特許第6200821号(P6200821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200821林相解析装置、林相解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200821
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】林相解析装置、林相解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/04 20060101AFI20170911BHJP
   G01C 11/04 20060101ALI20170911BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   G01C7/04
   G01C11/04
   G06T1/00 285
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-14403(P2014-14403)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-141118(P2015-141118A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】朱 林
(72)【発明者】
【氏名】チャタクリ スバス
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−023263(JP,A)
【文献】 特開2013−054660(JP,A)
【文献】 特開2003−344048(JP,A)
【文献】 特開2011−103098(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0250482(US,A1)
【文献】 磯田真紀,他7名,ジオマティクス技術を活用した森林調査 航空レーザー計測や衛星画像などの情報を用いた林相・林分構造の把握,アジア航測技術報 For the Future 2009,アジア航測株式会社,2009年 4月,pp.44-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 7/00− 7/04
G01C 11/00−11/06
G06C 15/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
森林を含む対象地域をスキャンして取得した航空レーザ計測データに基づき、予め定められた1又は複数のレーザ計測特徴量を抽出するレーザ計測特徴量抽出手段と、
前記対象地域を上空から撮影した空中撮影画像に基づき、予め定められた1又は複数の空中撮影画像特徴量を抽出する空中撮影画像特徴量抽出手段と、
前記レーザ計測特徴量と前記空中撮影画像特徴量との組に基づいて前記対象地域のカラー画像を生成する手段であって、それぞれ前記レーザ計測特徴量又は前記空中撮影画像特徴量である複数の画像化特徴量の画素に対応する領域での値に基づいて前記カラー画像の画素値を定めるカラー画像生成手段と、を有し、
前記レーザ計測特徴量抽出手段は前記レーザ計測特徴量として、レーザの照射パルスに対する反射パルスの個数に応じて定まる前記各計測地点での反射パルス指標、レーザの反射強度、当該レーザの反射強度を画素値とした前記対象地域での画像を二値化したパターンから抽出されたテクスチャ特徴量、及び樹高のうちの少なくとも1つを抽出し、
前記空中撮影画像特徴量抽出手段は前記空中撮影画像特徴量として、それぞれ前記空中撮影画像から抽出されるテクスチャ情報及びスペクトル情報のうちの少なくとも1つを抽出すること、
を特徴とする林相解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の林相解析装置において、
前記レーザ計測特徴量抽出手段は、前記レーザ計測特徴量として少なくとも樹高を抽出し、
前記カラー画像生成手段は、前記画像化特徴量に前記樹高を含んだ前記カラー画像を生成すること、
を特徴とする林相解析装置。
【請求項3】
請求項に記載の林相解析装置において、
複数の前記カラー画像を対比可能に表示する表示手段を有し、
前記カラー画像生成手段は、前記表示手段により表示する前記複数のカラー画像として、前記複数の画像化特徴量の組み合わせが互いに異なるものを生成すること、
を特徴とする林相解析装置。
【請求項4】
森林を含む対象地域をスキャンして取得した航空レーザ計測データに基づき、予め定められた1又は複数のレーザ計測特徴量を抽出するレーザ計測特徴量抽出ステップと、
前記対象地域を上空から撮影した空中撮影画像に基づき、予め定められた1又は複数の空中撮影画像特徴量を抽出する空中撮影画像特徴量抽出ステップと、
