特許第6200909号(P6200909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200909
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】弁体を備えた2液混合吐出器
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20170911BHJP
   B05C 17/01 20060101ALI20170911BHJP
   F16K 15/16 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   B05C5/00 A
   B05C17/01
   F16K15/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-40464(P2015-40464)
(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2016-159236(P2016-159236A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2015年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】306004807
【氏名又は名称】日本アドックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595162459
【氏名又は名称】竜興化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山家 清
(72)【発明者】
【氏名】菊池 勇一郎
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−071868(JP,A)
【文献】 特開昭59−166232(JP,A)
【文献】 特開2000−317368(JP,A)
【文献】 特開2008−036556(JP,A)
【文献】 特開2005−288255(JP,A)
【文献】 実開昭56−044868(JP,U)
【文献】 特表2015−501264(JP,A)
【文献】 米国特許第05875928(US,A)
【文献】 米国特許第03767085(US,A)
【文献】 米国特許第03390814(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00621083(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00〜B05B17/08
B05C1/00〜B05C21/00
B05D1/00〜B05D7/26
B01F5/00〜B01F17/56
B67D1/00〜B67D99/00
B65D1/00〜B65D90/66
F16K1/00〜F16K99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤が収納され2つの収納容器と、
前記収納容器を押圧して、前記液剤を前記2つの収納容器の吐出路から押し出す押出器と、
前記吐出路に取り付けられ、前記収納容器から吐出され2つの前記液剤を通過させながら内部で混合するノズルと、
前記ノズルと前記吐出路との間に取り付けられる弁体と、
を備えた2液混合吐出器であって
前記弁体は、
面と、前記面に対向した面と、前記面と前記面との間に設けられ前記ノズルの内面に密着する側面とを有し、円錐台状の弁本体部と、
弁片と、
前記弁本体部の内部に設けられる2つの弁流路と、
前記弁体の後面に設けられた、前記2つの弁流路に連通し、前記収納容器のそれぞれの前記吐出路に接続される2つの弁流入部と、
を備え、
前記弁片は、それぞれ、前記前面の中心を挟んで対向する位置に、前記前面と前記側面の双方にかけて設けられており、前記前面から前記後面の方向に球状に凹む形状に湾曲し、前記前面の中心側に凸状に湾曲し前記前面に形成された第1縁部と、前記側面に形成された第2縁部と、前記第1縁部より前記弁片の厚み分前記前面の中心側に入った位置に前記弁流路に沿って円弧状に形成されている開口線とで区画形成されるものであり、
前記弁流路は、一端が前記弁流入部の後方端部に開口し、前記弁片まで延びており、
前記前面と前記ノズルの内面との間、及び、前記弁片と前記ノズルの内面との間に前記開口線が開く空隙を有し、
