(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザーからの指令を受け付ける入力部と、赤外線信号を受信する赤外線受信部と、前記赤外線信号を解析してその信号パターンを学習する信号学習部と、前記信号パターンを保持する信号記憶部と、予め定められた情報をユーザーに報知する報知部と、前記入力部、前記赤外線受信部、前記信号学習部、前記信号記憶部および前記報知部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記入力部がリモコンの学習指令を受け付けたとき、前記赤外線受信部に周囲の赤外線信号の受信を試みさせ、前記赤外線受信部が前記赤外線信号を受信した場合、ユーザーに赤外線ノイズが存在することを前記報知部に報知させ、前記赤外線受信部が前記赤外線信号を受信しなかった場合、前記赤外線受信部に向けて学習させたいリモコン信号をユーザーに送信するよう前記報知部に報知させる学習リモコン装置。
前記走行制御部は、前記赤外線受信部が周囲の赤外線信号を受信したとき、前記走行部を制御して前記筐体を予め定められた時間、走行させながら、前記赤外線受信部に周囲の赤外線信号の受信を試みさせる、請求項2に記載の自走式電子機器。
リモコンの学習指令を受け付けたとき、周囲の赤外線信号の受信を試みさせ、周囲の赤外線信号を受信した場合、赤外線ノイズが存在することをユーザーに報知し、周囲の赤外線信号を受信しなかった場合、学習させたいリモコン信号を送信するようにユーザーに報知するリモコン学習方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0013】
(実施形態1)
<自走式電子機器の制御システム100の全体構成>
次に、この発明の学習リモコン装置を備える自走式電子機器として、以下に自走式電子機器20を制御する制御システム100を例に説明する。この事例は、単なる一例であり、自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置に限定されるものではない。
以下、周囲の赤外線ノイズの受信による誤学習の発生を事前に防止する機能を有する、この発明の学習リモコン装置を学習リモコン装置1とし、そのような機能を有しない従来の学習リモコン装置を学習リモコン装置2として説明する。
学習リモコン装置1は、自走式電子機器20に組み込まれたものであってもよく、また、自走式電子機器20に着脱可能に設けられたものであってもよい。
また、学習リモコン装置1は、自走式電子機器20に搭載されたものに限定されず、据え置き型や携帯型の学習リモコン装置1であってもよい。
【0014】
図1は、この発明の自走式電子機器20の制御システム100の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、制御システム100は、通信端末装置10と自走式電子機器(図では電子機器と略記)20とを備えており、これらの各装置が通信ネットワーク90を介して通信可能に接続されている。
【0015】
実施形態1において、この発明の「入力部」は、操作部23によって実現する。また、この発明の「赤外線受信部」は、赤外線送受信部36(赤外光受光素子36R(後述))によって実現する。また、この発明の「信号記憶部」は、記憶部24によって実現する。また、この発明の「報知部」は、音声出力部43によって実現する。また、この発明の「走行部」は、移動駆動部61(駆動輪32)によって実現する。また、この発明の「走行制御部」は、制御部21によって実現する。また、この発明の「充電用接続部」は、充電端子49によって実現する。
【0016】
また、通信端末装置10と自走式電子機器20とは、通信ネットワーク90を介さずにこれら両装置間で直接通信を行う機能を備えてもよい。
なお、制御システム100に備えられる自走式電子機器20の台数は1台に限るものではなく、複数台の自走式電子機器20が備えられていてもよい。
同様に、通信端末装置10の台数についても1台に限るものではなく、複数台の通信端末装置10が備えられていてもよい。
【0017】
また、通信端末装置10と自走式電子機器20とが、それぞれ、通信ネットワーク90を介して、図示しないサーバ装置と通信を行い、サーバ装置を介して、通信端末装置10から、自走式電子機器20の動作を制御するようにしてもよい。
【0018】
<通信端末装置10の構成>
通信端末装置10は、
図1に示したように、制御部11、通信部12、操作部14、および記憶部15を備えている。
また、通信端末装置10は、表示部を備えるものであってもよい。
通信端末装置10の構成は、上記各部の機能を有する通信端末装置であれば特に限定されるものではなく、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、パソコン、携帯型ゲーム機などを用いることができる。
また、通信端末装置10として、上記各部の機能を有するように構成された、自走式電子機器20を制御するためのリモコン装置を用いることができる。
【0019】
制御部11は、通信端末装置10の各部の動作を制御する通信端末装置10の制御手段である。制御部11は、例えば、CPUや専用プロセッサなどの演算処理部、および、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶部(いずれも図示せず)などにより構成されるコンピュータ装置からなり 、上記記憶部に記憶されている各種情報および各種制御を実施するためのプログラムを読み出して実行することで通信端末装置10の各部の動作を制御する。
【0020】
通信部12は、通信ネットワーク90を介して遠隔地に存在する他の装置との通信を行う機能(遠距離通信機能)と、通信可能範囲内(例えば同一施設内)に存在する他の装置と装置間通信を行う機能(近距離通信機能)とを備えた通信手段である。
ユーザーが操作部14によって、遠隔操作のための指示入力をした場合には、この通信部12から、自走式電子機器20の通信部22に対して、制御対象機器の動作を制御するための指示情報を送信する。
【0021】
上記の遠距離通信機能で用いられる通信ネットワーク90としては、例えば、インターネット、電話回線網、移動体通信網、CATV通信網、衛星通信網などが挙げられる。