前記レーザ計測特徴量と前記空中撮影画像特徴量との組に基づいて前記対象地域のカラー画像を生成する処理ステップであって、それぞれ前記レーザ計測特徴量又は前記空中撮影画像特徴量である複数の画像化特徴量の画素に対応する領域での値に基づいて前記カラー画像の画素値を定めるカラー画像生成ステップと、を有し、
前記レーザ計測特徴量抽出ステップは前記レーザ計測特徴量として、レーザの照射パルスに対する反射パルスの個数に応じて定まる前記各計測地点での反射パルス指標、レーザの反射強度、当該レーザの反射強度を画素値とした前記対象地域での画像を二値化したパターンから抽出されたテクスチャ特徴量、及び樹高のうちの少なくとも1つを抽出し、
前記空中撮影画像特徴量抽出ステップは前記空中撮影画像特徴量として、それぞれ前記空中撮影画像から抽出されるテクスチャ情報及びスペクトル情報のうちの少なくとも1つを抽出すること、
を特徴とする林相解析方法。
【請求項5】
コンピュータに林相解析を行わせるためのプログラムであって、当該コンピュータを、
森林を含む対象地域をスキャンして取得した航空レーザ計測データに基づき、予め定められた1又は複数のレーザ計測特徴量を抽出するレーザ計測特徴量抽出手段、
前記対象地域を上空から撮影した空中撮影画像に基づき、予め定められた1又は複数の空中撮影画像特徴量を抽出する空中撮影画像特徴量抽出手段、及び、
前記レーザ計測特徴量と前記空中撮影画像特徴量との組に基づいて前記対象地域のカラー画像を生成する手段であって、それぞれ前記レーザ計測特徴量又は前記空中撮影画像特徴量である複数の画像化特徴量の画素に対応する領域での値に基づいて前記カラー画像の画素値を定めるカラー画像生成手段、として機能させ
前記レーザ計測特徴量抽出手段は前記レーザ計測特徴量として、レーザの照射パルスに対する反射パルスの個数に応じて定まる前記各計測地点での反射パルス指標、レーザの反射強度、当該レーザの反射強度を画素値とした前記対象地域での画像を二値化したパターンから抽出されたテクスチャ特徴量、及び樹高のうちの少なくとも1つを抽出し、
前記空中撮影画像特徴量抽出手段は前記空中撮影画像特徴量として、それぞれ前記空中撮影画像から抽出されるテクスチャ情報及びスペクトル情報のうちの少なくとも1つを抽出すること、
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空画像及び航空レーザ計測データから森林の林相の違いをカラー画像で可視化する林相解析装置、林相解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
林相は樹種・樹齢、樹冠や木の生育状態などによる森林の様子・形態であり、林相区画は林相によって区分された森林領域である。一般に、林相区分図は林相区画における林相のタイプ(林相区分)を判別することで作成される。
【0003】
ここで、航空機などによる上空からのリモートセンシングは、広範囲での地上の状況把握が可能であり、林相区分図の作成などの林相の解析に利用されている。具体的には、従来、林相の解析には主として航空写真等の上空からの高分解能画像データが利用されている。そして当該データを利用した林相区画の抽出や林相区分図の作成は、人間が実体視鏡やデジタル図化機等を用いて目視判読で行っている。しかし、航空写真を用いた林相の判読は、撮影の時期、撮影の方向・角度、及び太陽の方位角・高度角などにより画像が影響を受け、またそれを避けようとすると撮影機会が制限されるという問題を有する。また、例えば、樹種が異なる林相を色で区別することが難しい場合があることや、同じ樹種であっても樹齢や生育状況の異なる林相を、高さ情報を含まない航空写真から区別することは難しいことなどから、航空写真に基づいて正確に林相を目視判別することは必ずしも容易ではない。
【0004】
ここで他のリモートセンシング技術として航空レーザ計測がある。航空レーザ計測で取得した3次元点群データは森林の地形や樹高の計測、立木密度や材積の推定などに幅広く利用されている。
【0005】
航空レーザ計測データからは樹木の高さ情報を得ることができるので、航空レーザ計測データを用いて、又はこれを航空写真と併用して林相を自動判別することも研究されている。しかし従来提案されている林相解析では、航空レーザ計測データに含まれ得る情報のうち高さや反射強度など単純な情報しか利用しないものが主である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−46837号公報
【特許文献2】特開2011−24471号公報
【特許文献3】特開2013−54660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
航空レーザ計測は地物の3次元構造情報を直接計測によって取得し、またレーザを自ら照射する能動的なセンシングであるので航空写真に比べて地物の3次元構造情報データ収集時に関する条件が緩やかである。そのため、航空写真と航空レーザ計測とを併用することで、より安定かつ正確に林相区分図の作成などの林相解析を行える可能性がある。しかし、航空写真や衛星画像などの空中撮影画像及び航空レーザ計測データを併用して林相の目視判読、又は自動判読処理結果を目視確認するための技術については従来、十分には検討されていなかった。
