(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の選択列と第1の選択行との間に配置される第1のメモリセル、および前記第1の選択列とは異なる第2の選択列と前記第1の選択行とは異なる第2の選択行との間に配置される第2のメモリセルに並列にアクセスすることであって、並列にアクセスすることは、同時に、前記第1の選択列と前記第1の選択行との間に第1のアクセスバイアスをかけ、前記第2の選択列と前記第2の選択行との間に第2のアクセスバイアスをかけることを含み、
前記第1のメモリセルにアクセスする前に、前記第1の選択列と前記第1の選択行との間に第1の閾値バイアスをかけることによって、前記第1のメモリセルを閾値処理することと、
前記第2のメモリセルにアクセスする前に、前記第2の選択列と前記第2の選択行との間に第2の閾値バイアスをかけることによって、前記第2のメモリセルを閾値処理することと、
前記第2のメモリセルを閾値処理する前に、前記第1のメモリセルにわたるバイアスを保持電圧より低く低下させることおよび/または、前記第1のメモリセルを流れる電流を保持電流より低く低下させることによって、前記第1のメモリセルを保持状態から解放することと、をさらに含む、
ことを特徴とするクロスポイントアレイ内でメモリセルに並列にアクセスする方法。
並列にアクセスすることは、第1の閾値バイアスおよび第2の閾値バイアスよりも大きさが小さい前記第1のアクセスバイアスおよび前記第2のアクセスバイアスをかけることを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
並列にアクセスすることは、大きさが、前記第1の閾値バイアスおよび前記第2の閾値バイアスの約1/3よりも小さい前記第1のアクセスバイアス、ならびに前記第2のアクセスバイアスをかけることを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記第2のメモリセルを閾値処理する前に、前記第1のメモリセルにわたるバイアスを保持電圧より低く低下させることおよび/または、前記第1のメモリセルを流れる電流を保持電流より低く低下させることによって、前記第1のメモリセルを保持状態から解放すること、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
前記第1のメモリセルを前記保持状態から解放した後、前記第1のメモリセルにリフレッシュバイアスをかけることによって、前記第1のメモリセルをリフレッシュすること、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記第2のメモリセルを閾値処理する前に、前記第1のメモリセルにわたるバイアスを保持電圧以上に維持することおよび/または、前記第1のメモリセルを流れる電流を保持電流以上に維持することによって、前記第1のメモリセルを閾値処理後の状態に保持すること、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記第1のメモリセルを閾値処理することは、前記第1の選択列と複数の抑制行との間に、第1の抑制バイアスをかけることによって、複数の第1の抑制メモリセルを抑制することを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記第1のメモリセルを閾値処理することは、前記第1の選択行と複数の抑制列との間に第2の抑制バイアスをかけることによって、複数の第2の抑制メモリセルを抑制することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
前記第1のメモリセルを閾値処理することは、前記抑制列と前記抑制行との間に第3の抑制バイアスをかけることによって、複数の第3の抑制メモリセルを抑制することを含み、前記第3の抑制バイアスは、前記第1の抑制バイアスおよび前記第2の抑制バイアスとは異なる、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
並列にアクセスすることは、前記第1のメモリセルおよび前記第2のメモリセルを同時にSETアクセスすること、前記第1のメモリセルおよび前記第2のメモリセルを同時にRESETアクセスすること、ならびに前記第1のメモリセルおよび前記第2のメモリセルを同時にREADアクセスすることのうちの1つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記第1のアクセスバイアスは、閾値処理後SETアクセスバイアス、閾値処理後RESETアクセスバイアス、および閾値処理後READアクセスバイアスのうちの1つを含み、前記第2のアクセスバイアスは、閾値処理後SETアクセスバイアス、閾値処理後RESETアクセスバイアス、および閾値処理後READアクセスバイアスのうちの異なる1つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記メモリ制御部は、前記第1の選択列と複数の抑制行との間に第1の抑制バイアスをかけることによって、複数の第1の抑制メモリセルを抑制するようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項22又は23に記載のメモリ装置。
前記メモリ制御部は、前記第1の選択行と複数の抑制列との間に第2の抑制バイアスをかけることによって、複数の第2の抑制メモリセルを抑制するようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項24に記載のメモリ装置。
前記メモリ制御部は、前記抑制列と前記抑制行との間に第3の抑制バイアスをかけることによって、複数の第3の抑制メモリセルを抑制するようにさらに構成され、前記第3の抑制バイアスは、前記第1の抑制バイアスおよび前記第2の抑制バイアスとは異なる、
ことを特徴とする請求項26に記載のメモリ装置。
順次に閾値処理することは、前記第1の選択行と複数の抑制列との間に第2の抑制バイアスをかけることによって、複数の第2の抑制メモリセルを抑制することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
順次に閾値処理することは、前記抑制列と前記抑制行との間に第3の抑制バイアスをかけることによって、複数の第3の抑制メモリセルを抑制することをさらに含み、前記第3の抑制バイアスは、前記第1の抑制バイアスおよび前記第2の抑制バイアスとは異なる、
ことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0004】
動作時の抵抗を変化させる材料を組み込む装置は、例えば、コンピュータ、デジタルカメラ、携帯電話、携帯情報端末等のための広範囲の電子デバイスに見られるかもしれない。そのような材料を組み込む装置は、例えば、メモリ装置であり得る。カルコゲナイド材料は、例えば、隣接する加熱器、または材料自体のジュール加熱のどちらか一方からの加熱によって、抵抗を変化させることができる。カルコゲナイド材料を組み込むいくつかのメモリ装置は、カルコゲナイド材料の安定した相変化に由来する抵抗変化に基づいて情報を記憶する、相変化メモリ装置であり得る。相変化メモリ装置は、フラッシュメモリ装置やダイナミックランダムアクセスメモリ装置(DRAM)等の他のメモリ装置に勝る、いくつかの性能面での利点を提供することができる。例えば、いくつかの相変化メモリ装置は、不揮発性であり得る。すなわち、メモリ装置の物理的および電気的状態は、外部電力が供給されなくても、保持時間(例えば、1年より長い)を通して実質的に変化しない。また、いくつかの相変化メモリ装置は、高速読み書きアクセス時間(例えば、10ナノ秒よりも高速)および/または、高い読み書きアクセス帯域幅(例えば、毎秒100メガビットを超える)を提供することができる。また、いくつかの相変化メモリ装置は、非常に高密度なメモリアレイ、例えば、局所的メタライザーションで接続される最小のメモリアレイユニット中に100万を超えるセルを有するクロスポイントアレイに配置され得る。また、カルコゲナイド材料は、メモリアレイ内で用いることもできるオボニック閾値スイッチ(OTS)装置内、特に、相変化記憶素子と直列なセレクタ素子として相変化メモリセル内で使用することも可能である。
【0005】
特定の種類のメモリアクセス動作(例えば、書き込み、消去、読み出し)に関する相変化メモリ装置の性能は、多くの要因に依存する。閾値が切り換えられた相変化メモリセル(下記でより詳細に説明)において、全種類のアクセス帯域幅(例えば、書き込みアクセス帯域幅、消去アクセス帯域幅、または読み出し帯域幅)に影響を与える一要因は、相変化メモリ装置を閾値処理するのにかかる時間であり得る。閾値が切り換えられた相変化メモリセルで様々なアクセス動作を行うために、メモリセルはまず、閾値処理される。すなわち、セルは、書き込み、消去、または読み出しを含む様々なアクセス動作を可能にするのに十分な電流がメモリセルを流れるようにする低インピーダンス状態に置かれる。閾値処理イベント自体は、全体のアクセス時間と比較して、相対的に短くてもよい。次に、相変化メモリセルを閾値処理するのにかかる時間は、カルコゲナイド材料の組成、セルに印加される電圧、およびメモリセル構造のような多くの要因に依存しうる。
