特許第6201066号(P6201066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201066
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/145 20060101AFI20170911BHJP
   H03H 3/08 20060101ALI20170911BHJP
   H03H 9/72 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H03H9/145 C
   H03H3/08
   H03H9/72
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-575252(P2016-575252)
(86)(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公表番号】特表2017-523697(P2017-523697A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】JP2015003372
(87)【国際公開番号】WO2016017070
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-155795(P2014-155795)
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514250975
【氏名又は名称】スカイワークスフィルターソリューションズジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山路 徹
(72)【発明者】
【氏名】古川 光弘
【審査官】 ▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−135959(JP,A)
【文献】 特開2009−218762(JP,A)
【文献】 特開2013−232992(JP,A)
【文献】 特開2002−374137(JP,A)
【文献】 特開2011−228359(JP,A)
【文献】 特開2011−160024(JP,A)
【文献】 特開2003−32075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/145 9/25 9/72
H03H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性波デバイスであって、
圧電基板と、
前記圧電基板に配置されたインターデジタルトランスデューサ(IDT)電極と、
前記IDT電極が弾性波を励振する励振空間を封止する誘電封止体と、
前記IDT電極に接続された配線電極であって、前記圧電基板の上面に直接配置されかつ接触する第1配線電極と、前記第1配線電極の上側に直接配置されかつ接触する第2配線電極とを含む配線電極と、
前記誘電封止体と前記第2配線電極との間に鉛直に延びるように前記誘電封止体の一部と連続して当該一部を形成する封止壁と
を含み、
前記第2配線電極は、前記第2配線電極の外周に形成されかつ前記第1配線電極の外周を超えて前記励振空間の中へと突出するように構成された突起を含み、
前記封止壁は、前記突起を介して前記IDT電極から離間され、
前記封止壁は、前記励振空間の側縁を画定する側面を有する弾性波デバイス。
【請求項2】
前記IDT電極を覆う第1誘電膜をさらに含み、
前記第2配線電極の少なくとも一部分は前記第1誘電膜に配置される請求項1の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記第2配線電極の、前記第1誘電膜の上に配置された一部分が、前記突起を含む請求項2の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記IDT電極を覆う第1誘電膜をさらに含み、
前記第2配線電極は前記第1誘電膜の外周を覆う請求項1の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記IDT電極を覆いかつ前記第1配線電極の前記外周を覆う第1誘電膜をさらに含む請求項1の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記第2配線電極及び前記第1誘電膜を覆う第2誘電膜をさらに含み、
前記封止壁は前記第2誘電膜に配置される請求項5の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記IDT電極を覆う第1誘電膜をさらに含み、
前記突起は、前記第1誘電膜の外周の上に配置される請求項1の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記誘電封止体の上面に配置された端子電極と、
前記配線電極を前記端子電極に接続する接続電極と
をさらに含む請求項1の弾性波デバイス。
【請求項9】
送信フィルタ及び受信フィルタを含むアンテナデュプレクサであって、
前記受信フィルタ及び前記送信フィルタの少なくとも一方が請求項1の弾性波デバイスを含むアンテナデュプレクサ。
【請求項10】
請求項9のアンテナデュプレクサを含むモジュール。
【請求項11】
弾性波フィルタを含むモジュールであって、
前記弾性波フィルタは請求項1の弾性波デバイスを含むモジュール。
