(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、同等の形状である半導体素子を基板に両面実装する場合にあって、伝送線路における波形品質を低下させることを防止するようにしたプリント基板、プリント基板製造方法及びプリント基板設計プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、基板と、前記基板の第1面に実装された第1の半導体素子と、前記基板の第1面の反対の面である第2面に実装され、前記第1の半導体素子と同等の形状である第2の半導体素子を具備し、前記第1の半導体素子の第1の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺の位置は、前記基板において略一致しており、
該第1の半導体素子と該第2の半導体素子とが重なり合う領域の面積が、重なり合っていない領域の面積よりも小さくなるように配置し、前記第1の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺の位置は、前記基板において遠ざかる方向にあ
り、前記第1の半導体素子に接続されているバイパスコンデンサを、前記第2面における該第1の半導体素子の位置に対応する領域に実装し、前記第2の半導体素子に接続されているバイパスコンデンサを、前記第1面における該第2の半導体素子の位置に対応する領域に実装することを特徴とするプリント基板である。
【0009】
請求項
2の発明は、前記第1の半導体素子に接続されている基準電圧回路素子を、前記第1面における該第1の半導体素子の近傍の領域に実装し、前記第2の半導体素子に接続されている基準電圧回路素子を、前記第2面における該第2の半導体素子の近傍の領域に実装することを特徴とする請求項
1に記載のプリント基板である。
【0010】
請求項
3の発明は、前記第1の半導体素子と接続されている第1の辺側にある基準電圧回路素子は、前記第2面における前記第2の半導体素子の近傍の領域に実装すること又は、前記第2の半導体素子と接続されている第1の辺側にある基準電圧回路素子は、前記第1面における前記第1の半導体素子の近傍の領域に実装することを特徴とする請求項
2に記載のプリント基板である。
【0011】
請求項
4の発明は、第1の半導体素子を基板の第1面に実装する第1の実装ステップと、前記第1の半導体素子と同等の形状である第2の半導体素子を、前記基板の第1面の反対の面である第2面に実装する第2の実装ステップを具備し、前記第1の半導体素子の第1の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺の位置は、前記基板において略一致しており、
該第1の半導体素子と該第2の半導体素子とが重なり合う領域の面積が、重なり合っていない領域の面積よりも小さくなるように配置し、前記第1の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺の位置は、前記基板において遠ざかる方向にあ
り、前記第1の半導体素子に接続されているバイパスコンデンサを、前記第2面における該第1の半導体素子の位置に対応する領域に実装し、前記第2の半導体素子に接続されているバイパスコンデンサを、前記第1面における該第2の半導体素子の位置に対応する領域に実装することを特徴とするプリント基板製造方法である。
【0012】
請求項
5の発明は、コンピュータを、第1の半導体素子を基板の第1面に実装するように設計する第1の設計手段と、前記第1の半導体素子と同等の形状である第2の半導体素子を、前記基板の第1面の反対の面である第2面に実装するように設計する第2の設計手段として機能させ、前記第1の半導体素子の第1の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺の位置は、前記基板において略一致しており、
該第1の半導体素子と該第2の半導体素子とが重なり合う領域の面積が、重なり合っていない領域の面積よりも小さくなるように配置し、前記第1の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺の位置は、前記基板において遠ざかる方向にあ
り、前記第1の半導体素子に接続されているバイパスコンデンサを、前記第2面における該第1の半導体素子の位置に対応する領域に実装し、前記第2の半導体素子に接続されているバイパスコンデンサを、前記第1面における該第2の半導体素子の位置に対応する領域に実装することを特徴とするプリント基板設計プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1のプリント基板によれば、同等の形状である半導体素子を基板に両面実装する場合にあって、伝送線路における波形品質を低下させることを防止することができる。
【0015】
請求項
2のプリント基板によれば、本構成を有していない場合に比較して、半導体素子の近傍に基準電圧回路素子を実装することで、基準電圧の電源インピーダンスを低くし、負荷変動に対する電源の安定度向上を図ることができる。
【0016】
請求項
