【実施例】
【0028】
本願発明の吸水性包帯(3)を作製する基本的な方法のひとつとして、吸水性包帯片(1)と包帯紐(2)を同一の包帯素材から作製する方法がある。
この場合、吸水性素材(6)を前記包帯素材の上に複数箇所配置し、前記包帯素材を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施し、前記包帯素材の重ね合わせの間の空間に、吸水性素材(6)が複数箇所配置されている状態を形成する。この吸水性素材(6)が外に出ないようにその周囲に対し、超音波エネルギーを付与することで接合するかもしくは接着剤で接着するか等の接続手段を施し、さらに切れ目もしくはミシン目等の切り離し手段を施すことで吸水性包帯片(1)複数個と包帯紐(2)とから成る吸水性包帯(3)を作製する。
この作製方法においては包帯紐(2)は吸水性包帯片(1)と同一の包帯素材であるから通気性があり水分も通過する素材により成る紐であることになる。
図1から
図3の吸水性包帯(3)はこの作製方法によるものであり、
図2はその作製工程例を示すものである。
【0029】
また、本願発明の吸水性包帯(3)の他の基本的な作製方法として、吸水性包帯片(1)複数個と包帯紐(2)を別々に作製して、これらをつなげて、つながりの箇所に切れ目もしくはミシン目等の切り離し手段を施して吸水性包帯(3)を作製する方法がある。
この場合、吸水性素材(6)を包帯素材の上に配置し、前記包帯素材を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施し、前記包帯素材の重ね合わせの間の空間に、吸水性素材(6)が配置されている状態を形成する。この吸水性包帯片(1)の内部の吸水性素材(6)が外に出ないようにその周囲に対し、超音波エネルギーを付与することで接合するかもしくは接着剤で接着するか等の接続手段を施す。このようにして出来た吸水性包帯片(1)の複数個と包帯紐(2)をつなげて吸水性包帯(3)を作製する。さらにつながりの箇所に切れ目もしくはミシン目等の切り離し手段を施す。
この作製方法においては包帯紐(2)は通気性があり水分も通過する素材により成る紐か、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る紐か、どちらかを選択可能であ
る。
図4から
図6の吸水性包帯(3)はこの作製方法によるものであり、
図5はその作製工程例を示すものである。
【0030】
本願発明の吸水性包帯(3)を作製するに当たっては、前記の2つの基本的な作製方法があり、またこれらの作製方法を組み合わせて吸水性包帯(3)を作製することも出来る。このようにして、吸水性包帯片(1)と包帯紐(2)の素材、形、大きさ、数、およびそれらがつながる箇所と方法、吸水性素材(6)の種類と量、これらを様々に工夫することにより、
図1から
図6の実施例に示すように、吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりすることが出来るという本願発明の特徴を持った様々な吸水性包帯(3)を作製することが出来る。
これらの作製方法および図からも分かるように本願発明の吸水性包帯(3)は構成および構造がシンプルであり、かつその作製方法には特別に複雑な作製工程は含まれない。従って当該用品を作製する側面において持つべき特徴を有している。
【0031】
次に
図1から
図6について説明する。
図1は本願発明の吸水性包帯(3)の例である。
図1の図中の図(1)は正面図である。図(1)は複数の吸水性包帯片(1)と1本の包帯紐(2)とが同一素材で連続することでつながって吸水性包帯(3)が構成されていることを示している。
各吸水性包帯片(1)と包帯紐(2)とのつながりの箇所には切り離し手段として切れ目(4)が施してある。図中で切れ目(4)に対して符号4を付与しているが、全ての切れ目(4)に対して符号4を付与しているものではない。これは図が煩雑になることを回避するためであることを了解されたい。他の図においても図の煩雑性を回避するために一部の符号を省略することがあるが了解されたい。
また図(1)では包帯紐(2)を指し示す符号2の複数個が記載されているが、これは包帯紐(2)が複数本あるということではなく包帯紐(2)は1本のみである。この記載方法については他の図でも同様な場合がある。
大きさとしては、吸水性包帯(3)の幅はおおよその目安として約1センチメートルから約1.5センチメートルである。これはおおよその目安であり、吸水性包帯(3)の幅はこれよりも太くとも細くともよい。このことは他の例でも同様である。吸水性包帯(3)の長さはおおよその目安として約30センチメートルから約40センチメートルである。これはおおよその目安であり、用品として提供する長さはこれに限らずより長い長さでもより短い長さでもよい。長い場合は使用者がこれを切って適切な長さにして用いることが出来る。このことは他の例でも同様である。