【請求項12】
請求項1の弾性波デバイスを含む通信デバイス。
【請求項13】
弾性波デバイスを製造する方法であって、
圧電基板を与えることと、
前記圧電基板の第1表面にインターデジタルトランスデューサ(IDT)電極を形成することと、
前記圧電基板に配線電極を形成して前記IDT電極に接続することであって、前記IDT電極を形成するステップの間に前記圧電基板の前記第1表面に第1配線電極を形成することを含み、さらに前記第1配線電極の表面に第2配線電極を形成することを含み、前記第2配線電極は、前記第2配線電極の外周に形成された突起であって、前記IDT電極が弾性波を励振する励振空間の中へと前記第1配線電極を超えて突出するように構成された突起を含むことと、
前記励振空間を封止する誘電封止体を形成することと
を含み、
前記誘電封止体は、前記第2配線電極に配置されて前記突起を介して前記IDT電極から離間された封止壁を含み、
前記封止壁は、前記励振空間の縁を画定する側面を有する方法。
【請求項14】
前記封止壁を通って前記第2配線電極まで延びる接続電極を形成することと、
前記封止壁を覆うように端子電極を形成することと、
前記接続電極を介して前記端子電極を前記第2配線電極に接続することと
を含む請求項13の方法。
【請求項15】
前記IDT電極を覆う第1誘電膜を形成することをさらに含む請求項13の方法。
【請求項16】
前記第2配線電極を形成することは、前記第2配線電極の、前記突起を含む一部分を、前記第1誘電膜の外周を覆うように形成することを含む請求項15の方法。
【請求項17】
前記第1誘電膜を形成することは、前記第1配線電極の外周を覆うように前記第1誘電膜を形成することを含む請求項16の方法。
【請求項18】
前記第2配線電極及び前記第1誘電膜を覆う第2誘電膜を形成することをさらに含む請求項17の方法。
【請求項19】
前記誘電封止体を形成することは、前記第2誘電膜を覆うように前記封止壁を形成することを含む請求項18の方法。
【請求項20】
弾性波デバイスであって、
圧電基板と、
前記圧電基板の第1表面に配置されたインターデジタルトランスデューサ(IDT)電極と、
前記圧電基板の前記第1表面において前記IDT電極に隣接して配置された第1配線電極と、
前記IDT電極と前記第1配線電極の外周とを覆う第1誘電膜と、
前記第1配線電極の表面に配置された第2配線電極であって、前記第1誘電膜の外周を覆うように、前記IDT電極の上にある前記IDT電極が弾性波を励振する励振空間の中へと延びる突起を含む第2配線電極と、
前記IDT電極が前記弾性波を励振する前記励振空間を覆うように延びて封止する誘電封止構造体と、
前記誘電封止構造体の上面に配置された端子電極と、
前記誘電封止構造体を通って延びて前記端子電極を前記第2配線電極に電気的に接続する接続電極と
を含み、
前記第1配線電極及び前記第2配線電極の少なくとも一方が、前記IDT電極に電気的に接続され、
前記誘電封止構造体は、前記第2配線電極に配置されて接触する封止壁を含み、
前記封止壁は、前記突起を介して前記IDT電極から離間され、
前記封止壁は、前記励振空間の側縁を画定する側面を有する弾性波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
側面及び実施形態は、様々な電子デバイスに使用される弾性波デバイスに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2014年7月31日に出願された「弾性波デバイス」との名称の、その全体がすべての目的のためにここに参照として組み入れられる同時係属中の特願2014−155795に基づく米国特許法第119条及び特許協力条約第8条の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
従来、無線通信デバイス用の分波器又は高周波フィルタとして使用される電子部品として、弾性波デバイスが知られている。特許文献1は、従来型弾性波デバイスの例を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−109925号公報
【発明の概要】
【0005】
従来型弾性波デバイスは小型化するのが困難であった。これは、励振特性が、小型化の結果、インターデジタルトランスデューサ電極(IDT電極)の励振領域が弾性波デバイスの封止部材に近くなることにより影響を受けるからである。
【0006】
側面及び実施形態は、同等の特徴及び/又は性能を有する従来型弾性波デバイスのサイズと比べて小型化可能な弾性波デバイスを与えることに関する。
【0007】
所定の実施形態によれば、弾性波デバイスは、基板と、当該基板上に設けられたIDT電極と、当該IDT電極に接続された配線電極と、当該IDT電極が弾性波を励振する励振空間を封止する封止体と、当該配線電極の上に設けられて当該封止体の一部を形成する封止壁とを含み、当該配線電極の外周には突起が設けられる。
【0008】
配線電極の外周に突起を設けることにより、弾性波デバイスを、励振特性を劣化させることなく小型化することができる。これは、突起が、封止体を形成する部材及び封止壁の、IDT電極の励振領域への侵入を防止するからである。
【0009】
弾性波デバイスの様々な実施形態が、以下の特徴のいずれか一以上を含み得る。
【0010】
