(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マッピング手段は、前記無線端末に送信するデータを無線リソースにマッピングする時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
前記マッピング手段は、一次的な適応変調により前記無線端末に対する変調方式を定め、前記無線端末に送信するデータを無線リソースに仮割り当てを行う一次マッピングを行った時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させ、各無線端末に対する変調方式を定める二次マッピングを行うことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
前記マッピング手段は、前記無線端末のチャネル品質を示すCQI情報に基づいて前記空きリソースを少なくし、前記CQI情報を基に得られたジオメトリに基づいて、各無線端末に対する前記無線リソース配分の増減及び各無線端末への前記送信電力の増減を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の無線基地局。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔構成の説明〕
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
先ず本発明の実施形態の原理的な側面から説明する。
【0022】
本発明の実施形態の特徴は、チャネル利得や干渉成分からなる伝送路の状態(チャネル品質)が無線リソースによって異なる場合である。しかし、内容の理解をし易くする為及び説明のしやすさから、先ずチャネル利得が無線リソースに渡って一定である場合で示す。ここで、無線リソースとは具体的にはOFDM方式でみると、
図2に示した様に、周波数方向と時間方向で見て、周波数方向ではコヒーレント帯域で複数の周波数ブロックに分割したもの、時間方向ではコヒーレント時間で分割したもので、ここでは便宜上リソースブロックに分割したという言い方をする。リソースブロックの各々は1以上のサブキャリアを含み、時間方向では1以上のシンボルを含む。リソースブロック内ではチャネル利得や干渉成分はほぼ一定と考える。即ちこのリソースブロックがスケジューリングやマッピングの基本単位となる。尚、ここからの電力量最小つまり最適な省電力の証明にあたっては連続系で示す。実際に取りうる値は、厳密には離散系ではあるが、量子化誤差として扱うという考え方である。
【0023】
今、リソースブロック数Sで同一の総情報量b[bits]を送信する上でリソースブロックxにより送信ビット数f(x)[bits]を送出するものとする。ここでリソースブロックxのxは周波数方向及び時間方向、更に無線端末に対しても全部含めて一次元に展開し、連続になるように並び替えたものと思えばよい。無線セルから送られる総情報量がbであるから、
【数1】
が一定という制約条件が得られる。
【0024】
また、その積分
【数2】
を定義する。上述の関係より、
【数3】
となる。
【0025】
以上の条件の下で、送信するビット数に応じてビット対応送信電力増幅器が電力消費するビット対応消費関数G(f)により、消費電力量Jを以下の様に定義する。
【数4】
ここで、リソースブロックxにより送信電力増幅器が消費する電力は、
【数5】
となる。
図3にf(x)、y=F(x)及び汎関数の例
【数6】
とその変分δyを記す。
【0026】
以上の条件の下に、総消費電力量Jを最小にする極値関数F(x)を汎関数
【数7】
を用いて求めることにする。汎関数
【数8】
の取り方によってJは色々な値を取る。しかし、下記の二点は上述の制約条件から確定している。
【0028】
そこで、汎関数
【数10】
を比較関数とし、極値関数となる停留関数y=F(x)を元に以下の様に定義する。
【数11】
上述より
【数12】
である。従って汎関数に対する消費電力量Jは、
【数13】
となり、変分
【数14】
で、停留点で
【数15】
となる。そこで、微分と積分は交換出来るので、
【数16】
【0029】
ここで、
【数17】
と置くと、上式は、以下の様になる。
【数18】
【0030】
部分積分の関係、
【数19】
より上式の積分は、
【数20】
となる。数式12の制約条件より
【数21】
であるから、数式20の第一項は“0”である。従って、
【数22】
でなければならないことが分かる。y´=z´であるから、
【数23】
【0031】
従って、
【数24】
ならば上述の汎関数は総消費電力量Jを最小にする極値関数となる。
【0032】
即ち、総消費電力量Jを最小にする条件は
【数25】
となる。
【0033】
G(f(x))はリソースブロックxにより送信電力増幅器が消費する電力である。総消費電力量Jを最小にする条件は各リソースブロックによる送信電力増幅器が消費する電力が全て等しい時、言い換えるならば、リソースブロックxによる送信電力が全て等しい時、即ち送信電力密度が一定の時、総消費電力量Jが最小となることを示している。更に詳しく見ると、G(f(x))は送信ビット数f(x)の関数である。即ち、各リソースブロックxによる送信ビット数f(x)が等しいとき、総消費電力量Jが最小となることを示している。
【0034】
即ち、空き無線リソースも使って無線リソースにマッピングした方が基地局の消費電力を削減出来ることを示している。
【0035】
この原理に基づいて無線リソースに割り当てる方法を
図4、
図5の例を基に説明する。
【0036】
先ず、
図4の様に無線リソースにマッピングされているものとする。無線リソースの左のリソースブロックをみると、一番目はQPSK変調をマッピングしている。QPSKはシンボル当たり2ビット送信することが出来る。このQPSKを送る為の電力を1とする。尚、ここで用いているリソースブロックは周波数方向で一個のサブキャリア、時間軸方向で一個のシンボルを含んでいるものとする。二番目から四番目のリソースブロックには64QAM変調をマッピングしている。64QAMはシンボル当たり6ビット送信することが出来る。これらの多値変調は同じ品質を維持する為には2ビット増える毎に送信電力をほぼ4倍にする必要がある。従って64QAMの電力は4×4=16となる。
図4の上部にそれぞれのリソースブロックに対応した電力が書かれている。五番目から七番目のリソースブロックは空きリソースである。従って総送信電力は1+16+16+16=49[W]、総送信ビット数は2+6+6+6=20[bit]となる。
【0037】
以上の結果と同じ総ビット数で、上述の原理に基づいて省電力化したのが
図5である。同原理から、各リソースブロックxが同じ送信ビット数f(x)のとき、総消費電力量Jが最小となる。従って、
図5の右側の図(B)の様に空きリソースも使って同じ多値変調で変調レベルを下げて無線リソースの割り当てを行った。余りビットがあるので、一部多値変調レベルが異なっているところがある。尚、同じ多値変調で変調レベルを下げることは送信電力密度が一定で小さくすることと同じである。
【0038】
図5の右図(B)に示される割り当ての結果を見ると、一番目と六番目のリソースブロックはQPSKをマッピングしている。QPSKはシンボル当たり2ビット送信出来てその電力は1である。二番目から五番目のリソースブロックは16QAMにマッピングしている16QAMはシンボル当たり4ビット送信出来てその電力は4である。従って、総送信電力は1+4+4+4+4+1=18[W]、総送信ビット数は2+4+4+4+4+2=20[bit]で
図4と同じ総送信ビット数であるが、総送信電力は49[W]から18[W]に激減していることが分かる。
【0039】