包帯紐(2)の幅はおおよその目安として約0.3センチメートルから約0.6センチメートルである。これはおおよその目安であり、包帯紐(2)の幅はこれよりも太くとも細くともよい。このことは他の例でも同様である。
包帯紐(2)の長さは吸水性包帯(3)の長さと意味的にはほぼ同等であるので長さはほぼ吸水性包帯(3)と同じである。なお、吸水性包帯(3)の端において吸水性包帯片(1)がなく包帯紐(2)のみがやや長めに余裕を持ってあるような形態も作製可能である。この場合、吸水性包帯(3)を足指に巻く際に、最も端の吸水性包帯片(1)を足指に巻いた後にさらに端の包帯紐(2)の余裕の部分を足指に巻くことで、前記の最も端の吸水性包帯片(1)をしっかりとずれないように巻くことができる。このことは他の例でも同様である。
また包帯紐(2)の厚さはごく薄いものであり、薄口の不織布や紙程度かまたはそれよりも薄く、靴下よりも薄いものが好適である。これはおおよその目安であり、その厚さはこれよりも厚くとも薄くともよいものとするが、包帯紐(2)は足指に巻いたときに痛みを感じない程度の薄さを持つ必要がある。このことは他の例でも同様である。
吸水性包帯片(1)の長さはおおよその目安として約1センチメートルから約10センチ
メートルである。これはおおよその目安であり、吸水性包帯(3)の長さはこれよりも長くてもまたは短くてもよい。このことは他の例でも同様である。
図(1)は吸水性包帯片(1)の長さがそれぞれ同じである例であるが、それぞれの長さが異なっているようにしてもよい。このことは他の例でも同様である。
また、吸水性包帯(3)を構成する吸水性包帯片(1)および包帯紐(2)は、すなわちそれらを構成する包帯素材は、足指にあてがい巻いて適用し一日を過ごしたときに破れない程度の強度を持つ必要がある。しかしそのために極端に厚さが増えたりしてはならないし、また硬い包帯素材を用いてはならない。本願発明の吸水性包帯(3)を足指に適用するとき、痛みを回避するために、使用者は各吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりすることが出来るのであるが、そうであるとしても当該用品は足指にあてがい巻いて適用し一日を過ごしたときに不快感がない程度の柔らかさを持つ必要がある。その包帯素材の厚さや強度や柔らかさは例えば市販の紅茶バッグの不織布等が参考となる。
なお、本願発明の吸水性包帯(3)を構成する包帯素材の厚さや強度や柔らかさの度合い、および吸水性包帯片(1)および包帯紐(2)の厚さや強度や柔らかさの度合いについては、これらは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0032】
図1の図中の図(2)は図(1)のA−A断面図である。この例では吸水性包帯片(1)が不織布(7)で出来ていること、そしてその中に吸水紙(5)があり、さらにその中に吸水性素材(6)が配置されていることを示している。吸水性素材(6)とは例えば高吸水性高分子化合物と綿状パルプの混合体である。
当該図中の図(3)は上から見た平面図である。吸水性包帯片(1)毎に膨らみ、その間のつながりの部分は厚さが薄い。これは各吸水性包帯片(1)の周辺で中の吸水性素材(6)が外に出ないように前記の接続手段により接合または接着しているためである。
吸水性包帯(3)の厚い部分の厚さはおおよその目安として約0.3センチメートルから約0.6センチメートルである。これはおおよその目安であり、吸水性包帯(3)の厚さはこれよりも厚くてもまたは薄くてもよい。このことは他の例でも同様である。
上記の大きさの数値はおおよその目安であり、老若男女の足指にあてがい巻いて適用するのに適切な大きさとするものとする。
当該図中の図(4)は、吸水性包帯(3)の吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりする様子を示している。切り離した吸水性包帯片(1)は図に含めていない。切り離した吸水性包帯片(1)を図に含めない点については以下の他の例でも同様である。
足指に適用する場合、図(1)の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用するのであるが、必要に応じて図(4)のように吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりして適用することが出来る。
当該図中の図(5)は、前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用した例を示す。右図が右足の甲の側から見た図であり、左図が右足の裏の側から見た図である。図(5)では親指および小指の側面で靴に当たる側の2つの吸水性包帯片(1)を切り離して適用した例を示している。また、吸水性包帯(3)の両端の始末は吸水性包帯(3)自身に絡めて収めるなどの簡単な方法で済ませることが出来ることを示している。
