(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
シート上の画像の色を消す消去装置がある。この消去装置は、消去可能な色材で画像が印字されたシートに例えば加熱処理を施して、シート上の画像(色材)の色を消す消色部を有する。
【0003】
また、シートに消去可能な色材で画像を形成する画像形成装置が提案されている。このような画像形成装置としては、例えば電子写真式の画像形成装置があり、一種類の消色トナーにより画像が形成される(特許文献1)。
【0004】
しかし、このような画像形成装置において、消色温度の異なる複数の消色トナーを重ねて画像を形成することは提案されていない。
【0005】
また、消色温度の異なる消色トナーを重ね合わせて形成した画像の消色を行う際、消色温度の設定如何によっては必要以上の高温度で加熱される場合が想定され、あるいは加熱温度が低く完全な消色ができない場合が想定される。
【0006】
一方、消色温度の異なる消色トナーを重ね合わせて形成した画像については、消色温度の設定如何により、消色トナーによる画像形成に新たな使用方法が考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態の画像形成装置、消色装置を図面に基づいて説明する。実施形態の目的は、消去温度の異なる複数の色材により画像の形成をすることができ、画像の消去の際に最適温度で消去処理ができる情報を提供可能とする画像形成装置を提供することを含む。
【0014】
第1実施形態
図1は第1実施形態を示す画像形成装置の概略図、
図2はトナー情報書き込み制御部の制御ブロック図である。
【0015】
画像形成装置100は、無端回動する転写ベルト110の搬送方向に沿って、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のプロセスユニット120、121、122、123が配置される。各プロセスユニット120、121、122、123に設けた感光体ドラム120A、121A、122A、123Aに対向して、転写ベルト110を挟んで転写ローラ130、131、132、133が配置される。また、画像情報は、不図示のパソコンあるいはスキャナ143で読み取った画像が画像処理部144により処理され、レーザー露光装置(不図示)により各感光体ドラム120A、121A、122A、123Aに書き込まれる。
【0016】
各転写ローラ130、131、132、133により転写ベルト110が各感光体ドラム120A、121A、122A、123Aに加圧接触した状態で、各感光体ドラム120A、121A、122A、123A上のトナー画像が転写ベルト110上に転写され、二次転写位置で、二次転写ローラ140によりシート上に転写ベルト110上のトナー画像が転写され、定着器141により加熱・加圧されてトナー画像がシートに定着する。そして、トナー画像が定着されたシートは排紙部142に排紙される。
【0017】
各プロセスユニット120、121、122、123の現像器(不図示)には、消色可能色材のイエロートナー、消色可能色材のマゼンタトナー、消色可能色材のシアントナー、消色可能色材のブラックトナーが収容されている。
【0018】
消色可能トナーや消色可能インク等の消色可能色材(消去可能色材)は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えばロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。消色可能な色材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため消色する。本実施形態に使用する加熱消去可能な色材は、少なくとも呈色性化合物、顕色剤及び消色剤から構成される。また、消色可能色材のイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーは、色が異なるため、消色温度(消色開始温度)がそれぞれ異なる。ここで、イエロートナーの消色温度をTy、マゼンタトナーの消色温度をTm、シアントナーの消色温度をTc、ブラックトナーの消色温度をTkとし、これら消色温度はトナーの定着温度よりも高温に設定されている。また、これらトナーの消色温度の中で最も高い温度をTmaxとする。なお、フルカラーの画像形成であれば4色のトナーが重なるが、トナーが1色のみ、2色のトナーの重なり、3色のトナーの重なりが存在する。
【0019】
なお、転写ローラ130、131、132、133は不図示の保持部材に取り付けられ、該保持部材を上方に移動させることで各感光体ドラム120A、121A、122A、123Aに対する転写ベルト110の加圧接触を解除し、個々のプロセスユニット120、121、122、123を交換可能とする。このため、消色可能トナーを使用するプロセスユニットと永久トナーを使用するプロセスユニットを自由に交換可能とする。
