(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パッド電極は、積層された複数の前記金属配線のうち最も前記一方の主表面から離れた層の前記金属配線以外の前記金属配線と同一の層として形成される、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず
図1〜
図2を用いて、本実施の形態としてウェハ状態の半導体装置について説明する。
【0015】
図1を参照して、半導体ウェハWFには、複数のCMOSイメージセンサ用のチップ領域IMCが形成されている。複数のチップ領域IMCの各々は矩形の平面形状を有し、互いに間隔をあけてアレイ状に配置されている。
【0016】
図1および
図2を参照して、複数のチップ領域IMCの各々には、後述する複数の光電変換素子から構成されている固体撮像素子が形成される。チップ領域IMCは、その中央部に位置する固体撮像素子領域Aと、平面視において固体撮像素子領域Aの外側に形成されるパッド領域Bと、平面視において固体撮像素子領域Aおよびパッド領域Bを囲むように形成されるシールリング領域Cとを有している。パッド領域Bにはパッド電極PAが、シールリング領域CにはシールリングSRが形成されている。
【0017】
半導体ウェハWFにおいては、複数のチップ領域IMCの間に、ダイシングライン領域DLRが形成されている。半導体ウェハWFがダイシングライン領域DLRでダイシングされることにより、半導体ウェハWFは複数個の半導体チップに分割される。ダイシングライン領域DLR(ダイシングライン領域D)は複数のチップ領域IMCのそれぞれを囲むように配置される。
【0018】
ダイシングライン領域DLRには、固体撮像素子などの半導体装置が形成される際に用いられるマークMK(カラーフィルタCFTおよびマイクロレンズLNSなどを形成する際のアライメントマーク、または位置合わせずれを検査するためのマークである、重ね合わせ検査マークもしくはいわゆるBOXマーク)が形成される。
【0019】
次に
図3および
図4を用いて、
図2に示す各領域A〜Dの具体的な構成について説明する。
【0020】
図3を参照して、本実施の形態の固体撮像素子が形成された半導体装置は、たとえばシリコンからなる半導体基板SIに形成されている。半導体基板SIは
図1の半導体ウェハWFの土台となっている。
図3においては半導体基板SIはn型としているが、半導体基板SIはp型であってもよい。半導体基板SIは一方の主表面S1と、一方の主表面の反対側の他方の主表面S2とを有している。半導体基板SIが主表面S1,S2に沿って
図2の領域A〜Dに区画されることにより、半導体装置に領域A〜Dが形成される。
【0021】
チップ領域IMCの固体撮像素子領域Aにおいては、半導体基板SI内に光電変換素子としてのフォトダイオードPDが形成されている。フォトダイオードPDは、n型不純物領域NRとp型不純物領域PRとにより構成されている。
図3においてはフォトダイオードPDが1つのみ示されるが実際には固体撮像素子領域Aには複数のフォトダイオードPDが形成されている。たとえばp型不純物を含むp型ウェル領域PWR1が半導体基板SIの主表面S1に形成されており、n型不純物領域NRはp型ウェル領域PWR1内の半導体基板SIの主表面S1に形成されてもよい。n型不純物領域NRはp型不純物領域PRとpn接合を構成している。
【0022】
固体撮像素子領域Aにおいて、フォトダイオードPDは、転送用トランジスタTXの一部分をなすように配置されている。転送用トランジスタTXはいわゆるMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタとして形成されており、フォトダイオードPDが受光した際に光電変換により形成された電荷を(後述の容量領域FDを用いて)電圧に変換したうえで他のトランジスタなどに転送する機能を有している。
【0023】
転送用トランジスタTXは、1対のソース/ドレイン領域と、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極GEとを有している。ソース領域は上記フォトダイオードPDに相当し、ドレイン領域は容量領域FDに相当する。容量領域FDはたとえばn型不純物領域として形成されている。1対のソース領域PDおよび容量領域FDは、(たとえばp型ウェル領域PWR1内の)半導体基板SIの主表面S1に互いに間隔をおいて配置されている。なお上記の容量領域FDに加えてこれに隣り合うn型不純物領域NRを含めた領域をドレイン領域と考えてもよい。このn型不純物領域NRは上層配線と接続するために形成されている。1対のソース/ドレイン領域に挟まれる半導体基板SUBの主表面S1の上にはゲート絶縁膜GIを挟んでゲート電極GEが形成されている。
【0024】
また、p型ウェル領域PWR1内の半導体基板SUBの主表面S1には、上層配線と接続するためp型不純物領域PRが形成されている。
【0025】
フォトダイオードPDを覆うように半導体基板SIの主表面S1上には、シリコン窒化膜NFとシリコン酸化膜OFとの積層構造よりなる反射防止膜が形成されている。この反射防止膜NF,OFの一方端はゲート電極GEの一方上に乗り上げている。また反射防止膜NF,OFの残渣としてゲート電極GEの他方の側壁にはシリコン窒化膜NFとシリコン酸化膜OFとからなる側壁絶縁層SWが形成されている。反射防止膜または側壁絶縁層を構成するシリコン窒化膜NFとシリコン酸化膜OFとの積層の順序は上記と逆であってもよい。
【0026】
固体撮像素子領域Aにおいて、フォトダイオードPDを含む転送用トランジスタTXの外側には、複数のフォトダイオードPDの動作を制御するための制御素子が形成されている。この制御素子はたとえばMISトランジスタPMSを含んでおり、MISトランジスタPMSは半導体基板SIの主表面S1に形成されている。なおたとえばp型不純物を含むp型ウェル領域PWR2が半導体基板SIの主表面S1に形成されており、MISトランジスタPMSのソース領域などの構成要素はp型ウェル領域PWR2内の半導体基板SIの主表面S1に形成されてもよい。
【0027】
このMISトランジスタPMSは、1対のたとえばn型のソース/ドレイン領域NR,NNRと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極GEとを有している。1対のソース/ドレイン領域を構成するn型不純物領域NNRは、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)として形成された、n型不純物領域NRよりもn型不純物濃度が低い領域である。1対のソース/ドレイン領域の各々は、互いに間隔をあけて半導体基板SIの主表面S1に形成されている。
【0028】
1対のn型ソース/ドレイン領域NR,NNRに挟まれる半導体基板SIの主表面S1の上にはゲート絶縁膜GIを挟んでゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GEの側壁には、反射防止膜の残渣として、窒化膜NFと酸化膜OFとからなる側壁絶縁層SWが形成されている。
【0029】
転送用トランジスタTXとMISトランジスタPMSとのゲート電極GEの材質はたとえば不純物がドープされた多結晶シリコンからなっていてもよく、またたとえば窒化チタン(TiN)などの金属からなっていてもよい。
【0030】
上記の転送用トランジスタTXとMISトランジスタPMSとは、半導体基板SIの主表面S1に形成されたフィールド酸化膜FOにより互いに平面視において分離されている。フィールド酸化膜FOの底面(半導体基板SIの主表面S2に最も近い面)に接するようにフィールド酸化膜FOの外側にはたとえばp型の分離領域ISRが配置されてもよい。この分離領域ISRは、フィールド酸化膜FOの電気的分離作用を補強する機能を有する。
【0031】
なおn型およびp型についてはすべて上記と逆になってもよい。
