(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201439
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
F02B 37/14 20060101AFI20170914BHJP
F02B 37/12 20060101ALI20170914BHJP
F02B 37/04 20060101ALI20170914BHJP
F02B 37/16 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
F02B37/14
F02B37/12 302D
F02B37/12 302E
F02B37/04 C
F02B37/16 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-120297(P2013-120297)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-238034(P2014-238034A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】露木 毅
(72)【発明者】
【氏名】原 瑞則
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−278442(JP,A)
【文献】
特開2001−152893(JP,A)
【文献】
特開2006−214325(JP,A)
【文献】
特開2007−211630(JP,A)
【文献】
特開2009−228624(JP,A)
【文献】
特開2004−301043(JP,A)
【文献】
特開2005−180213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00−39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標トルクに応じて動作する電動過給機を吸気通路に備えるとともに、この電動過給機をバイパスするバイパス通路を備え、かつこのバイパス通路に、上記電動過給機の非作動・作動に応じて該バイパス通路を開閉するバイパス弁を備えてなる内燃機関の制御装置であって、
上記内燃機関は、ターボ過給機をさらに備え、該ターボ過給機のコンプレッサと上記電動過給機とが直列に配置されており、
上記目標トルクが非過給領域でかつ機関回転速度が所定回転速度より低いときに、上記バイパス弁を中間開度に保持する一方、非過給領域でかつ機関回転速度が上記所定回転速度以上のときには、上記バイパス弁を全開とする、ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
目標トルクと機関回転速度とから上記電動過給機の作動領域が定められていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
上記ターボ過給機の過給のみで実現可能な運転領域が上記作動領域に含まれており、この領域では、所定時間経過後に、上記電動過給機を非作動とするとともに上記バイパス弁を全開とすることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
上記目標トルクを実現するのに必要な吸入空気量を算出する手段を有し、
上記中間開度は、上記吸入空気量に応じて可変的に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
目標トルクに応じて動作する電動過給機を吸気通路に備えるとともに、この電動過給機をバイパスするバイパス通路を備え、かつこのバイパス通路に、上記電動過給機の非作動・作動に応じて該バイパス通路を開閉するバイパス弁を備え、さらにターボ過給機を備え、該ターボ過給機のコンプレッサと上記電動過給機とが直列に配置されてなる内燃機関において、
上記目標トルクが非過給領域でかつ機関回転速度が所定回転速度より低いときに、上記バイパス弁を中間開度に保持する一方、非過給領域でかつ機関回転速度が上記所定回転速度以上のときには、上記バイパス弁を全開とする、ことを特徴とする内燃機関の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸気通路に電動過給機およびバイパス通路を備えてなる内燃機関の制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸気系に電動過給機を備えた内燃機関が知られている。特許文献1には、電動過給機の非作動時に該電動過給機が通気抵抗とならないようにするために、電動過給機と並列にバイパス通路を設けるとともに、このバイパス通路にバイパス弁を設けた構成が開示されている。このバイパス通路に設けたバイパス弁は、例えばソレノイドによって駆動され、電動過給機の非作動時にはバイパス通路を開き、電動過給機の作動時にはバイパス通路を閉じる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−226505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように電動過給機に並列に設けたバイパス通路をバイパス弁によって開閉する構成においては、運転条件の変化に伴い電動過給機が作動開始したときに、バイパス弁が速やかに全閉とならないと、電動過給機による過給圧の立ち上がりが悪化する。従って、バイパス弁に高い応答性が要求され、アクチュエータとして例えば大型のソレノイド等が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、目標トルクに応じて動作する電動過給機を吸気通路に備えるとともに、この電動過給機をバイパスするバイパス通路を備え、かつこのバイパス通路に、上記電動過給機の非作動・作動に応じて該バイパス通路を開閉するバイパス弁を備えてなる内燃機関の制御装置であって、