一実施形態によれば、弾性波デバイスは、基板と、当該基板の上に配置されたIDT電極と、当該IDT電極が弾性波を励振する励振空間を封止する封止体と、当該基板の上に配置されて当該IDT電極に接続された配線電極と、当該配線電極の上に配置されて当該封止体の一部を形成する封止壁とを含み、当該配線電極は、当該配線電極の外周に形成されて当該励振空間の中へと突出するべく構成された突起を含み、当該封止壁は、当該突起を介して当該IDT電極から離間される。
【0011】
一例において、配線電極は、基板の上面に配置された第1配線電極と、当該第1配線電極の上面に配置された第2配線電極とを含み、突起は、当該第2配線電極の外周に形成される。
【0012】
一例において、弾性波デバイスはさらに、IDT電極を覆う第1誘電膜を含み、第2配線電極の少なくとも一部分は当該第1誘電膜の上に配置される。他例において、弾性波デバイスはさらに、IDT電極を覆う第1誘電膜を含み、第2配線電極は第1誘電膜の外周を覆う。他例において、弾性波デバイスはさらに、IDT電極を覆いかつ第1配線電極の外周を覆う第1誘電膜を含む。弾性波デバイスはさらに、配線電極及び第1誘電膜を覆う第2誘電膜を含んでよい。第2誘電膜の上には封止壁が配置される。他例において、弾性波デバイスはさらに、IDT電極を覆う第1誘電膜を含む。第1誘電膜の外周の上には突起が配置される。
【0013】
一例において、弾性波デバイスはさらに、封止体の上面に配置された端子電極と、配線電極を当該端子電極に接続する接続電極とを含む。
【0014】
他実施形態によれば、弾性波デバイスは、圧電基板と、当該圧電基板の上面に配置されたIDT電極と、当該圧電基板の上面に配置されて当該IDT電極に接続された第1配線電極と、少なくとも一部分が当該第1配線電極の上面に配置された第2配線電極と、当該IDT電極が弾性波を励振する励振空間を封止する封止体とを含み、当該第2配線電極は、当該第2配線電極の外周に形成されて当該励振空間の中へと突出する突起を含み、当該封止体は、当該第2配線電極の上に配置された封止壁を含み、当該封止壁は、当該突起を介して当該IDT電極から離間される。
【0015】
一例において、弾性波デバイスはさらに、IDT電極を覆う第1誘電膜を含む。他例において、第1誘電膜は、第1配線電極の外周を覆うように配置され、第2配線電極の一部分が、当該第1誘電膜の外周を覆うように配置される。弾性波デバイスはさらに、第2配線電極及び第1誘電膜を覆う第2誘電膜を含んでよい。第2誘電膜の上には封止壁が配置される。
【0016】
付加的な側面及び実施形態は、弾性波フィルタと、かかる弾性波デバイスを使用するアンテナデュプレクサと、これらを使用するモジュール及び通信デバイスとに関する。
【0017】
一実施形態において、アンテナデュプレクサは、送信フィルタ及び受信フィルタを含み、当該受信フィルタ及び送信フィルタの少なくとも一方が、上述の実施形態、例又は構成のいずれかに係る弾性波デバイスを含む。
【0018】
他実施形態は、かかるアンテナデュプレクサを含むモジュールに関する。
【0019】
他実施形態によれば、モジュールは、上述の実施形態、例又は構成のいずれかの弾性波デバイスを含む弾性波フィルタを含む。
【0020】
他実施形態は、上述の実施形態、例又は構成の弾性波デバイスを含む通信デバイスに関する。
【0021】
他実施形態によれば、弾性波デバイスを製造する方法は、基板を与えるステップと、当該基板の上面にIDT電極を形成するステップと、当該基板の上に配線電極を形成して当該IDT電極に接続するステップであって、当該配線電極は、当該配線電極の外周に形成された突起であって、当該IDT電極が弾性波を励振する励振空間の中へと突出するべく構成された突起を含むステップと、当該励振空間を封止する封止体を形成するステップとを含み、当該封止体は、当該配線電極の上に配置されて当該突起を介して当該IDT電極から離間された封止壁を含む。
【0022】
一例において、配線電極を形成することは、基板の上面に第1配線電極を形成することと、当該第1配線電極の上面に第2配線電極を形成することであって、当該第2配線電極の外周に突起を形成することを含むこととを含む。
【0023】
他例において、方法はさらに、IDT電極を覆う第1誘電膜を形成することを含む。かかる例において、第2配線電極を形成することは、当該第2配線電極の一部を、第1誘電膜の外周を覆うように形成することを含んでよい。一例において、第1誘電膜を形成することは、当該第1誘電膜を、第1配線電極の外周を覆うように形成することを含む。
【0024】
方法はさらに、第2配線電極及び第1誘電膜を覆う第2誘電膜を形成することを含んでよい。一例において、封止体を形成することは、第2誘電膜を覆うように封止壁を形成することを含む。
【0025】
他例において、方法はさらに、封止壁を通って配線電極まで延びる接続電極を形成するステップと、当該封止壁を覆うように端子電極を形成するステップと、当該接続電極を介して当該端子電極を配線電極に接続するステップとを含む。
【0026】
これらの典型的な側面及び実施形態のさらなる他の側面、実施形態及び利点が以下に詳述される。ここに開示される実施形態は、ここに開示される複数の原理の少なくとも一つに整合する任意の態様で他の実施形態と組み合わせることができ、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「代替実施形態」、「様々な実施形態」、「一つの実施形態」等の言及は必ずしも相互に排他的というわけではなく、開示される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも一つの実施形態に含まれ得るということを示す意図を有する。かかる用語の登場は必ずしもすべてが、同じ実施形態を言及するわけではない。
