特許第6201415号(P6201415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201415
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】車室内監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20170914BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20170914BHJP
   G08G 1/16 20060101ALN20170914BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
   H04N7/18 D
   !G08G1/16 C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-104874(P2013-104874)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-223887(P2014-223887A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】辻 正文
(72)【発明者】
【氏名】久家 伸友
(72)【発明者】
【氏名】近藤 崇之
(72)【発明者】
【氏名】中野 智晴
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−025911(JP,A)
【文献】 特開2008−241309(JP,A)
【文献】 特開2011−116219(JP,A)
【文献】 特開2009−248918(JP,A)
【文献】 特開2011−207268(JP,A)
【文献】 特開2007−128427(JP,A)
【文献】 特開2004−326355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02−11/04
H04N 7/18
G08G 1/16
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後席を撮像するカメラから前記後席の乗員の映像を取得する後席映像取得手段と、
前記車両の前席の乗員に、前記取得された前記後席の映像と前記後席の映像以外の情報とを切り替えて提示する提示手段と、
前記車両から取得した走行情報に基づいて、当該車両の現在の走行状態が、走行環境の変化が少ない走行状態であるとして予め定義された定常走行状態であるか否かを判定する走行状態判定手段と、
前記走行状態判定手段の判定結果に応じて前記提示手段に提示する情報を切り替えさせる提示制御手段と、
前記車両のステアリング操作、アクセル操作、又はブレーキ操作の少なくとも一つの運転操作を支援する運転支援装置の動作情報を取得する運転支援動作情報取得手段と、を備え、
前記提示制御手段は、前記走行状態判定手段により前記車両の現在の走行状態が前記定常走行状態であると判定された場合には、前記後席の映像を前記提示手段に表示させ、前記走行状態判定手段により前記車両の現在の走行状態が前記定常走行状態ではなく、非定常走行状態であると判定された場合には、前記後席の映像を前記提示手段に表示することを禁止し、
前記走行状態判定手段は、前記運転支援装置が動作中である旨の情報を前記運転支援動作情報取得手段から取得した場合には、前記車両の走行状態が前記定常走行状態であるか否かを判断するために用いられる判断基準について、現在の走行状態が前記定常走行状態であると判断されやすくなるように、前記判断基準の上限閾値は高く変更し、下限閾値は低く変更することを特徴とする車室内監視装置。
【請求項2】
前記走行状態判定手段は、前記車両の走行情報に基づいて、前記車両が直進走行をしていること、前記車両が定速走行をしていること、前記車両が低速走行をしていること、又は前記車両と他車両との距離が所定値以上であることのいずれか一つ以上を満たす場合には、前記定常走行状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車室内監視装置。
【請求項3】
前記走行状態判定手段は、前記車両の走行情報に基づいて、前記車両が非直進走行をしていること、前記車両が非定速走行をしていること、前記車両が非低速走行をしていること、又は前記車両と他車両との距離が所定値未満であることのいずれか一つ以上を満たす場合には、前記非定常走行状態であると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車室内監視装置。
【請求項4】
前記車両の走行情報に基づいて、前記車両が直進走行をしていること、前記車両が定速走行をしていること、前記車両が低速走行をしていること、又は前記車両と他車両との距離が所定値以上であることのいずれか一つ以上を満たす場合であっても、
前記車両の走行情報に基づいて、前記車両が非直進走行をしていること、前記車両が非定速走行をしていること、前記車両が非低速走行をしていること、及び前記車両と他車両との距離が所定値未満であることのいずれか一つ以上を満たす場合には、前記定常走行状態では無いと判定することを特徴とする請求項2の車室内監視装置。
【請求項5】
前記車両の後席の乗員の変化を検出する変化検出手段をさらに備え、