即ち、各リソースブロックxが同じ送信ビット数f(x)になる様に、言い換えると送信電力密度が一定で小さくすると総消費電力量Jが最小となるという上述の原理が成り立っていることが分かる。尚、上述の送信電力の計算には、2ビット増える毎に送信電力が4倍になるという情報理論におけるシャノンの容量式からの近似(ここでは指数近似ともいう)を用いているが、これは理想送信電力増幅器をつかった場合の消費電力量に相当する。
【0040】
一方、実際に使われている送信電力増幅器はこの様にはなっていない。しかしながら、上述の原理は一般化が可能である。上述の原理の解析過程で使ったG(f)は、送信するビット数fに応じて送信電力増幅器が電力消費するビット対応消費関数G(f)であり、実際の送信電力増幅器に対応した任意の形状を取ることが出来る。その様な条件で得た総消費電力量Jを最小にする最適解であるので、実際の送信電力増幅器にも適用出来ることは言うまでもない。
【0041】
また、上述の原理説明で用いたリソースブロックxを時間tとして置き換えて同様の解析を行うと、消費電力量Jを最小にする条件は、
【数26】
となる。即ち、総消費電力量Jを最小にする条件は
【数27】
であるので、
【数28】
となる。T時間内にb[bit]を送る場合、
【数29】
一定とした場合が、即ち、T時間内にb[bit]となるように平均化したとき総消費電力量Jが最小となる。
【0042】
次に、この原理を簡単な例を用いて説明する。
【0043】
図14では(I)と(II)の二つの方法を比べている。(I)は多値変調レベルを上げて送信し、その後、送信電力増幅器をOFFした場合である。(II)は多値変調レベルを下げて送信し、T時間内にb[bit]を平均化して送信した場合である。両者とも総送信ビット数はb=6で同じ条件である。同図の下部にこのとき用いた条件とその結果である送信電力量を記している。
【0044】
(I)の場合、変調方式は64QAMなので一度に6ビット送ることが出来る。従って、送信時間は一回で済む。その他の時間は送信電力増幅器をOFFしているので電力は消費しない。
【0045】
(II)の場合、平均化して、なるべく多値変調レベルを下げ、時間を掛けて送信している。変調方式はQPSKなので一度に2ビット送るので、送信時間は3である。QPSKの送信電力は0.25なので、それより4ビット多い64QAMの場合の送信電力は、0.25×4×4=4となる。
【0046】
従って、送信電力量は(I)の場合4に対して、多値変調レベルを下げて送信し、T時間内にb[bit]を平均化して送信した(II)の場合0.75と激減している。数式28や数式29の原理が成り立っていることが分かる。
【0047】
即ち、トラッフィクをなるべく平均化してそれに見合った低次変調の適応変調を使うことで省電力化が実現出来るのである。
【0048】
この効果を上述の省電力基地局に適応する。即ち、トラフィック量に応じて一次マッピングするデータ量に制限を課するのである。二次マッピングは一次マッピングで得た総ビット数になるように作用するので、これによってトラフィックの平均化による省電力化が実現出来る。
【0049】
また、トラッフィクを推定するのにリソースの利用率を使うことも出来ると思われるが、ここでは、
図1の送信バッファ手段101の送信データのキュー長を採用することも出来る。キュー長に応じたデータ量で一次マッピングを行い、得られた総ビット数になる様に二次マッピングを行う。これによって上述のトラフィックを平均化したことによる省電力効果を得ることが出来るのである。
【0050】
以上の説明は、チャネル利得がリソースブロックxに渡って一定であった場合の話である。実際には、チャネル利得や干渉成分からなる伝送路の状態(チャネル品質)は、リソースブロックによって異なる。この様な場合、最早、各リソースブロックxによる送信ビット数f(x)が等しいとき総消費電力量Jが最小となるという上記の原理は成り立たない。
【0051】
実際のシステム構成では、無線基地局からセル端に存在するユーザ(セルエッジユーザという)へも送信している。セルエッジユーザへも送るべきビット数があり、それを担保する必要がある。しかし、上述の原理に基づいて電力密度を一定にすると、チャネル利得が低く、干渉の多いセルエッジユーザへ低い電力で送信することになってしまい、送るべきデータに誤りが生じ、回線品質が維持出来なくなる。
【0052】
そこで、実際の処理がどうなるかを考えた結果が
図6,
図7である。省電力化の処理方法は、上述で説明した
図4,
図5と同じであるが、
図4,
図5はチャネル利得や干渉成分が無線リソースxに渡って一定であるのに対して、
図6,
図7はチャネル利得や干渉成分からなる伝送路の状態(チャネル品質)が無線リソースxに渡って異なる場合である。この場合、セルのエッジに存在する端末(セルエッジ端末という)が存在し、
図6及び
図7の右端のリソースブロックが、セルエッジ端末に割り当てられるリソースブロックである。セルエッジ端末では無線基地局から離れている為にチャネル利得が低く、干渉成分が高い。その結果、高次変調を使うとデータに誤りが生じるので、CQI情報に基づき低次変調であるQPSKを用いることになる。QPSKはシンボル当たり2ビットしか送れない。
【0053】
図6において無線リソースxの右から2番目のリソースブロックは、セルエッジより若干無線基地局よりに存在する端末に割り当てられるリソースブロックである。CQIによりチャネル利得や干渉成分はセルエッジ端末より良いが、それでも基地局近辺の端末より悪い。従って、
図6に示す様に16QAMを用いることになる。16QAMはシンボル当たり4ビットしか送れない。
【0054】
図6に示すその他の左側の3つの無線リソースは、無線基地局近辺の端末に割り当てられるリソースブロックを示している。無線基地局付近では他セル干渉成分も少なく、チャネル利得も高い。従って、64QAMを用いることが出来る。64QAMは、シンボル当たり6ビット送ることが出来る。
【0055】
図6に示した上記五つのリソースブロックは、欄外の数字で示す送信電力密度が16の値で基地局より送信される。従って、総送信電力は16+16+16+16+16=80[W]、総送信ビット数は6+6+6+4+2=24[bit]となる。これが、通常の適応変調を用いたマッピング結果(一次マッピング)である。
【0056】
これに対して、上述の原理に基づく省電力化を行ってみる。
図7がその結果であるので、
図7を用いて説明すると、上述の原理によれば、空きリソースも使って各リソースブロックの送信電力が全て等しい時、最小の消費電力となる。それを仮想的なCQIインジケータを用いて実現している。仮想的CQIインジケータは、全ての無線リソースxに渡って一律に空きリソースが無くなるまで下げられる。その結果、今まで良好なCQIで高次の64QAMが用いられていたリソースブロックは、もはや64QAMを維持出来なくなり16QAMへ、更にQPSKへと変調次数を落としていく。それに従って送信電力も16から4、更に1へと削減される。しかし、右端のセルエッジ端末はもう既にQPSKなのでこれ以上変調次数を落とすことが出来ない。従って、セルエッジ端末の送信電力は16のままとなる。
【0057】
更に、無線リソースxの右から2番目の、セルエッジより若干無線基地局よりに存在する端末の場合は、16QAMである(
図6)。仮想的なCQIインジケータが下がってくると、16QAMを維持出来なくなりQPSKへと変調次数を落としていく(
図7)。16QAMはシンボル当たり4ビット送れるが、QPSKはシンボル当たり2ビットしか送れない。従って、送るべきビット数を担保するには二倍のリソースブロックを必要とする。空きリソースを使って送るべきビット数を担保しているのである。
【0058】
