(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
AC−DC変換回路と、該AC−DC変換回路から出力された直流の電圧を変換するDC−DC変換回路と、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部とを備える変換装置において、
前記AC−DC変換回路に対する交流の電圧の印加の有無を示す情報を取得する取得部と、
該取得部にて取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示す場合、前記検出部の天絡又は開放の有無を判定する天絡判定部と、
前記取得部にて取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていることを示す場合、前記検出部の地絡の有無を判定する第1の地絡判定部と
を備える変換装置。
AC−DC変換回路と、該AC−DC変換回路から出力された直流の電圧を変換するDC−DC変換回路と、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部とを備える変換装置における該検出部の故障の有無を判定する故障判定方法において、
前記AC−DC変換回路に対する交流の電圧の印加の有無を示す情報を取得し、
取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示す場合、前記検出部の天絡又は開放の有無を判定し、取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていることを示す場合、前記検出部の地絡の有無を判定する故障判定方法。
AC−DC変換回路と、該AC−DC変換回路から出力された直流の電圧を変換するDC−DC変換回路と、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部と、前記AC−DC変換回路及び前記DC−DC変換回路のスイッチングを制御する制御回路とを備える変換装置における該検出部の故障の有無を前記制御回路に判定させるための制御プログラムにおいて、
前記制御回路に、
外部から取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示しているか否かを判定させ、
取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示す場合、前記検出部の天絡又は開放の有無を判定させ、取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていることを示す場合、前記検出部の地絡の有無を判定させるための制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の変換装置において各種検出部が故障した場合、過電圧及び過電流を検出できず、正常な充電制御を行うことができないという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部の故障の有無を判定することができる変換装置を提供することにある。
また、前記変換装置に設けられた検出部の故障の有無を判定する故障判定方法、及び該検出部の故障の有無を判定するための制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る変換装置は、AC−DC変換回路と、該AC−DC変換回路から出力された直流の電圧を変換するDC−DC変換回路と、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部とを備える変換装置において、前記AC−DC変換回路に対する交流の電圧の印加の有無を示す情報を取得する取得部と、該取得部にて取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示す場合、前記検出部の天絡又は開放の有無を判定する天絡判定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る変換装置は、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されることを示す情報を取得してからの経過時間を計時する計時部と、交流の電圧が印加されることを示す情報を取得してから所定時間が経過したか否かを判定する経過時間判定部と、交流の電圧が印加されることを示す情報を取得してから所定時間が経過したと前記経過時間判定部が判定した場合、電圧を検出する前記検出部の地絡の有無を判定する第1の地絡判定部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る変換装置は、前記AC−DC変換回路及び前記DC−DC変換回路はスイッチング方式の変換回路であり、前記AC−DC変換回路及び前記DC−DC変換回路のスイッチングを制御するスイッチング制御部と、前記AC−DC変換回路及び前記DC−DC変換回路がスイッチング制御されている状態で、電流を検出する前記検出部の地絡の有無を判定する第2の地絡判定部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る変換装置は、前記検出部は、前記AC−DC変換回路に印加される交流の電圧を検出するAC電圧検出部と、前記AC−DC変換回路に印加される交流の電流を検出するAC電流検出部と、前記DC−DC変換回路に印加される直流の電圧を検出するDC電圧検出部と、前記DC−DC変換回路から出力される直流の電流を検出するDC電流検出部とを含み、前記天絡判定部は、前記AC電圧検出部、前記AC電流検出部、前記DC電圧検出部及び前記DC電流検出部それぞれの検出値を所定の閾値と比較することにより、各検出部の天絡