特許第6201260号(P6201260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6201260縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置及び畳表折り曲げ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201260
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置及び畳表折り曲げ方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   E04F15/02 104Z
   E04F15/02 102T
   E04F15/02 102K
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-1306(P2014-1306)
(22)【出願日】2014年1月8日
(65)【公開番号】特開2015-129398(P2015-129398A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅章
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄大
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−072262(JP,A)
【文献】 特開2011−012429(JP,A)
【文献】 特開2013−087440(JP,A)
【文献】 特開2000−336911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
B65H 45/00
B65H 45/16
D03D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳表を狭持して、畳表を折り曲げる縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置であって、
畳表を載置するテーブルと、
押さえ板と狭持ブロックとからなる折り曲げユニットと、
畳表押さえ板の先端付近に設けられた旋回中心と、
押さえ板と狭持ブロックの少なくとも一方にヒーターを設けて所定温度に加熱する加熱制御手段と、
折り曲げユニットを旋回移動させる旋回ガイド手段とを有し、
畳表を折り曲げる際に、加熱された押さえ板と狭持ブロックによって畳表の両面ともに加熱しながら折り曲げユニットを旋回移動させることにより畳表を折り曲げることを特徴とする縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置を使用して、
ヒーターでヒーターブロック及び押さえ板先端を所定温度に加熱した後、
上記ヒーターブロック及び押さえ板で畳表を狭持した状態を保持して、畳表を加熱する工程と、
畳表を加熱後に折り曲げユニットを旋回させて畳表を90°折り曲げ、折り曲げた状態を保持する工程と、
90°折り曲げて保持した工程の後に、さらに大きく畳表を折り曲げる工程とを行うことによって、畳表に折りぐせをつけることを特徴とする縁無し畳の畳表の折り曲げ方法。
【請求項3】
天然藺草を使用した畳表を折り曲げ加工する場合は、前処理として、畳表を折り曲げる線付近を水で湿らせて5分以上経過させる工程を有することを特徴とする請求項2記載の縁無し畳の畳表の折り曲げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置に関するものである。更に詳しくは、天然の畳表や人工的に製造した樹脂製や和紙製の畳表であっても藺草の割れを発生させずに仕上がりの良い折り曲げを行う縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縁無し畳の需要が増加しており、縁無し畳の製造装置などが多数知られている。本出願人においても、特許文献1として、框縫いの済んだ畳表と畳床を載せるテーブルと、畳表の折り曲げ位置を畳床の全長にわたって一度で決めるために、畳表面に垂直な板バネ状の昇降可能な位置決め板と、畳表と畳床をテーブル上に固定する床押えと、畳表の外側を摺動しながら上下に昇降する折曲板とを有し、上記位置決め板によって折曲位置を決められた畳表を、上記折曲板が予めセットされた回数昇降することによって畳表の外側を摺動しながら畳の長辺に当接している上記位置決め板に沿って畳表を折り曲げることを特徴とする縁無用畳表折曲機の提案をしている。