3のプリント基板によれば、第1の半導体素子と第2の半導体素子との間で基準電圧回路素子を兼用、また遠ざかる方向にある各半導体素子の基準電圧回路素子は独立して使用することができ、基準電圧の電源インピーダンスを低くし、負荷変動に対する電源の安定度向上を図ることができる。
【0017】
請求項
4のプリント基板製造方法によれば、同等の形状である半導体素子を基板に両面実装する場合にあって、伝送線路における波形品質を低下させることを防止することができるプリント基板を製造することができる。
【0018】
請求項
5のプリント基板設計プログラムによれば、同等の形状である半導体素子を基板に両面実装する場合にあって、伝送線路における波形品質を低下させることを防止することができるプリント基板を設計することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の半導体素子110と半導体素子150との位置関係例を示す説明図である。
なお、「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。
【0021】
本実施の形態であるプリント基板は、
図1に示すように、基板100と半導体素子110と半導体素子150を有している。
半導体素子110は、基板100の第1面(表面)に実装されている。
半導体素子150は、基板100の第1面の反対の面である第2面(裏面)に実装されている。半導体素子150は、半導体素子110と同等の形状である。ここで「同等の形状」とは、形状が類似していればよく、同じ形状を含む。例えば、基板100に同一の機能で複数の半導体素子が実装された場合における、その半導体素子をいう。具体的には、メモリ素子が該当する。
また、基板100と半導体素子150は、同じコントローラ素子から同じ幹線(信号線)を経て、それぞれに分岐線(スタブ)で接続されている。このような高速伝送線路の波形整形を行うにあっては、(1)幹線(信号線)のインピーダンスを整合させること、(2)分岐線は可能な限り短くし、幹線に対してインピーダンスを大きくする(幹線に対して細くする)こと、を行う必要がある。なお、波形整形には、反射ノイズによるオーバーシュート、アンダーシュート、階段状波形、アイパターンのアイ閉口等をなくすことがある。
【0022】
そして、半導体素子110の辺A:112(第1の辺)と半導体素子150の辺A:152(第1の辺)の位置は、基板100において略一致している。「基板100において略一致」とは、基板100の片面から見た場合に、半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152は平行しており、その間の距離が予め定められた範囲内にあることをいい、もちろんのことながら一致している場合を含む。
図1において重複幅190は、予め定められた範囲内である。
そして、半導体素子110の辺A:112に向かい合う辺B:114(第2の辺)と半導体素子150の辺A:152に向かい合う辺B:154(第2の辺)の位置は、基板100において遠ざかる方向にある。
図1において、辺A:112と辺A:152は近接した位置にあるが、辺B:114と辺B:154は左右に離れた位置にある。そして、半導体素子110と半導体素子150とが重なり合う領域である重複幅190は、辺A:112(辺A:152)側にあり、重なり合っていない領域と比較してその面積は小さい。もちろんのことながら重複幅190における領域の面積が0である場合であってもよい。
図2は、
図1の例に示した半導体素子110と半導体素子150との位置関係について、基板100の表面から見た場合の例を示している。この場合、半導体素子150は基板100の裏面にあるが、半導体素子150の存在領域を点線で示している。半導体素子110と半導体素子150は、中心線210で左右に対称となっており、重複幅190で重なっており、それぞれ重複幅190以外の幅は重複幅190よりも長い。
【0023】
図3の例は、半導体素子110の辺A:112(第1の辺)と半導体素子150の辺A:152(第1の辺)の位置が、基板100において一致している場合の例を示したものである。したがって、
図1の例に示した重複幅190は存在しない。ただし、辺A:112と辺A:152がさらに離れてもよい(半導体素子110をより左方向、半導体素子150をより右方向にずらす)。その場合、予め定められた範囲内であればよい。ただし、分岐線を短くするためには、半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152は一致していることが望ましい。
図4は、
図3の例に示した半導体素子110と半導体素子150との位置関係について、基板100の表面から見た場合の例を示している。この場合、半導体素子150は基板100の裏面にあるが、半導体素子150の存在領域を点線で示している。半導体素子110と半導体素子150は、中心線410で左右に対称となっており、重なっている領域はない。
【0024】
さらに、半導体素子110に接続されているバイパスコンデンサ(パスコンともいう)を、基板100の第2面における半導体素子110の位置に対応する領域に実装する。つまり、半導体素子110が実装されている面とは反対の面に、バイパスコンデンサを実装して、半導体素子110と接続する。その位置は、半導体素子110の対面の領域である。