又は開放の有無を判定することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る変換装置は、前記検出部は、前記AC−DC変換回路に印加される交流の電圧を検出するAC電圧検出部と、前記DC−DC変換回路に印加される直流の電圧を検出するDC電圧検出部とを含み、前記第1の地絡判定部は、前記AC電圧検出部及び前記DC電圧検出部にて検出された電圧を所定の閾値と比較することにより、各検出部の地絡の有無を判定することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る変換装置は、前記AC−DC変換回路に対する交流の電圧の印加をオンオフするスイッチと、該スイッチのオンオフを切り換える切換制御部と、該切換制御部が交流の電圧の印加をオフ制御した状態で前記AC電圧検出部及びDC電圧検出部にて検出された電圧に基づいて、前記スイッチの故障の有無を判定するスイッチ故障判定部とを備え、前記切換制御部は、前記スイッチ故障判定部にて前記スイッチの故障が無いと判定された場合、交流の電圧の印加をオン制御し、前記第1の地絡判定部は、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加された状態で、前記DC電圧検出部の地絡の有無を判定することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る変換装置は、前記検出部は、前記AC−DC変換回路に印加される交流の電流を検出するAC電流検出部と、前記DC−DC変換回路から出力される直流の電流を検出するDC電流検出部とを含み、前記第2の地絡判定部は、検出した交流の電流が所定の閾値未満であり、かつ直流の電流が所定の前記閾値以上である場合、前記AC電流検出部が地絡していると判定する第1判定部と、検出した直流の電流が前記閾値未満であり、かつ交流の電流が所定の前記閾値以上である場合、前記DC電流検出部が地絡していると判定する第2判定部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る故障判定方法は、AC−DC変換回路と、該AC−DC変換回路から出力された直流の電圧を変換するDC−DC変換回路と、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部とを備える変換装置における該検出部の故障の有無を判定する故障判定方法において、前記AC−DC変換回路に対する交流の電圧の印加の有無を示す情報を取得し、取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示す場合、前記検出部の天絡又は開放の有無を判定することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る制御プログラムは、AC−DC変換回路と、該AC−DC変換回路から出力された直流の電圧を変換するDC−DC変換回路と、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部と、前記AC−DC変換回路及び前記DC−DC変換回路のスイッチングを制御する制御回路とを備える変換装置における該検出部の故障の有無を前記制御回路に判定させる制御プログラムにおいて、前記制御回路に、外部から取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示しているか否かを判定させ、取得した情報が、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されていないことを示す場合、前記検出部の天絡又は開放の有無を判定させることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、前記AC−DC変換回路に対する交流の電圧の印加の有無を示す情報を取得する。交流電源からの給電が無い状態で検出された電圧はグランド電圧、検出された電流は略0Aである。検出部にて検出された電圧がグランド電圧では無い場合、該検出部は天絡又は開放していると推定される。同様に、検出部にて検出された電流が略0Aで無い場合、該検出部は天絡又は開放していると推定される。このため、前記AC−DC変換回路に対する交流の電圧の印加が無い状態で前記検出部の天絡又は開放の有無を判定することが可能である。
なお、本発明に係る変換装置には交流及び直流を双方向に変換する装置が含まれる。つまり、AC−DC変換回路には交流及び直流を双方向に変換する回路が含まれ、DC−DC変換回路には直流の入出力方向を逆にすることが可能な回路が含まれる。
【0018】
本発明にあっては、前記AC−DC変換回路に交流の電圧が印加されることを示す情報を取得してから所定時間が経過した場合、つまり、交流電源からの給電が開始され、給電状態が安定した場合、検出部にて検出される電圧はグランド電圧と異なる電圧になる。検出部にて検出された電圧がグランド電圧である場合、該検出部は地絡していると推定される。このため、交流の電圧が印加されることを示す情報を取得してから所定時間が経過した状態で、電圧を検出する検出部の地絡を判定することが可能である。
【0019】
本発明にあっては、AC−DC変換回路及びDC−DC変換回路のスイッチング制御が開始された場合、検出部にて検出される電流は給電状態に応じた値になる。このため、AC−DC変換回路及びDC−DC変換回路がスイッチング制御されている状態では、電流を検出する前記検出部の地絡の有無を判定することが可能である。
【0020】
本発明にあっては、AC電圧検出部、AC電流検出部、DC電圧検出部、及びDC電流検出部の天絡又は開放の有無をそれぞれ判定することが可能である。
【0021】
本発明にあっては、AC電圧検出部及びDC電圧検出部の地絡の有無をそれぞれ判定することが可能である。