【0006】
メモリ内部で多数の(multiple)メモリセルまたはビットにアクセスすることは、メモリセルを閾値処理するのにかかる時間を決定する要因に依存しないアクセス帯域幅を増加させることができる。一般に、閾値処理イベントの性質、および閾値が切り換わる相変化メモリセルのクロスポイントアレイで使用されるバイアス方式の性質のため、アクセス動作は一度に一セルずつ行われる。例えば、アレイ設計内部で利用できる電流量によって、多数のセルへの並列アクセスが実行不可能になり得る。従って、クロスポイントメモリアレイ内で複数のメモリセルに並列にアクセスする方法が必要になる。本明細書で教示する方法は、閾値が切り替わる相変化メモリセルのクロスポイントアレイ内部で多数のセルを同時に選択することにより、書き込み、消去、読み出し動作を並列に実行することができ、アクセス帯域幅が増加する。
【0007】
実施形態を、クロスポイントメモリアレイに関して、本明細書に記載するが、本明細書に記載されるように多数の装置に同時にアクセスすることは、メモリアレイコンテキスト、例えば、スウィッチやアンチヒューズ等の外にも応用することができる。同様に、実施形態を、OTSを組み込むメモリセルおよび/またはカルコゲナイド材料を組み込むメモリ記憶素子に関して記載するが、本明細書で教示する技術および構造の原理ならびに利点は、閾値処理行動を示す他の材料に有用であってもよい。
【0008】
図1は、一実施形態によるクロスポイントメモリアレイ内のメモリセル10を示す。
図1のメモリセル10は、y方向に延びる列線20とx方向に延びる行線22との間のスタック構成に配置される相変化メモリセルである。セルは、列線20と電気通信する第1の電極32、第1の電極32の下で電気通信するセレクタノード34、セレクタノード34の下で電気通信する中間電極36、中間電極36の下で電気通信するストレージノード38、およびストレージノード38と行線22との間で電気通信する第2の電極40を含む。スタック構成の他の実施形態も可能である。例えば、スタック構成内部でのストレージノード38およびセレクタノード34の位置は、互いに入れ替えられてもよい。他の例では、第1の電極、第2の電極、および中間電極のいずれか1つが、互いに入れ替えられてもよい。さらに他の例では、第1の電極32、中間電極36、第2の電極40、およびセレクタノード38のいずれか1つが省略されてもよい。また、「行」と「列」の名称は入れ替え可能であり、行および列は、一般に、垂直だが、90°以外で交差してもよい。
【0009】
一実施形態において、ストレージノード38およびセレクタノード34のうちの1つまたは両方が、カルコゲナイド材料を含むことができる。ストレージノード38およびセレクタノード34の両方がカルコゲナイド材料を含む時、ストレージノード38は、常温で不揮発性である相変化を受け得るカルコゲナイド材料を含むことができる。他方で、セレクタノード34は、同様の安定した相変化を受けないカルコゲナイド材料を含むことができる。
【0010】
一実施形態において、ストレージノード38は、カルコゲナイド合金系の中でも、インジウム(In)−アンチモン(Sb)−テルル(Te)(IST)合金系内の元素のうちの少なくとも2つを含む合金、例えば、In
2Sb
2Te
5、In
1Sb
2Te
4、In
1Sb
4Te
7等や、ゲルマニウム(Ge)−アンチモン(Sb)−テルル(Te)(GST)合金系内の元素のうちの少なくとも2つを含む合金、例えば、Ge
8Sb
5Te
8、Ge
2Sb
2Te
5、Ge
1Sb
2Te
4、Ge
1Sb
4Te
7、Ge
4Sb
4Te
7等のようなカルコゲナイド組成を含む相変化材料を含む。本明細書で使用するようなハイフンでつないだ化学組成表記は、特定の混合物または化合物に含まれる元素を示し、示された元素を含むすべての化学量論組成を表すことを意図する。相変化ストレージノードに用いることができる他のカルコゲナイド合金系は、例えば、Ge−Te、In−Se、Sb−Te、Ga−Sb、In−Sb、As−Te、Al−Te、In−Ge−Te、Ge−Sb−Te、Te−Ge−As、In−Sb−Te、Te−Sn−Se、Ge−Se−Ga、Bi−Se−Sb、Ga−Se−Te、Sn−Sb−Te、In−Sb−Ge、Te−Ge−Sb−S、Te−Ge−Sn−O、Te−Ge−Sn−Au、Pd−Te−Ge−Sn、In−Se−Ti−Co、Ge−Sb−Te−Pd、Ge−Sb−Te−Co、Sb−Te−Bi−Se、Ag−In−Sb−Te、Ge−Sb−Se−Te、Ge−Sn−Sb−Te、Ge−Te−Sn−Ni、Ge−Te−Sn−Pd、およびGe−Te−Sn−Ptを含む。
【0011】
メモリセル10に含まれる時、セレクタノード34は、一方の側面が中間電極36経由でストレージノード38に電気的に結合され、他方の側面が第1の電極32経由で列線20に電気的に接続される2端子セレクタであってもよい。一実施形態において、カルコゲナイド材料を含むセレクタノード34は、オボニック閾値スイッチ(OTS)ということができる。OTSは、ストレージノードのために前述したカルコゲナイド合金系のうちのいずれか1つを含むカルコゲナイド組成を含んでもよい。また、セレクタノードはさらに、ヒ素(As)等の、結晶化を抑制する元素を含んでもよい。添加されると、As等の元素は、何らかの非一時的な核生成および/または合金の成長を阻害することによって、結晶化を抑制する。従って、セレクタノード34は、閾値電圧を超える電位がセレクタノード34にわたって加えられると、導通状態へ切り替わるように構成されてもよい。また、十分な保持電流がセレクタノードにわたって維持される間、その導通状態が維持されることが可能である。OTS材料の例としては、中でも、Te−As−Ge−Si、Ge−Te−Pb、Ge−Se−Te、Al−As−Te、Se−As−Ge−Si、Se−As−Ge−C、Se−Te−Ge−Si、Ge−Sb−Te−Se、Ge−Bi−Te−Se、Ge−As−Sb−Se、Ge−As−Bi−Te、およびGe−As−Bi−Seを含む。
【0012】
図2は、一実施形態による、y方向に延びるN個の列20およびx方向に延びるM個の行22の交点でN×M個のメモリセルを含む、クロスポイントメモリアレイ50を示す。第1列から第N列20−1、20−2、・・・、20−Nを含むN個の列20は、例えば、ディジット線またはビット線のようなアクセス線であり得る。また、第1行から第M行22−1、22−2、・・・、22−Mを含むM個の行22は、例えば、列22と交差するワード線のようなアクセス線であり得る。メモリセルは、列20および行22によって形成される交点の少なくともサブセットに配置される相変化メモリセルであり得る。
【0013】
一実施形態において、列20および行22のいずれか1つずつによって形成される交点に配置されるメモリセルのいずれか1つは、RESET状態としても知られる、相対的に高い抵抗状態(HRS)であってもよい抵抗状態を有してもよく、HRSは、実質的なアモルファス領域を含む相変化材料に対応し得る。同様に、メモリセルのいずれか1つは、SET状態としても知られる、相対的に低い抵抗状態(LRS)であってもよい抵抗状態を有してもよく、LRSは、実質的に結晶質である相変化材料に対応し得る。HRSおよびLRSは、例えば、2から100万の間の抵抗比を有することが可能である。この実装において、低抵抗状態および高抵抗状態は、セル当たり1ビットのメモリシステムにおける「1」状態および「0」状態に対応してもよい。ただし、「1」および「0」という状態は、高抵抗状態および低抵抗状態に関連する時、交換可能なものとして用いて反対のことを意味してもよい。
【0014】
他の実施形態において、列および行のいずれか1つずつによって形成される交点に配置されるメモリセルのうちのいずれか1つは、中間抵抗状態であってもよい抵抗状態を有してもよい。例えば、メモリセルのうちのいずれか1つは、第1の抵抗状態、第2の抵抗状態、第3の抵抗状態、および第4の抵抗状態のうちのいずれか1つである抵抗状態を有してもよい。第1の抵抗状態は、第2の抵抗状態よりも高抵抗であり、第2の抵抗状態は、第3の抵抗状態よりも高抵抗であり、第3の抵抗状態は、第4の抵抗状態よりも高抵抗である。この実装において、第1の抵抗状態、第2の抵抗状態、第3の抵抗状態、および第4の抵抗状態は、セル当たり2ビットのメモリシステムにおける「00」、「01」、「10」、および「00」の状態に対応してもよい。さらに他の、第1から第8の抵抗状態が、セル当たり3ビットのメモリシステムにおける状態を表す実施形態や、第1から第16の抵抗状態が、セル当たり4ビットのメモリシステムにおける状態を表す実施形態も可能である。
【0015】