前記提示制御手段は、前記変化検出手段により前記車両の後席の乗員の変化が検出された場合に、前記後席映像取得手段により取得された前記後席の映像を前記提示手段に表示させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の車室内監視装置。
【請求項6】
前記変化検出手段は、前記後席映像取得手段により取得された前記映像の画像情報から抽出された前記後席の乗員の動きの量に基づいて、前記車両の後席の乗員の変化を検出することを特徴とする請求項5に記載の車室内監視装置。
【請求項7】
前記車両の後席で生じた音声を取得する後席集音手段をさらに備え、
前記変化検出手段は、前記後席集音手段により取得された前記音声の情報から抽出された前記後席の乗員の発生音の音量に基づいて、前記車両の後席の乗員の変化を検出することを特徴とする請求項5又は6に記載の車室内監視装置。
【請求項8】
前記提示制御手段は、
前記後席の乗員の映像を表示する際に、前記後席を含む広い範囲の映像である広域後席映像と、当該広域後席映像に含まれる範囲よりも狭い前記後席の一部の範囲の映像である狭域後席映像と、を切り替えて表示する機能を備え、
前記変化検出手段により前記車両の後席の乗員の変化が検出された場合には、変化が検出された前記後席の前記狭域後席映像を表示することを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の車室内監視装置。
【請求項9】
前記提示制御手段は、前記運転支援動作情報取得手段が、前記運転支援装置が動作中であり、かつ運転に注意を要する旨の情報を取得した場合には、前記後席の映像を前記提示手段に表示することを禁止することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の車室内監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の後部座席の監視映像を運転者が視認可能なディスプレイに表示する車室内監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置に関し、後部座席から子供の泣き声などが検出された場合に、後席用カメラで撮像した後席の乗員(子供)の映像を前席用ディスプレイに表示することにより、前席の保護者が後席の乗員(子供)の様子を運転中においても監視できる車載用映像表示装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−025911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、車両の走行状況を考慮することなく、後席の映像が提示されてしまうので、運転者が車両操作に集中すべき場面においても一律に運転者の注意を後席の映像に引き付けてしまうという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、運転者が車両操作に集中すべき場面では運転者の注意を引き付けないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の走行情報に基づいて現在の走行状態が走行環境の変化が少ない定常走行状態であるか否かを判定し、車両の走行状態が定常走行時である場面に限って後席の映像を表示し、車両の走行状態が非定常走行時である場面では後席の映像の表示を禁止し、運転支援装置が動作中である旨の情報を取得した場合には、車両の走行状態が定常走行状態であるか否かを判断するために用いられる判断基準について、現在の走行状態が定常走行状態であると判断されやすくなるように、判断基準の上限閾値は高く変更し、下限閾値は低く変更することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現在の走行状況が運転者が車両操作に集中すべき走行状況であると判断された場面では後席の映像の提示を禁止し、それ以外の場面に限って後席の映像を提示するので、車両操作に集中すべき走行状況である場面において、運転者は車両操作に集中することができるとともに、必要に応じて後席の状況を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る車室モニタリングシステム1のブロック構成図である。
図2A】本実施形態のカメラの設置例を示す図である。
図2B】本実施形態のマイクの設置例を示す図である。
図3】後席の映像の一例を示す図である。
図4図4(A)はディスプレイの一例を示す図、図4(B)は広域後席映像の一例を示す図、図4(C)は狭域後席映像の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る車室モニタリングシステムの制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る車室内監視装置を、車室モニタリングシステムに適用した場合を例にして説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車室内監視装置100を備える車室モニタリングシステム1のブロック構成を示す図である。車室内監視装置100及びこれを含む車室モニタリングシステム1は、車両に搭載されている。車室内監視装置100は、自車両の車室内の様子を監視し、ドライバに必要な情報を提供する。
【0011】
