(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
コーティング付き包装材料を生成するための本発明による方法は、少なくとも、a)外面が、包装される物品とは反対の方向を向くと共に、内面が、包装される物品に面している、パルプのベース材料を有する基材を用意するステップと、b)基材の少なくとも内面を、少なくともポリビニルアルコールおよび/または少なくとも1種のポリビニルアルコールコポリマならびに架橋剤を含む水性組成物の少なくとも1つの層でコーティングするステップであって、水性組成物が、ポリビニルアルコール(PVOH)および/またはポリビニルアルコールコポリマを最大で40重量%有し、最大で55重量%の合計固体含有量を有するステップと、c)層を乾燥させ、架橋剤を用いてポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマを架橋して、疎水性化合物に対する障壁層を形成するステップとを含む。そこでは、本発明の範囲内で、材料は、少なくとも大部分、即ち少なくとも51%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%がセルロースから構成されるパルプ(セルロース)のベース材料によって理解され、本発明の範囲内で、パーセンテージの仕様は一般に、反対の内容が何も示されていない限り重量パーセントと理解される。ベース材料は、一般に、コーティングされていなくてもよく、または予め1つ以上の層を設けることができ、少なくとも内面には、コーティングされていないベース材料、または、コーティングおよび/またはサイズ剤(sizing)のみが設けられたベース材料が好ましい。例えば、ベース材料は、コーティングされたもしくはコーティングされていない紙、コーティングされたもしくはコーティングされていない厚紙、またはコーティングされたもしくはコーティングされていない板紙とすることができる。さらに、基材またはベース材料は、一般に、単層、2層、3層、4層状態などに形成することができる。例えば基材は、ほとんどが多層状態にある多層のセルロース含有ベース材料で形成された、吸収性の微細にクレープ状にされたパルプ紙である、いわゆるティシュペーパとすることができ、トイレットペーパ、キッチンワイパ、ペーパナプキン、およびペーパハンカチーフなどとして使用することができる。同様に、ベース材料または基材はいわゆるライナおよび袋用紙などとして形成されることが提示される。同様に、ベース材料は、例えばセミケミカルパルプまたは機械パルプなどのセルロース含有原材料から構成され、またはそのような原材料を比例的に含むことができる。ベース材料の外面の構成は、この外面をベース材料の内面とは独立して形成できるので、かつ例えば未処理にしまたはコーティングせずもしくはコーティングし、滑らかにし、オーバーコートし、インプリントし、エンボス加工し、サテン加工し、またはその他の方法で処理することができるので、本発明とは無関係である。本発明の範囲内で、熱可塑性プラスチックは、少なくとも大部分が、一般式
【化1】
の頭−頭および/または頭−尾結合モノマから構成される、ポリビニルアルコールによって理解される。本発明の範囲内で、コポリマは、少なくとも20mol%が一般式
【化2】

のモノマから構成されるポリビニルアルコールコポリマによって理解され、少なくとも1種のその他のモノマタイプ、例えば、おそらくは存在する非加水分解酢酸ビニルモノマ以外のアクリレートまたはメタクリレートを含む。好ましくは、使用されるポリビニルアルコールコポリマは、ポリビニルアルコールと少なくとも同等に水溶性である。本発明の範囲内で使用可能なポリビニルアルコールは、例えば、それ自体が公知の、ポリビニルエステル、特にポリ酢酸ビニルの加水分解によって、利用可能である。熱可塑性適用例で本発明を実施するのに適切なポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールコポリマの通常の商標名は、例えば、Elvanol、Gohsenol、Polyviol、Poval、Mowiol、Selvol、Exceval、またはMowiflexである。さらに、異なるポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマも、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールコポリマの全ての合計が40重量%という最大限の割合を超えない限り、水性組成物中に使用することができる。一般に、本発明の範囲内で、ポリビニルアルコールに関する表示の全ては、反対の内容が何も示されない限り、ポリビニルアルコールコポリマにも、それに応じて適用される。本発明の範囲内で、合計固体含有量により、固形分に関する水性組成物の含有量が理解され、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマも合計固体含有量に関与する。言い換えれば、合計固体含有量は、水性組成物から水を除去した後の重量部を指定する。合計固体含有量を決定するために、水性組成物を、例えば蒸発させることによってまたは標準圧力下で加熱することによってまたは真空中で、蒸発乾固させることができる。本発明の範囲内で、架橋剤により、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマとの反応によって3次元網状構造の形成に関与する化合物が理解される。一般に、単一化合物または種々の化合物の混合物を、架橋剤として使用することができる。適切な架橋剤は、特に、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基を反応することができる2、3、または多官能性化合物を含む。コート剤または塗工剤と呼ぶこともできる水性組成物は、一般に、充填剤および/または顔料なしで形成することができ、あるいは充填剤および/または顔料を含むことができる。しかし、おそらくは存在する充填剤/顔料を含む水性組成物の合計固体含有量は、常に最大で55重量%であることが強調されるが、それは水性組成物が、ここでは特に速い塗布速度が可能であると同時に低い生成コストが可能な低粘度塗工剤として使用できるからである。例えば、水性組成物は、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、または55重量%の合計固体含有量を有することができ、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールコポリマの合計含有量は、最大で40重量%である。言い換えれば、水性組成物の合計固体含有量は、水性組成物が、架橋剤に加えてポリビニルアルコールまたは1種以上のポリビニルアルコールコポリマのみを含む場合、それぞれ使用される架橋剤に応じて約40重量%に制限される。これにより、疎水性化合物に対する障壁層として機能する層は、水性組成物の粘度、層の湿潤および乾燥時の層厚、乾燥時間、架橋レベル、および架橋速度などの重要なパラメータをそれぞれの利用目的に最適に適応させることができるので、特に素早くかつ柔軟に生成することができる。一般に、より高い合計固体含有量は、それに応じて、より低い水部分をもたらし、それによって、より短い乾燥時間が得られ、したがって、それに応じて、より短い乾燥経路を備えた塗装プラントを有利に使用することができるようになる。逆に、より高い合計固体含有量では、水性組成物の粘度が増大し、したがって、55重量%よりも高い合計固体含有量を有する組成物は、基材またはパルプベース材料に適度に付着させることがもはやできなくなる。水性組成物を付着させるには、例えば輪郭塗工法そのものを使用することができ、本発明は一般に、ステップb)で使用される付着方法に関して制限されるものではない。さらに、本発明による方法は、安価な出発材料しか必要とせず、通常の付着器具を用いて素早く簡単に加工することができるので、特に簡単な低コストの手法で行うことができる。包装材料の、このように生成された障壁層は、油脂障壁として使用可能である。ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマを架橋することにより、COBB値を介して表される部分疎水性も得られる。
【0009】
ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマを架橋することにより、障壁層が包装材料の内面に生成されて、疎水性化合物の障壁および/またはトラップとして機能し、包装材料の外面からおよび/またはベース材料から包装材の内側へのこれら疎水性化合物の移行を完全にまたは少なくともほぼ完全に阻止する。ポリビニルアルコールの横方向の架橋により、障壁層は耐湿性になり、それによって障壁効果を、本発明による包装材料から製造された包装材の全寿命にわたって有利に維持することができる。さらに、本発明により生成される包装材料は、セルロースベース材料もコーティングも共に親水性表面を有しており、それによって細菌分解を受け易いので、好気的にも嫌気的にも分解可能である。包装材料の内面に障壁層を形成することにより、障壁層はさらに、本発明による包装材料で形成された包装材の輸送中または貯蔵中の機械的損傷から、特に確実に保護される。本発明による方法を介して生成された包装材料は、例えばリサイクル材料の鉱油成分またはインプリントの鉱油成分などの疎水性化合物に関するその障壁効果により、例えば包装物品の食品安全性をさらに保証する。同時に、古紙に基づく包装材の経済性に関する生態学的利点が得られ、コーティング付き基材のリサイクル可能性が確実になる。
【0010】
本発明の有利な構成では、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマの含有量が2重量%から35重量%の間であり、特に10重量%から32重量%の間であり、好ましくは26重量%から30重量%の間である水性組成物が使用されることが提示される。このように基材には、疎水性化合物に対して特に良好な障壁特性を有する障壁層が、特に素早く安価に確実に設けられる。あるいは、またはさらに、2重量%から52重量%の間、特に10重量%から50重量%の間、好ましくは26重量%から45重量%の間の合計固体含有量、および/または少なくとも45重量%、特に少なくとも55重量%の水分含有量、好ましくは65重量%から70重量%の間の水分含有量を有する水性組成物が使用される。これにより、やはり基材には、高品質障壁層が特に素早く、安価に、かつ確実に設けられ得る。その中で、少なくとも45重量%の水分含有量によって、特に45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、または99重量%の水分含有量が理解され、65重量%から70重量%の間の水分含有量が、適用例のほとんどで特に有利であることが証明された。
【0011】