一実施形態において、列20のうちのいずれか1つと行22のうちのいずれか1つによって形成される交点に配置されるメモリセルの各々は、アクセス動作によってアクセスされてもよい。本明細書で用いられるように、アクセス動作は、書き込みアクセス動作、消去アクセス動作、または読み出しアクセス動作のことを意味してもよい。書き込みアクセス動作は、相変化メモリに関して、プログラム動作またはRESET動作ともいうことができるが、メモリセルの抵抗状態を、相対的に低い抵抗状態から相対的に高い抵抗状態へ変化させる。同様に、消去動作は、相変化メモリに関して、SET動作ともいうことができるが、メモリセルの抵抗状態を、相対的に高い抵抗状態から相対的に低い抵抗状態へ変化させる。ただし、「書き込み」および「消去」という語は、RESET動作やSET動作に関連する時、交換可能なものとして用いて反対のことを意味してもよい。例えば、消去動作をRESET動作といってもよいし、プログラム動作または書き込み動作をSET動作といってもよい。
【0016】
図2に示す実施形態において、列および行のいずれか1つずつによって形成される交点に配置されるメモリセルの各々は、ビットアドレス指定可能なアクセスモードで個々にバイアスをかけてもよい。本明細書で用いられるように、メモリセルにかけられるバイアスは、メモリセルにわたって加えられる電圧差を意味する。ビットアドレス指定可能なバイアスモードで、アクセスされるメモリセルを、第n列20−nおよび第m行22−mによって形成される交点に位置するターゲットセル52といってもよい。アクセスバイアスは、電圧制御バイアスV
ACCESSであってもよく、電圧制御バイアスV
ACCESSは、SETアクセスバイアスV
SET、RESETアクセスバイアスV
RESET、または読み出しアクセスバイアスV
READであってもよく、第n列20−nおよび第m行22−mにわたってアクセス電圧を加えることによって、これらのバイアスが、この例のターゲットセルにわたってかけられてもよい。他の例では、アクセスバイアスは、電流制御バイアスI
ACCESSであってもよく、電流制御バイアスI
ACCESSは、SETアクセス電流I
SET、RESETアクセス電流I
RESET、または読み出しアクセス電流I
READであってもよい。
【0017】
一実施形態において、残りのセルへのアクセスを抑制しながら(すなわち、妨げながら)、ターゲットセル52にアクセスすることができる。これは、例えば、ターゲットセル52にわたってV
ACCESSのバイアスをかけ、残りのセルにわたってV
ACCESSより実質的に低いバイアスをかけることによって実現できる。例えば、V
ROW SELを選択行(この例では、22−m)にかけながら、V
COL SELを選択列(この例では、20−n)にかけることができる。同時に、バイアスV
COL INHIBITを残りのすべての列にわたってかけ、バイアスV
ROW INHIBITを残りのすべての行にかける。この構成において、V
COL SELとV
ROW SELとの間のバイアスがV
ACCESSを超える時、ターゲットセル52にアクセルすることができる。また、約(V
COL SEL−V
ROW INHIBIT)の大きさのバイアスが、選択列20−nに沿った抑制セル54にわたって降下する。以下、
図2に○で表される、選択列および選択行に沿ったターゲットセル52を、「T」セルということがある。以下、
図2に□で表される、選択列に沿った抑制セル54を、「A」セルということがある。また、約(V
ROW SEL−V
COL INHIBIT)の大きさのバイアスが、選択行22−mに沿った抑制セル56にわたって降下する。以下、
図2に△で表される、選択行に沿った抑制セル56を、「B」セルということがある。また、約(V
COL INHIBIT−V
ROW INHIBIT)の大きさのバイアスが、抑制行および抑制列にわたる残りのすべての抑制セル58にわたって低下する。以下、
図2に×で表される、抑制列および抑制行にわたる抑制セル58を、「C」セルということがある。
【0018】
いくつかの実施形態において、カルコゲナイド材料を含むメモリセルに対するアクセス動作は、閾値処理イベントを含む多数のイベントを含むものとして記載することができる。バイアスが、ある期間、メモリセルにわたってかけられると、カルコゲナイド材料を含むメモリセルは、
図3に関連して下記により詳細に論じるが、メモリセルを流れる電流量の急速な増加を特徴とする閾値処理イベント、およびメモリセルにわたるバイアスの急速な減少を特徴とする「スナップバック(snap back)」イベントを受けることができる。閾値処理イベントは、ストレージノード、セレクタノード、またはその両方で発生することができる。閾値処理されると、メモリセルは、相対的に多量の(例えば、0.1μAを超える)電流を伝える。
【0019】
カルコゲナイド材料を含むメモリセルに対するアクセス動作は、さらに、相変化イベントを含むことができる。SETアクセスに関して、相変化イベントは、アモルファスから結晶質への転移を誘導するのに十分なSET電流I
SETが、閾値処理されたメモリセル(または、隣接する加熱器)を流れた結果として、ストレージノードに発生し得る、アモルファスから結晶質への転移であり得る。結果として生じるカルコゲナイド材料の抵抗の変化は、HRSからLRSへの変化であり得る。
【0020】
他方、RESETアクセスに関して、相変化イベントは、結晶質からアモルファスへの転移を誘導するのに十分なRESET電流I
RESETが、閾値処理されたメモリセル(または、隣接する加熱器)を流れた結果として、ストレージノードに発生し得る、結晶質からアモルファスへの転移であり得る。結果として生じるカルコゲナイド材料の抵抗の変化は、LRSからHRSへの変化であり得る。
【0021】
いくつかの状況下で、閾値処理されたメモリセルを流れる電流、または電流フローの持続時間は、SETまたはHRSのいずれかを誘導するのには不十分である。いくつかの実施形態において、READ(読み出し)アクセスを、これらの状況下で行うことができる。
【0022】
図3は、一実施形態による、アクセス動作を受けるカルコゲナイド材料を組み込むメモリセルの電流−電圧(I−V)曲線を示すグラフ60を概略的に示す。グラフ60は、RESETアクセス動作を受ける相変化メモリセルのHRS I−V曲線70、およびSETアクセス動作を受ける相変化メモリセルのLRS I−V曲線90を示す。HRS I−V曲線70およびLRS I−V曲線90におけるメモリセルにわたる電圧降下は、それぞれ、HRS状態のストレージノードとセレクタノードとにわたる電圧降下、およびLRS状態のストレージノードとセレクタノードとにわたる電圧降下を組み合わせたものを表すことができる。グラフ60で、x軸は、第1の電極と第2の電極との間に配置される相変化メモリセルにわたってかけられるバイアスを表し、y軸は、相変化メモリセルにわたって対数スケールで測定される電流を表す。
【0023】
HRS I−V曲線70を参照して、約0ボルトとHRS状態閾値電圧V
TH RESETとの間の低電圧バイアス状態で、HRSでのメモリセルのHRS I−V曲線70の一部は、相対的に緩変化の電流対電圧が特徴のHRSサブ閾値領域72を含む。HRSサブ閾値領域72の後には、HRS閾値「鼻(nose)」領域74が続く。「鼻」のピークで、HRS I−V曲線70は、HRS I−V曲線の傾斜が急速に反転する。HRS閾値領域74の後には、メモリセルにわたるバイアスの急速な減少が特徴のHRSスナップバック領域76が続き、HRS I−V曲線70の傾斜は、負の値を有する(すなわち、微分抵抗は負である)。HRSスナップバック領域76の後には、電圧が約V
HのHRS保持領域78が続く。HRS保持領域78の後には、電圧が約V
C RESETのHRSセルアクセス領域80が続く。HRS保持領域78とHRSセルアクセス領域80との間で、HRS I−V曲線70は、非常に急な正の傾斜を有し、1ボルトの何分の1にわたって、何十もの電流の変化を超えることができる。
【0024】
LRS I−V曲線90を参照して、約0ボルトとLRS状態閾値電圧V
TH SETとの間の低電圧バイアス状態で、LRSでのメモリセルのLRS I−V曲線90の一部は、相対的に緩変化の電流対電圧が特徴のLRSサブ閾値領域92を含む。LRSサブ閾値領域92の後には、LRS閾値「鼻」領域94が続く。「鼻」のピークで、LRS I−V曲線90は、LRS I−V曲線の傾斜が急速に反転する。LRS閾値領域94の後には、メモリセルにわたるバイアスの急速な減少が特徴のLRSスナップバック領域96が続き、LRS I−V曲線90の傾斜は、負の値を有する(すなわち、微分抵抗は負である)。LRSスナップバック領域96の後には、電圧が約V
HのLRS保持領域98が続く。LRS保持領域98の後には、電圧が約V
C SETのLRSセルアクセス領域100が続く。LRS保持領域98とLRSセルアクセス領域100との間で、LRS I−V曲線90は、非常に急な正の傾斜を有し、1ボルトの何分の1にわたって、何十もの電流の変化を超えることができる。
【0025】
図3で、HRS保持領域78およびLRS保持領域98は、保持電圧V
Hと保持電流I
Hが特徴のHRS I−V曲線70とLRS I−V曲線90の領域である。いくつかの実施形態において、相変化メモリセルは、相変化メモリセルを流れる電流が実質的にI
Hを下回らない限り、スナップバック後高導通状態(例えば、I
Hが約100nA以上)のままである。また、いくつかの実施形態において、HRSセルアクセス領域80およびLRSセルアクセス領域100は、実質的に同様のI−V特性を有して、各々が同様の急な正の傾斜を有してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、相変化メモリセルが、閾値電圧V
