(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記回転軸受を、前記第1の載置部の複数位置、及び前記第2の載置部の1又は複数位置で位置決めする位置決め手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  前記位置決め手段は、前記回転軸受が前記第1の載置部で載置される、第1の位置と該第1の位置より前記第2の載置部に近い第2の位置、及び前記回転軸受が前記第2の載置部で載置される第3の位置に位置決めすることを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
  実施の形態1.
  
図1は、本発明による実施の形態1の画像形成装置の要部構成を示す要部構成図である。
 
【0009】
  画像形成装置1は、特色としての透明(T)、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)の5色を印刷可能な中間転写方式のカラー用電子写真プリンタとしての構成を備えている。用紙トレイ11は、画像形成装置1に着脱自在に装着され、内部に積層された記録媒体としての記録用紙12を収容し、その繰り出し側には、記録用紙12を1枚ずつ繰り出す給紙部13が配設されている。給紙部13には、用紙トレイ11内においてある高さまで上昇して圧接する記録用紙12を搬送路に向けて繰り出すピックアップローラ14と、繰り出された記録用紙12を一枚ずつに分離して送り出すフィードローラ15とリタードローラ16が設けられている。
 
【0010】
  一枚ずつに分離された記録用紙12は、搬送ローラ対19,20,21によって媒体搬送路17を搬送され、2次転写部18に至る。この間、記録用紙12は、斜行が矯正され、更に所定のタイミングで2次転写部18に搬送される。
 
【0011】
  現像形成部22は、透明(T)のトナー画像を形成するトナー像形成部23T、イエロー(Y)のトナー画像を形成するトナー像形成部23Y、マゼンダ(M)のトナー画像を形成するトナー像形成部23M、シアン(C)のトナー画像を形成するトナー像形成部23C、ブラック(K)のトナー画像を形成するトナー像形成部23K(区別する必要がない場合には単に23を付す)と、各トナー像形成部23に対向して配置された5つのLEDヘッド28T〜28K(区別する必要がない場合には単に28を付す)とを有する。
 
【0012】
  5つのトナー像形成部23T〜23Kは、後述する転写ベルトユニット30の中間転写ベルト24が、転写ベルトユニット30の上部で移動する移動方向(矢印B方向)に沿って、その上流側から順に配置され、5つのLEDヘッド28T〜28Kは、後述するように、トナー像形成部23に備えられた感光体ドラム26の所定部に光を照射すべく、各トナー像形成部23T〜23Kに対向して配置されている。
 
【0013】
  これらトナー像形成部23T〜23Kの内部構成は共通しているため、代表してブラック(K)のトナー像形成部23Kを例にとり、その内部構成について説明する。
 
【0014】
  トナー像形成部23Kには、感光体ドラム26が矢印方向(反時計回り)に回転可能に配置され、この感光体ドラム26の周囲には、その回転方向上流側から順に、感光体ドラム26の表面に電荷を供給してマイナスに帯電させる帯電ローラ27、帯電された感光体ドラム26の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド28K、静電潜像が形成された感光体ドラム26の表面に、摩擦帯電によりブラック(K)の現像剤としてのトナーを付着させて現像する現像ローラ29が配設されている。
 
【0015】
  尚、各トナー像形成部23に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源からギヤなどを経由して動力が伝達されて回転し、各トナー像形成部23の現像ローラ29には、トナー像形成部23の上方にそれぞれ対応して配置されたトナーカートリッジから所定の経路及び供給手段を介して対応する色のトナーが供給される。
 
【0016】
  転写ベルトユニット30は、図示せぬ駆動源より回転駆動されるドライブローラ31、中間転写ベルト24に張力を付与するテンションローラ32、2次転写ローラ33と対向して配置されて2次転写部18を構成するバックアップローラ34、及びそれらローラに張架されて矢印B方向(時計回り)に移動する中間転写ベルト24、中間転写ベルト24の移動方向においてバックアップローラ34の上流側に配置されるサポートローラ35を備える。
 