図1に示すように、車室モニタリングシステム1は、車室内監視装置100と、車載装置200とを有する。車載装置200は、車両コントローラ50と、各種センサ60と、運転支援装置70と、ナビゲーション装置80と、他車両検出装置90とを備える。車室内監視装置100と各車載装置200とは、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0012】
本実施形態の各種センサ60は、車両のステアリング操作に応じて操舵角を検出する舵角センサ61と、車両の速度を検出する車速センサ62と、車両進行方向に対して前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ63と、車両進行方向に対して横方向の加速度を検出する横加速度センサ64と、車両の姿勢を検出する車両姿勢センサ65と、車両のキーロックを検出するキーセンサ66と、車両のシフト状態を検出するシフトセンサ67とを有する。これらの各種センサ群60は、検出した情報を車両コントローラ50を介して又は直接に車室内監視装置100へ出力する。
【0013】
本実施形態の運転支援装置70は、例えばドライバのアクセル操作やブレーキ操作またはステアリング操作などを支援する装置である。特に限定されないが、本実施形態の運転支援装置70は、車間距離維持走行、定速走行、車両の接近防止、その他の運転操作を支援する。運転支援装置70は、運転支援動作が実行中であるか否かの情報を車室内監視装置100へ出力する。
【0014】
また、同図に示すように、本実施形態の車室内監視装置100は、制御装置10と、検出装置20と、ディスプレイ30とを備える。
【0015】
検出装置20は、車両の後席を撮像するカメラ21と、車両の後席で生じる音声を取得するマイク22とを備える。
【0016】
本実施形態のカメラ21は、CCD等の撮像素子を用いたカメラである。
図2Aは、カメラ21の設置例を示す図である。図2A(A)は車両Vを上方から見た場合のカメラ21の設置位置を示し、図2A(B)は車両Vを側方から見た場合のカメラ21の設置位置を示す。カメラ21の数や配置場所は特に限定されず、本実施形態では、図2Aに示すように、車両Vの車室内天井付近に広角のカメラ21を一つ設置する。
【0017】
図3は、カメラ21により撮像された後席映像の一例を示す。図3に示すように、カメラ21は前席の運転席STFRと助手席STFL、及び後席の右側座席STRRと左側座席STRLの像を撮像する。この映像には、後席の左側座席STRLに着座する乗員(子供)PS1の像が含まれる。また、同図に示すように、後席の右座席を撮像するカメラ21RRと、後席の左座席を撮像するカメラ21RLを含む複数のカメラを設置してもよい。
【0018】
図2Bは、マイク22の設置例を示す図である。図2B(A)は車両Vを上方から見た場合のマイク22の設置位置を示し、図2B(B)は車両Vを側方から見た場合のマイク22の設置位置を示す。マイク22の数や配置場所は特に限定されないが、本実施形態では、図2Bに示すように、車両Vの車室内の後席前方の天井付近に、右座席から発せられる音声を主に取得するマイク22RRと、後席の左座席近傍に設けられ、左座席から発せられる音声を主に取得するマイク22RLとを設ける。
【0019】
本実施形態のディスプレイ30は、車両のドライバが視認可能なダッシュボード周囲に設置される。本実施形態のディスプレイ30は、車室内監視装置100の判断に応じて、ディスプレイ30に提示する情報を切り替える。もちろん、ディスプレイ30は表示切替スイッチ31への入力に応じて、ディスプレイ30に提示する情報を切り替えることもできる。表示切替スイッチ31は、ディスプレイ30の表示制御に関するユーザの指令の入力を受け付ける。
【0020】
本実施形態のディスプレイ30は、車室内監視装置100の制御指令に応じて、後席の映像と、それ以外の情報とを切り替えて表示する。後席の映像以外の情報は、車両の運転に関する情報、テレビ放送などのエンターテイメント情報を含む。特に、本実施形態のディスプレイ30は、後席の映像と、車両の運転に関する情報との表示の切り替えを制御する。本実施形態の「車両の運転に関する情報」は、ナビゲーション装置80が提供する案内情報、運転支援装置70が提供する運転支援情報、他車両検出装置90が提供する情報を含む。本実施形態では、ナビゲーション装置80用のディスプレイを、車室内監視装置100用のディスプレイ30として用いるため、図4(A)に示すように、通常はナビゲーション装置80の経路案内用の地図情報が提示される。
【0021】
また、本実施形態のディスプレイ30は、車室内監視装置100の制御指令に応じて、後席の映像を表示する際に、後席を含む広い範囲の映像である広域後席映像と、この広域後席映像に含まれる範囲よりも狭い後席の一部の範囲の映像である狭域後席映像と、を切り替えて表示する。図4(B)に広域後席映像の一例を示し、図4(C)に狭域後席映像の一例を示す。
【0022】
続いて、本実施形態の制御装置10について説明する。本実施形態の車室内監視装置100の制御装置10は、車両が定常走行状態であるか否かを判断し、その判断結果に応じてディスプレイ30の提示処理を制御するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、車室内監視装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えるコンピュータである。