THを閾値処理することによって「獲得」され、次に、電圧および/または電流をV
Hおよび/またはI
Hを下回らせることによって「解放」されると、相変化メモリセルは非導通状態に戻る。しかし、相変化メモリセルのV
Hは、直ちには初期値へ戻らない。その代わり、V
Hは、時間をかけて、例えば、対数的に時間をかけて、初期値に戻る。相変化メモリのこの態様は、
図6から
図8に関連して後に論じるように、その後、「獲得および解放」することによって多数のセルに並列にアクセスする上で、利点を提供することができる。
【0027】
また、
図3において、一実施形態により、HRS I−V曲線70のHRSセルアクセス領域80は、相変化メモリセルを流れる電流が、相変化メモリセルのストレージノードでのアモルファスから結晶質へのSET転移を誘導するのに十分である状態を表すことができる。他方で、LRS I−V曲線90のLRSセルアクセス領域100は、相変化メモリセルを流れる電流が、相変化メモリセルのストレージノードで結晶質からアモルファスへのRESET転移を誘導するのに十分である状態を表すことができる。
図3には示さないが、相変化メモリセルを流れる電流量に加えて、SET転移およびRESET転移が特徴的な転移率で実行されて、所望のHRS状態またはLRS状態を実現してもよい。例えば、HRS状態を実現するために、高電流から低電流への相対的に急な転移が使用されてもよいし、一方、LRS状態を実現するために、高電流から低電流への相対的に緩慢な転移が実現されてもよい。ただし、表現を明瞭にするため、転移率は後の記載には例示していない。また、V
HとV
C SETとの間、およびI
HとI
Cとの間のLRS I−V曲線90の部分は、相変化メモリセルを流れる電流が、相変化メモリセルのストレージノードで、読み出し信号を検出するのに十分であるが、RESET転移を誘導するのには不十分である状態を表すことができる。
【0028】
メモリセルのSETアクセス動作、RESETアクセス動作、READアクセス動作の各々において、y軸が対数スケールなので、セルが閾値処理されて、少なくともI
Hを超える電流がセルを流れると、閾値処理されたセルを流れる電流と閾値処理をされていないセルを流れる電流の比率は、数桁(例えば、3桁以上)を超えることができ、下記で使用される技術はこの状態を利用することができる。この高い電流比は、次のアクセス動作においてより低い全体電流を提供することができ、
図6から
図8に関連して後に論じるように、「獲得および保持」によって、その後の多数のセルへの並列アクセスに利用されることができる。
【0029】
図4は、一実施形態による、メモリセルがアクセスされる時のクロスポイントアレイの列と行の電圧対時間曲線を概略的に示すグラフ110を示す。図に示した実施形態は、閾値処理イベントおよびアモルファスから結晶質への転移イベントを含むSETアクセスを表す。ただし、本明細書での開示を考慮して、記載の概念が、一般に、READアクセス動作はもちろん、RESETアクセス動作へも適用可能であることが理解されるであろう。y軸は列または行の電圧を表し、x軸は時間を表す。
【0030】
図4において、クロスポイントメモリアレイの様々なセル構成が、クロスポイントアレイ112に示される。明瞭にするため、3行および3列のみがクロスポイントアレイ112に示されており、ターゲットTセルが円形で表され、Aセル(すなわち、選択列に沿った抑制セル)が正方形で表され、Bセル(すなわち、選択行に沿った抑制セル)が三角形で表され、Cセル(すなわち、抑制行と抑制列との間の残りのすべての抑制セル)が×で表される。
【0031】
図4に示した実施形態において、すべての列は、初めは(選択前は)、列抑制電圧レベル(V
COL INH)130までプリチャージされ、すべての行は、メモリセルを閾値処理する前に、行抑制電圧レベル(V
ROW INH)120までプリチャージされる。この状態で、すべてのセルが、大きさが(V
COL INH−V
ROW INH)であり得る、Cセルバイアス138よって表される予め選択されたバイアスを有す。いくつかの実施形態において、列抑制電圧レベル(V
COL INH)130および行抑制電圧レベル(V
ROW INH)120はほぼ同一であることができ、(V
COL INH−V
ROW INH)の大きさは実質的に0であることが理解されるであろう。
【0032】
次に、時間t=t
0で、選択列および選択行の電圧レベルはそれぞれ、選択列電圧−時間(V−T)曲線122および選択行電圧−時間(V−T)曲線132によって表されるように、電圧レベルV
COL SELおよびV
ROW SELまで大きさが増加する。選択行および選択列がそれぞれ、閾値電圧レベルV
COL THおよびV
ROW THに到達すると、ターゲットセル(T)にわたるバイアスを、大きさが(V
COL TH−V
ROW TH)であり得る、閾値Tセルバイアス146によって表すことができる。また、A、B、およびCセルにわたるバイアスをそれぞれ、絶対値が(V
COL TH−V
ROW INH)の大きさであり得る閾値処理前Aセルバイアス142、絶対値が(V
ROW TH−V
COL INH)の大きさであり得る閾値処理前Bセルバイアス134、および絶対値が(V
COL INH−V
ROW INH)の大きさであり得る閾値処理前Cセルバイアス138によって表すことができる。
【0033】
Tセルが、ある持続時間、閾値Tセルバイアス146をかけられている時、Tセルは、Tセルにわたるバイアスの突然の降下によって示されるt=t
THで、閾値処理イベントを受け、それによって、選択行V−T曲線132の電圧の大きさを急速に増加させることができ、V
ROW INHを上回ることができる。また、t=t
THでの閾値処理イベントは、選択列V−T曲線122の電圧の大きさを急速に減少させることもできる。図示するように、選択行V−T曲線132の電圧増加の大きさは、選択列V−T曲線122の電圧減少の大きさよりも大きいことが可能である。他の実施形態において、選択行の電圧増加の大きさは、選択列の電圧減少の大きさよりも小さいことが可能である。
【0034】
上で論じたように、閾値処理イベントがt=t
THで発生すると、メモリセルを流れる電流フローは急速に増加して、アモルファスから結晶質への転移に十分な電流を供給することができる。いくつかの実施形態において、t=t
DESELECTとt=t
THとの間の期間は、アモルファスから結晶質へ転移するメモリセルの閾値処理イベントに続くアモルファスから結晶質への転移イベントに対応する持続時間を表すことができる。アモルファスから結晶質への転移イベントの間、Tセルにわたるバイアスは閾値処理後Tセルバイアス156まで減少する。また、アモルファスから結晶質への転移イベントの間、A、B、およびCセルにわたるバイアスをそれぞれ、閾値処理後Aセルバイアス152、閾値処理後Bセルバイアス144、および閾値処理後Cセルバイアス148(138から変化なし)によって表すことができる。図示される実施形態において、閾値処理後Tセルバイアス156は、閾値処理後Aセルバイアス152、閾値処理後Bセルバイアス144、および閾値処理後Cセルバイアス148よりも実質的に低いことが可能である。
【0035】
いくつかの実施形態において、t=t
DESELECTは、アモルファスから結晶質への転移の完了を表すことができ、その時点で、すべての列はV
COL INHまで戻り、すべての行はV
ROW INHまで戻る。この時点で、ターゲットセルTを含めたすべてのセルにわたるバイアスは、Cセルバイアス138まで戻る。
【0036】
メモリアレイは多数のメモリセルを有するので、メモリアレイは、SET閾値電圧V
TH SETおよびRESET閾値電圧V
TH RESETの分布を有することが可能である。
図5は、閾値電圧分布プロット180を概略的に表したものである。閾値分布プロット180のx軸は、メモリアレイ内のメモリセルの閾値電圧を表し、閾値分布180のy軸は、閾値電圧を有するセル数を表す。
【0037】
閾値分布プロット180は、RESET状態のクロスポイントメモリアレイ内のメモリセルのV
TH RESETの分布を表す、RESET V
TH分布曲線188を含む。RESET V
TH分布曲線188は、RESET V
TH範囲190を有し、RESET V
TH範囲190は、RESET分布内のメモリセルの+/−nσ(σはRESET V
TH分布の標準偏差である)によって定義される範囲であり得る。メモリアレイの誤り耐性によって、nは、例えば、3と5の間の値、例えば、4となり得る。また、閾値分布プロット180は、SET状態のメモリアレイ内のメモリセルのV
TH SETの分布を表す、SET V
TH分布曲線184をも含む。SET V
TH184分布曲線は、SET V
TH範囲186を有し、SET V
TH範囲186は、SET分布内のメモリセルの+/−nσ(σはSET V
THの標準偏差である)によって定義される範囲であり得る。クロスポイントメモリアレイの誤り耐性によって、nは、例えば、3と5の間の値、例えば、4となり得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、SET V
