(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉状のトナーの付着によって画像が形成される像保持体又は前記画像が転写される中間転写体と対向して配置され、前記像保持体上又は前記中間転写体上に付着している前記トナーを除去して前記像保持体又は前記中間転写体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、
前記クリーニング部材によって除去され、回収された前記トナーを搬送する搬送部材と、を有し、
前記搬送部材は、
中心軸線回りに回転駆動される軸体と、
前記軸体の外周面から螺旋状に張り出し、中心軸線回りの予め定められた中心角の周期で前記軸体より張り出す長さが変化し、前記軸体の中心軸線方向に投影した際の形状が、張り出し長の最大点が周方向に複数存在し、該張り出し長の最大点の前後では連続して張り出し長が減少しており、この投影した形状で隣り合う前記最大点間の中心角のいずれもが120°以下となっている翼体と、を有し、
粉体が搬送される管状の搬送路内に配置され、前記軸体のたわみによって前記翼体が前記搬送路の内周面に接触するオーガーであることを特徴とするクリーニング装置。
前記オーガーは、前記翼体の張り出し長が変化する周期となる中心角が、90°より大きく540°より小さく設定されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
前記翼体は、前記軸体からの張り出し長が連続する正弦曲線又は二次曲線を組み合わせた曲線状に変化するものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、軸線回りに回転駆動されるときの振動を抑制することができるオーガーを用いたクリーニング装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 粉状のトナーの付着によって画像が形成される像保持体又は前記画像が転写される中間転写体と対向して配置され、前記像保持体上又は前記中間転写体上に付着している前記トナーを除去して前記像保持体又は前記中間転写体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、 前記クリーニング部材によって除去され、回収された前記トナーを搬送する搬送部材と、を有し、 前記搬送部材は、
中心軸線回りに回転駆動される軸体と、 前記軸体の外周面から螺旋状に張り出し、中心軸線回りの予め定められた中心角の周期で前記軸体より張り出す長さが変化し、前記軸体の中心軸線方向に投影した際の形状が、張り出し長の最大点が周方向に複数存在し、該張り出し長の最大点の前後では連続して張り出し長が減少しており、この投影した形状で隣り合う前記最大点間の中心角のいずれもが120°以下となっている翼体と、を有し、 粉体が搬送される管状の搬送路内に配置され、前記軸体のたわみによって前記翼体が前記搬送路の内周面に接触するオーガーであるクリーニング装置を提供するものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、 前記オーガーは、前記翼体の張り出し長が変化する周期となる中心角が、90°より大きく540°より小さく設定されているものとする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置において、 前記翼体は、前記軸体からの張り出し長が連続する正弦曲線又は二次曲線を組み合わせた曲線状に変化するものとする。
【0009】
請求項4に係る発明は、 周面に静電電位の差による潜像が形成される像保持体と、 前記像保持体上の潜像に粉状のトナーを転移してトナー像を現像する現像装置と、 前記像保持体上で形成されたトナー像を、直接に記録媒体に転写又は像保持体から一旦中間転写体上に転写した後に記録媒体に転写する転写装置と、 前記像保持体又は中間転写体上に付着している粉状のトナーを除去してクリーニングする
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のクリーニング装置と、を有する画像形成装置を提供するものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、 無端状の周面に静電電位の差による潜像が形成される像保持体と、 前記像保持体上の潜像に粉状のトナーを転移してトナー像を現像する現像装置と、 前記像保持体上で形成されたトナー像を、直接に記録媒体に転写又は像保持体から一旦中間転写体上に転写した後に記録媒体に転写する転写装置と、 前記像保持体又は中間転写体上に付着している粉状のトナーを除去してクリーニングするクリーニング装置と、 前記クリーニング装置によって回収された前記トナー、又は前記現像装置から排出され、粉状のトナーと磁性キャリアとを含む余剰の現像剤を回収室に搬送する搬送路と、 前記搬送路内に設けられ、前記トナー又は前記現像剤を搬送する