【0008】
具体的には、目視判読、目視確認の作業を行うには林相の可視化(Visualization:ビジュアライゼーション)が必要となるが、従来は空中撮影画像及び航空レーザ計測データから林相判読に必要な情報を如何に抽出し可視化するかについて十分な検討がなされていない。特に、林相の可視化に関し、航空レーザ計測データに含まれるどのような情報を、林相の違いを鮮明に表現するのに利用できるのかについての検討は必ずしも十分ではなかった。
【0009】
本発明は、空中撮影画像及び航空レーザ計測データを併用して森林の林相の違いをカラー画像で可視化する林相解析装置、林相解析方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る林相解析装置は、森林を含む対象地域をスキャンして取得した航空レーザ計測データに基づき、予め定められた1又は複数のレーザ計測特徴量を抽出するレーザ計測特徴量抽出手段と、前記対象地域を上空から撮影した空中撮影画像に基づき、予め定められた1又は複数の空中撮影画像特徴量を抽出する空中撮影画像特徴量抽出手段と、前記レーザ計測特徴量と前記空中撮影画像特徴量との組に基づいて前記対象地域のカラー画像を生成する手段であって、それぞれ前記レーザ計測特徴量又は前記空中撮影画像特徴量である複数の画像化特徴量の画素に対応する領域での値に基づいて前記カラー画像の画素値を定めるカラー画像生成手段と、を有する。
【0011】
(2)上記(1)に記載する林相解析装置において、前記レーザ計測特徴量抽出手段は前記レーザ計測特徴量として、レーザの照射パルスに対する反射パルスの個数に応じて定まる前記各計測地点での反射パルス指標、レーザの反射強度、当該レーザの反射強度を画素値とした前記対象地域での画像を二値化したパターンから抽出されたテクスチャ特徴量、及び樹高のうちの少なくとも1つを抽出し、前記空中撮影画像特徴量抽出手段は前記空中撮影画像特徴量として、それぞれ前記空中撮影画像から抽出されるテクスチャ情報及びスペクトル情報のうちの少なくとも1つを抽出する構成とすることができる。
【0012】
(3)上記(1)及び(2)に記載する林相解析装置において、前記レーザ計測特徴量抽出手段は、前記レーザ計測特徴量として少なくとも樹高を抽出し、前記カラー画像生成手段は、前記画像化特徴量に前記樹高を含んだ前記カラー画像を生成する構成とすることができる。
【0013】
(4)上記(3)に記載する林相解析装置において、複数の前記カラー画像を対比可能に表示する表示手段を有し、前記カラー画像生成手段は、前記表示手段により表示する前記複数のカラー画像として、前記複数の画像化特徴量の組み合わせが互いに異なるものを生成する構成とすることができる。
【0014】
(5)本発明に係る林相解析方法は、森林を含む対象地域をスキャンして取得した航空レーザ計測データに基づき、予め定められた1又は複数のレーザ計測特徴量を抽出するレーザ計測特徴量抽出ステップと、前記対象地域を上空から撮影した空中撮影画像に基づき、予め定められた1又は複数の空中撮影画像特徴量を抽出する空中撮影画像特徴量抽出ステップと、前記レーザ計測特徴量と前記空中撮影画像特徴量との組に基づいて前記対象地域のカラー画像を生成する処理ステップであって、それぞれ前記レーザ計測特徴量又は前記空中撮影画像特徴量である複数の画像化特徴量の画素に対応する領域での値に基づいて前記カラー画像の画素値を定めるカラー画像生成ステップと、を有する。
【0015】
(6)本発明に係るプログラムは、コンピュータに林相解析を行わせるためのプログラムであって、当該コンピュータを、森林を含む対象地域をスキャンして取得した航空レーザ計測データに基づき、予め定められた1又は複数のレーザ計測特徴量を抽出するレーザ計測特徴量抽出手段、前記対象地域を上空から撮影した空中撮影画像に基づき、予め定められた1又は複数の空中撮影画像特徴量を抽出する空中撮影画像特徴量抽出手段、及び、前記レーザ計測特徴量と前記空中撮影画像特徴量との組に基づいて前記対象地域のカラー画像を生成する手段であって、それぞれ前記レーザ計測特徴量又は前記空中撮影画像特徴量である複数の画像化特徴量の画素に対応する領域での値に基づいて前記カラー画像の画素値を定めるカラー画像生成手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空中撮影画像及び航空レーザ計測データを併用して森林の林相の違いをカラー画像で可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態である林相解析システムの概略の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態である林相解析システムにおける処理及びデータの概略のフロー図である。
