(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一つの仕様は、フィルタの種類、フィルタの帯域幅、異なる帯域間の重なり、及び帯域の数の少なくとも1つを含む、1以上の要因からなる、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明においては、本明細書の一部をなし、本発明が実施される実施形態を図示目的で示す添付の図面を参照する。他の実施形態が利用され、構造的あるいは論理的変形が、本発明の範囲を離れることなくなされうることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で取られるべきではなく、本発明に従った実施形態の範囲は、添付の請求項とそれらの均等物によって規定される。
【0015】
さまざまな動作が、本発明の実施形態を理解するのに助けとなるよう、順番に複数の個別の動作として説明される。しかし、説明の順序は、これらの動作が順番に依存することを意味するとは解釈されるべきではない。
【0016】
説明は、上下、前後、上部/底部など、知覚ベースの説明を使用する。そのような説明は、説明を容易にするためのみに用いられ、本発明の実施形態の応用を限定する意図はない。
【0017】
説明は、1以上の同じ、あるいは、異なる実施形態をそれぞれ参照する「ある実施形態においては」、あるいは、「これらの実施形態においては」と言う語句を使用する。更に、語句「comprising」、「including」、「having」などは、本発明の実施形態について用いられるように、同義語である。
【0018】
"A/B"という形式の語句は、「AまたはB」を意味する。「A及び/あるいはB]と言う形式の語句は、「(A)、(B)あるいは(A及びB)」を意味する。「A、B及びCの少なくとも1つ」は、「(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)あるいは(A,B及びC)」を意味する。「(A)B」という形式の語句は、「(B)あるいは(AB)」を意味し、つまり、Aは任意である。
【0019】
本発明のさまざまな実施形態において、生体医学イメージングのための方法、装置、システムが提供される。本発明の例示的実施形態においては、計算システムは、開示された製造品及び/あるいはシステムの1以上のコンポーネントを与えられ、ここに説明するように、1以上の方法を実行するために用いられることが出来る。
【0020】
さまざまな実施形態において、サンプルの構造的及び/あるいは、流れの情報は、スペクトル干渉の検出に基づいた、光干渉断層撮影(OCT)(構造)及び、OCT血管造影(構造及び流れ)イメージングを用いて得ることが出来る。そのようなイメージングは、応用に応じて、2次元(2-D)あるいは3次元(3-D)とすることができる。構造的イメージングは、従来方法に対して、拡張された深さ範囲のものであり得、流れイメージングは、リアルタイムで実行され得る。ここで開示するように、構造イメージングと流れイメージングの一つあるいは両方は、2-Dあるいは3-D画像を生成するために用いられることができる。
【0021】
特別に言及される、あるいは、説明されるのでなければ、ここで使用されるすべての技術的、及び、科学的語句は、通常の使用に従って用いられ、本開示が属する技術分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。ここで説明されるものと同様、あるいは、均等な、方法、システム、及び、装置/物質が、本開示の実施あるいは、テストに用いることが出来るが、適した方法、システム、及び装置/物質が以下に説明される。
【0022】
ここに言及される全ての文献、特許出願、特許、及び、他の参照文献は、その全体が参照文献として併合される。不整合がある場合、語句の説明を含む本明細書が優先される。更に、方法、システム、装置、物質、及び、例は、例示目的のもので、限定的であることを意図しない。
【0023】
本開示のさまざまな実施形態の理解を容易にするために、以下に、特定の語句の説明を与える。
Aスキャン:対象項目についての空間次元的及び構造の位置についての情報を含む反射率プロファイル(例えば、軸方向深さスキャン)。
自己相関:信号の自身との相互相関。観測間の時間間隔の関数としての観測間の類似性。例えば、自己相関は、ノイズに埋もれた周期信号の存在など、周期的パターンを見つけるために使用でき、あるいは、高周波で示される信号における、失われた基本周波数を特定するために使用されることが出来る。
Bスキャン:一連の軸方向深さスキャン(例えば、Aスキャン)を横方向に結合することによって達成される、断面断層図。
相互相関: 2つの波形の、波形の一方に適用される、タイムラグの関数としての類似性の測度。
脱相関:信号内の自己相関あるいは、信号の集合内の相互相関を、信号の他の側面を維持しつつ、減少させるために用いられるプロセス。例えば、脱相関は、画像の各画素において見られる差異を増強するために用いられることが出来る。2つの画像の対応する画素間に、相関あるいは類似性が無いことの測度は、また、脱相関を記述することができる。脱相関処理の結果は、信号内のわずかな情報が、意味のあるだろう、(例えば、存在する)わずかな差異を取り出すために増強される。例えば、画像間の差異を見つけるために、脱相関を計算することができる。
【0024】
図1に示されているのは、従来の技術の振幅ベースのOCT信号解析方法と、血管接続性と脱相関信号/ノイズ(DSNR)に基づいた本発明を比較する
図100である。例えば、全スペクトル脱相関方法100は、比較目的のため、基本の値として用いられることが出来るが、前述したように、生成される結果の画像において大きなノイズを発生する軸方向の全体の動きに敏感である。画素平均化方法112においては、いくつかの隣接する画素の信号が結合されて、脱相関信号対ノイズ比(DSNR)を改善する。画素平均化方法112の改善されたDSNRは、今度は、OCT血管造影において明らかにされる毛細血管網の血管を測定することにより調べることの出来る、微小循環の高品質の画像を導く(全スペクトル脱相関方法100に比べ)。ここに説明されるように、スペクトル分割脱相関122の本発明は、軸方向の全体の動きによるノイズを減少することによって、DSNRを更に改善する(画素平均化方法112によって得られる改善に比べ)。これは、以下に説明する方法によって達成できる(例えば、有効解像度セルの軸方向の寸法を減少する)。スペクトル分割脱相関方法122の改善されたDSNRは、今度は、OCT血管造影において明らかにされる毛細血管網の血管を測定することにより調べることの出来る、微小循環の更に高品質の画像を導く(全スペクトル脱相関方法100及び画素平均化方法112に比べ)。そのような改善は、血液循環、血管新生、及び、他の血流画像化解析の調査及び解析と共に、目の病気の診察及び管理に有用な画像と情報を可能とする。更に、スペクトル分割脱相関122は、フルオレセイン及びインドシアニングリーン血管造影を、内在的に、2次元ではなく3次元であるという追加的な利点で置き換えるのに用いられる血管造影画像を得るのに使用できる。更なる使用は、他の生体組織における血流の画像化、及び、生きている、あるいは、生きていない、任意の系における流れの画像化を含むことが出来るが、これらには限定されない。