【0003】
また、特許文献2に示すような、畳の長辺に沿って畳表を畳表の織り目に直角に折り曲げるために、畳を載置して上下に昇降可能なテーブルと、該テーブルに載置された畳を押さえることにより移動を防ぐ畳押さえ手段と、畳の幅中央において畳床の裏面側が凸になるように曲げる床曲げ機と、畳表の折り曲げ位置を決めるための昇降可能な位置決め手段と、該テーブルが下降する際に畳表のはみ出し部の畳の上角を畳の側縁に沿って折り曲げる折り曲げ手段と、畳表を畳床の長辺の下角に沿って折り曲げる手段を有することを特徴とする縁無畳用畳表折り曲げ機も提案している。
【0004】
また、特許文献3に示すような、イグサと直角の方向又は畳床の端部と平行に、加熱コテによって畳床の厚みに見合うような間隔で2本の溶融溝を形成し、溶融部が完全に冷却する前又は冷却した後に溶融溝で折曲し畳床に沿わせて固定することを特徴とする縁なし畳の加工法が本出願人以外から提案されてもいる。
【0005】
また、非特許文献1は出願人が遅くとも2006年1月頃から販売を開始した畳表折曲機であり、機械説明に「折り曲げ位置に線を付けるだけでなく、てこの原理で簡単に畳表を曲げることが出来、分厚い琉球表でも簡単に折り曲げ、クセ付けができます。」、「モーターやエアーを使わず、すべて手動操作のため非常にシンプルな構造で、手頃な価格を実現することができました。」と製品概要を説明した、安価で手動操作の装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4375509号公報
【特許文献2】特許第4604255号公報
【特許文献3】特開2000−73538号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】極東産機株式会社、畳表折曲機「おりひめ」、[online]、極東産機株式会社、[平成25年12月19日検索]、インターネット<URL:http://www.kyokuto-sanki.co.jp/products/pro-413.htm>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように縁無し畳については種々の提案がなされ、住宅の畳としてよく採用されるようになってきており、需要が増加している状況となっている。そして、縁無し畳の厚みもバリエーションが増え、厚みの薄い畳の需要が増加している。出願人は上記した特許文献1や特許文献2の装置を提案しているが、解決する課題も有していたのである。
【0009】
特許文献1の装置においては、位置決め板によって折曲位置を決められた畳表を、上記折曲板が予めセットされた回数昇降することによって畳表の外側を摺動しながら畳の長辺に当接している上記位置決め板に沿って畳表を折り曲げるという構成を採用しており、特許文献2の装置においては、テーブルが下降する際に畳表のはみ出し部の畳の上角を畳の側縁に沿って折り曲げる折り曲げ手段という構成を採用していた。そのため、特許文献1及び特許文献2の縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置は駆動源を有し、省力化が図られた装置であるが、コストも高いため、縁無し畳の製造対応を常に行っているわけではない小規模の畳店には導入が難しいものでもあった。
【0010】
特許文献3の提案については、プラスチック製模造イグサを織った畳表のイグサと直角の方向又は畳床の端部と平行に、加熱コテによって畳床の厚みに見合うような間隔で2本の溶融溝を形成するというものであるが、加熱コテが種々の畳床の厚みに対応していないために取り扱う畳床の厚みの数だけ加熱コテを用意する必要があり、不便である。また、溶融溝の回りにはイグサを溶融した樹脂が残るため、それらを除去しなければ、その残った樹脂によって畳表を折り曲げした際に膨れなどが生じるため、溶融溝の回りに残った樹脂の除去が欠かせず、作業として課題が残っていた。
【0011】
また、折り返しは、溶融部が完全に冷却する前に行うのが簡単で床にも沿いやすいが、溝が形成されているため冷却後でも可能と特許文献3には記載されているものの、溶融部においては、模造イグサの一本一本が溶けて固着しているため、冷却後は固くなってしまって折り曲げることが困難になっており、その固い状態で折り曲げると畳表の膨れを生じてしまうこととなっていたため、作業者が手間暇のかかる工程で仕上げなければならなかった。