前記押出器の操作により2つの前記収納容器から前記液剤が押し出されると、前記液剤からの圧力で前記弁片が膨らみ前記開口線がそれぞれ開き、前記弁流路内部と前記前面の前方と連通し、前記液剤が前記弁流路を通って前記弁体から前記ノズル内に吐出され、前記押出器の操作を停止すると、前記開口線が前記弁片の弾性力で閉鎖される、
とを特徴とする弁体を備えた2液混合吐出器。
【請求項2】
前記弁片は、前記収納容器から前記液剤が吐出される方向に開口する一方向弁であることを特徴とする請求項1に記載の弁体を備えた2液混合吐出器。
【請求項3】
前記開口線は、前記弁本体部の前記前面を前記弁流路の内面形状に沿って破断した切断線により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の弁体を備えた2液混合吐出器。
【請求項4】
前記弁流路の内面は、前記後面の外周縁に沿った外側内面と、前記外側内面に対して前記弁本体部の中心側に対称的に形成された内側内面とにより形成され、前記切断線は、前記内側内面の形状に沿って形成されていることを特徴とする請求項に記載の弁体を備えた2液混合吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの容器に収納された液剤を混合して吐出する、弁体を備えた2液混合吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
2液混合吐出器は、液剤の収納された2つの収納容器と混合羽根を配した混合ノズルとを備え、作業者が操作レバーを操作すると、各収納容器から吐出された液剤が混合ノズル内の混合羽根を通過して吐出される。エポキシ樹脂等の2液硬化型接着剤の主剤と硬化剤とが各収納容器に収納された2液混合吐出器は、操作レバーの操作により、主剤と硬化剤とが適宜混合された状態でノズルから吐出されることから、工事現場等で使い勝手のよい器具として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−101845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液剤の入った2つの収納容器と内部に混合羽根を配した混合ノズルとを備えた2液混合吐出器は、作業しない状態が続くとノズル内の液剤が空気と共に逆流し、容器内に流れ込んでしまうことがある。そのとき、液剤が他方の容器内に入り込むと、液剤が他方の液剤と反応して硬化してしまうこと等が発生する。又、主剤と硬化剤の混合比率に変動が生じ、適正な接着剤の強度が得られなかったり、硬化反応が発生しない等のおそれがある。
【0005】
本発明は、2液混合吐出器の液剤の入った2つの収納容器の液剤の逆流を防止でき、2つの液剤の粘性あるいは比重が異なる場合においても他方の容器への液剤の流入を防止でき、液剤混合比率を安定させることができる2液混合吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、2液混合吐出器を次のように構成した。2液混合吐出器は、液剤が収納され2つの収納容器と、収納容器を押圧して、液剤を2つの収納容器の吐出路から押し出す押出器と、吐出路に取り付けられ、収納容器から吐出され2つの液剤を通過させながら内部で混合するノズルと、ノズルと吐出路との間に取り付けられる弁体と、を備えている。
【0007】
更に、弁体は、面と、面に対向した面と、面と面との間に設けらノズルの内面に密着する側面とを有し、円錐台状の弁本体部と、弁片と、弁本体部の内部に設けられる2つの弁流路と、弁体の後面に設けられた、2つの弁流路に連通し、収納容器のそれぞれの吐出路に接続される2つの弁流入部と、を備えている。
弁片は、それぞれ、前面の中心を挟んで対向する位置に、前面と側面の双方にかけて設けられており、前面から後面の方向に球状に凹む形状に湾曲し、前面の中心側に凸状に湾曲し前面に形成された第1縁部と、側面に形成された第2縁部と、第1縁部より弁片の厚み分前面の中心側に入った位置に弁流路に沿って円弧状に形成されている開口線とで区画形成されるものである。弁流路は、一端が弁流入部の後方端部に開口し、弁片まで延びている。前面とノズルの内面との間、及び、弁片とノズルの内面との間に開口線が開く空隙を有している。
押出器の操作により2つの収納容器から液剤が押し出されると、液剤からの圧力で弁片が膨らみ開口線がそれぞれ開き、弁流路内部と前面の前方と連通し、液剤が弁流路を通って弁体からノズル内に吐出され、押出器の操作を停止すると、開口線が弁片の弾性力で閉鎖される
