(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天然藺草を使用した畳表を折り曲げ加工する場合は、前処理として、畳表を折り曲げる線付近を水で湿らせて5分以上経過させる工程を有することを特徴とする請求項2記載の縁無し畳の畳表の折り曲げ方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の縁無し畳用畳表折り曲げ装置について図を用いて説明する。
図1は本発明の畳用畳表折り曲げ装置1の正面図であり、
図2は側面図、
図3は平面図である。外観的には従来技術で説明した非特許文献1と同様の構造をしている。
【0022】
畳表折り曲げ装置1は、畳表Aを載置するテーブル2と、テーブル2の下方に位置するフレーム3と、畳表Aを挟んで旋回移動することによって畳表Aを折り曲げる折り曲げユニット4から構成される。
【0023】
テーブル2には、折り畳みテーブル2a、2b、2cが付設されており、使用しない場合には折り畳みテーブル2a、2b、2cを折り畳むことで平面視でスペースを小さくできるように構成されている。
【0024】
また、テーブル2の折り曲げユニット4の両側端には、旋回ガイド板5が設けられており、その旋回ガイド板5には旋回中心B(
図4参照)を中心として折り曲げユニット4を旋回させることができる複数のベアリング5aが、それらの中心が上記旋回中心Bを中心とした径で取り付けられている。
【0025】
折り曲げユニット4は、押さえ板6と畳表を狭持する狭持ブロックにヒーター7aを設けてヒーターブロック7とし、蝶番9,9で押さえ板6が開閉可能に設けられ、閉じた状態において畳表Aを狭持する構造となっており、
図4に示すように押さえ板6の先端がヒーターブロック7に当接される状態が初期位置となるように固定されている。押さえ板6の先端のやや上部に旋回中心Bが設けられている。
【0026】
旋回中心Bは、種々の厚みの畳表を折り曲げるために本実施形態では、押さえ板6の先端初期位置から1.5mm上方で、ハンドル8側へ1.5mm移動した位置に設定している。上記数値は畳表の厚みで一番多い2〜3mmの厚みをよく折り曲げることを想定して設定しており、押さえ板6の先端で少し畳表を押し付けながら畳表を折り曲げるように旋回する構成としている。さらに厚みの厚い畳表の場合は、折り曲げユニット4を旋回させたときには、押さえ板6の先端の下側に畳表が潜り込むようになり、畳表が押さえ板6の先端の下側へ逃げてくれるために畳表を押さえ板6の先端で押さえすぎず畳表の折り曲げ加工が行えるようにしている。
【0027】
もちろん旋回ガイド板5をテーブルに対して位置調整式として、畳表の厚みに応じて旋回中心Bの位置を調整する構造を採用することもできる。しかし旋回中心の位置を調整式とすると機構が複雑となり、また畳表の厚みが変わる度に調整することも手間となるため旋回中心は固定とした方が装置自体のコストを低くすることができる。折り曲げユニット4の旋回後に、押さえ板6の先端とテーブル2との間の寸法を設定しておくかということで対応できる事項であり、コストの安い構造で実施形態を説明している。旋回中心の位置を調整式にすることも本発明の実施形態としても良いことはいうまでもない。
【0028】
ヒーターブロック7の内部にはヒーター7a,7aが設置され、ヒーターブロック7とヒーター7a,7aの隙間には、例えば伝熱セメントなどのヒーター取付け時には柔らかく乾燥すると硬化するような熱伝導性の良い充填剤を入れて、ヒーター7a,7aの熱がヒーターブロック7に伝わりやすくしている。7bは温度センサーであり、ヒーターブロック7の加熱温度を制御するために設けられている。
【0029】
ヒーター7a,7aは2本で
図5に示したように、ヒーターブロック7の幅方向に配置しており、ヒーターブロック7を均一的に温度制御できるようにしている。そして、
図4で説明したように、押さえ板6の先端がヒーターブロック7に当接され、後端側はヒーターブロック7に設置していない状態が初期位置となっている構成であるため、畳表Aを折り曲げる際には、畳表の表面と裏面の両方で加熱しながら折り曲げができる構造となっている。