同様のことは基地局に近い64QAMを使っていたリソースブロックにも言える。仮想的なCQIインジケータを下げることによって変調次数をQPSKにすると、元々シンボル当たり6ビット送れていたのが2ビットになるので、三倍のリソースブロックを必要とする。この部分では三倍の空きリソースを使って、送るべきビット数を担保しているのである。そのときの送信電力密度は1である。
【0059】
無線リソースxの右から2番目の、セルエッジより若干無線基地局よりに存在する端末の場合は、16QAMを維持出来なくなりQPSKへと変調次数を落としたわけであるが、そのときの送信電力密度は6である。更に仮想的なCQIインジケータが下がっていくので、変調次数を下げたいが、QPSKが最小の変調次数なので、これ以上下げることが出来ない。従って送信電力は6のままとなる。この様に基地局近辺の端末やセルエッジに近い端末も含めて仮想的なCQIインジケータを下げていくと空きリソースがだんだん少なくなってゆく。空きリソースが無くなると、仮想的なCQIインジケータを下げるのをやめる。この時のリソース配分と電力配分が省電力処理の結果となる。
【0060】
従って、総送信電力は1+1+1+1+1+1+1+1+1+6+6+16=37[W]、総送信ビット数は2+2+2+2+2+2+2+2+2+2+2+2=24[bit]となる。これが各端末の無線リソースブロックを増やすのみ、且つ各端末への送信電力を減らすのみで実現した省電力の適応変調を用いたマッピング結果(二次マッピング)である。確かに、各端末への送るべきビット数を担保しながら、二次マッピングを行うことによって総送信電力を80[W]から37[W]に削減することが出来ている。しかしながら、この場合、各リソースブロックxによる送信電力密度が等しい時の総消費電力量Jが最小となるという上述の原理はもはや成り立たない。即ち、救済措置としてのセルエッジ端末への送るべきビット数を担保する為に送信電力密度にアンバランスが生じ最適ではなくなり、総消費電力量Jはまだ最小ではなく、改善の余地があるということである。
【0061】
上記で説明した送信電力のアンバランスを許容して無線リソース配分と送信電力配分の最適化を所要ユーザビットレートを担保しながら行う試みを示したのが
図8(A),(B),(C)である。
【0062】
内容の理解をし易くする為及び説明のしやすさから、2倍の送信電力が使えたとした場合で、従来のやり方と送信電力のアンバランスを許容したやり方を比較しながら説明を行う。
【0063】
図8(A)は元々の送信ビット数、送信電力、及び無線リソース配分を示している。図中、右側の二つのリソースブロックがセルエッジ端末に割り当てられている。セルエッジなので、低次変調であるQPSKを用い、シンボル当たり2ビットとなっている。左の二つのリソースブロックは無線基地局近辺の端末である。チャネル品質が良いので、64QAMで、シンボル当たり6ビットとなっている。送信電力密度は全て等しい。従って、セルエッジ端末へは2+2=4ビット、基地局近辺の端末へは6+6=12ビット送られる。
【0064】
このマッピングに対して2倍の送信電力が使えたとする。前に説明した様に、多値変調は同じ品質を維持する為には2ビット増える毎に送信電力をほぼ4倍にする必要がある。従って、電力を2倍にすると、1ビット増える計算になる。この関係を使った結果が
図8(C)である。左の二つの基地局近辺の端末のリソースブロックはシンボル当たり6ビットであったものが7ビットに、右のセルエッジ端末に割り当てられたリソースブロック二つはそれぞれシンボル当たり2ビットであったものが3ビットになる。その結果、送信電力の合計が2倍使えたとすると、7+7+3+3=20[bit]送れることになる。
【0065】
一方、送信電力のアンバランスを許容して無線リソース配分と送信電力配分をマッピングした例が
図8(B)である。送信電力の合計が2倍使えるという条件は
図8(C)と同じである。セルエッジ端末の無線リソース配分は、今まで二つあったものを一つに減らす。その代わりに、減らした無線リソースブロックの送信電力を増やす。この例では4倍以上の電力としている。4倍以上であるから、元々2ビットであったものが2ビット以上増えて4ビット以上セルエッジ端末に送れることになる。セルエッジ向けに送るべきビット数4は担保していることになる。セルエッジ端末向けの無線リソースブロックが一つ減ったので空きリソースが生じる。従って、基地局近辺の端末への無線リソースブロックは今まで二つであったものを一つ増やすことが出来る。その代わりに増やした無線リソースブロックの送信電力は、二倍にした
図8(C)の電力に比べて半分に減らす。しかし、無線リソースブロックが三つに増えているので送れるビット数は担保している。
【0066】
その結果、送信電力のアンバランスを許容して無線リソース配分と送信電力配分をマッピングすると、送ることが出来るビット数の合計が6+6+6+4以上=22[bit]以上となる。これは
図8(C)の送信電力密度を一定とした場合の20[bit]よりも多い。しかも、
図8(C)と
図8(B)とは共に同じ送信電力の合計値である。このことを裏返して同じビット数の合計値として考えると、送信電力のアンバランスを許容して無線リソース配分と送信電力配分をマッピングすると、送信電力の合計が減り、更なる省電力効果が得られることになる。
【0067】
即ち、各端末に送るべきビット数を担保しながら、各端末に割り当てる無線リソースブロックを増やすこと、また減らすこと、更に、送信電力を増やすこと、また減らすことを逐次的に行い無線リソース配分と送信電力配分をマッピングすると、消費電力が減り更なる省電力効果が得られることになる。この具体的な例は、次の詳細な説明の中で行う。
【0068】
セル端も含む送信電力のアンバランスを許容したリソース配分と電力配分の最適マッピング
上述した様にセルエッジユーザへの救済措置を行い、二次マッピング時にセルエッジユーザへの送信電力(最大送信電力)を維持しつつ、例えば仮想的なCQIインジケータによって全体の送信電力密度を低くして低次変調に導くと省電力効果が得られる。その結果、送信電力間にアンバランスが生じる。
【0069】
ならば、更に、送信電力のアンバランスを許容して無線リソース配分と送信電力配分を各端末のスループット(送るべきビット数)を担保しながら行うことにより消費電力が最小となる省電力の最適化が出来る筈である。ここではその最適化を行おうというものである。
【0070】
上述の検討結果より、セルエッジユーザへの無線リソース配分を所要ビットレート(送るべきビット数)を担保しつつ制限し(リソース配分を減らすこと。)、その代わりに送信電力を増やす。更に、セル中心(無線基地局近辺)の高次変調ユーザに対しては、無線リソース配分を増やして、その代わりに低次変調にして送信電力を減らす。これらの手順を逐次的に行うと無線基地局の全体としての送信電力の合計が削減出来ることが分かっている。その最適化手法を示すものである。
【0071】
尚、セルエッジユーザや基地局近辺のユーザの判断はCQI情報を基に行うことが出来る。以下の解析では、CQI情報をもとに得られたジオメトリを使っている。
【0072】
無線リソース配分と送信電力配分の最適化手法
Lagrangeの方法を用いて無線リソース配分xと送信電力配分Pの最適化を行う。先ず原理的な内容から説明するが、実装を考慮した方法も続いて記載している。
【0073】
〔原理〕
セルエッジユーザも含めたユーザ数Nの無線リソース幅をユーザnに対してx
nとし、無線リソースの合計をWとする。従って、
【数30】
の元で、総送信電力
【数31】
を最小化する最適化問題に帰着する。
【0074】
ここで、P
nはユーザnに対する送信電力で、b
nはユーザnに対する所要ビットレート(guaranteed bit rate)、1/σ
nはユーザnのジオメトリである。また適応変調に適応符号化も含めたきめ細かい適応変調符号化のMCSは連続で理想的なものとして処理出来たとした。
