【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。しかし、下記実施例は本発明を例示することに過ぎず、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
【0040】
実施例1.韓国型豚生殖器呼吸器症候群ウイルスの分離
1.1 肺大食細胞(porcine alveolar macrophage;以下、PAM)の分離
分離するウイルスを増殖させるためのPAM細胞の分離に使用する豚は、4〜8週の無菌豚として、当社のSPF飼育環境で飼育した(Optifarm−Medipig)個体を使用した。豚を麻酔させた後、肺気管支を含む肺組職全体を傷がつかないように注意して分離した。肺気管支の内方へ挿入管を連結し、あらかじめ用意したリン酸緩衝溶液(p
H7.2)を、気管支を通じて肺組職内方へ注入した。肺組職の膨脹が確認されると、挿入管を傾けて肺組職内のリン酸緩衝溶液を収集し、収集されたリン酸緩衝溶液を遠心分離して細胞を沈澱させて、あらかじめ用意した10%ウシ胎仔血清(fetal bovine
serum)、非必須アミノ酸(nonessential amino acid)及びペニシリン/ストレプトマイシンが添加された培地に懸濁した。細胞懸濁液を培養容器に入
れて、37℃、5%のCO
2濃度で培養した。1次分離した肺大食細胞は、総2×10
8cells/mlであり、−80℃に保管した。培養された豚肺大食細胞の模様を
図1に示
した。
【0041】
1.2 PRRSVの分離及びPRRSVのPAM感染の確認
本実験に使用されたウイルスは、JW農場飼育豚のうち病的症状を示す感染豚から分離した豚生殖器呼吸器症候群ウイルス(Porcine Reproductive and Respiratory Syndrome;以下、PRRSV)を使用した。感染疑い豚から血液、肺、リンパ、扁桃の組職を粉砕してリン酸緩衝溶液に懸濁し、PCR技法でウイルス陽性と判定されたサンプルからウイルス分離実験を進行した。
【0042】
前記実施例1.1で分離されたPAMをT−25フラスコに2×10
6cells/ml
で株分けし、細胞付着を確認した後、PCRを通じて陽性と判定された試料の血液、肺、リンパ、扁桃などのサンプルを各々10〜100μlで接種した。以後、細胞変性効果(Cytopathic effect;CPE)が現われると、収穫して−80℃に保管した。収獲されたウイルスをPAM細胞が存在するT−25フラスコに100μlずつ接種し
、間接免疫蛍光染色法(immuno fluorescence assay;IFA)でウイルスを確認し、ブラインド継代培養を持続的に進行した。より具体的には、PRRSVが感染されたことで確認された細胞を、4%パラホルムアルデヒド固定液を使用して5分間固定した後、緩衝溶液を使用して10分間3回洗浄した。以後、抗体の非特異結合を防止するために、2%BSA溶液で1時間の間処理した後、5分間3回洗浄した。1次抗体として、mouse anti−PRRSV Mab 4A5(JBT Cat#9041)を使用し、2次抗体としては、goat anti−mouse IgG FITC(Santacruz)を使用した。
【0043】
その結果を
図2に示した。
【0044】
図2に示したように、分離されたPAMにウイルスを接種した後、96時間が経つと、PAM細胞内で蛍光を確認することができた。これを通じて、PAM細胞にPRRSVが効果的に感染されたことを確認した。
【0045】
1.3 プラーク分離方法を通じたウイルスクローンの分離
PAM細胞を3×10
5cells/ウェル濃度で6−ウェルプレートに接種後に12時間が経過した後、分離されたPRRSVをMOI=1から始めて10倍に希釈し、各々のウェルに接種した。1時間の間培養した後、培地を除去し、ウイルスの感染が行われた細胞層上に0.5%アガロースと10%ウシ胎仔血清が入っているDMEM培地を覆って、
37℃、5%のCO
2で培養した。約72時間が経過した後、プラークの形成を目視で確
認し、各々のプラークを独立的に分離精製してPRRSVクローンを分離した。
【0046】
実施例2. PRRSV遺伝子分析を通じたJW−PRRSV(KCTC 12096BP)
の分離
2.1 PRRSV遺伝子の増幅