【0017】
  更に転写ベルトユニット30は、中間転写ベルト24の内側で、それぞれが対応するトナー像形成部23T〜23Kの感光体ドラム26に圧接して配置された5つの1次転写ローラ36T〜36K(区別する必要がない場合には単に36を付す)を備え、各1次転写ローラ36は、対応する感光体ドラム26上に形成された各トナー像を中間転写ベルト24上に1次転写するために所定の電圧を付加する。尚、これらの5つの1次転写ローラ36T〜36Kは、1次転写部25を形成している。
 
【0018】
  また、搬送ローラ対21と2次転写部18の間には、記録用紙12を2次転写部18に導くための上側ガイド部材37及び下側ガイド部材38が備えられ、搬送ローラ対20と搬送ローラ対21の間には、搬送される記録用紙12の紙厚情報を検出する媒体厚検出器としての紙厚センサ39が備えられている。
 
【0019】
  この転写ベルトユニット30は、上述したように、現像形成部22により形成された各色のトナー像を、後述するように中間転写ベルト24に順次重ねて1次転写し、更に1次転写されたトナー画像を2次転写部18まで搬送する。2次転写部18では、2次転写ローラ33によって、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を、用紙トレイ11から供給された記録用紙12に2次転写する。尚、本実施の形態における転写ベルトユニット30は、後述する様に、画像形成装置1本体に対して着脱自在に備えられている。
 
【0020】
  定着部40は、図示しない駆動源によって矢印方向(時計回り)に回転駆動されるアッパローラ42、加熱用の熱源となるヒータ41、及びアッパローラ42に圧接して従動回転する加圧用のロワローラ43を備え、2次転写部18より送り出された記録用紙12をニップ部で挟持して搬送し、その搬送過程で、記録用紙12上に転写されたトナー画像に熱と圧力を印加してこれを融解し、融解したこのトナー画像を定着させる。
 
【0021】
  排出ローラ対44〜48は、定着部40から排出された記録用紙12を所定の搬送路にそって搬送し、印刷された記録用紙12をスタッカ部49に排出する。
 
【0022】
  尚、
図1中のX、Y、Zの各軸は、中間転写ベルト24がトナー像形成部23を通過する際の搬送方向(矢印B方向)にX軸をとり、感光体ドラム26の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、
図1に示す画像形成装置1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
 
【0023】
  次に、2次転写部18の周辺の構成について更に説明する。尚、
図1に示す画像形成装置1を、正面とする矢印A方向(X軸のプラス向き)からみて、画像形成装置1の左右の方向を特定する場合がある。
 
【0024】
  図2(a)は、レールユニット62が画像形成装置1本体から引き出され、操作者によって2次転写ローラユニット60が上方に外された状態を示す外観斜視図であり、同図(b)は、同図(a)の囲み楕円101で囲まれた部分、即ち2次転写ローラユニット60の外観斜視図であり、同図(c)は、同図(a)の囲み楕円102で囲まれた部分、即ちレールユニット62に配設された2次転写ローラ保持部61の外観斜視図である。尚、レールユニット62は、
図1において囲み点線で囲まれた部分に相当する。
 
【0025】
  更に
図3は、
図2(b)において、囲み円103で囲まれた部分、即ち2次転写ローラユニット60の右側端部の部分拡大図であり、
図4は、
図2(b)において、囲み円104で囲まれた部分、即ち2次転写ローラユニット60の左側端部の部分拡大図であり、
図5は、
図2(c)において、囲み円105で囲まれた部分、即ち2次転写ローラ保持部61の右側端部の部分拡大図であり、
図6は、
図2(c)において、囲み円106で囲まれた部分、即ち2次転写ローラ保持部61の左側端部の部分拡大図である。
 
【0026】
  レールユニット62は、
図1に示すように、画像形成装置1内で、用紙トレイ11と転写ベルトユニット30の間に配置され、
図2(a)に示すように、記録用紙12の搬送方向である矢印C方向(X軸のマイナス向き)に引出可能に保持されている。このレールユニット62には、感光体ドラム26の軸方向に延在して、後述するように2次転写ローラユニット60を摺動可能に且つ着脱自在に保持する2次転写ローラ保持部61が備えられている。
 