【0022】
本発明にあっては、スイッチの故障の有無を判定した上で、交流の電圧が印加されるようにスイッチの切り換えを制御し、DC電圧検出部の地絡の有無を判定することが可能である。
【0023】
本発明にあっては、AC電流検出部及びDC電流検出部の地絡の有無をそれぞれ判定することが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明にあっては、変換装置に設けられた交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部の故障の有無を判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は充電システムの一構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る充電システムは、給電ケーブルを介してバッテリ充電を行うインフラ側充電装置1と、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に設けられた車両側充電装置2とを備える。
【0027】
インフラ側充電装置1は、例えば200V三相交流の交流電源10から供給された交流を車両へ供給する充電ステーション11を備える。充電ステーション11には、交流電源10からの交流を給電するための給電ケーブルが接続されており、給電ケーブルの先端には充電ガン14が設けられている。給電ケーブルには交流の給電に必要な給電線、グランド線、充電制御に必要な情報をやり取りするためのパイロット信号を通信するための通信線等が含まれている。充電ガン14は車両のインレット24に挿入され、充電ステーション11と、車両とを電気的に接続するためのものである。充電ガン14のインレット24との接続部分には、給電端子、グランド端子、パイロット信号が入出力する信号入出力端子等が設けられている。
【0028】
また、充電ステーション11は、充電制御装置11a、インバンド通信部12及びステーション側リレー13a,13bを備える。ステーション側リレー13a,13bは給電線の途中に設けられており、充電制御装置11aの制御によって開閉する。充電制御装置11aは、充電制御に必要なパイロット信号を発信する発信回路、パイロット信号の電圧レベルを検出する検出回路等を備える。充電制御装置11aは、充電ガン14が車両に接続される前段階において12Vのパイロット信号を出力する。この状態をAステートと呼ぶ。充電ガン14が車両のインレット24に接続された場合、車両側の抵抗器と接続され、パイロット信号の電圧が9Vに変化する。この状態をB1ステートと呼ぶ。充電制御装置11aはパイロット信号の信号レベルを検出することによって、充電ガン14と、インレット24との接続を検知することができる。また、充電制御装置11aは、充電ステーション11側の充電準備が完了した場合、9Vの矩形パルス信号を発信する。この状態をB2ステートと呼ぶ。車両側においても充電準備が完了した場合、車両側の抵抗器の切り換えが行われ、矩形パルス信号の電圧が9Vから6Vに変化する。この状態をCステートと呼ぶ。充電制御装置11aは、矩形パルス信号の電圧が6Vに変化したことを検出した場合、所定時間以内にステーション側リレー13a,13bを閉じ、交流の給電を開始する。所定時間は例えば3秒である。
【0029】
インバンド通信部12は、パイロット信号に重畳させた制御信号を送受信する回路である。インバンド通信部12は、充電ステーション11及び車両に搭載されたバッテリ20に係る情報、充電電流量等の情報を送受信し、充電制御装置11aは充電の可否を含め充電準備の確認を行う。
【0030】
車両側充電装置2は、充電ガン14に接続されるインレット24及び電気自動車を駆動するためのバッテリ20を備える。インレット24は、充電ガン14に接続可能な形状を有しており、接続部分には充電ガン14の給電端子、グランド端子、信号入出力端子等に接続される各種端子が設けられている。給電端子は、交流を直流に変換する変換装置23、DCリレー25を介してバッテリ20に接続されている。充電ステーション11から供給された交流は変換装置23によって交直変換され、交直変換された直流によってバッテリ20が充電される構成になっている。
【0031】
また、車両側充電装置2は、充電管理ECU21及びインバンド通信部22を備える。充電管理ECU21は通信線に接続されており、充電制御装置11aとの間で充電に必要な情報をパイロット信号にて送受信する。具体的には充電管理ECU21は、パイロット信号の電圧レベルを検出する検出回路、パイロット信号の電圧を変化させるための抵抗器及び切換スイッチ等を備える。
充電管理ECU21は、充電ガン14がインレット24に接続されたことを検知した場合、又はステーション側の充電準備が完了したことを検知した場合、変換装置23に制御信号を出力することによって、変換装置23を起動する。変換装置23は後述するように各種検出部の故障の有無を確認し、異常があれば充電管理ECU21へ内部異常を通知する。異常が確認されなければ、変換装置23は充電制御の開始を充電管理ECU21へ要求する。車両側充電装置2側の充電準備が完了した場合、抵抗器の切り換えを行い、矩形パルスの電圧を6Vに変化させる制御を行う。また、充電管理ECU21はDCリレー25を閉じ、バッテリ20への給電を行う。また、後述するように、給電開始直後においても、変換装置23は各種検出部の故障判定を行い、故障を発見した場合、その旨を充電管理ECU21へ通知する。
