(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記枠形被覆部材は、前記移動方向において互いに対向する前記一対の連結部の内向面に、前記一対の被覆部に張力を付与する張力付与部を有することを特徴とする請求項2に記載の運動装置。
前記蓋体は、前記移動方向において互いに対向する前記一対の連結部の内向面に対向して前記枠形被覆部材の移動を規制する一対の規制面を有することを特徴とする請求項2に記載の運動装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る直動ガイド1について、図を参照して説明する。
図1は、直動ガイド1を示す外観斜視図である。
図2は、直動ガイド1の正面及び断面を示す図である。
図3は、スライダブロック20の分解斜視図である。
【0011】
以下の説明においては、軌道レール10とスライダブロック20が重なり合う方向をZ方向と言う。+Z方向を上側、−Z方向を下側と言う場合もある。
Z方向に垂直な方向のうち、軌道レール10が延在する方向(スライダブロック20の長手方向)をY方向と言う。Y方向を移動方向又は厚み方向と言う場合もある。
Z方向及びY方向に垂直な方向をX方向と言う。X方向を幅方向と言う場合もある。
【0012】
直動ガイド1は、軌道レール10及び軌道レール10の延在方向に沿って移動可能なスライダブロック20などを備える。
【0013】
軌道レール(軌道体)10は、Y方向に垂直な断面において略矩形状に形成された金属製の部材である。軌道レール10の外面のうち、X方向を向く一対の外側面11は、そのZ方向の中央が両端よりも窪んでいる。この窪んだ部位には、Y方向に沿って延びる平坦な転動体転走面15が形成される。一つの外側面11には、相互に90度の角度で交差(対向)する一対の転動体転走面15が形成される。軌道レール10には、4つの転動体転走面15が形成される。
【0014】
軌道レール10には、Z方向に貫通するボルト取付穴12が、Y方向において間隔をあけて複数形成される。軌道レール10は、ボルト取付穴12に挿通したボルト13によりベース部材等(不図示)に固定される。
【0015】
スライダブロック(移動体)20は、直方体状のブロック本体21、スライダブロック20の内部に無限循環路Lの一部を形成するターンパイプ30及びブロック本体21のY方向の両端面21sに配設される平板状のエンドプレート50を備える。
【0016】
スライダブロック20は、さらに複数のローラ70を備える。スライダブロック20の内部には、無端の長円環状又は楕円環状をなす無限循環路Lが4つ形成される。複数のローラ70は、4つの無限循環路Lの内部において転走(転動)可能に保持される。
【0017】
無限循環路Lは、Y方向に延びる一対の直線状部分と一対の直線状部分の端部同士を連結する一対の半円弧曲線状部分とから構成される。直線状部分の一方は負荷転動体転走路L1、他方は無負荷転動体通路L2である。一対の半円弧曲線状部分は、転動体方向転換路L3,L4である。
【0018】
ブロック本体(移動体)21は、断面C字形又は断面コ字形に形成される。ブロック本体21の底面には、−Z方向に向けて開口する溝部25がY方向に向けて形成される。溝部25には、軌道レール10が僅かな隙間を隔てて収容される。
溝部25の一対の内側面26には、軌道レール10の外側面11の窪んだ部位に対向するように突出した部位が形成される。この突出した部位には、Y方向に沿って延びる平坦な転動体転走面28が形成される。一つの内側面26には、相互に90度の角度で背中合わせに交差する一対の転動体転走面28が形成される。ブロック本体21には、4つの転動体転走面28が形成される。
内側面26には、ローラ70の脱落を間接的に防止するリテーナーカバー80(中央カバー81、上下カバー86)が配置される。
【0019】
軌道レール10における4つの転動体転走面15とブロック本体21における4つの転動体転走面28は、それぞれの対向するように配置される。転動体転走面15と転動体転走面28の間に形成される空間(Y方向に延在する室)は、ローラ70が転走する負荷転動体転走路L1となる。
【0020】
ブロック本体21には、Y方向に貫通する4つの貫通孔22が形成される。貫通孔22は、溝部25を挟んでX方向の両側にそれぞれ2つずつ対称に設けられる。X方向の両側にそれぞれ設けられる2つの貫通孔22は、溝部25の内側面26の突出した部位を挟んでZ方向の両側に対称に設けられる。
