特許第6201225号(P6201225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201225
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-124038(P2016-124038)
(22)【出願日】2016年6月23日
(62)【分割の表示】特願2014-131774(P2014-131774)の分割
【原出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-165623(P2016-165623A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
【審査官】 中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−115323(JP,A)
【文献】 特開2002−143450(JP,A)
【文献】 特開2002−315907(JP,A)
【文献】 特開2002−028314(JP,A)
【文献】 特開2012−034827(JP,A)
【文献】 特開2002−085714(JP,A)
【文献】 特開2013−013495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者に有利な特典を付与するか否かを表示装置に表示される複数の識別図柄の組み合わせで報知する報知手段と、
前記表示装置に表示される複数の識別図柄の組み合わせが変化する結末に至る可能性がある図柄組み合わせ変化演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記図柄組み合わせ変化演出は、
変化前の組み合わせを構成する複数の識別図柄と、当該複数の識別図柄のそれぞれに対応する付随図柄が表示された第一段階と、
前記第一段階の後、前記付随図柄の少なくともいずれかが移動する第二段階と、
前記第二段階の後、移動した前記付随図柄に伴うように当該付随図柄に対応する前記識別図柄が移動する第三段階と、
を経て複数の識別図柄の組み合わせが変化する結末に至ることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別図柄とそれに付随する付随図柄が設定された遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、数字図柄である識別図柄が停止した後に配列が変化し、当該変化した後、一の識別図柄が再度変動する演出が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−85714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記演出は、識別図柄が入れ替わるだけであり、趣向性に乏しいものがある。
【0005】
本発明は、識別図柄が入れ替わる演出を実行可能な遊技機において、当該演出の趣向性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、遊技者に有利な特典を付与するか否かを表示装置に表示される複数の識別図柄の組み合わせで報知する報知手段と、前記表示装置に表示される複数の識別図柄の組み合わせが変化する結末に至る可能性がある図柄組み合わせ変化演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記図柄組み合わせ変化演出は、変化前の組み合わせを構成する複数の識別図柄と、当該複数の識別図柄のそれぞれに対応する付随図柄が表示された第一段階と、前記第一段階の後、前記付随図柄の少なくともいずれかが移動する第二段階と、前記第二段階の後、移動した前記付随図柄に伴うように当該付随図柄に対応する前記識別図柄が移動する第三段階と、を経て複数の識別図柄の組み合わせが変化する結末に至ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明にかかる遊技機では、識別図柄の組み合わせの変化は、付随図柄の移動に伴って識別図柄が移動することにより生ずるものであるから、付随図柄が移動しようとした際に遊技者の興味を惹く、趣向性の高い演出とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】一の識別図柄群を構成する識別図柄およびそれに付随する付随図柄の一覧図である。
図3】擬似連続演出とともに実行される図柄態様変更演出の具体例を説明するための図である。
図4】擬似連続演出とともに実行される図柄態様変更演出の具体例を説明するための図(図3の続き)である。