上記内燃機関は、ターボ過給機をさらに備え、該ターボ過給機のコンプレッサと上記電動過給機とが直列に配置されており、
上記目標トルクが非過給領域で
かつ機関回転速度が所定回転速度より低いときに、上記バイパス弁を中間開度に保持する
一方、非過給領域でかつ機関回転速度が上記所定回転速度以上のときには、上記バイパス弁を全開とする、ことを特徴としている。
【0006】
このように非過給領域において中間開度に保持しておくことにより、目標トルクが上昇して電動過給機が作動開始したときに、直ちにバイパス弁を全閉とすることができ、過給圧の立ち上がりが向上する。
また非過給領域であっても機関回転速度が所定回転速度以上のときには、上記バイパス弁を全開とすることで、電動過給機が通気抵抗とならず、電動過給機がターボ過給機の応答性を損なうことがない。
【0007】
好ましい一つの態様では、上記目標トルクを実現するのに必要な吸入空気量を算出する手段を有し、上記中間開度は、上記吸入空気量に応じて可変的に設定される。すなわち、目標トルクが非過給領域であるときに、吸入空気量を制限しない範囲内で最小の開度にバイパス弁の中間開度が設定され、ポンプ損失の増大を伴わずに、過給圧の立ち上がりの向上が最大限に図れる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、目標トルクの上昇に伴って電動過給機が作動開始する際に、バイパス通路が速やかに閉じ、過給圧の立ち上がりが向上する。また、バイパス弁を駆動するアクチュエータとして比較的小型のものを用いることが可能となり、駆動エネルギの低減等の上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の一実施例のシステム構成を示す構成説明図。
【
図2】一実施例の制御の流れを示すフローチャート。
【
図3】目標トルクと回転速度とをパラメータとした運転領域上での電動過給機の作動領域等を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、この発明の一実施例として、電動過給機2とターボ過給機3とを併用してなる内燃機関1を示している。この内燃機関1は、例えば4ストロークサイクルの火花点火式ガソリン機関であって、その排気通路6には、ターボ過給機3の排気タービン4が配置され、該排気タービン4の下流側に、例えば三元触媒を用いた触媒コンバータ7が配置されている。なお、排気通路2のさらに下流側には、図示せぬ排気消音器が設けられており、該排気消音器を介して排気通路6は外部へ開放されている。上記排気タービン4は、過給圧制御のための公知のウェストゲートバルブ8を備えている。内燃機関1は、例えば筒内直噴型の構成であり、シリンダ内に燃料を噴射する図示せぬ燃料噴射弁が各気筒毎に設けられているとともに、点火プラグ9をそれぞれ備えている。上記燃料噴射弁の噴射時期ならびに噴射量、および上記点火プラグ9の点火時期は、エンジンコントロールユニット10によって制御される。
【0012】
内燃機関1の吸気通路11には、上流側から順に、エアクリーナ12、エアフロメータ13、スロットル弁14、が配置されており、上記ターボ過給機3のコンプレッサ5が、上記エアフロメータ13と上記スロットル弁14との間に配置されている。そして、上記コンプレッサ5と上記エアフロメータ13との間に、上記電動過給機2が配置されている。つまり、ターボ過給機3のコンプレッサ5と電動過給機2とは、電動過給機2が相対的に上流側となるようにして互いに直列に配置されている。そして、上記電動過給機2の入口側と出口側とを電動過給機2を経由せずに接続するように、バイパス通路15が設けられている。このバイパス通路15には、該バイパス通路15を開閉するバイパス弁16が設けられている。また上記コンプレッサ5とスロットル弁14との間には、インタークーラ17が介装されている。上記スロットル弁14は、コレクタ部11aの入口部に位置し、このコレクタ部11aよりも下流側の吸気通路11は、各気筒毎のブランチ部として分岐している。なお、本発明においては、ターボ過給機3のコンプレッサ5の下流側に電動過給機2を配置した構成も可能である。
【0013】
上記スロットル弁14は、電動モータ等のアクチュエータを具備したものであり、運転者により操作される図示せぬアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ21の検出信号に基づいて、上記エンジンコントロールユニット10からの制御信号によって、その開度が制御される。スロットル弁14によって制御された吸入空気量は、エアフロメータ13によって検出される。上記エンジンコントロールユニット10には、機関回転速度を示すクランク角センサ22からの検出信号と、吸入空気量を示す上記エアフロメータ13からの検出信号と、を含む種々のセンサ類の検出信号が入力されている。
【0014】
上記電動過給機2は、吸気通路11に介在するコンプレッサ部2aと、このコンプレッサ部2aを駆動する電動モータ2bと、を有している。なお、