オーガーと、を有し、 前記オーガーは、 中心軸線回りに回転駆動される軸体と、 前記軸体の外周面から螺旋状に張り出し、中心軸線回りの予め定められた中心角の周期で前記軸体より張り出す長さが変化し、前記軸体の中心軸線方向に投影した際の形状が、張り出し長の最大点が周方向に複数存在し、該張り出し長の最大点の前後では連続して張り出し長が減少しており、この投影した形状で隣り合う前記最大点間の中心角のいずれもが120°以下となっている翼体と、を有し、 粉体が搬送される管状の搬送路内に配置され、前記軸体のたわみによって前記翼体が前記搬送路の内周面に接触するものである画像形成装置を提供するものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、 前記オーガーは、前記翼体の張り出し長が変化する周期となる中心角が、90°より大きく540°より小さく設定されているものとする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載の画像形成装置において、 前記翼体は、前記軸体からの張り出し長が連続する正弦曲線又は二次曲線を組み合わせた曲線状に変化するものとする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のクリーニング装置では、本構成を有しない場合に比べ、トナーを搬送するオーガーが軸線回りに回転駆動されるときの振動を抑制することができる。
【0014】
請求項2に係る発明のクリーニング装置では、本構成を有しない場合に比べ、粉体の搬送性を良好にすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明のクリーニング装置では、本構成を有しない場合に比べ、粉体の搬送性を良好にすることができる。
【0016】
請求項4に係る発明の画像形成装置では、本構成を有しない場合に比べ、クリーニング装置が有するオーガーが軸線回りに回転駆動されるときの振動を抑制することができる。
【0017】
請求項5に係る発明の画像形成装置では、本構成を有しない場合に比べ、トナー又は現像剤を搬送するオーガーが軸線回りに回転駆動されるときの振動を抑制することができる。
【0018】
請求項6に係る発明の画像形成装置では、本構成を有しない場合に比べ、粉体の搬送性を良好にすることができる。
【0019】
請求項7に係る発明の画像形成装置では、本構成を有しない場合に比べ、粉体の搬送性を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願に係る発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置は、4色のトナーを用いてカラー画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、これらと対向して中間転写体として機能する中間転写ベルト11とを備えている。中間転写ベルト11は、複数のロール状の部材によって上記画像形成ユニット10のそれぞれと対向するように張架され、周面が周回駆動されるものである。この中間転写ベルト11には、各画像形成ユニット10が有する感光体ドラム1から各色のトナー像が重ねて一次転写されるものとなっている。中間転写ベルトの周回移動方向における一次転写が行われる位置の下流側には、二次転写を行うための二次転写ロール21が中間転写ベルト11と対向するように配置されている。この二次転写ロール21が中間転写ベルト11と対向する二次転写位置22では、シート収容部23からシート搬送路24を経て、シート状の記録媒体を二次転写位置22に送り込むものとなっている。記録媒体の搬送経路における二次転写位置22の下流側には、トナー像を加熱及び加圧して記録媒体上に定着する定着装置25が設けられている。さらに下流側にはトナー像が定着された記録媒体を重ねて保持する排紙保持部(図示しない)が設けられている。
一方、一次転写された後の上記感光体ドラム1上に残留するトナーは、感光体ドラム用のクリーニング装置6によって掻き落とされ、搬送路31によって収容室32に送り込まれるものとなっている。
【0022】
