特許第6201413号(P6201413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201413
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】スライド式のブリスターパック
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B65D75/36
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-103647(P2013-103647)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-223927(P2014-223927A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年12月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 光晴
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−069604(JP,A)
【文献】 実開昭48−032493(JP,U)
【文献】 特開2005−137579(JP,A)
【文献】 特開2001−301823(JP,A)
【文献】 米国特許第05944177(US,A)
【文献】 特開2006−003831(JP,A)
【文献】 特開2011−095554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00 − 79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物を収容する凹部が形成されたブリスターカバーと、前記凹部を背面から塞ぐ台紙とからなり、前記ブリスターカバーの左右両端縁の背面側には台紙の左右両端をスライド可能に案内するように折り返されているスライド用フラップが形成されているスライド式のブリスターパックであって、
前記ブリスターカバーの下端縁に折り返し自在なフラップ片を設け、このフラップ片を折り返したときに前記ブリスターカバーの凹部背面側に位置し、かつ台紙より外側へ突出しており、台紙の挿入時において台紙を外側へ押し上げる機能を有する膨出部を設けるとともに、台紙にはこの膨出部と係合する係合孔部を設けたことを特徴とするスライド式のブリスターパック。
【請求項2】
膨出部の台紙案内側の膨出面を傾斜面とした請求項1に記載のスライド式のブリスターパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターカバーと台紙との係合が簡単であり、正面に係合部が露出することのない優れたデザイン性を発揮したスライド式のブリスターパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば小物家電商品や文房具等を収容するのに、スライド式のブリスターパックが広く利用されている。このスライド式のブリスターパックは、被収容物を収容する凹部が形成されたブリスターカバーと、前記凹部を背面から塞ぐ台紙とから構成されている。また、前記ブリスターカバーの左右両端縁には、台紙の左右両端をスライド可能に案内するように折り返されているスライド用フラップが形成され、更に、ブリスターカバーの上端縁には台紙のスライドを所定位置に停止するように折り返されている停止用フラップが形成された構造となっている。
【0003】
このようなスライド式のブリスターパックでは、凹部内に商品を収容し台紙をスライド移動させて塞いだ後、表面側からステープルを打ち込んでブリスターカバーと台紙を結合し、商品の脱落を防止している。しかし、ステープルを打ち込む作業が必要となるため面倒であり、コスト高になるという問題があった。また、ステープルの打ち込みは見栄えを低下させるという問題もあった。
また、特許文献1に示されるように、ブリスターカバーを熱溶融させ台紙に溶着することで、商品の脱落防止を図ることも提案されている。しかし、熱溶着のための特別な装置および作業を必要とするため、コスト高になるという問題があった。
【0004】
一方、特許文献2〜特許文献5に示されるように、ブリスターカバーに突起部を設け、台紙に孔部を設けて、前記突起部と孔部を係合し商品の脱落を防止する構造も提案されている。しかしながら、前記突起部は前記凹部以外の部分に設けられるため、前記突起部と係合する孔部が正面に露出し外観品質を低下させるという問題があった。
すなわち、前記突起部と孔部の場所・数・大きさを自由に選択することが従来できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−62739号公報
【特許文献2】実開昭48−32493号公報
【特許文献3】実開昭55−1651号公報
【特許文献4】実開昭54−7982号公報