TH範囲186およびRESET V
TH範囲190は、遅れずに、例えば、各分布にプログラミングされた直後に、V
TH範囲のスナップショットを表すことができる。SET状態とRESET状態の両方のセルのV
THは、経時変化することができる。なぜなら、いくつかの状況では、RESETまたはSET後、メモリセルのV
THは、値が増加することができるか、または、時間をかけて「ドリフトする(drift)」ことができるからである。他の状況では、セルのV
THは、時間をかけて減少することもできる。V
THのそのような経時変化を説明するために、いくつかの実施形態において、指定V
TH範囲198が、SET V
TH分布曲線184内のセルが有し得るV
TH最低値(SETの下限、またはV
TH,LLS)、およびRESET V
TH分布曲線190内のセルが有し得るV
TH最高値(RESET V
THの上限、またはV
TH,ULR)によって定義されることができる。いくつかの実施形態において、V
TH,LLSおよびV
TH,ULRによって区切られるV
TH値範囲は、SET V
TH範囲186内のSET V
TH最低値、およびRESET V
TH範囲190内のRESET V
TH最高値よりも広いことが可能である。
【0039】
アクセス動作中、所定の瞬間に、メモリセルは指定範囲198内のV
TH値のうちの1つをとることができる。いくつかの実施形態において、Aセル、Bセル、およびCセルを含む抑制セルは、最高値がV
TH,LLSを超えない、抑制バイアス範囲194によって表される抑制バイアスを受けるように構成することができる。このように、抑制セルは、意図せずには切り替えられない。
【0040】
図3に関連して上で論じたように、SET V
THまたはRESET V
THを超えるバイアスをかけることによって、メモリセルが「獲得」された後、ターゲットセルにわたるバイアスは「保持」電圧値V
Hまで減少し、その電圧で、約I
Hの電流値がメモリセルを流れる。メモリセルにわたるバイアスおよび/またはメモリセルを流れる電流を約V
Hおよび/またはI
Hを下回らせることによって、ターゲットセルを「解放」すると、メモリセルのV
THは、メモリセルが「スナップバック」前の特徴的な期間にとっていたV
TH値を「回復」する。すなわち、恒久的な相転移が、V
THの回復中は発生しない。いくつかの実施形態において、V
THは、対数的に時間をかけて回復することができる。例えば、メモリセルは、約10ナノ秒から約50ナノ秒の間、継続可能な回復期間内に、そのスナップバック前のV
THの50%を回復してもよい。回復期間中、メモリセルのV
THは、スナップバック前のV
TH値とV
Hとの間の値をとることができる。本明細書で「獲得解放方法」ということもある一実施形態において、「解放された」メモリセルの一時的に低下したV
THを、メモリセルに並列にアクセス(SET、RESET、またはREAD)するのに利用することができる。本明細書で「獲得保持方法」ということもある他の実施形態において、「保持」メモリセルの一時的に低下した閾値処理後ターゲットセルバイアスを、メモリセルに並列にアクセス(SET、RESET、またはREAD)するのに利用することができる。
図5を参照して、これらの実施形態において、アクセスバイアスがV
TH、LLSより低い時、抑制メモリセルを意図せず閾値処理することなく、閾値処理されたメモリセルに並列にアクセスすることが可能である。以下では、
図6から
図8を参照して、クロスポイントアレイ内のメモリセルにアクセスする実施形態を開示する。
【0041】
図6は、一態様による、クロスポイントメモリアレイ内のメモリセルに並列にアクセスする方法を示すブロック
図200である。方法は、第1の選択列と第1の選択行との間に第1の閾値バイアスをかけることによって、第1の選択列と第1の選択行との間に配置される第1のターゲットメモリセルを閾値処理すること210を含む。例えば、第1のバイアスは、第1のターゲットメモリセルの閾値ターゲットセルバイアスであり得る。方法はさらに、第1の選択列とは異なる第2の選択列と第1の選択行とは異なる第2の選択行との間に第2の閾値バイアスをかけることによって、第2の選択列と第2の選択行との間に配置される第2のターゲットメモリセルを閾値処理すること220を含む。例えば、第2のバイアスは、第2のターゲットメモリセルの閾値ターゲットセルバイアスであることが可能であり、第1のターゲットメモリセルの閾値ターゲットセルバイアスとほぼ同様であることが可能である。方法はさらに、第1の選択列と第1の選択行との間に第1のアクセスバイアスをかけ、第2の選択列と第2の選択行との間に第2のアクセスバイアスをかけることによって、第1および第2のターゲットメモリセルに並列にアクセルすること230を含む。例えば、第1および第2のアクセスバイアスは、閾値処理後SETアクセスバイアス、閾値処理後RESETアクセスバイアス、または閾値処理後READアクセスバイアスであり得る。ターゲットセルが閾値処理された状態(「保持」状態ともいう。
図8Aから
図8Eに関連して下で論じる「獲得保持」方法参照)である間、または保持状態から第1および第2のターゲットメモリセルを解放した後の減少V
th状態下、例えば、
図3に関連して記載するように、閾値処理後もしくはリフレッシュ動作後の回復期間(
図7Aから
図7Eに関連して下で論じる「獲得解放」方法参照)内に、閾値処理後アクセスバイアスを、第1および第2のターゲットメモリセルにかけることができる。よって、閾値処理後アクセスバイアスの大きさは、第1および第2の閾値バイアスよりも実質的に小さい。
【0042】
他の態様において、メモリアレイを含むメモリ装置またはシステムは、一実施形態によるクロスポイントメモリアレイ内のメモリセルに並列にアクセスするように構成されたメモリ制御部を含む。メモリ制御部は、第1の選択列と第1の選択行との間に第1の閾値バイアスをかけることによって、第1の選択列と第1の選択行との間に配置される第1のターゲットメモリセルを閾値処理するように構成される。例えば、第1の閾値バイアスは、第1のターゲットメモリセルの閾値ターゲットセルバイアスであり得る。また、メモリ制御部は、第1の選択列とは異なる第2の選択列と第1の選択行とは異なる第2の選択行との間に第2の閾値バイアスをかけることによって、第2の選択列と第2の選択行との間に配置される第2のターゲットメモリセルを閾値処理するように構成される。例えば、第2の閾値バイアスは、第2のターゲットメモリセルの閾値ターゲットセルバイアスであることが可能であり、第1のターゲットメモリセルの閾値ターゲットセルバイアスとほぼ同様であることが可能である。また、メモリ制御部は、第1の選択列と第1の選択行との間に第1のアクセスバイアスをかけ、第2の選択列と第2の選択行との間に第2のアクセスバイアスをかけることによって、第1および第2のメモリセルに並列にアクセスするように構成される。例えば、第1および第2のアクセスバイアスは、閾値処理後SETアクセスバイアス、閾値処理後RESETアクセスバイアス、または閾値処理後READアクセスバイアスであり得る。ターゲットセルが閾値処理された状態(「保持」状態ともいう。
図8Aから
図8Eに関連する下で論じる「獲得保持」参照)である間、または保持状態から第1および第2のターゲットメモリセルを解放した後の減少V
th状態下、例えば、
図3に関連して記載するように、閾値処理後もしくはリフレッシュ動作後の回復期間(
図7Aから
図7Eに関連する下に論じる「獲得解放」参照)内に、閾値処理後アクセスバイアスを、第1および第2のメモリセルにかけることができる。よって、閾値処理後アクセスバイアスの大きさは、第1および第2の閾値バイアスよりも実質的に小さい。一実施形態において、アクセスバイアスは、大きさが、第1および第2の閾値バイアスの約1/2よりも小さい。他の実施形態において、アクセスバイアスは、大きさが、第1および第2の閾値バイアスの約1/3よりも小さい。ただし、アクセスバイアスの特定値が、次の動作ですでに利用可能か希望され得る好都合なレベルであるよう選択されてもよいことが理解されるであろう。
【0043】
いくつかの実施形態において、「獲得保持」方法と「獲得解放」方法の両方において、アクセス動作を組み合わせることが可能である。例えば、第1のアクセスバイアスは、閾値処理後SETアクセスバイアス、閾値処理後RESETアクセスバイアス、および閾値処理後READアクセスバイアスのうちの1つであることが可能であり、第2のアクセスバイアスは、閾値処理後SETアクセスバイアス、閾値処理後RESETアクセスバイアス、および閾値処理後READアクセスバイアスのうちの異なる1つであることが可能である。
【0044】
図7Aから
図7Eは、適切な数のターゲットメモリを個々に閾値処理して「解放」することによって、そのターゲットメモリセルを「獲得」することと、その後、そのターゲットメモリセルに並列にアクセス(例えば、SETアクセス)することを含む、一実施形態によるクロスポイントメモリアレイ内でメモリセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法を表す。