【0027】
  2次転写ローラ保持部61は、
図2(c)に示すように、底板69aとこれに連設された左右の側板69L,69Rを有する板金フレーム69と、板金フレーム69に配設された下側ガイド部材38を兼ねる樹脂用紙ガイド70とを有し、2次転写ローラユニット60は、
図2(b)に示すように、2次転写ローラ33とこの2次転写ローラ33を、左右の側壁部63L,63Rで回転自在に保持し、用紙走行ガイドをも兼ねる2次転写ローラ保持フレーム63とを有する。
 
【0028】
  2次転写ローラユニット60において、2次転写ローラ保持フレーム63の右側壁部63Rには、
図3に示すように、2次転写ローラ33の回転軸の一端側を回転自在に保持する回転軸受けとしての右側ベアリング64Rが右側ベアリングハウス90Rに形成され、2次転写ローラ33の回転軸と平行に外方に突出して後述する2次転写ローラ保持部61と係合する右側摺動ポスト65R、及び鉛直方向に対向して延在し、共に2次転写ローラ33の回転軸と平行な面を有する係合部としての第1と第2の右側規制壁66R,67Rが形成されている。
 
【0029】
  同様に、2次転写ローラユニット60において、2次転写ローラ保持フレーム63の左側壁部63Lには、
図4に示すように、2次転写ローラ33の回転軸の他端側を回転自在に保持する左側ベアリング64L(図示せず)が左側ベアリングハウス90Lに形成され、左側摺動ポスト65L、及び第1と第2の左側規制壁66L,67L(図示せず)が形成されているが、ここでは左右の側壁部63L,63Rは、左右の側壁部63L,63Rの中間の仮想的な中心面(2次転写ローラ33の回転軸に対して垂直)に対して面対称に構成している。尚、
図4に示すように左側壁部63Lに近い下部には、後述する光センサの光を遮る遮光板68が形成されている。
 
【0030】
  2次転写ローラ保持部61において、板金フレーム69の右側板69Rの上縁部には、
図5に示すように、2次転写ローラユニット60の右側ベアリング64R(
図3)の円筒状外輪(キャップ)の外周面が載置される、第1の載置部としての円弧状受け面71R及びこれに隣接して形成された第2の載置部としての直線状受け面72Rが形成され、更に2次転写ローラユニット60の右側摺動ポスト65R(
図3)をスライド可能に受けるポスト受け部としての右側ポスト受け部73Rが形成されている。円弧状受け面71R、直線状受け面72R、及び右側ポスト受け部73Rは、何れも板金加工により右側板69Rの一部を内側に曲げて面状に形成している。また、円弧状受け面71Rと直線状受け面72Rとは、連続に形成されてもよいし、細隙を介して形成されてもよい。
 
【0031】
  また右側板69Rは、内側において、一体的に形成された右側偏心カム74Rを備えた右側カムギヤ75Rを回転自在に保持する回転軸を、装着される2次転写ローラ33の回転軸と平行に支持している。
 
【0032】
  同様に、2次転写ローラ保持部61において、板金フレーム69の左側板69Lの上縁部には、
図6に示すように、2次転写ローラユニット60の左側ベアリング64L(図示せず)の外周面が載置される、円弧状受け面71L及び直線状受け面72Lが形成され、更に2次転写ローラユニット60の左側摺動ポスト65L(
図4)をスライド可能に受ける左側ポスト受け部73Lが形成されている。また左側板69Lは、内側において、一体的に形成された左側偏心カム74Lを備えた左側カムギヤ75Lを回転自在に保持する回転軸を、装着される2次転写ローラ33の回転軸と平行に支持している。
 