(後述する方法では理想的なMCS処理でない場合でも適用可能であることを示している。)
以下、Lagrangeの方法を用いて解析する。Lagrangeの定数をλとすると、
【数32】
従って、
【数33】
と、
【数34】
より、
【数35】
を得る。そこで、
【数36】
と置くと、
【数37】
となる。即ち、全ユーザ共通のLagrangeの定数λを、各ユーザのリソース配分x
nの為のパラメータとして用いて、数式37よりA
n(x
n)を求め、更にその逆関数から、x
nを求め、その合計がWになる状態が、総送信電力を最小とする無線リソース配分xになる。
【0075】
更に、上述より、
【数38】
の関係を用いてその時の送信電力配分も分かる。
【0076】
実装を考慮したリソース配分及び送信電力配分決定の具体的な手順
(1)先ず、各ユーザnに対応した所要ビットレート(guaranteed bit rate)b
n、ジオメトリ1/σ
nを元に
【数39】
ここで
【数40】
を予め求めておき、リソース配分x
nとの対応関係を作成する。
【0077】
(2)Jdiff(x
n)から全ユーザ共通のLagrangeの定数λに相当する値に対するリソース配分x
nを求め、
【数41】
となる位置を確定する。その時のx
1,x
2,…,x
Nが総送信電力を最小とする無線リソース配分xになる。
【0078】
(3)得られた無線リソース配分x
1,x
2,…,x
Nを元に
【数42】
より、各ユーザに対する送信電力P
1,P
2,…,P
Nを決定する。
【0079】
上記三つのステップによりリソース配分x
1,x
2,…x
Nと電力配分P
1,P
2,…,P
Nを得る方法が、総送信電力を最小とするマッピング方法の例である。
【0080】
以上の手順に従って決定した総送信電力を最小とする無線リソース配分と送信電力の例を、3ユーザの場合で以下に記す。
【0081】
実装を考慮した具体的な手順を基に行った例(3ユーザの場合)
各ユーザnに対応した所要ビットレート(guaranteed bit rate)b
n、ジオメトリ1/σ
nを元に、適応変調に適応符号化も含めたきめ細かい連続で理想的な適応変調符号化のMCSで処理したとした時のJdiff(n)を
図9(A)に示す。この関係は予め求めておくものである。図中、ユーザ3はセルエッジユーザであり、ユーザ2はセルエッジより若干基地局よりに存在し、ユーザ1はセル中心(無線基地局近辺)に存在している端末を示している。Jdiff(n)は数式39の関係より得られる。横軸はリソース配分x
nである。即ちこれは、上述の手順(1)のステップに相当するものである。
図9(A)からわかるようにJdiff(x
n)は単調増加関数なので、全ユーザ(全端末)共通のパラメータ(Lagrangeの定数λ)の値を動かすと、数式41より、
【数43】
に合う無線リソース配分x
1,x
2,x
3が必ず存在する。この例の場合W=5である。
従って、
図9(A)より、
【数44】
となる。これは上述の手順(2)のステップに相当する。これが無線基地局の総送信電力、即ち消費電力を最小とする無線リソース配分xとなる。
【0082】
この無線リソース配分x
1,x
2,x
3が決定されると、x
1,x
2,x
3を基に数式42を用いて各ユーザの送信電力P
1,P
2,P
3が決定される。
図9(B)は数式42の関係より得られた図である。横軸はリソース配分x
nで、縦軸が各ユーザの送信電力P
1,P
2,P
3である。
図9(B)より、
【数45】
となる。これは上述の手順(3)のステップに相当する。数式45が無線基地局の総送信電力、即ち消費電力を最小とする送信電力配分Pとなる。
【0083】
この3ユーザの場合に適用した例の結果をみると、セルエッジユーザのユーザ3に対しては送信電力が一番大きく、送信電力を増やすことになり、リソース配分は一番少なく減らすことになる。一方、セル中心(基地局近辺)のユーザ1に対しては、送信電力が一番小さく、送信電力を減らすことになり、リソース配分は一番多く、増やすことになる。
【0084】
即ち、この結果が示す様に、
図8(B)で説明したセルエッジユーザへの無線リソース配分を所要ビットレート(送るべきビット数)を担保しつつ制限し(リソース配分を減らすこと。)、その代わりに送信電力を増やすこと、更にセル中心(無線基地局近辺)の高次変調ユーザに対しては、無線リソース配分を増やして、その代わりに低次変調にして送信電力を減らすこと、これらの手順を行うと無線基地局の全体としての送信電力の合計が削減出来るということが、最適化の見知からも示されたのである。
【0085】
尚、手順(1)、(2)、(3)のステップをソフトウェアで組むことは、一般的な知識を有する技術者なら誰でも容易に出来ることなので、このソフトウェアへの実装の説明は省略する。
【0086】
原理の説明上の理解を得る為に、以上の最適化の原理が本当に成り立っているのかどうか、その妥当性を検証した以下の検討結果を掲載しておくことにする。
【0087】
原理の妥当性
上述の総送信電力を最小とする無線リソース配分と送信電力配分の原理は2ユーザの場合に一変数関数に帰着するので、微分による極値を取ることで容易に確認することが出来る。そこで、微分による方法と上記手順による方法を比較することで本発明の最適化原理の妥当性を見ることにする。
【0088】
図10の一番上のグラフ(A)が2ユーザの場合の一変数関数に帰着させた総送信電力量Jである。
図10の一番下のグラフ(C)が本発明のLagrangeの方法を用いて無線リソース配分xと送信電力配分Pの最適化を行う方法で、数式37を基に作られている。
【0089】
図10(A)及び(C)より総送信電力量Jを最小とする微分による極値の位置と、提案のLagrangeの方法を用いて得られた無線リソース配分(上図の横軸)の結果が同じ値となり、本発明の原理の妥当性が確認された。
【0090】
因みに、
図10の2番目のグラフ(B)はその時の送信電力で、p1がセル中心(基地局近辺)のユーザ1の送信電力、p2がセルエッジユーザ2の送信電力である。ユーザ2の横軸は
図10の三つのグラフ全部でリソース配分xを折り返した図になっている。従って、セルエッジのユーザ2の送信電力p2が大きく、その代わりリソース配分が小さく、セル中央のユーザ1の送信電力p1が小さく、その代わりにリソース配分が大きくなっている。
【0091】
これは、上述の結果が示す様に、セルエッジユーザへの無線リソース配分を所要ビットレート(送るべきビット数)を担保しつつ制限し(リソース配分を減らすこと。)、その代わりに送信電力を増やすこと、更にセル中心(無線基地局近辺)の高次変調ユーザに対しては、無線リソース配分を増やして、その代わりに低次変調にして送信電力を減らすこと、これらの手順を行うと無線基地局の全体としての送信電力の合計が削減出来るということと一致する。
【0092】
更に、チャネル利得や干渉成分からなる伝送路の状態(チャネル品質)が無線リソースに渡って一定であった場合に、本発明のLagrangeの方法を用いた方法ではどうなるかを、本発明の原理の理解を深める為に掲載しておく。
【0093】
σ1=σ2=・・・=σNの伝搬環境下での最適化
σ
1=σ
2=・・・=σ
N=σの場合の最適化を見ておくことにする。上述の数式37において、
【数46】
と同時に
【数47】
より
【数48】
と置くと、
【数49】
となる。ここで全ユーザ共通のLagrange定数λと各ユーザのリソース配分x
nを用いている。
そこで、
【数50】
としてみる。すると上式は、
【数51】
となって、全ユーザ共通のLagrangeの定数λ
【数52】
が最適値を与えるインデックスとなる。このインデックスλを増減させ
【数53】
から得られるx
1,x
2,…,x
Nを用いてW=x
1+x
2+…+x
Nとなるポイントが省電力化をはかるx
1,x
2,…,x