図7Aは、メモリセルがアクセスされる時のクロスポイントアレイの列および行の電圧−時間曲線を概略的に示すグラフ200を概略的に示す。図示の実施形態は、SETアクセス動作を表す。しかし、本明細書の開示を考慮して、記載の概念は、一般に、RESETアクセス動作およびREADアクセス動作に適用可能であることが理解されるであろう。グラフ200のy軸とx軸はそれぞれ、列または行の電圧、およびアクセス動作中の対応する時間を表す。
図7Bから
図7Eは、メモリセルがアクセスされる時のクロスポイントメモリアレイの様々なセル構成を概略的に示す。明瞭にするため、4行(上から下に、266a−d)と4列(左から右に、262a−d)のみを、クロスポイントアレイ内に示し、ターゲットセルTを○で表し、Aセル(すなわち、選択列にそった抑制セル)を□で表し、Bセル(すなわち、選択行に沿った抑制セル)を△で表し、Cセル(すなわち、非選択抑制行、および非選択抑制列にそった残りすべての抑制セル)を×で表す。
【0045】
図7Bを参照して、メモリセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法は、第1の選択列262bと第1の選択行266cとの間に第1の閾値ターゲットセルバイアスをかけることによって、第1のターゲットメモリ(T
1)セル270aを閾値処理することを含む。第1のバイアスは、図示の実施形態において、V
TH SETバイアスである。
図7Aを参照して、第1のターゲットメモリセルを閾値処理することは、初めに、すべての列を列抑制電圧レベルV
COL INH130までプリチャージし、すべての行を行抑制電圧レベルV
ROW INH120までプリチャージすることを含む。すなわち、まず、すべてのセルが、大きさが(V
COL INH−V
ROW INH)であることができるCセルバイアスを有する。
【0046】
一実施形態において、V
COL INHおよびV
ROW INHIBITはそれぞれ、V
TH SETの約1/4と3/4の間の値、例えば、約V
TH SET/2をとることができる。一実施形態において、Cセルバイアスは、約0とV
TH SETの10%の間であることが可能である。
【0047】
また、T
1セル270aの閾値処理は、初期時間t=t
0で、第1の選択列262bの電圧レベルをV
COL THまで増加させることと、第1の選択行262cの電圧レベルをV
ROW THまで(大きさの絶対値で)増加させることと、を含む。
図7Aを参照して、電圧レベルを第1の閾値処理イベントまで増加させることは、第1の選択列電圧−時間(V−T)曲線216aの立ち上がりエッジ、および第1の選択行電圧−時間(V−T)曲線220aの(大きさの絶対値での)立ち上がりエッジによって表される。第1の閾値処理イベントは、ターゲットセル270aが、ある持続時間、閾値ターゲット(T)セルバイアス146下に置かれている時、t=t
TH1で発生することが可能である。一実施形態において、Tセルバイアス146は、大きさがV
COL TH+V
ROW TH)であることが可能である。一実施形態において、t=t
TH1は、第1の選択列電圧−時間(V−T)曲線216aおよび第1の選択行電圧−時間(V−T)曲線220aがピークに達する時、発生することができる。
【0048】
図7Bを参照して、T1セル270aを閾値処理することは、さらに、第1の選択列262bと抑制行266a、266b、および266dとの間に閾値処理前Aセルバイアス142(
図4のAセルバイアス142と同様)をかけることによって、選択列262bと抑制行266a、266b、および266dとの間の複数の第1の抑制メモリ(A)セルを抑制することを含む。また、T1セル270aを閾値処理することは、第1の選択行266cと抑制列262a、262c、および262dとの間に閾値処理前Bセルバイアス134(
図4のBセルバイアス134と同様)をかけることによって、選択行266cと抑制列262a、262c、および262dとの間の複数の第2の抑制メモリ(B)セルを抑制することを含む。
図4と同様に、Aセルにわたって閾値処理前Aセルバイアス142を提供するためと、Bセルにわたって閾値処理前Bセルバイアス134を維持するために、抑制列262a、262c、および262dの電圧レベル、ならびに抑制行266a、266b、および266dの電圧レベルがそれぞれ、V
COL INHとV
ROW INHに維持される。結果として、
図4と同様に、Tセルバイアス146が、ターゲットセル270aにわたってかけられる。
【0049】
図7Bを参照したまま、T
1セル270aを閾値処理することは、さらに、抑制列262a、262c、および262dと抑制行266a、266b、および266dとの間に閾値処理前Cセルバイアス138(
図4のCセルバイアス138と同様)をかけることによって、抑制列262a、262c、および262dと抑制行266a、266b、および266dとの間の複数の第3の抑制メモリ(C)セルを抑制することを含む。
図4と同様に、抑制列と抑制行とにそれぞれ、V
COL INHおよびV
ROW INHを提供することによって、閾値処理前Cセルバイアス138が、抑制列262a、262c、および262d、ならびに抑制行266a、266b、および266dに沿った複数の第3の抑制Cメモリセルにわたって提供されることができる。
【0050】
第1の抑制バイアス(閾値処理前Aセルバイアス142)と第2の抑制バイアス(閾値処理前Bセルバイアス134)の大きさを調整することは、クロスポイントアレイの全体の漏洩電流、その結果として、消費電力を最小にするのに重要であり得る。いくつかの実施形態において、電圧レベルV
COL INHおよびV
ROW INHが同様の値をとる時にそうであるように、第1の抑制バイアスの大きさは、第2の抑制バイアスの大きさとほぼ同様である。これらの実施形態において、第3の抑制バイアス(閾値処理前Cセルバイアス138)は、その大きさを(V
COL INH−V
ROW INH)によって表すことができるが、相対的に低く、例えば、約0とV
TH RESETの10%との間であることが可能である。第1の抑制バイアス(閾値処理前Aセルバイアス142)の大きさが、第2の抑制バイアス(閾値処理前Bセルバイアス134)の大きさと比較すると、実質的に異なる、他の実施形態も可能である。これらの実施形態において、第3の抑制バイアス(閾値処理前Cセルバイアス138)は、V
TH RESETの約10%と30%との間であることが可能である。
【0051】
上記のように、第1の閾値処理イベントがt=t
TH1で発生すると、メモリセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法は、第1の選択列V−T曲線216aおよび第1の選択行V−T曲線220aの(大きさの絶対値での)立ち下がりエッジによって
図7Aに示すように、選択列262bおよび選択行266cをそれぞれ、V
COL INHおよびV
ROW INHまで戻すことをさらに含む。このプロセスによって、すべてのセルがCセルバイアス138を有するように戻る。この状態を
図7Cに示す。図示の実施形態において、T
1セルにわたるバイアスは、V
Hを下回ることが可能であり、それにより、T
1セルの閾値処理後状態を「解放する」(すなわち、終了させる)。上で論じたように、T
1セルはこの状態で、閾値処理前の初期V
THよりも低いV
THを有する。
【0052】
図7Dを参照して、図示の実装による、メモリセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法は、第2の選択列262cと第2の選択行266bとの間に第2の閾値ターゲットセルバイアスをかけることによって、第2のターゲットメモリ(T
2)セル270bを閾値処理することを含む。T
2セル270bの閾値処理に含まれる動作は、T
1セル270aの閾値処理のための上記動作と同様であり、
図7Aの第2の選択列電圧−時間(V−T)曲線216bおよび第2の選択行電圧−時間(V−T)曲線220bを参照して説明することができる。T
1セル270aが閾値処理のために選択された時に、T
2セル270bが、第3の抑制メモリ(C)セルのうちの1つ(すなわち、先の抑制列262a、262c、および262dのうちの1つと先の抑制行266a、266b、および266dのうちの1つとの間に配置されるメモリセル)から選択される。時間t=t
TH2で、第2の選択列262cの電圧レベルがV
COL SELまで増加し、第2の選択行266bの電圧レベルが、V
ROW SELまで(大きさの絶対値で)増加する。T
1セル270aの閾値処理と同様に、T
2セル270bの閾値処理は、T
2270bが、ある持続時間、Tセルバイアス146下に置かれた後、時間t=t
TH2で、発生することが可能である。
【0053】
また、T
1セル270aの閾値処理と同様に、T
2セル270bの閾値処理は、第2の選択列262cと複数の抑制行266a、266c、および266dとの間に閾値処理前Aセルバイアス142をかけることによって、第2の選択列262cと抑制行266a、266c、および266dとの間の複数の第1の抑制メモリ(A)セルを抑制することを含む。また、T
2セル270bの閾値処理は、第2の選択行266bと複数の抑制列262a、262b、および262dとの間に閾値処理前Bセルバイアス134をかけることによって、第2の選択行266bと抑制列262a、262b、および262dとの間の複数の第2の抑制メモリ(B)セルを抑制することを含む。また、T