【0020】
画像形成装置100は、操作部145のタッチパネル式のモニター146を有し、操作部145の操作により印刷モードを選択して印刷モード画面を表示させると、印刷モードとして、文字印刷モード、写真印刷モード等のスイッチ部が表示され、スイッチ部を押して設定した印刷モードに応じて画像が形成される。
【0021】
本実施形態において、
図2に示すトナー情報書き込み制御部150により、いずれかのトナーでシートにトナー情報を書き込む。
図3に示すように、シートSの画像形成領域S1から外れた非画像形成領域S2にトナー情報記録部Mが例えばバーコード等の表示形態で書き込まれる。トナー情報としては、各トナーの消色開始温度、前記印刷モード、各トナーの印字率等が書き込まれる。
【0022】
図2に示すように、トナー情報書き込み制御部150は、例えばCPUからなるプロセッサ151、メモリ部152を有する。メモリ部152は、例えば半導体メモリで、各種の制御プログラムおよび各トナーの消色開始温度を格納するROM1521と、プロセッサ151に一時的な作業領域を提供するRAM1522とを有する。
【0023】
プロセッサ151は画像処理部144からの各トナーの印字率を取得し、モニター146に印刷モード画面147を表示させる。操作部145の操作により印刷モードとして例えばフルカラーモード、文字モードあるいは写真モード等を設定する。トナー情報書き込み部150は、例えばブラックのプロセスユニット123にトナー情報記録部Mに書き込むトナー情報を出力する。
【0024】
第2実施形態
図4は第2実施形態の消色装置の概略図を示し、
図5は
図4の消色装置のハードウェア構成を説明するブロック図である。
【0025】
図4において、消色装置1は、消色可能トナーや消色可能インク等の「消色可能色材」により画像を形成されたシートに対して、消色色材による画像の色を消す「消色処理」を施す。消色装置1は、給紙トレイ2、給紙部材3、読取部4、消色部5、第1トレイ6、第2トレイ7、操作部15、9、第1搬送路10、第2搬送路11、第3搬送路12、第1分岐部材13、第2分岐部材14および操作部15を備える。
【0026】
給紙トレイ2は、再利用するためのシートを積載する。給紙トレイ2は、A4、A3、B5等、様々なサイズのシートを積載する。給紙トレイ2が積載するシートは、例えば、所定温度以上に加熱することにより消色する記録材料で画像形成されたシートである。給紙部材3は、ピックアップローラ、シート供給ローラ、およびシート供給ローラに対向配置される分離ローラ等を有し、給紙トレイ2上のシートを1枚ずつ消色装置1内部の第1搬送路10に供給する。また、給紙トレイ2は、給紙トレイ2上のシートの有無を検知する検知センサ16を有する。第1搬送路10は、給紙トレイ2から第1トレイ6へ向かう搬送路を形成する。第1搬送路10は、給紙されたシートを読取部4または第1トレイ6へ搬送する。
【0027】
読取部4は、給紙トレイ2に対し、シート搬送方向下流において第1搬送路10に沿って配置される。読取部4は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)スキャナあるいはCMOSセンサ等の読取ユニットを有する。本実施の形態では、読取部4は、搬送されるシートの第1面および第2面のそれぞれの画像を読み取る。すなわち、読取部4は、第1搬送路10に沿ってかつ搬送路を挟んで配置される2つの読み取りユニットからなり、搬送されるシートの画像の両面読取を可能とする。読取部4の読取ユニットがシートの画像を読み取る位置を読取位置と呼ぶ。読取部4が読み取った画像は、後述する記憶部21へ保存される。例えば、消色処理する前に読取部4が読み取ったシート上の画像を電子化して記憶部へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することができる。また、後述する制御部50は、読取部4が読み取った画像に基づいて、消色可能なシートか否か、あるいは、再利用可能なシートか否かを判断する。
【0028】
読取部4の下流には、切り替え部としての第1分岐部材13がある。第1分岐部材13は、搬送されるシートの搬送方向を切り替える。第1分岐部材13は、第1搬送路10を搬送されるシートを第2搬送路14または第1トレイ6へ搬送する。第2搬送路14は、第1分岐部材13が配置される分岐点において第1搬送路10より分岐する。分岐点より分岐した第2搬送路14は、シートを消色部5へ搬送する。また、第2搬送路14は、読取部4よりもシート搬送方向上流における合流点17において、第1搬送路10に合流する。すなわち、第2搬送路14は、給紙トレイ2と読取部4の間における合流点17で第1搬送路10に合流する。したがって、第2搬送路14は、読取部4から搬送されてきたシートを、消色部5を経由して、再び、読取部4へ搬送することを可能とする。