更に充電管理ECU21は、パイロット信号のステートを示した情報を、CAN(Controller Area Network)通信線26を介して変換装置23へ送信する通信部を備えている。言い換えるとパイロット信号のステートを示した情報は、AC−DC変換回路4に対する交流の電圧の印加の有無を示す情報である。パイロット信号のB2ステートは交流の電圧の印加が無い状態、Cステートは交流の電圧の印加がある状態に対応する。また、充電管理ECU21はバッテリ20の状態を監視しており、バッテリ20が正常な状態であるか否かを判定し、バッテリ20が正常であるか否かを示すバッテリ情報を、CAN通信線26を介して変換装置23へ送信する機能を有する。
【0032】
インバンド通信部22は、パイロット信号に重畳させた制御信号を送受信する回路である。インバンド通信部22は、充電ステーション11及び車両に搭載されたバッテリ20に係る情報、充電電流量等の情報を送受信し、充電管理ECU21は充電の可否を含め充電準備の確認を行う。インバンド通信部22と、充電管理ECU21との情報通信は、例えばCAN通信線26を介して行われる。
【0033】
図2は変換装置23の一構成例を示す回路図である。本実施の形態に係る変換装置23は、例えば、プラグインハイブリッド車及び電気自動車に搭載され、交流及び直流を双方向に交直変換する絶縁型である。変換装置23は、交流入出力端子T1,T2及び直流入出力端子T3,T4と、PFC(Power Factor Correction)機能付きAC−DC変換回路4と、DC−DC変換回路5と、AC−DC変換回路4に対する交流の電圧の印加をオンオフする遮断スイッチ(スイッチ)3a,3bと、各変換回路のスイッチング制御を行う制御回路9とを備える。DC−DC変換回路5は、例えば第1双方向変換回路6、変圧器7及び第2双方向変換回路8とで構成される。
【0034】
交流入出力端子T1,T2には交流電源10又は負荷が交換可能に接続される。交流入出力端子T1,T2に交流電源10が接続され、交流の電圧が印加された場合、交流は直流に交直変換され、交直変換された直流の電圧が直流入出力端子T3,T4から出力される。直流入出力端子T3,T4にはDCリレー25を介してバッテリ20が接続されており、直流入出力端子T3,T4から出力された直流によって該バッテリ20は充電される。交流入出力端子T1,T2に負荷が接続された場合、バッテリ20によって直流入出力端子T3,T4に印加された直流の電圧が交流に交直変換され、交直変換された交流が交流入出力端子T1,T2を介して負荷に給電される。このように交流及び直流を双方向に交直変換する変換装置23を車両に搭載することにより、バッテリ20を災害用又は非常用電源として利用することが可能になる。
【0035】
遮断スイッチ3a,3bは、交流入出力端子T1,T2と、AC−DC変換回路4との間に設けられている。遮断スイッチ3a,3bは例えばリレーであり、該遮断スイッチ3a,3bのオンオフの切り換えは制御回路9によって制御される。
【0036】
PFC機能付きAC−DC変換回路4は、フルブリッジ回路のスイッチング制御によって交流及び直流を双方向に交直変換する回路である。PFC機能付きAC−DC変換回路4はコンデンサC1,C2、コイルL1,L2、並びにフルブリッジ回路を構成する第1乃至第4スイッチング素子41,42,43,44及びダイオード45,46,47,48を備える。第1乃至第4スイッチング素子41,42,43,44は例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)等のパワーデバイスである。以下、本実施の形態では第1乃至第4スイッチング素子41,42,43,44をIGBTとして説明する。交流入出力端子T1,T2には遮断スイッチ3a,3bの一端がそれぞれ接続され、遮断スイッチ3a,3bの他端にはコンデンサC1の各端が接続されている。また、遮断スイッチ3aの他端にはコイルL1の一端が接続され、コイルL1の他端は第1スイッチング素子41のエミッタと、第2スイッチング素子42のコレクタとに接続している。遮断スイッチ3bの他端にはコイルL2の一端が接続され、コイルL2の他端は第3スイッチング素子43のエミッタと、第4スイッチング素子44のコレクタとに接続している。
第1及び第3スイッチング素子41,43のコレクタは、第1双方向変換回路6に接続している。第1及び第3スイッチング素子41,43のエミッタはそれぞれ第2及び第4スイッチング素子42,44のコレクタに接続し、第2及び第4スイッチング素子42,44のエミッタは、第1双方向変換回路6に接続している。第1乃至第4スイッチング素子41,42,43,44のコレクタには、第1乃至第4ダイオード45,46,47,48のカソードが接続し、第1乃至第4ダイオード45,46,47,48のアノードは第1乃至第4スイッチング素子41,42,43,44のエミッタに接続している。また第1及び第3スイッチング素子41,43のコレクタにはコンデンサC2の一端が接続され、該コンデンサC2の他端は第2及び第4スイッチング素子42,44のエミッタに接続されている。
【0037】
第1双方向変換回路6は、フルブリッジ回路60のスイッチング制御によって交流及び直流を双方向に交直変換する回路である。第1双方向変換回路6はフルブリッジ回路60を構成する第1乃至第4スイッチング素子61,62,63,64及びダイオード65,66,67,68を備える。第1及び第3スイッチング素子61,63のコレクタは第1及び第3スイッチング素子41,43のコレクタに接続している。第1及び第3スイッチング素子61,63のエミッタはそれぞれ第2及び第4スイッチング素子62,64のコレクタに接続し、第2及び第4スイッチング素子62,64のエミッタは第2及び第4スイッチング素子42,44のエミッタに接続している。第1乃至第4スイッチング素子61,63,62,64のコレクタには、ダイオード65,66,67,68のカソードが接続し、各ダイオード65,66,67,68のアノードは第1乃至第4スイッチング素子61,63,62,64のエミッタに接続している。
【0038】