チップ領域IMCのパッド領域Bにおいては、半導体基板SIの一方の主表面S1から他方の主表面S2側に向けて延びるマーク状外観部MKが形成されている。マーク状外観部MKは、周囲絶縁膜IF(絶縁膜)と内部導電膜CF(導電膜)とにより形成されている。
【0032】
より具体的には、パッド領域Bの半導体基板SIには、主表面S1から主表面S2側に向けて半導体基板SI内を延びるように溝部TH2が形成されている。この溝部TH2の内部の壁面、すなわち溝部TH2の内部の側面の全体を覆うように、周囲絶縁膜IFが形成されている。本実施の形態においては周囲絶縁膜IFは溝部TH2の内部の側面のみならずその底面も覆うように形成されている。溝部TH2内において周囲絶縁膜IFに囲まれるように、周囲絶縁膜IFの内側に内部導電膜CFが形成されている。ここでは周囲絶縁膜IFとしてたとえばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはシリコン酸窒化膜が用いられることが好ましく、内部導電膜CFとしてたとえば不純物がドープされた多結晶シリコンが用いられることが好ましい。本実施の形態においては溝部TH2内の周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFがマーク状外観部MKを構成している。
【0033】
本実施の形態においては、マーク状外観部MK(溝部TH2)は、半導体基板SIの一方の主表面S1から他方の主表面S2まで半導体基板SIをその厚み方向に貫通するように形成されており、他方の主表面S2からさらに図の下側に突出している。
【0034】
チップ領域IMCのシールリング領域Cにおいては、半導体基板SIの一方の主表面S1に(たとえば固体撮像素子領域Aと同様の)n型不純物領域NRおよびフィールド酸化膜FOが形成されてもよい。
【0035】
図3においては
図1および
図2の半導体ウェハWFがダイシングライン領域DLRにおいて個々のチップ領域IMCに切断された状態を示している。このため
図3においてはチップ領域IMCの最外部であるシールリング領域Cの端部はエッジEGEとして露出しており、チップ領域IMC(領域A〜C)とダイシングライン領域DLR(領域D)とは互いに分けて図示されている。
【0036】
ダイシングライン領域Dにおいては、半導体基板SI内に
図2のダイシングライン領域DLRに示すマークMKが形成されている。このマークMKは少なくとも
図3の断面図においてはパッド領域Bのマーク状外観部MKと同様の態様を有しており、半導体基板SIの主表面S1から主表面S2まで(主表面S2を超えて)半導体基板SI内を貫通するように延びる溝部TH2の内部の側面および底面の双方の全体を覆う周囲絶縁膜IF、およびその内部の内部導電膜CFにより構成されている。
【0037】
ダイシングライン領域DのマークMKは、後述するカラーフィルタCFTおよびマイクロレンズLNSなどを形成する際のアライメントマーク部として形成される。そしてこのマークMKを構成する周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFは、上記マーク状外観部MKを構成する周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFと同一の層として形成される。このためマークMKはパッド領域Bのマーク状外観部MKと同様の態様を有している。
【0038】
次に、上記の各領域A〜Dにおいては、半導体基板SIの主表面S1上に、上記の転送用トランジスタTX、MISトランジスタPMS、マーク状外観部MKなどを覆うように層間絶縁膜II1が形成されている。チップ領域A,B,Cにおいては、層間絶縁膜II1上に、パターニングされた1層目の金属配線M1が形成されている。この1層目の金属配線M1は、層間絶縁膜II1のコンタクトホール内を埋め込むコンタクト導電層CTを通じて、たとえばp型不純物領域PR、n型不純物領域NRまたは内部導電膜CFに電気的に接続されている。
【0039】
上記の各領域A〜Dにおいては、金属配線M1を覆うように層間絶縁膜II1上に層間絶縁膜II2が形成されている。チップ領域A,B,Cにおいては、層間絶縁膜II2上に、パターニングされた2層目の金属配線M2が形成されている。この2層目の金属配線M2は、層間絶縁膜II2のスルーホール内を埋め込む導電性のビア層VAを通じて1層目の金属配線M1と電気的に接続されている。
【0040】
上記の各領域A〜Dにおいては、金属配線M2を覆うように層間絶縁膜II2上に層間絶縁膜II3が形成されている。チップ領域A,B,Cにおいては、層間絶縁膜II3上に、パターニングされた3層目の金属配線M3が形成されている。この3層目の金属配線M3は、層間絶縁膜II3のスルーホール内を埋め込む導電性のビア層VAを通じて2層目の金属配線M2と電気的に接続されている。
【0041】
金属配線M3は、複数の金属配線のうち最も上層(半導体基板SIの主表面S1から最も離れた層)に形成されている。このため金属配線M3は金属配線M1〜M2よりも厚く形成されることが好ましい。
【0042】
上記の各領域A〜Dにおいては、金属配線M3を覆うように層間絶縁膜II3上に層間絶縁膜II4が形成されている。層間絶縁膜II4の最上面(半導体基板SIの主表面S1から最も離れた面)にはたとえばシリコンからなる支持基板SUBが貼り合わせられている。なお図示されないが、層間絶縁膜II4と支持基板SUBとの貼り合わせはたとえばシリコン酸化膜からなる接合層によりなされることが好ましい。
【0043】
上記において、層間絶縁膜II1,II2,II3,II4はたとえばシリコン酸化膜よりなっており、金属配線M1,M2,M3,M4はたとえばアルミニウムの薄膜により形成されている。コンタクト導電層CTはコンタクトホール内に充填されるたとえばタングステンの薄膜により形成される。ビア層VAは層間絶縁膜のスルーホール内を埋め込むたとえばタングステンの薄膜により形成される。
【0044】
以上のようにチップ領域IMCの半導体基板SIの主表面S1側には金属配線M1〜M3、コンタクト導電層CTおよびビア層VAからなる配線層ILが形成され、この配線層ILとフォトダイオードPD(を含む転送用トランジスタTX)とが電気的に接続されている。これにより、フォトダイオードPDを含む転送用トランジスタTXとその他の内部回路との間での電気信号の入出力が可能となっている。
【0045】
一方、上位の各領域A〜Dにおいては、半導体基板SIの主表面S2側(図の主表面S2の下側)に反射防止膜ARCおよび層間絶縁膜IIがこの順に積層されている。なおパッド領域Bおよびダイシングライン領域DLRのマーク(マーク状外観部)MKが形成される領域においては、マークMKが主表面S2から図の下側に突出している場合にはこれに合わせるように反射防止膜ARCが
図3の下側に突出(屈曲)してもよい。
【0046】
反射防止膜ARCはたとえばシリコン窒化膜または金属酸化膜のような、屈折率の値がシリコン単結晶の屈折率とシリコン酸化膜の屈折率との中間の値を有する材質により形成されている。層間絶縁膜IIはたとえばシリコン酸化膜により形成されている。
【0047】
たとえば反射防止膜ARCが配置されなければ、シリコンからなる半導体基板SIとシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜IIとが互いに接するように積層されるため、これらの屈折率の差により、当該領域に入射した光は高い割合で反射する。しかし半導体基板SIと層間絶縁膜IIとの間に、シリコン窒化膜などの屈折率がシリコン酸化膜とシリコン単結晶との中間の値を有する材質により形成された反射防止膜ARCを有することにより、上記の反射の割合を下げることができる。このため所望の光をより高効率にフォトダイオードPDに入射することができる。
【0048】
層間絶縁膜II上(
図3の下側)には、特に領域AのMISトランジスタPMSが形成される領域と重なる領域に、遮光膜LSFが形成されており、遮光膜LSFを覆うように平坦化膜FFが形成されている。遮光膜LSFは特にMISトランジスタPMSへの光の乱入を抑制するために形成されており、アルミニウムやタングステンの薄膜など、フォトダイオードPDに照射する光に対して遮光性を有する材料の薄膜により形成されている。