【0029】
第1搬送路10は、第1分岐部材13の下流に第2分岐部材14を有する。第2分岐部材14は、第1分岐部材13から搬送されたシートを第1トレイ6または第3搬送路12へ案内する。第3搬送路12は、シートを第2トレイ7へ搬送する。
【0030】
消色部5は、搬送されるシートの画像の色を消す。例えば、消色部5は、搬送されるシートへ接触した状態で、シートを所定の消色温度まで加熱することにより、記録材料によりシート上に形成された画像の色を消色する。例えば、本実施の形態の消色装置1の消色部5は、シートの第1面消色用および第2面消色用の2つの第1消色ユニット18、第2消色ユニット19を有する。
【0031】
第1消色ユニット18および第2消色ユニット19は、第2搬送路14を挟んで対向配置される。第1消色ユニット18は、シートの一方の面側からシートへ当接して加熱する。第2消色ユニット19は、シートの他方の面側からシートへ当接して加熱する。すなわち、消色部5は、搬送されるシート両面の画像を一度の搬送で消色する。消色部5は、第1消色ユニット18および第2消色ユニット19の第1加熱部18A、第2加熱部19Aの温度を検知する第1温度センサ(第1温度検知部)18C、第2温度センサ(第2温度検知部)19Cをそれぞれ有する。第1加熱部18A、第2加熱部19Aは、ハロゲンランプ等の第1熱源18B、第2熱源19Bにより加熱される。
【0032】
消色装置1本体の上部に配置された操作部15は、タッチパネル式の表示部(モニター)22と各種の操作キーとを有する。操作キーは、例えば、テンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。
【0033】
操作部15には、消色部5における第1加熱部18Aと第2加熱部19Aの温度を任意に設定可能とするマニュアル温度設定部を有する。また、操作部15は消色の開始あるいは消色するシートの画像の読み込み等の消色装置1の機能動作を指示する。
【0034】
操作部15は、消色装置1の設定情報や動作ステータス、ログ情報、あるいは、後述するユーザへのメッセージを表示する。なお、操作部15は、消色装置1の本体に配置されるものに限定されない。例えば、ネットワークを介して外部装置の操作装置と接続され、外部の操作装置から操作できる構成であっても良い。すなわち、本実施の形態の操作部15は、消色装置1に対して処理の指示や情報の閲覧等ができるものであれば良い。
【0035】
排出部材8、9は、シートを、本体の下部に上下に配置された第1トレイ6、第2トレイ7へ排出する。例えば、第1トレイ6は、シート上の画像が消色され、再利用可能となったシートを積載する。第2トレイ7は、再利用不可と判断されたシートを積載する。以下、第1トレイ6をリユーストレイ、第2トレイ7をリジェクトトレイと呼ぶ。なお、リユーストレイ6とリジェクトトレイ7は、受け入れる対象とするシートを入れ替えることも可能である。それぞれのトレイがどのようなシートを積載するかの設定、すなわち、シートの搬送先の設定は、例えば、操作部15から設定すればよい。この設定により、第2分岐部材14は、搬送路を切り替えて、搬送されたシートを第1トレイ6または第3搬送路12へ案内する。
【0036】
シートの搬送経路は、消色装置1が実行する処理モードに基づいて適宜変更される。消色装置1は、複数の処理モードを有する。消色装置1は、例えば、(1)画像読取を行わず、消色処理のみを行う第1処理モード、(2)画像の読み取り後、消色処理を行う第2処理モード、(3)消色前の読取処理を行わず、消色処理後、シートPの再利用可否の分別(分別処理)を実施する第3処理モード、(4)画像の読み取り後、消色処理を実施し、さらに分別処理を実施する第4処理モード、(5)画像消色を行わず、画像の読取処理を実施する読取モードを有する。上述の各モードは、消色装置1の操作部15で選択できる。また、各処理モードの選択は、消色装置1の操作部15に限らず、外部の端末から設定しても良い。第1乃至第4の処理モードでは、シートは必ず消色部5へ搬送される。一方、読取モードでは、消色装置1は、第1分岐部材13を制御して、シートを消色部5へ搬送することなく、読取部4を経由して排出する。
【0037】
消色装置1は、第1乃至第3搬送路10、11、12を搬送されるシートを検知する複数のシート検知センサ23を有する。
【0038】
図5は、消色装置のハードウェア構成を説明するブロック図である。消色装置1は、制御部50と、記憶部21と、読取部4と、消色部5と、操作部15と、を有する。
【0039】