本発明のその他の有利な構成では、加水分解度が75%から100%の間、特に80%から99.9%の間であるポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマ(1種または複数)が使用されることが提示される。75%から100%の間の加水分解度によって、本発明の範囲内で、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の加水分解度、ならびに対応する中間値、例えば99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100.0%などが理解される。あるいは、またはさらに、重合度が100から3000の間、特に120から1200の間、好ましくは150から650の間であり、かつ/または平均分子量が11000g/molから60000g/molの間、特に13000g/molから23000g/molの間、および/または31000g/molから50000g/molの間のポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマ(1種または複数)が使用されることを提示することができる。重合度によって、ポリマ分子中のモノマ単位の数が理解される。100から3000の間の重合度によって、例えば100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2050、2100、2150、2200、2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2600、2650、2700、2750、2800、2850、2900、2950、または3000の重合度、ならびに対応する中間値、例えば150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、または650など、および150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160などが、それぞれ理解される。重合度は、一般に、平均値である。11000g/molから60000g/molの間の平均分子量によって、例えば、分子量11000g/mol、12000g/mol、13000g/mol、14000g/mol、15000g/mol、16000g/mol、17000g/mol、18000g/mol、19000g/mol、20000g/mol、21000g/mol、22000g/mol、23000g/mol、24000g/mol、25000g/mol、26000g/mol、27000g/mol、28000g/mol、29000g/mol、30000g/mol、31000g/mol、32000g/mol、33000g/mol、34000g/mol、35000g/mol、36000g/mol、37000g/mol、38000g/mol、39000g/mol、40000g/mol、41000g/mol、42000g/mol、43000g/mol、44000g/mol、45000g/mol、46000g/mol、47000g/mol、48000g/mol、49000g/mol、50000g/mol、51000g/mol、52000g/mol、53000g/mol、54000g/mol、55000g/mol、56000g/mol、57000g/mol、58000g/mol、59000g/mol、60000g/molならびに対応する中間値、例えば13000g/mol、13250g/mol、13500g/mol、13750g/mol、14000g/mol、14250g/mol、14500g/mol、14750g/mol、15000g/mol、15250g/mol、15500g/mol、15750g/mol、16000g/mol、16250g/mol、16500g/mol、16750g/mol、17000g/mol、17250g/mol、17500g/mol、17750g/mol、18000g/mol、18250g/mol、18500g/mol、18750g/mol、19000g/mol、19250g/mol、19500g/mol、19750g/mol、20000g/mol、20250g/mol、20500g/mol、20750g/mol、21000g/mol、21250g/mol、21500g/mol、21750g/mol、22000g/mol、22250g/mol、22500g/mol、22750g/mol、23000g/molまたは31000g/mol、31250g/mol、31500g/mol、31750g/mol、32000g/mol、32250g/mol、32500g/mol、32750g/mol、33000g/mol、33250g/mol、33500g/mol、33750g/mol、34000g/mol、34250g/mol、34500g/mol、34750g/mol、35000g/mol、35250g/mol、35500g/mol、35750g/mol、36000g/mol、36250g/mol、36500g/mol、36750g/mol、37000g/mol、37250g/mol、37500g/mol、37750g/mol、38000g/mol、38250g/mol、38500g/mol、38750g/mol、39000g/mol、39250g/mol、39500g/mol、39750g/mol、40000g/mol、40250g/mol、40500g/mol、40750g/mol、41000g/mol、41250g/mol、41500g/mol、41750g/mol、42000g/mol、42250g/mol、42500g/mol、42750g/mol、43000g/mol、43250g/mol、43500g/mol、43750g/mol、44000g/mol、44250g/mol、44500g/mol、44750g/mol、45000g/mol、45250g/mol、45500g/mol、45750g/mol、46000g/mol、46250g/mol、46500g/mol、46750g/mol、47000g/mol、47250g/mol、47500g/mol、47750g/mol、48000g/mol、48250g/mol、48500g/mol、48750g/mol、49000g/mol、49250g/mol、49500g/mol、49750g/mol、50000g/molなどが、理解される。上述の重合度および/または分子量を有するポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマの選択によって、粘度を増大させることなく、水性組成物の合計固体含有量の増加を有利に実現することができる。言い換えれば、合計固体含有量が最大で55重量%までであっても、種々の通常の付着器具による水性組成物の付着が可能になるように、比較的低い粘度が可能である。これにより、特に素早いコーティングおよび架橋と同時に短い乾燥時間および速い基材速度が可能になり、それによって、非常に効果的な障壁層を、それに応じて素早く安価に生成することができる。一般に、障壁層を生成するために、異なる加水分解度および/または異なる重合度および/または異なる分子量を有するポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマの混合物も使用することができる。これを介して、障壁層の化学および物理特性を、包装材料の適用例のそれぞれの目的に、ならびに水性組成物を付着させるのに使用される付着方法に、正確に適応させることができる。加水分解度および/または重合度および/または分子量の変化によって、例えば層の多孔率、溶解度、および結晶化度を、本出願の要件に応じて調節することができる。それによって、特に、得られる障壁層の柔軟性および膨張性を、それぞれの要件に最適に適応させることができる。
【0012】
その他の利点は、少なくとも1種のその他のポリマおよび/またはコポリマを添加剤として含む水性組成物を、使用することによって生ずる。これにより、より高い合計固体含有量が可能になり、障壁層の障壁効果を改善するためにかつ/または水性組成物の粘度を調節するために、その他のポリマおよび/またはコポリマを代わりに使用することができる。
【0013】
その他の利点は、少なくとも1種のその他のポリマおよび/またはコポリマが水性組成物中に分散した場合、および/または少なくとも1種のその他のポリマおよび/またはコポリマが、ポリ(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリアミド、バイオポリマ、特にキトサン、ポリウレタン、ポリビニルアクリレート、ポリエステル、特にポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエステル、ポリ乳酸エステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、および/またはポリヒドロキシ酪酸、および/またはこれらのコポリマを含む群から選択された場合に生ずる。これは、高品質遮断または障壁層の特に素早い安価な生成を可能にする。「(メタ)アクリレート」という表現は、一般に、本発明の範囲内のアクリレートおよび/またはメタクリレートを示す。
【0014】
本発明のその他の有利な構成では、アルデヒド、カルボン酸、酸無水物、およびアミノ基、および/または塩化鉄、および/またはアルキルオルトシリケート、特にテトラエチルオルトシリケート、および/または尿素ホルムアルデヒド樹脂、および/または物理的架橋剤、特にカルボキシメチルセルロースから選択された少なくとも1つの官能基を有する、少なくとも1種のオレフィン系飽和および/または不飽和化合物が、架橋剤として使用されることが提示される。これにより、障壁層の化学および物理特性は、包装材料の適用例の目的に、ならびにそれぞれのコーティングおよび乾燥方法に、特に正確に適応させることができる。適切なオレフィン系飽和および/または不飽和架橋剤は、例えば、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクリルアルデヒド、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、メタクリルメチルエステル、またはヒドロキシエチルメタクリレート、ならびにこれらからの任意の混合物、ならびにこれらの重合物および/または共重合物である。例えば、ポリアクリル酸および/またはポリメタクリル酸(以下、「ポリ(メタ)アクリル酸」という用語でまとめる。)を使用することができ、その酸基は、ポリビニルアルコールのアルコール基でエステル化することができる。一般に、その他のポリアルキルアクリル酸、例えばポリエチルアクリル酸なども、当然使用することができる。
【0015】
あるいは、またはさらに、塩化鉄(FeCl