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノズル内部から容器内へ液剤の逆流、他方の容器への液剤の流入が生じない2液混合吐出器を提供することができる。このことにより、安定した混合比率で液剤が吐出され、液剤の適正な使用目的を達成させることができ、更に、使いかけの液剤を収納容器内部に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる2液混合吐出器の一実施形態を示す分解斜視図。
図2】カートリッジを示す分解図。
図3】弁体を示す正面図。
図4】弁体を示す断面図。
図5】弁体を示す平面図。
図6】弁体を示す底面図。
図7】弁体部分を示す容器本体の部分断面図。
図8】弁体部分を示す容器本体の部分断面図。
図9】弁体部分を示す容器本体の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる一実施形態の2液混合吐出器について説明する。図1は、分解した2液混合吐出器10を斜め上方から示す分解斜視図である。2液混合吐出器10は、図1に示すように、液剤を収納したカートリッジ12と、カートリッジ12から液剤を押し出す押出器14とを備えている。以下、2液混合吐出器10について、基本的に、カートリッジ12のノズル16の側を前方とし、その逆を後方とし、又、押出器14に対して握り部52が取り付けられている側を2液混合吐出器10の下方とし、その逆を上方として説明する。
【0012】
押出器14は、図1に示すように、カートリッジ12を装填する装填部50と、握り部52と、操作レバー54と、押込部材56とを備えている。装填部50は、カートリッジ12が収容できる空間を有している。装填部50の前方には、カートリッジ12のノズル16が突出する切欠き部58が設けられている。
【0013】
装填部50の下部には、握り部52が固定されている。握り部52の前方には、操作レバー54が揺動自在に取り付けられている。操作レバー54は、押込部材56の駆動機構に連結している。
【0014】
押込部材56は、左右2か所に押し板57、59を有している。作業者が操作レバー54を作動させると、駆動機構により押込部材56が駆動し、押し板57、59が所定量ずつ前進する。押し板57、59は、操作レバー54の操作により装填部50内で同一に前後進し、後述する第1容器24及び第2容器25の底板28、29を前方に押圧する。図2に、カートリッジ12を分解して示す分解図を示す。
【0015】
カートリッジ12は、図2に示すように、ノズル16と、弁体18と、キャップ20と、容器本体22とを備えている。容器本体22は、第1容器24と第2容器25とから構成されている。第1容器24と第2容器25は、請求項でいう収納容器である。
【0016】
第1容器24と第2容器25は、共に円筒形の容器で、同一の長さを有している。径は、第1容器24の方が、第2容器25より大きい。第1容器24は、内部に底板28を長手方向に沿って移動自在に備えている。第2容器25は、内部に底板29を長手方向に沿って移動自在に備えている。第1容器24と第2容器25は、それぞれ内部に液剤を収納している。
【0017】
尚、第1容器24と第2容器25は、円筒形でなくともよく、又、同一の径でもよい。更に、第1容器24内の液剤と第2容器25内の液剤とを、適切な比率で混合できるようにするために、それぞれの径を変更してもよい。但し、これは、液剤の本来決められている混合比に帰属することとなる。
【0018】
第1容器24は、先端に第1吐出部30を備えている。第2容器25は、先端に第2吐出部32を備えている。第1吐出部30と第2吐出部32は、それぞれ半円筒状であり、第1吐出部30と第2吐出部32とにより、円筒形の取付部34が容器本体22の先端に形成されている。
【0019】
図8に示すように、第1吐出部30の内部には、第1容器24の内部に連通する第1吐出路36が形成されている。第2吐出部32の内部には、第2容器25の内部に連通する第2吐出路38が形成されている(いずれも図8参照)。第1吐出路36と第2吐出路38はともに、横断面が、2つの円弧を組み合わせたような凸レンズ形状を有し、取付部34の前端面(図2の上方の面)に開口している。尚、第1吐出路36等の開口形状は、凸レンズ型に限るものではない。
【0020】
取付部34の外周面には、雄ねじ部35が形成されている。雄ねじ部35は、キャップ20の雌ねじ部に対応している。取付部34には、後述する弁体18を挟んで、ノズル16が取り付けられる。
【0021】
ノズル16は、環状の組付部40と、組付部40に連続した傾斜部42と、傾斜部42に連続したノズル部44と、ノズル部44の先方に設けられた先細部48とを備えている。更に、ノズル部44の内部には、混合羽根46(図7参照)が挿入されている。