【0021】
4つの貫通孔22には、それぞれターンパイプ30が挿通される。ブロック本体21のZ方向の両端面21sには、4つの貫通孔22が開口する。
ブロック本体21のZ方向の両端面21sには、ターンパイプ30を固定するための位置決め穴23が形成される。ブロック本体21には、4つの位置決め穴23が設けられる。
各端面21sにおいて、位置決め穴23は、溝部25を挟んでX方向の両側にそれぞれ1つずつ対称に設けられる。位置決め穴23は、溝部25の内側面26の突出した部位に対応する端面部分に1つずつ設けられる。
各位置決め穴23は、X方向の両側にそれぞれ設けられる2つの貫通孔22に対して、Z方向の中央に配置される。2つの貫通孔22は、位置決め穴23を挟んでZ方向の両側に対称に設けられる。
ブロック本体21の両端面21sには、エンドプレート50を固定するときに用いるねじ穴24がそれぞれ4つずつ形成される。
【0022】
ターンパイプ30は、スライダブロック20の内部に形成される無限循環路L(LA)の一部を形成する樹脂成形部材である。
ターンパイプ30は、無限循環路L(LA)のうちの無負荷転動体通路L2を形成する長尺円筒形のパイプ部31と無限循環路L(LA)のうちの転動体方向転換路L3を形成するリターン部32とから構成される。リターン部32は、パイプ部31の一端に一体的に配置される。
【0023】
パイプ部31の内部には、断面矩形の第一ローラ走行孔35aが直線状に形成される。第一ローラ走行孔35aは、無負荷転動体通路L2となる。
リターン部32の内部には、断面矩形の第二ローラ走行孔(不図示)がリターン部32の形状に倣って円弧形に形成される。第二ローラ走行孔は、転動体方向転換路L3となる。
パイプ部31の第一ローラ走行孔35aとリターン部32の第二ローラ走行孔は連通し、一体となってJ字形のローラ走行孔(不図示)が形成される。
【0024】
リターン部32の外面は、第一ローラ走行孔35a等が形成する無限循環路L(LA)とは異なる他の無限循環路L(LB)の一部を形成する。
リターン部32の外面には、他の無限循環路L(LB)の転動体方向転換路L4の内周面となる断面溝形のローラ走行内周面37が形成される。ローラ走行内周面37は、リターン部32の外面において、第二ローラ走行孔と同一の曲率半径を有する半円弧形に形成される。
ローラ走行内周面37は、第二ローラ走行孔を幅方向において乗り越える(跨る)ように配置される。第二ローラ走行孔(無限循環路LA)とローラ走行内周面37(無限循環路LB)とは、直交するように配置される。
【0025】
リターン部32の外面のうちパイプ部31が連結される側の内向面32sは、平坦に形成される。内向面32sには、円柱状の位置決めボス33が形成される。位置決めボス33は、ブロック本体21の端面21sに形成された位置決め穴23に嵌め合わされる。
【0026】
図4は、エンドプレート50を示す図である。(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は裏面図、(e)はA−A断面図、(f)は一部拡大図(被係合部63の拡大図)である。
図4(b)の正面図において、上下方向はZ方向、左右方向はX方向、前後(厚み)方向はY方向に対応する。
【0027】
エンドプレート50は、ブロック本体21の両端面21sに固定される平板状の樹脂成形部材である。エンドプレート50は、ブロック本体21と同様に、断面C字形又は断面コ字形に形成される。エンドプレート50の底面には、−Z方向に向けて開口する溝部52が形成される。溝部52には、軌道レール10が僅かな隙間を隔てて収容される。
溝部52の一対の内側面53には、軌道レール10の外側面11の窪んだ部位に対向するように突出した部位が形成される。この突出した部位は、ブロック本体21の溝部25の内側面26に形成された突出した部位と同一形状である。内側面53には、ブロック本体21の4つの転動体転走面28に対応して、Y方向に沿う平坦な4つの平面54が形成される。
【0028】
エンドプレート50とブロック本体21の間には、ターンパイプ30のリターン部32が配置される。エンドプレート50の裏面50tには、ターンパイプ30のリターン部32を収容するリターン収容部55が形成される。