上記画像形成ユニット10は、中間転写ベルト11の周回移動方向における上流側から順に、イエローのトナー像を形成する画像形成ユニット10Y、マゼンタのトナー像を形成する画像形成ユニット10M、シアンのトナー像を形成する画像形成ユニット10C、ブラックのトナー像を形成する画像形成ユニット10Kが配列されている。そして、上記画像形成ユニット10のそれぞれは、表面に静電潜像が形成されて像保持体として機能する感光体ドラム1を有しており、各感光体ドラム1の周囲に、該感光体ドラム1の表面を帯電する帯電装置2と、帯電された感光体ドラム1のそれぞれに対して画像信号に基づいた像光を照射する露光装置3と、感光体ドラム上に形成された潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置4と、感光体ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト11上に一次転写する一次転写ロール5と、転写後の感光体ドラム1上に残留したトナーを除去する感光体ドラム用のクリーニング装置6と、を備えている。
【0023】
上記感光体ドラム1は、金属の円筒状部材の周面に有機感光体層を積層して形成したものであり、金属部分が電気的に接地されている。また、電圧が印加されるものであってもよい。
【0024】
上記帯電装置2は、被帯電体である感光体ドラム1の周面と接触して配置された帯電ロールであり、この帯電ロールに電圧を印加し、帯電ロールと感光体ドラム1との微小間隙に生じる放電によって感光体ドラム1の表面を帯電するものである。
本実施の形態では、上記のように感光体ドラムと接触する帯電ロールを用いたが、ブレード形状の部材を用いたものや、コロナ放電により非接触で帯電させる帯電装置を用いることもできる。
【0025】
上記露光装置3は、画像信号に基づいて点滅するLEDを感光体ドラム1の軸線方向に配列したLEDアレイを用いたものであり、感光体ドラム1の表面に向かって光を照射するものである。この光の照射によって、帯電された感光体ドラム1の露光された部分の静電電位が減衰し、感光体ドラム1の表面に各色の画像に相当する静電潜像が形成されるものとなっている。なお、露光装置として点滅するレーザー光を感光体ドラムの表面に走査して静電潜像を形成するものを用いることもできる。
【0026】
上記現像装置4は、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を使用するものであり、感光体ドラム1と対向する位置で感光体ドラム1上にトナーを転移して潜像を可視化するものである。また、画像形成にともなってトナーが消費されると、トナーのみ又はトナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を補充するものとなっている。
【0027】
上記一次転写ロール5は、金属の芯材に導電性粒子が添加されたゴム材で外周面を被覆したものであり、各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kについて感光体ドラム1と対向する位置の中間転写ベルト11の背面側に配置されている。そして、一次転写ロール5に一次転写用のバイアス電圧が印加され、一次転写ロール5と感光体ドラム1との間に転写用の電界が形成される。これにより、感光体ドラム1と一次転写ロール5とが対向する一次転写位置で、通過する中間転写ベルト11に感光体ドラム1上のトナー像を静電的に転写するものとなっている。
【0028】
上記感光体ドラム用のクリーニング装置6は、感光体ドラム1の周面に接触して配置されたクリーニングブレードにより、転写後の感光体ドラム1上に残留したトナーを除去するものである。感光体ドラム1から除去したトナーは、搬送路31に送り込むようになっており、搬送路31は送り込まれたトナーを収容室32に向かって搬送するものとなっている。また、現像装置4がトナーの消費にともなって二成分現像剤を供給するものであるときには、この搬送路31に余剰となって排出される二成分現像剤も送り込まれ、感光体ドラム用のクリーニング装置6から排出されたトナーとともに収容室32に搬送されるものとなっている。
【0029】
上記中間転写ベルト11は、複数の層を重ね合わせたフィルム状の部材を無端状に形成したものである。それぞれの層は、例えば樹脂材料にカーボンやイオン導電物質などの物質を添加し、予め定められた表面抵抗率となるように調整されている。
このような中間転写ベルト11は、回転駆動される駆動ロール12と、中間転写ベルト11の幅方向への偏りを調整する調整ロール13と、二次転写ロール21と対向する位置に支持された対向ロール14とに張架されて
図1中に示す矢印Aの方向に周回移動するものとなっている。
【0030】
上記二次転写ロール21は、中間転写ベルト11と接触し、該中間転写ベルト11を挟んで対向ロール14と対向する位置に配置されている。そして、中間転写ベルト11が周回駆動されるのにともなって回転するものとなっている。また、中間転写ベルト11と二次転写ロール21との間に記録媒体が送り込まれたときには、この記録媒体を挟み込んで搬送する。二次転写ロール21と対向ロール14との間には転写用のバイアス電圧が印加され、形成される電界によって中間転写ベルト11上のトナー像が記録媒体に転写される。