【0030】
ヒーターブロック7の左右両端には断熱材7c,7cを介して旋回ガイド10,10が設けられており、この旋回ガイド10,10それぞれに設けた旋回溝10a,10a(
図5及び
図6参照)に複数のベアリング5aが常に嵌合した状態となっており、折り曲げユニット4が回動中心Bを中心に旋回可能な構造となっている。
【0031】
ハンドル8は、畳表Aを狭持する際に開く押さえ板6側に設置しており、後述する
図6の使用状態と、
図1〜
図3に示した収納状態にできるように旋回可能とされている。また、クランプ11は、畳表Aを狭持した状態を保持するためのもので、ヒーターブロック7側に設けられ、
図6に示すクランプ状態と、
図1〜
図3に示したクランプ開放状態とにできるように蝶番などで旋回可能に設けられているものである。そして制御ボックス12は、ヒーター7aのオンオフや温度制御を行うものである。
【0032】
押さえ板6の先端を畳表Aに当接させ、その当接した幅方向の線を折り曲げ線として折り曲げユニット4を旋回移動させ、折り曲げユニット4の旋回移動によって、畳表Aに局部的に曲げ応力を与えることによって折り曲げる畳表の幅方向いっぱいに加熱しながら折り曲げる構成としたものである。
【0033】
次に本発明の畳表折り曲げ装置を使用して畳表Aを折り曲げる工程について説明する。畳表に使用されている素材によってヒーター7aの設定温度を変えるため、まず畳表に樹脂、和紙を使用した化学表、和紙表と呼ばれる畳表の折り曲げについて説明する。
【0034】
折り曲げの前準備として、ヒーター7a,7aをオンし、設定温度を100〜120℃に設定し加熱する。樹脂表の場合は、130℃以上に設定すると、畳表の表面を傷めてしまうことがあるため、120℃以下にしておくことが望ましい。
【0035】
ヒーター7a,7aをオンすると
図4で説明したように、押さえ板6の先端もヒーターブロック7によって加熱された状態となる。
【0036】
加熱が十分された状態となれば、畳表Aをテーブル2上に載置し、ハンドル8で押さえ板6を上昇させて押さえ板6とヒーターブロック7の間に畳表Aの折り曲げ部分をセットする。セットしたら、ハンドル8を持って押さえ板6を閉じ、畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7とで狭持した状態で折り曲げ位置の調整を行い、畳表Aの折り曲げ位置が押さえ板6の先端に合致できれば、クランプ11を旋回させて
図6(a)に示すように押さえ板6とヒーターブロック7をしっかりと固定する。(ST.1)
【0037】
しっかりと押さえ板6とヒーターブロック7を固定した状態で10〜20秒畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7の熱で畳表Aを表面裏面の両面から暖める。(ST.2)
【0038】
ハンドル8を操作し、折り曲げユニット4を旋回させて
図6(b)に示すように畳表Aを90°折り曲げた状態とする。(ST.3)
【0039】
保持金具14の係止溝14aに旋回ガイド10に設けられた保持ピン13を係止させることにより、畳表Aを90゜折り曲げた状態を保持する。保持時間を5〜10秒程度として折り曲げ状態を保持する。(ST.4)
図6における保持ピン13は、
図1の右側の旋回ガイド10に設けられているものを一点鎖線で図示している。
【0040】
保持ピン13を保持金具14の係止溝14aから外し、
図6(c)に示すようにさらに折り曲げる。(ST.5)
【0041】
このときクランプ11が畳表Aに当接すると畳表Aに傷等がついてしまうためクランプ11を外して折り曲げても良い。クランプ11を外しても押さえ板6で畳表Aを狭持する方向にハンドル8で力がかかるためST.3で説明したように90゜折り曲げた状態で折りぐせがついた畳表Aの仕上がりに特に影響することはない。
【0042】
ST.5で大きく畳表Aを折り曲げることによってより確実に折りぐせをつけている。必要によって
図6(c)の状態で保持時間を取っても良い。