【0027】
少なくとも一つの実施形態の様々な側面が、縮尺通りに描かれることを意図しない添付図面を参照して以下に記載される。図面は、様々な側面及び実施形態の例示及びさらなる理解を与えるべく含められ、本明細書の一部に組み入れられ当該一部を構成するが、本発明の限界を定義することを意図するわけではない。本図面において、様々な図面に例示される同一又はほぼ同一の部品はそれぞれ、同じ参照番号によって表される。明確性のため、すべての図面において、すべての部品が標識されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の複数の側面に係る弾性波デバイスの一実施形態の断面図と、当該弾性波デバイスの一部分の対応上面図とを例示する線図である。
図2】本発明の複数の側面に係る弾性波デバイスの他実施形態の断面図である。
図3】本発明の複数の側面に係る弾性波デバイスの他実施形態の断面図である。
図4A】本発明の複数の側面に係る、弾性波デバイスの製造方法の一例のフロー図である。
図4B】本発明の複数の側面に係る、弾性波デバイスの製造方法の他例のフロー図である。
図5】本発明の複数の側面に係る、図4A又は4Bの方法の一部であり得る弾性波デバイスの製造方法の一部分のフロー図である。
図6】本発明の複数の側面に係る弾性波デバイスを組み入れたアンテナデュプレクサの一例のブロック図である。
図7】本発明の複数の側面に係る弾性波デバイスを組み入れたモジュールの一例のブロック図である。
図8図6のアンテナデュプレクサを組み入れた、本発明の複数側面に係る通信デバイスの一例のブロック図である。
【0029】
上述のように、側面及び実施形態は、封止体及び/又は封止壁がIDT電極の励振領域へと突出するのを防止し、ひいては小さな(小型化された)弾性波デバイスの励振特性劣化を防止する突起を、配線電極の外周に含ませることにより小型化能力を改善した弾性波デバイスに関する。
【0030】
なお、ここに述べられる方法及び装置の実施形態は、アプリケーションにおいて、以下の説明に記載され及び添付図面に例示される部品の構成及び配列の詳細に限られるわけではない。方法及び装置は、他の実施形態で実装すること、及び様々な態様で実施し又は実行することができる。特定の実装例が、例示目的のみでここに与えられるが、限定されることは意図しない。さらに、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであって、限定とみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「包含する」及びこれらのバリエーションは、その後に列挙される項目とその均等物及び付加的項目とを網羅することを意味する。「又は」及び「若しくは」への言及は、記載された任意の用語の単一の、複数の及びすべてのいずれかを示し得るように、包括的に解釈され得る。前後、左右、上下、上側下側等への任意の言及は、説明の便宜を意図するものであって、本システム及び方法又はこれらの構成要素を、いずれか一つの位置的又は空間的配向に限定するものではない。特に、「上」、「下」、「上面」、「下面」等のような方向を示す用語は、弾性波デバイスに含まれる基板、IDT電極等のような部品の相対的位置関係にのみに依存する相対的方向を指定するべく使用されるので、鉛直方向等のような絶対的方向を指定することを意図しない。
【0031】
図1を参照すると、一実施形態に係る弾性波デバイスの一例が例示される。図1は、弾性波デバイス11の断面図を、当該弾性波デバイスの一部分の対応上面図とともに示す。A−AA線断面図は、破線により囲まれた領域に対応する。図1に示されるように、弾性波デバイス11は、基板12と、基板12の上面に設けられたインターデジタルトランスデューサ電極(IDT電極)13と、基板12の上面に設けられた配線電極14と、IDT電極13を覆う第1誘電膜15と、IDT電極13が弾性波を励振する励振空間16を封止する封止体17と、封止体17の上面に設けられた端子電極18とを含む。
【0032】
一例において、基板12は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶等のような圧電単結晶から作ることができる圧電基板として形成されるのが好ましい。
【0033】
IDT電極13は、基板12の上面に設けられた対向する櫛形電極によって形成され、電気信号の入力に応答して基板12の上面において特定の弾性波を励振する共振器を形成する。IDT電極13は、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、モリブデン、白金若しくはクロムのような単一の金属元素、若しくは主にこれらの元素の一以上から組成される合金、又はこれらの積層構造体から作ることができる。IDT電極13の厚さ(IDT電極13が積層構造を有する場合は当該構造体の合計厚さ)は、例えば0.2〜0.6μmの範囲となる。
【0034】
配線電極14は、基板12の上面に設けられた金属配線であり、IDT電極13に接続されて弾性波デバイス11の回路を形成する。
【0035】
所定の例において、配線電極14は、基板12の上面に設けられた第1配線電極19と、第1配線電極19の上に設けられた第2配線電極20とを含む。第1配線電極19は、材料及び/又は積層構造の点でIDT電極13と同じ構成を有し得る。