【0012】
非特許文献1の装置は、手動操作で畳表を折り曲げる安価で小型な装置であるが、天然の藺草を使用した畳表を曲げる際において、折り曲げ位置の藺草に割れが生じることがあった。藺草の長さ方向に直角以上に折り曲げて、折り癖を付けるために、藺草の繊維が割れ、ささくれた状態になってしまったりしていたのである。
【0013】
そのため、藺草の割れを防ぐために、本出願人において、装置を使用するユーザーに対して、割れやすい天然の藺草や固くて曲げにくい人工の畳表(例えば樹脂製や和紙製)の折り曲げの際には、家庭用や業務用に市販されている蒸気噴霧装置を購入してもらい、実際に畳表を折り曲げる際には、片手は折り曲げの操作ハンドルを操作しながら、もう一方の手で蒸気噴霧装置のノズルを持ち、畳表の折り曲げ線に沿って畳表幅方向いっぱいにノズルを左右に移動させながら蒸気を噴霧し、畳表の藺草に割れが生じないように、藺草が曲がりやすくなる処理を行いながら畳表の折り曲げ加工を行うように指導していた。
【0014】
非特許文献1の装置を使用することで、作業者が定規等を用いて手作業で折り曲げる作業を行うことよりは効率的に作業ができるようにはなっているが、蒸気噴霧装置のノズルを畳表幅方向いっぱいに移動させ、畳表の折り曲げる線の部分を膨潤させるには何度もノズルを畳表幅方向に移動させて下処理する必要があり、また、蒸気を噴霧した部分の畳表の温度もすぐに低下してしまうために、割れの発生を防ぐためには作業者に手間と時間がかかる作業となっていたのである。作業者は畳表に割れを発生させないよう注意しながら作業をしなければならず、さらに作業者がノズルの移動を蛇行させてしまうと折り曲げしようとする部分に蒸気がうまく当たらず、下処理がムラとなってしまい、十分に下処理ができていない部分ができてしまっていた。そして、そのようなムラができてしまっていた場合に、畳表を折り曲げた際に藺草の割れや折り曲げの直線性が乱れてしまったりするという課題が発生するということがあり、作業の改善が望まれてもいた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
課題を解決するために本発明は、畳表を狭持して、畳表を折り曲げる縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置であって、畳表を載置するテーブルと、押さえ板と狭持ブロックとからなる折り曲げユニットと、畳表押さえ板の先端付近に設けられた旋回中心と、押さえ板と狭持ブロックの少なくとも一方にヒーターを設けて所定温度に加熱する加熱制御手段と、折り曲げユニットを旋回移動させる旋回ガイド手段とを有し、畳表を折り曲げる際に、加熱された押さえ板と狭持ブロックによって畳表の両面ともに加熱しながら折り曲げユニットを旋回移動させることにより畳表を折り曲げることを特徴とする。
【0016】
また、上記記載の縁無し畳製造用畳表折り曲げ装置を使用して、ヒーターでヒーターブロック及び押さえ板先端を所定温度に加熱した後、上記ヒーターブロック及び押さえ板で畳表を狭持した状態を保持して、畳表を加熱する工程と、畳表を加熱後に折り曲げユニットを旋回させて畳表を90°折り曲げ、折り曲げた状態を保持する工程と、90°折り曲げて保持した工程の後に、さらに大きく畳表を折り曲げる工程とを行うことによって、畳表に折りぐせをつけることを特徴とする。
【0017】
また、天然藺草を使用した畳表を折り曲げ加工する場合は、前処理として、畳表を折り曲げる線付近を水で湿らせて5分以上経過させる工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
畳表の両面ともに加熱しながら折り曲げユニットを旋回移動させることにより畳表を折り曲げる折り曲げ線に対して局部的に曲げ応力を与え、畳表を折り曲げやすくして美観よく折り曲げ加工することができる。そして特に天然素材の畳表の場合は、藺草が暖められるとともに、水が蒸発し始めて蒸気によっても蒸された状態となり、折り曲げやすくなり藺草の割れが発生を防止することができる。
【0019】