【0022】
また、上記の近距離通信機能としては、例えば、無線LAN規格の1つであるIEEE802.11(IEEE802.11aあるいはIEEE802.11b)を利用して無線機器間の相互接続を行うWiFi(登録商標)機器の通信機能、IEEE802.11以外の無線LAN規格に基づく通信機能、Bluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)等の近距離無線通信規格を用いた通信機能、赤外線通信機能などを用いることができる。
なお、本願の通信ネットワーク90には、上記遠距離通信機能、および上記近距離通信機能の両方が含まれるものとする。
【0023】
操作部14は、ユーザーからの操作入力を受け付けて制御部11に伝達する。
操作部14の構成は特に限定されるものではなく、キーボード、マウス、ペン、タッチパネル、その他のポインティングデバイスなど、従来から公知の種々の操作入力手段を用いることができる。
【0024】
記憶部15は、通信端末装置10で用いられる各種情報を記憶する記憶手段である。
記憶部15の構成は特に限定されるものはなく、従来から公知の記憶手段を用いることができる。
【0025】
<自走式電子機器20の構成>
自走式電子機器20は、自装置に備えられる操作部23に対するユーザーからの指示に応じた動作、および通信端末装置10から送られてくる制御命令(指示情報)に応じた動作を行う機能を有する機器である。
なお、以下の実施形態では、主として、自走式電子機器20が自走式掃除機である場合について説明する。
ただし、自走式電子機器20の構成はこれに限るものではなく、通信端末装置10からの制御命令に応じた動作を行う機能を有する、自走式の電子機器、すなわち移動機能を有する電子機器に相当するものであればよい。
この発明の自走式電子機器20としては、たとえば、空気清浄機器、撮影機器、AV機器、各種ロボット機器(例えば、家事支援ロボット、動物型ロボット等)なども含まれる。
【0026】
自走式電子機器20は、
図1に示したように、制御部21、通信部22、操作部23、記憶部24、装置機能部25、およびリモコン制御部26を備えている。
【0027】
制御部21は、自走式電子機器20の各部の動作を制御する自走式電子機器20の制御手段である。
制御部21は、例えば、CPUや専用プロセッサなどの演算処理部、および、RAM、ROM、HDDなどの記憶部(いずれも図示せず)などにより構成されるコンピュータ装置からなり、上部記憶部に記憶されている各種情報および各種制御を実施するためのプログラムを読み出して実行することで自走式電子機器20の各部の動作を制御する。
【0028】
通信部22は、通信ネットワーク90を介して遠隔地に存在する他の装置との通信を行う機能(遠距離通信機能)と、通信可能範囲内(例えば同一施設内)に存在する他の装置と装置間通信を行う機能(近距離通信機能)とを備えた通信手段である。
通信部22としては、例えば、通信端末装置10に備えられる通信部12と同様のものを用いることができる。
この発明において、通信部22は、主として、通信端末装置10から制御対象機器の動作を制御するための指示情報を受信し、撮像部40によって撮影された画像を通信端末装置10へ送信する。
【0029】
操作部23は、ユーザーからの指示入力を受け付けて制御部21に伝達する部分である。
操作部23の構成は特に限定されるものではなく、例えば、キー操作ボタンによって構成されていてもよく、タッチパネルであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0030】
記憶部24は、自走式電子機器20で用いられる各種情報を記憶する記憶手段である。
記憶部24の構成は特に限定されるものはなく、例えば、各種のRAM、ROM、HDD等を用いることができる。
【0031】
装置機能部25は、制御部21の指示に応じて当該自走式電子機器20の装置機能を実行する部分である。
例えば、自走式電子機器20が自走式掃除機である場合には、装置機能部25は、走行機能(移動機能)、掃除機能(集塵機能)、撮像機能などを実行する。
また、自走式電子機器20が空気清浄機器、撮影機器、AV機器、各種ロボット等である場合には、装置機能部25は、それら各機器に備えられる装置機能(例えば走行機能、空気清浄機能、撮影機能、移動機能など)を実行する。
【0032】
リモコン制御部26は、赤外線送受信部36を用いた家電製品のリモコン操作を制御する制御手段である。
リモコン制御部26は、例えば、制御部21と同様の構成を有し、RAM、ROM、HDDなどの記憶部(図示せず)に記憶されている各種情報および各種制御を実施するためのプログラムを読み出して登録された家電製品のリモコン制御を実行する。
なお、自走式電子機器20は、リモコン制御部26を備える構成に限定されるものではなく、制御部21がリモコン操作を実行する構成であってもよい。
【0033】
図1には、自走式電子機器20である自走式掃除機の一実施例の構成ブロックを示しており、装置機能部25は、主として、移動駆動部61、ブラシ駆動部62、音声出力部43、ファン駆動部63、撮像部40、駆動輪32、回転ブラシ44、サイドブラシ45、吸入ファン58、超音波センサ41、赤外線送受信部36、電圧検出部64、バッテリ31、充電端子49、赤外線センサ35、および通電検知部65を備えている。
【0034】
図2は、この発明の自走式電子機器20である自走式掃除機の一実施例の斜視図であり、
図3は、自走式掃除機の平面図および側面図であり、
図4は、自走式掃除機の断面図であり、
図5は、自走式掃除機の底面(床側面)の平面図である。
図4において、Cは筐体30の中央を垂直に通る垂直中心線である。
【0035】
図示するように、自走式電子機器20である自走式掃除機は、略円盤形状の筐体30で形成された自走式電子機器本体と、バッテリ(充電池)31を電力供給源として駆動される駆動輪32とを有しており、自走しながら集塵(掃除)する機能を有している。
移動駆動部61は、筐体30を移動させる部分であり、駆動輪32を駆動させることにより、走行制御を行う。
【0036】
筐体30の上面には、蓋部34、操作部23、および赤外線送受信部36が設けられている。