図3】航空レーザ計測データから得られる特徴量の例を説明する模式図である。
図4】対象地域の航空写真(オルソ画像)の一例である。
図5図4に示す対象地域のDCHM(デジタル樹冠高モデル:Digital Canopy Height Model)画像の一例である。
図6図4に示す対象地域のRI(反射強度:Reflection Intensity)画像の一例である。
図7図4に示す対象地域のBRI(二値化反射強度:Binary Reflection Intensity)画像の一例である。
図8図4に示す対象地域のFPR(ファーストパルス比:First Pulse Ratio)画像の一例である。
図9図4に示す対象地域のIPR(中間パルス比:Intermediate Pulse Ratio)画像の一例である。
図10】画像BI(二値画像:Binary Image)の例を示す説明図である。
図11】画像BGI(二値化勾配画像:Binary Gradient Image)の例を示す説明図である。
図12】LBP(局所二値パターン:Local Binary Pattern)画像の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、実施形態である林相解析システム2の概略の構成を示すブロック図である。本システムは、演算処理装置4、記憶装置6、入力装置8及び出力装置10を含んで構成される。演算処理装置4として、本システムの処理を行う専用のハードウェアを作ることも可能であるが、本実施形態では演算処理装置4は、コンピュータ及び、当該コンピュータ上で実行されるプログラムを用いて構築される。
【0020】
演算処理装置4は、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)からなり、後述するレーザ計測特徴量抽出部20、空中撮影画像特徴量抽出部22及びカラー画像生成部24として機能する。
【0021】
記憶装置6はROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置である。記憶装置6は演算処理装置4にて実行される各種のプログラムや、本システムの処理に必要な各種データなどを記憶し、演算処理装置4との間でこれらの情報を入出力する。例えば、記憶装置6には航空レーザ計測データ30及びオルソ画像データ32が予め格納される。
【0022】
航空レーザ計測データ30は、例えば、航空機やヘリコプターなどに搭載されたレーザ計測システムを用いて取得される。レーザ計測システムはレーザスキャナ及びGPS/IMU(Global Positioning System/Inertial Measurement Unit)を含んで構成される。レーザスキャナは上空から地上へ向けてレーザパルスを掃射し、その反射パルスを受信する。航空レーザ計測データ30の取得に用いるレーザスキャナは近赤外レーザパルスを照射し、また1つの照射パルスに対する所定数(例えば、4点とする装置が多い)の反射パルスを記録できるものを用いる。レーザスキャナによりレーザパルスの照射方向、パルスの発射から受信までの時間差が得られ、一方、GPS/IMUにより航空機の位置・姿勢が得られ、これらのデータからレーザパルスの反射点の座標が算出される。航空レーザ計測データ30には例えば、レーザパルスの反射強度、レーザパルスごとの各反射点の座標が含まれる。また、レーザ計測システムとして、フルウェーブ(Full-Waveform)計測に対応したものを用いてもよい。
【0023】
オルソ画像データ32は航空機等から撮影された空中撮影画像に基づいて生成される。本システムではオルソ画像データ32は、森林を含む対象領域を上空から撮影した航空写真等の高分解能画像データであり、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3成分からなる3バンドのマルチスペクトル画像、又はこれらに近赤外(NIR)を加えた4成分からなる4バンドのマルチスペクトル画像である。
【0024】
入力装置8は、キーボード、マウスなどであり、ユーザが本システムへの操作を行うために用いる。
【0025】
出力装置10は、ディスプレイ、プリンタなどであり、本システムにより生成された林相画像を画面表示、印刷等によりユーザに示す等に用いられる。また、林相画像を他のシステムで利用できるよう、データとして出力してもよい。
【0026】
レーザ計測特徴量抽出部20は、記憶装置6に格納される航空レーザ計測データ30に基づき、予め定められた1又は複数種類の特徴量(レーザ計測特徴量)を、解析対象とする地域(対象地域)の各計測地点について算出し、計測地点間にて内挿処理を行い各画素での特徴量を定義し、対象地域について当該特徴量を画素値とする特徴量画像を生成する。例えば、レーザ計測特徴量抽出部20には特徴量画像を生成する特徴量の種類ごとに画像生成部が設けられる。本実施形態ではレーザ計測特徴量抽出部20がDCHM画像生成部50、RI画像生成部52、BRI画像生成部54及びPR画像生成部56を備えた例を示している。これら各画像生成部については後述する。
