(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記履歴記録部は、直列接続された複数の蓄電セルに対応する複数の抵抗を有しており、前記複数の蓄電セルのうちのいずれかの異常発生セルの状態が前記第2閾値を越えた場合、前記複数の抵抗のうちの前記異常発生セルに対応する抵抗を切断することで、前記異常発生セルの異常発生の履歴を記録することを特徴とする請求項1に記載の蓄電モジュール。
前記履歴記録部は、直列接続された複数の蓄電セルに対応する複数のヒューズを有しており、前記複数の蓄電セルのうちのいずれかの異常発生セルの状態が前記第2閾値を越えた場合、前記複数のヒューズのうちの前記異常発生セルに対応するヒューズを切断することで、前記異常発生セルの異常発生の履歴を記録することを特徴とする請求項1に記載の蓄電モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する二次電池監視回路、二次電池監視方法及び蓄電モジュールの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本願の開示する二次電池監視回路、二次電池監視方法及び蓄電モジュールが限定されるものではない。
【0014】
[実施形態1]
(実施形態1に係る蓄電モジュールの構成)
図1は、実施形態1に係る蓄電モジュールを示す回路図である。
図1に示すように、蓄電モジュール1は、蓄電セル11〜14、保護回路20、監視回路30、抵抗40、スイッチ50及び報知部60を有する。
【0015】
蓄電セル11〜14は、直列に接続されている。そして、
図1では、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の端子は、上側を正極の端子とし、下側を負極の端子としている。また、
図1には図示していないが、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の端子は、電気を使用する外部装置に接続されている。そして、蓄電セル11〜14は、蓄えている電気を外部装置に供給する。
【0016】
蓄電セル11〜14は、電圧の上限値及び下限値が決まっている。例えば、蓄電セル11〜14の電圧の上限値が4Vであり、下限値が2Vである。蓄電セル11〜14は、電圧が上限値を超えた場合及び下限値を下回った場合には故障するおそれがある。
【0017】
保護回路20は、電圧計測部21及び異常検出部22を有している。
【0018】
電圧計測部21は、蓄電セル11〜14のそれぞれの電圧を計測する。そして、電圧計測部21は、計測結果を異常検出部22へ出力する。この電圧計測部21及び後述する電圧計測部31が、「状態検出部」の一例にあたる。
【0019】
異常検出部22は、利用者への過充電の通知を判断するための閾値である第1電圧閾値を記憶している。第1電圧閾値は、上限値より低い電圧であり、蓄電セル11〜14の電圧が第1電圧閾値以上になっても直ぐには故障が発生しない程度の値である。すなわち、蓄電セル11〜14の電圧が第1電圧閾値を上回っても、利用者が直ちに充電を停止する処理を行えば、蓄電モジュール1の故障は回避できる。第1電圧閾値は、蓄電セル11〜14の容量などの蓄電モジュール1の仕様や、どの程度の時間で利用者が異常に対処できるかなどの運用状態にしたがって設定されることが好ましい。
【0020】
異常検出部22は、蓄電セル11〜14のそれぞれの電圧の計測結果の入力を電圧計測部21から受ける。異常検出部22は、蓄電セル11〜14の各電圧と第1電圧閾値とを比較する。そして、異常検出部22は、蓄電セル11〜14のいずれかの電圧が第1電圧閾値以上の場合、報知部60に異常の発生を報知させる。
【0021】
報知部60は、例えばLight Emitting Diode(LED)などである。報知部60がLEDの場合、保護回路20からの異常発生の報知の指示を受けて、LEDを点灯させる。利用者は、LEDの点灯により蓄電モジュール1における異常の発生を確認することができる。
【0022】
抵抗40は、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端を結ぶ経路上に配置されている。抵抗40は、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧がかかると切断されるように構成されている。
【0023】