【0025】
更に詳細には、従来技術の全スペクトル脱相関102は、単に振幅信号を処理することによって脱相関を達成し、位相情報は要求しない。散乱組織から来る流れ信号を評価するために、各点での平均相関画像
を、M-BモードスキャンからのN個の反射率振幅画像フレームから計算されたN-1個の脱相関画像フレームを平均することによって得る。各脱相関フレームは、2つの隣接振幅フレームから計算される、A
n(x、z)及びA
n+1(x、z)。全スペクトル脱相関方法102を用いて、脱相関画像は、以下の式(1)で与えられる。
【数1】
ここで、xとzは、Bスキャン画像の横及び深さの指標で、nは、Bスキャンスライス指標を示す。この全スペクトル式において、全スペクトルから得られた脱相関信号対ノイズ比は、同じ位置で撮られたBスキャンの数Nを増加することによって、増加できるのみである。しかし、より多くのスキャンは、より多くの画像化時間を必要とし、実用的でない可能性がある。
【0026】
より詳細には、従来技術の画素平均化方法112は、以下の式(2)で与えられる脱相関画像を生成可能である。
【数2】
(P=1, Q=4, N=8)
ここで、J. Enfield, E. Jonathan, 及びM. Leahy, "In vivo imaging of the microcirculation of the volar forearm using correlation mapping optical coherence tomography (cmoct)," Biomed. Opt. Express 2(5), 1 184-1 193 (201 1 )で述べられているように、P及びQは、X及びZ方向の平均ウィンドウ幅である。擬似的ノイズ及び、血管の不連続性を抑制するために、P対Qウィンドウ移動平均が、X-Z 2Dマップ上に実装可能である。従来技術の画素平均化方法112を、ここで説明するスペクトル分割脱相関122と正確に比較するために、1×4ウィンドウを生成することが出来、これは、画素平均が、スペクトル分割脱相関122でスペクトルを分割するために使用されるのと同じ方向であるZ方向にのみ適用されることを意味する。
【0027】
より詳細には、スペクトル分割脱相関122は、以下の式(3)で与えられる脱相関画像を生成可能である。
【数3】
M個(例えば、以下の例示的例において説明されるようにM=4)の等間隔のバンドパスフィルタを適用することにより、スペクトルを分割した後、M個の個々の脱相関画像は、Bスキャンの各ペア間で取得され得、その後、DSNRを増加するために、横方向(X)と軸方向(Z)の両方に沿って、平均化されることができる。スペクトル分割脱相関122において、平均脱相関画像
は、M個のスペクトル帯域からの脱相関画像の平均として記述することができる。(ある点まで)数Mを増加することによって、脱相関信号対ノイズ比は、スキャン取得時間を増加することなく、改善することができる。
【0028】
どの脱相関方法が用いられようと(全スペクトル102、画素平均112及びスペクトル分割122)、結果の平均脱相関画像フレーム
は、それぞれ、弱脱相関及び強脱相関を示す0と1の間の値となるべきである。このように上記した詳細において脱相関方法を記述することによって、
図1の
図100に図示されるように、得られた結果の脱相関画像に基づいて、これらの方法を相互に比較することが可能となる。スペクトル分割方法122は、軸方向の全体の動きからのノイズを抑制し、更に、全k個のスペクトルの情報を使用し、流れ検出において、優れた脱相関信号対ノイズ比を得ている。スペクトル分割方法122を利用することにより、軸方向の全体の動きは、解像度セルの横方向の寸法と同じ(あるいは、実質的に同じ)とすることができるように、解像度セルの軸方向の寸法を増加する、スペクトルの(k個の)バンドパスフィルタを用いることにより抑制されることができる。
【0029】
図2に図示されるのは、等方的な解像度セル208を生成するために、2つの異なる別個の技術(バンドパスフィルタ204とスペクトル分割206)による、OCTイメージング解像度セル202の変形を視覚的に示す
図200である。BスキャンOCT画像内の各画素は、解像度セルと呼ばれる(例えば、
図2のイメージング解像度セル202)、空間内の3D体積の後方散乱信号から形成される。包絡強度における統計的変化は、OCT解像度セルを通った散乱体の動きに関連している。典型的な光源掃引OCT設定では、光源中央波長とそのスペクトル帯域幅によって決定される、軸方向(Z方向)解像度は、XとY方向の両方のレーザビームプロファイルによって決定される横方向解像度よりもずっと大きい。例えば、通常の光源掃引OCTシステムにおいては、全幅半値(FWHM)振幅プロファイル定義を用いて、全幅半値振幅プロファイルとして定義されるなら(例えば、イメージング解像度セル202はx=y=4zを示す)、軸方向解像度(〜5μm)は、横方向解像度(〜18μm)よりも4倍大きい。横方向解像度より軸方向が高い、この非等方解像度セルは、軸方向の動きに対し、高い脱相関感度となるだろう。基底部においては、心拍に関連した、眼球後眼窩組織によって駆動される眼性脈動は、主に、軸方向に沿って起こる。網膜のOCTイメージングの非等方解像度セルは、この軸方向の動きノイズに非常に敏感である。一方、網膜及び脈絡叢血流ベクトルは、主に、OCTビームに対し横方向で、OCT解像度セルのより広い(より鈍感な)方向に沿っている。したがって、流れ検出の信号対ノイズ比(SNR)を改善するためには、軸方向の解像度を落とし、軸方向の脱相関感度を減じることが望ましい。これは、横方向の流れ信号を犠牲にすることなく、軸方向の動きノイズを減少する。
【0030】
この解像度変更を達成する直接的な一方法は、スペクトル干渉図にバンドパスフィルタを作用させる(例えば、バンドパスフィルタ204)ことである。残念ながら、これは、また、スペクトル干渉図の斑点情報の多くを犠牲にし、流れ信号を減少させる。したがって、これは、流れ(脱相関)検出のSNRを増加させる効果的な方法ではない。斑点情報を失うことなく、軸方向の解像度を減少するより良い方法は、スペクトルを異なる周波数帯域に分割し(例えば、スペクトル分割206)、個別に各帯域で脱相関を計算することである。複数のスペクトル帯域からの脱相関(流れ)画像は、全OCTスペクトルにおける斑点情報を完全に使用するために、平均化することが出来る。スペクトル分割処理の詳細は、ここに、そして、以下に説明する(例えば、
図1のスペクトル分割脱相関122を利用することが出来る)。
【0031】
図3に示されるのは、OCTシステムから、例示的実施形態のM-Bスキャンモードによって得られたデータを含む一つの3D体積データ302の絵