Nの最適点となる。この時の送信電力配分は、上述の数式38より、
【数54】
となって、各ユーザの無線リソース当たりの送信電力P
nは全て等しいP
n=Pとなる。
【0094】
これは各ユーザの電力密度が一定でなるべく平たい無線リソース配分とする方法で、上述のチャネル利得や干渉成分からなる伝送路の状態(チャネル品質)が、無線リソースに渡って一定である場合の省電力化方法と一致する。
【0095】
σ
1=σ
2=・・・=σ
N=σでの伝搬環境下でLagrangeの定数λを用いた3ユーザの最適化の例を
図11に示す。手順(1)、(2)、(3)のステップは
図9で行った方法と同じなので説明を省略する。最適化後の結果だけを説明すると、この例では、各ユーザnに対応した所要ビットレート(guaranteed bit rate)b
nはユーザ1が最も大きく、次いでユーザ2、ユーザ3の順となっている。ジオメトリは全て等しい。
図11(B)の縦軸が各ユーザの送信電力P
1,P
2,P
3を示しており、同図より、P
1=P
2=P
3の時に無線基地局の総送信電力、即ち消費電力を最小とする送信電力配分であることが分かる。一方、無線リソース配分は、所要ビットレートb
nに比例して、ユーザ1が最も大きく、次いでユーザ2、ユーザ3の順となっている。
【0096】
ジオメトリが全て等しい場合には、送信電力を全て等しくし、ユーザ毎の所要ビットレートの違いを無線リソース配分でまかなう様にしたとき、送信電力の合計が最小となるのである。
【0097】
図11(A)及び(B)の結果も、各ユーザの電力密度が一定でなるべく平たい無線リソース配分とする上述の省電力のマッピング方法と同じであり、チャネル利得や干渉成分からなる伝送路の状態(チャネル品質)が無線リソースに渡って一定である場合の省電力化方法と一致するのである。即ち、上述の電力密度が一定でなるべく平たい無線リソース配分が最適であるという考えが別の観点から検証されたことになる。
【0098】
上述の実装を考慮したリソース配分及び送信電力配分決定の具体的な手順のところでは、手順(1)のステップ、手順(2)のステップ、手順(3)のステップの三ステップで、総送信電力を最小とする無線リソース配分と送信電力配分を決定する方法を示したが、次に、ハードウェアで実現した具体例を示す。
【0099】
ハードウェアで実現したリソース配分及び送信電力配分決定法の例
図12を参照しながら説明を行う。既に、各ユーザnに対応した所要ビットレート(guaranteed bit rate)b
n、ジオメトリ1/σ
nを元に適応変調に適応符号化も含めたきめ細かい連続で理想的な適応変調符号化のMCSで処理したとした時のJdiff(n)を
図9(A)や
図11(A)に示したが、この関係をメモリに蓄積する。この場合は量子化された不連続な値となるが、量子化誤差として丸め込む。
【0100】
また、メモリの入出力関係については、入力を全ユーザ共通のLagrangeの定数λに応じた値とし、出力を無線リソース割り当てx
nとなる様にメモリ自体、或いはメモリの内容をアレンジしておく。ユーザ数はNであるから、N個分の入出力の対応関係となるが、それらを纏めてリソース配分メモリ1601として
図12に表す。カウンタ1602の出力は、全ユーザ共通のLagrangeの定数λに対応した値である。
【0101】
図9(A)や
図11(A)の説明で記載した様に、メモリ1601の入出力関係は単調増加関数の形になっている。従って、メモリ1601の入力へ接続されたカウンタ1602の出力がインクリメントしていくと、メモリ1601の出力x
1,x
2,…,x
Nは増加していく。加算器1604はそれらの値の合計を取る為のものである。その合計となる加算器1604の出力はコンパレータ1605に入力しており、もう一方の入力には総無線リソースサイズWの値1603が入力している。
【0102】
従って、カウンタ1602がインクリメントしていくとメモリ1602の出力が増加していき、その合計が総無線リソースサイズWに達すると、コンパレータ1605の出力に信号が発生する。この信号を受けてカウンタ1602はインクリメントを止める。その時の無線リソース割り当てx
1,x
2,…,x
Nの1606がセル端も含む送信電力のアンバランスを許容した時の最適なリソース配分となる。即ち、その時の1606のx
1,x
2,…,x
Nを用いれば、総送信電力を最小とする無線リソース配分が実現出来るのである。
【0103】
更に、その1606の無線リソース配分x
1,x
2,…,x
Nを入力とし、送信電力変換器1608を通せば1607の電力配分P
1,P
2,…,P
Nがその出力として得られる。送信電力変換器1608は例えば数式42に基づいて電力配分を決定する。無線リソース配分x
1,x
2,…,x
Nと送信電力配分P
1,P
2,…,P
Nによって消費電力が最小となるマッピングが実現出来るのである。
【0104】
尚、リソース配分メモリ1601は必ずしも数式39に合わせた値でなくとも良い。実際の送信電力増幅器に対応した任意の値でメモリの内容を作ることが出来る。更に、実際に使われたMCSに対応した任意の値を加味してメモリの内容を作ることも出来る。
【0105】
本発明の実施形態において使われる部分の説明
以下では上述の消費電力を最小とするマッピングが使われる部分について説明する。
図15において、無線基地局2210は無線セル2201、無線セル2202、無線セル2203を収容し、セル毎に通信の順序や変調方式、送信電力などを決定するスケジューリングや無線リソースへのマッピングを行っている。この内の無線セル2201では、無線端末2211、2212〜221nによってそれぞれチャネル利得や干渉成分からなるチャネル品質をCQI情報として無線基地局2210へ伝達している。無線基地局2210では得られたCQI情報に基づいて適応変調を無線リソースにマッピングする。
【0106】
図1は、本発明の実施形態における無線基地局2210の内部構造を示している。無線基地局2210の内部には無線端末毎の送信バッファ手段101がある。スケジューラ102は無線端末から送られてきたCQI情報を基にスケジューリング・メトリックを計算し、メトリックの大きいデータを優先的に送るように作用する。スケジューラ102から送られてきたデータを、マッピング手段103は、無線リソースに空きが出来る場合、出来た空きリソースも使って、周波数方向あるいは時間方向あるいは周波数と時間の両方向で、送るべき総送信ビット数を制約条件として、上記で説明した無線リソース配分と送信電力配分で適応変調符号化を行い、無線リソースへの割当てを行う。送信電力レベルの決定は送信電力配分を基に信号レベルと送信電力増幅器の制御とで協調して行われ、その内の送信電力増幅器分の処理を送信電力増幅器104へ通知し、送信電力増幅器はマッピングされたデータを通知された送信電力レベルで各無線端末へ送出する。
【0107】
また、マッピングは、CQI情報に基づく適応変調を無線リソースに適用する一次マッピングと、空きリソースも含めて上記で説明した無線リソース配分と送信電力配分で決定して、一次マッピングに対して、無線リソースを増やしたり、減らしたり、送信電力を増やしたり、減らしたりする二次マッピングを、ビット数の制約条件の下で逐次的に試行し、適応変調符号化によって省電力型無線基地局を実現している。
【0108】
また、無線端末はパイロット信号と呼ばれる基準信号を基にデータの復調を行っている。送信電力密度を変更すると本来あるべきレベルでデータを受信出来ないので正しく復調出来ない。そこでパイロット信号の送信電力密度とデータの送信電力密度の違いを予め制御信号として無線端末に送ることで、無線端末は省電力化の為に下がったレベルの受信データを正しく復調出来るようになっている。
【0109】
[発明の実施形態における効果の例]