【特許文献5】実開昭57−17967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決して、ブリスターカバーと台紙との係合を簡単に行うことができ、また前記突起部と孔部の場所・数・大きさを自由に選択でき、特に、凹部の背面側の位置に係合部を設けることで、正面にこれらが露出することのない優れたデザイン性を発揮したスライド式のブリスターパックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明のスライド式のブリスターパックは、被収容物を収容する凹部が形成されたブリスターカバーと、前記凹部を背面から塞ぐ台紙とからなり、前記ブリスターカバーの左右両端縁の背面側には台紙の左右両端をスライド可能に案内するように折り返されているスライド用フラップが形成されているスライド式のブリスターパックであって、前記ブリスターカバーの下端縁に折り返し自在なフラップ片を設け、このフラップ片を折り返したときに前記ブリスターカバーの凹部背面側に位置し、かつ台紙より外側へ突出しており、台紙の挿入時において台紙を外側へ押し上げる機能を有する膨出部を設けるとともに、台紙にはこの膨出部と係合する係合孔部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、膨出部の台紙案内側の膨出面を傾斜面としたものが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、スライド式のブリスターパックにおいて、ブリスターカバーの下端縁に折り返し自在なフラップ片を設け、このフラップ片を折り返したときに前記ブリスターカバーの背面側に位置し、かつ台紙より外側へ突出する膨出部を設けるとともに、台紙にはこの膨出部と係合する係合孔部を設けたので、膨出部を孔部に嵌合させるだけでブリスターカバーと台紙の係合を簡単に行うことができ、また収容した商品の脱落も確実に防止することができる。
また前記突起部と孔部の場所・数・大きさを自由に選択でき、特に、凹部の背面側の位置に係合部を設けることで、正面にこれらが露出することのない優れたデザイン性を発揮することができる。
【0010】
また、請求項2に係る発明では、膨出部の台紙案内側の膨出面を傾斜面としたので、台紙は容易に傾斜面を乗り越えて、スムーズにスライド移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
図2】本発明の要部を示す拡大断面図である。
図3】本発明のブリスターパックの包装工程を示す説明図である。
図4】本発明のブリスターパックの包装工程を示す説明図である。
図5】本発明のブリスターパックの包装工程を示す説明図である。
図6】本発明のブリスターパックの包装工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、本発明のスライド式のブリスターパックの一例を示す斜視図であり、図において1は紙や樹脂からなる比較的硬い材質からなる板状の台紙、2は被収容物を収容する凹部3が形成されたブリスターカバーである。なお、図示のものでは、被収容物が筆記具20である場合を示すが、これに限定されないことは勿論である。
このブリスターカバー2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ塩化ビニル(PVC)やポリスチレン(PS)等からなる透明な板材をバキューム成形法やプレス成形法等により成型して、被収容物に応じた任意の形状の凹部3を形成したものとなっている。
【0013】
本発明のスライド式のブリスターパックは、ブリスターカバー2の背面をスライド移動する台紙1により塞がれる構造であり、ブリスターカバー2の左右両端縁の背面側には台紙1の左右両端をスライド可能に案内するように折り返されているスライド用フラップ4、4が形成されている。また、ブリスターカバー2の上端縁には台紙1のスライドを所定位置に停止するように折り返されている停止用フラップ5が形成されている。
このスライド用フラップ4、4と停止用フラップ5により、台紙1をブリスターカバー2の背面側でスライド移動させ、所定位置に簡単にセットすることが可能となる。
なお、6aはブリスターカバー2の上部に形成された吊り下げ孔である。また、台紙1のこの吊り下げ孔6aに対応する位置にも同様の吊り下げ孔6bが形成されている(図5を参照)。
【0014】
前記ブリスターカバー2の下端縁には、折り返し自在なフラップ片7が設けられており、このフラップ片7には四角柱状の膨出部8が設けられている。この膨出部8は、フラップ片7を台紙1の下端縁に一致する線を折り返し線として背面側へ180度折り返したときに、ブリスターカバー2の凹部3背面側に位置し、かつ台紙1より外側(即ち、裏面側)へ突出するように構成されている。一方、台紙1にはこの膨出部8と係合する四角形状の係合孔部9が設けられている。
従って、台紙1がブリスターカバー2の背面側でスライド移動されて所定位置までくると、前記膨出部8が自動的に係合孔部9に係合し、台紙1がブリスターカバー2から抜け落ちない状態となる。