【0049】
平坦化膜FFは、たとえばSOG(Spin On Glass)のような塗布系のシリコン酸化膜が遮光膜LSFおよび層間絶縁膜IIを覆うように塗布され、これを回転させることにより形成される。上記回転による形成後の平坦化膜FFの上面(図の下側の面)は、凹凸が減少して平坦になる。
【0050】
平坦化膜FFにより平坦となった面上の、特に領域AのフォトダイオードPDが形成される領域と重なる領域に、
図3に示されないがカラーフィルタCFTおよびマイクロレンズLNS(
図5参照)が形成されている。すなわち本実施の形態のCMOSイメージセンサは、フォトダイオードPDと電気信号のやり取りを行なう配線層ILが形成された表面側(半導体基板SIの主表面S1側)からではなくその反対側の裏面側(半導体基板SIの主表面S2側)からマイクロレンズLNSを通してフォトダイオードPDに光を照射するいわゆる裏面照射型である。
【0051】
ここで
図3および
図4を用いて、パッド領域Bについてより詳細に説明する。
パッド領域Bにおいては、たとえば固体撮像素子領域Aにおける最上層(半導体基板SIの主表面S1から最も離れた層)の金属配線M3と同一の層としてパッド電極PAが形成されている。このパッド電極PAは、半導体基板SIの主表面S1側において平面視においてマーク状外観部MKと重なる位置に配置されている。
【0052】
パッド電極PAは、たとえば領域Aの配線層ILの少なくとも一部であるコンタクト導電層CT、金属配線M1,M2およびビア層VAと同一の層として領域Bに形成されるコンタクト導電層CT、金属配線M1,M2およびビア層VAからなる接続部SRにより、マーク状外観部MKの内部導電膜CFと(電気的に)接続されている。
【0053】
図3および
図4を参照して、パッド領域Bにおいては、マーク状外観部MKと平面視においてほぼ重なる位置に接続部SRが形成されている。これらの領域SR,MKはパッド領域B内の比較的外側の領域に、平面視においてパッド領域Bの中央部を囲むようにたとえば矩形状に形成されている。そしてパッド領域Bの中央部には、平坦化膜FFの図の下側の面から(半導体基板SIの他方の主表面S2側から)図の上下方向に延び、パッド電極PAまで到達する開口部THが形成されている。すなわちパッド電極PAの、半導体基板SIの主表面S2側(下側)の面の少なくとも一部は、平坦化膜FFの図の下側の面から(半導体基板SIの他方の主表面S2側から)パッド電極PAまで到達する開口部THにより露出されている。このパッド電極PAの露出部から電気信号を取り出したりパッド電極PAに電位を印加したりすることができる。
【0054】
以上より、パッド領域Bにおいては、マーク状外観部MKおよび接続部SRは、平面視における開口部THの外周を矩形状に囲むように配置されている。
図4に示すように、本実施の形態のパッド領域Bにおいては、マーク状外観部MKおよび接続部SRは、平面視における開口部THの外周の全体を囲むように配置されている。すなわちマーク状外観部MKおよび接続部SRは開口部THの外周を一周分、矩形状に囲むように配置されている。
【0055】
一方、ダイシングライン領域DのマークMKは、
図3の断面図で見る限りはパッド領域Bのマーク状外観部MKと同様の態様を有するが、必ずしも平面視においてマーク状外観部MKのような矩形状に周回する形状を有していなくてもよい。
【0056】
また
図2および
図3を参照して、領域A,B(フォトダイオードPDおよびパッド電極PA)を外側からたとえば矩形状に囲むように、チップ領域IMC内の最外部のシールリング領域CにはシールリングSRが形成されている。シールリング領域CのシールリングSRは、パッド領域Bの接続部SRのコンタクト導電層CT、金属配線M1,M2、ビア層VAおよびパッド領域Bの金属配線M3と同一の層として形成される。このためシールリング領域CのシールリングSRは、基本的にパッド領域Bの接続部SRと同様の態様を有している。ただしここでは領域Bの接続部SRはパッド電極PAを除外するものと定義し、領域CのシールリングSRはパッド電極PAと同一の層である金属配線M3も含むものと定義する。
【0057】
シールリング領域Cに形成されるシールリングSRは、ダイシングライン領域Dにおいて切断されたチップ領域IMC(半導体チップ)のエッジEGEから内部への水分の侵入を抑制する機能を有している。
【0058】
以上が本実施の形態の半導体装置の構成であるが、
図5を参照して、以降においては、
図3および
図4と基本的に同様であるが、
図3の構成をより簡略化して示した概略断面図を用いて説明する。すなわち主に固体撮像素子領域Aに複数形成されるフォトダイオードPDおよびパッド領域Bについて説明する。
【0059】
次に
図6〜
図18を用いて、以上に説明した本実施の形態の半導体装置(
図5参照)の製造方法を説明する。ただし説明の便宜上、
図6〜
図10には領域A,B,Dが示されるのに対し、
図11〜
図18には領域A,Bのみが示される。
【0060】
図6を参照して、まず一方の主表面S1および他方の主表面S2を有する半導体基板SIが準備される。このとき半導体基板SIの内部に、主表面S1に沿うように形成されたたとえばシリコン酸化膜からなる絶縁膜層BXが埋め込まれたいわゆるSOI(Silicon on Insulator)基板としてのSOIウェハSWFが準備されることが好ましい。ただしここでは説明の便宜上、
図6における絶縁膜層BXの上側の半導体基板を
図3等に示す半導体基板SIとし、
図6における絶縁膜層BXの下側の半導体基板を基板SBとしている。このため基板SBは半導体基板SIと同一の材質からなっている。また半導体基板SIの絶縁膜層BXと接する主表面を
図3等の主表面S2と同様の他方の主表面S2としている。
【0061】
次に、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、SOIウェハSWFの主表面S1上にシリコン酸化膜IIIが形成される。シリコン酸化膜III上に感光体としてのフォトレジストPHRが塗布される。通常の写真製版技術により、特に領域B,Dにおいてマーク(マーク状外観部)MKが形成されるべき領域と平面的に重なる領域に開口を有するようにフォトレジストPHRがパターニングされる。このパターニングされたフォトレジストPHRをマスクとしてシリコン酸化膜IIIがエッチングされることにより、マーク(マーク状外観部)MKが形成されるべき領域と平面的に重なる領域に溝部TH1が形成される。
【0062】
なお上記のようにダイシングライン領域DのマークMKが形成されるべき領域は必ずしもマーク状外観部MKが形成されるべき領域のような周回する矩形状を有さなくてもよいが、ここでは便宜上この領域に形成される開口についてもパッド領域Bの開口と同様に溝部TH1と表現する。
【0063】
図7を参照して、フォトレジストPHRが通常のアッシングなどにより除去された後、形成されたシリコン酸化膜IIIのパターンをマスクとして、通常のエッチング技術により、領域B,Dの溝部TH1の真下に、SOIウェハSWFの半導体基板SIの一方の主表面S1から他方の主表面S2側に向けて延びる溝部TH2が形成される。このとき他方の主表面S2を超えてその真下の絶縁膜層BXの一部(たとえば深さ数十nm分程度)をオーバーエッチングするように溝部TH2が形成されることが好ましい。
【0064】
以上のように本実施の形態においては、パッド領域Bのマーク状外観部MKを形成するための溝部TH2(第2の溝部)とダイシングライン領域DのマークMKを形成するための溝部TH2(第1の溝部)とは同時に形成される。この結果、パッド領域Bのマーク状外観部MKを形成するための溝部TH2(第2の溝部)とダイシングライン領域DのマークMKを形成するための溝部TH2(第1の溝部)とはいずれも同じ深さ(絶縁膜層BXの一部をオーバーエッチングする深さ)まで形成される。
【0065】