3)、テトラエチルオルトシリケート、および/または尿素ホルムアルデヒド樹脂、および/または物理的架橋剤を、架橋剤として使用することができる。塩化鉄の使用は、例えばクロメートなどの食品分野で望ましくない化合物を含まない水性組成物を形成することができるので、特に食品用の包装材料の生成において利点を提供する。好ましくは、尿素ホルムアルデヒド樹脂は、水性組成物中での良好な混和性を確実にするために、水をベースにする。それ自体が公知であるそのような尿素ホルムアルデヒド樹脂は、例えばUrecollという商標名で入手可能である。ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマの物理的架橋は、化学結合を形成することのない、官能基または鎖部分と物理的架橋剤との多かれ少なかれ安定した凝集から得られる。物理的架橋は、共有結合を介した架橋とは対照的に熱可逆性であるので、硬質ドメインは、そのガラス温度または融解温度よりも高い温度に加熱することによって再び分解することができる。したがって、得られる障壁層は、有利に熱可塑性状態に加工することができる。
【0016】
その他の利点は、ポリビニルアルコール100重量部に対して架橋剤を0.01から55重量部の間で含む、かつ/またはポリビニルアルコール100重量部に対して充填剤および/または顔料を1から60重量部の間で含む、水性組成物を使用することによって生ずる。0.01から60重量部の間によって、特に、0.01、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60重量部、ならびに対応する中間値が理解される。0.01から55重量部の間の上述の範囲にある架橋剤の重量部によって、ポリビニルアルコールの架橋レベル、したがって障壁層の弾性および障壁特性は、適用例のそれぞれの目的に最適に適応させることができる。一般に、有機、無機、ならびに有機−無機修飾粒子が、充填剤および/または顔料として適切であり、これらには水中での膨潤能力が与えられまたは与えられていない。とりわけ、充填剤および/または顔料の使用によって、包装材料の光学的インプレッション(optical impression)の適応ならびにより良好な印刷可能性を得ることができる。さらに、適切な充填剤および/または顔料は、疎水性化合物の通過に対する追加の「機械的」障壁を形成する。したがって障壁層の障壁効果は、充填剤および/または顔料の添加によって有利に増大させることができる。特に、カオリン、シート状シリケート、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ならびにシリカ、およびアルミノシリケートが、無機充填剤として適切である。セルロース−例えば繊維の形をとるものまたはミクロおよびナノフィブリル化セルロースとして−ならびにその他の多糖−例えばキトサン、セルロース誘導体、ヘミセルロース、または加工/未加工デンプン−を、有機充填剤として用いることができる。ポリビニルアルコールとの水素架橋結合をベースにした物理的架橋も、充填剤および顔料を用いることによって実現され、これらは水性環境で表面にOH基を有しかつ/または形成することができるものである。
【0017】
その他の利点は、酸安定性でありかつ/または少なくとも実質的に球状および/または小板形状の粒子の幾何形状を有する、充填剤および/または顔料が使用される場合に生ずる。その中で、酸安定性充填剤および/または顔料は、ポリビニルアルコールが酸性環境で架橋する場合に特に有利である。特にこの場合、水性組成物が、例えばデンプンなどの酸に不安定な化合物を含まないことが好ましい。球状および/または小板形状の粒子の幾何形状によれば、移動することになる疎水性化合物の経路は、障壁層内の充填剤および/または顔料の迷路のような配置構成によってかなり延びるので、特に高い障壁効果を実現することができる。合計固体含有量を増加させると同時に水性組成物の粘度を十分加工可能な範囲に保つために、さらにコロイド状分散体の添加を行うことができ、それによって固体含有量が増加し、かつ疎水性物質に対する障壁効果を損なわずまたはさらに改善もする。例えば、全てのタイプのアクリレート分散体は、コロイド状分散体と見なすことができ、その粒子はコロイド状に分散されている。その他の添加剤、特に障壁層の乾燥で有利に作用する添加剤は、微結晶質セルロースである。これらのセルロースタイプを少量、例えば<2重量%添加することにより、保水挙動、したがって乾燥プロセスでの層形成が改善される。
【0018】
本発明のその他の有利な構成では、水性組成物のpH値が、基材に付着させる前に1から7の間、特に1.5から3.5の間の値に調節され、かつ/または水性組成物が、基材に付着させる前に脱気されることが提示される。水性組成物のpH値を1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、もしくは7.0の値に、または対応する中間値に調節することによって、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマの架橋速度を特に変化させることができる。これにより、方法は、使用されるベース材料の特性に、水性組成物のそれぞれ使用される付着方法に、ならびに使用される乾燥方法に、最適に適応させることができる。水性組成物を脱気することにより、障壁層内での可能性ある膨れが確実に防止され、コーティング付き基材表面全体で、一貫して高い障壁効果が発揮される。
【0019】
本発明のその他の有利な構成では、粘度が150mPasから2500mPasの間、特に200mPasから1700mPasの間の水性組成物が使用される。150mPasから2500mPasの間の粘度によって、特に150mPas、200mPas、250mPas、300mPas、350mPas、400mPas、450mPas、500mPas、550mPas、600mPas、650mPas、700mPas、750mPas、800mPas、850mPas、900mPas、950mPas、1000mPas、1050mPas、1100mPas、1150mPas、1200mPas、1250mPas、1300mPas、1350mPas、1400mPas、1450mPas、1500mPas、1550mPas、1600mPas、1650mPas、1700mPas、1750mPas、1800mPas、1850mPas、1900mPas、1950mPas、2000mPas、2050mPas、2100mPas、2150mPas、2200mPas、2250mPas、2300mPas、2350mPas、2400mPas、2450mPas、または2500mPasの粘度、ならびに対応する中間値、例えば200mPas、201mPas、202mPas、203mPas、204mPas、205mPas、206mPas、207mPas、208mPas、209mPas、210mPasなどが理解される。これにより水性組成物は、いずれの場合も連続的および均一な層厚を実現することができるように、それぞれ使用される付着方法に最適に適応させることができる。その中で、低粘度、特に約150mPasから約1000mPasの間の範囲の低粘度は、例えばカーテンコーティング法、流延、または噴霧などの非接触付着方法に特に適切である。対照的に、より高い粘度、特に最大約1700mPasまでの粘度では、例えばコンディショニングコートとして同時に働く障壁層を生成するために、ドクターブレード(任意選択で、波形)、ブレード、およびフィルムプレスなどを用いることにより、改善された付着が可能になる。カーテンコーティング法の使用では、多層コーティングカーテンが使用されない場合が好ましい。これにより、過剰な水性組成物を簡単に収集し、かつそれを、異なる組成を持つ水性組成物の望ましくない混合を生じさせることなく、新しいコーティングパスで使用することが可能になる。同様に、水性組成物は、多層スリットノズルを用いて基材に付着させることができる。水性組成物の粘度は、例えばSATP条件下で、即ち25℃に相当するT=298.15Kで、かつp=101,300Pa(1.013bar)で決定することができる。
【0020】
その他の利点は、1g/m
2から20g/m
2の間、特に3g/m
2から15g/m
2の間の面積関連乾燥質量(area−related dry mass)が得られるように、水性組成物を基材に付着させる場合に生ずる。本発明の範囲内で、1g/m
2から20g/m
2の間の面積関連乾燥質量によって、特に1g/m
2、2g/m
2、3g/m
2、4g/m
2、5g/m
2、6g/m
2、7g/m
2、8g/m
2、9g/m
2、10g/m
2、11g/m
2、12g/m
2、13g/m
2、14g/m
2、15g/m
2、16g/m
2、17g/m
2、18g/m
2、19g/m
2、または20g/m
2の面積関連乾燥質量、ならびに対応する中間値が理解される。これにより障壁層の障壁効果を、疎水性化合物が様々に投入されたベース材料または包装状況に適応させることができる。推定上、少量の疎水性化合物に曝されることになる、僅かに投入されたベース材料の場合または包装材料の場合、それに応じて少ない付着量で充分である。対照的に、より多くの付着量は、障壁層の障壁効果をそれに応じて増大させるのに使用することができる。それに加え、付着量は、十分高い障壁効果を持つ均一な障壁層が生成されるように、使用される付着方法に応じて変化させることができる。ポリビニルアルコールの横方向の架橋により、そこでは、十分な障壁効果を発揮するために、先行技術とは対照的に一般にかなり低い付着量で充分である。これにより、特に包装材料などの大量生産された物品では、かなりのコスト節約が行われる。さらに、先行技術とは対照的に、十分な障壁効果を確実にするために、複雑な多層の層系を基材の表面に形成することを一般に必要としない。
【0021】
あるいは、またはさらに、層が1μmから1000μmの間、特に10μmから200μmの間の湿潤膜厚を有するように、水性組成物を基材に付着させることを提示することができる。これにより水性組成物は、特にそれぞれの基材の給水能力に応じて、均一に付着させ、それに応じて均一に乾燥させることができる。さらに、コーティング中の水性組成物の不要な損失が回避され、その結果、障壁層は、このような手法で一貫して高い品質を持つ状態で、特に経済的に生成することができるようになる。1μmから1000μmの間の湿潤膜厚によって、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000μm、ならびに対応する中間値、例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20μmなどの湿潤膜厚が理解される。さらに、湿潤膜厚を介して、乾燥障壁層の厚さを特に調節することができる。例えば、20μmの遮断または障壁層を用いて、0.23から0.094mg/kg(即ち、限界値0.15mg/kgより下)の、20℃で730日(2年)の観察期間にわたる障壁効果の改善を、改善することができた。接触面積は16.5dm
2であり、充填材料は375gであった。厚紙基材は、初期濃度150mg/kgの鉱油を有していた。
【0022】