リターン収容部55は、4つの平面54のそれぞれから直交する方向に延びる収容溝56,57を有する。収容溝56,57は、溝部52を挟んだ両側のリターン収容部55に、それぞれ1ずつ一体となって形成される。
【0029】
図4(d)裏面図において、溝部52を挟んだ右側のリターン収容部55Rでは、収容溝56Rは、溝部52の開口側から底部側に向けて45度の角度を有して形成される。収容溝57Rは、溝部52の底部側から開口側に向けて45度の角度を有して形成される。収容溝56Rと収容溝57Rは、直交して配置される。
【0030】
図4(d)裏面図において、溝部52を挟んだ左側のリターン収容部55Lでは、収容溝56Lは、溝部52の底部側から開口側に向けて45度の角度を有して形成される。収容溝57Lは、溝部52の開口側から底部側に向けて45度の角度を有して形成される。収容溝56Lと収容溝57Lは、直交して配置される。
【0031】
収容溝56(56R,56L)は、ターンパイプ30のリターン部32の主要な部位を収容可能に形成される。つまり、収容溝56は、無限循環路LAの一部(転動体方向転換路L3)を収容する。また、収容溝57(57R,57L)は、リターン部32のローラ走行内周面37の壁部を収容可能に形成される。つまり、収容溝57は、無限循環路LBの一部(転動体方向転換路L4)を収容する。
【0032】
収容溝57の底面には、無限循環路LBの転動体方向転換路L4の外周面となるローラ走行外周面58が形成される。ローラ走行外周面58は、ローラ走行内周面37よりも大きな曲率半径を有する半円弧形に形成される。
リターン部32のローラ走行内周面37とリターン収容部55のローラ走行外周面58とが一組となって無限循環路LBの転動体方向転換路L4を形成する。
【0033】
エンドプレート50には、正面50sから裏面50tに向けて、4つの段付貫通孔51が形成される。この4つの段付貫通孔51には、ボルト(不図示)が挿通されて、ブロック本体21の端面21sのねじ穴24に締結される。これにより、エンドプレート50は、ブロック本体21の両端面21sに密着固定される。
【0034】
図4(b)正面図において、溝部52の一対の内側面53の突出した部位は、縁部が厚み方向に一段下がった段付き形状に形成される。この段付き形状の部位は、リテーナーカバー80の上下カバー86が取付けられるカバー装着部60である。
【0035】
カバー装着部60の正面50s側には、内側面53の突出形状に沿う、折れ曲がった半円形状(45度の角度に2度曲がった形状)の装着面61が形成される。
カバー装着部60の上下方向(Z方向)には、左右方向(X方向)に沿う凸凹形の被係合部63がそれぞれ形成される。被係合部63は、リテーナーカバー80の上下カバー86が係合する部位である。
【0036】
被係合部63は、内側面53の平面54に直交し、かつ、エンドプレート50の幅方向外側(外側面側)を向く第一被当接面64と、第一被当接面64よりも幅方向外側において幅方向外側を向き、かつ、第一被当接面64と平行な第二被当接面65とからなる。第一被当接面64と第二被当接面65の間には、両者に直行かつ平行な面が設けられる。
【0037】
溝部52の開口側に形成された被係合部63Fでは、第一被当接面64Fと第二被当接面65Fは、エンドプレート50の幅方向外側及び下側に対して45度の角度を有する。
溝部52の奥側に形成された被係合部63Bでは、第一被当接面64Bと第二被当接面65Bは、エンドプレート50の幅方向外側及び上側に対して45度の角度を有する。
第一被当接面64Fと第一被当接面64Bは、幅方向において一致する位置に配置され、かつ、互いに90度の角度で背中合わせに交差する。同様に、第二被当接面65Fと第二被当接面65Bは、幅方向において一致する位置に配置され、かつ、互いに90度の角度で背中合わせに交差する。
【0038】
ローラ(転動体)70は、金属材料からなる円柱形部材である。複数のローラ70は、軌道レール10とスライダブロック20(ブロック本体21)の間に介在して、軌道レール10に対するスライダブロック20の移動を円滑に行わせる。
複数のローラ70は、無限循環路Lの内部にほぼ隙間無く配設されて、無限循環路Lを循環する。複数のローラ70を介して、軌道レール10に対してスライダブロック20が連結される。複数のローラ70の転走及び循環によって、軌道レール10に対してスライダブロック20が往復移動する。