スイッチ50は、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端を結ぶ経路上に抵抗40と直列に配置されている。スイッチ50は、例えばField Effect Transistor(FET)スイッチである。スイッチ50のゲート電極は監視回路30に接続されている。スイッチ50は、監視回路30からゲート電極へ電圧がかけられるとオンになる。また、監視回路30からゲート電極に電圧がかかっていない場合、スイッチ50はオフになる。
【0024】
監視回路30は、電圧計測部31及びスイッチ制御部32を有する。
【0025】
電圧計測部31は、蓄電セル11〜14のそれぞれの電圧を計測する。そして、電圧計測部31は、計測結果をスイッチ制御部32へ出力する。
【0026】
スイッチ制御部32は、過充電の履歴の記録を判定するための閾値である第2電圧閾値を記憶している。第2電圧閾値は、上限値より低いが第1電圧閾値より高い電圧値であり、蓄電セル11〜14のいずれかの電圧が第2電圧閾値以上になった場合、その後電圧が上限値を超えることが予測でき、蓄電モジュール1に故障が発生する可能性が高い電圧値である。第2電圧閾値は、蓄電セル11〜14の容量などの蓄電モジュール1の仕様や、どの程度の時間で利用者が異常に対処できるかなどの運用状態にしたがって設定されることが好ましい。
【0027】
スイッチ制御部32は、蓄電セル11〜14のぞれぞれの電圧の計測結果の入力を電圧計測部から受ける。そして、スイッチ制御部32は、蓄電セル11〜14のそれぞれの電圧の計測結果と第2電圧閾値とを比較する。そして、スイッチ制御部32は、蓄電セル11〜14のいずれかの電圧の計測結果が第2電圧閾値以上となった場合、ゲート電極に電圧をかけスイッチ50をオンにする。これにより、抵抗40に直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧がかかり、抵抗40は切断される。
【0028】
この監視回路30は、電圧監視Integrated Circuit(IC)などにより実現することができる。
【0029】
このように、蓄電セル11〜14のいずれかの電圧が第2電圧閾値を超えると、抵抗40が電力により切断されて蓄電セル11〜14のいずれかに過充電がなされたという記録が残る。
【0030】
その後、蓄電モジュール1の管理者は、蓄電モジュール1の内部を確認して、抵抗40が切断されていることを確認することで、蓄電セル11〜14のいずれかに過充電がなされたことを把握することができる。このスイッチ制御部32、抵抗40及びスイッチ50が、「履歴記録部」の一例にあたる。
【0031】
(電圧監視処理の流れ)
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る蓄電モジュール1における電圧監視処理の流れについて説明する。
図2は、実施形態1に係る蓄電モジュールにおける電圧監視処理のフローチャートである。
【0032】
電圧計測部21及び31は、蓄電セルの電圧を計測する(ステップS1)。
【0033】
異常検出部22は、計測電圧が第1電圧閾値以上か否かを判定する(ステップS2)。計測電圧が第1電圧閾値未満の場合(ステップS2:否定)、保護回路20及び監視回路30は、ステップS1に戻る。
【0034】
これに対して、計測電圧が第1電圧閾値以上の場合(ステップS2:肯定)、異常検出部22は、報知部60に過充電の報知を指示する。報知部60は、利用者に対して過充電を報知する(ステップS3)。例えば、過充電の報知を受けた利用者は、蓄電セル11〜14の充電停止などの蓄電モジュール1の充電電への対処を行う。ただし、利用者が報知を確認し忘れたり、報知を受けたが対処を怠ったりすることが考えられる。その場合、蓄電セル11〜14の電圧は上昇することが考えられる。
【0035】
スイッチ制御部32は、計測電圧が第2電圧閾値以上か否かを判定する(ステップS4)。計測電圧が第2電圧閾値未満の場合(ステップS4:否定)、保護回路20及び監視回路30は、ステップS1に戻る。
【0036】
これに対して、計測電圧が第2電圧閾値以上の場合(ステップS4:肯定)、スイッチ制御部32は、ゲート電極に電圧をかけてスイッチ50をオンにし抵抗40に直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧をかけ、抵抗40を切断する(ステップS5)。
【0037】