本発明のその他の有利な構成では、均等化コーティング法を用いて、特にドクターブレード、ブレード、および/またはフィルムプレスを用いて、かつ/または輪郭塗工法を用いて、特に流延、噴霧、カーテンコーティング、および/またはエアブラシを用いて、水性組成物を基材に付着させることが提示される。均等化コーティング法の使用によって材料の平滑化が可能になり、任意選択で後続の非接触付着方法により基材表面の輪郭が広く維持される点が、特に都合良い。これは、ベース材料または基材の粗面輪郭が、均等化コーティング法を用いて均等化され、それによって滑らかになったことを意味する。通常、生成物のより高い品質が実現されるほど、材料のウェブはより滑らかになる。この文脈において、適用例のほとんどは、最初に基材を滑らかにし次いで障壁層を付着させ、次いで引き続き障壁層の粗面を滑らかにすることが、より有利であることがわかった。均等化または平準化コーティング法の使用により、全体として、粗い基材上に平滑面を生成することができる。したがってこの平滑面は、輪郭塗工法の後続の適用に特に適している。
【0023】
輪郭塗工法の使用は、ベース材料内への水性組成物の深い浸透が回避されるように、ベース材料と水性組成物との間の接触位置に圧力がかからないという基本的な利点を提供する。これにより、特に均一な障壁層を生成することができる。同時に、所望の障壁層効果を発揮するのに、水性組成物の特に低い付着量しか必要とせず、この方法は、特に経済的に行うことができる。
【0024】
本発明のその他の有利な構成では、水性組成物を、30℃から85℃の間、特に35℃から80℃の間の温度で基材に付着させることが提示される。例えば、水性組成物は、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、または85℃の温度を有することができる。組成物のより高い温度が選択されるにつれ、付着させた層をより素早く乾燥させることができる。これは、短い乾燥経路を備えた通常の付着装置の使用を可能にし、それに応じて時間、エネルギ、およびコストの節約が実現可能になる。さらに、温度を介して、水性組成物の粘度ならびに架橋速度に対して影響を特に及ぼすことができる。
【0025】
その他の利点は、赤外線照射を用いてかつ/または対流を用いてかつ/またはUV線照射の下でかつ/またはコーティング付き基材(12)を最大で3重量%から12重量%の間、特に6重量%から10重量%の間の残留湿度まで乾燥させることによって、ステップc)でコーティング付き基材を乾燥させることにより生ずる。これにより、付着させた層の乾燥と、ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマの架橋は、使用した架橋剤に応じて最適に制御することができる。さらに、所望の残留湿度含有量も精密に調節することができる。その中で、UV光の照射を、赤外線照射および/または対流の代わりにまたはそれらに加えて行うことができ、架橋反応を開始する架橋剤として塩化鉄(FeCl
3)を使用する際に特に有利である。その他の利点は、コーティング付き基材を、ステップc)でベース材料の3%から12%の間、特に6%から10%の間の残留湿度に乾燥させる場合に生ずる。3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、または12%の範囲の残留湿度によって、包装材料が最適な機械特性を有し、かつ損傷がない状態で包装材にさらに加工することができることが、確実になる。上述の残留湿度は、包装材料の折り曲げ、切断、またはその他のさらなる加工におけるパルプ繊維の望ましくない破断または短縮を回避するために、少なくとも部分的にリサイクル繊維から構成されるベース材料を使用する際に特に有利である。
【0026】
本発明のその他の構成では、ステップa)において、ベース材料を含む基材を用意し、その外面および/または内面には、コンディショニング層および/またはカバー層が設けられる。言い換えれば、ステップb)で水性組成物によりコーティングされたベース材料には、表面に架橋ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマの障壁層が生成されている層が、既に設けられていることが提示される。コンディショニング層および/またはカバー層は、例えば、球状または小板形状の顔料が好ましくは充填されたポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマを含む層とすることができる。ここで、コンディショニングコートは、既に疎水性物質に対する障壁特性を有し、かつ架橋ポリビニルアルコールでコンディショニングコート上に生成された障壁層によって損傷からさらに保護されることが有利である。さらに、用意された基材を接着することを提示することができる。これは、吸引効果を減少させるため、したがってコーティングの品質を改善するため、および水性組成物の材料投入を減少させるため、極度に吸収性のある基材に特に有利である。さらに、用意された基材には、別のポリマ、例えばポリ(メタ)アクリレートのカバー層および/またはコンディショニング層が設けられることを提示することができる。カバー層には、一般に、顔料および/または充填剤および/または架橋剤を設けることができる。包装材料を加工する際の弾性は、それによって損なわれない。
【0027】
その他の利点は、コンディショニング層および/またはカバー層が非架橋ポリビニルアルコールを含みかつ/または非架橋ポリビニルアルコールから構成される場合に生ずる。特に、架橋ポリビニルアルコールを含まないコンディショニング層および/またはカバー層が形成されることを提示することができ、ここでは、コンディショニング層および/またはカバー層が、非架橋ポリビニルアルコールに加えて例えば充填剤および/または顔料などのその他の成分を任意選択で含むことを除外するものではない。これにより、包装材料の弾性および柔軟性を有利に増大させることができる。さらに、このように、その他の手順の過程でコンディショニング層および/またはカバー層上に生成された障壁層は、包装材料のその他の加工−例えば穿孔、切断、または接着−において損傷を受けず、かつその障壁効果が維持されることが確実になる。非架橋ポリビニルアルコールを含みまたは完全に非架橋ポリビニルアルコールからなりまたは架橋ポリビニルアルコールを含まないコンディショニング層および/またはカバー層によって、疎水性化合物に対する障壁層の障壁効果は、許容されなければならない包装材料の生物学的分解性に対する制限なしに、さらに加えて改善される。
【0028】
本発明のその他の構成では、ステップb)およびc)が、少なくとも1回および/または最大で3回繰り返されることが提示される。これにより、2、3、または4つの障壁層の層系をベース材料の内面上に形成することができ、それによって特に高い障壁効果が発揮される。例えば、これは海路を輸送されまたはより長い期間にわたって種々の気候条件に曝される包装材に有利である。内面への水性組成物の多数の付着または2つ以上の障壁層の形成のその他の利点は、個々の障壁層の膨れの、可能性ある重なりが、特に確実に排除されることである。そこでは障壁層が、ほぼ同一にまたは異なる状態で形成することができる。ステップb)およびc)が次々に多数回行われる場合、過剰な水性組成物を簡単に収集し、新しい手順の経路に再使用することができ、それによって手順のコストがかなり低下する。
【0029】
その他の利点は、基材がステップa)の前および/またはステップc)の後にその他の水性組成物でコーティングされた場合に生じ、その他の水性組成物は、少なくともポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマを含み、架橋剤を含まない。このように、非架橋ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマのベースおよび/またはカバー層を生成することができ、それにより基材のベース材料上に形成された層系は、柔軟性および膨張性を改善した。
【0030】
そこでは、その他の構成において、その他の組成物が最大で40重量%のポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマ含有量を有する場合、充填剤および/または顔料などの添加剤を含まずに形成される場合、またはその他の組成物が最大で55重量%の合計固体含有量を有する場合、充填剤および/または顔料を含んで設けられる場合に、有利であることが証明された。これにより、その他の水性組成物の粘度は、それぞれ使用される付着方法に最適に一致させることができる。さらに、水性組成物の貯蔵安定性は、それにより改善される。その他の利点は、先の記述から生ずる。
【0031】
本発明のその他の態様は、パルプ(セルロース)のベース材料を有する基材、包装物品とは反対の方向を向く外面、ならびに包装物品に面する内面、ならびに疎水性化合物に対する少なくとも1つの障壁層を有する基材の内面上に配置された層系を含む、包装材料に関し、この障壁層は、架橋ポリビニルアルコールおよび/または架橋ポリビニルアルコールコポリマを含む。本発明による包装材料は、疎水性化合物に対して優れた障壁効果を発揮すると同時に高い耐湿性を有し、安価な出発材料しか必要としないので先行技術とは対照的に特に簡単にかつ安価に生成することができ、通常の製作プラントを用いて素早くかつ簡単に加工することができる。本発明による包装材料は、例えばリサイクル材料のまたはインプリントの鉱油成分などの疎水性化合物に対するその障壁効果により、包装物品の食品安全性をさらに保証する。同時に、古紙に基づく包装材の経済性の、生態学的利点が得られる。その他の生ずる利点は、先の記述から得ることができ、方法の有利な実施形態は包装材料の有利な実施形態と見なされ、またその逆も同様である。
【0032】
そこでは、包装材料が、第1の本発明の態様による方法によって得ることが可能でありかつ/または得られた場合に、本発明の構成において有利であることが証明された。それから生ずる特徴およびその利点は、第1の本発明の態様の、対応する記述から得られる。
【0033】
その他の利点は、障壁層の少なくとも大部分が架橋ポリビニルアルコールから構成される場合に生ずる。言い換えれば、障壁層は、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が架橋ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマで形成されることが提示される。これにより、特に障壁層の柔軟性、膨張性、障壁効果、および印刷可能性を、それぞれの適用例の目的に特に簡単に適応させることができる。
【0034】
さらに改善された障壁効果は、層系が架橋ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマの少なくとも2つの障壁層を含む本発明のその他の構成で発揮される。
【0035】
種々の疎水性化合物に対して特に特異的な障壁効果は、異なる架橋レベルを有するポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマ、および/または異なる加水分解度を有するポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマ、および/または異なる架橋剤によって架橋されるポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマを含む少なくとも2つの障壁層により、本発明のその他の有利な構成で発揮される。