【0033】
  尚、ここでは左右の側板69L,69R及びカムギヤ75L,75Rは、左右の側板69L,69Rの中間の仮想的な中心面(載置される2次転写ローラ33の回転軸に対して垂直)に対して面対称に構成している。また、
図6に示すように左側板69Lに近い内側底部には、遮光板68(
図4)によって遮光される光センサ76が配設されている。尚、遮光板68及び光センサ76は、位置検出装置に相当する。
 
【0034】
  図7は、左右のカムギヤ75L,75Rを回転駆動する駆動力の伝達系の構成を示すため、
図5に示す右側カムギヤ75Rの近傍を
図5とは異なる別の角度からみた外観斜視図である。尚、
図7において、内部構成を示すため右側板69Rを除いている。
 
【0035】
  図7に示すように、右側カムギヤ75Rの下方にはこれと噛合する右側伝達ギヤ84Rが配置され、また
図6に示すように、左側カムギヤ75Lの下方にはこれと噛合する左側伝達ギヤ84Lが配置されている。これらの左右の伝達ギヤ84L,84Rは、左右のカムギヤ75L,75Rの下方において、左右の側板69L,69Rによって両端部が回転自在に保持された連結軸83に同軸で一体的に固定されている。
 
【0036】
  更に、この連結軸83には、右側伝達ギヤ84Rの近傍に中間ギヤ82が同軸で固定されており、この中間ギヤ82には、減速ギヤ81を含む伝達系を介して駆動モータ80の回転が伝達される。従って、駆動モータ80が所定の方向に回転することによって、左右のカムギヤ75L,75Rは、同方向に回転するように構成されている。
 
【0037】
  2次転写ローラユニット60は、その2次転写ローラ33が、2次転写ローラ保持部61のローラ収容部77(
図6)に収まるように2次転写ローラ保持部61に載置される。その際、右側ベアリング64Rの外周面が、右側板69Rの円弧状受け面71R又は直線状受け面72Rの何れかに載置され、右側摺動ポスト65Rが右側ポスト受け部73Rに載置され、同様に、左側ベアリング64Lの外周面が、左側板69Lの円弧状受け面71L又は直線状受け面72Lの何れかに載置され、左側摺動ポスト65Lが左側ポスト受け部73Lに載置されるようにする。更にこのとき、右側カムギヤ75Rの右側偏心カム74Rが、2次転写ローラユニット60の第1と第2の右側規制壁66R,67Rの間に収まるように構成されている。左側においても同様に構成されている。
 
【0038】
  以上の構成において、先ず画像形成装置1全体の印刷動作について主に
図1を参照しながら説明する。
 
【0039】
  用紙トレイ11の内部に積層された記録用紙12は、図示しない駆動モータによって駆動されるピックアップローラ14によって、フィードローラ15とリタードローラ16のローラ対のニップ部まで繰り出されて一枚ずつに分離される。これら給紙部13によって1枚に捌いて媒体搬送路17へ繰り出された記録用紙12は、搬送ローラ対19,20,21によって2次転写部18に搬送される。ここでの搬送中に斜行が矯正され、搬送タイミングが計られ、更に紙厚センサ39によって紙厚が検出される。
 
【0040】
  この間、現像形成部22では、各色のトナー像形成部23において、感光体ドラム26の表面にそれぞれ対応する色のトナー像を形成し、転写ベルトユニット30では、各感光体ドラム26に形成された各色のトナー像を、それぞれ対応して配置された1次転写部25の1次転写ローラ36によって中間転写ベルト24に1次転写する。各トナー像形成部23の感光体ドラム26と転写ベルトユニット30の中間転写ベルト24は、同期して駆動され、各感光体ドラム26に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト24に順次重ねて転写される。
 
【0041】
  中間転写ベルト24上に1次転写されたトナー画像は、2次転写部18まで搬送され、これに同期して2次転写部18に搬送される記録用紙12の記録面上の所定位置に2次転写される。このため2次転写部18では、2次転写ローラ33とバックアップローラ34のニップ部において、2次転写ローラ33とフレームグランドに接続されたバックアップローラ34の間に所定の電界が生じるように、2次転写ローラ33に、図示せぬ電源装置により電圧を印加する。
 