【0027】
空中撮影画像特徴量抽出部22は、記憶装置6に格納されるオルソ画像データ32に基づき、予め定められた1又は複数の特徴量(空中撮影画像特徴量)を、対象地域の各計測地点について算出し、対象地域について当該特徴量を画素値とする特徴量画像を生成する。例えば、空中撮影画像特徴量抽出部22は、予め定められたテクスチャ情報と予め定められたスペクトル情報とのいずれか一方又は両方を例えば、オルソ画像データ32の画素ごとに算出する。本システムでは空中撮影画像特徴量抽出部22はテクスチャ情報を求めるテクスチャ解析部60と、スペクトル情報を求めるスペクトル解析部62とを備える。これら各解析部については後述する。
【0028】
カラー画像生成部24はレーザ計測特徴量抽出部20及び空中撮影画像特徴量抽出部22により抽出された特徴量に基づいて林相を可視化した林相画像を生成する。この際、特徴量に応じてカラーテーブルを用意しておき、所定範囲の特徴量の値に対して所定の画素値を割り当て、林相画像を生成する構成としてもよい。
【0029】
図2は林相解析システム2における処理及びデータの概略のフロー図である。レーザ計測特徴量抽出部20は航空レーザ計測データ30から特徴量を抽出し、また空中撮影画像特徴量抽出部22はオルソ画像データ32から特徴量を抽出し、それぞれ各特徴量について特徴量画像(特徴量画像データ40)を生成する。カラー画像生成部24は特徴量画像データ40を入力され、特徴量に基づいて林相を可視化した林相画像(林相画像データ42)を生成する。
【0030】
特徴量には例えば、林相に応じて値や値の分布範囲に差異が生じる量が用いられる。図3は航空レーザ計測データ30から抽出される特徴量の例を説明する模式図であり、森林を含む或る対象地域を秋に観測した例を示している。同図には複数の特徴量それぞれについて観測により得られた数値が示されており、例えば、“D”に対応する数値は広葉樹林での特徴量の値であり、同様に、“H”,“S”,“NF”の数値はヒノキ林、スギ林、非森林領域での値である。
【0031】
デジタル樹冠高モデル(Digital Canopy Height Model:DCHM)は数値表層モデル(Digital Surface Model:DSM)に含まれる数値標高モデル(Digital Terrain Model:DTM)の影響を除去し正規化したDSMである。ちなみに、航空レーザ計測データ30からDSM及びDTMを生成し、DSMからDTMを減算してDCHMが生成される。DCHMが森林から想定される或るしきい値(例えば、図3の例では15cm程度)より低い場所は、水域、草地、更地などの非森林領域(NF)とすることができる。また、建物の領域ではDCHMから得られる高さが建物に想定されるしきい値以上で、高さの分散が森林に比べて小さくなる場合がある。よって、DCHMは森林領域と非森林領域である建物領域とを区別し得る。
【0032】
森林地域ではレーザの反射パルスのうちファーストパルスに基づいてDSMを生成し、ラストパルスに基づいてDTMを生成し、DSMからDTMを減算してDCHMが生成される。DCHMは樹高を表すデータとして用いられる。図3には示していないが、樹高は森林の生育状況、樹齢といった林相情報を反映する。
【0033】
レーザパルスの反射強度(Reflection Intensity:RI)は、樹木の反射断面積や吸収率を反映する。特に、近赤外領域の波長を有する光に対する反射率の相違は、従来より植生のリモートセンシングに利用されている。図3に示す観測結果では、ヒノキ林(H)及び広葉樹林(D)がスギ林(S)より高い値を示している。ちなみに反射強度はファーストパルスの強度に基づいて定義している。なお、計測に用いられるレーザスキャナの照射パルスの強度が一定であれば、反射強度は反射パルスの強度の絶対値で表すことができ、一方、照射パルスの強度が変わり得る場合には、反射強度は照射パルスの強度で正規化した相対値で表すのが好適である。
【0034】
図3には、反射パルス指標の例として、トータルパルス(Total Pulse:TP)、ファーストパルス比(First Pulse Ratio:FPR)、及び中間パルス比(Intermediate Pulse Ratio:IPR)を示している。ここで、レーザの照射パルスに対する反射パルスの個数に応じて定まる値を反射パルス指標と総称している。その指標値は各計測地点にて定義される。マルチパルス機能を有したレーザスキャナにより取得した航空レーザ計測データに基づく反射パルス指標は森林の内部の構造情報を反映し得る。
【0035】