2セルの閾値処理は、抑制列262a、262b、および262dと抑制行266a、266c、および266dとの間に閾値処理前Cセルバイアス138をかけることによって、抑制列262a、262b、および262dと抑制行266a、266c、および266dの間の複数の第3の抑制メモリ(C)セルを抑制することを含む。
【0054】
上記のように、t=t
TH2でT
2セル270bを閾値処理した後、メモリセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法は、第2の選択列電圧−時間(V−T)曲線216bの立ち下がりエッジによって
図7Aに示すように、第2の選択列262cを列抑制電圧レベルV
COL INHまで戻すことと、第2の選択行電圧−時間(V−T)曲線220bの(大きさの絶対値での)立ち下がりエッジによって
図7Aに示すように、選択行266bを行抑制電圧レベルV
ROW INHまで戻すこととをさらに含む。この時点で、すべてのセルが、
図7Cでクロスポイントアレイ240内に示すように、Cセルバイアスを有するまで戻される。T
2セル270bにわたるバイアスをV
Hを下回らせることによりT
2セル270bの閾値処理後状態を終了することによって、T
2セル270bが「解放」される。上に論じたように、「解放」されると、T
2セル270bは、閾値処理前の初期V
HTよりも低いV
HTをとる。
【0055】
いくつかの実施形態において、メモリセルに並列にアクセスする方法は、閾値処理によって適切な数の追加のターゲットメモリセルを「獲得」することと、その追加のターゲットメモリセルを「解放」することとを含むことが可能である。
図7Aを参照して、単に例として、第3から第6のバイアス(Tセルバイアス146)をかけることにより閾値処理することによって、第3から第6の選択列と第3から第6の選択行との間に配置される第3から第6のターゲットメモリセルT
3−T
6が、「獲得」されることができ、閾値処理状態を終了することによって「解放」されることができる。T
3−T
6セルを追加で「獲得解放」することは、選択列電圧−時間(V−T)曲線216c−216fおよび選択行電圧−時間(V−T)曲線220c−220fによって表される。第3から第6の閾値処理イベントはそれぞれ、t=t
TH3、t=t
TH4、t=t
TH5、およびt=t
TH6に発生することが可能である。
【0056】
一実施形態において、メモリセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法は、また、減少したV
TH値を維持するよう閾値処理されたターゲットセルをリフレッシュすることを含む。上で論じたように、「リフレッシュ」すると、閾値処理されたターゲットセルは、初めに、閾値処理前の元のV
TH値よりも小さいV
TH値をとり、そのV
TH値は、徐々に、元のV
TH値を「回復」する。よって、いくつかの実施形態において、
図7Aで選択電圧−時間(V−T)曲線224によって示すように、t=t
REFで、先の選択行にリフレッシュバイアスをかけることにより閾値処理されたターゲットセルを「リフレッシュ」することによって、低下したV
TH値が維持され得る。
【0057】
メモリセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法は、また、複数のメモリセルを閾値処理する間に選択される列と行との間にアクセスバイアス160をかけることによって閾値処理された複数のメモリセルにアクセスすることを含む。アクセス動作は、記憶素子のアモルファスから結晶質への転移を含むSETアクセス動作、記憶素子の結晶質からアモルファスへの転移を含むRESETアクセス動作、または相転移を含まないREADアクセス動作であり得る。単に例示的な目的で、SETアクセス動作は、
図7Aに、選択行電圧−時間(V−T)曲線228によって示される。単に例として
図7Eで、アクセスされる複数のメモリセルは、T
1セル270aおよびT
2セル270bを含む。これら2つのターゲットセル270aおよび270bは、アクセス線を共有しない、すなわち、隣接する行線および列線上にあるので、「斜めに」お互いから取り除かれると考えることができる。2つのターゲットセル270aおよび270bは、アクセス線を共有しないので、T
2セル270bが選択されている時は、T
1セル270aはCセルバイアスが「見え」、逆もまた同様である。このアプローチは、次のセルがアクセスされている時の、先に選択されたセルの影響を最小にする。この実施形態において、アクセスは、適切な遅延時間内で、例えば、第1の閾値処理イベントの回復期間内またはリフレッシュイベント後の回復期間内で、開始することができるので、T
1セル270aおよびT
2セル270bは、先に閾値処理されたことによって適切に低下したV
THをとり続ける。いくつかの実施形態において、遅延時間は、約10ナノ秒から1マイクロ秒の間であり得る。他の実施形態において、遅延時間は、約50ナノ秒と500ナノ秒の間であり得る。また、適切に低下したV
THは、例えば、AまたはBセルバイアスよりも小さいV
TH値であり得る。
【0058】
図7Aおよび
図7Eに示すように、複数のメモリセル270aおよび270bにSETアクセスすることは、t=t
ACCESSで、第1の選択行266cおよび第2の選択行266bの電圧レベルをV
ROW ACCESSまで増加させることを含む。
図7Aを参照して、電圧レベルを増加させることは、選択行電圧−時間(V−T)曲線228の(大きさの絶対値での)立ち上がりエッジによって表される。いくつかの実施形態において、複数のメモリセル270aおよび270bにSETアクセスすることは、第1の選択列262bおよび第2の選択列262cの電圧レベルをV
COL ACCESS(図示せず)まで増加させることをさらに含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、複数のメモリセル270aおよび270bにSETアクセスすることは、ターゲットではないセルを抑制することをさらに含む。例えば、
図7Eで、t=t
ACCESSで、選択列と非選択行との間に適切な閾値処理後A’セルバイアスを提供し、選択行と非選択列との間に適切な閾値処理後B’セルバイアスを提供し、非選択行と非選択列との間に適切なC’セルバイアスを提供することによって、複数の第1の抑制メモリ(A’)セル、複数の第2の抑制メモリ(B’)、および複数の第3の抑制メモリセル(C’)を抑制することが可能である。抑制列および行に印加される抑制電圧が、ターゲットセルの閾値処理の結果として低下したV
TH値と比較すると、比例的に小さいことを除いて、SETアクセスにおいてA’、B’、およびC’セルを抑制することは、A、B、およびCセルの閾値処理においてA、B、およびCセルを抑制することと同様である。また、ターゲットセルにアクセスバイアスを提供することによって、ターゲットセル270aおよび270bにアクセスすることは、結果的に、ターゲットセル270aおよび270bに隣接するターゲットではないセルT’にわたって同一のアクセスバイアスをかけることになることが可能である。しかし、T’セルがT
1およびT
2セルと比較して、同一のバイアスを受ける間、T’セルへの意図しないSETアクセスを避けることができる。なぜなら、T’セルは、閾値処理されたT
1およびT
2セルと比較して、より高いV
THをとるからである。すなわち、セルアクセスバイアス160の大きさが、閾値Tセルバイアス146と比較すると、実質的により小さい間、T
1およびT
2セルにSETアクセスすることができる。なぜなら、閾値電圧は、スナップバック閾値処理現象の結果、低下しているからである。他方で、同一のセルアクセスバイアス160は、ターゲットではないT’セルを閾値処理するのには不十分である。
【0060】
図8Aから
図8Eは、閾値処理によって適切な数のターゲットメモリセルを「獲得」することと、アクセス(例えば、SETアクセス)されるまでターゲットメモリセルを「保持」することとを含む、他の実施形態による、クロスポイントメモリアレイ内でメモリセルに並列にアクセスする「獲得保持」方法を表す。グラフ300は、メモリセルが並列にアクセスされる時のクロスポイントアレイの列および行の電圧−時間曲線を概略的に示す。
図7Aから
図7Eと同様に、図示の実施形態は、SETアクセス動作を表すが、本明細書の開示を考慮して、記載の概念は、一般的に、READアクセス動作はもちろん、RESETアクセス動作にも適用可能であることが理解されるであろう。y軸は列または行の電圧を表し、x軸は時間を表す。
【0061】
図8Bから
図8Eは、アクセスされているメモリセルを含むクロスポイントメモリアレイの様々なセル構成を概略的に示す。明瞭にするため、4行(上から下に、366a−d)および4列(左から右に、362a−d)のみをクロスポイントアレイ内に示し、ターゲットセルTを○で表し、Aセル(すなわち、選択列にそった抑制セル)を□で表し、Bセル(すなわち、選択行に沿った抑制セル)を△で表し、Cセル(すなわち、非選択抑制行および非選択抑制列にわたる残りのすべての抑制セル)を×で表す。