なお、膨出部8と係合孔部9とで構成される係合部は、単数でも複数でもよく、その大きさや設ける場所に制限はなく、前記膨出部と前記係合孔部の場所・数・大きさは自由に選択することができる。
また、膨出部8および係合孔部9の形状については四角柱状に限らず、円柱形状や円弧形状等、任意の形状とすることができる。
【0015】
図2に示すように、図示のものでは、前記膨出部8の台紙案内側の膨出面を傾斜面8aとしてある。このため、台紙1をスライド用フラップ4、4に案内させて移動する際に、先端が前記傾斜面8aに沿ってスムーズに移動することができ、スライド移動が簡単に行われることとなる。
なお、膨出部8の形状については四角柱状に限らず、円柱形状や円弧形状等、任意の形状とすることができるが、台紙1の挿入が容易で、かつ抜け落ちを確実に防止するためには、台紙案内側の膨出面を傾斜面8aとしたものが好ましい。
ただしこの場合、ブリスターカバーの上端縁には台紙のスライドを所定位置に停止するように折り返されている停止用フラップや、他の膨出部・係合孔部を形成することが好ましい。
【0016】
次に、本発明のスライド式のブリスターパックの組立手順について、図3図6により説明する。
図3は、ブリスターカバー2を背面側から見た斜視図である。この状態で、凹部3内に被収容物である筆記具20を収容するが、図においては筆記具20を省略してある。図3では、ブリスターカバー2の下端縁に設けられた折り返し自在なフラップ片7は、まだ折り返されずに真っ直ぐな状態である。また、このフラップ片7には、四角柱状の膨出部8が設けられているが、この膨出部8は表側に向けて突出した状態となっている。
【0017】
図4は、ブリスターカバー2のフラップ片7を折り返し線を基準にして背面側へ180度折り返した状態を示している。
前記折り返し線としては、ブリスターカバー2と台紙1をセット完了した場合に、台紙1の下端縁に一致する線を折り返し線としている。この状態では、前記膨出部8はブリスターカバー2の凹部3背面側に位置し、かつ台紙1より外側(裏面側)へ突出した状態とっている。
【0018】
図5は、ブリスターカバー2に台紙1をセットする状態を示している。
前記ブリスターカバー2の左右両端縁の背面側には、台紙1の左右両端をスライド可能に案内するように折り返されているスライド用フラップ4、4が形成されているので、台紙1はこのスライド用フラップ4、4に案内されて確実にスライド移動される。また、ブリスターカバー2の上端縁には台紙1のスライドを所定位置に停止するように折り返されている停止用フラップ5が形成されているので、台紙1は確実に所定位置にセットされることとなる。
また、折り返されたフラップ片7には、四角柱状の膨出部8が突出した状態となっているが、この膨出部8の台紙案内側の膨出面を傾斜面8aとしてあるため、台紙1をスライド用フラップ4、4に案内させて移動する際に、先端が前記傾斜面8aに沿ってスムーズに移動することができ、スライド移動が簡単に行われることとなる。
【0019】
図6は、ブリスターカバー2に台紙1をセット終了した状態を示している。
台紙1は、スライド用フラップ4、4及び停止用フラップ5によって左右と上部の三方を固定された状態となっている。更に、フラップ片7の膨出部8と台紙1の係合孔部9とが係合することにより、台紙1がブリスターカバー2から抜け落ちない状態を確保して、包装用容器としての機能を発揮している。
【0020】
従来は、ブリスターカバー背面を台紙で塞いだ後、表面側からステープルを打ち込んでブリスターカバーと台紙を結合したり、テープやシールを貼って固定することで商品の脱落を防止していたので、ステープルを打ち込む作業が必要となりコスト高になるという問題や、ステープルが表面に出て見栄えが低下するという問題があった。
これに対し本発明では、フラップ片7の膨出部8と台紙1の係合孔部9との係合のみで、台紙1の抜け落ち防止を確保することができ、また前記突起部と孔部の場所・数・大きさを自由に選択でき、特に、凹部の背面側の位置に係合部を設けることで、膨出部8の係合部が正面から隠された状態となって優れたデザイン性を発揮することができる。
【0021】
以上の説明からも明らかなように、本発明はスライド式のブリスターパックであって、前記ブリスターカバーの下端縁に折り返し自在なフラップ片を設け、このフラップ片を折り返したときに凹部背面側に位置し、かつ台紙より外側へ突出する膨出部を設けるとともに、台紙にはこの膨出部と係合する係合孔部を設けた構造としたので、ブリスターカバーと台紙との係合を簡単に行うことができる。また前記突起部と孔部の場所・数・大きさを自由に選択でき、特に、凹部の背面側の位置に係合部を設けることで、正面にこれらが露出することのない優れたデザイン性を発揮することができる等の種々の効果も有する。
【符号の説明】
【0022】
1 台紙
2 ブリスターカバー
3 凹部
4 スライド用フラップ
5 停止用フラップ
6a 吊り下げ孔
6b 吊り下げ孔
7 フラップ片
8 膨出部
8a 傾斜面
9 係合孔部
20 筆記具
図1
図2
図3
図4
図5
図6