【0022】
組付部40は、円筒形で、図7に示すように、内径が、雄ねじ部35の先方のねじが形成されていない面の径に等しく形成されている。傾斜部42は、組付部40から連続して形成されている。傾斜部42は、図7に示すように、ノズル16の中心に向けて所定の角度aで、円錐台状に形成されている。
【0023】
ノズル部44は、傾斜部42に連続して設けられている。ノズル部44は、円筒状で、内部に混合羽根46が設けられている。混合羽根46は、ノズル部44の長さとほぼ同じ長さを有している。混合羽根46は、螺旋状に捩じれた羽根が、羽根の捩じり方向を左右交代しつつ連続して形成されている。
【0024】
先細部48は、ノズル部44の先方に設けられている。先細部48は、段階的に開口面積が狭められており、先細部48を任意の位置で切断することで、ノズル部44を所望の開口面積で切断することができる。
【0025】
キャップ20は、円筒状で、内面に取付部34の雄ねじ部35に対応した雌ねじ部37を備えている。キャップ20は、先端の内径が狭めてあり、キャップ20を取付部34の雄ねじ部35に螺合させると、キャップ20の先端がノズル16の傾斜部42に係合し、ノズル16とともに弁体18が取付部34に固定される。
【0026】
次に、本発明の特徴部分である、弁体18について説明する。弁体18を、図3から図6に示す。
【0027】
図3は、弁体18の正面を示す正面図である。図4は、弁体18を、弁体18の中心を通る平面で破断した断面図である。図5は、弁体18の前面を示す平面図である。図6は、弁体18の後面を示す底面図である。
【0028】
弁体18は、図3に示すように、円錐台状の弁本体部60と弁本体部60に設けられた一対の弁流入部62とを備えて形成されている。弁体18は、合成樹脂材から一体に形成され、全体で適度な弾性を有している。
【0029】
弁本体部60は、図3において上方に位置する前面64と、前面64に対向した後面66と、側面68とを備えている。弁本体部60の前面64は、液剤の吐出方向であり、円形で、平坦に形成されている。前面64には、弁片70が設けられている。
【0030】
側面68は、前面64の周囲に連続して形成されている。側面68は、ノズル16の傾斜部42の傾斜角度aと等しい傾斜を有している。弁片70は、側面68にも一部かかって設けられている。後面66は、平面状で、前面64と平行に形成されている。前面64と後面66は、側面68を介して連結されている。後面66には、弁流入部62が設けられている。
【0031】
弁流入部62は、図3に示すように、2本平行に後面66に設けられている。弁流入部62は、図6に示すように、2つの円弧を組み合せたような凸レンズ状に形成してある。これは、前述した取付部34の第1吐出路36等と同じ形状である。弁流入部62は、第1吐出路36や第2吐出路38にほとんど隙間を生じさせることなく挿入される。弁流入部62の内部には、弁流路72が形成されている。
【0032】
弁流路72は、弁流入部62の後方端部に開口している(請求項でいう弁流路の一端は、「弁流入部62の後方端部」側に相当)。弁流路72は、弁流入部62の後方端部から弁本体部60の内部に、前面64から所定の厚みを残した部分(請求項でいう弁流路の他端は、「所定の厚みを残した部分」側に相当)まで延びている。前面64から残された所定の厚み部分は、弁片70である。
【0033】
弁片70は、前面64と側面68の双方にかけて設けられている。弁片70は、図5に示すように、前面64の中心Cを挟んで対向した位置に設けられている。弁片70は、図4に示すように、所定の厚みを有し、後方に凹む球状に湾曲している。図4は、弁体18の中心と弁片70の中央とを通る平面で弁体18を破断して示す図である。
【0034】
図5に、弁体18の前面64を示す。図5に示すように、前面64には、弁片70により、前面64の中心側に凸状に湾曲した第1縁部80が形成されている。第1縁部80は、前面64に対称位置に設けられている。
【0035】
側面68には、弁片70により、第2縁部82が形成されている。第2縁部82は、ほぼ円形形状を有している。第1縁部80と第2縁部82で、弁片70が区画形成されている。
【0036】
更に、第1縁部80の近傍には、開口線74が形成されている。開口線74は、前面64を前後に貫通した切断線である。開口線74は、弁流路72の内面(請求項における内側内面に相当)の延長線上に形成されている。すなわち、開口線74は、第1縁部80より、弁片70の厚み分前面64の中心側に入った位置に、弁流路72の内面に沿って円弧状に形成されている。