変圧器7は、磁気結合した複数のコイル、例えば第1コイル及び第2コイルを備える。第1コイルの端子対は第1スイッチング素子61及び第3スイッチング素子63のエミッタにそれぞれ接続されている。第1双方向変換回路6から出力された交流の電圧が第1コイルに印加されると、該第1コイルにて交番磁束が発生し、該交番磁束によって第2コイルに変圧された交流の電圧が生ずる。
【0039】
第2双方向変換回路8は、フルブリッジ回路80のスイッチング制御によって交流及び直流を双方向に交直変換する回路である。第2双方向変換回路8はコンデンサC3、コイルL3、並びにフルブリッジ回路80を構成する第1乃至第4スイッチング素子81,82,83,84及びダイオード85,86,87,88を備える。変圧器7を構成する第2コイルの一端は第1スイッチング素子81のエミッタと、第2スイッチング素子82のコレクタとに接続し、前記第2コイルの他端は第3スイッチング素子83のエミッタと、第4スイッチング素子84のコレクタとに接続している。
第1及び第3スイッチング素子81,83のコレクタはコイルL3の一端に接続し、コイルL3の他端は直流入出力端子T3に接続している。第1及び第3スイッチング素子81,83のエミッタはそれぞれ第2及び第4スイッチング素子82,84のコレクタに接続し、第2及び第4スイッチング素子82,84のエミッタは直流入出力端子T4に接続している。第1乃至第4スイッチング素子81,82,83,84のコレクタには、ダイオード85,86,87,88のカソードが接続し、各ダイオード85,86,87,88のアノードはスイッチング素子81,82,83,84のエミッタに接続している。また直流入出力端子T3にはコンデンサC3の一端が接続され、該コンデンサC3の他端は直流入出力端子T4に接続されている。
コンデンサC3は、フルブリッジ回路80から出力される直流の電圧を平滑化するための素子である。コイルL3は、第1乃至第4スイッチング素子81,82,83,84のスイッチングによるリップル電流がコンデンサC3に流れ込むことを抑制し、コンデンサC3が破損することを防止するための素子である。
【0040】
また、変換装置23は、交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する検出部を備える。例えば、変換装置23は、AC−DC変換回路4に印加される交流の電圧を検出するAC電圧検出部90aと、AC−DC変換回路4に印加される交流の電流を検出するAC電流検出部90bと、DC−DC変換回路5に印加される直流の電圧を検出する第1DC電圧検出部90cと、DC−DC変換回路5から出力される直流の電圧を検出する第2DC電圧検出部90dと、DC−DC変換回路5から出力される直流の電流を検出するDC電流検出部90eとを備える。
【0041】
AC電圧検出部90aは、交流入出力端子T2と、遮断スイッチ3bの一端とを接続する導線に設けられており、該導線の電圧、つまりAC−DC変換回路4に印加される交流の電圧に相当する信号を制御回路9へ出力するものである。例えば、AC電圧検出部90aは前記導線に接続された整流回路、該整流回路で整流された直流の電圧を分圧する分圧抵抗を含み、分圧された電圧を制御回路9へ出力する回路である。なお、分圧された電圧を増幅器で増幅して制御回路9へ出力しても良いし、電圧をAD変換し、AD変換された電圧値を制御回路9に出力するように構成しても良い。
第1DC電圧検出部90cはAC−DC変換回路4の出力端又はDC−DC変換回路5の入力端に接続されており、DC−DC変換回路5に入力される直流の電圧に相当する信号を制御回路9へ出力する回路である。第1DC電圧検出部90cは、AC−DC変換回路4の出力端又はDC−DC変換回路5の入力端に接続された分圧抵抗を含み、該分圧抵抗によって分圧された電圧を制御回路9へ出力する回路である。なお、分圧された電圧を増幅器で増幅して制御回路9へ出力しても良いし、電圧をAD変換し、AD変換された電圧値を制御回路9に出力するように構成しても良い。
第2DC電圧検出部90dは第1DC電圧検出部90cと同様の構成であり、例えば直流入出力端子T4に接続され、該直流入出力端子T4から出力される電圧に相当する信号を制御回路9に出力する。
【0042】
AC電流検出部90bは遮断スイッチ3bの他端と、コイルL2とを接続する導線に設けられており、AC−DC変換回路4に入力する電流に相当する信号を制御回路9に出力するものである。AC電流検出部90bは例えばカレントトランスを含み、該カレントトランスによって変換された電流を電圧に変換して制御回路9へ出力する回路である。
DC電流検出部90eは直流入出力端子T4に接続され、該直流入出力端子T4から出力される電流に相当する信号を制御回路9に出力するものである。DC電流検出部90eは、例えばホール素子センサである。ホール素子センサは、導線を流れる電流によって発生した磁界をホール素子で検出し、磁界によってホール素子に生じたホール電圧を増幅し、電流値として出力する。
【0043】
図3は制御回路9の一構成例を示すブロック図である。制御回路9は、該制御回路9の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部91を備える。制御部91には、バスを介して、RAM92、記憶部93、通信部94、インタフェース95、各種検出部の故障判定タイミング、スイッチング制御のタイミング等を計時するための計時部96が接続されている。
【0044】
記憶部93は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリであり、本実施の形態に係るスイッチング制御を行うための制御プログラム98を記憶している。