図1には、コンプレッサ部2aがターボ過給機3のコンプレッサ5と同様に遠心形コンプレッサとして図示されているが、本発明においては、ルーツブロアやスクリュー形コンプレッサなど任意の形式のコンプレッサを利用することが可能である。同様に、上記バイパス弁16は、
図1では、ソレノイドもしくは電動モータによって開閉されるバタフライ形バルブが例示されているが、本発明においては、バタフライ形バルブに限らず、他の形式の弁であってもよい。これらの電動過給機2およびバイパス弁16は、後述するように、上記エンジンコントロールユニット10によって制御される。
【0015】
次に、
図3は、上記内燃機関1の目標トルクtTeと回転速度Neとをパラメータとして、電動過給機2の作動領域等を図示した説明図であり、以下、これに基づいて、電動過給機2およびバイパス弁16の制御の概略を説明する。
【0016】
図3において、破線T0は、過給圧が大気圧相当となるトルク(負荷)を示しており、従って、これよりも上方の運転領域は過給領域となり、下方の運転領域は非過給領域となる。本実施例では、過給領域がさらに3つの運転領域に分けられる。すなわち、過給領域は、図示するように、低速高負荷域に位置する第1過給領域Aと、回転速度Neが高い高速域に位置する第3過給領域Cと、両者間に位置する第2過給領域Bと、を含んでいる。
【0017】
ここで、運転領域全体を囲む「WOT」として示す線は、電動過給機2とターボ過給機3との双方を利用する内燃機関1全体の全開特性を示しており、これに対し「WOT1」として示す線は、電動過給機2に依存せずにターボ過給機3のみで定常状態で実現可能なトルクを示している。このようにターボ過給機3のみで定常的で得られるトルクは、低速回転領域では比較的低く、排気量が排気タービン4の駆動に十分となるある回転速度以上で最大トルクとなる。第1過給領域Aは、この低速回転領域でのトルク不足を補うように設定されており、従って、低速回転領域での線WOTと線WOT1との間が第1過給領域Aとなる。この第1過給領域Aでは、電動過給機2が作動し、かつバイパス弁16は全閉に保たれる。
【0018】
第3過給領域Cは、ターボ過給機3が十分に作用する比較的高速側の領域であり、ターボ過給機3のみで目標トルクtTeの実現が可能である。従って、この第3過給領域Cでは、電動過給機2は非作動となる。そして、電動過給機2が通気抵抗とならないようにするために、バイパス弁16は全開となる。全開特性WOTの線上では、ある回転速度において、第3過給領域Cと第1過給領域Aとが実質的に隣接している。
【0019】
第2過給領域Bは、定常状態ではターボ過給機3の過給のみで目標トルクtTeの実現が可能である(つまりWOT1の領域内に含まれている)ものの、過渡時にはターボ過給機3の応答遅れによって目標トルクtTeを得ることが困難な運転領域に相当する。第2過給領域Bと第3過給領域Cとの境界となる回転速度は、高負荷側では、第1過給領域Aと第3過給領域Cとの境界と実質的に一致している。そして、低負荷側では、これよりも多少高回転側の回転速度Nethが第2過給領域Bと第3過給領域Cとの境界となる。この第2過給領域Bでは、運転条件が当該第2過給領域Bに移行してから所定時間の間は、電動過給機2が作動し、かつバイパス弁16が全閉となる。これにより、ターボ過給機3による過給圧の立ち上がりが電動過給機2によってアシストされ、加速性能が向上する。所定時間経過後は、電動過給機2が非作動となり、かつバイパス弁16は全開となる。このようにバイパス弁16を全開とすることで、バイパス弁16による圧力損失の発生が回避され、その後のターボ過給機3による過給圧の立ち上がりを阻害することがない。
【0020】
一方、過給圧が負圧となる非過給領域は、さらに、低速側の第1非過給領域Dと高速側の第2非過給領域Eとに分けられる。これらの2つの領域は、上記の第2過給領域Bと第3過給領域Cとの境界となる回転速度Nethを境界として区分されている。この回転速度Nethは、回転速度Neがこれ以上のとき、アクセルペダルが踏み込まれて運転条件が過給領域へ移行しても電動過給機2を作動させる必要がない回転速度に相当する。
【0021】
第2非過給領域Eでは、電動過給機2は非作動であり、かつ電動過給機2が通気抵抗とならないようにするために、バイパス弁16は全開となる。従って、電動過給機2がターボ過給機3の応答性を損なうことがない。
【0022】
これに対し、第1非過給領域Dでは、過給が不要な非過給領域であるため電動過給機2は非作動であるが、バイパス弁16は、全開ではなく中間開度に保持される。より具体的には、各運転条件の下での吸入空気量に対応して、吸入空気量を制限することがない最小開度に保持される。このように中間開度に保持しておくことで、目標トルクtTeが過給領域に移行したときに、直ちにバイパス弁16を全閉とすることができ、電動過給機2の作動開始に伴って過給圧が速やかに上昇する。
【0023】
次に、
図2のフローチャートに基づいて、上記実施例の電動過給機2およびバイパス弁16の制御をより詳しく説明する。
【0024】
図2に示す制御ルーチンは、エンジンコントロールユニット10において所定時間毎に繰り返し実行されるものであって、ステップ1で、アクセル開度センサ21により検出されるアクセル開度APOとクランク角センサ22により検出される機関回転速度Neとを読み込む。
【0025】