図2では筐体30は、その上面および底面が円形を成す形状を有しているが、筐体30の形状は特に限定されるものではない。
【0037】
蓋部34は筐体30に対して開閉可能になっており、蓋部34を開くことにより、筐体30内の集塵部37に収容されかつゴミを蓄積する集塵容器38を着脱して、集塵容器38内の塵芥を廃棄できるようになっている。
【0038】
操作部23には、ユーザーからの各種指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける操作スイッチを設け、さらにユーザーに提示する各種情報を表示するディスプレイ(表示部)を設けてもよい。
また、操作部23としては、表示部と一体形成されたタッチパネルを設けてもよい。
【0039】
赤外線センサ35は、充電台70から発信された帰還用の赤外線誘導信号を検出する部分である。
【0040】
赤外線送受信部36は、制御対象の家電機器のリモコン装置3から送信される赤外線信号(赤外光)を受信する部分であり、また、自走式電子機器20から、制御対象の家電機器に赤外線信号(赤外光)を送信する部分である。赤外線送受信部36は、上記した制御対象機器の制御信号を送信する制御信号送信部に相当する。
赤外線送受信部36は、リモコン装置3から送信された赤外線信号を受信できるように配置された赤外線受光素子と、互いに異なる方向へ赤外光が出射されるように、出射光の主軸方向が互いに異なるように配置された複数の赤外線光源(赤外光LEDとも呼ぶ)とを備える。
自走式電子機器20の筐体30の水平方向および上下方向について比較的広い角度範囲に、赤外光LEDから赤外線信号を出力できるようになっている。赤外線信号は、通信端末装置10から送信されてきた指示情報に対応する信号であり、制御対象機器を制御する信号である。
なお、赤外線送受信部36の構成は特に限定されるものではなく、赤外線受光素子の設置個数や赤外線信号の受光角度範囲および赤外線光源の設置個数や赤外線信号の出射角度範囲は適宜設定すればよい。赤外線送受信部36の具体的な構成例については、後述する。
【0041】
筐体30の側面には、筐体30が壁等に衝突したときの筐体30への衝撃を緩和させるためのバンパー39が設けられている。
また、バンパー39の一部に設けられた穴部、例えば、通常の進行方向の前面に設けられた穴部には赤外線センサ35および撮像部40が設けられており、バンパー39の一部に設けられた他の穴部には超音波センサ41が設けられている。
【0042】
撮像部40は、画像を撮影するカメラであり、主として、自走式電子機器20の周囲の画像を撮像して撮像データを生成する。撮像される画像は、動画像または静止画像どちらでもよいが、遠隔地にいるユーザーが、自己の携帯端末等で、室内の現在の状態を詳細に確認するためには、静止画像に加えて、動画像を撮像できる方が好ましい。
撮像部40の構成は特に限定されるものではなく、従来から公知の撮像手段を用いることができる。例えば、光学レンズ、カラーフィルタ、受信素子であるCCD(Charge Coupled Device)等を備えた撮像手段を用いてもよい。
なお 、撮像部40に加えて、自走式電子機器20の周囲の音声を取得する音声取得部
(図示せず)を設けてもよい。
【0043】
超音波センサ41は、自走式電子機器20の周囲に向けて超音波を出力するとともに、障害物で反射された超音波を受信することにより、自走式電子機器20の周囲に存在する障害物の位置を検出する。
超音波センサ41は、1つではなく、筐体30の外表面に、適切な距離を置いて、複数個設けることが好ましい。
【0044】
音声出力部43は、ユーザーに予め定められたメッセージを再生するための音声や、ブザーやアラームなどの報知音を出力する部分であり、例えば、スピーカーが利用される。
音声出力部43は、自走式電子機器20の筐体30の側方の位置に設けられる(図示せず)。なお、これは単なる一例で、任意の位置に設けることができる。
【0045】
筐体30の底面には、
図5に示したように、駆動輪32、後輪48、回転ブラシ44、サイドブラシ45、および吸入口46が設けられている。
【0046】
駆動輪32は、筐体30の底面における当該底面がなす円の中心線32aの両端側にそれぞれ設けられている。
これら各駆動輪32は、当該各駆動輪32の一部が筐体30の底面から突出する状態で中心線32aに平行な回転軸(図示せず)に取り付けられている。
それら各回転軸は、バッテリ31から供給される電力を用いて移動駆動部61(
図1参照)であるモーターやギア等(図示せず)を駆動することにより回転駆動される。
これにより、各駆動輪32が回転し、自走式電子機器20が床面F上を自走する。
【0047】
各駆動輪32は個別に回転駆動されるようになっており、これら各駆動輪32が同方向に回転駆動された場合には自走式電子機器20は各駆動輪32の回転方向に応じて前進または後進する。
また、これら各駆動輪32が互いに逆方向に回転駆動された場合には、自走式電子機器20は各駆動輪32の回転方向に応じてその場で底面に平行な方向に回転(旋回)する。
これにより、自走式電子機器20の進行方向を転換させることができる。
なお、自走式電子機器20にバンパー39が壁等に衝突した場合にそれを検知するセンサ(図示せず)を設け、自走式電子機器20が移動中に壁等に衝突したときに進行方向を変更して移動を継続するようにしてもよい。
また、超音波センサ41の検知結果や撮像部40の撮像結果などに応じて壁や家具等の障害物を検知し、自走式電子機器20が障害物を自動的に避けて移動するようにしてもよい。
【0048】
また、筐体30の底面には筐体30の内側に窪んだ凹部からなる矩形状の吸入口46が設けられており、吸入口46から外部の空気を筐体30の内部へ導入する。吸入口46の凹部内には筐体30の底面に平行な回転軸に沿って回転する回転ブラシ44が設けられている。
また、吸入口46に対して当該吸入口46の長手方向の両端側に近接する位置には筐体30の底面に垂直な回転軸に沿って回転するサイドブラシ45がそれぞれ設けられている。
回転ブラシ44およびサイドブラシ45は、ブラシ駆動部62(
図1参照)が制御部21からの指示に応じてバッテリ31から供給される電力により回転ブラシ44およびサイドブラシ45の回転軸を回転駆動することにより回転する。