図300である。単一のY位置におけるN個の連続したBスキャンは、M-Bスキャン306(例えば、ここに説明する、ある例示的実施形態によれば、N=8だが、特定のNには限定されない)を含む。したがって、各3D体積データに対し、高速スキャン(x)軸において、単一のBスキャンは、複数のAスキャン304を含み、低速スキャン(y)軸においては、N個の連続したBスキャンを含むM-Bスキャン306のいくつかが存在する。
【0032】
図4は、スペクトル分割技術及び、全OCTスペクトル範囲内の全情報を用いる、脱相関(流れ)画像を生成するための例示的方法400を示す。方法400は、例えば、以下に説明する生体内イメージングシステムによって実行されることが出来る。方法400の一部及び、ここで説明する任意の他の方法(あるいは、方法の一部)が、生体内イメージングのためのコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたコンピュータ実行可能な命令及び製造品によって実行される。
【0033】
402において、OCTスペクトルのM-Bスキャンが受信される。例えば、
図3の絵
図300において示されるM-Bスキャンは、OCT生体内イメージングシステムから受信されることが可能である。
【0034】
404において、M個のスペクトル帯域は、OCTスペクトル402のM-Bスキャンから生成されることが出来る。例えば、
図2の分割されたスペクトル206は、M個のスペクトル帯域を生成するのに利用することが出来る。
【0035】
406において、M個のスペクトル帯域の各スペクトル帯域の平均化脱相関画像が生成される。例えば、
図1で説明したスペクトル分割脱相関122は、M個のスペクトル帯域の脱相関画像を生成するのに利用することができ、各スペクトル帯域について、これらの脱相関画像は平均化されることができる。
【0036】
408において、406において生成された各スペクトル帯域の平均化脱相関画像は、単一の最終画像(例えば、最終脱相関画像)410を生成するために平均化されることが出来る。
【0037】
図5は、スペクトル分割技術及び、全OCTスペクトル範囲内の全情報を用いる脱相関(流れ)画像を生成するために、
図4の方法400内と同様の方法を参照することを含む、追加的な例示的方法500を示している。方法500は、例えば、以下に説明する生体内イメージングシステムによって実行されることが出来る。方法500の一部及び、ここに説明される他の方法の任意のもの(あるいは、方法の一部)は、生体内イメージングのための、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納された、コンピュータ実行可能な命令及び、製造品によって実行されることができる。
【0038】
図6は、
図4の方法400及び
図5の方法500において説明された、異なる周波数帯域に分割された2Dスペクトル干渉図を絵
図600によって、模式的に図示する。
【0039】
図7は、スペクトル分割技術及び、全OCTスペクトル範囲内の全情報を用いた脱相関(流れ)画像を生成するための、
図4の方法400及び、
図5の方法500を、絵
図700によって模式的に図示する。
【0040】
図8は、余分な動きノイズを含む脱相関画像を消去するための例示的方法を示すフローチャート800である(例えば、
図5の方法500で説明したような)。
【0041】
図5の方法500を続けると、502において、OCTスペクトルのM-Bスキャンが受信される。例えば、OCTスペクトル402のM-Bスキャンは、
図7に示されるように、生体内イメージングシステムにおいて、OCTから受信することができる。より詳細には、例えば、光源掃引OCTにおける高速デジタイザによって記録されるスペクトル干渉信号は、背景と自己相関項を引いた後、受信されることができ、簡単に以下の式(4)で与えられる。
【数4】
ここで、
は、高速スキャン軸に沿ったサンプルの収束ビームスポットの横方向の位置であり、
は、波数
は、光強度、
は、基準アームから反射された光の振幅、
は、サンプルから後方散乱された光の振幅、zは、等価自由空間における、サンプル反射と基準反射間の光遅延ミスマッチである。
【0042】
504において、全スペクトルを覆う重なりフィルタ(M)が生成される。更に、506において、kに沿ったバンドパスフィルタ処理が実行される。まとめると、重なりフィルタ504とバンドパスフィルタ処理506を生成することは、
図7に示されるように、M個のスペクトル帯域507を生成することになる(例えば、
図4の方法400で、M個のスペクトル帯域404を生成する場合に説明したように)。式(4)で示されるスペクトル干渉信号の上記に示した例に沿って続けると、2D干渉図
上のガウス形状(例えば、
図6の2D干渉
図605)は、ある位置において、受信した干渉縞を表現するために使用できる。この完全スペクトル縞の帯域幅が最初定義でき、それから、異なる帯域に、この完全スペクトル縞を分割するために、フィルタバンクが生成される(例えば、方法500の重なりフィルタ(M)504を生成する)。このフィルタバンクの仕様は、1)フィルタの種類、2)各フィルタの帯域幅、3)異なる帯域の重なり、及び4)帯域の数を含むいくつかの要因に依存するが、これらには限定されない。一例示的実施形態においては、ガウシアンフィルタは、機能が以下の式(5)で定義されたものを導入することが可能である。
【数5】
ここで、nは、1から1400まで変化するスペクトル要素番号であり、波数kに線形的にマッピングされる。サンプルされたkの範囲は、1000から9091cm
−1とすることができ、1000から1100nmの波長範囲に対応する。全スペクトルの「BW」と参照される帯域幅(例えば、
図600の604において示されるように)は、69nmとすることができ、5.3μmのFWHM軸方向空間解像度を提供することができる。mは、スペクトルのピークの位置である。例示的実施形態では、スペクトルガウシアンフィルタのピークは、9784、9625、9466及び、9307cm
−1に配置される。
は、スペクトル要素の数に対する、ガウシアンフィルタの分散である。例示的実施形態においては、バンドパスフィルタの「bw」と参照される、FWHM振幅帯域幅は、
と等しくすることができ、378個のスペクトル要素をカバーし、27nmの波長範囲、あるいは、245cm
−1の波数範囲に対応する。そのような例示的実施形態に記述される、4個のバンドパスフィルタ(例えば、
図6の608、610、612及び614に示されるように)は、処理によって、元の信号の周波数成分がまったく失われないように、オーバラップすることができる。
図6は、より小さいk帯域幅の4つの新しいスペクトルに、606で分割された(例えば、
図4の方法400の404によって)2Dスペクトル干渉
図605を視覚的に表示し、それぞれ、「BW」は、全スペクトルフィルタの帯域幅を示し、複数の「bw」608、610、612、及び、614は、複数のガウシアンフィルタの帯域幅であり、データブロックの非ゼロ値の領域は、黒く塗りつぶしたパターン616、618、620及び622(例えば、