【0023】
本実施形態に係る車室内監視装置100の制御装置10は、後席映像取得機能と、提示機能と、走行状態判定機能と、提示制御機能とを少なくとも有する。さらに、本実施形態の制御装置10は、実施態様に応じて、後席集音機能と、変化検出機能と、運転支援動作情報取得機能と、をさらに有する。本実施形態の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0024】
以下、本実施形態に係る車室内監視装置100の各機能について説明する。
【0025】
まず、本実施形態の制御装置10の後席映像取得機能について説明する。制御装置10は、カメラ21(21RR,21RL)が撮像した自車両の車室内の撮像画像を取得する。取得した撮像画像は、後席の乗員の変化の有無を判断するために利用されるとともに、後席の映像としてディスプレイ30に提示される画像として利用される。
【0026】
本実施形態の制御装置10の後席集音機能について説明する。制御装置10は、マイク22(22RR,22RL)が集音した車両の後席で生じた音声を取得する。取得した音声は、後席の乗員の変化の有無を判断するために利用される。
【0027】
本実施形態の制御装置10の変化検出機能について説明する。制御装置10は、車両の後席の乗員の変化を検出する。制御装置10は、取得した映像の画像情報又は取得した音声の音声情報に基づいて、後席の乗員の変化を検出することができる。制御装置10は、後席の乗員の変化に基づいて、所定値以上の大きな変化が検出された場合には後席に異常が発生したと判断する。後席の乗員の変化は、カメラ21によって撮像された映像、及び/又はマイク22によって集音された音声情報によって検出する。
【0028】
本実施形態の変化検出機能による後席の乗員の変化の判断手法について説明する。
第1に、本実施形態の制御装置10は、先述した後席映像取得機能により取得された後席の映像の画像情報から抽出された後席の乗員の動きの量に基づいて、車両の後席の乗員の変化を検出する。本実施形態の制御装置10は、車室内カメラ21の撮像画像に基づいて、後席の映像の時間的な変化(例えば画像処理による逐次差分処理)から後席各座席での動きを抽出する。具体的に、制御装置10は、後席の映像の画像情報から乗員の像の一部となる特徴点を抽出し、その特徴点を経時的に追跡して、所定時間内の変化量(画像内における移動距離、積算移動距離など)を算出する。その時間あたりの変化量が所定量以上である場合には、車両の後席の乗員に変化があると判断する。たとえば、子供の動きが少ないときには、子供は寝ていたり、起きていても機嫌がよかったりするので、ドライバは注意深く子供を監視する必要が無い。他方、子供の動き(変化量や積算量)が大きいときには、子供が痛みや不快を感じていたりするので、ドライバは注意深く子供を監視する必要がある。子供が手足を動かしたり、何かに手を伸ばしたりするときには、手足の画像から抽出された特徴点の移動が観察されるので、特徴点の移動量(移動速度や移動積算量)に応じて子供(後席の乗員)の動き抽出し、その変化を検出することができる。
【0029】
また、本実施形態の変化検出機能は、変化を検出する際に追跡する特徴点の画像上の位置(座標)に基づいて、変化のあった乗員の所在する位置(着座するシート位置)を特定することができる。変化のあった乗員の所在する位置情報は、後に説明する広域後席映像と狭域後席映像との切り替え制御に用いられる。
【0030】
第2に、本実施形態の制御装置10は、先述した後席音声取得機能により取得された後席の音声の音声情報から抽出された後席の乗員の発生音の音量に基づいて、車両の後席の乗員の変化を検出する。具体的に、制御装置10は、左右後席のそれぞれに設置されたマイク22RR,22RLが集音する音声情報の特徴を抽出し、その特徴を経時的に追跡して、所定時間内の変化量(音量、周波数など)を算出する。その時間あたりの変化量が所定量以上である場合には、車両の後席の乗員に変化があると判断する。たとえば、子供が静かなときには、子供は寝ていたり、起きていても機嫌がよかったりするので、ドライバは注意深く子供を監視する必要が無い。他方、子供が泣いたり、大きな声を出したときには、子供が痛みや不快を感じていたりするので、ドライバは注意深く子供を監視する必要がある。子供が泣いたり、通常とは異なる声を発したりするときには、音声情報から抽出された音量や周波数の変化が観察されるので、それらに応じて子供(後席の乗員)の状態の変化を検出することができる。後に説明するが、本実施形態の車室内監視装置100は、後席の乗員の変化(動き・音声)が所定量以上の場合には、ディスプレイ30に後席の映像を表示する。
【0031】
また、本実施形態の変化検出機能は、変化を検出したマイク22位置に基づいて、動きのある乗員の所在する位置(着座するシート位置)を特定することができる。例えば、後右席近くに設置されたマイク22RRが所定値以上の音量の音声を検出した場合には変化が生じた乗員は、後右席に所在すると判断することができる。マイク22が複数設置され、複数のマイク22が所定値以上の音量の音声を検出した場合には、最も大きい音量の音声を検出したマイク22の位置に基づいて、乗員の位置を判断することができる。変化のあった乗員の所在する位置情報は、後に説明する広域後席映像と狭域後席映像との切り替え制御に用いられる。
【0032】