図5】連続目の態様(所定の組み合わせ態様)を変動開始態様として設定する点を説明するための図である。
図6】図柄態様変更演出が発生したにも拘わらず、特別図柄が特定位置に位置する組み合わせに変化しなかった場合(失敗演出)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。遊技盤90に形成された開口901を通じて表示画面が視認可能である表示装置10は、例えば液晶表示装置が用いられる。本実施形態では、表示装置10を用いて当否判定結果の報知や、種々の演出が実行される。当該演出の一つとして、詳細を後述する図柄態様変更演出が実行される。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、図示されない発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。遊技球が始動入賞口904、905に入賞したときに、当否判定手段によって大当たり(本発明における有利な特典に相当する)となるか否かの抽選がなされる。大当たりとなると、上記大入賞口906が頻繁に開放し、遊技者は多くの遊技球を獲得することができる。その他、以下で説明する図柄態様変更演出以外の構成は、どのようなものであってもよい(公知の遊技機と同様のものが適用できる)ため、説明は省略する。
【0013】
以下、表示装置10を用いて実行される図柄態様変更演出について説明する。なお、以下で説明する図柄態様変更演出を実行することが可能なものであれば、その演出を制御するものの構造(演出(表示装置10)を制御する基板の構造や種類等)や、演出の決定(抽選)方法等はどのようなものであってもよいため、かかる点についての説明は省略する(公知の演出を決定する手法、演出を制御する手法を用いることができる)。
【0014】
当否判定手段による当否判定結果(遊技者に有利な特典を付与するか否か)は、識別図柄20の組み合わせによって報知される(識別図柄20を用いて当否判定結果を報知する手段が、本発明における報知手段に相当する)。なお、識別図柄20の組み合わせとは、識別図柄20の配列を考慮したものをいう(以下同じ)。つまり、ある識別図柄20の組み合わせを構成する図柄の種類が全く同じであっても、その順序が異なる場合には、組み合わせが異なるものとする。
【0015】
本実施形態における識別図柄20は、「1」〜「9」の数字が付された図柄である(図では、丸の中に数字が付された図柄を識別図柄20として示す)。また、本実施形態では、「1」〜「9」の識別図柄20を含む識別図柄20群は三つ設定されており、当否判定結果が報知される際に変動表示される。なお、識別図柄20の数は適宜変更可能である。最終的に停止した識別図柄20の組み合わせ(各識別図柄20群から一つずつ選択されて停止した三つの識別図柄20の組み合わせ)が所定の組み合わせとなったとき(例えば同じ識別図柄20の三つ揃い)には大当たりとなり、それ以外の場合にははずれとなる。
【0016】
図2に示すように、各識別図柄20には、付随する付随図柄30が設定されている。ここで、「付随」とは、識別図柄20とともに変動する、という意味である。遊技者が、付随図柄30がある特定の識別図柄20に付随することが理解できれば、識別図柄20と付随図柄30が離れて変動してもよい。本実施形態では、識別図柄20「1」〜「9」のそれぞれに付随する付随図柄として、キャラクタ図柄である付随図柄30「A」〜「I」が設定されている。
【0017】
このような付随図柄30を用いて図柄態様変更演出が実行される。本実施形態における図柄態様変更演出は、いわゆる擬似連続演出の一部として実行される(図柄態様変更演出を経た擬似連続演出を実行する手段が本発明における設定手段に相当する)。擬似連続演出は、ある一つの当否判定結果を報知するに際し、変動する識別図柄20および付随図柄30を一または複数回仮停止(擬似停止)させて、その回数(連続回数;以下、仮停止が発生しないときには連続回数1回、仮停止が1回発生するときには連続回数2回・・・というように設定されているものとする)によって大当たりとなる蓋然性(いわゆる期待度)を示唆するものである。換言すれば、演出の継続性を担保しつつ、仮停止した後、再変動することが一または複数回繰り返され、その繰り返し回数によって大当たりとなる蓋然性を示唆するものである。本演出においては、連続回数(繰り返し回数)が多くなればなるほど、大当たりとなる蓋然性が高まるように設定される。
【0018】
なお、本実施形態における仮停止は、識別図柄20およびそれに付随する付随図柄30の少なくともいずれか一方が、微妙に揺動する態様の停止である。停止したかのように見せて識別図柄20および付随図柄30の少なくともいずれか一方が微妙に動いている態様のものであれば仮停止はどのような態様であってもよい。