図7に、同様に視覚的に示されている)で示されている。
【0043】
508において、各個別の周波数帯域からのM個のスペクトル帯域507は、kに沿ってフーリエ変換するために、従来のフーリエ領域OCTアルゴリズムに入力されることが出来る。更に、位相情報は、各スペクトル帯域509の振幅情報となるように下に流されることができる(例えば、
図7に示されるように)。例えば、OCT信号は、したがって、波数kにフーリエ変換を適用することにより、分解された干渉図
から直接計算することができる。計算されたOCT信号は、複素関数
とすることができ、以下の式(6)として記述することができる。
【数6】
ここで、
は、解析的信号
の位相である。OCT信号の振幅
は、位相情報が選択的に劣化する間、使用することができる。
【0044】
510において、固定値が、背景ノイズによって生成された高脱相関を取除くために設定することができる。同一の公称位置において取得されたBスキャン間のOCT信号振幅の脱相関は、幾つかの原因により発生する。(1)流れ、(2)全体の組織の動きあるいはスキャナの誤配置、及び(3)背景ノイズ。生成された画像において、正しい流れ測定を強調し、流れ検出において、信号対ノイズ比を改善するのを助けるために、背景ノイズによって生成される高脱相関を取除くことが望ましい。背景ノイズは、ランダムで、したがって、Bスキャンフレーム間での高脱相関を有する。ノイズは、低OCT信号振幅の画素の大勢を占め、したがって、どんな精度でも、これらの画素においては、流れを評価することはできない。ゼロの固定脱相関値を、低OCT信号振幅のこれらの画素に割り当てることができる。例えば、これは、低信号画素に、定数の振幅値を設定することによって達成することが出来る。例えば、閾値は、サンプルビームがブロックされたときの、平均背景値より上の2つの標準偏差とするように選択することができる。
【0045】
512において、脱相関計算は、隣接の振幅フレーム間で得られる。例えば、
図1に示されるような、スペクトル分割脱相関は、各スペクトル帯域513の脱相関画像を生成するのに利用することができる(例えば、
図7に視覚的に示されるように)。
【0046】
514において、余分な動きノイズを有する各スペクトル帯域513の脱相関画像を消去することが出来る。生成された画像の正しい流れ測定を強調し、流れ検出の信号対ノイズ比を改善するのを助けるためは、全体の組織の動きあるいはスキャナ位置によって生成される脱相関を取除くことが望ましい。衝動性及び微小衝動性の眼の動きは速く、例えば、
図8のフローチャート800において示されるようなBスキャン間の高い脱相関を引き起こす。そのような動きは、同一のY位置において8つのOCT Bスキャンから計算される、視神経頭(ONH)の周りの領域の7つの脱相関画像804(Dn)の集合の3つのフレームを表示できる絵
図802に見られる。示された各脱相関画像フレームは、例えば、上記した方法を用いて説明されたように、隣接するBスキャン振幅フレームのペアから計算することができる。7つの脱相関フレームの内の6つにおいて、流れ画素は、それらの高脱相関値によって、非流れ画素から切り分けることができる。しかし、フレームD4 806において、流れ(血管)及び非流れ(全体の組織)の画素の両方は、おそらく急速な目の動き(例えば、衝動性)による高脱相関値を有していた。全体の動きを検出するために、(808で述べたような領域間の)画像化された組織の構造の高反射率部分における脱相関値の中央値を決定することができる。フレームD4 806における高い全体の動作は、画素ヒストグラム解析810において、脱相関の高い中央値によって検出することができる。ヒストグラム解析は、網膜内部制限膜(retinal inner limiting membrane)から始まり、以下の30画素に至る(802の領域808内)高反射率帯域内で実行することができる。脱相関の中央値814を予め設定された閾値812(例えば、一例示的実施形態においては、閾値は0.15に設定され、脱相関の中央値の上2標準偏差である)と比較することにより、フレーム(例えば、フレームD4)は、統計的外れ値であり、消去されるべきと決定することができる。絵
図816は、外れ値フレームD4を取除いた後の結果を示す。
【0047】
516において、余分な動きノイズを有する画像が取除かれた後に残る、各スペクトル帯域における脱相関画像は、各スペクトル帯域に対する平均脱相関画像を生成するために平均化されることができ、したがって、複数の平均化脱相関画像(すなわち、
図7に示されるように、各スペクトル帯域に対し1つの平均脱相関)を生成する。
【0048】
518において、M個のスペクトル帯域からの平均化脱相関画像は、1つの最終脱相関画像410(例えば、
図7に示されるように、また、
図4の方法400のステップ408で説明されるように)を生成するために平均化される。
【0049】
図8のフローチャート800に戻って、外れ値としてフレームD4 806を取除いた後、残った6つの脱相関画像は、流れ画素(例えば、網膜血管及び脈絡膜における明るい領域)と非流れ暗部領域の間の高いコントラストを表示する、綺麗な脱相関画像818を生成するために、平均化されることができる。綺麗にされていない脱相関画像820は、822と824に丸がつけられた、乳頭周囲領域における網膜血管間の完全に暗い空間の欠如によって明らかにされるように、綺麗な脱相関画像818と比較して、最終脱相関画像が、流れ(血管)と非流れ(静的組織)の画素の間の少ないコントラストを示す、残った外れ値フレームD4 806を有していたことを示す。
【0050】
方法500を利用すると、遅い横方向のスキャン(Y)方向において、3mmをなす、関連する平均反射画像と共に、200個の修正された平均脱相関断面画像の集合を含む3Dデータセットを得ることが出来る。ある実施形態においては、網膜色素上皮(RPE)に設定された分割境界で、網膜と脈絡叢領域に、3Dデータを分離することが望ましい。高反射率のRPEの深さ(Z位置)は、深さにおける反射率と反射率勾配のプロファイルの解析によって特定することが出来る。RPE上の領域は、網膜層で、下の領域は脈絡叢層である。面へのX-Y投影血管造影は、各層において、軸(Z)方向に沿って、最大脱相関値を選択することによって生成することができる。ONHスキャンにおいて、円盤境界のすぐ外のRPE深さは、円盤内の内挿されたRPE平面を設定するのに用いることが出来る。
【0051】