既に上述で本発明の実施形態における効果については数字を交えて説明したが、更に、得られた本発明の実施形態における効果を送信電力で示す。
(I)セルエッジユーザへの救済を含めて各ユーザの電力密度がなるべく一定で、なるべく平たい無線リソース配分とする上述の省電力のマッピング方法(
図7の方法)の場合:
18.5W
(II)セルエッジユーザに対してはその無線リソースブロックを減らし、送信電力を増やす上述の省電力のマッピング方法(
図8(B)やそれを最適化した
図9の方法)の場合:14.5W
【0110】
(I)の空きリソースも使って送信電力を平坦にマッピングする方法でも省電力効果は得られるが、(II)の送信電力のアンバランスを許容してリソース配分と電力配分(リソースブロックを増やすこと、減らすこと、更に送信電力を増やすこと、減らすことを意味している。)を行うと更に省電力効果が得られる。
【0111】
MCSの符号化方法の組み合わせも含めてQPSK〜64QAMを使用した例を以下に記す。
【表1】
【0112】
また、CQIは、リソースブロック毎のサブバンドCQIを使用している。スケジューリングはサブバンド毎に行われており、スケジューリング・メトリックの高い無線端末へのデータが無線リソースへマッピングされる。
【0113】
送信電力増幅器は、情報理論におけるシャノンの容量式からの近似である指数近似モデルや、Doherty増幅器およびB級増幅器が考えられる。上記のMCSや送信電力増幅器を考慮して、リソース配分メモリ1601の内容を作ることも可能である。
【0114】
[作用(効果をもたらすための手段の働き)]
本発明の実施形態における省電力無線基地局は、適応変調を用いて無線端末と接続する無線基地局であって、無線端末に送信するデータを無線端末毎に無線リソースにマッピングし、データの送信電力を無線端末毎に設定するマッピング手段を備え、マッピング手段は、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、空き無線リソースの利用を伴って各無線端末に対する無線リソース配分及び送信電力を決定し、決定した無線リソース配分及び送信電力に基づいて各無線端末に対する変調方式を定めることを特徴として構成しているので、出来た空きリソースも使って、基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を実現することが出来る。
【0115】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、マッピング手段が、無線端末に送信するデータを無線リソースにマッピングする時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させることを特徴として構成しているので、出来た空きリソースも使って、基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を実現することが出来る。
【0116】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、マッピング手段が、無線端末のチャネル品質を示すCQI情報に基づいて空きリソースを少なくし、CQI情報を基に得られたジオメトリに基づいて、各無線端末に対する無線リソース配分の増減及び各無線端末への送信電力の増減を行うことを特徴として構成しているので、CQI情報により無線端末毎に適切な多値変調度を選択することが出来、出来た空きリソースも使って基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を実現することが出来る。
【0117】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、マッピング手段が、一次的な適応変調により無線端末に対する変調方式を定め、無線端末に送信するデータを無線リソースに仮割り当てを行う一次マッピングを行った時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させ、各無線端末に対する変調方式を定める二次マッピングを行うことを特徴として構成されるので、現行の適応変調制御に相当する一次マッピング手段をそのまま活用して本発明の特徴的な二次マッピング手段を追加することにより、端末毎のチャネルや干渉が異なる場合でも例えばCQIにより無線端末毎に適切な多値変調度を選択することが出来、出来た空きリソースも使って、基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を実現することが出来る。
【0118】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、マッピング手段が、セルエッジ端末に対しては、その無線リソースを減らし、送信電力を増やすことを特徴として構成しているので、セルエッジ端末に対する送るべきビット数を維持しつつ基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を実現することが出来る。
【0119】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、送信パイロット信号の電力密度と前記増減した送信電力の送信電力密度との差を示す下りの制御信号を送信する制御信号通信手段を有することを特徴として構成しているので、各端末への送信電力を増やす手段や減らす手段によって省電力に対応する適応変調が行われた結果生じるパイロット信号とデータを運ぶ無線リソースとの電力差が予め分かるので、パイロット信号をベースとした復調処理を問題無く実行することが出来る。
【0120】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、適応変調を用いて無線端末と接続する無線基地局であって、無線端末(n)毎のチャネル利得や干渉(ジオメトリσ
n−1)及び所要ビットレート(b
n)を基に端末共通のパラメータ(λ)と無線リソース配分(x
n)との対応を決定する手段を有し、パラメータ(λ)によって得られた各ユーザの無線リソース配分(x
n)による値の合計が、予め決められた無線リソース(W)となった時、無線リソース配分(x
n)を該無線端末毎の無線リソースとして、無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴として構成しているので、端末毎の送るべきビット数を制約条件として各端末の無線リソースブロックを増やす手段、減らす手段、更に各端末への送信電力を増やす手段、減らす手段を低複雑度で実現でき、基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を提供することが出来る。
【0121】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、適応変調を用いて無線端末と接続する無線基地局であって、無線端末のチャネル品質を示すCQI情報をもとにして得られたジオメトリ(σ
n−1)と所要ビットレート(b
n)とを基に増減可能な端末共通のパラメータ(λ)を入力として無線リソース配分(x
n)を出力する蓄積手段とを有し、加算器によって得られた該蓄積手段の出力の合計が予め決められた値(W)となった時に信号を発生させるコンパレータを具備し、信号発生時に得られた無線リソース配分(x
n)を無線端末毎の無線リソースとして、無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴として構成しているので、端末毎への送るべきビット数を制約条件として各端末の無線リソースブロックを増やす手段、減らす手段、更に各端末への送信電力を増やす手段、減らす手段をハードウェアの高速処理で低複雑度で実現でき、基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を提供することが出来る。