後席の乗員の変化の判定手法は、上述した、カメラ21によって撮像された映像に基づく手法と、マイク22によって集音された音声情報に基づく手法のいずれを用いてもよいし、両手法を組み合わせてもよい。
【0033】
本実施形態の制御装置10は、運転支援動作情報取得をさらに備える。制御装置10は、車両のステアリング操作、アクセル操作、又はブレーキ操作の少なくとも一つの運転操作を支援する運転支援の動作情報を運転支援装置70から取得する。この運転支援の動作情報は、次に説明する走行状態判定の基準の更新処理において用いられる。
【0034】
次に、走行状態判定機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、車両から取得した走行情報に基づいて、その車両の現在の走行状態が、走行環境の変化が少ない走行状態であるとして予め定義された定常走行状態であるか否かを判定する。具体的に、制御装置10は、車載装置200の車両コントローラ50を介して取得した各種センサ60の出力値に基づく走行情報に基づいて、走行環境の変化が少なく、車両姿勢の状態変化が少ない状態を定常走行状態であると判定する。
【0035】
本実施形態の制御装置10は、車両の走行情報に基づいて、(1)車両が直進走行をしていること、(2)車両が定速走行をしていること、(3)車両が低速走行をしていること、及び(4)車両と他車両との距離が所定値以上であることの条件のうち、いずれか一つ以上を満たす場合には、車両の走行状態が定常走行状態であると判定する。言い換えると、逆に、上記(1)〜(4)の条件のいずれも満たさない場合には、車両の走行状態が非定常走行状態であると判定する。
【0036】
具体的に、(1)車両が直進走行をしているか否かは、舵角センサ61から取得した操舵角が所定値未満であること、又は横加速度センサ64から取得した横加速度が所定値未満であることに基づいて判断する。(2)車両が定速走行をしているか否かは、車速センサ62から取得した車速の経時的な変化量が所定値未満であること、前後加速度センサ63から取得した前後加速度が所定値未満であることに基づいて判断する。(3)車両が低速走行をしているか否かは、車速センサ62から取得した車速が所定値未満であることに基づいて判断する。(4)車両と他車両との距離が所定値未満であるか否かは、他車両検出装置90から出力された他車両の存在及び他車両までの距離が所定値未満であることに基づいて判断する。
【0037】
異なる観点において、本実施形態の制御装置10は、車両の走行情報に基づいて、(5)車両が非直進走行(カーブ走行)をしていること、(6)車両が非定速走行(加減速走行)をしていること、(7)車両が非低速走行(高速走行)をしていること、及び(8)車両と他車両との距離が所定値未満であることの条件のうち、いずれか一つ以上を満たす場合には、車両の走行状態が非定常走行状態である(定常走行状態ではない)と判定する。逆に、上記(5)〜(8)の条件の何れも満たさない場合には、車両の走行状態が定常走行状態であると判定する。
【0038】
具体的に、(5)車両が非直進走行(カーブ走行)をしているか否かは、舵角センサ61から取得した操舵角が所定値以上であること、又は横加速度センサ64から取得した横加速度が所定値以上であることに基づいて判断する。(6)車両が非定速走行(加減速走行)をしているか否かは、車速センサ62から取得した車速の経時的な変化量が所定値以上であること、前後加速度センサ63から取得した前後加速度が所定値以上であることに基づいて判断する。(7)車両が非低速走行(高速走行)をしているか否かは、車速センサ62から取得した車速が所定値以上であることに基づいて判断する。(8)車両と他車両との距離が所定値未満であるか否かは、他車両検出装置90から出力された他車両の存在及び他車両までの距離が所定値未満であることに基づいて判断する。
【0039】
本実施形態では、上記(1)〜(4)の条件を用いて、走行状態が定常走行状態であるか、又は非提供走行状態であるかを判断する第1の判断手法を用いてもよいし、上記(5)〜(8)の条件を用いて、走行状態が非定常走行状態であるか又は走行状態が定常走行状態であるかを判断する第2の判断手法を用いてもよい。つまり、いずれの手法を用いてもよい。
【0040】
さらに、上記(1)〜(4)の条件を用いる第1の判断手法と、上記(5)〜(8)の条件を用いる第2の判断手法とを併用する場合には、上記(1)〜(4)の条件のいずれか一つ以上を満たす場合であっても、上記(5)〜(8)の条件のいずれか一つ以上を満たす場合には、現在の走行状態が非定常走行状態である(定常走行状態ではない)と判断する。例えば、車両が低速走行中である一方で、非直進走行中(カーブ走行中)であるという場面もありうる。車両が低速走行中であれば、上記条件(3)を満たし、第1の判断手法によれば定常走行状態であると判断され、車両が非直進走行中(カーブ走行中)であれば、上記条件(5)を満たし、第2の判断手法によれば非定常走行状態であると判断される。このように、第1の判断手法と第2の判断手法で背反する結論が導かれる場合には、非定常走行状態を判断する第2の判断手法を優先する。これにより、第1の判断手法と第2の判断手法とを併用する場合に背反する結論が出たとしても、調整することができる。
【0041】