分離されたPRRSVのORF5部分の遺伝子情報から系統分析してウイルスを分類した。PRRSV培養液150LからViral RNA Extraction kit(I
ntron、Korea)を利用して製造社の使い方によってPRRSVのゲノムRNA
を抽出した。各々の遺伝子分節に相応するバイラルcDNAを合成するためにRT−PCRを進行した。抽出したRNA10μlに10pmolORF5の逆方向プライマー2μlを入れて、80℃で3分間加熱した後また冷却し、RNA阻害剤(Promega、U.S.A)1μl、5× RT緩衝液(50mM Tris−HCl(Ph8.3)、75mM KCl、3mM MgCl
2、10mM DTT)、10mM dNTP(Promega、U.S.A)2μl、M−MLV逆転写酵素(Promega、U.S.A)1μlを入れて、37℃で1
時間30分間増幅させた。合成されたcDNAを鋳型としてPCRを進行した。PCRは、premixチューブ(Intron)に滅菌蒸溜水16μl、cDNA2μl、プライマー1μlを入れて、94℃で5分、94℃で20秒の変性、60℃で30秒のアニール、
72℃で45秒の伸張の過程で構成された一連の反応を一サイクルとして34回繰り返し
実行し、最後に、72℃で5分間インキュベートした。実験に使用したプライマーは、ORF5遺伝子の塩基配列分析のために既に塩基配列が報告されたVR2332(US strain、Genbank accession number. U87382)を参考に
し、正方向プライマー(CCA TTC TGT TGG CAA TTT GA)、逆方向プライマー(CAC CTT TAG GGC ATA TAT CAT)を使用した。
【0047】
2.2 分離されたPRRSVの系統分析
PCR産物を1%アガロースゲルに電気泳動した後、gel extraction kit(Macherey−Nagel、Germany)で純粋分離し、これらPCR産物をpGEM−Tプラスミドベクターのlac Z遺伝子のマルチクローニング部位に連結
し、E. coli DH5α competent cellをホスト細胞として各々の遺
伝子をクローニングした。より具体的には、−70℃に保管中のE. coli DH5α
を氷でとかした後、連結されたプラスミドDNAがあるチューブに50〜70μl注入し
た。氷上で20分間放置した後、42℃で90秒間熱衝撃を加えて、更に氷上に3分間放置した。チューブにLB(Luria−Bertani)培地1mlを入れて、37℃の培養器で1時間の間培養した後、アンピシリン(300mg/ml)、X−gal、IPTG
などが含有されたLB寒天培地に均一に株分けし、37℃でひと晩の間培養した。培養後、白いコロニーを選択して塩基配列分析のためのプラスミドDNA抽出に使用した。選択された白いコロニーをアンピシリンが含有されたLBアガープレート5mlに1個ずつ入れて、37℃の培養器でひと晩の間培養した後、3000rpmで10分間遠心分離した。遠心分離した後、QIAprep Spin Miniprep kit(Qiagen、U.S.A.)を使用してプラスミドDNAを抽出した。精製されたプラスミドDNAの遺伝子情報をWorkbench Version 4(CLC Bio、Aarhus、Denmark)ソフトウェアで分析して系統分析図を作って、ウイルス原種のヌクレオチド配
列と継代培養した配列を比較して遺伝的変異を分析した。
【0048】
その結果を
図3に示した。
【0049】
図3に示したように、分離したPRRSVは、北アメリカ型とは18%のヌクレオチドが相異なっている新しい韓国型PRRSVであることで確認した。新しい韓国型PRRSVは、JW−PRRSVと名付け、2011年12月2日にKCTC 12096BPで
寄託した。
【0050】
実施例3. 韓国型PRRSV(以下;JW−PRRSV)を利用した開発ワクチンの免疫原性の確認(継代5、継代91)
3.1 JW−PRRSV接種後の臨床測定
新しく分離したJW−PRRSVをワクチンとして開発するために、継代5及び継代91のJW−PRRSVを豚に接種した後、その効果を観察した。より具体的には、PRRSV陰性であり、SPF(Specific−Pathogen−Free)の初乳未摂取(Colostrum−Derived)豚12匹を対象として、継代5JW−PRRSV、継代91JW−PRRSV、MLVワクチン(常用生ワクチン)、陰性対照区を含んで総4個のグループを構成して免疫原性を確認した(表1)。