【0122】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、無線リソース配分(x
n)を基に、送信電力配分(P
n)を決定し、無線リソース配分(x
n)と送信電力配分(P
n)を無線端末毎の無線リソース及び送信電力として、無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴として構成しているので、端末毎の送るべきビット数を制約条件として各端末の無線リソースブロックを増やす手段及び減らす手段と、端末への送信電力を増やす手段及び減らす手段の連動を低複雑度で効率よく行うことが出来、基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を提供することが出来る。
【0123】
更に、本発明の別の実施形態における省電力無線基地局は、無線リソースは、周波数方向、または時間方向、または周波数および時間の両方向にて規定される領域であることを特徴として構成しているので、周波数方向、または時間方向、または周波数および時間の両方向にて端末毎のチャネルや干渉が異なる場合でも、基地局の送信電力が最小でその消費電力も最小となる省電力制御を提供することが出来る。
【0124】
なお、上記の無線基地局は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。また、上記の省電力無線基地局により行なわれる省電力制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0125】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0126】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0127】
(付記1)
適応変調を用いて無線端末と接続する無線基地局であって、前記無線端末に送信するデータを無線端末毎に無線リソースにマッピングし、前記データの送信電力を無線端末毎に設定するマッピング手段を備え、前記マッピング手段は、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、空き無線リソースの利用を伴って各無線端末に対する無線リソース配分及び送信電力を決定し、決定した無線リソース配分及び送信電力に基づいて各無線端末に対する変調方式を定めることを特徴とする無線基地局。
【0128】
(付記2)
前記マッピング手段は、前記無線端末に送信するデータを無線リソースにマッピングする時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させることを特徴とする付記1に記載の無線基地局。
【0129】
(付記3)
前記マッピング手段は、一次的な適応変調により前記無線端末に対する変調方式を定め、前記無線端末に送信するデータを無線リソースに仮割り当てを行う一次マッピングを行った時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させ、各無線端末に対する変調方式を定める二次マッピングを行うことを特徴とする付記1に記載の無線基地局。
【0130】
(付記4)
前記マッピング手段は、前記無線端末のチャネル品質を示すCQI情報に基づいて前記空きリソースを少なくし、前記CQI情報を基に得られたジオメトリに基づいて、各無線端末に対する前記無線リソース配分の増減及び各無線端末への前記送信電力の増減を行うことを特徴とする付記2又は3に記載の無線基地局。
【0131】
(付記5)
前記マッピング手段は、セルエッジ端末に対しては、その無線リソースを減らし、送信電力を増やすことを特徴とする付記1〜4のいずれか1に記載の無線基地局。
【0132】
(付記6)
送信パイロット信号の電力密度と前記増減した送信電力の送信電力密度との差を示す下りの制御信号を送信する制御信号通信手段を有する付記1〜5のいずれか1に記載の無線基地局。
【0133】
(付記7)
無線端末(n)毎のチャネル利得や干渉(ジオメトリσ
n−1)及び所要ビットレート(b
n)を基に端末共通のパラメータ(λ)と無線リソース配分(x
n)との対応を決定する手段を有し、該パラメータ(λ)によって得られた各ユーザの無線リソース配分(x
n)による値の合計が、予め決められた無線リソース(W)となった時、該無線リソース配分(x
n)を該無線端末毎の無線リソースとして、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記1〜6のいずれか1に記載の無線基地局。
【0134】
(付記8)
前記無線端末のチャネル品質を示すCQI情報を基にして得られたジオメトリ(σ
n−1)と所要ビットレート(b
n)とを基に増減可能な端末共通のパラメータ(λ)を入力として無線リソース配分(x
n)を出力する蓄積手段と、
加算器によって得られた該蓄積手段の出力の合計が予め決められた値(W)となったときに信号を発生させるコンパレータと
を具備し、該信号発生時に得られた無線リソース配分(x
n)を該無線端末毎の無線リソースとして、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記7に記載の無線基地局。
【0135】
(付記9)
前記無線リソース配分(x
n)を基に、送信電力配分(P
n)を決定し、該無線リソース配分(x
n)と送信電力配分(P
n)を該無線端末毎の無線リソース及び送信電力として、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記7又は8に記載の無線基地局。
【0136】
(付記10)
前記無線リソースは、周波数方向、または時間方向、または周波数および時間の両方向にて規定される領域である付記1〜9のいずれか1に記載の無線基地局。
【0137】
(付記11)
付記1〜10のいずれか1に記載の無線基地局と前記無線基地局に接続される無線端末とを含む通信システム。
【0138】
(付記12)
適応変調を用いて無線端末と接続する無線基地局の制御方法であって、前記無線端末に送信するデータを無線端末毎に無線リソースにマッピングし、前記データの送信電力を無線端末毎に設定するマッピングステップを備え、前記マッピングステップでは、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、空き無線リソースの利用を伴って各無線端末に対する無線リソース配分及び送信電力を決定し、決定した無線リソース配分及び送信電力に基づいて各無線端末に対する変調方式を定めることを特徴とする無線基地局の制御方法。
【0139】
(付記13)
前記マッピングステップでは、前記無線端末に送信するデータを無線リソースにマッピングする時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させることを特徴とする付記12に記載の無線基地局の制御方法。
【0140】
(付記14)
前記マッピングステップでは、一次的な適応変調により前記無線端末に対する変調方式を定め、前記無線端末に送信するデータを無線リソースに仮割り当てを行う一次マッピングを行った時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させ、各無線端末に対する変調方式を定める二次マッピングを行うことを特徴とする付記12に記載の無線基地局の制御方法。
【0141】
(付記15)