TPは各照射パルスに対する反射パルスの総数に基づく指標であり、例えば、地表の計測地点の単位面積当たりでの反射パルス数とすることができる。なお、上述のようにマルチパルス機能を有したレーザスキャナにより取得したTPは基本的に、単位面積の地表への照射パルス数とは必ずしも一致しない。
【0036】
図3に示すように、ヒノキ林(H)、スギ林(S)及び広葉樹林(D)におけるTPは、広葉樹林、スギ林、ヒノキ林の順に小さくなる結果が観測された。
【0037】
FPRは、計測地点の例えば単位面積からの反射パルス総数(つまりTP)に対するファーストパルスの数の比の値である。ちなみにファーストパルスは照射パルスに対して最初に検知される反射パルスである。例えば、単位面積に2発のレーザパルスが照射され、1発に対しては2つの反射パルスが受信され、他の1発に対しては3つの反射パルスが受信された場合、TPは5、ファーストパルスの数は2となるので、FPRは2/5、つまり40%である。
【0038】
IPRは、計測地点の例えば単位面積からの反射パルス総数(つまりTP)に対する中間パルスの数の比の値である。ちなみに中間パルスは照射パルスに対する反射パルスのうち最初に検知されるファーストパルス及び最後に検知されるラストパルスを除いた残りのパルスであり、1つの照射パルスに対する反射パルスの数が1又は2の場合は中間パルスの数は0となる。例えば、単位面積に2発のレーザパルスが照射され、1発に対しては2つの反射パルスが受信され、他の1発に対しては3つの反射パルスが受信された場合、TPは5、中間パルスの数は1となるので、IPRは1/5、つまり20%である。
【0039】
図3の観測結果においてFPRは基本的にTPに反比例する傾向を示している。またIPRは基本的にTPと正の相関を有するが、樹種間における差異の程度はTPとIPRとで異なる。なお、FPR、IPRは無次元量であり、レーザパルスの照射密度の影響を受けにくい。
【0040】
図2に戻りレーザ計測特徴量抽出部20が行う処理について説明する。上述のように反射パルス指標、反射強度及び樹高は特徴量として利用することができる。本実施形態は反射パルス指標に関してはFPR(又はIPR)を特徴量として利用する。これに対応して、レーザ計測特徴量抽出部20のDCHM画像生成部50、RI画像生成部52及びPR画像生成部56がそれぞれ特徴量画像データ40を生成する。
【0041】
具体的には、DCHM画像生成部50は航空レーザ計測データ30からDCHMを生成し、DCHM画像を生成する。RI画像生成部52は航空レーザ計測データ30から反射強度を取得し、RI画像を生成する。また、PR(パルス比:Pulse Ratio)画像生成部56は航空レーザ計測データ30からパルス比PRとしてFPR又はIPRを算出し、FPR画像又はIPR画像を生成する。
【0042】
また、RI画像を二値化処理して生成するBRI(Binary Reflection Intensity)画像から得られるテクスチャ情報も特徴量として利用することができ、BRI画像生成部54は特徴量画像データ40としてBRI画像を生成する。ここで、二値化のしきい値は例えば大津の手法により決定することができる。
【0043】
図4は対象地域の航空写真(オルソ画像)の一例である。図5図9図4に示す対象地域にて取得された航空レーザ計測データ30に基づく特徴量画像の例であり、図5はDCHM画像、図6はRI画像、図7はBRI画像、図8はFPR画像、図9はIPR画像である。
【0044】
特徴量画像データ40は既に述べたようにレーザ計測特徴量抽出部20により生成されると共に、空中撮影画像特徴量抽出部22によっても生成される。オルソ画像データ32から得られる特徴量として、テクスチャ情報及びスペクトル情報のうちの少なくとも1つを用いることができる。これらテクスチャ情報、スペクトル情報は空中撮影画像特徴量抽出部22のテクスチャ解析部60及びスペクトル解析部62により生成され、テクスチャ解析部60が生成するテクスチャ情報及びスペクトル解析部62が生成するスペクトル情報のいずれか又は全部を特徴量として用いることができる。
【0045】
テクスチャ解析部60は、特徴量画像データ40としてオルソ画像データ32からテクスチャ情報である画像BI、画像BGI及びLBP画像を生成する。
【0046】
画像BIはオルソ画像データ32を二値化処理した二値画像(Binary Image)である。図10は画像BIの例を示す説明図である。図10(a)〜(d)はそれぞれスギ林、ヒノキ林、広葉樹林、非森林の例であり、左右に並ぶ2つの画像のうち左側がオルソ画像データ32、右側が画像BIである。当該画像BIにおいて白領域がオルソ画像データ32にて輝度がしきい値以上の領域であり、黒領域がしきい値未満の領域である。ちなみに、ここでの二値化のしきい値は例えば大津の手法により決定することができる。例えば、画像BIには日向及び日陰の分布パターンが現れる。
【0047】