【0051】
【表1】
【0052】
各グループ別にウイルス1×10
5PFU/mlで2mlずつ接種し、接種した後、1日、3日、6日、10日、15日、21日、28日、35日目に体温/運動性/飼料摂取量などの臨床症状を観察した。接種後37日目に原腫毒JW野外ウイルスを1×10
4PFU/mlで攻撃接種し、上と同一な項目に対してモニタリングを実施した。より具体的には、体温及び運動性は、実験期間中で一日2回にわたって同一な時間に測定し、運動性は、個体観察を通じて0点〜4点まで0.5点の間隔差で点数を付与する方式でモニタリングし
た(0点:運動性なし、1点:運動性弱い、2点:運動性普通、3点:運動性良好、4点
:運動性非常に良好)。また、飼料摂取量は、体重による制限給餌を実施し、10分以内
に全量摂取時に非常に良好(4点)で判断し、飼料を全量摂取する時間によって、0点〜4点まで0.5点の間隔差で点数を付与した。前記のような方式の点数合算を通じて総合的
な運動性と飼料摂取量を評価した。
【0053】
その結果を表2に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示したように、該当点数を解釈した結果、継代5JW−PRRSV、継代91JW−PRRSV及びMLV接種群は、実験終了時まで飼料摂取及び運動性がいずれも良好
であった。したがって、継代5JW−PRRSV、継代91JW−PRRSVがいずれも市販されるMLVワクチンと同一な程度のウイルス防御能を誘導することを確認した。
【0056】
3.2 韓国型PRRSV(JW−PRRSV)接種後の抗体価の測定
JW−PRRSVのワクチン効果の評価のために、前記実施例3.1と同一な条件でウ
イルスを接種した後、抗体価の測定を実行した。接種後37日目に原腫毒JW野外ウイルスを1×10
4PFU/mlで攻撃接種し、実施例3.1と同一な項目に対してモニタリン
グを実施した。攻撃接種14日後、全個体に対して剖検を実施し、肺、リンパ、扁桃、脾臓、肝、脳、腎臓に対して定量PCRを進行した。ワクチンウイルスが野外ウイルスに対する防御能を誘導するためには、一次で血清検査で抗体が陽性で判定される必要があり、またウイルス中和能力を有しなければならない。接種動物において抗体価が陽性に転換されたか否かをELISA(HerdChek:PRRS 2XR ELISA kit(ID
EXX laboratories、Westbrook、ME、USA))方法で測定し
た。PRRSV抗体有無は、S/P割合で示し、S/P割合が0.4以上である時に陽性で
判定した。
【0057】
その結果を表3及び
図4に示した。
【0058】
【表3】
【0059】
表3及び
図4に示したように、接種後10日目から対照群を除いた継代5JW−PRRSV、継代91JW−PRRSV及びMLV接種群の実験群で抗体価の上昇が現われた。接種後35日目には、全ての実験群で抗体価が陽性に転換されたことを確認することができた。
【0060】
3.3 JW−PRRSVによるウイルス力価の測定
JW−PRRSVのワクチン効果の評価のために、前記実施例3.1と同一な条件でウ
イルスを接種した後、血液及び剖検後の組職内のPRRSV力価を測定した。接種後37日目に原腫毒JW野外ウイルスを1×10
4PFU/mlで攻撃接種し、実施例3.1と同
一な項目に対してモニタリングを実施した。
【0061】
その結果を表4に示した。
【0062】
【表4】
【0063】
表4に示したように、継代5JW−PRRSV接種群では、10日目まで血液内でウイルスが検出される個体があり、継代91JW−PRRSV接種群では、接種後、攻撃接種後に全て血液内でウイルスが検出されなかった。常用生ワクチンMLVでは、接種後6日目に多少のウイルスが検出されたが、攻撃接種後には検出されなかった。陰性対照群では、攻撃接種7日目に相当量のウイルスが血液内で検出された。
【0064】
実施例4.韓国型PRRSV(JW−PRRSV)を利用した開発ワクチンの安全性及び免疫原性の確認(継代3、継代120)