制御部(コントローラ)50は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ61、メモリ62を有する。制御部50は、読取部4、消色部5、操作部15を制御する。メモリ62は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)63と、プロセッサ61に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)64とを有する。例えば、ROM63は、再利用可否の閾値とするシートの印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値等を格納する。RAM64は、読取部4で読み取った画像を一時的に保存しても良い。消色装置1の各コンポーネントは、バス52を介して接続される。
【0040】
制御部50は、例えば、操作部15で設定された上記処理モード(1)〜(5)に応じて、読取部4、消色部5、およびその他の構成を制御する。例えば、第1乃至第4の処理モードが選択された場合には、制御部50は、消色部5にシートの画像を消色させる。消色部5へシートが搬送される前に、読取部4がシートを読み取る場合には(第2処理モード、第4処理モード)、制御部50は、読取部4で読み取った画像を記憶部21へ保存する(以下、読取処理)。ここで、制御部50は、読取部4が読み取ったシート画像のデータ中に機密データ等の消色を禁止すべき禁止データが含まれているか否かを判定してもよい。また、制御部50は、消色部5がシートの画像を消色した後に、この消色されたシートの画像を読取部4が読み取る場合には(第3処理モード、第4処理モード)、読取部4が読み取った画像のデータに基づいて、シートの消色残りの状態から、シートが再利用可能か否かを判定する。制御部50は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先を決定する(以下、分別処理)。画像消色を行わずに、画像を読み取る読取モードが設定された場合には、制御部50は、第1分岐部材13を制御して、読取部4がシート上の画像を読み取った後、シートを消色部5へ案内せず、読取部4で読み取った画像を記憶部21へ保存する。
【0041】
制御部50は、第1温度検知部18C、第2温度検知部19Cを用いて第1消色ユニット18および第2消色ユニット19の加熱部18A、19Aの温度を検知するとともに、第1消色ユニット18および第2消色ユニット19の第1熱源18C、第2熱源19Cを通電制御し、第1加熱部18A、第2加熱部19Aの温度を制御する。
【0042】
本実施形態において、給紙トレイ2には、第1実施形態の画像形成装置により、Y、M、C、Kの消色トナーで画像が形成されると共に、トナー情報部Mが書き込まれた
図3に示すシートが給紙トレイ2に積載され、消色処理に供される。勿論、トナー情報部Mが書き込まれていないシート、単色の消色トナーで画像が形成されたシートも混載される場合もある。
【0043】
シートSに形成されたトナー情報部Mは、読取部4において読み取られ、読み取られたトナー情報が制御部50に取得される。
【0044】
本実施形態の消色装置は、シート上の全ての消色トナー画像を強制的に消色する強制消色モードと、トナー情報部Mのトナー情報に基づいて自動的に消色する自動消色モードと、マニュアル消色モードとを有する。これらのモードの設定は、操作部15の操作で消色モードが選択されると、制御部50は、表示部50に、例えば
図6に示す消色モード設定画面70を表示する。
【0045】
消色モード設定画面70には、強制消色モードを設定する「強制消色」を文字表示した強制消色ボタン71、自動消色モードを設定する「自動消色」を文字表示した自動消色ボタン72を有する。また、消色モード設定画面70には、マニュアル消色モードとして、手動で消色温度を任意に設定できる消色温度設定部73を有する。この消色温度設定部73は、高温(H)側のボタン73Hをタッチすると、温度目盛り73A上の設定温度指標73Mが高温側に移動し、低温(L)側のボタン73CLをタッチすると設定温度指標73Mが低温側に移動し、消色温度が手動設定される。
【0046】
このように、消色温度を手動入力で設定できるので、消色残りの画像が発生する場合に、消色温度の微調整等により画像を完全に消色させることができる。
【0047】
また、マニュアル消色モードとして、例えば同色であるが消色温度の異なる2種の消色トナーにより形成された画像、あるいは少なくとも2色の消色温度が異なる消色トナーにより複数色あるいはフルカラーで形成された画像について、複数のトナーの内、少なくとも一つのトナー画像を残すための残像設定モードが設けられている。
【0048】