前記マッピングステップでは、前記無線端末のチャネル品質を示すCQI情報に基づいて前記空きリソースを少なくし、前記CQI情報を基に得られたジオメトリに基づいて、各無線端末に対する前記無線リソース配分の増減及び各無線端末への前記送信電力の増減を行うことを特徴とする付記13又は14に記載の無線基地局の制御方法。
【0142】
(付記16)
セルエッジ端末に対しては、その無線リソースを減らし、送信電力を増やすことを特徴とする付記12〜15のいずれか1に記載の無線基地局の制御方法。
【0143】
(付記17)
送信パイロット信号の電力密度と前記増減した送信電力の送信電力密度との差を示す下りの制御信号を送信する制御信号通信ステップを有する付記12〜16のいずれか1に記載の無線基地局の制御方法。
【0144】
(付記18)
無線端末(n)毎のチャネル利得や干渉(ジオメトリσ
n−1)及び所要ビットレート(b
n)を基に端末共通のパラメータ(λ)と無線リソース配分(x
n)との対応を決定するステップを有し、該パラメータ(λ)によって得られた各ユーザの無線リソース配分(x
n)による値の合計が、予め決められた無線リソース(W)となった時、該無線リソース配分(x
n)を該無線端末毎の無線リソースとして、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記12〜17のいずれか1に記載の無線基地局の制御方法。
【0145】
(付記19)
前記無線端末のチャネル品質を示すCQI情報を基にして得られたジオメトリ(σ
n−1)と所要ビットレート(b
n)とを基に増減可能な端末共通のパラメータ(λ)を入力として無線リソース配分(x
n)を出力する蓄積ステップと、
加算器によって得られた該蓄積ステップの出力の合計が予め決められた値(W)となったときに信号を発生させるコンパレータステップと
を具備し、該信号発生時に得られた無線リソース配分(x
n)を該無線端末毎の無線リソースとして、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記18に記載の無線基地局の制御方法。
【0146】
(付記20)
前記無線リソース配分(x
n)を基に、送信電力配分(P
n)を決定し、該無線リソース配分(x
n)と送信電力配分(P
n)を該無線端末毎の無線リソース及び送信電力として、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記18又は19に記載の無線基地局の制御方法。
【0147】
(付記21)
前記無線リソースは、周波数方向、または時間方向、または周波数および時間の両方向にて規定される領域である付記12〜20のいずれか1に記載の無線基地局の制御方法。
【0148】
(付記22)
適応変調を用いて無線端末と接続する無線基地局の制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記無線端末に送信するデータを無線端末毎に無線リソースにマッピングし、前記データの送信電力を無線端末毎に設定するマッピング手段を実現させ、前記マッピング手段は、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、空き無線リソースの利用を伴って各無線端末に対する無線リソース配分及び送信電力を決定し、決定した無線リソース配分及び送信電力に基づいて各無線端末に対する変調方式を定めることを特徴とする無線基地局の制御プログラム。
【0149】
(付記23)
前記マッピング手段は、前記無線端末に送信するデータを無線リソースにマッピングする時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させることを特徴とする付記22に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0150】
(付記24)
前記マッピング手段は、一次的な適応変調により前記無線端末に対する変調方式を定め、前記無線端末に送信するデータを無線リソースに仮割り当てを行う一次マッピングを行った時に無線リソースに空きが出来る場合に、各無線端末に対する所要の送信ビット数を確保しつつ、全無線端末に対する総送信電力が低下するように、前記無線リソース配分において利用されない空きリソースを少なくし、各無線端末に対する無線リソース配分を個別に増減させ、各無線端末への送信電力を個別に増減させ、各無線端末に対する変調方式を定める二次マッピングを行うことを特徴とする付記22に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0151】
(付記25)
前記マッピング手段は、前記無線端末のチャネル品質を示すCQI情報に基づいて前記空きリソースを少なくし、前記CQI情報を基に得られたジオメトリに基づいて、各無線端末に対する前記無線リソース配分の増減及び各無線端末への前記送信電力の増減を行うことを特徴とする付記23又は24に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0152】
(付記26)
前記マッピング手段は、セルエッジ端末に対しては、その無線リソースを減らし、送信電力を増やすことを特徴とする付記22〜25のいずれか1に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0153】
(付記27)
前記コンピュータに、更に、送信パイロット信号の電力密度と前記増減した送信電力の送信電力密度との差を示す下りの制御信号を送信する制御信号通信手段を実現させることを特徴とする付記22〜26のいずれか1に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0154】
(付記28)
前記コンピュータに、更に、無線端末(n)毎のチャネル利得や干渉(ジオメトリσ
n−1)及び所要ビットレート(b
n)を基に端末共通のパラメータ(λ)と無線リソース配分(x
n)との対応を決定する手段を実現させ、該パラメータ(λ)によって得られた各ユーザの無線リソース配分(x
n)による値の合計が、予め決められた無線リソース(W)となった時、該無線リソース配分(x
n)を該無線端末毎の無線リソースとして、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記22〜27のいずれか1に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0155】
(付記29)
前記コンピュータに、更に、
前記無線端末のチャネル品質を示すCQI情報を基にして得られたジオメトリ(σ
n−1)と所要ビットレート(b
n)とを基に増減可能な端末共通のパラメータ(λ)を入力として無線リソース配分(x
n)を出力する蓄積手段と、
加算器によって得られた該蓄積手段の出力の合計が予め決められた値(W)となったときに信号を発生させるコンパレータ手段と
を実現させ、該信号発生時に得られた無線リソース配分(x
n)を該無線端末毎の無線リソースとして、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記28に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0156】
(付記30)
前記マッピング手段は、前記無線リソース配分(x
n)を基に、送信電力配分(P
n)を決定し、該無線リソース配分(x
n)と送信電力配分(P
n)を該無線端末毎の無線リソース及び送信電力として、前記無線端末へのデータを無線リソースにマッピングすることを特徴とする付記28又は29に記載の無線基地局の制御プログラム。
【0157】
(付記31)
前記無線リソースは、周波数方向、または時間方向、または周波数および時間の両方向にて規定される領域である付記22〜30のいずれか1に記載の無線基地局の制御プログラム。