PRRSVが陰性であり、SPF(Specific−Pathogen−Free)である初乳未摂取(Colostrum−Derived)の豚20匹を対象として、MLVワクチン(常用生ワクチン;G−A)、継代3JW−PRRSV(G−B)、継代120JW−PRRSV(G−C)、陰性対照群1(攻撃接種に対する陰性対象群;G−D)、陰性対照群2(全体実験対比陰性対照群;G−E)を含んで総5個のグループを構成した。各グループ別にウイルス1×10
5PFU/mlで2mlずつ接種し、接種後7日、14日、21日、28日、35日目に体温/運動性/飼料摂取量などの臨床症状を観察し、各々採血して血液内のウイルス力価と抗体価を測定し、血球分析、臨床症状分析を進行した。そして、42日目に原腫毒JW野外ウイルスを1×10
4PFU/mlで攻撃接種し、上と同一な項目
に対してモニタリングを実施した。ワクチンウイルスが野外ウイルスに対する防御能が生ずるためには、一次で血清検査で抗体が陽性で判定される必要があり、またウイルス中和能力を有しなければならない。接種動物において抗体価が陽性に転換されたか否かは、ELISA(HerdChek:PRRS 2XR ELISA kit(IDEXX laboratories、Westbrook、ME、USA))方法で測定し、中和抗体価が誘導されたか否かは、VN(Virus neutralization)テストを利用して
測定した。
【0065】
4.1 RT−PCR技法で血液内ウイルスの力価測定
PRRSVの量を測定するために、既に塩基配列が報告されたVR2332(US strain、Genebank accession number、U87382)を参考
してプライマー(ORF7)を製作した(正方向プライマーATG ATG RGC TGG
CAT TCT、逆方向プライマーACA CGG TCG CCC TAA TTG)。PR
RSV培養液150μlからバイラルRNA Extraction kit(Intron. Korea)を利用してキット製造社の使い方によってPRRSVのゲノムRNA抽出
し、各々の遺伝子分節に相応するバイラルcDNAを合成するためのRT−PCRを実行した。抽出したRNA10μlに10pmol ORF5の逆方向プライマー2μlを入れ
て、0℃で3分間加熱した後冷却し、RNA阻害剤(Promega、U.S.A)1μl、
5× RT緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl
2、10mM DTT)、10mM dNTP(Promega、U.S.A)2μl、M
−MLV逆転写酵素(Promega、U.S.A)1μl を入れて、37℃で1時間30分間増幅させた。PCRは、合成されたcDNA 2μl、Sybr green dye 1
0μl (Bio−Rad Korea)、滅菌蒸溜水6μl、各1μlのプライマーを使用し
、95℃で3分、変性段階96℃(20秒)、アニール段階60℃(20秒)、伸張段階72℃(30秒)で構成された一連の反応を1サイクルとして40回繰り返し実行し、55℃で1分、60℃で10秒の反応を71回繰り返し後終了した。RT−PCRは、連続希釈した量が分かっているDNAを標準でPCR反応をするので、基本に増幅が指数的に起きる領域で一定増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle;Ct値)を横
軸とし、初期DNA量を縦軸として、検量線を作成し、未知濃度飼料も同一条件下で反応してCt値を求めることで、目的DNA量を測定した。
【0066】
その結果を表5に示した。
【0067】
【表5】
【0068】
表5に示したように、MLVワクチン(G−A)を接種したグループでは、接種後7日目に全ての個体でウイルスが検出され、35日まで持続する個体が存在した。継代5JW-
PRRSV接種群(G−B)では、接種後7日目に全ての個体で高い力価のウイルスが検出された。以後持続的に28日目まで検出が確認され、35日目まで検出される個体も存在した。継代120JW−PRRSV(G−C)接種群では、接種後14日目に2個体でウイ
ルスが検出され、接種後21日目まで維持した後28日目から検出されなかった。このような結果を通じて、常用ワクチンであるMLVワクチン(G−A)より6倍程度低いウイルス力価を示し、血液内残存日も短いことがわかる。また、MLVワクチン(G−A)接種群は、全ての接種個体でウイルスが検出されたが、継代120JW-PRRSV(G−C)接