【0036】
第1誘電膜15は、第1配線電極19の外周を覆う。第1配線電極19の外周を覆う第1誘電膜15は、IDT電極13及び第1配線電極19を腐食及び機械的応力から保護する。
【0037】
第2配線電極20は、第1配線電極19の上に形成され、かつ、その一部が第1誘電膜15の上に形成される。第2配線電極20の当該一部は、異なるレベル(基板12の表面上の異なる高さ)において第1配線電極19と交差する配線を形成し得るように、第1誘電膜15によって覆われる第1配線電極19の領域の上に形成することができる。これにより、配線設計の自由度を改善することができる。
【0038】
第2配線電極20の外周は第1誘電膜15の上に形成され、突起22が第2配線電極20の外周に形成される。突起22は、第1誘電膜15の外周の上に第2配線電極20を形成するプロセスにおいて形成することができるので、他のいずれのプロセスも必要とすることなく第2配線電極20を第1誘電膜15に重ねることができる。
【0039】
配線電極14を第1配線電極19及び第2配線電極20の積層構造体として構成することにより、配線電極14の厚さを増加させることができる。その結果、配線電極14の抵抗が低下するので、弾性波デバイス11の損失が低減され得る。厚さの増加はまた、IDT電極13から発生する熱を有効に放散させ得る。
【0040】
一例において、第1誘電膜15は、基板12の上面を覆う絶縁膜であり、IDT電極13を化学的劣化及び機械的損傷から保護するべく、例えば、主に酸化ケイ素(SiO)からなる無機絶縁膜である。第1誘電膜15は、基板12の周波数温度係数とは符号が逆の周波数温度係数を有する組成物によって形成することができる。その結果、温度変化に起因する弾性波デバイス11の周波数特性の変動を抑制することができる。第1誘電膜15の外周を第2配線電極20によって覆うことにより、第1誘電膜15及び基板12間への水分の侵入を防止し、さらには第1誘電膜15の外周を応力から保護することができる。
【0041】
なおも図1を参照すると、封止体17は、基板12の表面においてIDT電極13が弾性表面波を励振する励振空間16を封止する。封止体17は、例えば光硬化性ポリイミド樹脂又は光硬化性エポキシ樹脂によって形成することができ、中に(金属等の)補強部材を含み得る。封止体17は、側面から励振空間16を支持して励振空間16を封止する封止壁23を含む。封止壁23は、第2配線電極20の上に設けられ、突起22によってIDT電極13の励振領域から分離される。所定の例において、封止壁23は、封止体17と同じ材料から形成される。
【0042】
上述のように、突起22を含む配線電極14により、封止体17を形成する封止部材がIDT電極13の励振領域に入り込むことが防止されるので、弾性波デバイス11の励振特性の劣化を防止することができる。特に、封止壁23は、突起22を介してIDT電極13から離間されるので、封止体17が、IDT電極13の励振領域に入り込むことから防止され、弾性波デバイス11の信頼性が改善される。
【0043】
一例において、端子電極18は、封止体17の上面に設けられた金属製電極である。端子電極18は、柱状接続電極21を介して基板12上の配線電極14に接続され、外部回路(図示せず)とのインタフェイスをなす弾性波デバイス11の入力/出力端子又はグランド端子として動作することができる。封止体17の上面に端子電極18を設けて配線電極14を、接続電極21を介して端子電極18に接続することはさらに、弾性波デバイス11のサイズを低減することに寄与する。
【0044】
すなわち、まとめると上述のように、弾性波デバイス11は、基板12と、基板12の上に設けられたIDT電極13と、基板12の上に設けられてIDT電極13に接続された配線電極14と、外周に突起22を含む配線電極14と、IDT電極13が弾性波を励振する励振空間16を封止する封止体17と、配線電極14の上に設けられて封止体17の一部を形成する封止壁23とを含む。したがって、封止体17を形成する封止部材が、IDT電極13の励振領域に入り込まないようにできるので、弾性波デバイス11は、励振特性を劣化させることなく小型化することができる。
【0045】
さらに、弾性波デバイス11の所定の例において、配線電極14は、基板12の上面に設けられた第1配線電極19と、第1配線電極19の上面に設けられた第2配線電極20とを含むように構成され、第2配線電極20には外周に突起22が設けられる。したがって、IDT電極13に接続された配線電極14の厚さを、配線電極14の抵抗を低下させて弾性波デバイス11の損失を低減させるべく、さらにはIDT電極13から発生する熱を有効に放散させるべく、増加させることができるので、弾性波デバイス11の信頼性を改善することができる。さらに、第1配線電極19の配線パターンを第2配線電極20の配線パターンから独立して設計することができるので、封止壁23の位置決めに応じて突起22を配列することができる。
【0046】
加えて、弾性波デバイス11は、IDT電極13を覆い、さらには第1配線電極19の外周を覆う第1誘電膜15を含む。したがって、IDT電極13及び配線電極14は、腐食及び機械的応力から有効に保護されるので、弾性波デバイス11の信頼性を改善することができる。
【0047】