【0049】
また、筐体30の底面の後方端部(後端)付近には、自在車輪から成る後輪48が設けられている。
自走式電子機器20は、平坦な床面F上に配置された場合に、回転ブラシ44、駆動輪32、および後輪48が床面Fに接地する。
【0050】
筐体30の周面(側面)の後端には、バッテリ31の充電を行う際に用いられる充電端子49が筐体30から外側に露出するように設けられている。
なお、実施形態1では、筐体30の周面の後端に、床面Fに対して略水平な方向に延伸する2つの充電端子49を鉛直方向に所定の間隔を隔てて配置しているが、充電端子49の設置位置および個数はこれに限るものではない。
【0051】
バッテリ31の充電を行う場合には、
図4に示したように、自走式電子機器20を充電台(ホームポジション)70に帰還させ、充電台70に設けられた給電端子71に充電端子49を当接させることによりバッテリ31を充電する。
充電台70は、通常、背面側(給電端子71が設けられている側と反対側)が室内の側壁Sと対向するように設置され、商用電源から供給される電力を、給電端子71を介して自走式電子機器20に供給する。
また、充電台70は、床面上の所定の位置に配置されて移動しないようになっている。
【0052】
バッテリ(充電池)31は、自走式電子機器20全体の電力供給源であり、上記した移動駆動部61,撮像部40,集塵部37,赤外線送受信部36などに電力を供給する。
バッテリ31の構成は特に限定されるものではないが、例えば、鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、あるいはキャパシタ等を用いることができる。なお、バッテリ31は、繰り返し充放電が可能な大容量の充電池であることが好ましい。
【0053】
電圧検出部64は、バッテリ31の電圧を検出するものであり、検出した電圧からバッテリ31の充電量を算出する。
【0054】
通電検知部65は、給電端子71から充電端子49への通電量(給電端子71から充電端子49を介してバッテリ31に供給される電流の電流値、および/または、給電端子71によって充電端子49に印加される電圧値)を検知する。
【0055】
また、
図4に示すように、筐体30内には塵埃を集塵する集塵部37が配されている。
集塵部37は、筐体30の内部に設けられた集塵室50内に収納されており、吸入口46から導入された空気と共に吸い込まれたゴミを、集塵容器38に収集する。
集塵室50は四方の周面および底面が覆われた隔離室から成り、筐体30内を仕切るように回転ブラシ44の軸方向に延伸して形成されている。
集塵室50の各壁面は回転ブラシ44の軸方向に延びた前壁を除いてそれぞれ閉塞されている。
集塵室50の前壁には吸入口46に連通する第1吸気路51が設けられている。
吸入口46から導入された空気は、内部経路を通って、排気口59から外部へ放出される。
【0056】
集塵部37は、筐体30の蓋部34を開くことで、筐体30の外部に開放される。
集塵部37は、有底の集塵容器38の上部にフィルタ52を有する上部カバー53が取り付けられて形成されている。
上部カバー53は可動の係止部(図示せず)により集塵容器38に係止され、係止部の操作によって集塵容器38の上面を開閉する。
これにより、集塵容器38に堆積した塵埃を廃棄することができる。
【0057】
集塵容器38の周面に第1吸気路51に連通する流入路54が設けられている。
また、集塵容器38内には流入路54に連続して屈曲により下方に気流を導く流入部54bが設けられている。
上部カバー53の周面には集塵容器38の内部と第2吸気路56とを連通する流出路55が設けられている。
第2吸気路56は、モーターユニット57と流出路55とを連通させるように配置されている。
【0058】
流入路54および流出路55における開口部の周囲には集塵室50の前壁に密接するガスケット(図示せず)が設けられている。
これにより、集塵部37を収納した集塵室50内が密閉される。
【0059】
筐体30内の集塵室50の後方上部には制御基板42が配されている。
制御基板42には、自走式電子機器20の各部を制御する制御部21や各種データを記憶する記憶部24が設けられている。
集塵室50の後方下部にはバッテリ31が配されている。
バッテリ31は充電台70から充電端子49を介して供給される電力により充電され、上記した構成部分の他、集塵部37を構成する部分である制御基板42、駆動輪32、回転ブラシ44、サイドブラシ45、吸入ファン58等にも電力を供給する。
【0060】
自走式電子機器20において、掃除運転が指示されると、バッテリ31から供給される電力により、吸入ファン58、駆動輪32、回転ブラシ44、およびサイドブラシ45が駆動される。
なお、吸入ファン58は、ファン駆動部63(
図1参照)がモーターユニット57を駆動させることにより駆動される。
これにより、自走式電子機器20は、回転ブラシ44、駆動輪32、および後輪48が床面Fに接地して所定の掃除領域を自走し、吸入口46から床面Fの塵埃を含む気流が吸い込まれる。
この時、回転ブラシ44の回転によって床面F上の塵埃が掻き上げられて吸入口46内に導かれる。また、サイドブラシ45の回転によって吸入口46の側方の塵埃が吸入口46に導かれる。
【0061】
吸入口46から吸い込まれた気流は、
図4の矢印A1に示すように第1吸気路51を介して集塵部37に流入する。
集塵部37に流入した気流は、フィルタ52により塵埃を捕集され、流出路55を介して集塵部37から流出する。
これにより、集塵容器38内に塵埃が集塵して堆積する。
集塵部37から流出した気流は、矢印A2に示すように第2吸気路56を介してモーターユニット57の吸入ファン58に流入する。
【0062】
吸入ファン58を通過した気流は、筐体30の上面に設けた排気口59から矢印A3に示すように自走式電子機器20の上方後方に排気される。
【0063】
<赤外線送受信部36の構成>
図6および
図7に、この発明の赤外線送受信部36の一実施例の斜視図を示す。
図6は、
図2に示した自走式電子機器20の赤外線送受信部36を含む筐体30の一部分を示したものである。
図6に示す赤外線送受信部36は、ふたを取り付けた状態を示しており、このふたの内部に、赤外光を受信する1個の赤外光受光素子および赤外光を送信する複数個の赤外光LEDが備えられている。