図8を参照して、溝部TH2の内部の側面の全体および底面を覆うように、シリコン酸化膜IIIのパターン上に、たとえばCVD法により周囲絶縁膜IFが形成される。次に周囲絶縁膜IFの上面を覆うように、たとえばCVD法により内部導電膜CFが形成される。周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFにより溝部TH2の内部が充填される。
【0066】
図9を参照して、CMP(Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれる化学機械的研磨法により、シリコン酸化膜IIIのパターン上の周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFが除去され、周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFが除去された面が平坦となるように研磨される。これにより溝部TH2内には周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFからなるマークMKおよびマーク状外観部MKが形成される。
【0067】
本実施の形態においては、マークMKおよびマーク状外観部MKは、半導体基板SIの主表面S1から主表面S2まで半導体基板SIを貫通するように延びており、主表面S2よりも図の下側まで突出するように延びている。
【0068】
図10を参照して、次に一般公知のMISトランジスタの製造技術を用いて、固体撮像素子領域Aにおける半導体基板SI内に、フォトダイオードPD、容量領域FD、ゲート絶縁膜GI、ゲート電極GE、フィールド酸化膜FOなどが形成されることにより、複数の転送用トランジスタTXが形成される。
【0069】
以上のように本実施の形態においては、マーク状外観部MKは、フォトダイオードPDの形成される前に形成される。またマーク状外観部MKおよびマークMKは、溝部TH2内において周囲絶縁膜IFの内側にたとえば不純物がドープされた多結晶シリコンからなる内部導電膜CFが形成されることにより形成される。
【0070】
図11を参照して、領域A,Bともに、転送用トランジスタTXを覆うように、半導体基板SIの主表面S1上に、たとえばCVD法により層間絶縁膜II1が形成される。その後、当該層間絶縁膜II1がCMPにより上面が平坦となるように研磨される。さらに通常の写真製版技術およびエッチング技術により、容量領域FD(転送用トランジスタTXのドレイン領域としてのn型不純物領域)やマーク状外観部MKの内部導電膜CFに達するように層間絶縁膜II1にコンタクトホールが形成される。次にそのコンタクトホールの内部にたとえばタングステンよりなる導電膜が充填される。この処理においてはたとえばCVD法が用いられ、層間絶縁膜II1上にもタングステンの薄膜が形成される。層間絶縁膜II1上のタングステンの薄膜はCMPにより除去される。以上によりコンタクトホール内にはコンタクト導電層CTが形成される。
【0071】
図12を参照して、層間絶縁膜II1上にたとえばアルミニウムまたは銅からなる薄膜が、たとえばスパッタリングにより形成される。そして通常の写真製版技術およびエッチング技術により、各領域A,Bにおいてコンタクト導電層CTを覆うように金属配線M1が形成される。
【0072】
次に詳述を省略するが、半導体基板SIの一方の主表面S1側に、上記の層間絶縁膜II1、コンタクト導電層CTおよび金属配線M1の形成と同様の手順により、層間絶縁膜II2,II3,II4、ビア層VA、金属配線M1〜M3およびパッド電極PAが形成される(ビア層VAはコンタクト導電層CTと同様の手順により形成される)。したがって各領域A,Bにおける上記同一の構成要素は同時に同一の処理により形成される(領域Aの金属配線M3と領域Bのパッド電極PAとは同一である)。すなわち領域Bの接続部SRを形成する工程の少なくとも一部は領域Aの配線層ILを形成する工程と同時になされることにより、接続部SRの金属配線M1,M2およびパッド電極PA(接続部の少なくとも一部)は、領域AにおいてフォトダイオードPDと電気的に接続される配線層ILを構成する金属配線M1〜M3(金属配線の少なくとも一部)と同一の層を含むように形成される。
【0073】
なおコンタクト導電層CTおよびビア層VAは、上記のタングステンの他に、たとえばチタン、窒化チタンまたは銅により形成されてもよい。また上記においては半導体基板SIの主表面S1上に3層の層間絶縁膜II2,II3,II4が形成されるが、層間絶縁膜の形成される層数はこれに限られない。
【0074】
これにより領域Aには配線層ILが形成される。また領域Bにはマーク状外観部MKと重なる位置にパッド電極PAが形成され、かつパッド電極PAとマーク状外観部MKとを接続する接続部SRが形成される。なお接続部SRおよびマーク状外観部MKは、平面視においてパッド電極PAの比較的外側の領域と重なるように形成されることが好ましい。
【0075】
なお図示されないが、シールリング領域CのシールリングSRを構成する金属配線M1〜M3、ビア層VA、コンタクト導電層CTについても、固体撮像素子領域Aの配線層ILおよびパッド領域Bの接続部SRを構成する上記金属配線M1〜M3およびビア層VAなどと同一の層として同時に形成される。
【0076】
図13を参照して、CMPにより上面が平坦となるように研磨された層間絶縁膜II4の上面の上に、たとえばシリコン酸化膜からなる図示されない接着層が、たとえばCVD法により形成される。
【0077】
さらに、SOIウェハSWFとは別個の、たとえばn型不純物を含むシリコンからなる支持基板SUBが準備され、この支持基板SUBの一方の主表面上に、たとえばシリコン酸化膜からなる図示されない接着層が、たとえばCVD法により形成される。そして層間絶縁膜II4の上面上の接着層と支持基板SUBの主表面上の接着層とが互いに対向するように接触させた状態で、通常の接合技術により、両者が貼り合わせられる。
【0078】
図14を参照して、少なくとも絶縁膜層BXの上面が露出するように、たとえばCMPによる研磨がなされることにより基板SBが除去される。次に基板SBの残骸を除去するためにたとえばアルカリ溶液を用いて通常のウェットエッチングがなされることにより、基板SBがほぼ完全に除去され、絶縁膜層BXの平坦度の高い表面が露出される。このとき、絶縁膜層BXはエッチングストッパとして機能する。
【0079】
図15を参照して、少なくともパッド領域Bにおけるマーク状外観部MKの底面が露出するまで、たとえばCMPによる研磨がなされることによりシリコン酸化膜からなる絶縁膜層BXが除去される。次に絶縁膜層BXの残骸を除去するためにたとえばフッ酸系の薬液を用いて通常のウェットエッチングがなされる。なお
図15に示すように半導体基板SIが露出するまで絶縁膜層BXが完全に除去されてもよいが、マーク状外観部MKの底面が露出するまで絶縁膜層BXが除去され、薄膜化された絶縁膜層BXが残存してもよい。また図示されないが、ダイシングライン領域Dについても上記パッド領域Bと同様に、少なくともマークMKの底面が露出するまで絶縁膜層BXが除去される。
【0080】
図16を参照して、
図15の工程において露出されたマーク状外観部MKの底面を覆うように、半導体基板SI(または薄膜化された絶縁膜層BX)上に反射防止膜ARC、層間絶縁膜II、遮光膜LSFがこの順に積層される。なお図示されないが反射防止膜ARCの形成前にまず薄いシリコン酸化膜が形成されてもよい。
【0081】
次に通常の写真製版技術により、遮光膜LSFのパターンが特にフォトダイオードPDと平面的に重ならない領域に形成されるためのフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0082】
図17を参照して、まず上記フォトレジストPHRのパターンを用いた通常のエッチング技術により、遮光膜LSFのパターンが形成される。フォトレジストPHRが除去された後、遮光膜LSFを覆うように層間絶縁膜II上に平坦化膜FFが形成される。
【0083】