【0031】
上記定着装置25は、加熱源を内蔵した加熱ロール25aと、この加熱ロール25aに圧接される加圧ロール25bとを備えており、これらが互いに接触してニップ部を形成している。トナー像が転写された記録媒体は、上記ニップ部に送り込まれ、回転する加熱ロール25aと加圧ロール25bとの間で加熱されるとともに加圧され、トナー像が記録媒体上に圧着されるものとなっている。
【0032】
上記中間転写ベルト11の周回移動方向における二次転写位置22の下流側で画像形成ユニット10が対向する位置の上流側に、中間転写ベルト用のクリーニング装置33が、該中間転写ベルト11の周面と対向するように設けられている。この中間転写ベルト用のクリーニング装置33により、トナー像を二次転写した後の中間転写ベルト11上に残留するトナーを該中間転写ベルト11から除去し、回収する。そして、このトナーは、搬送路31を経て搬送されたトナー又は二成分現像剤とともに回収室32に送り込まれるものとなっている。
【0033】
上記搬送路31は、管状の部材の内側に軸線回りに回転駆動されるオーガー40を配置したものであり、このオーガー40によってその軸線方向にトナーを搬送することができるものとなっている。オーガー40は円形断面の軸体41の周面から螺旋状に張り出した翼体42を有するものであり、駆動装置43によって軸線回りに回転駆動される。これにより、管状となった搬送路31内のトナーを上記回収室32に搬送するものである。
なお、従来のオーガーは、回転駆動されるときにオーガー自体の重量によって軸体に曲げ変形が生じることがある。つまり、両端部で支持されていると中央部でたわみが生じる。これにともなってオーガーが搬送路内の周面に接触し、オーガーが有する翼体の張り出し長が変化していると、オーガーが振動することがある。
【0034】
図2は、上記搬送路31に配置することができるオーガー40の一例を示す部分斜視図である。また、
図3はこのオーガー40の部分側面図及び拡大した正面図すなわち軸線方向にオーガー40を見た図である。
このオーガー40は、翼体42の軸体41からの張り出し長が螺旋に沿って変化するものであり、軸線回りの予め定められた中心角毎に張り出し長が周期的に変化している。
このオーガー40では、中心角225°の周期で張り出し長が最大となる最大点42aから最小となる点を経て再び最大点42aまで変化している。そして、このオーガーを軸線方向に見たときには、
図3(b)に示すように張り出し長が最大となる最大点42aがこのオーガー40の周方向に分布して存在しており、このように軸線方向に投影した図上で互いに隣り合う最大点42a間の中心角が45°となっている。
なお、このオーガー40の軸体41の直径は6mm、翼体42の最大張り出し長は4mm、最小張り出し長は2mm、螺旋のピッチは12mmで、このオーガー40の全長に29ピッチが形成されている。つまり、螺旋状の翼体42が軸体41の回りを一周する毎に軸線方向に12mm進み、翼体42が軸体41の回りを螺旋状に29周回するものとなっている。
【0035】
このオーガー40では、
図4に示すように、螺旋状の翼体42は張り出し長が最大となる基準最大点42a(0)から螺旋に沿って張り出し長が小さくなり、基準最大点42a(0)との間の中心角が225°となる最大点42a(1)で再び張り出し長が最大となる。さらに螺旋に沿って中心軸回りに225°毎の周期で順次張り出し長が変化し、225°毎に張り出し長の最大点42a(2)、42a(3)、42a(4)、42a(5)、42a(6)、42a(7)が現れて、8周期目の最大点42a(8)は、このオーガー40を軸線方向に投影した
図4において基準最大点42a(0)と重なる。つまり、螺旋状の翼体42に沿って軸線回りに5回転(360°×5 = 225°× 8)する毎に、8つの張り出し長の最大点42aが軸線方向に投影した図において45°毎に分布して現れることになる。
【0036】
このようなオーガー40を用いて粉体であるトナーを搬送すると、オーガー40の回転によって翼体42に接触しているトナーに軸線方向の推進力が付与されるが、翼体42の張り出し長が変化していることによってトナーに推進力を作用させる範囲が周期的に変動する。これにより、集合して塊状となっているトナーに対して、上記推進力を作用させる範囲の変動がほぐすように作用して搬送することができる。また、推進力を作用させる範囲の変動が、流動性の悪化したトナーに対して攪拌するように作用する。したがって、温度の上昇や、クリーニング装置で回収したトナーには逆極性に帯電したものが増加している等の理由によって塊状になりやすいトナーや流動性が低下したトナーに対しても良好な搬送性を得ることが可能となる。