【0062】
図8Bを参照して、メモリセルに並列にアクセスする「獲得保持」方法は、第1の選択列362bと第1の選択行366cとの間に第1の閾値バイアス146をかけることによって、第1のターゲットメモリ(T
1)セル370aを閾値処理することを含む。T
1セル370aの閾値処理のV−T関係を、列電圧−時間(V−T)曲線316aおよび行電圧−時間(V−T)曲線320aによって
図8Aに表す。T
1セル370aの閾値処理に含まれる動作は、
図7Bに関連してT
1セル270aの閾値処理に関連して記載した動作とほぼ同様である。同様に、T
1セル370aの閾値処理は、
図7Bに関連して同様に記載したように、複数の第1の抑制メモリセル(A)、複数の第2の抑制メモリセル(B)、および複数の第3の抑制メモリセル(C)を抑制することを含む。また、
図7Bと同様に、第1の閾値処理イベントはt=t
TH1に発生する。
【0063】
しかし、
図7Cと対照的に、閾値処理後、メモリセルに並列にアクセスする「獲得保持」方法は、メモリセルを「解放」することを含まない、すなわち、一実施形態によって、
図8Aに示すように、選択列362bをV
COL INH130まで戻すことと、選択行366cをV
ROW INH120まで戻すこととの双方を含まない。その代わりに、選択行366c上の電圧は、行電圧−時間(V−T)曲線318によって表されるように、行保持電圧レベルV
ROW HOLDまで(大きさの絶対値で)減少する。また、選択列362b上の電圧は、列抑制電圧レベル(V
COL INH)130まで戻されることが可能である。あるいは、選択列362b上の電圧は、列保持電圧レベルV
COL HOLD(図示せず)まで減少することが可能である。T
1セル370aにわたって結果として生じるバイアスは、閾値処理後ターゲットセル保持バイアス164である。
図4に関連して上で論じたように、閾値処理後ターゲットセル保持バイアス164は、T
1セル370aの閾値処理後の状態を維持するのに十分である。
【0064】
図8Dを参照して、カルコゲナイド系クロスポイントメモリアレイに並列アクセスする方法は、第2の選択列362cと第2の選択行366bとの間に第2のターゲットセル閾値バイアス146をかけることによって、第2のターゲットメモリ(T
2)セルを閾値処理することを含む。T
2セル370bの閾値処理を、列電圧−時間(V−T)曲線316bおよび行電圧−時間(V−T)曲線320bによって
図8Aに表す。T
2セル370bの閾値処理に含まれる動作は、
図7Dに関連してT
2セル270bの閾値処理に関する上記動作とほぼ同様である。
図7Dと同様に、T
1セル370aが閾値処理のために選択された時に、T
2セル370bが、第3の抑制メモリ(C)セルの1つ(すなわち、先の抑制列362a、362c、および362dのうちの1つと先の抑制行366a、366b、および366dのうちの1つとの間に配置されるメモリセル)から選択される。
【0065】
T
2セル370bが、上記のように、閾値処理されると、メモリセルに並列にアクセスする「獲得保持」方法は、行電圧−時間(V−T)曲線318bによって表されるように、第2の選択行366b上の電圧を行保持電圧レベルV
ROW HOLDまで(大きさの絶対値で)低下させることを含む。また、選択列362c上の電圧を、列抑制電圧レベル(V
COL INH)130まで戻すことができる。あるいは、第2の選択列362c上の電圧を、列保持電圧レベルV
COL HOLD(図示せず)まで戻すことができる。T
2セル370bにわたって結果として生じるバイアスは、閾値処理後ターゲットセル保持バイアス164である。
図4に関連して上で論じたように、閾値処理後ターゲットセル保持バイアス164は、T
2セル370bの閾値処理後の状態を維持するのに十分である。
【0066】
また、いくつかの実施形態において、メモリセルに並列にアクセスする「獲得保持」方法は、適切な数の追加のターゲットセルを閾値処理することを含むことができる。例えば、第3から第NのターゲットメモリセルT
3−T
N(図示せず)が、閾値処理によって獲得され、閾値処理後ターゲットセル保持バイアス164をかけることによって「保持」されることができる。
【0067】
「獲得解放」方法と同様に、メモリセルに並列にアクセスする「獲得保持」方法は、複数のメモリセルを閾値処理する間に選択される列と行との間にアクセスバイアス160をかけることによって、閾値処理されて保持された複数のメモリセルにアクセスすることをさらに含む。アクセス動作は、記憶素子のアモルファスから結晶質への転移を含むSETアクセス動作、記憶素子の結晶質からアモルファスへの転移を含むRESETアクセス動作、または相転移を含まないREADアクセス動作であり得る。単なる例示目的で、SETアクセス動作を、選択行電圧−時間(V−T)曲線328によって
図8Aに示す。単なる例として
図8Eで、アクセスされる複数のメモリセルは、T
1セル370aおよびT
2セル370bを含む。
【0068】
図8Aおよび
図8Eに示すように、複数のターゲットメモリセル370aおよび370bにSETアクセスすることは、t=t
ACCESSで、第1の選択行366cおよび第2の選択行366bの電圧レベルをV
ROW ACCESSまで(大きさの絶対値で)増加させることを含む。
図8Aを参照して、電圧レベルを(大きさの絶対値で)増加させることを、選択行電圧−時間(V−T)曲線328の(大きさの絶対値での)立ち上がりエッジによって表す。いくつかの実施形態において、複数のメモリセル370aおよび370bにSETアクセスすることは、第1の選択列362bおよび第2の選択列362cの電圧レベルを(V
COL INH)130に維持することをさらに含むことができる。あるいは、第1の選択列362bおよび第2の選択列362cの電圧レベルを、V
COL ACCESS(図示せず)まで増加させることができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、複数のメモリセル370aおよび370bにSETアクセスすることは、
図7Eを参照して論じたのと同様に、ターゲットではないセルを抑制することをさらに含むことができる。例えば、
図8Eで、t=t
ACCESSに、選択列と非選択行との間に適切な閾値処理後A’セルバイアスを提供し、選択行と非選択列との間に適切な閾値処理後B’セルバイアスを提供し、非選択行と非選択列との間に適切なC’セルバイアスを提供することによって、複数の第1の抑制メモリ(A’)セル、複数の第2の抑制メモリ(B’)、および複数の第3の抑制メモリセル(C’)を抑制することができる。
【0070】
従って、本明細書に記載するように、スナップバック閾値処理イベントは、ターゲットメモリセルにわたるバイアスを直ちに減少させる。多数のセルを順に閾値処理(すなわち、「獲得」)して、その後、Vthよりも実質的に小さいV
H(例えば、約10%から50%の間の大きさ)で保持状態下でその多数のセルを保持することによって、多数のセルに並列にアクセスする「獲得保持」方法に、この行動を利用することができる。保持された多数のセルは、その後、閾値電圧よりも低いアクセス電圧で同時にアクセスされる。
【0071】
また、本明細書に記載するように、セルがスナップバック閾値処理されて「解放」されると、「解放された」メモリセルのV
THが回復するのに時間がかかり得る。多数のセルを順に閾値処理(すなわち、「獲得」)して、その後、第1の閾値処置イベントの回復期間内に、またはリフレッシュイベント後の回復期間内に、閾値電圧よりも低いアクセス電圧で多数のセルに並列にアクセスすることによって、多数のセルに並列にアクセスする「獲得解放」方法に、この行動を利用することができる。
【0072】
また、閾値処理されていないセルは、ターゲットセルの閾値処理とアクセスとの間で高いV
THを維持し、閾値処理されたセルのアクセス電圧は閾値処理されていないセルのV
THよりも実質的に低いので、閾値処理されていないセルの意図しない閾値処理の機会を最小限にする。順次に閾値処理した後、多数のセルに並列にアクセスする上記アプローチは、相変化メモリ技術においてより長いアクセスバイアス部分のために他のアクセス動作(例えば、アモルファスから結晶質への転移を含むRESETアクセス動作)よりもより長い時間(例えば、数百ナノ秒から数百マイクロ秒)がかかり得るSETアクセス動作に特に有益であり得る。フルアクセス動作よりもずっと速い(例えば、数ナノ秒から数十ナノ秒)ことが可能な、多数のセルの閾値処理を行い、その後、その多数のセルに同時にSETアクセスすることによって、より高いSET帯域幅を実現することができる。
【0073】
本発明は、ある実施形態に関して記載したが、本明細書に説明される特徴や利点の全てを提供するわけではない実施形態を含めて、当業者に明らかな他の実施形態も、本発明の範囲内である。さらに、上記の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することも可能である。また、一実施形態の内容に示されたある特徴を、他の実施形態に組み込むことも可能である。従って、本発明の範囲は、添付の請求項を参照することによってのみ定義される。