次に平坦化膜FF上にフォトレジストPHRが塗布され、通常の写真製版技術およびエッチング技術により、パッド電極PAの他方の主表面S2側(図の下側)の面の少なくとも一部を露出するように、平坦化膜FFから、層間絶縁膜II、反射防止膜ARC、半導体基板SI、層間絶縁膜II1〜II3を貫通してパッド電極PAの表面の一部まで到達する開口部THが形成される。この開口部THは、平面視においてマーク状外観部MKおよび接続部SRの内部に形成される。逆に言えばマーク状外観部MKおよび接続部SRは、平面視において開口部THの外周の少なくとも一部を囲むように形成される。
【0084】
図18を参照して、領域Aの平坦化膜FFの上面(たとえばフォトダイオードPDと平面視において重なる領域)に、カラーフィルタCFTおよびマイクロレンズLNSが形成される。これらが形成される位置は、平坦化膜FFの上方からたとえばダイシングライン領域DのマークMK(またはパッド領域Bのマーク状外観部MK)を視認することにより調整される。
【0085】
次に、
図19および
図20を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0086】
図19を参照して、比較例においては、パッド領域Bにおいて、パッド電極PA(に接続される接続部SR)と(接地電位に固定される)半導体基板SIとが、接続部SRと半導体基板SIとの間に配置されたフィールド酸化膜FOによって電気的に絶縁されている。パッド電極PAの電気信号は接続部SRを通ってMISトランジスタのゲート電極GEに伝えられる。
【0087】
フィールド酸化膜FOは耐湿性が低い。このため、たとえシールリング領域CのシールリングSRによりチップ領域IMCのエッジEGEから内部への水分の侵入が抑制できたとしても、開口部THからフィールド酸化膜FOを伝って水分が容易に半導体基板SIのフォトダイオードPDなどの内部に侵入する可能性がある。この現象は、特にたとえば
図19のフィールド酸化膜FOの左側の端部から右側の端部までの距離が短い場合に起こりやすくなる。
【0088】
図20を参照して、そこで本実施の形態においては、パッド電極PAに接続される接続部SRと半導体基板SIとの電気的な絶縁が、溝部TH2の側面の全体および底面を覆う絶縁膜IFを含むマーク状外観部MKにより実現される。この場合、たとえば開口部THから半導体基板SI内に入ろうとする水分は、マーク状外観部MKにおいては、絶縁膜IFを溝部THの側面に沿って一周するように伝わらない限り、半導体基板SI内に侵入しない。また接続部SRにおいては導電性の金属配線M1〜M3およびビア層VAにより水分の侵入を抑制することができる。以上より本実施の形態は、
図19のフィールド酸化膜FOを用いた場合に比べて、接続部SRとマーク状外観部MKとにより、パッド電極PAの開口部THから半導体基板SI内への水分侵入を抑制する効果を高めることができる。
【0089】
本実施の形態のマーク状外観部MKは溝部TH2の側面および底面の全体を覆うように周囲絶縁膜IFが形成されるが、たとえ側面のみの全体を覆うように周囲絶縁膜IFが形成されたとしても、少なくとも溝部TH2の深さ分の長さ(通常はフィールド酸化膜FOの幅よりも大きい)の水分の経路ができる。このため少なくともフィールド酸化膜FOに比べて水分の侵入を抑制する効果が高められ、半導体装置の高い信頼性を確保することができる。
【0090】
すなわち本実施の形態においては、チップ領域IMCのエッジEGEから内部への水分侵入がシールリング領域CのシールリングSRにより抑制されるとともに、パッド電極PAの開口部THからの水分侵入がパッド領域Bの接続部SRおよびマーク状外観部MKにより抑制される。このため、半導体装置の内部への水分侵入がより確実に抑制できる。
【0091】
またマーク状外観部MKが、溝部TH2内の絶縁膜IFの内側に導電膜CFを含む構成を有している。導電膜CFは絶縁膜IFに比べて耐水性が高いため、上記のように開口部THから半導体基板SI内に侵入しようとする水分をマーク状外観部MKにおいてブロックする効果がいっそう高められる。導電膜CFがあれば水分は
図20のマーク状外観部MKを横方向に侵入することができない。このためたとえば
図20の構成においては、溝部TH2の側面の全体および底面を覆う周囲絶縁膜IFを一周することにより初めて半導体装置内への水分の侵入が可能となる。このような周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFを有するマーク状外観部MK、および上記の接続部SRが、平面視における開口部THの外周の全体を囲むように配置されるため、マーク状外観部MKなどが開口部THから内部への水分の侵入を抑制する効果がいっそう高められる。
【0092】
マーク状外観部MKが半導体基板SIの一方の主表面S1から他方の主表面S2まで半導体基板SIを貫通するように形成されるため、マーク状外観部MKは(同じく半導体基板SIを貫通する)ダイシングライン領域DのマークMKと同様に半導体基板SIの他方の主表面S2側から視認してアライメントマークとして使用することも可能となる。このためマーク状外観部MKはパッド電極PAの半導体基板SIとの絶縁性を確保する機能とともに、アライメントマークとしての機能を兼ね備えることができる。
【0093】
上記のマーク状外観部MKが半導体基板SIを貫通する形状は、マーク状外観部MKとダイシングライン領域DのアライメントマークとしてのマークMKとが同時に同一の層として形成されることにより形成可能となる。また上記のようにマークMKとマーク状外観部MKとを同時に形成することにより、既存の工程(マークMKを形成する工程)を利用して(新たに工程を増やすことなく)マーク状外観部MKを形成することができるため、工程削減およびコスト削減につながる。
【0094】
またパッド領域Bの接続部SRの少なくとも一部(金属配線M1,M2など)が固体撮像素子領域Aの配線層ILの少なくとも一部(金属配線M1,M2など)と同一の層を含むように形成されるため、既存の工程(配線層ILを形成する工程)を利用して(新たに工程を増やすことなく)接続部SRを形成することができるため、工程削減およびコスト削減につながる。
【0095】
また本実施の形態においてはマーク状外観部MKがフォトダイオードPDの前に形成されることから、これが逆の順序である場合に比べて工程数を削減することができる。
【0096】
さらに本実施の形態においては、たとえばパッド領域Bにマーク状外観部MKが形成されない場合に比べて、マーク状外観部MKおよびマークMKを形成するための溝部TH2を同時に形成する際にエッチングすべき面積が大きくなる。このためエッチングの制御性が向上される。
【0097】
(実施の形態2)
まず
図21を用いて、本実施の形態の半導体装置の、特に固体撮像素子領域Aおよびパッド領域Bの構成について説明する。
【0098】
図21を参照して、本実施の形態においては、主にパッド領域Bのマーク状外観部MKの構成において実施の形態1と異なっている。
【0099】
具体的には、マーク状外観部MKが、溝部TH2内の周囲絶縁膜IF(絶縁膜)と内部金属膜MF(導電膜)とにより形成されている。内部金属膜MFは、固体撮像素子領域Aのコンタクト導電層CTと同一の層として形成されており、たとえば金属材料であるタングステンの薄膜により形成されている。
【0100】
半導体基板SIの主表面S1上には層間絶縁膜II1,II2がこの順に積層されている。内部金属膜MF(およびこれと同一の層であるコンタクト導電層CT)は、層間絶縁膜II2および層間絶縁膜II1を貫通する構成となっている。内部金属膜MFはさらに半導体基板SIの主表面S1から主表面S2まで半導体基板SIをその厚み方向に貫通し、主表面S2からさらに図の下側に突出している。
【0101】
周囲絶縁膜IFは、層間絶縁膜II2と同一の層として、層間絶縁膜II1内および、半導体基板SIの主表面S1から主表面S2までを延びる溝部TH2の側面の全体を覆うように形成されている。ただし周囲絶縁膜IFは溝部TH2の底面をも覆うように形成されてもよい。
【0102】