【0036】
本発明のその他の有利な構成では、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマを含む障壁層が、球状または小板形状の粒子の幾何形状を有する有機、無機、および/または有機−無機修飾粒子を含むことが提示される。そのような粒子の使用は、とりわけ包装材料の光学的インプレッションの適応ならびにより良好な印刷可能性を得ることが可能になる。さらに、適切な粒子は、疎水性化合物の通過に対する追加の「機械的」障壁を形成する。したがって、障壁層の障壁効果は、充填剤および/または顔料として機能することができるこれら粒子の添加によって、有利に増大させることができる。特に、カオリン、シート状シリケート、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ならびにシリカ、およびアルミノシリケート、またはこれらの混合物が、本明細書では有利であることが証明された。
【0037】
さらに、層系が、非架橋ポリビニルアルコールおよび/または非架橋ポリビニルアルコールコポリマを含有する少なくとも1つの層を含む場合、有利であることが証明された。好ましくは、この層は、架橋ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマを含まず、かつ架橋剤を添加せずにそれぞれ形成される。これにより、層系の柔軟性および膨張性は、本発明による包装材料のその他の加工における障壁層の可能性ある損傷が特に確実に防止されるように、有利に増大する。
【0038】
本発明のその他の有利な構成では、非架橋ポリビニルアルコールおよび/または非架橋ポリビニルアルコールコポリマを含有する層が、基材の内面上にかつ/または2つの障壁層の間にかつ/またはベース材料とは反対の方向を向く障壁層の面上に、直接配置されることが提示される。言い換えれば、非架橋ポリビニルアルコールまたは非架橋ポリビニルアルコールコポリマを含有する層は、ベースおよび/またはベース材料に対する終端カバー層を形成し、かつ/または架橋ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマを含有する2つの障壁層の間に形成されることが提示される。これは、包装材料の異なる使用目的に対する特に良好な適応を可能にし、層系の柔軟性および膨張性に加えて疎水性化合物に対する障壁効果も増大させる。
【0039】
本発明の特徴は、特許請求の範囲、実施形態から、ならびに図面に基づいて、明らかである。説明において既に述べた特徴および特徴の組合せ、ならびに実施形態で以下に記述される特徴および特徴の組合せは、それぞれ指定された組合せでだけでなく、本発明の範囲から逸脱することのないその他の組合せでも使用可能である。
【0040】
図1は、第1の実施形態による本発明による包装材料10の概略横断面図を示す。包装材料10は、ベース材料14からなり、かつ包装物品とは反対の方向を向く外面16ならびに包装物品に面する内面18を有する基材12を含む。本発明の実施形態において、ベース材料14は、面積関連質量が400g/m
2の厚紙である。基材12の内面18上には層系20が形成され、この系は、第1の障壁層22a、第2の障壁層22b、ならびにカバー層として機能する層24を生じさせることによって、生成される。障壁層22a、22bは、架橋ポリビニルアルコールを含む。さらに、障壁層22aは、小板形状もしくは球状の粒子またはこれらの混合物を、充填剤および/または顔料として含む。それによって、障壁層22a、22bは、層系20内を通る疎水性化合物の移行を少なくとも大幅に妨げまたは防止する。そこでは、以下にさらに詳細に記述されるポリビニルアルコールの横方向の架橋によって、高い機械的安定性が得られ、湿分に接触した場合に障壁層22a、22bの膨潤が防止される。
【0041】
一般に、水中での膨潤可能性を持つまたは持たない状態で得られる有機、無機、ならびに有機−無機修飾粒子は、充填剤および/または顔料として適切である。本発明の実施形態では、障壁層22aはカオリンを含む。そこではカオリンは、酸安定性であり、かつ水中で膨潤しないという利点を提供する。さらに、使用されるカオリンは小板形状粒子から構成され、機械的障壁を形成し、これにより障壁層22a内を通る化合物の移行をさらに悪化させまたは防止する。対照的に、第2の障壁層22bは架橋ポリビニルアルコールのみから構成され、異なる加水分解度および重合度を有するポリビニルアルコールを、2つの障壁層22a、22bを生成するために使用し、異なる架橋剤で架橋した。しかし一般に、2つの障壁層22a、22bは、当然ながら同じ架橋ポリビニルアルコールを含むこともできる。対照的に、包装材料10で形成された後続の包装材中の包装物品に接触する終端層24は、非架橋ポリビニルアルコールから構成され、特に、層系20の柔軟性および膨張性を増大させる。あるいは、またはさらに、層24は、基材12上にかつ/または障壁層22a、22bの間に、直接形成されることを提示することができる。
【0042】
図示される実施形態では、基材12の外面16はコーティングされていない。しかし一般に、1つ以上の層を外面16上に設けて、包装材料10のある特性、例えばより良好な印刷可能性または気体および/または湿分障壁効果を実現することもできる。同様に、外面16は、印刷することができ、エンボス加工することができ、サテン加工することができ、またはその他の方法で処理することができる。
【0043】
一般に基材12は、層系20を付着させる前、最中、および/または後に、前処理または後処理することができる。例えば、基材12または包装材料10は、カレンダ処理することができ、例えばエンボス加工、平滑化、稠密化、および/またはサテン加工することができる。ここでは例えば、従来のカレンダ、シューカレンダ、ベルトカレンダ(金属ベルト、プラスチックベルトなど)、スムージングプレス、またはスムージングシリンダを使用することができる。しかし、その他の処理方法も一般に提供することができる。
【0044】
図2は、第2の実施形態による本発明による包装材料10の、概略横断面図を示す。ベース材料14は、やはり面積関連質量が400g/m
2の厚紙である。先の実施形態とは対照的に、層系20は、架橋ポリビニルアルコールを含まず、または架橋ポリビニルアルコールコポリマを含まず、層24を含まない。代わりに層系20は、基材12を、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマ、顔料、充填剤、添加剤、ならびに架橋剤を含む水性組成物でコーティングすることによって得られる第1の障壁層22aを有する。さらに、層系20は、カバー層として機能し、かつやはりポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマ、顔料、充填剤、添加剤、ならびに架橋剤を含む水性組成物で第1の障壁層22aをコーティングすることによって得られる、第2の障壁層22bを含む。
【0045】
一般に、
図1および
図2の障壁層22a、22bは、同じ成分を含有することができる。障壁層22a、22bの間の相違は、顔料、充填剤、および/または添加剤の種々の添加によって、例えばコロイド状ポリマ分散体の形での添加によって生ずる。第2の障壁層22bは、顔料および架橋剤の添加にも関わらず優れた柔軟性を示し、それが包装材料10のその他の加工プロセスに良い影響を及ぼす。その他の添加剤として、例えば微結晶質セルロースを用いることができ、それが保水挙動に良い影響を及ぼす。結晶質構造により、少量の添加(例えば、≦1重量%)で追加の障壁効率が既に与えられる。必要な場合には、非架橋PVOHまたは非架橋ポリビニルアルコールコポリマのその他の層24を第2の実施形態に付着させて、必要に応じて包装材料10の柔軟性および膨張性をさらに改善することもできる。
【0046】
下記において、無極性化合物に対する障壁特性を有する、本発明による包装材料10を生成するための様々なその他の実施形態を、列挙する。
【0047】
1.ポリビニルアルコール水溶液の生成
ポリビニルアルコールまたは水溶性ポリビニルアルコールコポリマが水に溶解した状態でまだ存在しない場合、ポリビニルアルコール(コポリマ)溶液の生成は、下記の通り行う。
【0048】
まず、定められた量の冷水を用意する。その後、好ましくは80%から99.9%の間の加水分解度を有する定められた量の任意選択で微細に粉砕されたポリビニルアルコール粉末(同様に:ポリビニルアルコールコポリマ粉末)を、強力なまたは溶解器の撹拌子により、75℃から80℃の温度で30から45分以内、激しい撹拌状態(2000rpm)で撹拌する。溶解プロセスは、溶液が透明になったらすぐに終了させる。まだ温かい溶液を25℃に冷ます。さらに使用する前に、その溶液の正確な固体含有量を、例えば熱天秤を用いて測定し、任意選択で5重量%から15重量%の間の値に調節する。測定されたまたは調節された固体含有量は、手順のさらなる過程での、特に基材に付着させる層厚を測定する際の、ならびに添加される架橋試薬の量の測定で、基礎として役に立つ。得られたポリビニルアルコール溶液のpH値は、中性である。
【0049】
冷却操作が終了した後、新たに調製したポリビニルアルコール溶液のpH値を必要に応じて調節する。pH値の調節は、適切な酸または塩基を添加することにより、それ自体が公知の手法で行われる。例えば鉱酸、例えば濃塩酸など、または水酸化ナトリウムなどの塩基が適している。
【0050】
あるいは、ポリビニルアルコール(PVOH)またはポリビニルアルコールコポリマを75℃から95℃の間の温度で溶解することを提示することができ、ポリビニルアルコール(コポリマ)に関する水溶液中の濃度は、最大で40重量%に、例えば30重量%に調節される。
【0051】
2.水性組成物の生成
2.1.架橋剤としてのグリオキサール
項目1により生成されたポリビニルアルコール溶液に、40%のグリオキサール溶液を室温(25℃)で激しく撹拌しながら約15分以内で添加し、同時に、溶液のpH値をpH=3に調節して、基材12をコーティングするための水性組成物を得る。添加されるグリオキサールの量は、ポリビニルアルコール100重量%に対して5から40重量%に及ぶ。
【0052】
15分後、水性組成物を、−200mbarの初期陰圧で脱気し、その後、ゆっくりと−500mbarから−600mbarに増大させる。真空をさらに増大させる場合(例えば、−800mbar超に、即ち、約200mbarの圧力に)、水が沸騰し始め、真空容器の壁面の堆積物を凝縮させる。最後に、水性組成物を、さらに撹拌することなく約100mbarの圧力で脱気する。
【0053】
脱気終了後、水性組成物を基材12に付着させることができ、ポリビニルアルコールがグリオキサールによって架橋する。
【0054】
2.2 架橋剤としてのアジピン酸(AS)、グルタル酸(GS)、および/またはマレイン酸(MS)
上述のジカルボン酸の添加を、2つの下位カテゴリに分けることができる。