画像BGIはオルソ画像データ32における輝度勾配を二値化処理した画像(二値化勾配画像:Binary Gradient Image)である。図11は画像BGIの例を示す説明図である。図11(a)〜(d)は図10と同様、それぞれスギ林、ヒノキ林、広葉樹林、非森林の例であり、左右に並ぶ2つの画像のうち左側がオルソ画像データ32、右側が画像BGIである。当該画像BGIにおいて白領域が輝度勾配がしきい値以上の領域であり、黒領域がしきい値未満の領域である。ここでも、しきい値は例えば大津の手法により決定することができる。例えば、画像BGIからは日向と日陰とが切り替わる空間的な頻度の多寡が読み取れる。
【0048】
LBP画像はオルソ画像データ32から局所二値パターン(Local Binary Pattern)演算子を用いて得られる画像である。図12はLBP画像の例を示す説明図である。図12(a)〜(d)は図10及び図11と同様、それぞれスギ林、ヒノキ林、広葉樹林、非森林の例であり、左右に並ぶ2つの画像のうち左側がオルソ画像データ32、右側がLBP画像である。LBP画像は原画像の詳細な模様構造パターンを反映しており、しかも画像のコントラストの影響を受けにくいという特性を有する。
【0049】
スペクトル解析部62はオルソ画像データ32からスペクトル情報を抽出する。本実施形態ではスペクトル解析部62はR,G,B,NIRの4バンドのマルチスペクトル画像に対して次式で示される正規化処理を行い、正規化後の成分R’,G’,B’からなる画像を生成する。
【0050】
【数1】
【0051】
なお、スペクトル解析部62は正規化処理を行わないR,G,B,NIRの4バンドのマルチスペクトル画像を出力する構成とすることもできる。
【0052】
上述のようにDCHM画像生成部50、RI画像生成部52、BRI画像生成部54、PR画像生成部56、テクスチャ解析部60、スペクトル解析部62が特徴量画像データ40を生成する。
【0053】
カラー画像生成部24は特徴量画像データ40に特徴量画像として得られているレーザ計測特徴量と空中撮影画像特徴量との組に基づいて、林相画像(林相画像データ42)として対象地域のカラー画像を生成する。カラー画像生成部24は、それぞれレーザ計測特徴量又は空中撮影画像特徴量である複数の画像化特徴量を用い、各画素に対応する領域での画像化特徴量の値に基づいてカラー画像の画素値を定める。具体的には、カラー画像生成部24は、林相画像の各画素の画素値を、画像化特徴量に対応する特徴量画像における当該画素の画素値に基づいて定める。
【0054】
カラー画像生成部24は、画像化特徴量の組(特徴量セット)を例えば、RGB色空間におけるR座標,G座標,B座標の座標値に変換して画素値を定める。変換は例えば、線形変換とすることができ、この場合、変換対象とするn種類(n≧2)の画像化特徴量からなる列ベクトルをμ、RGB各座標値からなる列ベクトルをνとすると、変換は例えば、3行n列の行列Mを用いて、ν=Mμで表される。nが3以上である場合には、Mは基本的にはRGBそれぞれの座標値が線形独立になるように設定され、これにより3色からなるカラー画像が得られる。一方、nが2である場合には、RGBは線形従属となるが2色からなるカラー画像を生成することはできる。なお、RGB各座標値は、複数の画像化特徴量の線形和であっても、1つの画像化特徴量であってもよい。
【0055】
1つの林相画像を構成する複数の画像化特徴量のうち少なくとも1つはレーザ計測特徴量であり、また少なくとも1つは空中撮影画像特徴量である。好適な林相画像が得られる画像化特徴量の組の一例は樹高を含むものである。この場合、DCHM画像生成部50が特徴量画像としてDCHM画像を生成し、カラー画像生成部24は当該DCHM画像を用いて林相画像を生成する。画像化特徴量としてDCHM画像(樹高)を用いることにより、同じ樹種でも樹齢や生育状況が異なる林相を判別可能な画像が得られる。
【0056】
ここで、林相画像の各画素のRGB値を(R,G,B)と表す。以下にDCHM画像を用いて生成する林相画像の2つの例におけるRGB値の定義式を示す。なお、次式にて“DCHM”,“FPR”,“BRI”はそれぞれDCHM画像、FPR画像、BRI画像の画素値を表し、また“G’”等は正規化処理後のG成分等を表す。
【0057】
(DCHM,G’,FPR)
【0058】
(0.5R’+0.5DCHM,0.5G’+0.5FPR,0.5B’+0.5BRI)
【0059】
このような定義式は予め記憶装置6又はカラー画像生成部24に設定され、カラー画像生成部24はその定義式に基づいて画像化特徴量から林相画像のRGB値への変換を行う。なお、画像化特徴量から色への変換は、上述の例に限られず、例えば、上述の列ベクトルμの成分はレーザ計測特徴量抽出部20が生成する任意のレーザ計測特徴量と空中撮影画像特徴量抽出部22が生成する任意の空中撮影画像特徴量との組み合わせとすることができる。また例えば、上に示す2番目の例において、航空レーザ計測データ30から抽出されるテクスチャ情報であるBRI画像に代えて、オルソ画像データ32からテクスチャ解析部60により抽出される画像BI、画像BGI、LBP画像を用いることができる。さらに変換は線形変換に限られない。また、RGB各成分を相互に入れ替えてもよい。