図21において、内部金属膜MFは溝部TH2内のみならずさらに層間絶縁膜II2と同一の層の領域、および半導体基板SIの主表面S2よりさらに図の下側まで延びている。本実施の形態においては溝部TH2の外側の内部金属膜MFを含めてマーク状外観部MKを構成すると考えてもよいし、溝部TH2内の内部金属膜MFのみがマーク状外観部MKを構成すると考えてもよい。
【0103】
本実施の形態においては、各領域A,Bにおいて、層間絶縁膜II2上に金属配線M1が、層間絶縁膜II3上に金属配線M2が、層間絶縁膜II4上に金属配線M3およびパッド電極PAが、それぞれ形成されており、これらの各金属配線M1〜M3同士を接続するようにビア層VAが形成されている。すなわち本実施の形態の金属配線M1〜M3は実施の形態1の金属配線M1〜M3に比べて層間絶縁膜1層分ずつ上層に配置されている。また領域Bの半導体基板SIの主表面S1にフィールド酸化膜FOが形成されてもよい。
【0104】
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、パッド領域Bにおける開口部THが、平坦化膜FFの図の下側の面から(半導体基板SIの他方の主表面S2側から)図の上下方向に延び、パッド電極PAまで到達するように形成されている。パッド領域Bにおけるマーク状外観部MKおよび接続部SRは、平面視における開口部THの外周の全体を矩形状に囲むように配置されている。
【0105】
なお図示されないが、本実施の形態のシールリング領域Cは(金属配線M1〜M3が層間絶縁膜1層分ずつ上層に配置される点を除き)実施の形態1のシールリング領域C(
図3参照)と基本的に同様の構成である。また本実施の形態のダイシングライン領域Dは(金属配線M1〜M3が層間絶縁膜1層分ずつ上層に配置される点を除き)実施の形態1のダイシングライン領域D(
図3参照)と基本的に同様である。しかし当該ダイシングライン領域は、マークMKがパッド領域Bのマーク状外観部MKと同様の態様(溝部TH2内の周囲絶縁膜IFと内部金属膜MFと)を有しており、半導体基板SIの主表面S1にフィールド酸化膜FOが形成されている。
【0106】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0107】
次に
図22〜
図30を用いて、以上に説明した本実施の形態の半導体装置(
図21参照)の製造方法を説明する。ただし説明の便宜上、
図22〜
図27には領域A,B,Dが示されるのに対し、
図28〜
図30には領域A,Bのみが示される。
【0108】
図22を参照して、実施の形態1(
図6参照)と同様に一方の主表面S1および他方の主表面S2を有し、半導体基板SIおよび絶縁膜層BXを含むSOIウェハSWFが準備される。固体撮像素子領域Aにおける半導体基板SI内に、実施の形態1と同様にフォトダイオードPD、容量領域FD、ゲート絶縁膜GI、ゲート電極GE、フィールド酸化膜FOなどが形成されることにより、複数の転送用トランジスタTXが形成される。このとき領域B,Dにも、特にマーク状外観部MK、接続部SRおよび開口部THと平面的に重なる領域には、半導体基板SIの主表面S1にフィールド酸化膜FOが形成される。パッド領域Bのフィールド酸化膜FOは固体撮像素子領域Aのフィールド酸化膜FOと同時に形成される。
【0109】
図23を参照して、たとえばCVD法を用いて、転送用トランジスタTXを覆うように、SOIウェハSWFの主表面S1上に、たとえばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜II1が形成される。その後、当該層間絶縁膜II1がCMPにより上面が平坦となるように研磨される。
【0110】
次に、層間絶縁膜II1上に感光体としてのフォトレジストPHRが塗布される。通常の写真製版技術により、特に領域B,Dにおいてマーク(マーク状外観部)MKが形成されるべき領域と平面的に重なる領域に開口を有するようにフォトレジストPHRがパターニングされる。このパターニングされたフォトレジストPHRをマスクとして層間絶縁膜II1がエッチングされることにより、マーク(マーク状外観部)MKが形成されるべき領域と平面的に重なる領域に溝部TH1が形成される。なお層間絶縁膜II1の主表面S2側(図の下側)のフィールド酸化膜FOに達するように溝部TH1が形成されてもよい。
【0111】
図24を参照して、フォトレジストPHRが通常のアッシングなどにより除去された後、形成されたシリコン酸化膜IIIのパターンをマスクとして、通常のエッチング技術により、領域B,Dの溝部TH1の真下に、SOIウェハSWFの半導体基板SIの一方の主表面S1から他方の主表面S2側に向けて延びる溝部TH2が形成される。本実施の形態においては溝部TH2を形成するためのエッチングは主表面S2において(絶縁膜層BXをエッチングストッパとして)終了することが好ましい。このようにすれば複数の溝部TH2の間で図の上下方向の深さがほぼ一定になるように精密に制御することが可能となる。
【0112】
図25を参照して、溝部TH2の側面を覆うように、層間絶縁膜II1上に、たとえばCVD法を用いて、たとえばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜II2が形成される。層間絶縁膜II2は溝部TH2の少なくとも側面の全体を覆い、底面の一部または全体を覆ってもよい。なお溝部TH2の内側においては、層間絶縁膜II2が充填されないことによりエアギャップAGと呼ばれる空孔が形成されてもよい。
【0113】
次に当該層間絶縁膜II2がCMPにより上面が平坦となるように研磨される。層間絶縁膜II2上にフォトレジストPHRが塗布される。通常の写真製版技術およびエッチング技術により、固体撮像素子領域Aには、転送用トランジスタTXとの間で電気信号の入出力を行なうコンタクト導電層CTを形成するためのホールHLが形成される。ホールHLは層間絶縁膜II2,II1を貫通して半導体基板SIの主表面S1(たとえばドレイン領域としての容量領域FD)に達するように形成される。
【0114】
図26を参照して、
図25の工程のフォトレジストPHRが除去された後、再度層間絶縁膜II2上にフォトレジストPHRが塗布され、通常の写真製版技術により溝部TH2内には層間絶縁膜II2,II1、半導体基板SIを貫通して絶縁膜層BX内に達するように延びる溝部TH3が形成される。すなわち溝部TH3の底部は絶縁膜層BXの一部(たとえば深さ数十nm分程度)をオーバーエッチングするように形成されることが好ましい。溝部TH3は
図25の工程において溝部TH2内に形成されたエアギャップAGを含むように溝部TH2内に空洞部が形成されたものである。この処理の後、溝部TH2内の側面の全体を覆うように層間絶縁膜II2が形成されていることが好ましい。
【0115】
図27を参照して、
図26の工程のフォトレジストPHRが除去された後、たとえばCVD法によりたとえばタングステンの薄膜が、溝部TH3内およびホールHL内の双方を同時に充填するように、層間絶縁膜II2上に形成される。その後、CMPにより層間絶縁膜II2上のタングステンの薄膜は除去される。
【0116】
これにより、溝部TH3内の当該タングステンの薄膜は溝部TH2内の内部金属膜MFとして、溝部TH2内において溝部TH2の側面を覆う層間絶縁膜II2の内側に配置される。またホールHL内の当該タングステンの薄膜は固体撮像素子領域Aのコンタクト導電層CTとして形成される。
【0117】
以上により、溝部TH2内の層間絶縁膜II2は周囲絶縁膜IFとして、周囲絶縁膜IFの内側のタングステンの薄膜は内部金属膜MFとして、これらは同時に形成される。周囲絶縁膜IFと内部金属膜MFとにより溝部TH2内にマーク状外観部MK(領域B)およびマークMK(領域D)が形成される。
【0118】
以上のように本実施の形態においては、マーク状外観部MKは、フォトダイオードPDの形成された後に形成される。またマーク状外観部MKおよびマークMKは、溝部TH2内において周囲絶縁膜IFの内側にたとえばタングステンからなる内部金属膜MFが形成されることにより形成される。