【0055】
ASおよびGSは飽和ジカルボン酸の群に属し、冷水(20℃)に対してASは不十分に(24g/l)GSは容易に(640g/l)溶解する。両方の酸とポリビニルアルコールとの縮合反応は、好ましくは、鉱酸(例えば、塩酸)の添加によって水性組成物のpH値をpH=3に調節することにより、触媒によって支援される。
【0056】
MSは、かなり十分な水溶性であり(788g/l、20℃)、水溶液中では極度に酸性で反応する不飽和ジカルボン酸である。MSは、シス形で存在する。UV照射および150℃での長時間の加熱により、この酸はトランス形(フマル酸)に変換され、任意選択で横方向の架橋反応で考慮に入れることができる。したがって、MSを使用する際、水性組成物の追加のpH調節は通常は必要としない。使用した量により、pH値は、ポリビニルアルコール水溶液中に溶解したMSの量に応じて1.6から3.2の間である。添加されたジカルボン酸の合計量は、一般に、ポリビニルアルコール100重量%に対して5から25重量%に及ぶ。
【0057】
ポリビニルアルコールと上述のジカルボン酸の1種以上とを含む水性組成物を、その後、70℃に加熱し、70℃で15分間集中的に撹拌し、次いで25℃に冷ます。次にpH値を、それぞれ用いられるジカルボン酸に応じて求められるように調節することができる。水性組成物のpH値の調節後、好ましくは、上述の脱気ステップを行う。
【0058】
2.3.架橋剤としての塩化鉄(FeCl
3)
ポリビニルアルコール溶液へのFeCl
3の添加は、好ましくは、激しく撹拌しながら25℃で行う。FeCl
3は、固体として存在することができ、または既に水に溶解していることができる。添加されたFeCl
3の量は、ポリビニルアルコール100重量%に対して1から15重量%に及ぶ。混合時間は25℃で15分である。pH値の調節は、その他の架橋剤が提供されない場合には必要ではない。コーティングされる基材12に付着させる前に、ここでも脱気ステップが推奨される。
【0059】
2.4.架橋剤としてのポリアクリレート
本発明の範囲内で、ポリアクリレートによって、一般式
【化3】
を有するポリアクリル酸の誘導体が理解され、式中、Rは、水素、または非置換もしくは置換アルキル基、特にメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、および/またはtert−ブチルを示す。好ましくは、2000から1500000g/mol、特に50000から500000g/molの分子量範囲にあるポリアクリル酸が使用されるが、それはこの種類が冷水(20℃)に比較的十分可溶だからである。添加されたポリアクリル酸の量は、0.01から10重量%に及ぶ。混合時間は、25℃から60℃まで約15分である。混合物のpH値は、KOHまたはNaOHなどの塩基性添加剤を添加することにより、必要に応じて増大させることができる。脱気ステップは、付着前が推奨される。
【0060】
溶解器の撹拌子の代わりに、PVOHを溶解するためにまたは顔料/充填剤/添加剤および架橋剤を含む水溶液を生成するために、円錐状に傾斜が付いたノズルを備えた特殊なビーカ撹拌子(製造業者Viscojet)を使用することができ、気泡がポリマ溶液中にまたは充填されたポリマ分散体に投入されるのを防止する。この撹拌手段(stirring organ)により、PVOHまたはそのコポリマを穏やかな素早い手法で溶解し、かつ顔料、添加剤、架橋剤などのその他の成分を穏やかに均一に導入することが可能である。成分の分散および溶解は、溶解器の撹拌子と同様に行われる。個々の成分を水性供給物に添加し、ビーカ撹拌子を用いて十分に湿潤させ分布させる。
【0061】
その他の添加剤として、固体含有量が高い(45〜55%)コロイド状分散体が適している。コロイド状粒子として、例えば、疎水性化合物に対して障壁効果を発揮しまたは疎水性障壁効果を損なわない有機ポリマを使用することができる。
【0062】
2.5.ポリビニルアルコールと2.1から2.4で記述された架橋剤との混合物
一般に、上述の架橋剤は任意に混合することができ、例えばFeCl
3とジおよび/またはポリカルボン酸および/またはジアルデヒドとを混合することができる。
【0063】
その他の添加剤として、固体含有量が高い(45〜55%)コロイド状分散体が適している。コロイド状粒子は、やはり疎水性化合物に対して障壁効果を発揮しまたは疎水性障壁効果を損なわない有機ポリマとすることができる。
【0064】
2.6.充填剤および/または顔料の導入
好ましくは球状および/または小板形状の粒子を持つ充填剤および/または顔料を、ポリビニルアルコール(PVOH)100重量%に対して5〜60%の重量パーセント範囲で水性組成物に添加する。充填剤および/または顔料として、一般に、水中で膨潤能力を持ちまたは持たない状態で提供される有機、無機、および/または有機−無機修飾粒子が適している。
【0065】
比表面積が200〜500g/m
2であるシリカ粒子などの球状粒子を用いることができる。シリカ粒子は、固体の形をとりまたは水性分散体中にある。粒子のサイズは5〜60nmに及ぶ。非修飾ならびに(親水状態に)修飾された粒子を用いることができる。粒子は、PVOH 100重量%に対して10〜60%の範囲で添加する。
【0066】
あるいは、球状および小板形状の粒子の混合物を添加することができる。カオリンおよびシート状シリケートなどの小板形状粒子(部分的にまたは完全に剥奪している。)を、非修飾または修飾状態で用いることができる。シート状シリケートは、アミノ、エポキシ、またはメルカプト基を有するアルコキシシランで官能化することができる。その上、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイトなど、またはこれらの混合物を用いることができる。カオリンを用いる際、形状因子が少なくとも40であるいわゆる「超板状(hyper−platy)」ナノスケール型が使用される。形状因子が60から100の間であり、サイズが最大1μmであることが好ましい。
【0067】
定められた細孔容積が3〜10Å、8〜13Å、および10〜15Åまたはそれ以上のオングストロームである天然および/または合成アルミノシリケートのようなその他の充填剤を、単独で、または球状もしくは小板形状充填剤と組み合わせて添加することができ、またはそれらの混合物として添加することができる。
【0068】
さらに、セルロース繊維および/またはセルロース再生繊維など、特にミクロおよびナノフィブリル化セルロースの天然有機充填剤を充填剤として使用することができる。これらの充填剤は、単独で、または1種以上のその他の充填剤と組み合わせて使用することができる。
【0069】
その他の構成では、得られた障壁層22の高い耐薬品性および機械抵抗と同時に高い食品適合性を確実にするために、ホウ砂などのホウ素化合物を含まない、水中で膨潤可能なシリケート、特に膨潤性シート状シリケートを含まない、かつ/または亜硫酸水素付加物を含まない、水性組成物が形成されることが提示される。
【0070】
充填剤および/または顔料に加え、コロイド状分散体の形をとる添加剤を添加することができ、これは水性組成物の合計固体含有量を増加させ、疎水性物質に対する障壁効果の他に粘度を変化させずまたは著しく変化させるものではない。
【0071】
3.水性組成物の付着
上述のレシピにより生成された水性組成物は、コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない基材12に付着させる。基材12のベース材料14は、厚紙から構成され、200g/m
2から800g/m
2の間の坪量を有する。
【0072】
3.1.付着の可能性および層の配置構成
3.1.1.単層湿潤被膜付着
基材12は:
・ポリビニルアルコール+グリオキサール;
・ポリビニルアルコール+ジカルボン酸;
・ポリビニルアルコール+ポリアクリル酸;
・ポリビニルアルコール+ジカルボン酸+充填剤および/または顔料;
・ポリビニルアルコール+ポリアクリル酸+ジカルボン酸+充填剤および/または顔料;
・ポリビニルアルコール+FeCl
3;または
・ポリビニルアルコール+種々の架橋剤の混合物;
・ポリビニルアルコール+種々の架橋剤の混合物+充填剤および/または顔料
からなる水性組成物で、単一障壁層22を生成するためにコーティングすることができ、湿潤被膜付着は3から15g/m
2とすることができる。そこでは、一般に基材12が、代わりに、非架橋ポリビニルアルコールでコーティングされたベース材料14から既に構成することができ、充填剤および/または顔料は、必要に応じて非架橋ポリビニルアルコールに混合することができることが強調される。
【0073】
本発明の範囲内で使用される水性組成物に関するその他の実施形態を、表1に示す。そこでは、やはり、各水性組成物の固体含有量が、おそらくは存在する充填剤および/または顔料も含めて最大25重量%であることが強調される。好ましくは、各水性組成物の固体含有量は、水性組成物が充填剤および/または顔料を含まずに形成された場合に最大15%である。表1に示されるポリビニルアルコールの量は常に100部と見なされる。架橋剤の量は常にポリビニルアルコール100部に対するものである。
【0077】
3.1.2.多層状付着
要求に応じて、2、3、4、または5つの障壁層22を次々に付着させた多層状の層系20を生成することができる。架橋剤を含まないポリビニルアルコール水溶液を、この場合は第1のコンディショニングコートとしてまたはプライマーとして使用することもできる。あるいは、またはさらに、非架橋ポリビニルアルコール層を、
図1に示すように2つの障壁層22の間および/または終端層24として付着させることができる。非架橋または架橋ポリビニルアルコール層には、充填剤および/または顔料を充填することができる。それぞれの層24および/または障壁層22の乾燥重量は、やはり3から15g/m
2とすることができる。
【0078】
3.2.付着システム
3.1.1および3.1.2で記述された層系20は、噴霧、ドクターブレードによるコーティング、流延、または均等化輪郭塗工法を用いた、コーティングおよび製紙産業で通常用いられる付着器具により付着させることができる。適切なパラメータ値は、例えば:
ロールドクターブレード:10、20、40、60、80μm湿潤膜厚
フィルム延伸枠:可変隙間設定、0〜1000μm湿潤膜厚
フィルム延伸枠:固定隙間:20、40、60、70、100、120μm湿潤膜厚
【0079】
これらの付着器具は、均一付着に関して基材12の最大速度が最大1000m/分であり、例えば80mm/秒または4.8〜5m/分である、モータ制御された付着システムによって用いられる。
【0080】
あるいは、またはさらに、ノズル付着システムを使用し、少なくとも1つの障壁層22または層24および最大で4層を、同時に、水平方向に移動可能な厚紙基材12に付着させる。水性組成物の混合は、ノズルチャンバにおいて、ノズル隙間(隙間幅、例えば0.1〜1.0mm)内でまたはノズルの外で、基材12上で行うことができる。200μm超の湿潤被膜層厚が、本付着方法で可能である。水性組成物の必要とされる送出量は、「層厚」および線形駆動の「最大速度」というパラメータから得られる。