リモコン装置3から送信された赤外光は、このふたを透過して赤外光受光素子36Rに受光される。
また、赤外光LEDから送信された赤外光は、このふたを透過して筐体外部へ出射される。
赤外線送受信部36の近傍には、赤外線センサ35および撮像部40が設けられ、どちらも筐体30の外表面近傍に配置される。
【0064】
図7は、上記ふたを取り外した状態の赤外線送受信部36を示している。
図7に示す実施例では、赤外線送受信部36は、1個の赤外光受光素子36Rおよび6個の赤外光LED(36(a)〜(f))からなる。
【0065】
<赤外光受光素子36Rの構成>
図7では、赤外光受光素子36Rは、赤外光の受光方向の中心軸が水平面よりも上方向となるように固定設置されている。
たとえば、受光する赤外光の中心軸が、本体前後方向に、水平面よりも上方向に45度程度傾いた方向となるように取り付けられる。
ただし、赤外光受光素子の個数は、1個に限るものではなく、複数個設けてもよい。
【0066】
<赤外光LED36(a)〜(f)の構成>
6個の赤外光LEDは、それぞれ赤外光の出射方向が異なるように配置されている。
図7では、外側の2つの赤外光LED(36(a),36(f))は、赤外光の出射方向の中心軸が水平面よりも上方向となるように固定設置されている。
たとえば、出射される赤外光の中心軸が、水平面よりも上方向に、75度程度傾いた方向となるように取り付けられる。
また、赤外光LED36(a)は、赤外光の出射方向の中心軸が、それぞれ本体前後方向の鉛直面から右に15度、赤外光LED36(f)は、左に15度程度傾いた方向になるように取り付けられている。
【0067】
また、2つの赤外光LED(36(b),36(e))は、赤外光の出射方向が水平面よりも上方向であるが、上記2つの赤外光LED(36(a),36(f))よりも低い角度(たとえば、出射赤外光の中心軸が水平面より上方向に45度)で出射されるように固定設置される。赤外光LED36(b)、36(e)は、赤外光LED36(a)(f)と同様に出射方向の中心軸が、それぞれ本体前後方向の鉛直面から右に15度、左に15度程度傾いた方向になるように取り付けられている。
【0068】
最も内側の2つの赤外光LED(36(c),36(d))は、赤外光の出射方向が水平面よりも上方向であり、上記2つの赤外光LEDと(36(b),36(e))よりも低い角度(たとえば、出射赤外光の中心軸が水平面より上方向に15度)で出射されるように固定設置される。
赤外光LED36(c)、36(d)は、赤外光LED36(a)(f)と同様に出射方向の中心軸が、それぞれ本体前後方向の鉛直面から右に15度、左に15度程度傾いた方向になるように取り付けられている。
ただし、赤外光LEDの個数は、6個に限るものではなく、2〜5個のいずれであってもよい。低消費電力化のためには、個数は少ない方が好ましい。
1つの赤外光LEDから出射される赤外光は円錐状に広がって空間を進行する。赤外光は、たとえば、進行方向の中心軸から±15度程度の広がりを持って進行する。
これにより、制御信号である赤外光を広範囲に出射することができる。
【0069】
<従来の学習リモコン装置2のリモコン学習手順の流れ>
次に、この発明の学習リモコン装置1の説明に入る前に、
図8に基づき、従来の学習リモコン装置2のリモコン学習手順の流れについて説明する。
図8は、従来の学習リモコン装置2のリモコン学習手順のフローチャートである。
【0070】
ユーザーが従来の学習リモコン装置2を操作してリモコン学習を開始したとき、学習リモコン装置2は、以下のステップに示す手順に従う。
【0071】
図8のステップS1において、学習リモコン装置2は、ユーザーからのリモコン学習指令を受け付けたか否かを判定する(ステップS1)。
【0072】
ここで、リモコン学習指令とは、学習リモコン装置2のリモコン学習時の設定である。例えば、エアコン、テレビまたは照明などの登録機器の選択や、電源、音量または強度などのリモコン信号の種類の選択、ボタンの種類の選択などの登録設定である。学習リモコン装置2は、これらの設定が完了した時点で、リモコン学習指令を受け付けたものと判定する。また、リモコン学習開始ボタンの操作を受け付けた時点で、リモコン学習指令を受け付けたものと判定してもよい。
【0073】
ステップS1において、リモコン学習指令を受け付けた場合(ステップS1の判定がYesの場合)、学習リモコン装置2は、ステップS2の処理を行う(ステップS2)。
一方、リモコン学習指令を受けていない場合(ステップS1の判定がNoの場合)、学習リモコン装置2は、リモコン学習指令を受け付けるまで待機する(ステップS1)。
【0074】
次に、ステップS2において、学習リモコン装置2は、リモコン学習の開始をユーザーに報知する(ステップS2)。
具体的には、「リモコン学習の準備ができました」または「リモコン学習を開始します。学習リモコン装置の受信部に向けて学習させたいリモコン装置のボタンを押してください」などのメッセージをディスプレイに表示またはスピーカーから出力させて、ユーザーに報知する。また、ブザーやアラームなどの報知音で報知してもよく、ランプ等の点滅の合図により報知してもよい。
その後、ユーザーは、学習リモコン装置2の受信部と、学習させたいリモコン装置の送信部とが互いに向かい合うように近接させた上で、学習させたいリモコン装置のボタンを押す。
【0075】
続いて、ステップS3において、学習リモコン装置2は、予め定められた時間(例えば、1分間)内に赤外線信号を受信したか否かを判定する(ステップS3)。
学習リモコン装置2が予め定められた時間内に赤外線信号を受信した場合(ステップS3の判定がYesの場合)、学習リモコン装置2は、ステップS4において、受信した赤外線信号の信号パターンを解析し、得られた学習データの保存処理をおこなった上で(ステップS4)、学習を終了させる。
【0076】
一方、学習リモコン装置2が予め定められた時間内に赤外線信号を受信できなかった場合(ステップS3の判定がNoの場合)、学習リモコン装置2は、ステップS5において、学習失敗時のエラー情報をユーザーに報知し(ステップS5)、学習を終了させる。
【0077】