【0037】
開口線74は、弁片70が球状に凹に湾曲しているので、素材の弾性力により常に閉じられる方向に付勢されている。開口線74が開くと、弁流路72の内部は前面64の前方側と連通する。開口線74は、例えば、弁流路72の側から、弁流路72の内面に沿った形状の刃物を差し入れて形成する。刃物を差し入れて形状を形成することから、開口線74の切り口は、隙間なく形成でき、弁片70の密閉性を高めることができる。
【0038】
図7に、カートリッジ12の部分断面を示す。図7は、カートリッジ12の取付部34の周辺を、弁片70が現れる方向から破断した状態を示している。弁本体部60の側面68は、ノズル16の傾斜部42の内面と傾斜が一致し、互いに密着している。
【0039】
図8は、カートリッジ12の取付部34の周辺を、弁片70の中心を通る平面で破断した状態を示す図である。図8に示すように、弁片70と傾斜部42との間、及び弁本体部60の前面64とノズル16の傾斜部42の内面との間には、空隙が形成されている。そのため、接着剤を吐出すると、弁片70が膨らみ、開口線74が開き、容易に接着剤を吐出させることが可能になるのである。
【0040】
次に、2液混合吐出器10の作用、効果について説明する。容器本体22の第1容器24には、エポキシ樹脂などの2液混合接着剤の主剤が収納されている。第2容器25には、エポキシ樹脂等を硬化させる硬化剤が収納されている。
【0041】
取付部34に組み付けられている蓋を外し、取付部34に弁体18を嵌める。弁体18の弁流入部62を、第1吐出部30と第2吐出部32に挿入する。弁体18を取付部34に嵌めた後に、その上にノズル16を取り付け、ノズル16にキャップ20を通して、キャップ20を取付部34の雄ねじ部35にねじ込む。これにより、ノズル16が容器本体22に固定され、カートリッジ12が形成される。
【0042】
形成されたカートリッジ12を、押出器14の装填部50に装填する。操作レバー54を操作すると、押込部材56が前進し、押し板57等が容器本体22の底板28等に当接する。押込部材56を更に前進させると、底板28、29が前進し、液剤が容器本体22から所定量ずつ押し出される。操作レバー54の操作により容器本体22から押し出された主剤と硬化剤は、第1容器24と第2容器25の第1吐出路36と第2吐出路38を通って弁体18の開口線74をそれぞれ開き、弁体18から吐出される。
【0043】
図9に、主剤や硬化剤からの圧力で弁片70が外方に移動し、開口線74が開かれた状態を示す。主剤と硬化剤は、ノズル16の内部に移動し、混合羽根46で撹拌され、一体に混合されて先細部48から吐出される。
【0044】
そして、操作レバー54の操作を停止すると、押し板は底板28、29の押圧を停止し、主剤と硬化剤の吐出が停止される。又、弁片70に掛かっていた圧力が解消される。すると、弁片70は、図8に示すように、弁片70自身の弾性力で通常の形状に戻り、開口線74が閉鎖される。弁片70は、主剤と硬化剤等の液剤の吐出方向に対して逆向きに凹の湾曲した球状面を有しているので、より強い力で開口線74が閉鎖される。
【0045】
このように、2液混合吐出器10によれば、第1容器24と第2容器25から主剤と硬化剤とを吐出させ、それらを混合羽根46により混合させてノズル16より確実に吐出させることができる。そして、操作レバー54の操作を停止すると、弁体18が閉鎖されるので、主剤や硬化剤が容器本体22に戻ることがない。したがって、ノズル16内から第1容器24や第2容器25内に液剤の逆流が発生せず、それらによる不具合が発生しない。
【0046】
尚、本発明は、上記例に限るものではなく、適宜変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、エポキシ樹脂などの主剤と硬化剤を混合して吐出させる2液混合吐出器に用いられる。
【符号の説明】
【0048】
10…2液混合吐出器、12…カートリッジ、14…押出器、16…ノズル、18…弁体、20…キャップ、22…容器本体、24…第1容器、25…第2容器、26…係合部、28…底板、30…第1吐出部、32…第2吐出部、34…取付部、36…第1吐出路、38…第2吐出路、40…組付部、42…傾斜部、44…ノズル部、46…混合羽根、48…先細部、50…装填部、52…握り部、54…操作レバー、56…押込部材、60…弁本体部、62…弁流入部、64…前面、66…後面、68…側面、70…弁片、72…弁流路、74…開口線、80…第1縁部、82…第2縁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9