【0081】
4.IR照射(IR)、対流乾燥(KV)、および/またはUV照射(UV)を用いた湿潤被膜の乾燥および架橋
基材12に付着させた水性組成物の溶媒(水)を赤外線および/または対流乾燥器により排除する。両方の乾燥器タイプを、個々に、まとめて、続けて、または互いに独立して使用することができる。両方の乾燥器タイプの乾燥器温度は、例えば、60℃から200℃の間で選択することができる。供給および排気はそれぞれ、および乾燥器または乾燥器の組合せの温度設定は、好ましくは、泡のない層系20が生じるように選択される。基材12中の残留湿度7〜9重量%は、正確な温度設定の基準として使用することができる。
【0082】
障壁層22または層24の全ては、好ましくは最初にIRおよび/またはKVによって乾燥される。架橋剤としてジアルデヒドおよび/またはジカルボン酸、ポリ酸および/またはこれらの混合物を含有する水性組成物では(2.1から2.5参照)、このように供給された熱は、ポリビニルアルコールの横方向の架橋を事実上定量的に行うのに十分である。
【0083】
FeCl
3との架橋反応は2段階プロセスである。溶媒の少なくとも大部分が除去された後、少なくとも大部分の乾燥コーティングにUV光を照射する。ここでは、例えばHg蒸気高圧ランプを使用することができる。UV活性ポリビニルアルコール層の露光は、強度仕様75%で、約0.4W/cm
2の出力で約10秒を要する。
【0084】
一般に、熱乾燥の前、最中、および/または後で、UV活性架橋剤を含有する水性組成物の全てを、UV光で照射することが賢明である。
【0085】
5.試験方法
5.1.疎水性炭化水素に対する障壁効果の測定
図1に示した包装材料10を、試験規格DIN EN 1186−13およびDIN EN 14338に基づき食品模擬材Tenax(登録商標)による移行検査に供し、Tenax(登録商標)を包装材料10の層系20に付着させた。定められた温度および時間で移行配合物をインキュベートした後、移行した物質をn−ヘキサンを用いてTenax(登録商標)から溶離し、鉱油炭化水素を、液体クロマトグラフィを用いて特異的に、2つの異なる画分、即ち飽和(鉱油飽和炭化水素、MOSH)の画分および芳香族炭化水素(鉱油芳香族炭化水素、MOAH)の画分に分離した。このように得られた2つの画分をガスクロマトグラフィによって分析し、総和パラメータ(sum parameter)として獲得し、重水素化n−ノナデカンおよびジエチルナフタレンをそれぞれ、シグナル領域の合計の評価のために用いた。移行可能な全ての成分の合計を定義する、未加工の包装材料から得た鉱油炭化水素の抽出可能な初期量に関し、移行可能な物質の1%未満がTenax(登録商標)溶離液中に検出された。このように、疎水性炭化水素の移行は99%超が防止され、したがって鉱油に関し、包装された食品の0.6mg/kgの値よりも常に下である。
【0086】
MOSHの最大遷移では、0.6mg/kgという一時的な値を設定した。それに基づき、BfR 2011からの炭素数が10個から16個の間の炭化水素化合物では、12mg/kgという一時的な値を設定した。MOAH成分の場合、食材および消費財に関する法律(Foodstuffs and Consumer Goods Law)(鉱油規則)を改正するための第22版の規則の草稿によれば、0.15mg/kgという値は検出可能であるべきではない。それによって疎水性化合物の移行は、0.12mg/kgという要求される値よりも低い。
【0087】
5.2.層構造
層系20の層構造を特徴付けるため、半分の薄さの切片(a semi−thin section)を製造し、それに基づいて個々の層22a、22b、および24を、光学およびIRまたはラマン顕微鏡によって分光学的に明らかにした。付着させた層の密閉性および均一性の評価を、FTIR顕微鏡を用いて行う。
【0088】
6.その他の実施形態
以下に、本発明による包装材料10に関するその他の実施形態を明記する。他に指示しない限り、生成は、上述の手法で行った。
【0089】
6.1.実施例1
以下に、まず、コーティング付き基材12の生成について説明する。
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
コーティング用の組成物(架橋されていない。):
・ポリビニルアルコール水溶液(Elvanol 90−50またはElvanol 85−82、Dupont、またはこれらの混合物)
・固体含有量:10.00重量%
厚紙ベース材料14を組成物でコーティング(40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ドクターブレード、エアブラシ、ノズル
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0090】
このように生成された基材12は、1つ以上の障壁層22を付着するための出発材料として使用することができる。
【0091】
6.2.実施例2
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(架橋):
・ポリビニルアルコール水溶液(Elvanol 90−50またはElvanol 85−82、Dupont、またはこれらの混合物)、顔料(項目2.5による。)
・架橋剤として、項目3.1.1に列挙された架橋剤またはそれらの混合物が考慮される。
・固体含有量:最大25.00重量%
厚紙ベース材料14を水性組成物でコーティング(40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ドクターブレード、エアブラシ、ノズル
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0092】
6.3.実施例3
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
組成物(架橋されていない。):
・ポリビニルアルコール水溶液(Elvanol 90−50またはElvanol 85−82、Dupont、またはこれらの混合物)、顔料(項目2.5参照)が充填されている。
・固体含有量:最大25.00重量%
厚紙ベース材料14または基材12を組成物でコーティング(40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ドクターブレード、エアブラシ、ノズル
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0093】
6.4.実施例4
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
組成物(物理的に架橋):
・ポリビニルアルコール水溶液(Elvanol 90−50またはElvanol 85−82、Dupont、またはこれらの混合物)、アルミノシリケートおよびカルボキシメチルセルロースが充填されている。
・固体含有量:12重量%
厚紙ベース材料14を組成物でコーティング(40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着
ベース材料の速度:最大1000m/分
乾燥:厚紙中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0094】
6.5.実施例5
基材12:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(熱により架橋または硬化):
・PVOH水溶液、固体含有量10重量%(Elvanol 85−82またはEvanol 90−50、およびこれらの混合物、Dupont)、100部
・PVOH 100部に対して、マレイン酸、p.a.(Sigma)、5部
基材を水性組成物でコーティング(1層付着、40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0095】
6.6.実施例6
ベース材料14:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(UV硬化):
・PVOH水溶液、固体含有量10重量%(Elvanol 85−82またはEvanol 90−50、およびこれらの混合物、Dupont)、100部
・FeCl
3水溶液(Donau Chemie)、固体含有量46.33重量%、PVOH 100部に対して6.7部
基材を水性組成物でコーティング(1層付着、40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着
ベース材料の速度:最大1000m/分
Hg蒸気高圧ランプによるUV硬化、10秒露光、0.4W/cm
2出力
【0096】
6.7.実施例7
ベース材料14:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(熱硬化):
・PVOH水溶液、固体含有量10重量%(PVOH−8582またはElvanol 9050、およびこれらの混合物、Dupont)、100部
・グリオキサール(40%水溶液、BASF)、PVOH 100部に対して12.6部
基材を水性組成物でコーティング(1層付着、40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着
ベース材料の速度:最大1000m/分
乾燥:厚紙ベース材料14中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0097】
6.8.実施例8
ベース材料14:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が50〜150g/m
2の間の紙
水性組成物(熱硬化):
・PVOH水溶液、固体含有量10重量%(PVOH−8582またはElvanol 9050、またはこれらの混合物、Dupont)、100部
・ポリアクリル酸、PVOH 100部に対して0.01〜5.0部
基材を水性組成物でコーティング(1層付着、40〜200μm湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着
ベース材料の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0098】
6.9.実施例9
ベース材料14:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
組成物:実施例1と実施例2、実施例1と実施例3、実施例1と実施例4、実施例1と実施例5、実施例1と実施例6、実施例1と実施例7、または実施例1と実施例8の組合せ
実施例1のコーティングを最底層としてベース材料に付着させ、実施例2、3、4、5、6、7、または8のレシピによるコーティング、および/またはこれら実施例の2重または3重の組合せをその上に付着させる。
多層付着、それぞれ80〜200μm湿潤被膜層厚
ベース材料の速度:最大1000m/分