【0042】
  2次転写部18でトナー画像を2次転写された記録用紙12は、定着部40へ送り出される。定着部40では、トナー画像を2次転写された記録用紙12に熱と圧力を印加し、トナー画像を融解して記録用紙12に定着させる。その後、定着処理された記録用紙12は、排出ローラ対44〜48によってスタッカ部49へと排出される。
 
【0043】
  本実施の形態の画像形成装置1は、2次転写部18において、使用される記録用紙12の紙厚及び使用状態に応じて、バックアップローラ34に対する2次転写ローラ33の配設位置の変更を可能とする媒体搬送機構を備えている。以下に、その媒体搬送機構の構成及び動作について説明する。
 
【0044】
  尚、ここでは、2次転写ローラユニット60(
図2(b))の左右の側壁部63L,63R、2次転写ローラ保持部61(
図2(c))の左右の側板69L,69R、及びカムギヤ75L,75R(
図5、
図6)がそれぞれ前記したように所定の中心面に対して面対称に形成されているため、ここでは
図8、
図9において、右側における各構成のみを図示して説明する。
 
【0045】
  図8(a)は、中間転写ベルト24、2次転写部18、定着部40、搬送ローラ対21、及び2次転写部18近傍の用紙搬送路の位置関係を模式的に示す構成図であり、同図(b)は、2次転写部18近傍の部分拡大図である。
 
【0046】
  図8(b)では、説明を容易にするため、2次転写ローラユニット60(
図2(b))の2次転写ローラ33、2次転写ローラ33の回転軸を保持する右側ベアリング64R、右側ベアリング64Rを載置する2次転写ローラ保持部61(
図2(c))の円弧状受け面71R及び直線状受け面72Rの各輪郭のみを示している。
 
【0047】
  図8(b)に示すように、2次転写ローラ33は、その回転軸を保持する右側ベアリング64Rが、2次転写ローラ保持部61の右側板69R(
図5)に形成された円弧状受け面71R又は直線状受け面72Rに載置され、後述する移動手段によって、回転軸中心が、第1の位置としての厚紙位置P1、第2の位置としての普通紙位置P2、及び第3の位置としての減圧位置P3の各スライド位置を取りえるように構成されている。尚、
図8(b)では、煩雑を避けるため、厚紙位置P1及び減圧位置P3での2次転写ローラ33の位置を、各位置での右側ベアリング64Rの外形を示す点線のみで示している。
 
【0048】
  ここで、円弧状受け面71Rの断面(2次転写ローラ33の回転軸と垂直な面で切った)は、バックアップローラ34の回転軸中心34aを中心とする半径L1の円弧上に形成されている。従って、右側ベアリング64Rの外周面が、この円弧状受け面71Rに接する位置に設定された厚紙位置P1及び普通紙位置P2においては、バックアップローラ34と2次転写ローラ33のニップ量に変化なく、バックアップローラ34の回転軸中心34aまでの距離L2が
  L2>L1
  となる直線状受け面72Rに接する位置に設けた減圧位置P3においては、バックアップローラ34と2次転写ローラ33のニップ量が減少して減圧された状態、或いはバックアップローラ34と2次転写ローラ33とが離間した状態となる。
 
【0049】
  図9は、2次転写ローラ33が厚紙位置P1、普通紙位置P2、及び減圧位置P3にあるときの転写ベルトユニット30、2次転写ローラユニット60、及び2次転写ローラ保持部61の位置関係を示す動作説明図であり、同図(a)は2次転写ローラ33が厚紙位置P1に、同図(b)は2次転写ローラ33が普通紙位置P2に、同図(c)は2次転写ローラ33が減圧位置P3に、それぞれ位置するときの状態を示す。
 
【0050】
  図9(a)に示すように、転写ベルトユニット30には、2次転写部18を構成するバックアップローラ34が配置され、中間転写ベルト24が架けられている。
図9(b)に示すよう、2次転写ローラユニット60には、2次転写ローラ33、2次転写ローラ33の回転軸を保持する右側ベアリング64R、右側摺動ポスト65R、第1の右側規制壁66R、第2の右側規制壁67R、及び遮光板68が配設されている。
 