さらに、弾性波デバイス11において、第2配線電極20の一部分を、第1誘電膜15の上に設けることができる。その結果、第2配線電極20の当該一部分と、第1誘電膜15の下を通過する第1配線電極19との間において、当該配線が異なるレベルで互いに交差するように配列されるので、設計の自由度を容易に改善することができる。付加的に、第1誘電膜15の外周を、第2配線電極20によって覆うことができるので、第1誘電膜15は、水分及び応力から有効に保護され、弾性波デバイス11の信頼性が改善される。
【0048】
上述のように、弾性波デバイス11の所定の例において、突起22は、任意の付加的プロセスなしに突起22を形成し得るように、第1誘電膜15の外周の上に設けられる。特に、第1誘電膜15の外周の上に第2配線電極20を形成することにより、第1誘電膜15及び第2配線電極20間の厚さ方向に重なった構造を実現することができる。
【0049】
図2を参照すると、本発明の複数の側面に係る弾性波デバイス31の他実施形態が断面図で例示される。図1に示される実施形態の弾性波デバイス11の部品と共通する図2に示される弾性波デバイス31の部品は、同じ参照番号によって示され、さらには記載されない。図2に示される弾性波デバイス31は、第1誘電膜15及び第2配線電極20を覆う第2誘電膜32が存在する点で図1に示される弾性波デバイス11と異なる。
【0050】
弾性波デバイス11と同様、弾性波デバイス31においても、配線電極14の外周に形成された突起33を含むことにより、封止体17を形成する封止部材が、IDT電極13の励振領域に入り込むことが防止され得る。上述のように、これにより、弾性波デバイス31の励振特性の劣化が防止されるので、弾性波デバイスを小型化することが可能となる。
【0051】
弾性波デバイス31はさらに、第1誘電膜15及び第2配線電極20を覆う第2誘電膜32を含む。封止壁23は、図2に示されるように第2誘電膜32に配置される。このような位置に第2誘電膜23を設けることにより、IDT電極13の腐食の腐食を有効に防止することが援助され得る。さらに、第2配線電極20の腐食は、励振空間16に暴露される第2配線電極の一部分を第2誘電膜32が覆うことによって防止され得る。その結果、弾性波デバイス31の信頼性をさらに改善することができる。
【0052】
図3は、他実施形態に係る弾性波デバイス41の断面図を例示する。図1に示される実施形態の弾性波デバイス11及び/又は図2に示される実施形態の弾性波デバイス31の部品と共通する図4に示される弾性波デバイス41の部品は、同じ参照番号によって示され、さらには記載されない。図3に示される弾性波デバイス41は、第1誘電膜15及び第2誘電膜32が存在しない点で、図1に示される弾性波デバイス11とも、図2に示される弾性波デバイス31とも異なる。
【0053】
第1誘電膜15及び第2誘電膜32が弾性波デバイス41に存在しないにもかかわらず、配線電極14には、封止体17を形成する封止部材がIDT電極13の励振領域に入り込むことを防止するべく突起42が設けられるので、上述のように弾性波デバイス41は、励振特性を劣化させることなく小型化することができる。
【0054】
ここに記載される弾性波デバイスの実施形態及び例は、例えば無線通信デバイスのような様々な電子デバイスにおいて使用される電子部品として有用となり得る。
【0055】
図4Aを参照すると、所定の側面及び実施形態に係る弾性波デバイスの製造方法400の一例のフロー図が例示される。第1ステップ402は、圧電基板12を与えることを含む。上述のように、圧電基板は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶等のような圧電単結晶から作ることができる。ステップ403は、圧電基板12にIDT電極13を形成することを含む。上述のように、IDT電極13は、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、モリブデン、白金若しくはクロムのような単一の金属元素、若しくは主にこれらの元素の一以上から組成される合金、又はこれらの積層構造体から作ることができる。したがって、IDT電極13を形成するステップ403は、例えばスパッタリング、電気めっき等のような様々な周知の金属堆積技術のいずれかを、所望のIDT電極の形状を得るべく随意的にフォトリソグラフィ技術の補助を伴って使用することを含み得る。
【0056】
ステップ410は、圧電基板12の上面に配線電極14を形成することと、当該配線電極をIDT電極に接続することとを含む。上述のように、所定の例では、配線電極14は、IDT電極13と同じ又は類似する構成を有し得るので、例えば周知の金属堆積及びフォトリソグラフィ技術を使用して形成することができる。配線電極14が第1配線電極19と当該第1配線電極の上に第2配線電極20とを含む場合、第1配線電極19及びIDT電極13を同じステップにおいて形成することができる。ステップ410は、上述のように、IDT電極13の上の励振空間16の中に延びる突起22を配線電極14の外周に形成することを含む。
【0057】
ステップ404は、励振空間16を封止する封止構造体を形成することを含む。封止構造体を形成することは、励振空間16を支持かつ封止するべく封止体17及び封止壁23を形成することを含む。上述のように、突起22は、封止構造体が励振空間16の中に侵入するのを防止する。所定の例において、ステップ404は、例えば光硬化性ポリイミド樹脂又は光硬化性エポキシ樹脂のような、光硬化性又は感光性樹脂の封止体17及び封止壁23を形成することを含む。したがって、ステップ404は、周知のフォトリソグラフィ技術の補助によるパターニング方法を行うことを含み得る。詳しくは、ステップ404は、感光性樹脂の組成物を基板12及び/又は配線電極14の上面に塗布し、その後、露光、現像及び硬化のステップを使用して当該組成物をパターニングすることを含む。