【0019】
本実施形態における擬似連続演出では、仮停止した識別図柄20の組み合わせが、同じ図柄の三つ揃い等、大当たりであることが確定する組み合わせ以外の所定の組み合わせ(以下、連続目と称することもある)となったときに、再び変動する(このように仮停止後再び変動することを、演出が継続する、と称することもある)。一方、大当たりであることが確定する組み合わせ以外の組み合わせおよび上記所定の組み合わせ以外の組み合わせ(以下、非連続目と称することもある)となった場合には、そのまま停止する(はずれであることが報知される)ように構成されている。したがって、連続目が仮停止した場合には、遊技者にとって有利な遊技の進行の可能性が生じ、非連続目が停止した場合にはその可能性が無くなることとなる。
【0020】
本実施形態における連続目は、仮停止した三つの識別図柄20のうちの中央(以下中リールと称することもある。また、左側を左リール、右側を右リールと称することもある)に「7」の識別図柄20が位置したものであり、それ以外は非連続目となる。このように、本実施形態では、複数の識別図柄20のうちの少なくとも一部が特別図柄として設定され、当該特別図柄が仮停止した識別図柄20の配列上の特定位置(本実施形態では中リール)に位置したときに、演出が継続するように設定されている。
【0021】
以下、擬似連続演出に用いられた図柄態様変更演出の具体例について説明する。ある当否判定結果を報知するに際し、識別図柄20およびそれに付随する付随図柄30が変動を開始する(図3(a)参照)。所定時間変動した後、各識別図柄20群に含まれる一の識別図柄20が仮停止(以下一次仮停止という。後述する二次仮停止の前の仮停止という意味である。)する(図3(b)参照)。本実施形態では、一次仮停止した三つの識別図柄20のうちのいずれかが「7」の識別図柄20であった場合に、演出が継続すること、すなわち連続目となる可能性がある。なお、一次仮停止した三つの識別図柄20のいずれもが「7」の識別図柄20でなかった場合には、演出が継続する可能性が無くなる。つまり、非連続目であることが確定する。
【0022】
一次仮停止時の中リール(特定位置)に特別図柄である「7」の識別図柄20が位置している場合には、連続目が仮停止したとして演出が継続する。一方、一次仮停止時の中リール(特定位置)に「7」の識別図柄20が位置していない場合、すなわち、特定位置ではない左リールや右リールに「7」の識別図柄20が位置している場合には、一見すると非連続目が停止したかのように感ずる。ここで、本実施形態では、仮停止した識別図柄20のうちに特別図柄が含まれるものの、その特別図柄が特定位置に位置していない非連続目が一次仮停止した場合に、その仮停止形が変化する場合がある。かかる演出が図柄態様変更演出である。
【0023】
図柄態様変更演出は次のようなものである。図3(b)に示すように、一次仮停止した識別図柄20の組み合わせが左から「7」「1」「3」であったとする。つまり、特別図柄である「7」の識別図柄20が仮停止しているものの、その位置が特定位置である中リールではないため、そのままであれば非連続目となる仮停止態様である。
【0024】
このような組み合わせで一次仮停止した後、キャラクタ図柄である付随図柄30が識別図柄20と分離し(図3(c)参照)、付随図柄30の少なくとも一部が移動しようとする。例えば、左リールと右リールのキャラクタ図柄が入れ替わるように移動したり(図3(d)、(e)参照)、中リールと左または右リールのキャラクタ図柄が入れ替わるように移動したり(図3(f)、図4(a)参照)する。各キャラクタが押し合うような表示をしてもよい。このように付随図柄30が一または複数回入れ替わるように移動すると、それに伴って各付随図柄30に対応する識別図柄20が移動する(あくまで先に移動するのは付随図柄30である)。このようにして、特別図柄である「7」の識別図柄20が、最終的に特定位置である中リールに位置した仮停止状態となったとき(図4(a)参照)、すなわち一次仮停止の後の二次仮停止の態様として連続目となったとき(成功演出が発生したとき)、演出が継続することとなる。つまり、二次停止後、再び各識別図柄20群が変動を開始する(図4(b)、(c)参照)。
【0025】
ここで、識別図柄20が連続目で二次仮停止した後、再び各識別図柄20群を変動させる際には、識別図柄20が一次仮停止したとき組み合わせに戻さず、そのまま連続目の態様を変動開始態様として維持させる。具体的には、例えば一次仮停止時の識別図柄20の組み合わせが左から「7」「1」「3」であり、二次仮停止時の識別図柄20の組み合わせが左から「3」「7」「1」であった場合、当該「3」「7」「1」の態様を変動開始態様として設定する。