各ローラ70は、帯状のリテーナ72により等間隔に保持される。リテーナ72には、長手方向に沿って、複数の矩形開口が等間隔に形成される。この矩形開口にローラ70を収容することにより、複数のローラ70がリテーナ72に保持される。リテーナ72自体は有端形であるが、無限循環路Lにおいて両端を近接させた無端状に配置される。複数のローラ70は、リテーナ72と共に無限循環路Lを循環する。
【0039】
図5は、リテーナーカバー80の上下カバー86を示す図である。(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)B−B断面図(両端)、(e)はC−C断面図(中央)である。
図5(b)の正面図において、上下方向はZ方向、左右方向はX方向、前後方向はY方向に対応する。
【0040】
リテーナーカバー(連結器被覆体)80は、リテーナ72により保持されたローラ70の脱落を防止する。具体的には、リテーナーカバー80は、リテーナ72の端部を保持する(覆う)ことにより、ローラ80を脱落を間接的に防止する。
リテーナーカバー80は、ブロック本体21の溝部25の内側面26のうち、上下方向の中央に配置される中央カバー81と、中央カバー81を挟んで上下方向両側に配置される上下カバー86と、から構成される。そして、中央カバー81と上下カバー86の間に、ローラ70が露出する。
【0041】
中央カバー81は、ブロック本体21と同一の長さを有する、断面三角形の棒状の樹脂成形部材である。中央カバー81は、ブロック本体21の溝部25の内側面26に形成された突出した部位の頂点部分に配置される。中央カバー81は、各内側面26に形成された2つの転動体転走面28の中間に配置される。
中央カバー81は、長手方向の両端がターンパイプ30A,30Bに対して係合し、挟持される。これにより、中央カバー81は、内側面26の突出した部位の頂点部分に保持される。
【0042】
中央カバー81の3つの面のうち、内側面26を向く2つの面には、溝82が形成される。この溝82の内部には、転動体転走面28を転走するローラ70を保持するリテーナ72の幅方向両端部位が非接触状態で収容される(
図2参照)。
【0043】
上下カバー(枠形被覆部材)86は、スライダブロック20と同一の長さを有する、細長い矩形枠状の樹脂成形部材である。
上下カバー86は、平行配置された一対の棒形のカバー部90と、カバー部90の両端同士を連結する一対の連結部87とを矩形に連結して形成される。
【0044】
連結部87は、エンドプレート50の正面50sに形成されたカバー装着部60に対応した形状に形成される。連結部87は、装着面61に倣った、折れ曲がった半円形状(45度の角度に2度曲がった形状)に形成される。一対の連結部87は、一対のエンドプレート50のカバー装着部60にそれぞれ装着される部位である。
連結部87は、断面が矩形に形成される。連結部87の外面のうち、内向面88は、カバー装着部60の装着面61に当接又は僅かに隙間を隔てて対向して配置される。
【0045】
カバー部(被覆部)90は、スライダブロック20とほぼ同一の長さを有する直線棒形に形成される。カバー部90のうち、長手方向の両端側を除く部位は、断面略正方形に形成される(
図5(d)参照)。
カバー部90の両端側を除く部位の外面のうち、連結部87を向く内向面91には、連結部87に向かって突出する庇部92が形成される。この内向面91と庇部92に囲まれた空間には、転動体転走面28を転走するローラ70を保持するリテーナ72の幅方向両端部位が非接触状態で収容される(
図2参照)。
【0046】
カバー部90のうち、長手方向の両端側の部位も、断面略正方形に形成される(
図5(e)参照)。カバー部90の両端側の外面のうち、連結部87を向く面には、凸凹形の係合部93がそれぞれ形成される。係合部93は、エンドプレート50のカバー装着部60(被係合部63)に係合する部位である。
【0047】
係合部93は、第一当接面94及び第二当接面95からなる。第一当接面94は、連結部87に向けて突出し、かつ、連結部87を向く方向(Z方向及びX方向にそれぞれ45度の角度で交差する方向)に対して直交する。第二当接面95は、第一当接面94よりも一段下がり、かつ、第一当接面94に平行である。第一当接面94と第二当接面95の間には、両者に直行かつ平行な面が設けられる。