以上に説明したように、本実施形態に係る蓄電モジュールは、各蓄電セルの電圧が第1電圧閾値以上になると過充電を利用者に報知する。さらに、その後、各蓄電セルの電圧が第1電圧閾値よりも高い第2電圧閾値以上になると、本実施形態に係る蓄電モジュールは、抵抗を切断する。これにより、管理者は、後で蓄電モジュールを確認して、蓄電セルのいずれかの電圧が第2電圧閾値以上になったことが分かる。すなわち、管理者は、過充電がいずれかの蓄電セルで発生したことを後から確認することができる。
【0038】
(履歴記録方法の他の例)
ここで、本実施形態に係る蓄電モジュールは、蓄電セルの電圧が閾値以上になった場合に抵抗に電圧をかけて切断することで過充電の履歴を記録した。しかし、履歴の記録方法はこれに限らない。
【0039】
例えば、抵抗の代わりにヒューズを用いても良い。この場合、ヒューズは、例えば、直列に並んだ蓄電セルの両端の電圧などの所定の電圧がかかると切れる規格を有している。そして、抵抗と同様に、蓄電セルの電圧が閾値以上になった場合にヒューズに電圧をかけて切ることで過充電の履歴を記録してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、抵抗を切断するために蓄電モジュールに配置された全ての蓄電セルを直列に並べた両端の電圧を用いたが、抵抗が切断できる電圧であればこれに限らない。例えば、1つの蓄電セルの電圧で切断できる抵抗であれば、抵抗に1つの蓄電セルの電圧をかけるだけでよい。
【0041】
さらに、本実施形態では、監視ICで構築した監視回路30、抵抗40及びスイッチ50によって履歴記録部を実現する場合で説明したが、過充電の履歴を残せればこれに限らない。例えば、マイコンなどを用いて過充電になった情報をメモリなどに記録しておいてもよい。
【0042】
また、本実施形態に係る蓄電モジュールは、保護回路20と監視回路30とを別個に有しているが、これは1つにしても良い。例えば、この場合もマイコン等を用いることで1つの回路で保護回路20及び監視回路30の機能を有することができる。
【0043】
ただし、マイコンやメモリを用いた場合、履歴記録部の実装面積が大きくなり、蓄電モジュールが大型化してしまう。また、開発のために大きな費用がかかってしまう。そのため、実施形態1に説明したように抵抗等を用いて記録を残す方が、安価で省スペースな蓄電モジュールを製造でき、より好ましい。
【0044】
さらに、本実施形態では、電圧計測部21及び31を別個に配置したが、電圧計測部21及び31をまとめて1つの計測部とすることもできる。
【0045】
また、以上の説明では、過充電の場合で説明したが、過放電を検出して抵抗を切断することで、過放電の履歴を記録しておくこともできる。その場合、監視回路30は、障害発生の通知を行うための第3電圧閾値よりも低い第4電圧閾値を判定に用いる。すなわち、監視回路30は、蓄電セル11〜14のいずれかの電圧が第4電圧閾値未満になった場合に、スイッチ50をオンにして抵抗40を切断する。
【0046】
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。本実施形態に係る蓄電モジュールは、蓄電セル毎に抵抗を配置していることが実施形態1と異なる。以下の説明では、実施形態1と同様の機能を有する各部については説明を省略する。
【0047】
(実施形態2に係る蓄電モジュールの構成)
図3は、実施形態2に係る蓄電モジュールにおける履歴記録を行う回路の回路図である。実施形態2は実施形態1と履歴の記録方法のみが違うので、
図3では、履歴記録部を主に記載しており、保護回路20など説明に用いない各部は省略している。
【0048】
本実施形態に係る蓄電モジュールは、各蓄電セル11〜14の両端を結ぶ経路上に各蓄電セル11〜14に対して並列に、2つの抵抗が配置されている。2つの抵抗は直列に配置されている。
【0049】
抵抗311及び312が蓄電セル11に対応する。抵抗321及び322が蓄電セル12に対応する。抵抗331及び332が蓄電セル13に対応する。抵抗341及び342が蓄電セル14に対応する。
【0050】
蓄電セル11とコンパレータ301が対応する。蓄電セル12とコンパレータ302が対応する。蓄電セル13とコンパレータ303が対応する。蓄電セル14とコンパレータ304が対応する。コンパレータ301〜304が、
図1に例示した電圧計測部31及びスイッチ制御部32の一例にあたる。
【0051】
各蓄電セル11〜13に対応する2つの抵抗の間の点から経路が分岐してコンパレータ301〜304の一方の入力端子に接続している。さらに、コンパレータ301〜304の他方の入力端子には、参照電圧313〜343が入力される。
【0052】