【0026】
したがって、変動のスクロール方向が識別図柄20の数字が増加していく方向であれば、変動開始態様である「3」「7」「1」(図5(a)参照)から「4」「8」「2」(図5(b)参照)→「5」「9」「3」(図5(c)参照)・・・というように変動していく。識別図柄20の数字が減少増加していく方向であれば、変動開始態様である「3」「7」「1」から「2」「6」「9」→「1」「5」「8」・・・というように変動していく。
【0027】
このように、識別図柄20が一次仮停止したとき組み合わせに戻さず、そのまま連続目の態様を変動開始態様として維持させることで、変動の再開をスムーズなものとすることが可能である。また、一次仮停止したときの組み合わせを一時的に記憶させておく必要がないため、演出制御上の負担を小さくすることが可能である。
【0028】
一方、図6に示すように、付随図柄30が移動することに伴って識別図柄20が移動した、または付随図柄30が移動しようとした結果(図6(a)参照)、特別図柄である「7」の識別図柄20が特定位置である中リールに位置した仮停止状態とならない場合(失敗演出)(図6(b)参照)が発生することもある。つまり、予め演出を継続させないことが決定されているときであって、図柄態様変更演出を発生させる場合には、特別図柄である「7」の識別図柄20が特定位置である中リールに位置した仮停止状態とならないように設定されている。したがって、遊技者は、図柄態様変更演出が発生したとき、特別図柄である「7」の識別図柄20に付随する付随図柄30であるキャラクタ「G」が、中リールに移動することを願いつつ演出を見守ることとなる。なお、かかる図柄態様変更演出は、専用の演出で(画面が切り替わる等して)実行されるようにしてもよい。
【0029】
連続目が仮停止した後、再び各識別図柄20群が変動を開始したときには、演出の継続性を保つ表示がなされる。遊技者が、ある当否判定結果を報知する演出が継続していることを理解できる表示であれば、その態様はどのようなものであってもよい。例えば、図4(b)に示すように「継続」といった表示をしたり、図4(c)に示すように「×2」といった表示をしたりする。なお、「×n(nは自然数)」は、連続回数がn回目であることを示す表示である。また、最初の変動時に表示されていたムービーが、次の変動開始時にそのまま継続する、といった演出とすることにより、演出の継続性を担保してもよい。
【0030】
このように、擬似連続演出では、演出の継続性を保ちつつ連続目で仮停止(二次仮停止)した複数の識別図柄20群を再び変動させることを一または複数回繰り返す。その繰り返し回数によって、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性を遊技者に示唆する。なお、本例は、特別図柄を含む非連続目で一次仮停止した後、図柄態様変更演出によって連続目に変化するものであるが、一連の擬似連続演出において、図柄態様変更演出を経ずに連続目が停止することがあってもよい。
【0031】
このような演出の継続が一または複数回発生(連続回数は当否判定結果を踏まえて予め決定される)した後、いわゆるリーチ演出を経て(図4(d)参照)、当否判定結果が大当たりである場合には、大当たりであることが報知される(図4(e)参照)。大当たりでない場合には、はずれであることが報知される(図4(f)参照)。
【0032】
上記具体例では、特別図柄である「7」の識別図柄20が特定位置である中リールに位置した態様が連続目であることを説明したが、これはあくまで一例であり、連続目の態様はこのようなものに限られない。例えば、左から識別図柄20が順番に並んだ態様「1」「2」「3」や「5」「6」「7」(いわゆる順目)を連続目として設定してもよい。この場合、一次仮停止の態様が「2」「4」「3」、「6」「7」「5」といった、順目になりうる態様である場合に、上記図柄態様変更演出が発生する可能性があることとなる。換言すれば、図柄態様変更演出を経由して演出を継続させることが決定されている場合には、一次仮停止時における識別図柄20の組み合わせが、その配列(順番)を入れ替えることによって連続目となりうる態様とする必要があるということである。
【0033】