【0051】
  そして
図9(c)に示すように、2次転写ローラ保持部61には、右側ベアリング64Rの外周面を受けてこれを載置する円弧状受け面71R及び直線状受け面72R、右側摺動ポスト65Rを載置する右側ポスト受け部73R、第1と第2の右側規制壁66R,67R間に介在して当接する右側偏心カム74R、そして右側偏心カム74Rと一体的に形成された右側カムギヤ75Rが配設され、右側カムギヤ75Rは、駆動モータ80(
図7)によって矢印D方向に回転駆動される。右側偏心カム74Rの中心79Rは、右側カムギヤ75Rの回転軸中心78Rに対して偏心している。更に同図(c)には、2次転写ローラ保持部61に配設された光センサ76(
図6)の光検出ポイント76aを示している。
 
【0052】
  ここで、2次転写ローラ33を、厚紙位置P1、普通紙位置P2、及び減圧位置P3の3つの位置間で移動する移動方法の一例について説明する。
 
【0053】
  先ず、右側カムギヤ75Rを矢印R方向に回転し、遮光板68が光センサ76の光検出ポイント76aを遮る遮光を検出し、この遮光位置を右側カムギヤ75Rの基準位置とする。ここでの基準位置は、2次転写ローラ33が位置する、
図9(c)に示す減圧位置P3に相当する。従って、ここでは、2次転写ローラ33が減圧位置P3に位置するとき、遮光板68が光センサ76の光検出ポイント76aを遮るように構成されている。
 
【0054】
  従って、この基準位置から、右側カムギヤ75Rを矢印D方向に180度回転することによって2次転写ローラ33を厚紙位置P1に移動し、更に90度回転することによって2次転写ローラ33を普通紙位置P2に移動することができる。
 
【0055】
  ここでは、駆動モータ80は、一方向回転駆動により、右側カムギヤ75Rを矢印D方向の一方向に回転駆動するが、遮光を検出する毎に基準位置補正を行うことにより、右側カムギヤ75Rの回転数の増加に伴って、回転誤差による2次転写ローラ33の停止位置の誤差が累積されて位置精度が低下することはない。
 
【0056】
  ここでは、右側偏心カム74Rの中心79Rの、右側カムギヤ75Rの回転軸中心78Rに対する偏心量を3mmとし、厚紙位置P1と普通紙位置P2との距離、及普通紙位置P2と減圧位置P3との距離も略3mm程度としている。また、各位置P1〜P3における、第1と第2の右側規制壁66R,67Rに対する右側偏心カム74Rの遊びを0.2mm程度設けている。
 
【0057】
  右側摺動ポスト65Rは、2次転写ローラ33が厚紙位置P1、普通紙位置P2、及び減圧位置P3を移動するとき、右側ポスト受け部73Rにガイドされて、その載置面上を移動する。この右側ポスト受け部73Rの載置面は、2次転写ローラ33が各位置P1〜P3を移動するときの2次転写ローラユニット60の姿勢(傾き)を所望の状態に維持するように形成されるが、ここでは、略水平(X軸方向)に形成されている。
 
【0058】
  2次転写ローラ保持部61の直線状受け面72Rは、前記した
図8(b)で説明したように、L2>L1となるように形成されるが、ここでは、略水平(X軸方向)に形成されている。
 
【0059】
  駆動モータ80は、図示しない制御部によって回転制御されるが、その場合の制御方法として、例えば、記録用紙12が紙厚センサ39(
図1)を通過する前の非通紙状態時では、右側カムギヤ75Rを基準位置に停止して2次転写ローラ33を減圧位置P3に維持し、通過時に紙厚センサ39が検出する記録用紙12の厚さが所定の厚さ以上の場合には、2次転写ローラ33が厚紙位置P1に移動するまで速やかに駆動モータ80を回転駆動し、所定の厚さ未満の場合には、2次転写ローラ33が普通紙位置P2に移動するまで速やかに駆動モータ80を回転駆動し、通紙が終了した時点で再び右側カムギヤ75Rを基準位置に停止する、といった動作を繰り返すように制御することができる。
 