【0048】
第一当接面94同士は、上下カバー86の幅方向において一致する位置に配置され、かつ、互いに90度の角度で背中合わせに交差する。同様に、第二当接面95同士は、上下カバー86の幅方向において一致する位置に配置され、かつ、互いに90度の角度で背中合わせに交差する。
【0049】
次に、スライダブロック20の組立工程について説明する。
図6は、スライダブロック20の組立工程(第一工程)を示す図である。
図7は、スライダブロック20の組立工程(第二工程)を示す図である。
図8は、スライダブロック20の組立工程(第三工程)を示す図である。
図9は、スライダブロック20の組立工程(第四工程)を示す図である。
【0050】
第一工程では、
図6に示すように、ブロック本体21の一方の端面21sに開口する4つの貫通孔22のうちの2つ(左右方向の1つずつ)に対して、ターンパイプ30(30A,30B)のパイプ部31を挿通する。
ブロック本体21の端面21sの位置決め穴23に対して、ターンパイプ30のリターン部32の位置決めボス33を嵌め込んで位置決め固定する。ブロック本体21に装着した2つのターンパイプ30に対して、それぞれリテーナーカバー80の中央カバー81の一端を接続する。
【0051】
第二工程では、
図7に示すように、ブロック本体21の他方の端面21sに開口する4つの貫通孔22のうち、ターンパイプ30が未装着の残りの2つに対して、ターンパイプ30(30B,30A)のパイプ部31を挿通する。ターンパイプ30Aとターンパイプ30Bとを、Y方向から見て、それぞれのリターン部32A,32Bが直交するように配置する。
第一工程と同様に、ブロック本体21の端面21sの位置決め穴23に対して、ターンパイプ30のリターン部32の位置決めボス33を嵌め込んで位置決め固定する。これにより、第二工程においてブロック本体21に挿入したターンパイプ30と第二工程においてブロック本体21に挿入したターンパイプ30が相互に接続する。第二工程においてブロック本体21に挿入したターンパイプ30に対して、それぞれ中央カバー81の他端を接続する。
【0052】
相互に接続された一対のターンパイプ30A,30Bにより、2つの無限循環路Lが形成される。ターンパイプ30Aのローラ走行孔(不図示)とターンパイプ30Bのローラ走行内周面37等により無限循環路L(LA)が形成される。ターンパイプ30Aのローラ走行内周面37とターンパイプ30Bのローラ走行孔(不図示)等により無限循環路L(LB)が形成される。
2つの無限循環路L(LA,LB)は、Y方向から見ると直交するクロスターン型となる。
【0053】
第三工程では、
図8に示すように、ブロック本体21の両端面21sに、エンドプレート50を取り付ける。この際、エンドプレート50に形成したリターン収容部55に対して、ターンパイプ30のリターン部32を収容する。ターンパイプ30Aのリターン部32をリターン収容部55Lに収容する。ターンパイプ30Bのリターン部32をリターン収容部55Rに収容する。
【0054】
これにより、収容溝56(56R,56L)には、ターンパイプ30のリターン部32の主要な部位が収容される。つまり、収容溝56には、無限循環路L(LA)の一部(転動体方向転換路L3)が収容される。
収容溝57(57R,57L)には、リターン部32のローラ走行内周面37の壁部が収容される。リターン部32のローラ走行内周面37とリターン収容部55のローラ走行外周面58とが一組となって無限循環路L(LB)の転動体方向転換路L4を形成する。つまり、収容溝57には、無限循環路L(LB)の一部(転動体方向転換路L4)が収容される。
【0055】
エンドプレート50をブロック本体21の端面21sに固定する。エンドプレート50の4つの段付貫通孔51に不図示のボルトを挿通して、ブロック本体21の端面21sのねじ穴24に対して締結する。これにより、4つのターンパイプ30と2つの中央カバー81がブロック本体21に固定される。
【0056】
エンドプレート50をブロック本体21の端面21sに固定する際に、複数のローラ70とローラ70を保持するリテーナ72を、4つの無限循環路Lに対してそれぞれ挿入する。エンドプレート50と同一形状の治具を用いて、複数のローラ70とリテーナ72を4つの無限循環路Lのそれぞれに収容する。
【0057】