【0058】
上述のように、図4Bを参照すると、所定の例において、方法400’はさらに、封止体17の上面に端子電極18を形成するステップ405を含む。一例において、端子電極18は金属から作られるので、ステップ405は、スパッタリング、電気めっき等を含むがこれらに限られない様々な周知の金属堆積技術のいずれかを使用して端子電極を形成することを含み得る。
【0059】
所定の例において、端子電極18は、柱状接続電極21を介して配線電極14に接続される。したがって、方法400’は、端子電極18を配線電極14に接続するステップ406を含み得る。ステップ406は、ステップ405に先立って、例えばエッチングにより、配線電極14の一部分を暴露する開口を封止体17に形成することを含み得る。一例において、ステップ405及び406は、開口に柱状接続電極21を形成することと、端子電極18を柱状接続電極21に接続することを含む。随意的に、開口に柱状接続電極21を形成することは、端子電極18を形成するプロセスの一部として行うことができる。代替的に、柱状接続電極21は、端子電極18の形成に先立って形成してよい。
【0060】
またも上述したように、所定の実施形態において、配線電極14は第1配線電極19及び第2配線電極20を含む。したがって、方法のいくつかの例において、配線電極を形成するステップ410は、図5に例示されるプロセスによって置換又は補完することができる。図5は、弾性波デバイスを製造する方法の一部分410’を例示するフロー図である。これは、図4A及び/又は4Bの方法のステップ410に含めることができる。
【0061】
図5を参照すると、ステップ412は、基板12の上面に第1配線電極19を形成することを含む。上述のように、第1配線電極19は、IDT電極13と同じステップにおいて形成することができる。ステップ416は、第1配線電極19の上に第2配線電極20を形成することを含む。上述のように、所定の実施形態において、例えば図3に示されるように、ステップ416は、第1配線電極19に第2配線電極20を形成することを含む。しかしながら、他例では、第2配線20の少なくとも一部分が、誘電膜によって第1配線電極19から分離される。したがって、方法410’は随意的に、例えば図1及び2に示されるように、第1配線電極19の外周を覆う第1誘電膜15を形成するステップ414を含み得る。所定の例において、誘電膜15は、例えばSiO膜のような絶縁膜である。ステップ414は、様々な周知の堆積技術のいずれか、随意的にパターニング技術を使用することを含み得る。第2配線電極を形成するステップ416は、例えば図1及び2に示されるように、第1誘電膜の外周の上に第2配線電極20の一部を形成して当該第1誘電膜が当該第1及び第2配線電極の部分間に位置決めされるようにすることを含む。
【0062】
方法400、400’及び/又は410はさらに随意的に、例えば図2に示されるように、第1誘電膜15及び第2配線電極20を覆う第2誘電膜32を形成するステップ418を含む。この例では、封止構造体を形成するステップ404は、第2誘電膜32に封止壁23を形成することを含み得る。
【0063】
上述のように、複数の側面及び実施形態により、励振特性を劣化させることなく小型化できる、信頼性及び/又は性能が改善された弾性波デバイスを実現することができる。本開示の利益があれば当業者にはわかることだが、弾性波フィルタ、アンテナデュプレクサ、モジュール又は通信デバイスのような部品又はデバイスを、例えば本開示に係る弾性波デバイスの実施形態を使用するように構成することにより、弾性波デバイスにより得られる利益を介して向上又は改善がされた特徴を有するそのような部品又はデバイスを実現することができる。
【0064】
一つの実施形態によれば、弾性波デバイスは、特性が改善されたアンテナデュプレクサを与えるべく使用することができる。図6は、ここに開示される弾性波デバイスの実施形態を組み入れることができるアンテナデュプレクサの一つの例のブロック図を例示する。アンテナデュプレクサ600は、共有アンテナ端子606に接続された送信フィルタ602及び受信フィルタ604を含む。送信フィルタ602は、当該送信フィルタを送信回路(図示せず)に接続する送信側端子603を含み、受信フィルタは、当該受信フィルタを受信回路(図示せず)に接続する受信側端子605を含む。送信フィルタ602及び受信フィルタ604の一方又は双方が、弾性波デバイス 11、31及び/又は41の一以上を含み得る。アンテナデュプレクサ600を、弾性波デバイス11、31及び/又は41を使用するように構成することにより、(上述された弾性波デバイスの特性改善に起因する)改善した特性及び向上した性能を有するアンテナデュプレクサを実現することができる。
【0065】
さらに、弾性波デバイス11、31、41の実施形態は随意的に、例えば、究極的には無線通信デバイスのようなデバイスとして使用され得るモジュールに、アンテナデュプレクサ600の一部として組み入れられるので、性能が向上したモジュールを与えることができる。図7は、弾性波デバイス11、31及び/又は41を含むモジュール700の一例を例示するブロック図である。モジュール700はさらに、信号相互接続を与える接続部702と、回路のパッケージングのための、例えばパッケージ基板のようなパッケージング704と、例えば増幅器、前置フィルタ、変調器、復調器、ダウンコンバータ等のような、ここでの開示に鑑みて半導体製造業の当業者にとって周知の他の回路ダイ706とを含む。所定の実施形態において、モジュール700における弾性波デバイス11、31又は41は、例えばRFモジュールを与えるべく、アンテナデュプレクサ600に置換することができる。