【0119】
図28を参照して、層間絶縁膜II2上にたとえばアルミニウムまたは銅からなる薄膜が、たとえばスパッタリングにより形成される。そして通常の写真製版技術およびエッチング技術により、各領域A,Bにおいてコンタクト導電層CTを覆うように金属配線M1が形成される。
【0120】
次に
図12の工程と同様に、層間絶縁膜II3,II4,II5、ビア層VA、金属配線M2〜M3およびパッド電極PAが形成される。したがって各領域A,Bにおける上記同一の構成要素は同時に同一の処理により形成される(領域Aの金属配線M3と領域Bのパッド電極PAとは同一である)。これにより
図12の工程と同様に、領域Aには配線層ILが、領域Bには接続部SRおよびパッド電極PAが形成される。
【0121】
図29を参照して、
図13〜
図15と同様の処理がなされる。なお
図29においてはマーク状外観部MKの底面が露出するまで絶縁膜層BXが薄膜化するように部分的に除去されているが、半導体基板SIが露出するまで絶縁膜層BXが完全に除去されてもよい。
【0122】
図30を参照して、
図16〜
図18と同様の処理がなされることにより、パッド領域Bに開口部THが形成される。
【0123】
なお、これ以外の本実施の形態の製造方法は実施の形態1の製造方法とほぼ同じであるため、その説明は繰り返さない。
【0124】
次に本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の作用効果に加えて以下の作用効果を有する。
【0125】
本実施の形態においては固体撮像素子領域Aのコンタクト導電層CTを形成するための金属材料であるタングステンの薄膜を形成する工程と同時に、マーク状外観部MK(マークMK)を構成する内部金属膜MFを構成する金属材料であるタングステンの薄膜が形成される。したがって既存の工程(コンタクト導電層CTを形成する工程)を利用して(新たに工程を増やすことなく)マーク状外観部MKを形成することができるため、工程削減およびコスト削減につながる。
【0126】
また本実施の形態においては、フォトダイオードPDの形成後にマーク(マーク状外観部)MKが形成される。フォトダイオードPDの形成時には高温の熱処理が必要となるが、フォトダイオードPDの形成後にマークMKを形成することにより、マークMKが当該熱処理を受けなくなる。このためマークMKが熱応力により変形などの欠陥を発生し、位置合わせの制御が低下する可能性を低減することができる。
【0127】
(実施の形態3)
まず
図31を用いて、本実施の形態の半導体装置の、特に固体撮像素子領域Aおよびパッド領域Bの構成について説明する。
【0128】
図31を参照して、本実施の形態の第1例においては、主にパッド電極PAの位置において実施の形態2と異なっている。
【0129】
具体的には、パッド電極PAは固体撮像素子領域Aにおける最下層の金属配線M1と同一の層として形成されている。この点において本実施の形態は、パッド電極PAは固体撮像素子領域Aにおける最上層の金属配線M3と同一の層として形成されている実施の形態1,2とは異なっている。
【0130】
このようにパッド電極PAは、必ずしも積層された最上層(半導体基板SIの主表面S1から最も離れた層)の金属配線M3と同一の層として形成される必要はなく、当該最上層以外の金属配線M1,M2と同一の層として形成されてもよい。
【0131】
なお通常、最上層の金属配線M3は他の層の金属配線M1,M2よりも厚く形成される。逆に言えば金属配線M1,M2は、主に半導体装置全体をより微細化する観点から、金属配線M3よりも薄く形成される。
【0132】
このため薄い金属配線M1,M2と同一の層として形成されたパッド電極PAは、金属配線M3と同一の層として形成されたパッド電極PAよりも薄くなる。パッド電極PAの表面には(主表面S2側すなわち図の下側から)半導体装置の測定用のプローブなどがセットされるが、パッド電極PAが薄ければこのときプローブの先端部がパッド電極PAにクラックなどの不具合を発生させる可能性がある。またパッド電極PAの表面上にボンディングなどの処置を行なう際にも同様に、ボンディングワイヤの先端部がパッド電極PAにクラックなどの不具合を発生させる可能性がある。
【0133】
そこで
図31および
図32を参照して、パッド電極PAの主表面S1側(図の上側)には、互いに間隔をあけて複数の溝形状配線TMが、パッド電極PAの主表面S1側の表面上に接するように配置されている。この溝形状配線TMは、たとえば奥行き方向に関して開口部THの全体と平面視において重なるように短冊状に延びている。これらの溝形状配線TMは、金属配線M2と金属配線M1とを接続するように配置されている。このため溝形状配線TMは、平面視における金属配線M1内の比較的外部に配置されるビア層VA(実施の形態1,2のビア層VAと同様の機能)と同一の層として、たとえばタングステンの薄膜により形成されている。
【0134】
溝形状配線TMは、金属配線M1(パッド電極PA)の主表面S1側(上側)の表面と接することにより、金属配線M1の厚み方向の強度を高めることができる。
【0135】
なおパッド領域Bにおける金属配線M2と金属配線M3とは、実施の形態1,2と同様にビア層VAにより接続されている。またパッド領域Bの金属配線M1〜M3はすべてパッド電極M1(PA)とほぼ同一の平面積を有している。
【0136】
パッド領域Bの開口部THは、平坦化膜FFの表面からパッド電極PAまで到達するように形成される。パッド電極PAが他の実施の形態よりも図の下側に配置される分、開口部THは他の実施の形態よりも図の上下方向に関して浅く掘られるように形成される。
【0137】
なお本実施の形態の第1例においては、パッド領域Bのマーク状外観部MKは、(特に溝部TH2内の)周囲絶縁膜IFのみを含むものとし、その内側の内部金属膜MF(溝部TH2の外側も含む)は、実施の形態1,2におけるパッド電極PAとマーク状外観部MKとを接続する接続部SRに相当するものであるとする。
【0138】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態2の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0139】
図33を用いて、本実施の形態の第1例の製造方法は、基本的に実施の形態2の製造方法と同様であるが、金属配線M1と同一の層として(同時に)パッド電極PAが形成される。そして金属配線M1(パッド電極PA)を覆うように層間絶縁膜II2上に層間絶縁膜II3が形成された後、層間絶縁膜II3にビア層VAおよび溝形状配線TMを形成するためのホールが同時に形成され、当該ホールが同時にタングステンなどの導電膜で充填される。これによりビア層VAおよび溝形状配線TMが形成される。
【0140】
その後、各実施の形態と同様の方法により、金属配線M2,M3、ビア層VA、層間絶縁膜II4,II5が形成される。
【0141】
なお、これ以外の本実施の形態の製造方法は実施の形態2の製造方法とほぼ同じであるため、その説明は繰り返さない。
【0142】
図34を参照して、本実施の形態の第2例は、実施の形態1(
図5参照)の構成に本実施の形態の第1例のパッド領域Bの構成を適用したものである。なお本実施の形態の第2例においては、パッド領域Bのマーク状外観部MKは、実施の形態1と同様に溝部TH2内の周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFにより形成されている。マーク状外観部MKとパッド電極PAとを接続するコンタクト導電層CTが、接続部SRに相当する。
【0143】
図35を参照して、これは
図33と同様に、
図34の本実施の形態の第2例の製造方法の一工程を示している。このように本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成に適用してもよいし、実施の形態2の構成に適用してもよい。
【0144】
本実施の形態は、実施の形態1,2の作用効果に加えて以下の作用効果を有する。