また、制御プログラム98は、コンピュータ読み取り可能に記録された可搬式メディアであるCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray Disc)、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等の記録媒体97に記録されており、制御部91が記録媒体97から、制御プログラム98を読み出し、記憶部93に記憶させても良い。
更に、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係る制御プログラム98を取得し、記憶部93に記憶させても良い。
【0045】
RAM92は、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、制御部91の演算処理を実行する際に記憶部93から読み出された制御プログラム98、及び制御部91の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。
【0046】
通信部94は、充電管理ECU21との間でCAN通信プロトコルに従って各種情報を送受信するCAN通信回路を備える。また通信部94は、交流から直流への変換を指示する充電指示、直流から交流への変換を指示する放電指示、終了指示等を受信する。
【0047】
インタフェース95には、PFC機能付きAC−DC変換回路4、第1及び第2双方向変換回路6,8を構成する第1乃至第4スイッチング素子41,・・・,44,61,・・・,64,81,・・・,84,のゲートが接続されており、該ゲートに電圧を与えることにより、各回路のスイッチング制御を行う。
また、インタフェース95には、AC電圧検出部90a、AC電流検出部90b、第1DC電圧検出部90c、第2DC電圧検出部90d、及びDC電流検出部90eが接続され、各検出部から出力される信号が入力する。
【0048】
制御部91は通信部94にて充電指示を受信した場合、スイッチング制御によってPFC機能付きAC−DC変換回路4を力率改善回路及びAC−DC変換回路、第1双方向変換回路6をDC−AC変換回路、第2双方向変換回路8をAC−DC変換回路として動作させる。また、制御部91は通信部94にて放電指示を受信した場合、スイッチング制御によって第2双方向変換回路8をDC−AC変換回路、第1双方向変換回路6をAC−DC変換回路4、PFC機能付きAC−DC変換回路4をDC−AC変換回路として動作させる。
【0049】
次に、変換装置23に設けられた各検出部の故障の有無を判定する手順を説明する。
図4は制御部91の処理手順を示したフローチャートである。まず、制御部91は、各検出部の天絡及び開放による故障の有無を判定する(ステップS1)。天絡は、電源電位に短絡した状態を意味する。
【0050】
図5は天絡及び開放故障判定に係るサブルーチンの処理手順を示したフローチャートである。制御部91は、AC−DC変換回路4及びDC−DC変換回路5を構成する各スイッチング素子41,42,・・・,83,84の全ゲートをオフにする(ステップS101)。次いで、制御部91は、通信部94を介してステート情報を取得し(ステップS102)、B2ステートであるか否かを判定する(ステップS103)。なお、ステート情報は必ずしもCAN通信線26を介して取得する必要は無く、充電管理ECU21と、変換装置23とを接続する専用線を介して取得しても良い。また、充電制御装置11aから送信されるパイロット信号を直接受信し、B2ステートであるか否かを判定するようにしても良い。また、ステート情報に限らず、AC−DC変換回路4に対する交流の電圧の印加の有無を示した情報であればその態様は特に限定されない。B2ステートで無いと判定した場合(ステップS103:NO)、制御部91はステップS103の処理を繰り返し実行する。B2ステートであると判定した場合(ステップS103:YES)、制御部91は、AC電圧検出部90aにて検出されたAC電圧が0Vであるか否かを判定する(ステップS104)。具体的には制御部91は前記AC電圧が所定の閾値未満であるか否かを判定する。AC電圧が0Vで無いと判定した場合(ステップS104:NO)、制御部91はAC電圧検出部90aが天絡故障又は開放故障していることを記憶する(ステップS105)。
【0051】
AC電圧が0Vであると判定した場合(ステップS104:YES)、又はステップS105の処理を終えた場合、制御部91は、第1DC電圧検出部90cにて検出された電圧V1が0Vであるか否かを判定する(ステップS106)。具体的には制御部91は電圧V1が所定の閾値未満であるか否かを判定する。電圧V1が0Vで無いと判定した場合(ステップS106:NO)、制御部91は、第1DC電圧検出部90cが天絡故障又は開放故障していることを記憶する(ステップS107)。
【0052】
電圧V1が0Vであると判定した場合(ステップS106:YES)、又はステップS107の処理を終えた場合、AC電流検出部90bにて検出されたAC電流が0Aであるか否かを判定する(ステップS108)。AC電流が0Aで無いと判定した場合(ステップS108:NO)、制御部91は、AC電流検出部90bが天絡故障又は開放故障していることを記憶する(ステップS109)。
【0053】
AC電流が0Aであると判定した場合(ステップS108:YES)、又はステップS109の処理を終えた場合、制御部91は、DC電流検出部90eにて検出されたDC電流が0Aであるか否かを判定する(ステップS110)。
DC電流が0Aであると判定した場合(ステップS110:YES)、制御部91はサブルーチンの処理を終える。DC電流が0Aで無いと判定した場合(ステップS110:NO)、制御部91はDC電流検出部90eが天絡故障又は開放故障していることを記憶し(ステップS111)、サブルーチンの処理を終える。
【0054】
なお、
図5に示した各検出部の天絡故障又は開放故障を検出する順序は一例であり、特に限定されるものでは無い。