【0033】
図2は
図1の吸水性包帯(3)を作製する工程の例である。
図2の図中の図(1)は不織布(7)の上に吸水紙(5)を配置し、その吸水紙(5)の上に吸水性素材(6)、例として高吸水性高分子化合物と綿状パルプの混合体を配置した状態である。
当該図中の図(2)は図(1)を折り畳んだ様子を表している。図(1)における吸水紙(5)と吸水性素材(6)は内側にあるために見えない様子を表している。
当該図中の図(3)は図(2)の各吸水性包帯片(1)に当たる部分の周辺を超音波エネ
ルギーによって接合した状態を示している。接合部分の位置を説明するためにその位置を図中に接合部分(8)として点線で示している。図では点線で示してあるが実際は接合部分(8)そのものに隙間はなく、接合したことにより内部の吸水性素材(6)が外に出ないようにする。次に切れ目(4)を施すが、切れ目(4)を施した部分において接合部分(8)が切れて内部の吸水性素材(6)が外に出ないようにするため接合部分(8)は適切な幅を持つ必要がある。
当該図中の図(4)は図(3)の吸水性包帯片(1)の周辺に切り離し手段として切れ目(4)を施した状態であり、吸水性包帯(3)が完成した状態である。この図(4)は
図1の図(1)に同じである。
当該図中の図(5)は図(3)のB−B断面図である。この例では吸水性包帯片(1)としては不織布(7)で出来ていること、その中に吸水紙(5)があり、さらにその中に吸水性素材(6)が配置されていることを示している。
当該図中の図(6)は図(3)のB−B断面図であるが、図(1)において吸水紙(5)を省略した場合の例を示している。
当該図中の図(7)は図(3)のB−B断面図であるが、図(1)において吸水紙(5)の変わりに立毛不織布(10)を用い、吸水性素材(6)として高吸水性高分子化合物の粒状体のみを用いた場合の吸水性包帯片(1)の断面図を示している。高吸水性高分子化合物の粒状体は図中で高吸水性高分子化合物粒状体(9)として示している。立毛不織布(10)とは表面が毛羽立つ不織布であり、少なくとも片面、すなわち高吸水性高分子化合物の粒状体が接する側の面の繊維が毛羽立っている必要がある。図(7)ではその様子を示している。また図(7)では高吸水性高分子化合物粒状体(9)は点描により示している。
【0034】
図3は
図1の吸水性包帯(3)の例と類似した他の例を示している。
図3の図中の図(1)は、複数の吸水性包帯片(1)が包帯紐(2)と同一素材で連続することでつながって構成されている状態を示している。複数の吸水性包帯片(1)と包帯紐(2)の境には切り離し手段としてミシン目(11)が施されている。
当該図中の図(2)は、吸水性包帯(3)の吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したり出来る様子を示している。
使用者は、図(1)の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用するが、必要に応じて図(2)のように吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりして適用することが出来る。
前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用した状態は
図1の図(5)にほぼ同様であるので省略している。
図3は
図1に類似の製品であるため、正面図は示したが断面図や上方から見た平面図は省略している。
【0035】
図4は本願発明の吸水性包帯(3)の別の例である。
図4の図中の図(1)は正面図である。図(1)では複数の吸水性包帯片(1)が1本の包帯紐(2)と接続することでつながって構成されている状態を示している。つながりの箇所に切り離し手段としてミシン目(11)が施してある。以下
図4から
図6のどれもつながりの箇所に切り離し手段としてミシン目(11)が施してある。
当該図中の図(2)は図(1)のC−C断面図である。この例では吸水性包帯片(1)が不織布(7)で出来ていること、そしてその中に吸水紙(5)があり、さらにその中に吸水性素材(6)が配置されていることを示している。吸水性素材(6)とは例えば高吸水性高分子化合物と綿状パルプの混合体である。
当該図中の図(3)は上から見た平面図である。吸水性包帯片(1)毎に膨らむ様子があるが、これは各吸水性包帯片(1)の周辺で中の吸水性素材(6)が外に出ないように前記の接続手段により接合または接着しているためである。
当該図中の図(4)は、吸水性包帯(3)の吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動か
したり、切り離したりする様子を示している。
足指に適用する場合、図(1)の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用するのであるが、必要に応じて図(4)のように吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりして適用することが出来る。