ここで、エラー情報の報知内容としては、例えば、「リモコン信号の受信に失敗しました」などのメッセージがあげられる。
【0078】
<この発明の自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の具体例>
次に、
図9に基づき、この発明の自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の具体例について説明する。
図9は、この発明の自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順のフローチャートである。
【0079】
ここで、
図9のステップS11およびS15〜S18の処理は、それぞれ
図8のステップS1〜5の処理に相当するため、説明を省略する。
ここでは、従来技術にないステップS12〜S14の処理について説明する。
【0080】
図9のステップS11において、制御部21がリモコン学習指令を受け付けた場合(ステップS11の判定がYesの場合)、リモコン制御部26は、ステップS12において、筐体30の周囲の赤外線情報を赤外線送受信部36にチェックさせる(ステップS12)。
【0081】
具体的なチェック方法としては、例えば、
図11に示すように、その場で筐体30を360度方向転換させながら、周囲の赤外線信号を赤外線送受信部36に受信させる(
図11参照)。
【0082】
次に、ステップS13において、制御部21は赤外線送受信部36が赤外線信号を受信したか否かを判定する(ステップS13)。
赤外線送受信部36が赤外線信号を受信した場合(ステップS13の判定がYesの場合)、ステップS14において、制御部21は、赤外線ノイズの検出をユーザーに報知し(ステップS14)、学習を終了させる。
【0083】
具体的な報知内容としては、例えば、「赤外線ノイズを検出しました。本体を赤外線ノイズの届かないところへ移動させてください」など、予め定められたメッセージがあげられる。また、報知の方法としては、音声出力部43に予め定められたメッセージを再生させる方法であってもよいし、通信端末装置10が表示部を備えるものである場合、無線通信を介して通信端末装置10の表示部に予め定められたメッセージを表示させる方法であってもよい。
【0084】
一方、ステップS13において、赤外線送受信部36が赤外線信号を受信しなかった場合(ステップS13の判定がNoの場合)、制御部21は、ステップS15の処理を行う(ステップS15)。
【0085】
<従来の学習リモコン装置2とこの発明の学習リモコン装置1のリモコン学習方法の比較例>
次に、
図10および
図11に基づき、従来の学習リモコン装置2と、この発明の学習リモコン装置1のリモコン学習方法を比較する。
図10は、従来の学習リモコン装置2のリモコン学習手順の説明図である。
図11は、この発明の自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の一実施例の説明図である。
【0086】
図10に示すように、リモコン学習の開始時に、照明機器が発する赤外線ノイズ内に自走式電子機器20が存在している場合を想定する。蛍光灯などの照明機器は、強い赤外線ノイズを発生させる場合があることが知られている。
図10において、照明機器から発生した赤外線ノイズの影響を受ける領域は、破線で囲まれた領域で示される。
ここで、自走式電子機器20に従来の学習リモコン装置2を搭載した場合、従来の学習リモコン装置2は、リモコン装置3から送信された赤外線信号ではなく、照明機器が発生する赤外線ノイズを受信するおそれがあり、誤学習が生じる原因となる。
【0087】
一方、自走式電子機器20にこの発明の学習リモコン装置1を搭載した場合、
図11の矢印MP1に示すように、自走式電子機器20は、リモコン学習を開始する前に、筐体30を360度方向転換させながら、周囲の赤外線情報をチェックする。チェックの結果、赤外線ノイズを検出した場合、予め定められた音声メッセージ「赤外線ノイズを検出しました」を出力する。それゆえ、ユーザーは赤外線ノイズの存在を知ることができ、赤外線ノイズの受信による誤学習を防止することができる。
【0088】
このように、リモコン学習の開始時に周囲の赤外線情報をチェックさせ、赤外線ノイズが存在する場合、予め定められたメッセージをユーザーに報知することによって、赤外線ノイズに起因するリモコン信号の誤学習を防止することができる。
【0089】
(実施形態2)
<この発明の実施形態2に係る自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の具体例>
次に、
図12および
図13に基づき、この発明の実施形態2に係る自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の具体例について説明する。
図12は、この発明の実施形態2に係る自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順のフローチャートである。
図13は、この発明の自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の一実施例の説明図である。
【0090】
ここで、
図12のステップS21〜S23およびS25〜S28の処理は、それぞれ
図9のステップS11〜S13およびS15〜S18の処理に相当するため、説明を省略する。
ここでは、実施形態1にないステップS24の処理について説明する。
【0091】
図12のステップS23において、自走式電子機器20が赤外線信号を受信した場合(ステップS23の判定がYesの場合)、自走式電子機器20は、ステップS24において、充電台帰還処理を行う(ステップS24)。
なお、充電台帰還処理を行う前に、赤外線ノイズを検出した旨をユーザーに報知するようにしてもよい。
【0092】
図13(A)に示すように、充電台70は、自走式電子機器20が接続されていないとき、充電台70への自走式電子機器20の帰還を誘導するための赤外線誘導信号(ビーコン)を所定の放射角で室内に放射している。
ここで、従来の学習リモコン装置2を自走式電子機器20に搭載した場合、従来の学習リモコン装置2は、充電台70が発信する赤外線信号を誤って受信するおそれがあり、誤学習が生じる原因となる。