図9は、OCT画像情報を収集する生体内イメージングシステム900を模式的に図示する。例えば、高速光源掃引OCTシステム900(例えば、 B. Potsaid, B. Baumann, D. Huang, S. Barry, A. E. Cable, J. S. Schuman, J. S. Duker, 及びJ. G. Fujimoto, "Ultrahigh speed 1050nm swept source / fourier domain oct retinal and anterior segment imaging at 100,000 to 400,000 axial scans per second," Opt. Express 18(19), 20029-20048 (2010)に記述されるように)は、人間の眼底における微小循環の画像化のための、上記した方法の使用を示すために用いることが出来る。高速光源掃引OCTシステム900は、チューナブルレーザ901を備える。例えば、チューナブルレーザ901(例えば、Axsun Technologies, Inc, Billerica, MA, USAからのチューナブルレーザ)は、1050nmの波長、100nmのチューニングレンジ、100kHzの繰返し速度、50%のデューティサイクルのチューニングサイクルを有している。そのようなOCTシステム900は、5.3μmの測定軸方向解像度(全幅半値振幅プロファイル)、組織内での2.9mmの画像化範囲を生成することが出来る。掃引光源901からの光は、シングルモード光ファイバによって、2×2ファイバカプラに結合されることが出来る。光の一部(例えば、70%)は、サンプルアーム(つまり、患者インタフェース)へ進み、光の他の一部(例えば、30%)は、基準アームに進むことができる。
【0052】
サンプルアームでは、サンプルアーム偏光制御ユニット903を、光偏波状態を制御するために使用することができる。ファイバカプラ902からの出射光は、網膜スキャナに結合することができ、光は、サンプルアームコリメートレンズ904によってコリメートされ、ミラー905と2次元ガルボスキャナ909(例えば、XYガルボナノメータスキャナ)によって反射される。2つのレンズ、第1のレンズ906(例えば、対物レンズ)と第2のレンズ907(例えば、目のレンズ)は、ガルボスキャナ909で反射されたプローブビームを人間の目908に転送することができる。例えば、18μm(全幅半値振幅プロファイル)の収束されたスポット直径は、目のモデルに基いて、網膜面上で計算できる。人間の目への平均の光パワー(つまり、レーザの出力パワー)は、1.9mWとすることができ、これは、アメリカ規格協会(ANSI)で設定された、安全な目への照射限界と整合している。
【0053】
基準アームは、第1基準アームコリメートレンズ913、ウォータセル912、逆反射体911、ガラス板914、及び、第2基準アームコリメートレンズ915を含み得る。ガラス板914は、OCTサンプルアームと基準アームの間の分散をバランスさせるのに用いることができる。ウォータセル912は、人間の目908における分散の影響を補償するのに使うことが出来る。逆反射体911は、基準アームの光路長を調整するために移動できる並進ステージ910上に搭載できる。
【0054】
サンプル及び基準アームからの光は、ビームスプリッタ917において干渉することができる。基準アーム偏光制御ユニット916は、基準アームのビーム偏光状態を最大干渉信号になるように、調整するのに用いることができる。ビームスプリッタ917(例えば、50/50カプラ)からの光干渉信号は、バランスド検出器918(例えば、Thorlabs, Inc, Newton, NJ, USA で製造されるバランスド受信器)によって検出でき、アナログデジタル変換ユニット919(例えば、Innovative Integration, Inc.によって製造される高速デジタイザ)によってサンプルされ、処理のためにコンピュータ920に伝送される。例えば、コンピュータ920は、ここに説明される方法のための、及び、これを実装する命令を格納することに用いることが出来る。例えば、干渉縞は、14ビットの解像度で、400MHzで、アナログデジタル変換ユニット919によって記録されることが出来、取得は、チューナブルレーザ901の光クロック出力によって駆動される。そのような例示的設定のイメージングシステム900の場合、感度は、ミラーと、95dBのニュートラルデンシティフィルタで、4.2dB/mmの感度なまりで、測定することが出来る。
【0055】
上記で光源掃引OCTシステムを説明したが、ここに開示の技術は、任意のフーリエ領域のOCTシステムに適用できる。フーリエ領域OCTシステムにおいて、基準ミラーは固定され、サンプルと基準反射間の干渉は、断面画像を得るために、フーリエ変換で処理される、スペクトル干渉図として取得される。フーリエ領域OCTのスペクトルOCT実装においては、広帯域光源が用いられ、スペクトル干渉図は、格子あるいはプリズムベースの分光計によって取得される。分光計は、同時にスペクトル干渉図を検出するために、ラインカメラを用いる。フーリエ領域のOCTの光源掃引OCT実装においては、光源は、非常に高速で、広いスペクトルに繰り返しチューニングするレーザで、スペクトル干渉図は、シーケンシャルに取得される。光源掃引OCTは、より速い速度を達成でき、ビームは、他のフーリエ領域OCTシステムに比べ、フリンジワッシュアウトによる多くの信号損失を受けることなく、(軸方向スキャン間でのスポットの重なりがより少なく)より高速に横方向にスキャンすることができる。しかし、超高速スペクトルOCTシステムは、ここに説明する技術と共に利用することもできる。
【0056】
前述したように、さまざまな実施形態の1以上の任意のものは、部分的に、あるいは、全体として、システムに組み込むことが出来る。
図10は、本発明のさまざまな実施形態に従った、生体内イメージングシステム(例えば、OCTシステム)1000の例示的実施形態を図示する。実施形態においては、OCTシステム1000は、OCT装置1002と、それに結合された1以上のプロセッサ1012とを備える。1以上のプロセッサ1012は、ここに説明するように、さまざまな方法に従った方法を実行するように適用されることができる。さまざまな実施形態においては、OCTシステム1000は、例えば、任意の形態のパソコンを含むコンピューティング装置を備え、これらの実施形態のさまざまなものにおいては、1以上のプロセッサは、コンピューティング装置に配置されることができる。さまざまな実施形態に従ったOCTシステムは、さまざまな情報を格納するように適用されている。例えば、OCTシステムは、ここに説明した1以上の方法を実行するパラメータ及び/あるいは、命令を格納するように適用されることができる。
【0057】
さまざまな実施形態においては、OCTシステムは、オペレータがさまざまなタスクを実行できるように適用されることが出来る。例えば、OCTシステムは、オペレータが、上記した方法のさまざまなものを構成し、及び/あるいは、立ち上げることができるように適用されることが出来る。ある実施形態においては、OCTシステムは、例えば、サンプルについて実行したスキャンの結果のリポートを含む、さまざまな情報のリポートを生成し、あるいは、生成されるように適用されることができる。
【0058】