走行状態が「定常走行状態である」か、「非定常走行状態である(定常走行状態ではない)」かを判定する際の、「判定項目(条件)」と「入力情報」と、「判定結果」とを関係づけた対応情報の一例を下表に示す。「定常走行状態である」か、「非定常走行状態である(定常走行状態ではない)」かの判断結果は、次に説明する提示制御機能へ送出される。
【0042】
【表1】
【0043】
本実施形態の制御装置10は、運転支援動作情報取得機能が、運転支援装置70が動作中である旨の情報を取得した場合には、車両の走行状態が定常走行状態であるか否かの判断基準を緩和する。つまり、走行情報に基づいて、現在の走行状態が定常走行状態であると判断する際に用いられる上限閾値は高く変更し、下限閾値は低く変更する。これにより、運転支援装置70が動作中である場合には、現在の走行状態が定常走行状態であると判断されやすくなる。本実施形態の車室内監視装置100においては、運転支援装置70が通常モード(注意を喚起するモードではない)で動作中である場合には、ドライバに係る運転負荷は軽減されているという考えに基づいて、運転支援処理が動作中においては後席へ注意に対して出来る限り映像を提示するようにする。本実施形態の車室内監視装置100によれば、後席が気になるドライバに対して出来る限り後席の映像を提示することができる。
【0044】
最後に、提示制御機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、走行状態判定機能の判定結果に応じてディスプレイ30に提示する情報を切り替える。
車両が定常走行中である場面においては、本実施形態の制御装置10は、変化検出機能により車両の後席の乗員の変化が検出された場合に、後席映像取得機能により取得された後席の映像をディスプレイ30に表示させる。もちろん、制御装置10は、表示切替スイッチ31に表示の切り替え指令が入力された場合には後席の映像をディスプレイ30に表示することもできる。
他方、車両が非提供走行中である場面においては、本実施形態の制御装置10は、後席の映像をディスプレイ30に表示させない。
【0045】
具体的に、本実施形態の制御装置10は、走行状態判定機能により車両の現在の走行状態が「定常走行状態である」と判定された場合には、後席の乗員の映像をディスプレイ30に表示させ、他方、車両の現在の走行状態が「定常走行状態では無い」と判定された場合には、後席の映像をディスプレイ30に表示することを禁止する。つまり、本実施形態の制御装置10は、走行状態判定機能により車両の現在の走行状態が「定常走行状態である」と判定された場合に限って、後席の映像をディスプレイ30に表示する。
【0046】
また、本実施形態の制御装置10は、先述した運転支援動作情報取得機能が運転支援装置70が動作中であり、その動作において、運転に注意を要する旨の情報を取得した場合には、後席の映像をディスプレイ30に提示することを禁止する。「運転に注意を要する旨の情報」は、運転支援装置70の運転支援処理内容に応じて適宜に定義しておくことができる。例えば、定速走行支援を実行している際に、所定車速以上の車速が検出された場合や、定速/所定車間距離の走行支援を実行している際に、自車両前後に車線変更してきた他車両が検出された場合などである。
【0047】
さらに、本実施形態の制御装置10は、後席の乗員の映像を表示する際に、後席を含む広い範囲の映像である「広域後席映像」と、この広域後席映像に含まれる範囲よりも狭い後席の一部の範囲の映像である「狭域後席映像」とを切り替えて、ディスプレイ30に表示させる機能を備える。「狭域後席映像」の表示モードは、狭い範囲を大きく拡大した映像を表示する拡大表示モード(ズームアップモード)である。先述した図4(B)が広域後席映像の一例であり、図4(C)が狭域後席映像の一例である。制御装置10は、変化検出機能により車両の後席の乗員の変化が検出された場合においては、変化検出機能により検出された変化があった乗員が所在する(着座する)座席位置に基づいて、変化が検出された後席の「狭域後席映像」(図4(C)を参照)をディスプレイ30に表示させる。
【0048】
もちろん、本実施形態の制御装置10は、例えば、ディスプレイ30がタッチパネル式の入出力装置である場合には、そのディスプレイ30の表示切替機能を利用することもできる。すなわち、ユーザが拡大したい箇所(注意したい場所)をタッチした場合には、その部分を中心に拡大された拡大表示モードに変更し、拡大表示モードで再びユーザが所定の操作(タッチ)をすることにより広域表示モードへ戻すことができる。
【0049】
続いて、本実施形態の車室内監視装置100の制御手順を、図5のフローチャートに基づいて説明する。図5に示す処理内容は、所定周期で連続的に行われる。
【0050】
図5に示すように、車両のエンジンスタート(IGN_ON)に起因して処理を開始する。まずステップS1において、制御装置10は、表示切替スイッチ31からの出力である、ドライバによる後席映像表示のリクエスト操作の有無を確認する。
【0051】
次に、ステップS2では、ステップS1で確認したリクエスト操作が有る場合にはステップS6へ進み、リクエスト操作がなければ次へ進む。そしてステップS3において、制御装置10は、車室内カメラ21からの画像情報又は車室内マイク22からの音声情報に基づいて乗員の変化を検出する。画像情報を用いる処理では、例えば画像処理による逐次差分処理により車室内後席の映像の経時的な変化から後席各座席での動きを抽出する。音声情報を用いる処理では、集音した音声の音量や周波数の経時的な変化から後席各座席での動きを抽出する。
【0052】