種群では、2匹個体でのみウイルスが確認された。42日目に攻撃接種後、MLVワクチン(G−A)接種群では、接種後7日目に3匹個体で血液内ウイルス検出されて、継代5JW−PRRSV接種群(G−B)では、4個体の全てからウイルスが検出されなかった。これは相同攻撃接種に対する保護作用(homologous challenge protection)であると判断される(Report:Colloquium on Prospect
s for Development of an Effective PRRS Viru
s Vaccine、August 13、2007 − D.L. Rock、PhD、Un
iversity of Illinois)。継代120JW−PRRSV接種群(G−C)では、攻撃接種後7日目に2個体でウイルス検出が確認された。陰性対照群(G−D)で
は、攻撃接種7日目に2個体で相当量のウイルスが血液内で検出され、そのうち一個体は、接種後14日目に斃死した。この個体に対して剖検を進行し、肺、リンパ、扁桃、腎臓、気管支、肝に対してウイルス力価の測定を実施した。
【0069】
その結果を表6に示した。
【0070】
【表6】
【0071】
表6に示したように、斃死した陰性対照群の肺と扁桃から相当量のウイルスが検出されたことを確認することができた。
【0072】
4.2 血液内抗体価の測定結果
各接種群別に採血したサンプルをELISA(HerdChek:PRRS 2XR E
LISA kit(IDEXX laboratories、Westbrook、ME、
USA))方法で測定し、PRRSVに対する血液内抗体価を測定した。PRRSVの抗体形成有無は、S/P割合で示し、S/P割合が0.4以上の場合を陽性として判定した。
【0073】
その結果を表7及び
図5に示した。
【0074】
【表7】
【0075】
表7及び
図5に示したように、MLVワクチン(G−A)を接種したグループでは、接種後14日目から2匹個体で抗体価が陽性に転換され、28日目には、4匹個体が全て陽性に転換された。継代5JW−PRRSV接種群(G−B)では、接種後7日目に1匹個体が陽性に転換され、14日目には、4匹個体が全て陽性に転換された。継代120JW−PRRSV(G−C)接種群では、接種後21日目に2匹個体の陽性転換を始まり、28日目は、4匹個体が全て陽性に転換されたことを確認した。これを通じて、継代120JW−PRRSV(G−C)接種群が安全であると共に抗体価を充分に誘導することができる候補物質であることを確認することができた。
【0076】
4.3 血球分析結果
自動血球計測機を使用して各接種群から収集した血液サンプルで血液内に存在する各種血液細胞の数値を測定した。
【0077】
その結果を
図6に示した。
【0078】
図6に示したように、継代3JW−PRRSV接種群(G−B)で白血球が多少増加したが、他の実験群では実験終了時まで白血球数値の変化が大きくないことを確認することができた(a)。また、血液内リンパ球の測定結果、ワクチン候補群の接種後にも4.3〜1
3,600cells/μlの正常リンパ球の数値を示した(b)。これは、本発明のワクチ
ン候補物質が個体内で炎症を誘発しない安全な物質であることを示す結果である。
【0079】
4.4 臨床分析結果
ワクチンの攻撃接種後の豚で現われる臨床症状を観察した。体温及び運動性は、実験期間中で一日2回にわたって同一な時間に測定し、運動性は、個体観察を通じて0点〜4点まで0.5点単位で点数を付与した(0点:運動性なし、1点:運動性弱い、2点:運動性普通、3点:運動性良好、4点運動性非常に良好)。飼料摂取量は、体重による制限給餌
を実施し、10分以内に全量摂取時に非常に良好(4点)で判断し、飼料を全量摂取する時間によって0点〜4点まで0.5点の間隔差で点数を付与した。
【0080】
その結果を表8及び
図7に示した。
【0081】
【表8】
【0082】
表8及び
図7に示したように、継代3JW−PRRSV接種群(G−B)は、全般的に運動性と飼料摂取量が多少弱いことで観察されたが、全般的に特異事項なしに飼料摂取及び運動性は良好であることで確認された。
【0083】