【0060】
  以上のように、ここでは、
図8、
図9を参照して、装置の右側における媒体搬送機構の構成及び動作について説明したが、同様に構成された媒体搬送機構の左側でも同様の動作が行われるため、ここでの動作説明は省略するが、これにより2次転写ローラ33は、常にバックアップローラ34と平行状態を維持したまま各位置を移動することができる。
 
【0061】
  尚、厚紙位置P1では、バックアップローラ34と2次転写ローラ33のニップ部への記録用紙12の進入方向と、バックアップローラ34への巻きつけを開始する位置での中間転写ベルト24の接線方向の角度が大きくとれるため、記録用紙12がこしの強い厚紙であっても、その後端部が中間転写ベルト24を叩き上げてトナー画像を乱すのを抑制できる。普通紙位置P2では、ニップ部からの記録用紙12の進出方向と、バックアップローラ34への巻きつけが終了する位置での中間転写ベルト24の接線方向の角度が大きくとれるため、記録用紙12がこしの弱い薄紙であっても、その先端部が中間転写ベルト24にくっ付いたまま搬送されるのを抑制できる。
 
【0062】
  ここで、
図1に示すレールユニット62と転写ベルトユニット30の係りについて説明する。
 
【0063】
  2次転写部18を構成するバックアップローラ34及び中間転写ベルト24は、1つの構成単位である転写ベルトユニット30に属し、2次転写部18を構成する2次転写ローラ33は、レールユニット62に配置された2次転写ローラ保持部61に軸移動可能に保持されている。またバックアップローラ34と2次転写ローラ33は、ニップ部を形成する程度に互いに圧接して配置されるが、機構的に連結していないため、方向や距離等に制限なく分離可能となっている。
 
【0064】
  従ってここでは、2次転写ローラ33が属するレールユニット62は、例えば
図2(a)に示すように、図示しないガイド機構によって矢印C方向(X軸のマイナス向き)に引き出し可能な構成に、またバックアップローラ34及び中間転写ベルト24が属する転写ベルトユニット30は、例えば
図10に示すように、図示しないガイド機構によって矢印E方向(Y軸のマイナス向き)に引き出し可能な構成となっている。
 
【0065】
  尚、本実施の形態では、右側偏心カム74Rの形状を卵型形状とし、右カムギヤ75Rを90度単位で回転させて2次転写ローラ33の位置移動を駆動したが、これに限定されるものではなく、例えば右側偏心カム74Rを断面円形状とし、偏心量及び右カムギヤ75Rの回転角を適当に設定することにより、厚紙位置P1と普通紙位置P2との距離、及び普通紙位置P2と減圧位置P3との各距離を自由に設定することが可能である。またこれにより、2次転写ローラ33を減圧位置P3よりも更に普通紙位置P2から離すことによって、バックアップローラ34から離間する離間位置まで移動するように構成してもよいなど、種々の態様を取り得るものである。
 
【0066】
  以上のように、本実施の形態1の画像形成装置によれば、バックアップローラ34とのニップ量を変えないまま、2次転写ローラ33の位置を、厚紙位置P1、普通紙位置P2等の複数の位置に移動できる他、ニップ量を少なくした減圧位置P3やニップ量がゼロとなる離間位置等にも移動できるため、ニップ痕が発生して、印刷画像にスジ等が生ずるといった印刷品位の低下を回避でき、バックアップローラ34や2次転写ローラ33の長寿命化にも寄与できる。
 
【0067】
  また2次転写ローラ33とバックアップローラ34とを自由に分離できるため、2次転写ローラ33が属するレールユニット62、バックアップローラ34が属する転写ベルトユニット30を、個別に装置本体から同方向或いは異なる方向に引き出すことが可能となるため、装置の設計時の自由度や、部品交換や詰まった記録用紙の除去等のメンテナンスに有効である。