そして、各コンパレータ301〜304の出力は、それぞれスイッチ51〜54のゲート電力に入力される。
【0053】
スイッチ51〜54は、それぞれ直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端を結ぶ経路上に配置されている。スイッチ51〜54は、それぞれゲート電極にコンパレータ301〜304から出力された電圧がかかるとオンになる。
【0054】
さらに、スイッチ51〜54と直列に、それぞれ抵抗41〜44が配置されている。抵抗41〜44は、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧がかかると切断されるように構成されている。
【0055】
(実施形態2に係る蓄電モジュールの動作)
各蓄電セル11〜14に対応する抵抗311〜342、コンパレータ301〜304、抵抗41〜44及びスイッチ51〜54の動作は同じである。そこで、以下では、蓄電セル11に対応する抵抗311及び312、コンパレータ301、抵抗41、並びに、スイッチ51を例に説明する。
【0056】
蓄電セル11の電圧値をVとする。また、抵抗311の抵抗値をR1とし、抵抗312の抵抗値をR2とする。さらに、参照電圧313の電圧値をVRとする。
【0057】
この場合、コンパレータ301には、抵抗311及び312による蓄電セルの電圧の分圧が入力される。すなわち、コンパレータ301は、{R2/(R1+R2)}×Vの電圧の入力を受ける。また、コンパレータ301は、参照電圧313からVRの電圧の入力を受ける。
【0058】
そして、コンパレータ301は、{R2/(R1+R2)}×VとVRとを比較する。{R2/(R1+R2)}×VがVR未満であれば、コンパレータ301は、Lowの信号を出力する。この場合、スイッチ51はオフのままである。
【0059】
これに対して、{R2/(R1+R2)}×VがVR以上であれば、コンパレータ301は、Highの信号を出力する。この場合、スイッチ51はオンになる。
【0060】
スイッチ51がオンになると、抵抗41に直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧がかかり、抵抗41は切断される。
【0061】
同様に、蓄電セル12の電圧が上昇した場合、抵抗42が切断される。また、蓄電セル13の電圧が上昇した場合、抵抗43が切断される。また、蓄電セル14の電圧が上昇した場合、抵抗44が切断される。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態に係る蓄電モジュールは、蓄電セル毎に対応する抵抗を備え、いずれかの蓄電セルで過充電が発生した場合に、その蓄電セルに対応する抵抗を切断することで、過充電の履歴を記録する。これにより、いずれの蓄電セルで過充電が発生したかが分かり、管理者は、より詳細な内容の履歴を取得することができる。
【0063】
[実施形態3]
次に、実施形態3について説明する。本実施形態に係る蓄電モジュールは、蓄電セルの温度異常の履歴を記録することが実施形態1と異なるものである。以下の説明では、実施形態1と同様の機能を有する各部については説明を省略する。
【0064】
(実施形態3に係る蓄電モジュールの構成)
図4は、実施形態3に係る蓄電モジュールにおける温度異常計測を行う回路の回路図である。
図4に示すように本実施形態に係る蓄電モジュール1は、蓄電セル11〜14の温度を計測する温度センサ70を有する。また、蓄電モジュール1は、温度異常監視回路35を有する。
【0065】
温度センサ70は、蓄電セル11〜14の温度を計測する。温度センサ70は、蓄電セル11〜14の温度の計測結果を監視回路30へ出力する。この温度センサ70が、「状態検出部」の一例にあたる。
【0066】
温度異常監視回路35は、温度異常の履歴の記録を行うか否かを判定するための閾値である温度閾値を記憶している。温度閾値は、蓄電セル11〜14の温度が温度閾値以上になった場合、その後温度が蓄電セル11〜14の上限値を超えることが予測でき、蓄電モジュール1に故障が発生する可能性が高い温度である。温度閾値は、蓄電セル11〜14の容量などの蓄電モジュール1の仕様や、どの程度の時間で利用者が異常に対処できるかなどの運用状態にしたがって設定されることが好ましい。
【0067】
