.5〜20時間加熱熟成する工程、および、該工程で加熱熟成された後の液からハイドロタルサイト粒子を固液分離、洗浄、脱水および乾燥する工程を経て作製されたものが市販されたりしており、このようなハイドロタルサイトを焼成した焼成物も天然産のハイドロタルサイトを焼成した焼成物と同様に使用可能である。
【0021】
なお、ハイドロタルサイトは、図1に示すTG/DTAチャートからもわかるように、加熱すると吸着水や結晶水等を放出するもので、200℃以上に焼成されることで吸着水が放出され、400℃以上、例えば550℃に焼成されることで炭酸根や水酸基が脱離されるものであり粉末X線回折装置(株式会社リガク社製、RADシステム)で2θ=10〜70度で分析すると、図2に示すようなチャート結果を示す物質である。
【0022】
前記ハイドロタルサイト焼成物は、上記のような温度で焼成することにより得られる化合物であり、また、焼成後も陰イオン交換能を保持している化合物である。
該ハイドロタルサイト焼成物としては、例えば、下記一般式で表されるものを採用することが好ましい。

Mg0.7Al0.31.15

該ハイドロタルサイト焼成物は、粉末X線回折装置(株式会社リガク社製、RADシステム)で2θ=10〜70度で分析した粉末X線回折パターンに特徴的な3つのピークを示すものであり、図3に示すようなチャート結果を示す物質である。
【0023】
前記ハイドロタルサイト焼成物は、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に2.5質量%以上15質量%未満の割合で含有されていることが重要であり、5質量%以上13質量%未満の割合で含有されていることが好ましい。
【0024】
また、前記ハイドロタルサイト焼成物の粒径は、小さい方が、前記ポリスチレン系樹脂組成物中に分散されやすくなり臭気の抑制効果が高くなるが、該粒径が過度に小さいものは市販等がされておらず入手が困難であるばかりでなく舞い上がりやすく取り扱いが困難になるおそれを有する。
従って、ポリスチレン系樹脂組成物の製造を容易にさせ得る点において本実施形態において採用する前記焼成物の粒径(体積平均径)は、1〜100μmとすることが好ましく、2〜20μmとすることがより好ましい。
【0025】
さらに、前記ハイドロタルサイト焼成物の比表面積は、130m2 /g以上が好ましい。該比表面積が130m2 /g以上である場合には、ポリフェニレンエーテル系樹脂に接触されやすくなり臭気の抑制効果が高くなる。なお、比表面積は、BET法によって測定したものを意味する。
【0026】
前記シリカ系消臭剤としては、シリカ単独粒子、シリカと酸化亜鉛との複合粒子、シリカと酸化アルミニウムとの複合粒子、シリカとジルコニアとの複合粒子、シリカと酸化チタンとの複合粒子、シリカと酸化マグネシウムとの複合粒子、シリカと酸化カルシウムとの複合粒子等が挙げられ、シリカ単独粒子、及び、シリカと酸化亜鉛との複合粒子の少なくとも一方を有するものを用いることが好ましい。
前記シリカ系消臭剤は、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に2.5質量%以上15質量%未満の割合で含有されていることが重要であり、5質量%以上13質量%未満の割合で含有されていることが好ましい。
【0027】
前記脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウムなどが挙げられ、融点が低く溶融混練時に消臭剤を分散しやすくするという観点から、ステアリン酸亜鉛を用いるのが好ましい。
前記脂肪酸金属塩は、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に0.2質量%以上5.0質量%未満の割合で含有されていることが重要であり、0.5質量%以上4.0質量%未満の割合で含有されていることが好ましい。
また、前記脂肪酸金属塩の融点は、溶融混練時に消臭剤を分散しやすくするという観点から、200℃以下が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
【0028】
前記グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノステアレートなどが挙げられ、溶融混練時に消臭剤を分散させやすくするという観点から、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレートを用いるのが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に0.2質量%以上5.0質量%未満の割合で含有されていることが重要であり、0.5質量%以上4.0質量%未満の割合で含有されていることが好ましい。
【0029】
前記ポリスチレン系樹脂は、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点から、スチレン単独重合体などのポリスチレン樹脂が好適である。
前記ポリスチレン系樹脂は、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に30質量%以上90質量%以下の割合で含有されていることが好ましく、50質量%以上80質量%以下の割合で含有されていることがより好ましい。
【0030】
本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、上述した材料を混練機に投入して混練機で溶融混練し、その後、ストランドカット法やホットカット法により造粒することで得られる。前記混練機としては、ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、二本ロール、三本ロール、連続式ニーダー、連続式二本ロールなどが挙げられる。これらの混練機は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルとを混合機で予め均一に混合した後に、押出機などに投入しポリスチレン系樹脂と共に溶融混錬後に造粒して得てもよい。前記混合機としては、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどが挙げられる。