【0037】
また、上記オーガー40が設けられた搬送路31は、オーガー40の周方向の全部又は一部を囲むように内周面が形成され、良好な搬送性を得るために翼体42の先端と内周面との間隔は小さくすることが望ましい。このため、回転駆動されるオーガーにたわみが生じると、搬送路31の内周面と接触する。このとき、オーガーを軸線方向に投影したときの形状が、中心軸線回りに翼体の張り出し長が長い領域と短い領域があり、張り出し長の短い領域の中心角が大きいと、この部分が下方に向いたときに、オーガーがそれ自体の重量で大きくたわむことになる。そして、オーガーの軸線回りの回転によって張り出し長の大きい部分と小さい部分とが繰り返し搬送路の内周面の下部と対向し、軸線が上下に振動することになる。
しかし、
本発明に係る画像形成装置で用いられるオーガー40では、張り出し長の最大点42aが、軸線方向に投影した図において周方向に分布し、互いに隣り合う最大点間の中心角が45°(120°以下)となっているので、軸線回りに回転したときに、翼体42の張り出し長の最大点42aが次々に搬送路31の内周面の下部と接触し、オーガー40にたわみが生じても変位量は少なくなってオーガー40の振動が抑制される。
なお、互いに隣り合う最大点間の中心角が120°以下であればどのような値でも本発明の効果を奏するが、90°以下であることがより好ましく、72°以下であることがより好ましい。
【0038】
上記オーガーが有する翼体の張り出し長が周期的に変化する中心角は、225°に限定されるものではなく、軸線方向に投影したときの形状で翼体の張り出し長の最大点が120°以下の間隔で全周に分布する角度であれば、他の角度とすることができる。ただし、上記張り出し長が周期的に変化する中心角は、トナーの良好な搬送性を維持するために90°より大きく、540°より小さい値に設定するのが望ましい。
【0039】
また、張り出し長の変化は、不連続点つまり角度を持って張り出し長が変化するものや、段差を生じて張り出し長が変化するものであってもよいが、滑らかな連続する曲線で変化するものが望ましい。例えば、中心角を横軸とし、縦軸を張り出し長としたときに、張り出し長の変化が正弦曲線となるもの、二次曲線を組み合わせたもの等とするのが望ましい。
【0040】
次に、翼体42の張り出し長が周期的に変化する中心角が、上記225°と異なる例であって、
本発明の画像形成装置で適用が可能な例、及び本発明の画像形成装置での適用から除外される例について説明する。
本発明の画像形成装置で用いることができるオーガーでは、翼体の張り出し長が周期的に変化する中心角を、例えば270°、288°、216°、144°、240°、480°又は120°とすることができる。
図5は、中心角270°毎に、螺旋状となった翼体の張り出し長が周期的に変化するオーガー50を、その軸線方向に見た形状を示す図である。このオーガー50では、張り出し長が最大となった基準最大点52a(0)から螺旋に沿って270°回転する毎に張り出し長の最大点52a(1)、52a(2)、52a(3)、52a(4)となり、軸線回りに螺旋が3回転する毎に張り出し長の最大点52aが基準最大点52a(0)と重なる。このオーガー50を軸線方向に見たときの形状は、張り出し長の最大点52aが周方向に沿って90°毎に存在している。
【0041】
また、
図6は、中心角288°毎に、螺旋状となった翼体の張り出し長が周期的に変化するオーガー60を、その軸線方向に見た形状を示す図である。このオーガー60では、張り出し長が最大となった基準最大点62a(0)から螺旋に沿って288°回転する毎に張り出し長の最大点62a(1)、62a(2)、62a(3)、62a(4)、62a(5)となり、軸線回りに螺旋が4回転する毎に張り出し長の最大点62aが基準最大点62a(0)と重なる。このオーガー60を軸線方向に見たときの形状は、張り出し長の最大点62aが周方向に沿って72°毎に存在している。また、張り出し長が変化する周期となる中心角が144°又は216°としたときも同様に張り出し長の最大点が周方向に沿って72°毎に存在する。
【0042】
図7に示すように張り出し長が変化する周期となる中心角が240°のオーガー90では、張り出し長の最大点92aが3箇所となる。このオーガー90では、隣り合う最大点92aが周方向に沿って120°毎に存在している。また、張り出し長が変化する周期となる中心角が、120°、480°のときも、張り出し長が最大となる位置は周方向に3箇所となり、隣り合う最大点間の中心角がいずれも120°となる。
このように、張り出し長が変化する周期となる中心角と360°との最大公約数となる角度毎に張り出し長の最大点が現れるものとなる。