最初に、ブロック本体21の一方の端面21sに、エンドプレート50と同一形状の治具を配置する。この治具に接していない他方の端面21sに露出する無限循環路Lに対して、ローラ70及びリテーナ72を挿入する。他方の端面21sにエンドプレート50を固定する。
【0058】
最後に、一方の端面21sから治具を取り外し、エンドプレート50を固定する。
このような手法によって、複数のローラ70とローラ70を保持するリテーナ72を4つの無限循環路Lのそれぞれに収容、保持する。
【0059】
第四工程では、
図9に示すように、ブロック本体21の溝部25の一対の内側面26に、それぞれリテーナーカバー80の上下カバー86を装着する。上下カバー86の2つの連結部87を、一対のエンドプレート50のカバー装着部60にそれぞれ装着する。この装着方式には、スナップフィット固定方式(snap-fit)が用いられる。ボルト等の締結部材や接着剤等を用いることなく、上下カバー86をエンドプレート50に装着する。
こうして、スライダブロック20の組立工程が完了する。
【0060】
次に、エンドプレート50に対する上下カバー86の装着方式である、スナップフィット固定方式について説明する。
図10Aは、上下カバー86のスナップフィット固定方式を示す図であって、上下カバー86(連結部87)を押付ける状態を示す。
図10Bは、上下カバー86のスナップフィット固定方式を示す図であって、係合部93の動作を示す図である。
図11Aは、上下カバー86のスナップフィット固定方式を示す図であって、上下カバー86の取付け前を示す。
図11Bは、上下カバー86のスナップフィット固定方式を示す図であって、上下カバー86の取付け後を示す。
【0061】
エンドプレート50に対して上下カバー86を装着する際には、
図11Aに示す状態から、
図10Aに示すように、エンドプレート50のカバー装着部60に向けて上下カバー86の連結部87を押付ける。エンドプレート50の内側面53に対して、折れ曲がった半円形状の連結部87の内周側が向くようにして押付ける。
そうすると、一対のカバー部90の係合部93がエンドプレート50の内側面53の平面54に同時に突き当たる。エンドプレート50に向けて上下カバー86をさらに押付けると、上下カバー86の連結部87は、折れ曲がった部位(2箇所)を支点として上下方向に開く(回転する)ように弾性変形し始める。
【0062】
これにより、
図10Bに示すように、2つの係合部93がそれぞれ平面54上を互いに離れる方向に摺動して、最終的には平面54を乗り越えて被係合部63に到達する。第二被当接面95が、平面54及び第一被当接面64と第二被当接面65の段差を乗り越えて第二被当接面65に到達する。同時に、第一被当接面94が、平面54を乗り越えて第一被当接面64に到達する。
【0063】
こうして、エンドプレート50の一方の内側面53の2つの被係合部63B,63Fに対して、上下カバー86の一対の係合部93が同時に噛合う。係合部93の第一被当接面64が被係合部63の第一当接面94に密着(当接)する。係合部93の第二被当接面65が被係合部63の第二当接面95に密着(当接)する。特に、第二被当接面65と第二当接面95の密着力が、上下カバー86の保持に寄与する。
係合部93が平面54を乗り越えると、連結部87の弾性変形が回復するので、係合部93と被係合部63がほぼ密着する。係合部93と被係合部63は、平面54側に向けてアンダーカット形状であるため、上下カバー86に外力が加えられない限り、係合部93は再び平面54側に戻れなくなる。
【0064】
図11Bに示すように、係合部93が平面54を乗り越えると同時に、エンドプレート50のカバー装着部60に上下カバー86の連結部87が収容される。ブロック本体21に固定した一対のエンドプレート50に対して、2つの上下カバー86がそれぞれ架け渡されるように装着される。
【0065】
カバー装着部60の装着面61と連結部87の内向面88とは、完全に密着することなく、僅かな隙間を有する程度に対向する。このため、上下カバー86は、エンドプレート50及びブロック本体21に対して、Y方向に微少移動可能である。ブロック本体21が熱膨張してY方向に伸びたとしても、上下カバー86にストレスが掛からないようにするためである。
このようにして、上下カバー86は、スナップフィット固定方式により、エンドプレート50に装着される。
【0066】