本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、マスターバッチとしても用いることができる。
【0031】
次に、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートについて説明する。
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物たる第1樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂と、ポリフェニレンエーテル系樹脂とを混合することにより第2樹脂組成物を得、該第2樹脂組成物を押出発泡して得られるポリスチレン系樹脂発泡シートである。
前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られる樹脂組成物である。
【0032】
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、例えば、食品包装用容器の形成に用いられる場合であれば、好ましくは1.5〜3.0mmの厚みとされ、好ましくは、0.055〜0.18g/cm3 の密度とされる。
【0033】
さらに、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの連続気泡率は、好ましくは18%以下であり、より好ましくは3〜18%である。
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、連続気泡率に係る上記のような特性を有することで内部の臭気成分を利用者に感じさせない程度に徐々に放散させることができ、臭気の抑制効果に特に優れるという利点を有する。
前記連続気泡率は、ASTM D−2856−87に準拠して1−1/2−1気圧法にて測定することができる。
具体的には、空気比較式比重計(東京サイエンス(株)社製)を用いて測定される、発泡シートの試験体の体積Vから、下記式より算出することができる。
連続気泡率(%)=(V0 −V)/V0 ×100
尚、上記式において、Vは上記した方法で測定される試験体の体積(cm3 )、V0 は測定に使用した試験体の外形寸法から計算される試験体の見掛けの体積(cm3 )である。
【0034】
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、平均気泡径を80〜450μmとすることが好ましい。
なお、ポリスチレン系樹脂発泡シートの平均気泡径は、ASTM D2842−69に記載されている方法に準拠して測定することができる。即ち、試験用の発泡シート試料を、押出方向に直交する平面に沿って切断し、また、押出方向及び厚み方向に広がる平面に沿って切断し、それぞれの切断面厚み方向の両外側1/10の部分を除いた部分につき、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3000N」)を用いて17〜20倍、必要に応じて最大200倍に拡大して撮影する。撮影した4つの画像をそれぞれA4用紙上に印刷して、MD方向(押出方向)、TD方向(押出方向に直交し且つシート面に沿った方向)、VD方向(厚み方向)の各方向に沿った平行な線分(長さ60mm)を各A4用紙につき6ヶ所引く。斯かる線分に重なる気泡の数から、各方向における気泡の平均弦長(t)を下記式(1)により算出する。ただし、線分は、できる限り気泡が接点でのみ接しないように引き、接してしまった場合は、気泡数に含めることとする。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・(1)
そして、下記式(2)により、各方向における気泡径を算出する。
D=t/0.616・・・(2)
更に、上記の如くして測定した各気泡径(DMD、DTD、DVD)に基づいて、平均気泡径を下記式(3)により算出する。
平均気泡径(mm)=(DMD+DTD+DVD)/3・・・(3)
なお、試験用の発泡シート試料の厚みが薄く、VD方向に60mm長さ分の線分を引くことができない場合は、30mm又は20mm長さの線分に重なる気泡数を数えて、60mm長さ線分における気泡数に換算する。
【0035】
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、平均気泡径を80μm以上とすることで、気泡の膜が厚くなり、連続気泡率を低くさせやすくなる(連続気泡率が18%以下になりやすい)。しかも、平均気泡径を80μm以上とすることで、強度が高くなるという効果も発揮される。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、平均気泡径を450μm以下とした場合には、気泡径が大きすぎず、外観が良好となり、また、平滑性や光沢性にも優れ、さらに、割れ難くなるという効果を奏する。
【0036】
このようなポリスチレン系樹脂発泡シートの形成に用いられるポリスチレン系樹脂は、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点から、スチレン単独重合体などのポリスチレン樹脂が好適である。
【0037】
一方、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の付与に有効なものであり、通常、次の一般式で表されるものを採用することができる。
【0038】
【化1】
【0039】
ここでR1及びR2は、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは、重合度を表す正の整数である。
例示すれば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等が本実施形態において用いられ得る。
また、重合度nは、通常10〜5000の範囲内である。
【0040】