本発明により、畳表を加熱後に折り曲げユニットを旋回させて畳表を90°折り曲げ、折り曲げた状態を保持する工程と、90°折り曲げて保持した工程の後に、さらに大きく畳表を折り曲げる工程とを行うことによって、畳表に折りぐせをつけるため、手順が確立された加工方法を手動操作の安価な機械で提供することができるため、縁無し畳の製造量が少ない畳店においても導入しやすい装置として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の畳用畳表折り曲げ装置の正面図である。
図2】本発明の畳用畳表折り曲げ装置の側面図である。
図3】本発明の畳用畳表折り曲げ装置の平面図である。
図4】折り曲げユニットの要部説明図である。
図5】ヒーターブロック部の説明を行う平面視の断面説明図である。
図6】本発明の畳用畳表折り曲げ装置で畳表を折り曲げる工程を説明する説明図である。(a)畳表を狭持した状態を説明する図、(b)畳表を90°折り曲げた状態を説明する図、(c)畳表を90°より大きく折り曲げた状態を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の縁無し畳用畳表折り曲げ装置について図を用いて説明する。図1は本発明の畳用畳表折り曲げ装置1の正面図であり、図2は側面図、図3は平面図である。外観的には従来技術で説明した非特許文献1と同様の構造をしている。
【0022】
畳表折り曲げ装置1は、畳表Aを載置するテーブル2と、テーブル2の下方に位置するフレーム3と、畳表Aを挟んで旋回移動することによって畳表Aを折り曲げる折り曲げユニット4から構成される。
【0023】
テーブル2には、折り畳みテーブル2a、2b、2cが付設されており、使用しない場合には折り畳みテーブル2a、2b、2cを折り畳むことで平面視でスペースを小さくできるように構成されている。
【0024】
また、テーブル2の折り曲げユニット4の両側端には、旋回ガイド板5が設けられており、その旋回ガイド板5には旋回中心B(図4参照)を中心として折り曲げユニット4を旋回させることができる複数のベアリング5aが、それらの中心が上記旋回中心Bを中心とした径で取り付けられている。
【0025】
折り曲げユニット4は、押さえ板6と畳表を狭持する狭持ブロックにヒーター7aを設けてヒーターブロック7とし、蝶番9,9で押さえ板6が開閉可能に設けられ、閉じた状態において畳表Aを狭持する構造となっており、図4に示すように押さえ板6の先端がヒーターブロック7に当接される状態が初期位置となるように固定されている。押さえ板6の先端のやや上部に旋回中心Bが設けられている。
【0026】
旋回中心Bは、種々の厚みの畳表を折り曲げるために本実施形態では、押さえ板6の先端初期位置から1.5mm上方で、ハンドル8側へ1.5mm移動した位置に設定している。上記数値は畳表の厚みで一番多い2〜3mmの厚みをよく折り曲げることを想定して設定しており、押さえ板6の先端で少し畳表を押し付けながら畳表を折り曲げるように旋回する構成としている。さらに厚みの厚い畳表の場合は、折り曲げユニット4を旋回させたときには、押さえ板6の先端の下側に畳表が潜り込むようになり、畳表が押さえ板6の先端の下側へ逃げてくれるために畳表を押さえ板6の先端で押さえすぎず畳表の折り曲げ加工が行えるようにしている。
【0027】
もちろん旋回ガイド板5をテーブルに対して位置調整式として、畳表の厚みに応じて旋回中心Bの位置を調整する構造を採用することもできる。しかし旋回中心の位置を調整式とすると機構が複雑となり、また畳表の厚みが変わる度に調整することも手間となるため旋回中心は固定とした方が装置自体のコストを低くすることができる。折り曲げユニット4の旋回後に、押さえ板6の先端とテーブル2との間の寸法を設定しておくかということで対応できる事項であり、コストの安い構造で実施形態を説明している。旋回中心の位置を調整式にすることも本発明の実施形態としても良いことはいうまでもない。
【0028】
ヒーターブロック7の内部にはヒーター7a,7aが設置され、ヒーターブロック7とヒーター7a,7aの隙間には、例えば伝熱セメントなどのヒーター取付け時には柔らかく乾燥すると硬化するような熱伝導性の良い充填剤を入れて、ヒーター7a,7aの熱がヒーターブロック7に伝わりやすくしている。7bは温度センサーであり、ヒーターブロック7の加熱温度を制御するために設けられている。
【0029】
ヒーター7a,7aは2本で図5に示したように、ヒーターブロック7の幅方向に配置しており、ヒーターブロック7を均一的に温度制御できるようにしている。そして、図4で説明したように、押さえ板6の先端がヒーターブロック7に当接され、後端側はヒーターブロック7に設置していない状態が初期位置となっている構成であるため、畳表Aを折り曲げる際には、畳表の表面と裏面の両方で加熱しながら折り曲げができる構造となっている。