【0093】
一方、の発明の実施形態2に係る学習リモコン装置1を搭載した自走式電子機器20の場合、充電台70が発信する赤外線信号を受信すると、自走式電子機器20は、矢印MP2に示す経路を通って充電台帰還処理を行い、充電台70に接続する。このとき、充電台70から帰還用の赤外線誘導信号が発信されなくなるため、赤外線誘導信号の受信による誤学習を防止することができる。
【0094】
このように、赤外線ノイズを検出したとき、自走式電子機器20は、充電台帰還処理を行い、充電台70に接続するため、帰還用の赤外線誘導信号の影響を取り除くことができる。
【0095】
(実施形態3)
<この発明の実施形態3に係る自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の具体例>
次に、
図14および
図15に基づき、この発明の実施形態3に係る自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の具体例について説明する。
図14は、この発明の実施形態3に係る自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順のフローチャートである。
図15は、この発明の自走式電子機器20に搭載された学習リモコン装置1のリモコン学習手順の一実施例の説明図である。
【0096】
ここで、
図14のステップS31,S33,S34およびS38〜S41の処理は、それぞれ
図9のステップS11〜S13およびS15〜S18の処理に相当するため、説明を省略する。
ここでは、実施形態1にないステップS32,S35およびS36の処理について説明する。
【0097】
図14のステップS31において、制御部21がリモコン学習指令を受け付けた場合(ステップS31の判定がYesの場合)、ステップS32において、制御部21は、タイマーをセットする(ステップS32)。
【0098】
次に、ステップS34において、赤外線送受信部36が赤外線信号を受信した場合(ステップS34の判定がYesの場合)、ステップS35において、制御部21は、自走式電子機器20のランダム走行処理を行う(ステップS35)。
なお、ランダム走行処理を行う前に、赤外線ノイズを検出した旨をユーザーに報知するようにしてもよい。
【0099】
続いて、ステップS36において、制御部21は、セットしたタイマーの設定時間(例えば5分間)が経過したか否かを判定する(ステップS36)。
セットしたタイマーの設定時間が経過した場合(ステップS36の判定がYesの場合)、制御部21は、ステップS37において、赤外線ノイズを検出した旨をユーザーに報知する(ステップS37)。
一方、セットしたタイマーの設定時間が経過していない場合(ステップS36の判定がNoの場合)、リモコン制御部26は、ステップS33の処理を繰り返す(ステップS33)。
【0100】
このようにして、赤外線ノイズを受信した場合、予め定められたタイマーの設定時間の間、ランダム走行を行ってから、再度、周囲の赤外線情報をチェックすることによって、赤外線ノイズが存在しない(または赤外線ノイズが弱い)場所でのリモコン学習を可能にする。
【0101】
次に、
図15に示すように、リモコン学習の開始時に、窓から放射された太陽光の赤外線ノイズ内に自走式電子機器20が存在している場合を想定する。
図15において、窓を通して入射した太陽光による赤外線ノイズの影響を受ける領域は、破線で囲まれた領域で示される。
赤外線送受信部36が赤外線ノイズを検出したとき、自走式電子機器20は、ランダム走行を開始した後、予め定められた時間(例えば1分)ごとに周囲の赤外線情報をチェックする。
【0102】
図15において、自走式電子機器20は、赤外線ノイズを検出した後、ランダム走行を開始する。そして、矢印MP3に示す経路を移動した後、再度、赤外線情報をチェックする。しかし、再び赤外線ノイズを検出したため、再度ランダム走行を開始し、今度は、矢印MP4を移動した後、赤外線情報をチェックする。その結果、赤外線ノイズを検出しなかったので、通常のリモコン学習手順を開始する。
【0103】
一方、ランダム走行の最中に予め定められたタイマーの設定時間を経過した場合、自走式掃除機20は、赤外線ノイズを検出した旨のメッセージをユーザーに報知する。
例えば、タイマーの設定時間が5分、周囲の赤外線情報のチェックに要する時間が30秒、1回あたりのランダム走行時間が30秒であるとする。このとき、周囲の赤外線情報を5回おこなっても赤外線ノイズが存在しない場所が見つからなかった場合、自走式電子機器20は、赤外線ノイズを検出した旨のメッセージをユーザーに報知することになる。
【0104】
このようにして、リモコン学習の開始時に赤外線ノイズを検出した場合でも、ランダム走行により赤外線ノイズの存在しない場所を捜索する自走式電子機器20を実現できる。
【0105】
(その他の実施形態)
1.実施形態1において、通信端末装置10が表示部を備えるものである場合、赤外線ノイズの検出をユーザーに報知する際、音声によるメッセージに限らず、無線通信を介して通信端末装置10の表示部にメッセージを表示させるようにしてもよい。(実施形態4)
このようにすれば、通信端末装置10を介して詳細なエラー情報をユーザーに報知することが可能となる。
【0106】
図16は、この発明の通信端末装置10の表示部の一実施例の説明図である。
図16に示すように、赤外線ノイズを検出した際に、通信端末装置10の表示部に予め定められたメッセージを表示させる。ここで、表示部に表示された「解決方法を表示する」ボタンをタッチすることにより、問題解決のためのヒントを得ることができるようにしてもよい。
【0107】
図17は、この発明の学習リモコン装置1の赤外線ノイズの検出時のメッセージおよびその解決方法の一実施例の説明図である。
【0108】
2.実施形態2のステップS24において、自走式電子機器20が蛍光灯の電源を制御する機能を有する場合は、該当する蛍光灯の電源を消す処理を行うようにしてもよい。(実施形態5)
このようにすれば、ユーザー自ら蛍光灯のスイッチを切らなくても、蛍光灯に起因する赤外線ノイズの影響を取り除くことができる。
【0109】
3.