当該図中の図(5)は、前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用した例を示す。右図が右足の甲の側から見た図であり、左図が右足の裏の側から見た図である。図(5)では親指および小指の側面で靴に当たる側の2つの吸水性包帯片(1)を切り離した吸水性包帯(3)を適用した様子の例を示している。また、吸水性包帯(3)の両端の始末は吸水性包帯(3)自身に絡めて収めるなどの簡単な方法で済ませることが出来ることを示している。
吸水性包帯片(1)、包帯紐(2)、および吸水性包帯(3)の長さ、幅、厚さ等については、
図1における説明と同様であるので
図1の説明を参照されたい。
【0036】
図5は
図4の吸水性包帯(3)を作製する工程の例である。
図5の図中の図(1)は不織布(7)の上に吸水紙(5)を配置し、その吸水紙(5)の上に吸水性素材(6)、例として高吸水性高分子化合物と綿状パルプの混合体を配置した状態である。
当該図中の図(2)は図(1)を折り畳んだ様子を示している。図(1)における吸水紙(5)と吸水性素材(6)は内側にあるために見えない様子を表している。
当該図中の図(3)は図(2)の吸水性包帯片(1)の周辺を超音波エネルギーによって接合した状態を示している。接合部分の位置を説明するためにその位置を図中に接合部分(8)として点線で示している。図では点線で示してあるが実際は接合部分(8)そのものに隙間はなく、接合したことにより内部の吸水性素材(6)が外に出ないようにする。当該図中の図(4)は図(3)の吸水性包帯片(1)のひとつを包帯紐(2)につなげた状態である。つながりの箇所に切り離し手段としてミシン目(11)が施してある。
同様にして複数の吸水性包帯片(1)を作製し前記包帯紐(2)に次々とつなげることで吸水性包帯(3)が完成する。当該図の例では完成した吸水性包帯(3)は
図4の図(1)に相当する。
当該図中の図(5)は図(3)のD−Dの断面図である。この例では吸水性包帯片(1)としては不織布(7)で出来ていること、その中に吸水紙(5)があり、さらにその中に吸水性素材(6)が配置されていることを示している。
当該図中の図(6)は図(3)のD−D断面図であるが、図(1)において吸水紙(5)を省略した場合の例を示している。
当該図中の図(7)は図(3)のD−D断面図であるが、図(1)において吸水紙(5)の変わりに立毛不織布(10)を用い、吸水性素材(6)として高吸水性高分子化合物の粒状体のみを用いた場合の吸水性包帯片(1)の断面図を示している。図(7)の断面図は
図2の図(7)と類似であるので、
図2の図(7)の説明を参照されたい。
【0037】
図6は
図4の吸水性包帯(3)の例と類似した他の例を示している。
図6の図中の図(1)は、複数の吸水性包帯片(1)が包帯紐(2)と組み合わすことでつながって構成されている状態を示している。各吸水性包帯片(1)にはその端に2箇所、穴が施してあり、包帯紐(2)がその穴を通っている。各吸水性包帯片(1)の端の穴のあるつながりの箇所に切り離し手段としてミシン目(11)が施してある。
当該図中の図(2)は、吸水性包帯(3)の吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したり出来る様子を示している。
使用者は、図(1)の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用するが、必要に応じて図(2)のように吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりして適用することが出来る。
前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用した状態は
図4の図(5)にほぼ同様であるので省略している。
図6は
図4に類似の製品であるため、正面図は示したが断面図や上方から見た平面図は省略している。
【0038】
以上、
図1から
図6により吸水性包帯(3)の形態とその作製の例を示した。
このようにして、吸水性包帯片(1)と包帯紐(2)の素材、形、大きさ、数、およびそれらがつながる箇所と方法、吸水性素材(6)の種類と量、これらを様々に工夫することにより、
図1から
図6の実施例に示すように、吸水性包帯片(1)を部分的に切り離し動かしたり、切り離したりすることが出来るという本願発明の特徴を持った様々な吸水性包帯(3)を作製することが出来る。
このように作製された本願発明の用品すなわち吸水性包帯(3)は、構成および構造がシンプルであり、そのため作製も容易であり、そして最も重要であることとして足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品が持つべき前記の特徴の全てを有している。