【0043】
これに対して、張り出し長が変化する周期となる中心角が、180°,360°であるものは、本発明の範囲から除外される。また、上記値の前後に、本発明から除外される範囲がある。上記値の前後の本発明から除外される範囲については後述する。
【0044】
張り出し長が変化する周期となる中心角が180°のオーガーでは、
図8に示すように張り出し長の最大点72aは、このオーガー70を軸線方向に見たときに周方向の2箇所にあって、これらの中心角が180°つまり120°より大きくなっている。したがって、張り出し長の最大点72a間の張り出し長が小さくなった範囲が下方に向いたときにオーガー70が大きくたわむのを抑制することができず、振動が生じ易くなる。
また、張り出し長が変化する周期となる中心角が360°となるオーガーでは、
図9に示すように張り出し長の最大点82aは周方向の1箇所となる。したがって、中心角が180°のときと同様にオーガー80に生じるたわみを抑制することはできない。
【0045】
張り出し長が変化する周期となる中心角が180°の前後となる範囲、例えば179°となっているオーガー100では、オーガー100の軸線方向に投影した形状が、
図10に示すものとなる。このオーガー100では、翼体102の張り出し長が最大となる基準最大点102a(0)から翼体102の螺旋に沿って179°回転した点102a(1)で張り出し長が再び最大となり、さらに基準最大点102a(0)から翼体102の螺旋の方向(
図10中の時計回り)と逆方向(
図10中の反時計回り)に中心角が2°となる点102a(2)で張り出し長が最大となる。そして、翼体102の螺旋に沿って軸線回りを周回する毎に、上記基準最大点102a(0)及び最大点102a(1)から翼体の螺旋の方向(
図10中の時計回り)と逆方向(
図10中の反時計回り)に2°ずつ離れた位置で翼体102の張り出し長が最大となる。このオーガー100の翼体102が、該オーガー100の軸線方向に29ピッチ設けられていると、つまり軸線回りに翼体102が29周回するものであると、基準最大点102a(0)から翼体102の螺旋の方向と逆方向に中心角が58°の領域a1、及び最大点102a(1)から58°の領域a2に、翼体102の張り出し長の最大点102aが分布する。これらの範囲からはずれた領域a3,a4であって、中心角が123°の領域には、張り出し長が最大となる点が存在しないことになり、最大点間の中心角が120°を超えるものとなる。したがって、このオーガー100ではたわみが生じた状態で回転駆動されるときの振動を抑制することは難しく、
本発明の画像形成装置での適用から除外される。
【0046】
しかしながら、張り出し長が変化する周期となる中心角が178°であるオーガー110では、
図11に示すように基準最大点112a(0)及び基準最大点112a(0)から翼体112の螺旋に沿って178°回転した点112a(1)で翼体の張り出し長が最大となる。そして、これらの点112a(0),112a(1)より翼体の螺旋の方向と逆方向に中心角4°毎に張り出し長の最大点112aが現れ、116°の領域a5,a6に分布する。したがって、張り出し長の最大点112aが存在しない領域a7,a8は、中心角で66°の領域となり、隣り合う最大点112a間の中心角が120°以下となって、本発明の範囲に含まれるものとなる。
【0047】
一方、張り出し長が変化する周期となる中心角が360°の前後となる範囲、例えば355°となっているときには、オーガー120の軸線方向に投影した形状が、
図12に示すものとなる。このオーガー120では、翼体122の張り出し長が最大となる基準最大点122a(0)から翼体122の螺旋に沿って355°回転した最大点122a(1)で張り出し長が再び最大となり、基準最大点122a(0)から翼体の螺旋の方向と逆方向に順次中心角が5°離れる毎に張り出し長の最大点122aが存在する。したがって、翼体122がオーガー120の全長で軸線の回りに29周回するように形成されていると、張り出し長の最大点122aは中心角が145°の領域a9に分布する。そして、この領域以外の中心角が215°の領域a10には張り出し長の最大点122aが存在しなくなり、
本発明の画像形成装置での適用から除外される。
【0048】
しかしながら、張り出し長が変化する周期となる中心角が345°であるオーガー130では、
図13に示すように基準最大点132a(0)から翼体の螺旋の方向と逆方向に中心角15°毎に翼体132の張り出し長が最大となる最大点132aが現れ、435°の領域に分布する。したがって、張り出し長の最大点132aはオーガー130の周方向に全周にわたって分布し、
本発明の画像形成装置で用いることができるオーガーに含まれるものとなる。
【0049】