【0055】
図4に示すように天絡及び開放故障判定に係るステップS1の処理を終えた制御部91は、第2DC電圧検出部90dの故障の有無を判定する(ステップS2)。
【0056】
図6は第2DC電圧検出部90dの故障判定に係るサブルーチンの処理手順を示したフローチャートである。制御部91は、第2DC電圧検出部90dにて検出された電圧V2が正常範囲であるか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、制御部91は記憶部93から正常範囲に相当する所定の電圧範囲を示した情報を読み出す。そして、制御部91は、電圧V2が所定の電圧範囲内にあるか、又は範囲外にあるかを判定する。
前記所定の電圧範囲は、予め制御回路9の記憶部93に記憶させておいても良いし、充電管理ECU21から取得して、記憶部93に記憶させるように構成しても良い。充電管理ECU21は、バッテリ20の状態に応じた所定の電圧範囲を特定し、特定された所定の電圧範囲を変換装置23へ送信する。この場合、変換装置23の制御部91はより正確に電圧V2が正常な電圧であるか否かを判別することができる。
【0057】
電圧V2が正常範囲であると判定した場合(ステップS201:YES)、制御部91はサブルーチンの処理を終える。電圧V2が正常範囲で無いと判定した場合(ステップS201:NO)、制御部91は、通信部94を介して充電管理ECU21からバッテリ情報を取得する(ステップS202)。バッテリ情報はバッテリ20が正常であるか否かを示す情報を含む。
【0058】
次いで、制御部91はバッテリ情報に基づいてバッテリ20に異常が無いか否かを判定し(ステップS203)、バッテリ20に異常が無いと判定した場合(ステップS203:YES)、制御部91は第2DC電圧検出部90dが故障していることを記憶し(ステップS204)、サブルーチンの処理を終える。バッテリ異常があると判定した場合(ステップS203:NO)、制御部91は、サブルーチンの処理を終える。
【0059】
図4に示すように第2DC電圧検出部90dの故障判定に係る処理を終えた制御部91は、ステップS1及びステップS2の判定結果から、変換装置23の内部異常の有無を判定する(ステップS3)。内部異常が無いと判定した場合(ステップS3:YES)、制御部91は、通信部94を介して充電管理ECU21へ充電の準備が完了した旨の通知を行う(ステップS4)。次いで、制御部91は、第1の地絡故障判定を行う(ステップS5)。第1の地絡故障判定は、AC電圧検出部90a及び第1DC電圧検出部90cの地絡故障の有無を判定する処理である。地絡は、グランド電位に短絡した状態を意味する。
【0060】
図7は第1の地絡故障判定に係るサブルーチンの処理手順を示したフローチャートである。制御部91は、通信部94を介してステート情報を取得し(ステップS301)、Cステートであるか否かを判定する(ステップS302)。なお、Cステートと同様の状態を示すDステートであるか否かを判定するように構成しても良い。Dステートは充電の際に換気が要求される場合に使用されるパイロット信号である。Cステートでは無いと判定した場合(ステップS302:NO)、制御部91はステップS302の処理を繰り返し実行する。Cステートであると判定した場合(ステップS302:YES)、制御部91は、計時部96にて計時を開始する(ステップS303)。そして制御部91は、AC−DC変換回路4に交流の電圧が印加されてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS304)。所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS304:NO)、制御部91はステップS304の処理を繰り返し実行する。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS304:YES)、制御部91は、AC電圧検出部90aにて検出したAC電圧が0Vであるか否かを判定する(ステップS305)。具体的にはAC電圧が所定の閾値未満であるか否かを判定する。なお、本実施の形態ではCステートになってから所定時間が経過することを待ってステップS305以下の処理を実行する例を説明したが、交流の電圧が正常であることを確認できれば、所定時間が経過するのを待たずにステップS305の処理を実行するように構成しても良い。AC電圧が0Vであると判定した場合(ステップS305:YES)、制御部91はAC電圧検出部90aが地絡故障していることを記憶する(ステップS306)。
【0061】
AC電圧が0Vで無いと判定した場合(ステップS305:NO)、又はステップS306の処理を終えた場合、制御部91は、遮断スイッチ3a,3bを開き、交流の電圧の印加をオフ制御した状態で検出されたAC電圧が正常範囲で、かつ第1DC電圧検出部90cで検出された電圧V1が所定範囲であるか否かを判定する(ステップS307)。具体的には制御回路9は、AC電圧の正常範囲に相当する第1電圧範囲と、前記所定範囲に相当する第2電圧範囲を予め記憶部93に記憶している。第1電圧範囲は交流電源10から供給される200V交流の電圧の実効値として取り得る値の範囲である。第2電圧範囲は200V交流が、停止しているDC−DC変換回路4に印加された場合に該DC−DC変換回路4から出力される直流の電圧として取り得る値の範囲である。AC電圧が正常範囲で、かつ第1DC電圧検出部90cで検出された電圧V1が所定範囲であると判定した場合(ステップS307:YES)、制御部91は遮断スイッチ3a,3bが固着故障していることを記憶し(ステップS308)、サブルーチンの処理を終える。AC電圧が正常範囲で、かつ第1DC電圧検出部90cで検出された電圧V1が所定範囲外であると判定した場合(ステップS307:NO)、制御部91は、遮断スイッチ3a,3bをオンにする(ステップS309)。つまり、遮断スイッチ3a,3bの固着故障は無いと判断し、制御部91は交流の電圧が印加されるように前記遮断スイッチ3a,3bの切り換えを制御する。