消色モード設定画面70には、この残像設定モードを設定する「残像」を文字表示した残像ボタン74を有する。残像ボタン74をタッチすると、制御部50は消色部5の第1熱源18B、第2熱源19Bを予め設定した残像温度に温度制御する。この場合、シートに形成された画像の中で、前記残像温度よりも高温の消色温度で消色するトナー画像は残り、前記残像温度以下の温度で消色するトナー画像は消色される。このような消色方法の使用形態としては、例えばアンケート用紙の質問文を残像温度よりも高温の消色温度で形成し、回答を残像温度以下の温度で消色する消色ペンで記載する場合、アンケート用紙の回収後、再使用する際に、残像温度で消色すれば回答部分のみが消色する。その際、回答文字が質問文に重なっていても、消色の際に質問文が消色されることはない。
【0049】
この残像温度は変更可能とし、例えば残像ボタン74をタッチした状態で消色温度設定部73を操作することで残像温度の設定が行える。
【0050】
一方、フルカラー画像の場合には、複数色のトナーが重なるため、複数色のトナーの中で最も消色温度の高いトナーに合わせて消色温度を設定した場合、十分な温度でトナーを加熱することができないおそれがある。フルカラー画像の場合には、消色温度の範囲を最も高い消色温度の開始温度よりも高く設定するようにしている。消色モード設定画面70には、フルカラーモードを設定する「フルカラー」を文字表示したフルカラーボタン80を有する。同様に、消色モード設定画面70には、写真モードを設定する「写真」を文字表示した写真ボタン81、文字モードを設定する「文字」を文字表示した文字ボタン82を有する。
【0051】
本実施形態において、フルカラーモード、写真モード、文字モードは、マニュアル消色モードを設定した場合に機能するようにしている。なお、初期状態では文字モードが設定されている。
【0052】
強制消色ボタン71をタッチして強制消色モードを設定すると、実際にシートに形成されている消色トナーの中で最も高い消色温度ではなく、使用され得る消色トナーの中で最も高い消色温度に消色部5を設定するように、第1熱源18B、第2熱源19Bへの通電制御を行う。したがって、消色部5を通過する消色トナー画像は全て消色される。
【0053】
本実施形態では、自動消色モードを初期設定しており、例えば前記強制消色モードから自動消色モードに切り替える場合には自動消色ボタン72をタッチする。
【0054】
自動消色モードでは、読取部4で読み取ったトナー情報部Mのトナー情報に基づいて制御部50は消色部5の第1熱源18Bと第2熱源19Bの温度制御を行う。トナー情報には、フルカラーモード、写真モード、文字モード等の印刷モード、印字率、各トナーの消色開始温度等が含まれ、例えば各トナーの消色開始温度の中で最も高温の消色開始温度を消色温度に設定する。また、印刷モードを考慮するか、印字率を考慮するかは任意に設定することができ、初期状態ではトナーの消色開始温度を用いる。ここで、自動消色モードが選択されている場合、読取部4で読み取るシートにトナー情報部Mが記録されていないと、消色部5に搬送することなく第3搬送路12を経て第2トレイ7に搬送しても良い。また、印字率を考慮する場合には、予め設定された基準となる印字率に対し、トナー情報に含まれる印字率が高いと、設定した消色温度を高くする。同様に、フルカラーモードや写真モードの場合にも、設定した消色温度を高くする。
【0055】
ここで、自動消色モードが設定されると、消色部5のレディ(待機)温度を通常使用される消色トナーの中で標準的な消色開始温度(標準消色開始温度)を待機温度とする。このため、トナー情報部Mが記録されていないシートが消色部5に達する際に、前記標準消色開始温度の消色部5で消色させる。その際、標準消色開始温度では完全に消色できず、消し残りが生じることもあるが、ある程度の消色が行える。このような状態は、試し印刷等に再利用できれば良い場合に対応することができ、省電力化が図れる。
【0056】
また、読取部4でトナー情報部Mが読み取られる、制御部50ではトナー情報Mのトナー情報に基づいて消色開始温度が設定されるので、消色部5で画像を完全に消色することができる。この場合、必要以上に消色開始温度を高くすることがないので、省電力化が図れる。
【0057】
このように、自動消色モードにおいて、更にフルカラーモード、写真モード、文字モード、印字率等を考慮することで、カラー画像等を完全に消色させることができると共に、省電力化を図ることができる。
【0058】
なお、上記した第1実施形態および第2実施形態では、画像形成装置と消色装置をそれぞれ単体の構成で説明したが、画像形成装置の定着部を消色部に兼用させ、第2実施形態の制御部50による動作と同様の処理を行わせてもよい。
【0059】
本実施形態は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施できる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。