以上説明したように、張り出し長が変化する周期となる中心角が、180°又は360°、つまり360との最大公約数が120より大きくなる角度であるオーガー、及び張り出し長が変化する周期となる中心角が、上記値の前後となる値であって上述のような条件によって除外される範囲にあるオーガーは本発明の範囲から除外される。そして、張り出し長が変化する周期となる中心角が、360との最大公約数が120以下となる値、つまり最大公約数が120、90、60、45、40、30、20、15、12、10、8、6、4、3、2等となる値、360と互いに素となる値の角度であって、上述の除外される条件に含まれない角度であるオーガーが
本発明の画像形成装置で用いることできるものとなる。
また、張り出し長が変化する周期となる中心角は、以上の説明において1°以下の端数を有する場合を考慮していないが、張り出し長が変化する周期となる中心角は1°以下の端数を有するものであってもよく、上述のような除外される条件に照らして本発明の範囲に含まれるものと本発明の範囲から除外されるものとを判別することができる。
【0050】
以上に説明したオーガーは、搬送路31内に配置されてトナー又は二成分現像剤を搬送するものであったが、
同様のオーガーは、本発明のクリーニング装置内において用いることができる。
図14は、本発明の一実施形態であって、
図1に示す画像形成装置で用いられている中間転写ベルト用のクリーニング装置33の概略構成図である。この中間転写ベルト用のクリーニング装置33において、本発明に係るオーガーが用いられており、(a)図は中間転写ベルト11の周回移動方向に沿った方向の鉛直断面を示すものであり、(b)図は中間転写ベルト11の幅方向に沿った鉛直断面を示すものである。
【0051】
この中間転写ベルト用のクリーニング装置33は、中間転写ベルト11の周面に接触して付着している残留トナーを掻き落とすクリーニングブレード34と、中間転写ベルト11上から回収したトナーを一旦収容するハウジング35と、このハウジング35内において、中間転写ベルト11の幅方向に軸線を有するように配置されたオーガー36とを有するものである。
このオーガー36は、
図2及び
図3に示すオーガー40と同様に、断面が円形となった軸体の周囲に螺旋状に張り出した翼体を有するものである。そして、この翼体の軸体からの張り出し長が、螺旋に沿って変化するものとなっている。この翼体の張り出し長が変化する周期となる中心角は、
図2及び
図3に示すオーガーと同様に決定することができ、例えば225°、270°、288°とすることができる。したがって、軸体の軸線方向に上記翼体を投影した形状は、翼体の張り出し長さが最大となる最大点が周方向に複数存在し、この軸線方向に投影した形状で隣り合う最大点間の中心角のいずれもが120°以下となっている。
【0052】
このクリーニング装置33では、クリーニングブレード34によって中間転写ベルト11とから掻き落とされたトナーがハウジング35内に一旦収容され、オーガー36の回転駆動によってオーガー36の軸線方向、つまり中間転写ベルト11の幅方向に搬送される。このとき、トナーは二次転写位置で転写されずに残留したもの、中間転写ベルト11上に転写されたパッチ画像から掻き取られたもの等を含んでおり、凝縮や流動性の低下が生じ易くなっているが、
上記オーガー36によってその軸線方向に円滑に搬送される。
このオーガー36で搬送されることによって中間転写ベルト用のクリーニング装置33のハウジング35内から搬出され、トナー落下部37を経て収容室32に送り込まれる。
【0053】
一方、トナー像を一次転写した後の感光体ドラム1上に残留するトナーを除去する感光体ドラム用のクリーニング装置6においても、
上記と同様のオーガー6aを用いてトナーを搬送することができ、感光体ドラム1上から除去したトナーを搬送路31に送り込むことができる。搬送路31に送り込まれたトナーは、さらにオーガー40によって搬送されて収容室32に送り込まれる。
【0054】
なお、以上に説明した実施の形態では、オーガーはトナー又は二成分現像剤を搬送するものであるが、
上記オーガーは上記用途に限定されるものでなく、広く粉体を搬送するものに適用することができる。また、当然のことならが、例えばいわゆる押出成形装置に使用されるオーガー等、練物のような流体を搬送するものにも適用することができる。また、粉体となったトナーを用いる画像形成装置においても、上記クリーニング装置又は搬送路に用いるものに限定されるものではなく、粉体となったトナー又は二成分現像剤を搬送する必要がある部位において用いることができる。特に、上記オーガーを画像形成装置において使用した場合、オーガーの中心軸線回りに回転駆動されるときの振動を抑制することができるため、振動による画質の乱れを抑制することができる。