なお、AC電圧が正常範囲で無い場合、制御部91は充電の処理を中止することが望ましい。例えば、AC電圧が低電圧である場合、所望の出力を得るために電流が大きくなるためである。
【0062】
次いで、制御部91は、第1DC電圧検出部90cにて検出した電圧V1が0Vであるか否かを判定する(ステップS310)。具体的には制御部91は電圧V1が所定の閾値未満であるか否かを判定する。電圧V1が0Vで無いと判定した場合(ステップS310:NO)、制御部91はサブルーチンの処理を終える。電圧V1が0Vであると判定した場合(ステップS310:YES)、制御部91は、第1DC電圧検出部90cが地絡故障し、又は遮断スイッチ3a,3bが開放故障していることを記憶し(ステップS311)、サブルーチンの処理を終える。
【0063】
なお、
図7に示した各検出部の地絡故障を検出する順序は一例であり、特に限定されるものでは無い。
【0064】
図4に示すようにステップS5の処理を終えた制御部91は、ステップS5の判定結果から、変換装置23の内部異常の有無を判定する(ステップS6)。変換装置23に内部異常が無いと判定した場合(ステップS6:YES)、制御部91は、充電制御を開始する(ステップS7)。具体的には、制御部91は、AC−DC変換回路4及びDC−DC変換回路5を構成する各スイッチング素子41,42,・・・,83,84のゲートをオンオフさせるスイッチング制御を行い、交流を所望の直流に変換する制御を行う。そして、制御部91は、電圧異常検出機能を有効にする(ステップS8)。つまり、制御部91は、AC電圧検出部90a、第1DC電圧検出部90c、第2DC電圧検出部90dにて検出された各電圧が、記憶部93が記憶している所定の上限電圧以下であるか否かを判定することによって、過電圧が発生していないかどうかを監視する。過電圧が検出された場合、制御部91は、遮断スイッチ3a,3bを開状態にして交流の電圧の印加を遮断し、各スイッチング素子41,42,・・・,83,84のゲートをオフ状態にする。
【0065】
次いで、制御部91は、AC−DC変換回路4及びDC−DC変換回路5のスイッチング制御が行われている状態で、第2の地絡故障判定を行う(ステップS9)。第2の地絡故障判定は、AC電流検出部90b及びDC電流検出部90eの地絡故障の有無を判定する処理である。
【0066】
図8は第2の地絡故障判定に係るサブルーチンの処理手順を示したフローチャートである。制御部91は、AC電流検出部90bにて検出されたAC電流が0Aであり、かつDC電流検出部90eにて検出されたDC電流が非0Aであるか否かを判定する(ステップS401)。具体的には制御部91はAC電流が閾値未満であり、かつDC電流が閾値以上であるか否かを判定する。AC電流が0Aであり、かつDC電流が非0Aである場合(ステップS401:YES)、制御部91はAC電流検出部90eが地絡故障していることを記憶する(ステップS402)。
【0067】
AC電流が0Aであり、かつDC電流が非0Aである状態に無いと判定した場合(ステップS401:NO)、制御部91は、DC電流が0Aであり、かつAC電流が非0Aであるか否かを判定する(ステップS403)。DC電流が0Aであり、かつAC電流が非0Aである状態に無いと判定した場合(ステップS403:NO)、制御部91はサブルーチンの処理を終える。DC電流が0Aであり、かつAC電流が非0Aであると判定した場合(ステップS403:YES)、制御部91はDC電流検出部90eが地絡故障していることを記憶し(ステップS404)、サブルーチンの処理を終える。
【0068】
なお、
図8に示した各検出部の地絡故障を検出する順序は一例であり、特に限定されるものでは無い。
【0069】
第2の地絡故障判定を終えた制御部91は、ステップS9の判定結果から、変換装置23の内部異常の有無を判定する(ステップS10)。内部異常が無いと判定した場合(ステップS10:YES)、制御部91は、電流異常検出機能を有効にし(ステップS11)、本発明に係る処理を終える。つまり、制御部91は、AC電流検出部90b及びDC電流検出部90eにて検出された各電流が、記憶部93が記憶している所定の上限電流以下であるか否かを判定することによって、過電流が発生していないかどうかを監視する。過電流が検出された場合、制御部91は、遮断スイッチ3a,3bを開状態にして交流の電圧の印加を遮断し、各スイッチング素子41,42,・・・,83,84のゲートをオフ状態にする。ステップS3,ステップS6,ステップS10で、内部異常があると判定した場合(ステップS3,6,10:NO)、制御部91は、変換装置23の内部異常通知を行い(ステップS12)、処理を終える。例えば、制御部91は、変換装置23に異常がある旨、及び異常がある各種検出部を特定するための情報、異常の内容を特定するための情報を、通信部94を介して充電管理ECU21へ送信する。なお、前記各情報をその他のECUへ送信しても良いし、記憶部93に記憶するように構成しても良い。
【0070】
このように構成された変換装置23、故障判定方法及び制御プログラム98によれば、変換装置23に設けられた交流及び直流それぞれの電圧又は電流を検出する各種検出部の故障の有無を判定することができる。具体的には、AC電圧検出部90a、AC電流検出部90b、第1DC電圧検出部90c、第2DC電圧検出部90d、DC電流検出部90eの天絡、開放及び地絡、並びに遮断スイッチ3a,3bの固着といった故障の有無、故障の種別を判別することができる。
【0071】
開示された本実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。