以上説明した通り、直動ガイド1によれば、スライダブロック20のリテーナーカバー80(上下カバー86)の部品点数を減らすことができる。これにより、リテーナーカバー80(上下カバー86)組立工数の効率化、製品コストの低減等を図ることができる。
【0067】
上下カバー86は、エンドプレート50に対して、スナップフィット固定方式により装着されるので、組立作業の効率化を図ることができる。上下カバー86は、エンドプレート50からの取り外しも容易なるので、保守時の作業性も向上する。
スナップフィット固定方式(被係合部63、係合部93)をスライダブロック20の長手方向に沿って形成したので、ブロック本体21の熱膨張、熱収縮に影響を受けないという効果がある。
一対のカバー部90を連結する連結部87が弾性変形するので、一対のカバー部90を同時にスナップフィット固定方式によりエンドプレート50を装着することができる。
カバー装着部60の装着面61と連結部87の内向面88とは、完全に密着することなく、僅かな隙間を有する程度に対向するので、ブロック本体21が熱膨張した際に、上下カバー86にストレスが掛かって、ローラ70やリテーナ72の転走に悪影響を与えないという効果がある。
【0068】
図12は、上下カバーの変形例(上下カバー186)を示す図である。(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)D−D断面図(両端)、(e)はE−E断面図(中央)である。
図12(b)の正面図において、上下方向はZ方向、左右方向はX方向、前後方向はY方向に対応する。
図13は、上下カバー186の固定状態を示す図である(
図4(d)、
図12(c)参照)。
上下カバー186において、上下カバー86と同一の部材には同一の符号を付す。
【0069】
ブロック本体21のY方向の長さを大きく設定すると、リテーナーカバー80のY方向の長さもそれに応じて大きく設定する必要がある。上下カバー(枠形被覆部材)186のカバー部90のY方向の長さが大きく形成される。このため、カバー部90の中央部分がX方向等に振動しやすくなり、ローラ70及びリテーナ72が負荷転動体転走路L1から脱落してしまう危険性がある。
そこで、上下カバー186では、エンドプレート50に固定した時にカバー部90にY方向の張力が付与されるようにして、カバー部90の中央部分が振動しづらくした。
【0070】
図12(a)に示すように、上下カバー186の連結部87の内向面88に、Y方向に突出する突起部(張力付与部)189を形成する。Y方向において、互いに対向する突起部189同士の距離が、一対のエンドプレート50の装着面61同士の距離よりもわずかに短くなるように、突起部189の突出量を設定する。これにより、上下カバー186をエンドプレート50に固定した時に、カバー部90にY方向の張力が付与される。
【0071】
突起部189は、連結部87の内向面88のうち、カバー部90に近接する領域に形成される。これにより、
図13に示すように、カバー部90の中央部分がローラ70及びリテーナ72に近接する方向(Z方向)に向けて反るように、張力が付与される。一対のカバー部90同士の中央部分が近づくように反る張力が付与される。突起部189を連結部87の内向面88の両端側に形成したことにより、連結部87の中央部分が内向面88側に向けて傾くからである。
このように、上下カバー186を用いることにより、ローラ70及びリテーナ72が負荷転動体転走路L1から脱落してしまう危険性がより低下する。
【0072】
上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0073】
転動体は、ローラに限らずボールであってもよい。
【0074】
リテーナーカバー80(中央カバー81、上下カバー86)は、ローラ70及びリテーナ72に非接触の場合に限らず、接触する場合であってよい。スライダブロック20の停止時には、リテーナーカバー80は、ローラ70及びリテーナ72に非接触であり、スライダブロック20の移動時には、リテーナーカバー80は、ローラ70及びリテーナ72に接触する場合であってもよい。
【0075】
ターンパイプ30は、クロスターン型に限らない。ターンパイプ30は、パイプ部31を備えていない場合であってもよい。リターンガイド等の転動体の方向転換に寄与する部材であればよい。