ディスプレイ装置を備えるOCTシステムの実施形態においては、データ及び/あるいは、他の情報は、オペレータに対して表示されることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ装置は、入力(例えば、タッチスクリーンにより、アイコンの起動により、ジョイスティックあるいはノブなどの入力装置の操作により)を受信するように適用され、入力は、ある場合には、1以上のプロセッサに通信される(能動的に、及び/あるいは、受動的に)ことができる。さまざまな実施形態においては、データ及び/あるいは情報は、表示され、オペレータは、これに応答して、情報を入力することが出来る。
【0059】
上記したように、さまざまな実施形態の任意の1以上のものは、部分的に、あるいは、全体として、製造品に組み込むことができる。さまざまな実施形態において、
図11に示されるように、本発明のさまざまな実施形態に従った製造品1100は、記憶媒体1112と、記憶媒体1112に格納された複数のプログラミング命令1102とを備えることが出来る。これらの実施形態のさまざまなものにおいては、プログラミング命令1102は、装置が1以上の前述した方法を実行することができるように、装置をプログラムするように適用されることが出来る。
【0060】
さまざまな実施形態において、OCT画像は、診察及び/あるいは、評価を行うデータを提供することができる。いくつかの実施形態においては、そのような決定は、生体組織構造、血管、及び/あるいは微小循環に関連するだろう。例えば、ある実施形態においては、生体組織の3-D生体内イメージング及び、個々の血管を通る血流を定量化することは、例えば、局所貧血、変質、外傷、発作及び、さまざまな他の神経疾患を含む、多くの病気の発達及び治療の背後のメカニズムを理解するのに有用であろう。更に他の実施形態においては、OCT画像、及び、ここに開示する技術は、癌、腫瘍、痴呆、眼科の病気/状態(例えば、緑内障、糖尿病網膜症、加齢性黄斑変性を含む)を特定するのに用いることが出来るだろう。更に、さまざまな実施形態においては、ここに説明するOCT技術は、内視鏡イメージングあるいは、他の内科への応用に用いることが出来るだろう。前述の診察及び/あるいは評価の図示的実施形態は、例示的なもので、したがって、本発明の実施形態は、説明した実施形態には限定されない。
【0061】
ある実施形態が、好適実施形態の説明の目的のために、図示され、説明されたが、さまざまな、別の、及び/あるいは、等価な実施形態あるいは、同一の目的を達成するよう計算された実装は、本発明の範囲を離れることなく、図示され、説明された実施形態の代替物とすることができるだろうことが当業者によれば理解されるだろう。当業者によれば、本発明に従った実施形態は、さまざまな方法で実装できることが容易に理解できるだろう。この出願は、ここに説明された実施形態の任意の適用、あるいは、変形をカバーすることを意図している。したがって、本発明に従った実施形態は、請求項とその均等物によってのみ限定されることを明示的に意図する。
【実施例】
【0062】
斑点及びONHイメージングが、治験審査委員会(IRB)に許可されたとおり、ここに説明した、光源掃引OCTシステム900を用いて、3人の健常人のボランティアに対して、実行された。各イメージングに対し、被験者の頭は、あごと前頭を横たえて安定にされた。フラッシュの内部凝視目標(flashing internal fixation target)は、デジタル光処理(DLP)技術(Texas Instruments, Dallas, TX, USA)を用いて、減衰ピコプロジェクタ(attenuated pico projector)によって投影された。眼底上の画像化領域は、3mm×3mmOCTプレビュースキャンのリアルタイム平面画像を用いて、オペレータによって可視化された。
【0063】
光源掃引OCTシステムは、100-kHzの軸方向スキャン繰返し速度で駆動された。高速横方向スキャン(X)方向においては、Bスキャンは、3mmに渡って200個のAスキャンで構成された。低速横方向スキャン(Y)方向においては、3mmに渡って、200個の離散的なサンプリング平面が存在した。8つの連続したBスキャンが、各Y位置において取得された。これを「M-Bスキャンモード」(
図3に図示されているように)と呼ぶ。なぜなら、これは、同一の位置で、連続するBスキャン間での動きを検出することを可能とするからである。したがって、1600個のBスキャンと32,0000個のAスキャンからなる3D体積データキューブを取得するのに、3.2秒かかった。このスキャン方法の下に、ここに説明された方法が、各ステップにおいて、繰り返しフレーム列に対し適用された。最後に、200個の計算されたBスキャンフレームが、人間の目の後部の3D血液灌流画像を形成するために結合された。
【0064】
図12は、本発明のさまざまな実施形態に従った画像化方法を用いた、近視の人の右目の視神経頭(ONH)の生体内3-D体積構造画像(3.0 (x) × 3.0 (y) × 2.9 (z) mm)を図示する。1つの3D体積データセットから、反射率強度画像と、脱相関(血管造影)画像の両方が得られた。視神経頭(ONH)スキャンに対し、反射率強度1202の平面への(en face)最大投影は、太い網膜血管と、二次分岐1204を示したが、細い分岐と、網膜、脈絡膜及び視神経円盤の微小循環は見ることが出来なかった。投影1202の平面1206から取られた、垂直断面強度画像においては、篩状板(lamina cribosa)の結合組織支柱(connective tissue struts )(明るい)と細穴(pores )(暗い)は、視神経円盤内の深くまで見ることができた。円盤の周りでは、網膜、脈絡膜、及び、強膜は、輪郭を描くことができた。ここに説明した方法により得られたONH血管造影は、微小循環網と共に、多くの次数の血管分岐を示した。平面への最大脱相関投影血管造影1210は、網膜中心動脈と静脈、円盤内の密集した毛細血管網、毛様網膜動脈(鼻円盤マージン(nasal disc margin )における血管造影1210の矢印により示される)と円盤の周りの脈絡膜血管の近連続シートから、多くの次数の分岐を示し、これらの多くは、平面への強度画像1202では、良く見えなかった。生成された垂直SSADA断面脱相関画像1212(表示された1208と同じ平面1206において)は、円盤内の血管内の血流(矢印で示される)、網膜血管、及び、表面から〜1.0mmの深さに柱状部を形成する脈絡膜が示された。これが、深くまで入り込む血管か、あるいは、これは、脱相関投影のアーチファクトを示すかは、不明確である。投影アーチファクトは、より深い静的構造から反射される光は、より多くの表面近くの血管を通るため、脱相関を示すという事実を示している。この種類のアーチファクトは、例えば、動きの速い映画(fly-through movie )の静止フレーム画像1216及び、脱相関画像1212において、実際よりも乳頭周囲網膜血管が太く見えることから明らかである。このアーチファクトのため、これらの血管は、神経線維層(NFL)の全深さまで伸び、脱相関信号は、下位の顔料上皮(subjacent pigment epithelium)(RPE)内に現れ、これは、無血管であるべきであった。
【0065】