このポリフェニレンエーテル系樹脂は、前記第2樹脂組成物において、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で含有される。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の向上に有効なものであり、ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で含有させるのは、上記範囲未満では、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が十分に発揮されないおそれを有し、逆に上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させても、それ以上にポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が発揮されないおそれを有するためである。
また、一般的にはポリスチレン系樹脂に比べて高価であるために上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させると材料コストの観点においても問題を生じさせるおそれを有する。
【0041】
通常、ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度(JIS K7206−1991、B法、50℃/h)は、102℃程度であるが、上記のようなポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させることにより、ビカット軟化温度を110〜155℃の範囲に向上させることができ、該ポリフェニレンエーテル系樹脂及び前記ポリスチレン系樹脂を使用することで、得られるポリスチレン系樹脂発泡シートや該ポリスチレン系樹脂発泡シートを2次加工した製品などの耐熱性向上を図り得る。
【0042】
一般にポリスチレン系樹脂が用いられてなる製品に耐熱性が求められる場合には、スチレンホモポリマーよりもビカット軟化温度の高いスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリパラメチルスチレン樹脂などのコポリマーをその形成材料に採用することが行われている。
一方で、上記のようにポリフェニレンエーテル系樹脂をブレンドする方法は、単に製品に耐熱性を付与することができるばかりでなく、優れた靱性を付与することができる点においても優れている。
【0043】
したがって、ポリフェニレンエーテル系樹脂及びポリスチレン系樹脂を使用して発泡トレーなどの容器を形成させることにより、急激な変形が加えられても割れたりすることのない発泡トレーを形成させ得る。
【0044】
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂及び前記ポリスチレン系樹脂を押出機内で溶融混合させた溶融物を該押出機から押出発泡させて形成されてなる。また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、前記押出機における前記溶融物の最高到達温度が、好ましくは220〜340℃である。
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、前記押出機における前記溶融物の最高到達温度が340℃以下である場合には、臭気成分の含有量、特にノルマル酪酸の含有量が低減され、臭気が抑制されるという利点を有する。また、前記押出機における前記溶融物の最高到達温度が220℃以上である場合には、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂及び前記ポリスチレン系樹脂が十分に溶融混合されて、得られる第2樹脂組成物の発泡性が高まるという利点を有する。
【0045】
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、第1樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂と、ポリフェニレンエーテル系樹脂とを混合することにより第2樹脂組成物を得、該第2樹脂組成物を押出発泡して形成されるものである。
【0046】
前記第2樹脂組成物の形成に際して、前記第1樹脂組成物を希釈するのに用いるポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量が、前記第1樹脂組成物の量の5〜200倍となるように、前記第1樹脂組成物をポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂で希釈することができる。
すなわち、前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られる。
【0047】
さらに、前記第2樹脂組成物には、発泡剤や気泡調整剤といった発泡のための成分、及び一般的なポリスチレン系樹脂発泡シートの原材料として利用されている各種添加剤を含有させてもよい。
【0048】
前記発泡剤としては、揮発性発泡剤、無機ガス系発泡剤、分解型発泡剤等を、それぞれ単独で又は2以上組み合わせて用いられる。揮発性発泡剤としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素類等が挙げられる。無機ガス系発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気等の不活性ガスが用いられる。また、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。しかしながら、ポリスチレン系樹脂発泡シートの熱成形に先立つ加熱時の二次発泡性向上の観点からは、揮発性発泡剤を主たる発泡剤として使用することが望ましい。発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、基材樹脂、目的とする発泡倍率等によって異なるため、発泡剤の種類、基材樹脂の種類に応じて目的とする発泡倍率が得られるように選択すればよい。