【0030】
ヒーターブロック7の左右両端には断熱材7c,7cを介して旋回ガイド10,10が設けられており、この旋回ガイド10,10それぞれに設けた旋回溝10a,10a(図5及び図6参照)に複数のベアリング5aが常に嵌合した状態となっており、折り曲げユニット4が回動中心Bを中心に旋回可能な構造となっている。
【0031】
ハンドル8は、畳表Aを狭持する際に開く押さえ板6側に設置しており、後述する図6の使用状態と、図1図3に示した収納状態にできるように旋回可能とされている。また、クランプ11は、畳表Aを狭持した状態を保持するためのもので、ヒーターブロック7側に設けられ、図6に示すクランプ状態と、図1図3に示したクランプ開放状態とにできるように蝶番などで旋回可能に設けられているものである。そして制御ボックス12は、ヒーター7aのオンオフや温度制御を行うものである。
【0032】
押さえ板6の先端を畳表Aに当接させ、その当接した幅方向の線を折り曲げ線として折り曲げユニット4を旋回移動させ、折り曲げユニット4の旋回移動によって、畳表Aに局部的に曲げ応力を与えることによって折り曲げる畳表の幅方向いっぱいに加熱しながら折り曲げる構成としたものである。
【0033】
次に本発明の畳表折り曲げ装置を使用して畳表Aを折り曲げる工程について説明する。畳表に使用されている素材によってヒーター7aの設定温度を変えるため、まず畳表に樹脂、和紙を使用した化学表、和紙表と呼ばれる畳表の折り曲げについて説明する。
【0034】
折り曲げの前準備として、ヒーター7a,7aをオンし、設定温度を100〜120℃に設定し加熱する。樹脂表の場合は、130℃以上に設定すると、畳表の表面を傷めてしまうことがあるため、120℃以下にしておくことが望ましい。
【0035】
ヒーター7a,7aをオンすると図4で説明したように、押さえ板6の先端もヒーターブロック7によって加熱された状態となる。
【0036】
加熱が十分された状態となれば、畳表Aをテーブル2上に載置し、ハンドル8で押さえ板6を上昇させて押さえ板6とヒーターブロック7の間に畳表Aの折り曲げ部分をセットする。セットしたら、ハンドル8を持って押さえ板6を閉じ、畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7とで狭持した状態で折り曲げ位置の調整を行い、畳表Aの折り曲げ位置が押さえ板6の先端に合致できれば、クランプ11を旋回させて図6(a)に示すように押さえ板6とヒーターブロック7をしっかりと固定する。(ST.1)
【0037】
しっかりと押さえ板6とヒーターブロック7を固定した状態で10〜20秒畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7の熱で畳表Aを表面裏面の両面から暖める。(ST.2)
【0038】
ハンドル8を操作し、折り曲げユニット4を旋回させて図6(b)に示すように畳表Aを90°折り曲げた状態とする。(ST.3)
【0039】
保持金具14の係止溝14aに旋回ガイド10に設けられた保持ピン13を係止させることにより、畳表Aを90゜折り曲げた状態を保持する。保持時間を5〜10秒程度として折り曲げ状態を保持する。(ST.4)図6における保持ピン13は、図1の右側の旋回ガイド10に設けられているものを一点鎖線で図示している。
【0040】
保持ピン13を保持金具14の係止溝14aから外し、図6(c)に示すようにさらに折り曲げる。(ST.5)
【0041】
このときクランプ11が畳表Aに当接すると畳表Aに傷等がついてしまうためクランプ11を外して折り曲げても良い。クランプ11を外しても押さえ板6で畳表Aを狭持する方向にハンドル8で力がかかるためST.3で説明したように90゜折り曲げた状態で折りぐせがついた畳表Aの仕上がりに特に影響することはない。
【0042】
ST.5で大きく畳表Aを折り曲げることによってより確実に折りぐせをつけている。必要によって図6(c)の状態で保持時間を取っても良い。
【0043】
ハンドル8を操作して、折り曲げユニット4を90°折り曲げた状態の位置に戻し、押さえ板6を開いて畳表Aを外して折り曲げ工程は完了である。
【0044】
次に天然の藺草を使用した畳表の折り曲げについて説明する。