網膜血管と表面の円盤血管を別個に見るために、乳頭周囲RPEのレベル以下の画素を取除き、脈絡膜を取除いた。結果の平面への血管造影は、表面の血管網が、円盤境界において、円盤の端に栄養を供給するのを示した。比較して、脈絡叢の循環は、1210に示されるように、網膜下の血流のほとんど連続的なシートを形成した。平面への画像1202、1210及び1214は、円盤マージンのすぐ外における時間的な三日月形状において、RPE退化を示す。三日月形状の内部のRPEには、脈絡毛細血管退化の小さな領域もあった(1210内の矢印領域を参照)。断面グレースケール反射率強度画像をカラースケール流れ(脱相関)画像に重ね合わせることにより、大きな網膜分岐血管は、動きの速い映画の静止画フレーム画像1216に示されるように、乳頭周囲NFLのレベルであった(つまり、円盤、網膜、脈絡膜が、どのように、3D体積の様相において満たしているか)。それはまた、脈絡膜の全厚さ内で血流を示した。結合された画像1216は、また、より深い円盤循環は、篩状板の細穴に主に存在し、結合組織支柱には存在しないことも示された。これは、円盤微小循環が、完全に、非侵襲的に画像化された最初である。画像を横切る横方向のラインは、掃引レーザ光源からおきる固定パターンのアーチファクトの結果であった。
【0066】
ここに開示された本発明を利用した他の例示的例は、斑点血管造影において実施された。眼底の斑点領域は、中心視野に関係がある。糖尿病網膜症による、斑点領域おける毛細血管の欠損は、視力喪失の主な原因である。脈絡毛細管板の焦点損失は、ドライ及びウェットの加齢性黄斑変性の発病、先進国における失明の第一原因、における、可能な原因的要因である。したがって、斑点血管造影は重要である。ここに説明される技術が、
図13の斑点の生体内の3-D体積構造画像(3.0 (x) × 3.0 (y) × 2.9 (z) mm)に示されるように、健康な目における、網膜及び脈絡叢の循環の両方の斑点血管造影を実施するために使用された。
【0067】
ここに開示される技術を用いて可視化された、血管パターンと毛細血管網は、位相ベースのOCT血管造影技術を用いて以前に報告されたものと同様であった。流れ画素は、網膜内に連続した微小循環網を形成した。既知の解剖学と一致するように、約600μmの直径の中心窩無血管域(平面への最大脱相関投影血管造影1302に示されるように)においては、血管網は存在しなかった。ノイズのために、中心窩無血管域内に、いくらかの分離された明確な流れ画素が存在した。併合された流れ情報(明/カラースケールで示された脱相関)と、構造情報(グレイ/暗スケールで示された反射率強度)と共に、中心窩中心を通った水平OCT断面は、中心窩中心画像1304によって示された。中心窩中心画像1304を調べると、これらの間違った流れ画素がRPEと光受容体の高反射率層における脱相関ノイズであることを示す。脈絡毛細管板層は、合流重なり網状組織を形成し、脈絡膜循環の投影画像が(脈絡叢の循環1306の平面への最大脱相関投影血管造影を参照)合流流れを示すことが期待される。1304と同様に、下黄斑の併合された水平OCT断面(1302の下の点線)は、下黄斑画像1308によって表されている。断面画像1304及び1308は、既知の解剖学と一致するように、NFLから外網状層への網膜血管を示した。内部脈絡膜内の流れは、明/カラースケールで見られる脱相関に基づくように、高速度を有している。体積は、網膜循環(断面画像1304と1308に示されるように)よりも大きく、脈絡叢の循環は、網膜循環よりもずっと大きな流れを有しているという、既知の生理学と再び整合した。大きい流れ測度からのフリンジワッシュアウトと、重なる組織のシャドーイング効果のためと思われる原因で、外部脈絡膜において、信号のない場所が存在した。断面画像1304及び1308は、また、RPE層において、わずかな脱相関スポットを示した。これらは、RPEが無血管として知られることから、アーチファクトと考えられる。前述したように、これらは、おそらく、強反射信号(つまり、RPE)を伴った、近位層(例えば、内部網膜層)における流れの脱相関の、末梢部層への投影によるものである。内部網膜においては、血管は、垂直配列を形成する傾向もあり、ある場合には、投影アーチファクトによるものでもあろう。
【0068】
ここに開示した本発明を利用した他の例示的例は、脱相関ベースの血管造影のための、全スペクトル、画素平均及びスペクトル分割技術(
図1に示されるように)間の差異を理解するために実施された。血管造影を得るために、特に
図1への説明、及び、式(1)−(3)によってそれぞれ説明した、上記した方法。正しい比較のために、同一動き誤差減少、ノイズ閾値及び平面への投影方法が用いられた。
【0069】
図14は、従来技術の方法、全スペクトル(1402)及び、画素平均(1404)にしたがった、及び、本発明のさまざまな実施形態(1408)にしたがった、方法を用いて、斑点網膜循環の平面への血管造影を図示している。従来技術の方法と本発明の方法が、太い斑点血管の良い画像を提供する一方、毛細血管網は、スペクトル分割本発明によって生成されたスペクトル分割血管造影108において、最も綺麗に、最も連続的に見えた。画素平均血管造影1404を生成する画素平均方法は、2番目に綺麗な、連続毛細血管網を表示する。全スペクトル血管造影1402を生成する全スペクトル方法は、ノイズと思われる、かなり切断された流れ画素を示した。ノイズは、毛細血管を含む、あらゆる網膜血管を有しない、中心窩無血管域(600μm直径の1402A,1402B及び1408C画像の黄色の丸の内部)において、最も容易に見ることが出来る。スペクトル分割血管造影1408においては、無血管領域のすぐ外の毛細血管網のほぼ連続な画像が存在し、一方、このループは、他の2つの従来技術を用いた場合には、切れて見えた。1402D,1404E及び1408Fに示される各方法(全て、1402Aに示されるように水平な点線を横切ってスキャンされた)による断面血管造影は、スペクトル分割方法が、異なる網膜血管及び暗背景間の最も明瞭なコントラストを提供することを示した。再び、画素平均方法は、2番目に良く、全スペクトル方法は、視認できる雪のような背景ノイズを示した。
【0070】
3つの脱相関ベースの血管造影技術を比較する、利点の定量的数値を得るために、2つの解剖学的知識を用いた。一つは、網膜血管は、連続な網を形成することで、他方は、中心窩無血管域内には網膜血管はないことである。
図15は、従来技術の方法に従った、及び、本発明のさまざまな実施形態に従った方法を用いた、血管接続性及び信号対ノイズ比(SNR)を示す生体内画像を示す。
図15において、画像1502A1−1502A4は、全スペクトル方法(全て1502の行)を用いて得られ、画像1504B1−1504B4は、画素平均方法(全て1504の行)を用いて得られ、画像1506C1−C4は、ここに説明したスペクトル分割技術を用いて得られた。血管接続性を評価するために、3つの異なる方法で得られた投影画像(
図14の1402A、1404B及び1408C)は、固定閾値に基づいて、二値画像に変換された(例えば、二値化)(