実施例5.JW−PRRSVワクチンの製造
5.1 継代方法及び保存
同定試験と免疫原性試験から確認された10
4.0TCID
50/ml以上のPRRS原腫毒ウイルス(120継代株)をMARC−145細胞に接種し、37℃で4〜5日間培養した後に採毒し、凍結乾燥するか−80℃で凍結保存した。腫毒は原腫毒と同一な方法で増殖
させた組職培養順化PRRSVを採毒した後、凍結乾燥するか−80℃で凍結保存し、腫毒では3代以上継代しなかった。ウイルス力価は、10
6.0TCID
50/ml以上になるように製造した。
【0084】
5.2 バルク生産及びウイルス含量試験
細胞増殖用培地にMARC−145またはPAM細胞を850cm
2の回転ボトルで培養
した後、3〜5日間隔で継代培養した。850cm
2の回転ボトル培養細胞の断層が形成さ
れた時、細胞増殖用培地を除去し、製造用ウイルスを細胞が充分に覆うほどの量で接種した後、37℃で1時間の間吸着させた。接種液を除去して細胞増殖用培地を添加し、37℃で4〜5日間回転培養した。遠心分離したウイルス培養液を10倍段階希釈してMARC−145またはPAM細胞が培養された96ウェルプレートに接種し、37℃で7日間培養しながら細胞変性効果(CPE)を観察した。ウイルスも培養後、CPEが80〜90%以上出現した時、無菌的に収穫して−80℃に凍結保管した。
【0085】
5.3 試験ワクチンの製造
*分離されたウイルスを抗原として保護剤を添加して試験ワクチンを製造した。滅菌リ
ン酸緩衝液を加え、凍結乾燥器を利用して試験用ワクチン3種(製造番号;60 PRRS
01、60 PRRS 02、60 PRRS 03)を製造した。製造された試験用ワクチンの含量は、表9、表10、表11の通りである。
【0086】
【表9】
【0087】
【表10】
【0088】
【表11】
【0089】
保護剤として既存に使用されるLPGG(ラクトース)よりTPGG(トレハロース)を使用することで、既存保護剤により生ワクチン製造時に発生できる汚染を最小化してワクチンの安全性を高めた。保護剤別のウイルス含量比較表は、表12に示した。
【0090】
【表12】
【0091】
5.4 試験ワクチンの安全性試験
前記実施例5.3で製造された試験ワクチンに対する安全性を試すために、特性、真空
度、水素イオン濃度、含湿度、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、迷入ウイルス試験、含量試験、力価試験を、製造当時、製造3ヶ月後、製造6ヶ月後にわたって実行した。
安全性試験に対する結果を表13に示した。
【0092】
【表13】
【0093】
表13に示したように、製造された試験ワクチンの60 PRRS 01、60 PRR
S 02、60 PRRS 03は、いずれも製造当時、製造3ヶ月後、製造6ヶ月後にも
全ての安全性実験項目において適合であることを確認することができた。したがって、本発明の新規した韓国型PRRSVであるJW−PRRSVを利用したワクチンは、安全性面においても適合なワクチンであることが分かる。
【0094】
実施例6.試験ワクチンの安全性確認
生ワクチンにおいて一番重要な安全を確認するために、実験動物であるマウス、モルモ
ットと目的動物である子豚に試験ワクチンを接種し、7日間または21日間の生存率を観察した。接種した試験ワクチンは、前記実施例5.3で製造された60 PRRS 01、
60 PRRS 02、60 PRRS 03を使用し、製造当時、製造3ヶ月後、製造6ヶ月後の試験ワクチンを実験動物及び目的動物に接種し、生存率を各々確認した。
【0095】
6.1 マウスにおいての試験ワクチンの安全性確認
体重15〜20gのマウス8匹を公試し、各々試験ワクチン0.5ml(製造当時、製造後3ヶ月、製造後6ヶ月)を腹腔接種し、7日間観察した。
その結果を表14に示した。
【0096】
【表14】
【0097】
表14に示したように、試験ワクチンをマウスに接種した際にすべての個体が生存したので、安全なワクチン候補群になることができることを確認した。
【0098】
6.2 モルモットにおいての試験ワクチンの安全性確認
体重300〜350gのモルモット4匹を公試し、2匹はモルモット筋肉または皮下に2頭分を、他の2匹は、腹腔に2頭分を接種(製造当時、製造後3ヶ月、製造後6ヶ月の