前記発泡剤とともに併用される気泡調整剤としては、タルク、シリカ等の無機粉末や、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調整剤の添加量は、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリフェニレンエーテル樹脂との合計100質量部に対して0.5〜5質量部であることが好ましい。
なお、前記添加剤としては、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等があげられる。
【0049】
本実施形態に係るポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるためには、一般的に押出発泡に用いられている設備を利用することができ、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法では、前記のような第2樹脂組成物を第1押出機及び第2押出機を備えるタンデム式押出機を用いて、溶融混練して溶融物を作製し、該溶融物を押出発泡させて、ポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させることができる。
【0050】
以下に揮発性発泡剤を用いる場合の具体的な手順を説明すると、まず、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物を用いて、前記配合物の内、発泡剤を除く全ての材料を第1押出機に供給し、該第1押出機における前記溶融物の最高到達温度が好ましくは220〜340℃となるように加熱し、これらを溶融混練して溶融物を作製する。
【0051】
そして、前記第1押出機では、その途中に設けた注入口から発泡剤を該第1押出機内部に導入し該発泡剤を前記溶融物とともに溶融混合して発泡剤含有溶融物を作製する。
次いで、該発泡剤含有溶融物を第1押出機から第2押出機に供給する。そして、前記発泡剤含有溶融物を冷却して前記第2押出機から円柱状となって押し出される発泡剤含有溶融物の温度(「樹脂温度」ともいう。)について、シリンダーの断面における中心部から外周部までの温度の最高温度から最低温度を引いた値(以下、「樹脂温度の高低差」ともいう。)を、好ましくは、20℃以下にし、シリンダーの外周部から中心部に向かって該外周部からシリンダーの内径の1/4の深さの位置の温度を、好ましくは、得られる発泡シートのガラス転移温度+30℃から該ガラス転移温度+70℃までの範囲内にし、サーキュラーダイを用いて前記発泡剤含有溶融物を押出し発泡させ筒状の発泡体を形成させる。
該樹脂温度は、具体的には、第2押出機の出口に設けられ且つ径方向に孔が穿設されたブレーカープレートの前記孔にサーミスターを通し、サーミスターを少しずつ(5mmずつ)移動させて断面における中心部から外周部までの温度分布を測定する。
なお、樹脂温度の高低差を20℃以下にさせる具体的な方法としては、スクリューの先端部において発泡剤含有溶融物の混練性を高める方法が挙げられる。
例えば、一般的にスクリューの先端面は、中央部を突出させた円錐形状となっているがこの先端面に溝や突起を設けてブレーカープレートに向けて流動する発泡剤含有溶融物を前記突起や前記溝によって撹拌させるようにすればよい。
より具体的には、第2押出機のスクリューの先端部を外周部から中心に向けて延びる複数本の溝が放射状に設けられた形状として、シリンダーの中心部から外周部までの発泡剤含有溶融物の混練性を高めることにより、樹脂温度の高低差を小さくすることが可能である。ところで、第2押出機は、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及び発泡剤を第1押出機で加熱し溶融混練して得られた発泡剤含有溶融物をシリンダーの壁面やスクリューと接触させることにより、該発泡剤含有溶融物を発泡させるのに適した溶融張力を示す温度にまで冷却させるものである。したがって、第2押出機内の発泡剤含有溶融物が急激に冷却された場合、特に、該発泡剤含有溶融物が第2押出機の出口側で急激に冷却された場合には、前記スクリューの先端部での混練性を高めても、樹脂温度の高低差が十分に小さくならないおそれがある。よって、第2押出機は、第1押出機側から金型側にかけて発泡剤含有溶融物が緩やかに冷却されるように温度設定することが好ましい。
さらに、該発泡体の内外に設置した空冷リングで押出直後の該発泡体にエアーを吹き付けて冷却し、得られた筒状の発泡体を押出方向に沿って切断し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(発泡シート)を作製する。
【0052】
なお、第1押出機において上記のような温度条件を採用することが好ましいのは、該第1押出機内での前記溶融物の最高到達温度を340℃以下に抑制させることで得られるポリスチレン系樹脂発泡シートの臭気をさらに抑制させ得るためである。
その機構については明確に把握されているわけではないが、該第1押出機内での温度が340℃以下となるように加熱した場合には、ポリスチレンの熱による分解が抑制されて臭気成分が生成され難くなるからであると考えられる。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法では、前記のように、シリンダーの外周部から中心部に向かって該外周部からシリンダーの内径の1/4の深さの位置の温度を、前記発泡シートのガラス転移温度+30℃以上にすることにより、前記発泡剤含有溶融物の粘度が高くなりすぎず、該発泡剤含有溶融物を押出機から押出しやすくなって押出条件が安定するという利点がある。また、得られる発泡シートの外観が良好なものとなるため、歩留まりが良くなり、生産性が向上するという利点がある。
【0053】
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法では、シリンダーの外周部から中心部に向かって該外周部からシリンダーの内径の1/4の深さの位置の温度を、前記発泡シートのガラス転移温度+70℃以下にすることにより、前記発泡剤含有溶融物の粘度が低くなりすぎず、得られる発泡シートの連続気泡率を低くしやすくなる(該連続気泡率を18%以下にしやすくなる)。