図15の第1の列1508の画像に示されるように、画像1502A1、1504B1及び1506C1)。そして、骨格化形態学的操作(例えば、骨格化)が、1画素幅の線とドットで作られる血管網を得るために適用された(
図15の第2の列の画像に示されるように、画像1502A2、1504B2及び1506C2)。次に、切断された流れ画素が、結合された流れスケルトンから分離された(例えば、切断された流れ画素を取除くフィルタリング)(
図15の第3の列1512の画像に示されるように、画像1502A3、1504B3、及び1506C3)。血管接続性は、スケルトンマップにおける、接続された流れ画素の数の流れ画素の全数に対する比として定義された。接続性は、3人の被験者の6つの目のOCT斑点血管造影において、解析された(以下の表1参照)。対応t検定に基づいた、3つの技術の比較は、スペクトル分割技術が、画素平均(p=0.037)及び全スペクトル(p=0.014)技術に対し、かなり良い接続性を有していることが示された。ここに説明されたスペクトル分割技術は、全スペクトル従来技術(39%)に比べ、ファクタ2以上に切断流れ画素(18%)の数を減少した。
【0071】
脱相関信号の信号対ノイズ(SNR)を計算するために、問題の信号とノイズ領域を規定する必要があった。斑点については、幸運にも、中心窩無血管領域(FAZ)は、毛細血管も含めて、血管がない。傍中心窩の毛細血管網は、窩に栄養を与え、糖尿病網膜症にあるこれらの毛細血管の損失は、失明の重要なメカニズムである。したがって、FAZに対する傍中心窩領域の脱相関値比は、綺麗で、SNRを計算するのに、臨床的に関係のある方法である。
図15の第4の列1512において、画像1502A4、1504B4、及び1506C4は、脱相関SNRを示し、ここでは、ノイズ領域は、窩無血管領域(半径R1の内部点線円で示されている)であり、信号領域は、傍中心窩環(半径R2と半径R3の間のグレーの領域として示されている)であった。FAZ(R1)の半径は、約0.3mmである。したがって、半径0.3mmの中心FAZは、ノイズ領域で、半径0.65(R2)と1.00mm(R3)の間の環状傍中心窩領域は、信号領域であった。したがって、脱相関信号対ノイズ比(DSNR)は、以下の式(7)を用いて表現することが出来る。
【数7】
ここで、
と
は、それぞれ、傍中心窩環及びFAZ内の平均脱相関値であり、
は、FAZ内の脱相関値の分散である。これらの計算は、平面への最大投影画像上で行われた。
【0072】
DSNRは、3人の被験者の6つの目に対して実行されたOCT斑点血管造影に対して解析された(以下の表1参照)。対応t検定は、スペクトル分割技術のDSNRは、画素平均技術(p=0.034)及び全スペクトル技術(p=0.012)よりもかなり高いことを示した。スペクトル分解技術は、全スペクトル技術に比べ、ファクタ2以上にDSNRを改善した。
【表1】
【0073】
開示の技術を利用することにより、網膜及び脈絡叢の循環における大きな血管と毛細血管網の両方の視覚化が実施された。この視覚化は、ドップラー及び他の位相ベースの流れ検出技術を用いても達成できるが、開示したSSADA(つまり、スペクトル分割)技術は、位相ベースの技術に対し、いくつかの潜在的な利点を有している。位相ノイズに対する鈍感性は一つの利点である。他の利点は、微小血管流を定量化出来ることを含む。有効解像度セルが等方的にされるので(
図2に示されるように、X、Y,及びZ次元において同寸法を有する)、横方向(X、Y)及び軸方向(Z)の流れに同じ敏感性を有する。これは、ドップラーシフトが起こる軸方向の流れに、内在的により敏感な全ての位相ベースの技術と違う点である。したがって、開示した技術を利用することによって、方向に関係なく、流速の関数としての脱相関値を生じる。血球がレーザビームを横切ってより速く動くと、スキャンパラメータによって設定される速度内の受信信号の脱相関指標をより高くする。理論的には、飽和速度は、ほぼ、フレーム間時間遅延(0.002秒)で割った解像度セルのサイズ(0.018mm)、あるいは、9mm/秒となるべきである。最小の検出可能な流速は、非流れ組織ボクセル(voxel)の脱相関分布統計に基づいた、脱相関ノイズ最低値によって決定することが出来る。この例では、スペクトル分割技術の投影図は、斑点毛細血管領域(傍中心窩領域)内の血管パターンを示した。これは、開示したスペクトル分割技術は、0.5−2mm/秒の範囲内の網膜毛細血管流を検出することが出来ることを説明する。インビトロ流れ幻影実験(in vitro flow phantom experiment)を用いた、脱相関値に対する速度のキャリブレーションは、更に、最小検出可能流速を決定するのに行うことが出来る。
【0074】
近位の(浅い)層から末梢の(深い)層までの流れの投影は、難しいかもしれない。太い乳頭周囲網膜動脈及び静脈(
図12に示されるように)と、内部網膜の斑点血管(
図13に示されるように)の流れは、血管を含むべきでない高反射率RPE上に投影される。より表面の内部網膜層(つまり、神経線維層と神経細胞層)から、より深い内部網膜層(つまり、内部及び外部網状層)への流れの可能性のある投影も存在した。これは、網膜循環の平面への投影の正確性に影響を与えるものではないが、断面血管造影と脈絡叢の循環の平面への投影の正確性に影響を与えた。より表面のボクセルが、超閾値(suprathreshold)脱相関値を有するなら、より深いボクセルにおける流れ特定のための閾値脱相関値を上げることが出来るが、流れ投影アーチファクトの代わりに、不可避的に、潜在的シャドーアーチファクトを導入する。したがって、より深い血管の画像は、このアーチファクトのことを考えて解釈することができる。
【0075】
ここに開示した技術を用いて、大きくノイズを減少する一方、全体の組織の動きからのノイズは、完全には消去できないだろう。開示された例で説明したように、フレームシフト登録を用いて、連続するBスキャンフレーム間のX-Z動きを補償することはなされなかった。この登録は、X-Z次元(Y方向ではない)の全体の動きの効果を減少し、更に、流れ検出の精度を改善するだろう。平面への血管造影から、3Dデータセットにおいて、衝動性動きアーチファクトがあることも明らかである。これは、3D登録アルゴリズムの使用によって減少することができるだろう。
【0076】
上記した開示は、複数の異なる実施形態をカバーする。これらの実施形態のそれぞれは、好適形態で開示されたが、開示され、図示された特定の実施形態は、多くの変形が可能であるので、限定的な意味に考えられるべきではない。本開示の主題は、ここに開示した、さまざまな要素、フィーチャ、機能及び/あるいは、特性の全ての、新規で非自明な組み合わせ、及びサブコンビネーションを含む。同様に、任意の請求項が、「a」あるいは、「第1の」構成要素あるいは、その均等物を記載する場合は、そのような請求項は、2以上のそのような構成要素を要求する、あるいは、排除することなく、1以上のそのような構成要素を併合することを含むことを理解されたい。