本実施の形態においては、パッド電極PAが半導体基板SIにより近い側(図の下側の層)に形成されており、開口部THが他の実施の形態に比べて浅く形成されている。このためカラーフィルタCFTおよびマイクロレンズLNSの形成時の加工がより容易になる。これは開口部THが浅いことにより、カラーフィルタCFTおよびマイクロレンズLNSを塗布膜にて形成する際、被覆性(段差に対する埋め込み性および塗布膜の膜厚均質性)が向上するためである。
【0145】
またパッド電極PAが厚みの薄い金属配線M1,M2と同一の層として下層に形成されても、パッド電極PAは図の上側から溝形状配線TMにより厚み方向に支持される。このためパッド電極PAの厚み方向の強度を確保することができ、たとえばパッド電極PAにプローブがセットされた際におけるクラックなどの発生を抑制することができる。
【0146】
(実施の形態4)
図36を参照して、本実施の形態においては、パッド領域Bに加えて、シールリング領域Cにも、(シールリングSRの主表面S2側(図の下側)には)半導体基板SIの主表面S1から主表面S2まで(主表面S2を超えて)半導体基板SI内を貫通するように延びるマーク状外観部MKが形成されている。
【0147】
シールリング領域Cのマーク状外観部MKは、パッド領域Bのマーク状外観部MKと同様の態様を有する他のマーク状外観部として形成されている。シールリング領域Cのマーク状外観部MKは、パッド領域Bのマーク状外観部MKを構成する周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFと同一の層として形成されている。シールリング領域Cのマーク状外観部MKの内部導電膜CFは、シールリングSRのコンタクト導電層CTと接続されている。
【0148】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0149】
次に
図37を用いて、以上に説明した本実施の形態の半導体装置(
図36参照)の製造方法を説明する。説明の便宜上、
図37には領域A,B,C,Dのすべてが示される。
【0150】
図37を参照して、基本的にたとえば実施の形態1の
図6〜
図10と同様の処理がなされるが、ここでは領域B,Dに加えて領域Cにも、領域Bと同様に半導体基板SIに溝部TH2が形成され、領域Bのマーク状外観部MKと同一の層としての周囲絶縁膜IFおよび内部導電膜CFを含むマーク状外観部MK(他のマーク状外観部)が、領域Bのマーク状外観部MKと同時に形成される。
【0151】
図36〜
図37においては実施の形態1にシールリング領域Cのマーク状外観部MKを適用した例を示しているが、実施の形態2,3の構成にシールリング領域Cのマーク状外観部MKを適用してもよい。具体的にはたとえば
図38を参照して、これは(
図37と同様に)実施の形態2のパッド領域Bのマーク状外観部MKと同一の層としてシールリング領域Cに(他の)マーク状外観部MKを形成する工程を示している。
【0153】
本実施の形態においては、パッド領域B、ダイシングライン領域Dに加えてシールリング領域Cにもマーク状外観部MKを形成するための溝部TH2が形成されるため、実施の形態1〜3よりも溝部TH2を形成する際にエッチングされる領域の面積が大きくなる。このため溝部TH2を形成する際のエッチングの制御性が向上される。
【0154】
(実施の形態5)
以下の
図39〜
図44においては説明の便宜上、領域A,B,Dの構成を示している。
【0155】
図39を参照して、本実施の形態の第1例は基本的に実施の形態1(
図5参照)と同様の構成であるが、パッド領域Bのマーク状外観部MK1がダイシングライン領域DのマークMK2よりも浅く形成されている。すなわちダイシングライン領域DのマークMK2は半導体基板SIの主表面S1から主表面S2まで半導体基板SIを貫通するように延びているのに対し、パッド領域Bのマーク状外観部MK1は主表面S1から主表面S2に向かう方向に延びているものの、主表面S2には到達せず、半導体基板SI内に終端を有している。
【0156】
上記の各実施の形態においては、パッド領域Bのマーク状外観部MKを形成するための溝部TH2(第2の溝部)とダイシングライン領域DのマークMK(アライメントマーク部)を形成するための溝部TH2(第1の溝部)とは同時に形成される。これに対して本実施の形態においては、パッド領域Bのマーク状外観部MKを形成するための溝部TH2(第2の溝部)とダイシングライン領域DのマークMKを形成するための溝部TH2(第1の溝部)とは異なる工程により(異なるタイミングで)形成される。上記第1の溝部と第2の溝部とはいずれが先に形成されてもよい。
【0157】
図39のようにパッド領域Bのマーク状外観部MK1がダイシングライン領域DのマークMK2と異なる態様となるように形成される場合(特にマーク状外観部MK1とマークMK2との溝部TH2の深さなどが異なる場合)には、基本的にマーク状外観部MK1とマークMK2との溝部TH2とは異なる工程により形成される。次にマーク状外観部MK1とマークMK2との溝部TH2とは異なる工程により形成されるその他の例を
図40〜
図44に示している。
【0158】
図40を参照して、本実施の形態の第2例においては、パッド領域Bのマーク状外観部MK1は実施の形態2のマーク状外観部MKと同様であり、ダイシングライン領域DのマークMK2は実施の形態1のマークMKと同様である。
【0159】
図41を参照して、本実施の形態の第3例においては、パッド領域Bのマーク状外観部MK1は実施の形態1のマーク状外観部MKと同様であり、ダイシングライン領域DのマークMK2は実施の形態2のマークMKと同様である。
【0160】
図42を参照して、本実施の形態の第4例においては、
図40と基本的に同様の構成であるが、パッド領域Bのマーク状外観部MK1は主表面S2に達しない態様で形成されている。
【0161】
図43を参照して、本実施の形態の第5例においては、
図41と基本的に同様の構成であるが、パッド領域Bのマーク状外観部MK1は主表面S2に達しない態様で形成されている。
【0162】
図44を参照して、本実施の形態の第6例においては、
図43と基本的に同様の構成であるが、実施の形態3のようにパッド電極PAが金属配線M1と同一の層として形成されている。
【0163】
本実施の形態のようにパッド領域Bのマーク状外観部MK1を形成するための溝部TH2(第2の溝部)とダイシングライン領域DのマークMK2を形成するための溝部TH2(第1の溝部)とを異なる工程で形成すれば、特にパッド領域Bの溝部TH2の深さを任意に制御することができる。またたとえば
図39のようにパッド領域Bにおける溝部TH2が主表面S2に達しないように浅く形成すれば、主表面S2に達するように深く形成する場合に比べて、当該溝部TH2(第2の溝部)内への絶縁膜および導電膜の埋め込みが容易になる。
【0164】
また本実施の形態においては、パッド領域Bのマーク状外観部MK1とダイシングライン領域DのマークMKとを異なる工程で形成することにより、たとえば
図40のように、両者が異なる態様となるように形成することができる。
【0165】
(実施の形態6)
上記の各実施の形態においては、基本的に
図5および
図32に示すように、パッド領域Bの開口部THの周囲の接続部SR(およびマーク状外観部MK)は平面視において開口部THの外周の全体を囲むように、たとえば矩形の平面形状を有するように形成される。しかし
図45〜
図50に示すように、パッド領域Bの開口部THの周囲の接続部SR(およびマーク状外観部MK)は平面視において開口部THの外周の一部のみを囲むように形成されてもよい。
図45〜
図47はたとえば
図5のパッド領域Bの態様の変形例を、
図48〜
図50はたとえば
図32のパッド領域Bの態様の変形例を、それぞれ示している。また図示されないが、本実施の形態の上記各図の態様は、実施の形態1〜5のいずれの構成に適用してもよい。
【0166】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。