【0043】
ハンドル8を操作して、折り曲げユニット4を90°折り曲げた状態の位置に戻し、押さえ板6を開いて畳表Aを外して折り曲げ工程は完了である。
【0044】
次に天然の藺草を使用した畳表の折り曲げについて説明する。
折り曲げの前準備として、ヒーター7a,7aをオンし、設定温度を120℃程度に設定し加熱する。そして、畳表Aの折り曲げ線位置にハケ等で水を十分に浸した状態として5分以上置いておく。その他、バケツに水を張り、畳表Aの折り曲げ線位置が水に浸かるようにして畳表Aをバケツに入れた状態で5分以上保持しておくようにしても良い。
【0045】
藺草の割れの発生を防止するために柔軟材等の薬品を使用しても良いが、畳表の変色につながることもあり、水だけで前処理しておくことが望ましい。
【0046】
ヒーター7a,7aをオンすると
図4で説明したように、押さえ板6の先端もヒーターブロック7によって加熱された状態となる。
【0047】
加熱が十分された状態となれば、畳表Aをテーブル2上に載置し、ハンドル8で押さえ板6を上昇させて押さえ板6とヒーターブロック7の間に畳表Aの折り曲げ部分をセットする。セットしたら、ハンドル8を持って押さえ板6を閉じ、畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7とで狭持した状態で折り曲げ位置の調整を行い、畳表Aの折り曲げ位置が押さえ板6の先端に合致できれば、クランプ11を旋回させて
図6(a)に示すように押さえ板6とヒーターブロック7をしっかりと固定する。(ST.1)
【0048】
しっかりと押さえ板6とヒーターブロック7を固定した状態で10〜20秒畳表Aを押さえ板6とヒーターブロック7の熱で畳表Aを表面裏面の両面から暖める。(ST.2)
【0049】
このとき、押さえ板6の先端とヒーターブロック7で水を含んだ畳表Aの藺草が暖められるとともに、水が蒸発し始めて蒸気によっても蒸された状態となり、折り曲げやすくなり藺草の割れが発生しにくくなっているのである。
【0050】
ハンドル8を操作し、折り曲げユニット4を旋回させて
図6(b)に示すように畳表Aを90°折り曲げた状態とする。(ST.3)
【0051】
保持金具14の係止溝14aに旋回ガイド10に設けられた保持ピン13を係止させることにより、畳表Aを90゜折り曲げた状態を保持する。保持時間を10〜20秒程度として折り曲げ状態を保持する。(ST.4)
図6における保持ピン13は、
図1の右側の旋回ガイド10に設けられているものを一点鎖線で図示している。
【0052】
保持ピン13を保持金具14の係止溝14aから外し、
図6(c)に示すようにさらに折り曲げる。(ST.5)
【0053】
このときクランプ11が畳表Aに当接すると畳表Aに傷等がついてしまうためクランプ11を外して折り曲げても良い。クランプ11を外しても押さえ板6で畳表Aを狭持する方向にハンドル8で力がかかるためST.3で説明したように90゜折り曲げた状態で折りぐせがついた畳表Aの仕上がりに特に影響することはない。
【0054】
ST.5で大きく畳表Aを折り曲げることによってより確実に折りぐせをつけている。必要によって
図6(c)の状態で保持時間を取っても良い。
【0055】
ハンドル8を操作して、折り曲げユニット4を90°折り曲げた状態の位置に戻し、押さえ板6を開いて畳表Aを外して折り曲げ工程は完了である。
【0056】
天然の藺草を折り曲げる場合、90°やさらに折り曲げる工程において、折り曲げる速度を樹脂表や和紙表よりもゆっくりめに折り曲げるようにするとさらに藺草の割れは発生しにくくできる。本発明の装置は、半畳の畳を加工する幅を基本としており、1畳の長さの畳表を折り曲げ加工する場合は、半畳の長さづつ2回に分けて行い、畳のくせにも対応できるように折り曲げ加工する。
【0057】
上記の実施形態においては、コストや押さえ板側にヒーターを設けると押さえ板側の構造が大きくなってしまうため、操作のしやすさを考慮して、ヒーターはヒーターブロック側にのみ設置した状態で説明したが、押さえ板側にもヒーターを設けても良いことはいうまでもない。