また、上記具体例では、いわゆる擬似連続演出において図柄態様変更演出が用いられることを説明したが、いわゆる保留連続演出において図柄態様変更演出が用いられることがあってもよい。保留連続演出は、ある当否判定結果を報知する際に、それより前の当否判定結果を報知する際の演出を利用して、当該ある当否判定結果が大当たりとなる蓋然性を示唆するものである。保留連続演出において図柄態様変更演出が用いられることが決定された場合、ある当否判定結果を報知する前の一または複数回の当否判定結果が報知される際に識別図柄20および付随図柄30の変動を仮停止させた後、図柄態様変更演出によって連続目となる識別図柄20の組み合わせが停止するようにする。つまり、大当たりを報知する識別図柄20の組み合わせでない連続目を表示することによって、ある当否判定結果を報知する前の一または複数回の当否判定結果がはずれであることを報知しつつ、次の当否判定結果に期待がもてるようにする。上記擬似連続演出と同様、演出を継続させる場合には、演出が継続していることを遊技者が理解できる表示をする。
【0034】
このような複数の当否判定結果を跨いで実行される演出の継続性により、上記ある当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まることを遊技者に示唆する。かかる保留連続演出において図柄態様変更演出を用いてもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機では、遊技者に有利な遊技の進行の可能性があることを示唆する識別図柄20の所定の組み合わせが設定されており、当該所定の組み合わせとならなかった場合でも、図柄態様変更演出が発生し、識別図柄20の位置が変わって所定の組み合わせに変化する場合がある。そして、当該変化は、先に付随図柄30が移動しようとし、その移動が成功した場合に当該移動に伴って識別図柄20が移動することにより生ずるものであるから、付随図柄30が移動しようとした際に遊技者の興味を惹く、趣向性の高い演出とすることが可能である。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0037】
例えば、上記付随図柄30は常に同じ態様であってもよいし、図柄態様変更演出が発生したとき専用の付随図柄30が設定されていてもよい。付随図柄30がキャラクタ図柄であれば、図柄態様演出が発生したときのキャラクタ図柄は、それ以外のときのキャラクタ図柄とキャラクタとしての態様が異なるものであってもよい。
【0038】
また、図柄態様変更演出が発生したとき、連続目に変化する蓋然性(演出が成功する蓋然性)が高まる、いわゆるチャンスアップパターンが設定されていてもよい。例えば、付随図柄30の色によって、連続目に変化する蓋然性を示唆するようにしてもよい。
【0039】
また、特別図柄は、識別図柄20とは別の図柄であってもよい。つまり、図柄態様変更演出が発生したとき、演出が継続することを報知する図柄の組み合わせ(連続目)を構成する専用の図柄が出現する場合があってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、連続目が停止または仮停止したとき、演出が継続することによって大当たりとなる蓋然性が高まることが、「遊技者にとって有利な遊技の進行」であるとしたが、これはあくまで一例である。例えば、連続目が停止または仮停止したとき、大当たりとなる可能性があるリーチ演出や、このようなリーチ演出に発展する可能性がある予告演出に移行することが、「遊技者にとって有利な遊技の進行」として設定された構成としてもよい。
【0041】
また、図柄態様変更演出を用いた擬似連続演出は、変動開始→変動→一次仮停止→二次仮停止→再変動・・・という演出の流れであることを説明したが、これに限るものではない。一次仮停止や二次仮停止は、完全に停止するものであってもよい。同様に、図柄態様変更演出を用いた保留連続演出は、変動開始→変動→一次仮停止→二次停止(当否判定結果がはずれであることの報知)→(次の当否判定結果報知のための)変動開始・・・という演出の流れであることを説明したが、これに限るものではない。一次仮停止は、完全に停止するものであってもよい。つまり、一次停止または一次仮停止と、二次停止または二次仮停止の間に変動が発生せず、図柄態様変更演出によって図柄の組み合わせが変化する構成であればよい。
【0042】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