図18に示すように、学習リモコン装置1を自走式電子機器20に着脱可能に設けるようにしてもよい。(実施形態6)
なお、この事例は、単なる一例であり、
図18に示された形態に限定されるものではない。
【0110】
以上に述べたように、
(i)この発明の学習リモコン装置は、ユーザーからの指令を受け付ける入力部と、赤外線信号を受信する赤外線受信部と、前記赤外線信号を解析してその信号パターンを学習する信号学習部と、前記信号パターンを保持する信号記憶部と、予め定められた情報をユーザーに報知する報知部と、前記入力部、前記赤外線受信部、前記信号学習部、前記信号記憶部および前記報知部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記入力部がリモコンの学習指令を受け付けたとき、前記赤外線受信部に周囲の赤外線信号の受信を試みさせ、前記赤外線受信部が前記赤外線信号を受信した場合、ユーザーに赤外線ノイズが存在することを前記報知部に報知させ、前記赤外線受信部が前記赤外線信号を受信しなかった場合、前記赤外線受信部に向けて学習させたいリモコン信号をユーザーに送信するよう前記報知部に報知させる。
また、この発明のリモコン学習方法は、リモコンの学習指令を受け付けたとき、周囲の赤外線信号の受信を試みさせ、周囲の赤外線信号を受信した場合、赤外線ノイズが存在することをユーザーに報知し、周囲の赤外線信号を受信しなかった場合、学習させたいリモコン信号を送信するようにユーザーに報知する。
【0111】
この発明において、「学習リモコン装置」は、リモコン装置から送信される赤外線信号を受信し、受信した赤外線信号の信号パターンを解析して学習をおこない、学習した信号と同一の赤外線信号を送信することができる装置である。
学習リモコン装置の種類としては、携帯型の学習リモコン装置の他、据え置き型の学習リモコン装置や自走型の学習リモコン装置も知られている。据え置き型の学習リモコン装置は、スマートフォンやタブレット端末などの通信端末装置を介して学習リモコン装置から室内の家電製品を操作できるため、通信端末装置を介して外出先からでも家電製品を操作することができる。また、自走型の学習リモコン装置は、学習リモコン装置を自走式電子機器に搭載したものが知られており、操作対象の家電製品との間に壁などの障害物があった場合でも、通信端末装置を介して自走式電子機器を室内の所望の場所に走行させることによって、当該家電製品を操作することができる。
「自走式電子機器」は、走行しながら掃除や空気清浄やイオン発生などの作業を実行するものである。その具体的な態様の一例としては、例えば、自走式電子機器が挙げられる。前述の実施形態において、自走式電子機器は、自走式電子機器に相当する。
この自走式電子機器とは、底面に吸気口を有すると共に内部に集塵部を有する筐体、筐体を走行させる駆動輪、駆動輪の回転、停止及び回転方向等を制御する制御部などを備え、自律的に掃除動作する掃除機を意味し、前述の図面を用いた実施形態によって一例が示される。
また、この発明の自走式電子機器としては、自走式電子機器だけでなく、空気吸引を行い清浄化した空気を排気する空気清浄機が自走するもの、イオン発生を行うイオン発生機が自走するもの、ユーザーに対して必要な情報等を提示するもの、あるいはユーザーが欲する要求を満足できるロボット等が自走するもの等を含む。
「赤外線ノイズ」は、ユーザーが学習させたいリモコン装置が発信するリモコン信号以外の赤外線信号である。それゆえ、ユーザーの操作対象でないリモコン装置が発信するリモコン信号も赤外線ノイズになる。
この発明において、リモコン学習開始前に受信した赤外線信号はすべて赤外線ノイズと判断されるため、赤外線ノイズの判定用の特別の解析を必要としない。
【0112】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)この発明による自走式電子機器は、請求項1に記載の学習リモコン装置と、自走するための走行部を有する筐体と、前記制御部と協働しつつ前記走行部を制御する走行制御部とを備え、前記走行制御部は、前記入力部がリモコンの学習指令を受け付けたとき、前記走行部を制御して前記筐体を方向転換させながら前記赤外線受信部に周囲の赤外線信号の受信を試みさせる。
【0113】
このようにすれば、周囲の赤外線情報をチェックする際に、自走式電子機器の自走機能を活用して方向転換させることにより、赤外線ノイズの検出をより効率的に行うことが可能となる。
【0114】
「前記制御部と協働しつつ」とは、自走式電子機器に搭載された学習リモコン装置の動作に合わせて自走式電子機器を自走させることである。
【0115】
(iii)この発明による自走式電子機器において、前記走行制御部は、前記赤外線受信部が周囲の赤外線信号を受信したとき、前記走行部を制御して前記筐体を予め定められた時間、走行させながら、前記赤外線受信部に周囲の赤外線信号の受信を試みさせるものであってもよい。
【0116】
このようにすれば、リモコン学習時に赤外線ノイズを受信した場合、予め定められた時間、走行させながら、周囲の赤外線情報をチェックすることによって、赤外線ノイズが存在しない(または赤外線ノイズが弱い)場所でのリモコン学習を可能にする。
【0117】
(iv)この発明による自走式電子機器において、前記筐体は、帰還用の赤外線信号を発する充電台に接続するための充電用接続部を備え、前記走行制御部は、前記赤外線受信部が周囲の赤外線信号を受信したとき、前記走行部を制御して前記筐体を移動させ、前記充電用接続部を前記充電台に接続させるものであってもよい。
【0118】
このようにすれば、赤外線ノイズを検出した場合に、自走式電子機器が充電台に接続することにより、充電台から発せられる赤外線の影響を除去することができる。
【0119】
「帰還用の赤外線信号」は、自走式電子機器を誘導して充電台に帰還させるための誘導信号である。一般に、充電台からの赤外線信号の発信は、自走式電子機器の充電用接続部が充電台に接続したときに停止する。
【0120】
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味及び前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。