ワクチン)し、7日間観察した。
【0099】
その結果を表15に示した。
【0100】
【表15】
【0101】
表15に示したように、全ての試験ワクチン接種群で7日間何の異常なしに生存を確認し、製造された試験ワクチンがモルモットにおいても安全なワクチンであることを確認した。
【0102】
6.3 子豚においての試験ワクチンの安全性確認
目的動物である子豚に対して、試験ワクチン(製造当時、製造後3ヶ月、製造後6ヶ月
のワクチン)の安全性を確認した。体重8〜10kg(4〜6週齢)のPRRSV抗体陰性
である元気な豚18匹にワクチン10頭分を各々筋肉接種した後、21間観察した。
【0103】
その結果を表16に示した。
【0104】
【表16】
【0105】
*表16に示したように、接種後1〜2時間内に子豚で過敏反応が現われなかった。ま
た、21日間観察する間、注射部位の化膿、壊死、発熱及び下痢などの副作用がなしに全て生存することを確認した。したがって、本発明の試験ワクチンは、豚のPRRSVのワクチンとして適合な安全性を有していることが分かる。
【0106】
実施例7.試験ワクチンのSPF豚に対する安全性確認
前記実施例5で製造された試験ワクチンを高い濃度で目的動物に感染させた時、血液と組職内のウイルス感染程度を確認し、目的動物内で連続継代接種をした時のウイルスの病原性が元々の野生型またはその以上の病原性に復帰するかどうかを確認した。SPF状態の豚2匹に1次接種を始まり、弱毒化された120継代JW−PRRSV 2×10
6PFU/mlを筋肉と鼻腔に各々2ml接種し、1日目、3日目、7日目の血液、剖検後の肺
、扁桃、リンパにおいてのウイルス感染程度を確認した。接種個体の日齢と体重、ウイルス内訳と試験日程は、表17に示し、試験日程によるウイルス感染程度の確認結果は、表18に示した。
【0107】
【表17】
【0108】
【表18】
【0109】
表18に示したように、1次〜5次までの目的動物において、逆継代培養後の血液と組職内でウイルス力価を測定した結果、5次接種までの血液では、ウイルスが検出されなく、組職内で低いウイルス力価を示し、5継代の間ウイルスの増幅や転移及び臨床症状は現われなかった(*N.D;nondetection)。また、接種時から剖検時まで観察した結果、注射部位の化膿、壊死、発熱及び下痢などの副作用がなしに全て生存することを確認した。
【0110】
実施例8.ウイルス排出の確認
一般的に初めて生毒ワクチンを接種する場合には、ワクチンウイルスのウイルス排出(
shedding)を普通3〜5週まで観察することができる。ワクチンウイルスは、何
の異常症状を誘発しないので、生毒ワクチンウイルスのウイルス排出の副作用が問題になる。本発明のワクチン候補物質のウイルス排出時間を確認し、既存の常用ワクチンとの比較を実行した。実験群は、MLVワクチン(A)接種群、5継代JW−PRRSV接種群(
B)、120継代JW−PRRSV(C)接種群に分類し、ワクチン接種後に7日、12日
、15日、19日、22日、26日、29日、33日、36日、攻撃接種後に0日、7日、14日、21日、28日、35日、42日の日程で各グループ別に個体の鼻腔サンプルを採取し、ウイルス特異的なプライマーを使用してPCRを実行し、各実験群別にウイルス排出程度を確認した。プライマー配列は、表19に示した配列を利用した。PCRは、既存の方法と同一に進行し、1%アガロースゲルで確認した。
【0111】
【表19】
【0112】
その結果を
図8に示した。
【0113】
図8に示したように、MLVワクチン(G−A)を接種したグループでは、ワクチン接種後に12日までウイルスの排出が検出された。攻撃接種後には、28日までウイルスの排出が行われることを確認した。一方、120継代JW−PRRSV(G−C)接種群では、接種期間と野外ウイルス感染後の期間で全てウイルスの排出が確認されなかった。これは、既存に市販されるPRRSVに対するワクチンと比較して速いウイルス排出を示すことを意味する。長期間のウイルス排出は何回の複製過程を通すようになり、この過程で組換えを通じて再び毒性を回復して新しいウイルスが出現して更に病原性株に回帰可能性が高いので、本発明のワクチンは、速いウイルス排出により既存のPRRSVワクチンの問題点を改善することができることが期待される。