折り曲げの前準備として、ヒーター7a,7aをオンし、設定温度を120℃程度に設定し加熱する。そして、畳表Aの折り曲げ線位置にハケ等で水を十分に浸した状態として5分以上置いておく。その他、バケツに水を張り、畳表Aの折り曲げ線位置が水に浸かるようにして畳表Aをバケツに入れた状態で5分以上保持しておくようにしても良い。
【0045】
藺草の割れの発生を防止するために柔軟材等の薬品を使用しても良いが、畳表の変色につながることもあり、水だけで前処理しておくことが望ましい。
【0046】
ヒーター7a,7aをオンすると図4で説明したように、押さえ板6の先端もヒーターブロック7によって加熱された状態となる。
【0047】
加熱が十分された状態となれば、畳表Aをテーブル2上に載置し、ハンドル8で押さえ板6を上昇させて押さえ板6とヒーターブロック7の間に畳表Aの折り曲げ部分をセットする。セットしたら、ハンドル8を持って押さえ板6を閉じ、畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7とで狭持した状態で折り曲げ位置の調整を行い、畳表Aの折り曲げ位置が押さえ板6の先端に合致できれば、クランプ11を旋回させて図6(a)に示すように押さえ板6とヒーターブロック7をしっかりと固定する。(ST.1)
【0048】
しっかりと押さえ板6とヒーターブロック7を固定した状態で10〜20秒畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7の熱で畳表Aを表面裏面の両面から暖める。(ST.2)
【0049】
このとき、押さえ板6の先端とヒーターブロック7で水を含んだ畳表Aの藺草が暖められるとともに、水が蒸発し始めて蒸気によっても蒸された状態となり、折り曲げやすくなり藺草の割れが発生しにくくなっているのである。
【0050】
ハンドル8を操作し、折り曲げユニット4を旋回させて図6(b)に示すように畳表Aを90°折り曲げた状態とする。(ST.3)
【0051】
保持金具14の係止溝14aに旋回ガイド10に設けられた保持ピン13を係止させることにより、畳表Aを90゜折り曲げた状態を保持する。保持時間を10〜20秒程度として折り曲げ状態を保持する。(ST.4)図6における保持ピン13は、図1の右側の旋回ガイド10に設けられているものを一点鎖線で図示している。
【0052】
保持ピン13を保持金具14の係止溝14aから外し、図6(c)に示すようにさらに折り曲げる。(ST.5)
【0053】
このときクランプ11が畳表Aに当接すると畳表Aに傷等がついてしまうためクランプ11を外して折り曲げても良い。クランプ11を外しても押さえ板6で畳表Aを狭持する方向にハンドル8で力がかかるためST.3で説明したように90゜折り曲げた状態で折りぐせがついた畳表Aの仕上がりに特に影響することはない。
【0054】
ST.5で大きく畳表Aを折り曲げることによってより確実に折りぐせをつけている。必要によって図6(c)の状態で保持時間を取っても良い。
【0055】
ハンドル8を操作して、折り曲げユニット4を90°折り曲げた状態の位置に戻し、押さえ板6を開いて畳表Aを外して折り曲げ工程は完了である。
【0056】
天然の藺草を折り曲げる場合、90°やさらに折り曲げる工程において、折り曲げる速度を樹脂表や和紙表よりもゆっくりめに折り曲げるようにするとさらに藺草の割れは発生しにくくできる。本発明の装置は、半畳の畳を加工する幅を基本としており、1畳の長さの畳表を折り曲げ加工する場合は、半畳の長さづつ2回に分けて行い、畳のくせにも対応できるように折り曲げ加工する。
【0057】
上記の実施形態においては、コストや押さえ板側にヒーターを設けると押さえ板側の構造が大きくなってしまうため、操作のしやすさを考慮して、ヒーターはヒーターブロック側にのみ設置した状態で説明したが、押さえ板側にもヒーターを設けても良いことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0058】
A 畳表
B 旋回中心
1 畳表折曲げ装置
2 テーブル
3 フレーム
4 折り曲げユニット
5 旋回ガイド板
5a ベアリング
6 押さえ板
7 ヒーターブロック
7a ヒーター
7b 温度センサー
7c 断熱材
8 ハンドル
9 蝶番
10 旋回ガイド
11 クランプ
12 制御ボックス
13 保持ピン
14 保持金具
14a 係止溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6