ステップS4では、ステップS3の抽出結果である後席各座席領域の変化量(画像の動き/音声の変化)に基づいて分岐処理を行う。各座席領域ごとにどれか一つの領域でも所定値以上の大きな変化が検出されている場合には後席に変化乃至以上があると判定してステップS5に進み、そうでなければステップS1へ戻り処理を繰り返す。
【0053】
次にステップS5において、ステップS4において後席に変化乃至異常があると判定されているので、変化乃至異常のある座席位置を保存して次に進む。そして、ステップS6において、走行情報として機能する車両信号である各種センサ60(61〜67)の各センサ出力値を取得する。
【0054】
ここで、ステップS6の後、ステップS7へ進んでもよいが、本実施形態ではステップS61,S62の処理を行う。ステップS61において、制御装置10は、運転支援装置70が動作中であるか否かの情報を取得する。ステップS62において、各運転支援機能が作動している場合には、「定常走行状態である」か否かの判定に用いる基準(閾値)を緩和するように変更する。つまり、「定常走行状態である」ことを判断するための上限閾値を高く変更し、下限閾値を低く変更する。基準の変更後に、ステップS7へ進む。これにより「定常走行状態である」と判断され易くする。ステップS61において各運転支援機能が作動していない場合には、ステップS7へ進む。
【0055】
ステップS7において、制御装置10は、ステップS6において取得した各種センサ群60の出力値に基づいて現在の走行状態を判定する。走行状態の判定手法は、先に表1とともに説明した手法を用いる。ステップS8において、制御装置10は、ステップS7の判定結果である走行状態に基づいて分岐処理を行う。ステップS7において、現在の走行状態が定常走行状態であると判定されている場合は、ステップS9へ進み、そうでなければステップS6へ戻り処理を繰り返す。すなわち、走行状態が非定常走行状態である限り、定常走行状態になるまで後席映像の表示処理は実施されないことになる。
【0056】
そして、ステップS9において、ステップS1で確認したリクエスト操作、又はステップS5で保存した変化乃至異常のある後席位置に基づいて、後席映像の表示モードを広域表示モードまたは拡大表示モード(ズーム)のどちらであるかを確認する。リクエスト操作で特定の座席が指定されていたり、異常のある後席が例えば右側座席であると特定されている場合には図4(C)のような拡大表示モードとし、そうでなければ図4(B)のような広域表示モードとする。
【0057】
ステップS10では、ステップS9で確認した表示モードに基づいて分岐処理を行う。ステップS10において、拡大表示モードと確認された場合には次に進み、そうでなければステップS13へ進む。ステップS11において、拡大表示を実施するための位置情報を取得する。次にステップS12において、ステップS11で取得した位置情報に基づいてディスプレイ30に拡大表示をさせる。他方、ステップS10において、拡大表示モードと確認されなかった場合にはステップS13において、ディスプレイ30に後席の映像を広域表示させる。
【0058】
ステップS14では、表示を開始してから所定時間(例えば10秒)が経過していたら次の処理に進み、そうでなければ本ステップを繰り返して表示を継続する。その間に、ステップS17の処理を実行する。
【0059】
ステップS17において、運転支援装置70の警報出力状態に基づいて分岐処理を行う。運転支援装置70から各運転支援機能に関する警報(例えば先行車への接近警報や車線内のふらつき警報など)が発生している場合には、後席映像の表示を停止するためにステップS15へ進み、そうでなければステップS14へ戻り表示を継続する。
【0060】
ステップS15において、ステップS14で表示を開始してから所定時間が経過していると判定された場合には、ディスプレイ30を用いた後席映像の表示を停止して次に進む。最後に、ステップS16において、エンジンオフ(IGN_OFF)がされた場合は、全ての処理を終了し、そうでなければステップS1へ戻り処理を繰り返す。
【0061】
図5に示す制御手順において、ステップS2の分岐処理において、ステップ1で確認したリクエスト操作が有る場合にはステップS6へ進み、車両の走行状態により後席映像の表示を制限するようにしているが、ドライバのリクエスト操作を優先する場合にはステップS9から処理を継続するようにしても良い。
【0062】
本実施形態においては、走行信号に基づいて現在の走行状態が走行環境の変化が少ない定常走行状態であるか否かを判定して、定常走行時に限って後席の映像を表示するので、コーナリング中や加減速中など運転に集中が必要となるシーンでは後席の映像は表示されず、運転者の注意を引き付けることなく後席の映像を提示することができる。
【0063】
本実施形態の車室内監視装置100によれば、以下の効果を奏する。
【0064】
[1]本実施形態の車室内監視装置100によれば、走行情報に基づいて現在の走行状態が走行環境の変化が少ない定常走行状態であるか否かを判定して、定常走行時に限って後席の映像を表示し、非定常走行時には後席の映像の表示を禁止するので、コーナリング中や加減速中などドライバが運転に集中する必要がある場面において、運転者は車両操作に集中することができるとともに、必要に応じて後席の状況を確認することができる。
【0065】