【0066】
さらに、弾性波フィルタ及び/又はアンテナデュプレクサを、弾性波デバイス11、31及び/又は41の実施形態を使用するように構成することで、これらを使用して性能が向上した通信デバイスを実現するとの効果を達成することができる。図8は、上述された一以上の弾性波デバイス11、31及び/又は41を組み入れたアンテナデュプレクサ600を含み得る通信デバイス800の一例(例えば無線又は携帯デバイス)の模式的なブロック図である。通信デバイス800は、例えばマルチバンド/マルチモード携帯電話のようなマルチバンド及び/又はマルチモードデバイスを表し得る。所定の実施形態において、通信デバイス800は、アンテナデュプレクサ600と、送信側端子603を介して当該アンテナデュプレクサに接続された送信回路802と、受信側端子605を介してアンテナデュプレクサ600に接続された受信回路804と、アンテナ端子606を介して当該アンテナデュプレクサに接続されたアンテナ806とを含み得る。送信回路802及び受信回路804は、アンテナ806を介して送信されるRF信号を生成し得る送受信器の一部としてよく、アンテナ806から入来するRF信号を受信してよい。通信デバイス800はさらに、制御器808、コンピュータ可読媒体810、プロセッサ812及び電池814を含み得る。
【0067】
理解されることだが、RF信号の送受信に関連づけられた様々な機能は、送信回路802及び受信回路804として図8に表される一以上の部品によって達成することができる。例えば、単一の部品を、送信及び受信双方の機能を与えるように構成してよい。他例において、送信及び受信の機能は別個の部品によって与えてよい。
【0068】
同様に理解されることだが、RF信号の送受信に関連づけられた様々なアンテナ機能は、アンテナ806として図8に集合的に表された一以上の部品によって達成することができる。例えば、単一のアンテナを、送信及び受信双方の機能を与えるべく構成することができる。他例において、送信及び受信の機能は、別個のアンテナによって与えることができる。通信デバイスがマルチバンドデバイスであるさらなる他例において、通信デバイス800に関連づけられた異なるバンドに、異なるアンテナを与えることができる。
【0069】
受信経路と送信経路とのスイッチングを容易にするべく、アンテナデュプレクサ600は、選択された送信又は受信の経路にアンテナ806を電気的に接続するように構成することができる。すなわち、アンテナデュプレクサ600は、通信デバイス800の動作に関連づけられた一定数のスイッチング機能を与えることができる。加えて、上述のように、アンテナデュプレクサ600は、RF信号をフィルタリングするべく構成された送信フィルタ602及び受信フィルタ604を含む。上述のように、送信フィルタ602及び受信フィルタ604の一方又は双方は、弾性波デバイス11、31及び/又は41の実施形態を含むことにより、弾性波デバイス11、31及び/又は41の実施形態を使用して達成される小型化及び接続信頼性改善の能力の利益を介して特徴及び/又は性能を向上させることができる。
【0070】
図8に示されるように、所定の実施形態では、制御器808は、アンテナデュプレクサ600及び/又は他の動作部品(複数可)の動作に関連づけられた様々な機能を制御するべく設けることができる。所定の実施形態において、プロセッサ812は、通信デバイス800を動作させる様々なプロセスの実装を容易にするべく構成することができる。プロセッサ812によって行われるプロセスを、コンピュータプログラム命令によって実装することができる。かかるコンピュータプログラム命令は、機械をもたらす汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに与えることができる。コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される当該命令によって、通信デバイス800を動作させるメカニズムが作り出される。所定の実施形態において、かかるコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体810に記憶することもできる。電池814は、通信デバイス800における使用に適切な任意の電池であり、例えばリチウムイオン電池を含み得る。
【0071】
少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面が上述されたが、様々な改変、修正及び改善が当業者に容易に想起されることがわかる。かかる改変、修正及び改善は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内にあるものと意図される。したがって、上記説明及び図面は単なる例であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等の適切な構築から決定するべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8