ステップ2では、アクセル開度APOと回転速度Neとに基づき、内燃機関1の目標トルク(目標負荷)tTeを算出する。そして、ステップ3で、目標とする運転条件(目標トルクtTe、回転速度Ne)が非過給領域(
図3参照)にあるか否かを判断する。ここでYESの場合はステップ4へ進み、NOの場合はステップ8へ進む。
【0026】
ステップ4では、回転速度Neが前述した所定回転速度Nethより低いか否かを判断する。つまり、
図3の第1非過給領域Dであるか第2非過給領域Eであるかを判別する。ここでYESつまり第1非過給領域Dの場合はステップ5へ進み、NOつまり第2非過給領域Eの場合はステップ6へ進む。
【0027】
ステップ5では、目標トルクtTeと回転速度Neとに基づき、バイパス弁開度BVOを算出する。具体的には、目標トルクtTeと回転速度Neとから必要となる吸入空気量が決まるので、その吸入空気量に対しバイパス弁16が律速とならない最小開度をバイパス弁開度BVOとする。バイパス弁16は、図示せぬ他のルーチンにより、本ステップ5で算出されたバイパス弁開度BVOに応じて中間開度に制御される。なお、中間開度BVOの設定の際にエアフロメータ13が検出する吸入空気量を用いることもできるが、上記のように目標トルクtTeに基づいて算出した吸入空気量を用いた方が、過渡時により適切な開度に保つことができる。
【0028】
このようにバイパス弁16を中間開度に制御しておくことで、要求の運転条件が第1非過給領域Dから第1過給領域Aや第2過給領域Bへ移行したとき(例えば、
図3に示すD1点からA1点への移行、あるいは、D2点からB1点への移行)に、バイパス弁16を直ちに全閉することが可能となり、電動過給機2による過給圧を速やかに上昇させることができる。
【0029】
ステップ4の判断がNOつまり第2非過給領域Eの場合に実行されるステップ6では、バイパス弁開度BVOを全開に設定する。回転速度Neが所定回転速度Neth以上である場合、アクセルペダルが踏み込まれて運転条件が過給領域へ移行(例えば、
図3に示すE1からC1へ移行)しても、移行先である第3過給領域Cは電動過給機2を作動させない領域であるから、バイパス弁16が閉じることはない。むしろターボ過給機3による過給圧の立ち上がりを阻害することがないように、予めバイパス弁開度BVOを全開とするのである。
【0030】
ステップ5、ステップ6のいずれの場合もステップ7へ進む。このステップ7では、目標とする運転条件が非過給領域にあるので、電動過給機2を停止する。
【0031】
一方、目標とする運転条件が過給領域内である場合に実行されるステップ8では、さらに、運転条件が第1過給領域A内にあるか否かを判断する。前述したように、第1過給領域Aは、ターボ過給機3のみでは目標トルクtTeを実現できない運転領域である。従って、ここでYESである場合はステップ9へ進み、バイパス弁開度BVOを全閉に設定するとともに、ステップ13において、電動過給機2を作動させる。
【0032】
ステップ8の判断がNOの場合には、ステップ10で、さらに、目標とする運転条件が第2過給領域B内にあるか否かを判断する。第2過給領域Bは、前述したように、定常的にはターボ過給機3のみで目標トルクtTeを実現可能であるが、回転速度Neが比較的低いため、過給圧の立ち上がりの遅れ(いわゆるターボラグ)が問題となる領域である。従って、この領域に運転条件が移行してきた初期にのみ、電動過給機2によって過給圧のアシストを行う。
【0033】
ステップ10において第2過給領域B内と判断した場合は、ステップ11へ進み、運転条件が第2過給領域Bに移行してきてから所定時間(電動過給機2によるアシストが必要な時間)内か否かを判断する。ここで所定時間内であれば、ステップ12へ進み、バイパス弁開度BVOを全閉に設定するとともに、ステップ13において、電動過給機2を作動させる。
【0034】
ステップ11で所定時間経過後と判断した場合は、ステップ14へ進み、バイパス弁開度BVOを全開に設定するとともに、ステップ15において、電動過給機2を非作動とする。つまり、以後は、ターボ過給機3のみで過給が行われる。
【0035】
一方、ステップ10で第2過給領域B内でないと判断した場合は、目標とする運転条件は第3過給領域C内にある。この場合は、ターボ過給機3のみで目標トルクtTeを実現できるので、ステップ14へ進み、バイパス弁開度BVOを全開に設定するとともに、ステップ15において、電動過給機2を非作動とする。
【0036】
以上、この発明の一実施例を詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、上記実施例では、電動過給機2とターボ過給機3とを併用した実施例について説明したが、本発明は、電動過給機のみを備えた内燃機関においても同様に適用が可能である。この場合、電動過給機は一般に低速側のみで使用されるので、低速側の非過給領域では中間開度とし、高速側で電動過給機が非作動となる運転条件では全開とすればよい。
【0038】
また上記実施例では、吸入空気量に応じて中間開度を可変的に設定しているが、制御の簡易化のために、一定の中間開度とするようにしてもよい。
【0039】
さらに、電動過給機は、単純にオン・オフ制御されるものに限定されず、作動時に、その容量が可変に制御されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…内燃機関
2…電動過給機
3…ターボ過給機
10…エンジンコントロールユニット
15…バイパス通路
16…バイパス弁