【0054】
本発明の容器は、例えば、上記のような製造方法によって得られたポリスチレン系樹脂発泡シートに熱成形や折り曲げ成形といった成形を施して作製され得る。本発明の容器は、臭気成分の含有量が低いポリスチレン系樹脂発泡シートが用いられることにより、当該容器としても臭気が抑制されたものとなる。
【0055】
なお、前記熱成形する方法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形等の方法が挙げられる。
また、前記折り曲げ成形としては、ポリスチレン系樹脂発泡シートにV溝加工を施し、該V溝を介して折り曲げて折箱容器とする方法などが挙げられる。
【0056】
尚、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器は、上記構成により、上記利点を有するものであるが、本発明のポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【実施例】
【0057】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0058】
<実施例1>
ポリスチレン系樹脂(東洋スチレン社製、商品名:「HRM12」)と、ハイドロタルサイト焼成物(以下、「焼成物」ともいう。)(東亞合成社製、消臭剤「ケスモンNS−70」、平均粒径6μm)と、シリカ系消臭剤としてのシリカ単独粒子(東亞合成社製、消臭剤「ケスモンNS−100」、平均粒径6μm)と、脂肪酸金属塩としてのステアリン酸亜鉛(融点:130℃)と、グリセリン脂肪酸エステルとしてのグリセリン12−ヒドロキシステアレート(融点:75℃)を、表1の配合となるように二軸押出機(口径:30mm、L/D=35)に供給し、樹脂温度200℃、回転数150rpmにて二軸押出機中で溶融混練させ、二軸押出機の先端に取り付けられたダイス(口径:3mm、ランド:5mm、孔数:2個)から押出量10kg/hにてストランド状に押し出しストランドを得た。
次いで、該ストランドを、冷却水(30℃)を収容する水槽(長さ:2m)内を通過させて冷却し、冷却したストランドをペレタイザーで切断して、実施例1のポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
なお、ここで用いたハイドロタルサイト焼成物は、図3と同様のX線回折パターンを示すものである。
【0059】
<実施例2>
グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を1.0質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0060】
<実施例3>
焼成物の含有割合を10質量%にし、シリカ単独粒子の含有割合を10質量%にし、ステアリン酸亜鉛の含有割合を0.3質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0061】
<実施例4>
焼成物として、協和化学工業社製の消臭剤「KW−2100」(平均粒径5μm)を用い、グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を1.0質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0062】
<実施例5>
焼成物の含有割合を10質量%にし、シリカ系消臭剤としてシリカと酸化亜鉛との複合粒子(ラサ工業社製、消臭剤「シュークレンズKD−211G」、平均粒径3μm)を用い、シリカと酸化亜鉛との複合粒子の含有割合を10質量%にしたこと以外は、実施例4と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0063】
<実施例6>
脂肪酸金属塩としてステアリン酸ナトリウム(融点:220℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0064】
<比較例1>
焼成物の含有割合を15質量%にし、シリカ単独粒子の含有割合を15質量%にしたこと以外は、実施例2と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0065】
<比較例2>
シリカ単独粒子と、ステアリン酸亜鉛とを用いず、焼成物の含有割合を28質量%にし、グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を4.0質量%にした以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0066】
<比較例3>
シリカ単独粒子と、グリセリン12−ヒドロキシステアレートとを用いず、焼成物の含有割合を28質量%にし、ステアリン酸亜鉛の含有割合を4.0質量%にした以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0067】
<比較例4>
グリセリン12−ヒドロキシステアレートを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0068】
<比較例5>
ステアリン酸亜鉛の含有割合を0.1質量%にし、グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を0.1質量%にした以外は、実施例3と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
【0069】
<圧力上昇試験>
200メッシュのスクリーンの両面に60メッシュのスクリーンを重ね、これらのスクリーンをブレーカープレートに取り付け、そして、該ブレーカープレートを単軸押出機(口径:40mm、L/D:30mm)の出口に取り付けた。