【0060】
表色系はRGB表色系に限られない。例えば、L表色系にて明度LにDCHMを対応付け、樹高の相違や森林/非森林の区別を明度で表すことができる。例えば、DCHM画像の画素値が大きい、つまり樹高が高いほどL成分を大きく設定し明るく表示する。この場合、DCHMが小さな値となる非森林は暗く表示される。
【0061】
他の表色系として、HSV表色系がある。当該表色系では、色相(Hue)、彩度(Saturation,Chroma)、明度(Value,Lightness)の3つの成分からなる色空間が定義される。HSV表色系に類似したものとして、HLS(又はHSL,HSI)表色系があり、当該表色系では色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Lightness,Luminance,Intensity)の3つの成分からなる色空間が定義される。これらの表色系では色相は色環に沿った角度(0〜360°)、つまり1次元量で表現される。ここで、図3から理解されるように、反射パルス指標(TP,FPR,IPR)には3種類の樹種(H,S,D)間に差が存在し、反射パルス指標のみで樹種の弁別は可能である。そこで、例えば、FPRに基づいてHSV表色系等の色相成分を定め、カラー画像を生成することができる。また、HSV表色系等において、明度(輝度)にDCHMを対応付けて、L表色系で述べたように、樹高の相違や森林/非森林の区別をカラー画像に表すことができる。また、HSV表色系等において、彩度に航空レーザ計測データ30、オルソ画像データ32から抽出されるテクスチャ情報を対応付けることもできる。
【0062】
或る表色系における関係式は、他の種々の表色系における関係式に変換することができるので、カラー画像生成部24は所望の表色系で表現された林相画像データ42を生成することができる。
【0063】
林相解析システム2はカラー画像生成部24により画像化特徴量の組み合わせが互いに異なる複数の林相画像を生成し、表示手段である出力装置10にそれら複数のカラー画像を対比可能に表示する構成としてもよい。例えば、演算処理装置4は同じ対象地域の複数種類のカラー画像をディスプレイの画面上に左右又は上下に並べて表示したり、入力装置を用いて入力されるユーザの指示に応じて画面を切り換えて表示したりする。
【0064】
複数の林相画像はそれぞれ複数の画像化特徴量に基づいて生成され、それら画像化特徴量はレーザ計測特徴量及び空中撮影画像特徴量の両方を含む。なお、複数の林相画像の一部は、レーザ計測特徴量のみに基づいて生成されるもの、又は空中撮影画像特徴量のみに基づいて生成されるものであってもよい。
【0065】
以上説明したように、本発明による林相解析システム2は航空写真等の空中撮影画像とレーザ計測データとを併用して林相画像を生成する。
【0066】
例えば、航空写真からは、広い波長帯域の色情報が対象地域にて高解像度に得られる一方、色は撮影季節の影響を受けたり、異なる樹種が色的に非常に類似する場合が生じたりする。一方、レーザ計測データからは森林の地形や樹高、樹冠表面及び内部の構造などに関する情報が得られる一方、航空写真ほどには高解像度の情報は得られず、また近赤外波長領域での情報しか得られない。林相解析システム2では空中撮影画像及び航空レーザ計測データを併用することで、それぞれの特長を活かして林相の違いを判別容易とするカラー画像を生成することが可能となる。
【0067】
例えば、レーザ計測データから得られる高さ情報を用いることにより、同じ樹種でも樹齢や生育状況が異なる林相を区別することができる。一方、航空写真からは高解像度のテクスチャ情報が生成され、カラー画像上での林相の違いに反映される。また、レーザ計測データを併用することで、撮影の時期、撮影の方向・角度、及び太陽の方位角・高度角などにより航空写真が受ける影響が林相画像に与える影響が相対的に軽減され、より安定かつ正確に林相の違いが現れた林相画像を作成しユーザに提示することが可能となる。なお、オルソ画像データ32は衛星画像に基づいて取得したものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
2 林相解析システム、4 演算処理装置、6 記憶装置、8 入力装置、10 出力装置、20 レーザ計測特徴量抽出部、22 空中撮影画像特徴量抽出部、24 カラー画像生成部、30 航空レーザ計測データ、32 オルソ画像データ、40 特徴量画像データ、42 林相画像データ、50 DCHM画像生成部、52 RI画像生成部、54 BRI画像生成部、56 PR画像生成部、60 テクスチャ解析部、62 スペクトル解析部。
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