温度異常監視回路35は、蓄電セル11〜14の温度の入力を温度センサ70から受ける。温度異常監視回路35は、蓄電セル11〜14の温度と温度閾値とを比較する。そして、温度異常監視回路35は、蓄電セル11〜14の温度が温度閾値以上となった場合、ゲート電極に電圧をかけスイッチ50をオンにする。これにより、抵抗40に直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧がかかり、抵抗40は切断される。この温度異常監視回路35、抵抗40及びスイッチ50が、「履歴記録部」の一例にあたる。
【0068】
このように、蓄電セル11〜14のいずれかの温度が温度閾値を超えると、抵抗40が電力により切断されて蓄電セル11〜14のいずれかに過充電がなされたという記録が残る。
【0069】
その後、蓄電モジュール1の管理者は、蓄電モジュール1の内部を確認して、抵抗40が切断されていることを確認することで、蓄電セル11〜14のいずれかに温度異常が発生したことを把握することができる。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態に係る蓄電モジュールは、温度異常が発生した場合に、温度異常が発生したことを示す履歴を記録して残すことができる。これにより、管理者は、温度異常がいずれかの蓄電セルで発生したことを後から確認することができる。
【0071】
また、本実施形態では蓄電セル11〜14の温度をまとめて1つの温度として計測したが、蓄電セル11〜14毎に温度センサ30を配置し、蓄電セル11〜14毎に温度異常を監視してもよい。また、その場合、蓄電セル11〜14毎に、対応する抵抗40及びスイッチ50を設けて、蓄電セル11〜14のいずれで温度異常が発生したかの履歴を記録できるようにしてもよい。
【0072】
[実施形態4]
さらに、蓄電モジュール1は、各種の異常発生の履歴をそれぞれ別個に記録できる構成にすることもできる。そこで、本実施形態では、過放電、過充電及び温度異常の発生履歴を別個に記録できる蓄電モジュール1について説明する。
図5は、実施形態4に係る蓄電モジュールの回路図である。
図5では、保護回路20及び報知部60は省略している。
【0073】
監視回路30は、過充電の履歴の記録を判定するための閾値である過充電電圧閾値を記憶している。この過充電電圧閾値は、保護回路20の過充電によるエラー通知を行うか否かを判定する閾値よりも高い値である。
【0074】
また、監視回路30は、過放電の履歴の記録を判定するための閾値である過放電電圧閾値を記憶している。この過放電電圧閾値は、保護回路20が過放電によるエラー通知を行うか否かを判定するための閾値よりも低い値である。
【0075】
監視回路30は、各蓄電セル11〜14のそれぞれの電圧を計測する。そして、各蓄電セル11〜14のいずれかの電圧が過充電閾値以上の場合、過充電履歴用スイッチ55をオンにする。
【0076】
これにより、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧が過充電履歴用抵抗45にかかり、過充電履歴用抵抗45は切断される。これにより、過充電の発生の履歴が残される。
【0077】
また、各蓄電セル11〜14のいずれかの電圧が過放電閾値以下の場合、過放電履歴用スイッチ56をオンにする。
【0078】
これにより、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧が過放電履歴用抵抗46にかかり、過放電履歴用抵抗46は切断される。これにより、過放電の発生の履歴が残される。
【0079】
温度異常監視回路35は、温度閾値を記憶している。温度異常監視回路35は、蓄電セル11〜14の温度の入力を温度センサ70から受ける。そして、蓄電セル11〜14の温度が温度閾値以上になった場合、温度異常監視回路35は、温度異常履歴用スイッチ57をオンにする。
【0080】
これにより、直列に並んだ蓄電セル11〜14の両端の電圧が温度異常履歴用抵抗47にかかり、温度異常履歴用抵抗47は切断される。これにより、温度異常の発生の履歴が残される。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態に係る蓄電モジュールは、過放電、過充電及び温度異常の履歴をそれぞれ別個に記録することができる。これにより、管理者は、過放電、過充電又は温度異常のいずれが蓄電セルで発生したかを後から確認することができる。
【0082】
また、本実施例では1つの種類の異常に対して1つの履歴を残すとしたが、例えば、実装面積が大きくなることを許容できるのであれば、異常の種類毎に蓄電セル毎に抵抗及びスイッチを配置して、どの蓄電セルで何の異常が発生したかの履歴を残すこともできる。