手段1にかかる遊技機は、遊技者に有表示装置において、複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群を変動表示後、前記複数の識別図柄群の各々から選択された識別図柄を停止させ、当該停止した識別図柄の組み合わせにより、遊技者に有利な特典を付与するか否かの当否判定結果を報知する報知手段と、変動する前記複数の識別図柄群を前記複数の識別図柄群の各々から選択された識別図柄の組み合わせで停止または仮停止させるときに、前記当否判定結果で前記特典を付与する前記識別図柄の組み合わせとは異なる所定の組み合わせ態様となるときには遊技者に有利な遊技の進行の可能性が生じるように設定する一方、前記所定の組み合わせ態様でないときには前記有利な遊技の進行の可能性が生じないように設定する設定手段と、を備え、前記設定手段は、変動している前記複数の識別図柄群を当該複数の識別図柄群の各々から選択された識別図柄の組み合わせで停止または仮停止した組み合わせ態様が前記所定の組み合わせ態様ではないとき、前記識別図柄とは異なる前記各々の識別図柄に割り当てられた付随図柄の移動に伴って前記所定の組み合わせ態様でない各識別図柄を移動させて前記所定の組み合わせ態様に変更させて前記有利な遊技の進行の可能性が生じさせるようにする図柄態様変更演出が実行可能であることを特徴とする。
手段2にかかる遊技機は、手段1に記載の遊技機において、前記図柄位置変更演出は、一の前記当否判定結果を報知するに際し、前記付随図柄の移動に伴って前記所定の組み合わせ態様でない各識別図柄を移動させて前記所定の組み合わせ態様に変更させて仮停止させ、演出の継続性を保ちつつ前記複数の識別図柄群を再び変動させることを一または複数回繰り返す演出であることを特徴とする。
手段3に記載の発明は、手段1に記載の遊技機において、前記図柄位置変更演出は、ある前記当否判定結果を報知するに際し、前記付随図柄の移動に伴って前記所定の組み合わせ態様でない各識別図柄を移動させて前記所定の組み合わせ態様に変更させて停止させ、演出の継続性を保ちつつ次の前記当否判定結果を報知するために前記複数の識別図柄群を再び変動させることを一または複数回繰り返す演出であることを特徴とする。
手段4にかかる遊技機は、手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機において、前記付随図柄の移動に伴って前記所定の組み合わせ態様でない各識別図柄を移動させて前記所定の組み合わせ態様で停止または仮停止した後、前記複数の識別図柄群を再び変動させる際、前記所定の組み合わせ態様ではない態様に戻さず、前記所定の組み合わせ態様を変動開始態様として維持したまま、各識別図柄群を再び変動させることを特徴とする。
手段5にかかる遊技機は、手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機において、前記所定の組み合わせ態様は、停止または仮停止した前記識別図柄の組み合わせを構成する少なくとも一つの識別図柄である特別図柄が、組み合わせの配列上特定位置に位置する態様であり、前記図柄態様変更演出で変更される前記所定の組み合わせでない態様は、前記特別図柄が組み合わせの配列上前記特定位置以外の位置に位置する態様であり、前記図柄態様変更演出は、停止または仮停止した態様が前記所定の組み合わせでない態様であるとき、前記特別図柄に付随する前記付随図柄の移動に伴って当該特別図柄が配列上移動して前記特定位置以外の位置から前記特定位置に移動する演出であることを特徴とする。
手段1にかかる遊技機では、遊技者に有利な遊技の進行の可能性があることを示唆する識別図柄の所定の組み合わせが設定されており、当該所定の組み合わせとならなかった場合でも、識別図柄の位置が変わって所定の組み合わせに変化する場合がある。そして、当該変化は、付随図柄の移動に伴って識別図柄が移動することにより生ずるものであるから、付随図柄が移動しようとした際に遊技者の興味を惹く、趣向性の高い演出とすることが可能である。
図柄態様変更演出は、手段2にかかる遊技機のように、識別図柄が仮停止した後、演出の継続性を保ちつつ再び変動するか否かの分岐として用いること(いわゆる擬似連続演出として用いること)も可能であるし、手段3に記載の発明のように、識別図柄が停止した後、演出の継続性を保ちつつ再び変動するか否かの分岐として用いること(いわゆる保留連続演出として用いること)も可能である。
手段4にかかる遊技機では、識別図柄が所定の組み合わせ態様で仮停止または停止した後、再変動させるとき、所定の組み合わせ態様ではない態様に戻さず、所定の組み合わせ態様を変動開始態様として維持したまま、再変動させるため、仮停止または停止した後の変動再開をスムーズに行うことが可能である。
手段5にかかる遊技機のように、複数の識別図柄のうちの一部である特別図柄を設定し、当該特別図柄が配列上特定位置に位置したときに遊技者に有利な遊技の進行の可能性があるように設定された構成の場合には、停止または仮停止した態様が所定の組み合わせでない態様であるとき、特別図柄に付随する付随図柄の移動に伴って当該特別図柄が配列上移動して特定位置に移動する演出とすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 遊技機
10 表示装置
20 識別図柄
30 付随図柄
図1
図2
図3
図4
図5
図6