付着方法:ドクターブレード、ノズル
【0099】
6.10.実施例10
ベース材料:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
組成物:
実施例1の2つのコーティング(水性組成物)と、実施例2から実施例8の1つのコーティングとの組合せ。実施例1のコーティングは、この付着ではコンディショニングおよびカバーコーティングとして使用されて、基材12の内面18を平準化し、かつ基材12の外面16上への張力および圧縮(波形成形および穿孔操作で生ずる力)から保護するよう作用する。カバーコーティングは、容易に印刷可能であり接着する。
多層付着、それぞれ80〜200μm湿潤被膜層厚
付着方法:ドクターブレード、ノズル
ベース材料の速度:最大1000m/分
乾燥:厚紙中の残留湿度5〜7%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0100】
6.11.実施例11
ベース材料:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
組成物:
PVOH水溶液(Elvanol 9050またはElvanol 8582、Selvol 103または107、Mowiol 15−99または9−98、Exceval Aq 4104、またはこれらの混合物)。
湿潤膜厚:20〜200μm。
PVOH溶液の固体含有量:最大30重量%。
架橋剤を含む充填済みPVOH溶液の合計固体含有量:35〜45重量%。
ベース材料14中の残留湿度7から9重量%が実現されるまで乾燥。
【0101】
6.12.実施例12
水性組成物:PVOH含有量 最大30重量%、顔料が充填されており、コロイド状ポリアクリレート分散体が添加剤として添加
水性組成物の合計固体含有量:最大45重量%
先の実施形態と同様にさらなる加工。
【0102】
6.13.実施例13
水性組成物:PVOH含有量 最大30重量%。顔料が充填されており、微結晶質セルロース(最大1%)およびアクリレートの分散体が添加剤として添加;合計固体含有量:最大45重量%
先の実施形態と同様にさらなる加工。
【0103】
6.14.実施例14
2つの異なる障壁層22a、22bを生成するための、先の実施形態の2つの異なる水性組成物(コーティング)の組合せ。
先の実施形態と同様にさらなる加工。
【0104】
6.15.実施例15
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
コーティング用の組成物(架橋されていない。):
・ポリビニルアルコール水溶液(Selvol 103またはSelvol 107、積水、Exceval、クラレ、またはこれらの混合物)
・PVOHの固体含有量(=合計固体含有量):30.00重量%
厚紙ベース材料14を組成物でコーティング(10〜200μmの湿潤被膜層厚)
付着方法:ドクターブレード、ノズル、30から80℃で
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度7〜10%が実現されるまで、IRおよび対流。
このように生成された基材12を、1つ以上の障壁層22を付着するために出発材料として使用することができる。
【0105】
6.16.実施例16
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(架橋):
・ポリビニルアルコール水溶液(Selvol 103またはSelvol 107、積水、Exceval、クラレ、またはこれらの混合物)、顔料
・上記列挙された架橋剤またはこれらの混合物を架橋剤と見なす。
・合計固体含有量:最大45.00重量%
厚紙ベース材料14を水性組成物でコーティング(10〜200μmの湿潤被膜層厚)
付着方法:ドクターブレード、ノズル、30から80℃で
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度7〜10%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0106】
6.17.実施例17
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物、架橋剤、充填剤なし:
・ポリビニルアルコール水溶液(Selvol 103またはSelvol 107、積水、Exceval、クラレ、またはこれらの混合物)
・上記列挙された架橋剤またはこれらの混合物を架橋剤と見なす。
・合計固体含有量:最大30.00重量%
厚紙ベース材料14を水性組成物でコーティング(10〜200μmの湿潤被膜層厚)
付着方法:ドクターブレード、ノズル、30から80℃で
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度7〜10%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0107】
6.18.実施例18
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(物理的に架橋):
・ポリビニルアルコール水溶液(Selvol 103またはSelvol 107、積水、Exceval、クラレ、またはこれらの混合物)、コロイド状ポリ(メタ)アクリレート分散体、およびカルボキシメチルセルロース
・合計固体含有量:25〜45重量%
厚紙ベース材料14を水性組成物でコーティング(10〜200μmの湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着、30から80℃で
ベース材料の速度:最大1000m/分
乾燥:厚紙中の残留湿度7〜10%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0108】
6.19.実施例19
基材12またはベース材料14:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(熱により架橋または硬化):
・PVOH水溶液、固体含有量10〜20重量%(Selvol 103またはSelvol 107、積水、Exceval、クラレ、またはこれらの混合物)、100部
・顔料、PVOH 100部に対して60部
・架橋剤としてマレイン酸(DSM)、PVOH 100部に対して5部
・合計固体含有量:17〜35重量%
基材12を水性組成物でコーティング(1層付着、10〜200μmの湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着、30から80℃で
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度7〜10%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0109】
6.20.実施例20
基材12またはベース材料14:コーティングされたまたは好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
水性組成物(熱により架橋):
・PVOH水溶液、固体含有量10〜22重量%(Selvol 103またはSelvol 107、積水、Exceval、クラレ、またはこれらの混合物)、100部
・顔料、PVOH 100部に対して20〜50部
・架橋剤としてマレイン酸、PVOH 100部に対して5〜10部
・合計固体含有量:18〜35重量%
基材を水性組成物でコーティング(1層付着、10〜200μmの湿潤被膜層厚)
付着方法:ノズル、単層付着、30から80℃で
基材12の速度:最大1000m/分
乾燥:ベース材料14中の残留湿度7〜10%が実現されるまで、IRおよび対流。
【0110】
6.21.実施例21
ベース材料14:好ましくはコーティングされていない、面積関連質量が200〜800g/m
2の間の厚紙
組成物(物理的に架橋):
・ポリビニルアルコール水溶液(Selvol 103またはSelvol 107、積水、Exceval、クラレ、またはこれらの混合物)、100部
・コロイド状ポリマ分散体、PVOH 100部に対して20から40部
・顔料、PVOH 100部に対して20〜50部
・架橋剤またはこれらの混合物、PVOH 100部に対して5〜10部
・合計固体含有量:25〜45重量%
【0111】
6.22.実施例22
ダブルスリットによる上記実施形態の1つの付着。
水性組成物を2つのチャンバに分割し、その後、容器内で組み合わせることにより、過剰な水性組成物が様々な手法で収集される。
【0112】
6.23.その他の実施例
上述のレシピに基づいて、その他の変形例および組合せが可能である。
代替の架橋剤:
・PVOH(またはPVOHコポリマ)100%に対して6.7%FeCl
3
・PVOH(またはPVOHコポリマ)100%に対して12.6%グリオキサール
・PVOH 100%に対して0.01から5%ポリ(メタ)アクリル酸(分散体)
【0113】
ドクターブレードまたはノズルを用いた単層および多層コーティングの付着では、実施例12、13、および17の組成物をコンディショニング層として使用することができる。
【0114】
コロイド状分散体/懸濁体
コロイドは、1〜1000nmのサイズで均質分散媒体中に分散された巨視的粒子である。コロイド状分散体は、コロイドの断片化の程度が500nmである場合、無色に見える。とりわけ、コロイドの安定性は、pH値、分散剤、添加剤(界面活性剤)、ミセル形成の傾向などの要因に依存する。コロイド状粒子は、例えば水系において分子量が(Mr)>1000g/molの場合であると言われる。したがって、粒子がMr<1000g/molである場合は分子溶液としばしば言われる。分散体は、部分的にまたは完全に架橋することができかつその分子量に起因してもはや溶解しない、高分子量の分子から構成される。ポリマ、極性分散体に関する例は:
・ポリ(メタ)アクリレート
・ポリメチルメタクリレート
・ポリエチレングリコールアクリレート
・ポリアミド
・ポリエステル(例えば、アクリル酸エステル、ビニルエステル、バイオポリマ、例えばポリ乳酸エステル、PHA、ポリヒドロキシブチレート、PHB)
・ポリウレタン
・スチレン−ブタジエンコポリマ
・炭水化物コロイド、例えばセルロース、デンプン、デキストリン、キトサン
・タンパク質
・ポリビニルアクリレート分散体またはそのコポリマ分散体。
【0115】
さらに、コロイド状態で存在する有機−無機混成ポリマ分散体が依然としてある。それらの例は、ゾルゲル反応を用いて官能性有機基で修飾されたテトラオルトシリケート(TEOS)である。2〜3nmから数μmの粒度を有し、かつ液体、固体、または気状相内に分散することができる、無機顔料、充填剤、添加剤、触媒は、無機コロイドの群に含まれる。
【0116】
本発明の主題の特定の性質を特徴付けるために、プロセスおよび測定条件を定義するよう文中に指定されたパラメータの値は、例えば測定誤差、システムエラー、計量誤差、およびDIN許容差などに起因して偏差の範囲内であっても、本発明の範囲に包含されると見なされる。