次いで、ポリスチレン系樹脂(DIC社製、商品名:「XC−515」)を単独で単軸押出機に投入し、樹脂温度200℃にて単軸押出機中で溶融混練させ、単軸押出機の先端に取り付けたTダイ(巾:120mm、スリットクリアランス:0.8mm)から押出量5kg/hにて押出し、単軸押出機の先端部分の圧力を圧力計で連続測定し、安定した圧力を基準圧力とした。
そして、ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤の合計の配合割合が10質量%となるように、ポリスチレン系樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂(DIC社製、商品名:「XC−515」)とをドライブレンドしたものを単軸押出機に投入し、基準圧力を求めた時と同様に押出し、基準圧力から4MPa分上昇した時までに押出した吐出物の量を測定した。
【0070】
圧力上昇試験の結果を表1、2に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表1、2に示すように、本発明の範囲内である実施例のポリスチレン系樹脂組成物を用いた場合は、ハイドロタルサイト焼成物の含有割合が15質量%であり、シリカ系消臭剤の含有割合が15質量%である比較例1、ハイドロタルサイト焼成物の含有割合が28質量%であり、シリカ系消臭剤及び脂肪酸金属塩を含有しない比較例2、ハイドロタルサイト焼成物の含有割合が28質量%であり、シリカ系消臭剤及びグリセリン脂肪酸エステルを含有しない比較例3、グリセリン脂肪酸エステルを含有しない比較例4、及び、脂肪酸金属塩の含有割合が0.1質量%であり、グリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1質量%である比較例5のポリスチレン系樹脂組成物を用いた場合に比して、単軸押出機の先端部分の圧力が押出初期から4MPa分上昇した時までに押出した吐出物の量が大きかった。
このことから、本発明によれば、分散性に優れたポリスチレン系樹脂組成物を提供することができ、また、生産性に優れるポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器を提供することができることがわかる。
【0074】
<実施例7>
ポリスチレン系樹脂(DIC社製、製品名:「XC−515」)70質量部と、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)及びポリスチレン系樹脂(PS)の混合樹脂(SABIC社製、製品名:「ノリルEFN4230」、(PPE/PS=70質量部/30質量部)30質量部とからなる樹脂100質量部に対して、実施例1のポリスチレン系樹脂組成物が3.0質量部、気泡調整剤としてのタルク含有樹脂組成物(タルクが練り込まれたポリスチレン、タルクの含有量:40質量%)(東洋スチレン社製、製品名「DSM1401A」)が0.5質量部となるように、ポリスチレン系樹脂、混合樹脂、実施例1のポリスチレン系樹脂組成物、及び、タルク含有樹脂組成物を第1押出機(φ115mm)に投入した。
そして、該第1押出機における溶融物の最高到達温度が約270℃となるように加熱しこれらを溶融混練した。
次いで、該第1押出機の途中に設けた注入口から、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、発泡剤としてのブタンガス(イソブタン及びノルマルブタンを組成とするもの)3.8質量部を前記第1押出機に圧入し、溶融物と、前記ブタンガスとを混合して発泡剤含有溶融物を得た。
そして、該発泡剤含有溶融物を第1押出機から第2押出機(φ150mm)に供給し、前記発泡剤含有溶融物を冷却して、サーキュラーダイを用いて前記発泡剤含有溶融物を押出し発泡させ発泡体を得た。次に、該発泡体の内外に設置した空冷リングで押出直後の該発泡体にエアーを吹き付けて冷却し、筒状体を得た。得られた筒状体を押出方向に沿って切断し、坪量130g/m2 、厚み1.6mm、幅1050mmのポリスチレン系樹脂発泡シート(発泡シート)を得た。
ここで、押出量は、180kg/hと一定にし、48時間に亘り発泡シートを作製し、発泡シートの作製中は、第1押出機の先端部分の圧力を圧力計で連続測定し、圧力変化を確認した。
なお、第1押出機の先端には、80メッシュのスクリーンの両面に30メッシュのスクリーンを重ねたものが取り付けられたブレーカープレートが設けられている。
【0075】
<実施例8>
実施例4のポリスチレン系樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例7と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製した。
【0076】
<比較例6>
比較例4のポリスチレン系樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例7と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製した。
【0077】
<生産性評価>
生産性は、以下のようにして評価した。
○:上昇分の圧力が4MPa未満で安定しており、スクリーンの交換の必要がなかった。
×:上昇分の圧力が4MPa以上であり、スクリーンの交換の必要となった。
【0078】
生産性評価の結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
表3に示すように、本発明の範囲内である実施例のポリスチレン系樹脂組成物を用いてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製した場合は、グリセリン脂肪酸エステルを含有しない比較例4のポリスチレン系樹脂組成物を用いてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製した場合に比して、生産性が優れていた。
このことから、本発明によれば、生産性に優れるポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器を提供することができることがわかる。
図1
図2
図3