[2]本実施形態の車室内監視装置100によれば、車両の走行情報に基づいて、車両が直進走行をしていること、車両が定速走行をしていること、車両が低速走行をしていること、及び車両と他車両との距離が所定値未満であることのいずれか一つ以上を満たす場合には、車両の走行状態が定常走行状態であると判定するので、車両の現在の走行状態が定常走行状態であるか否かを定量的に判断することができる。
【0066】
[3]本実施形態の車室内監視装置100によれば、車両が非直進走行をしていること、車両が非定速走行をしていること、車両が非低速走行をしていること、又は車両と他車両との距離が所定値以上であることのいずれか一つ以上を満たす場合には、非定常走行状態であると判定するので、車両の現在の走行状態が非定常走行状態であるか否かを定量的に判断することができる。
【0067】
[4]本実施形態の車室内監視装置100によれば、車両が直進走行をしていること、車両が定速走行をしていること、車両が低速走行をしていること、及び車両と他車両との距離が所定値未満であることの条件により車両の走行状態が定常走行状態であると判断されても、車両が非直進走行をしていること、車両が非定速走行をしていること、車両が非低速走行をしていること、又は車両と他車両との距離が所定値以上であることのいずれか一つ以上を満たす場合には、非定常走行状態であると判定するので、判断条件によって背反する結論が出たとしても調整することができる。この場合いは非定常走行状態であると判定が優先されるので、ドライバが運転に集中する場面においては、たとえ定常走行状態の条件を満たしたとしても、後席の映像を提示することを抑制することができる。
【0068】
[5] 本実施形態の車室内監視装置100によれば、後席の乗員の変化が検出された場合に後席の映像を表示するので、後席の乗員の状態を適切なタイミングで確認することができる。
【0069】
[6] 本実施形態の車室内監視装置100によれば、後席の映像の画像情報から抽出された後席の乗員の動きの量に基づいて、車両の後席の乗員の変化を検出するので、後席で大きな動きを検知した場合に後席の映像を表示することができる。例えば、子供が大きく動いて何かしそうなときに、ドライバが特別な表示操作をすることなく後席の映像を見ることができる。
【0070】
[7] 本実施形態の車室内監視装置100によれば、取得された音声の情報から抽出された後席の乗員の発生音の音量に基づいて、車両の後席の乗員の変化を検出するので、後席で大きな音を検知した場合に後席の映像を表示することができる。例えば、子供が泣いたり、大きな音がしたときに、ドライバが特別な表示操作をすることなく後席の映像を見ることができる。
【0071】
[8]本実施形態の車室内監視装置100によれば、後席の乗員の変化が検出された場合には、変化が検出された後席の狭域後席映像(拡大映像)を表示するので、後席に変化や異常が検知された場合に、その変化や異常が検知された座席を拡大表示するようので、ドライバが特別な操作をすることなく確認したい場所を細かく観察できる映像を見ることができる。
【0072】
[9]本実施形態の車室内監視装置100によれば、運転支援装置70が動作中である旨の情報を取得した場合には、車両の走行状態が定常走行状態であるか否かの判断基準を緩和するので、運転支援装置70が作動し、運転負荷が軽減されている場面においては、通常の運転負荷を負う場面よりも、後席が気になるドライバの要求にできるだけ応えて後席の映像を提示することができる。
【0073】
[10]本実施形態の車室内監視装置100では、運転支援装置70が動作中であり、かつ運転に注意を要する旨の情報を取得した場合には、後席の映像をディスプレイ30に表示することを禁止するので、運転支援装置70が運転に注意を要する判断した場面においては、運転者の注意を引き付けないようにすることができる。
【0074】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0075】
すなわち、本明細書では、本発明に係る車室内監視装置100と車載装置200とを備える車室モニタリングシステム1を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
本明細書では、本発明に係る車室内監視装置の一態様として、制御装置10と、検出装置20と、ディスプレイ30とを備える車室内監視装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0077】
本明細書では、後席映像取得手段と、提示手段と、走行状態判定手段と、提示制御手段と、を備える本発明に係る車室内監視装置の一例として、後席映像取得機能と、走行状態判定機能と、提示制御機能とを実行する制御装置10と、ディスプレイ30とを有する車室内監視装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0078】
1…車室モニタリングシステム
100…車室内監視装置
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
20…検出装置
21,21RR,21RL…カメラ
22,22RR,22RL…マイク
30…ディスプレイ
200…車載装置
50…車両コントローラ
60…各種センサ
70…運転支援装置
80…ナビゲーション装置
90…他車両検出装置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5