図1の例を用いて説明すると、半導体素子110に接続されているパスコン122、パスコン124を基板100の裏面に実装し、その位置は、半導体素子110の下側(直下)である。
図3の例においても、同様の位置関係である。
同様に、半導体素子150に接続されているバイパスコンデンサを、基板100の第1面における半導体素子150の位置に対応する領域に実装する。つまり、半導体素子150が実装されている面とは反対の面に、バイパスコンデンサを実装して、半導体素子150と接続する。その位置は、半導体素子150の対面の領域である。
図1の例を用いて説明すると、半導体素子150に接続されているパスコン162、パスコン164を基板100の表面に実装し、その位置は、半導体素子150の上側(直上)である。
図3の例においても、同様の位置関係である。
このように、半導体素子とバイパスコンデンサとを実装することによって、負荷変動に対する電源の安定度向上を図ることができる。つまり、電源インピーダンスを小さくするために、バイパスコンデンサを半導体素子の端子(ピン)近傍に配置し、端子からバイパスコンデンサまでの配線を太く、短くすることができる。
【0025】
ここで従来の実装を説明する。
図5は、従来の実装における半導体素子110と半導体素子150との位置関係例を示す説明図である。つまり、従来では、半導体素子110と半導体素子150との4辺を表裏で一致させるように配置していた。そして、半導体素子110とパスコン122、パスコン124は同じ面(表面)に配置し、半導体素子150とパスコン162、パスコン164は同じ面(裏面)に配置している。これは、基板面積を小さくし、表面と裏面を同じにして設計を容易にするためである。しかし、より高速な伝送速度を実現するためには、高速伝送線路の波形整形をより精密に行う必要がある。
図1又は
図3の例に示す配置と
図5の例に示す配置とを比較すると、
図1又は
図3の例に示す配置では、半導体素子110とパスコン122、パスコン124との間の配線距離が短くなっている。つまり、
図5の例に示す配置では、
図1又は
図3の例に示す配置に比べて、パスコンを遠方に配置することになってしまい、電源インピーダンスを高くしてしまうことで、負荷変動に対する電源供給の安定度低下を招くこととなる。さらに、半導体素子110の対面にパスコン122、パスコン124が配置されているため、
図5の例と比べて半導体素子110とパスコン122、パスコン124とを接続する配線を太く、短くすることができる。つまり、
図5の例に示す配置では、バイパスコンデンサを半導体素子の端子近傍に配置できないので電源インピーダンスを低減することができず、負荷変動に対する電源供給の安定度が低下してしまう。
【0026】
「半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152の位置は、基板100において略一致」について、より詳細に説明する。半導体素子としてメモリ素子を例示する。
図6は、半導体素子(コントローラ)610から半導体素子110と半導体素子150に対するデータバスの位置関係例を示す説明図である。信号線620は、前述の高速伝送線路に該当し、フライバイトポロジを用いてクロック、アドレス、コマンドの信号を送るものである。つまり、半導体素子(コントローラ)610から複数の半導体素子(半導体素子110、半導体素子150)に対して、1つの信号線620でカスケード的に接続されている。一方、データバス(半導体素子110用)630、データバス(半導体素子150用)640は、データバスであり、半導体素子(コントローラ)610と半導体素子110を接続するデータバス(半導体素子110用)630、半導体素子(コントローラ)610と半導体素子150を接続するデータバス(半導体素子150用)640のように、並列的に接続されている。なお、データバス(半導体素子110用)630、データバス(半導体素子150用)640は、例えば、32ビット幅で使用する場合には各半導体素子は16ビット分のデータバスを必要とする。これらデータバスはクロストークによる誤動作を防ぐため、信号線の間隔を広げる必要がある。仮に、十分な信号間隔が確保できない場合は、基板のコストアップにつながるが、基板の層数を増やすことになる。
半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152が一致している
図6の例では、データバス(半導体素子110用)630とデータバス(半導体素子150用)640とに重なりは生じていない。半導体素子110と半導体素子150がそもそも重なっていないからである。
【0027】
一方、半導体素子110と半導体素子150との重なりが大きい場合(本実施の形態における「略一致」を外れた重なりが発生している場合)の例を、
図7を用いて説明する。つまり、半導体素子110の辺A:112が半導体素子150の中心程度にあり、半導体素子150の辺A:152が半導体素子110の半分程度に位置している場合は、データバス(半導体素子110用)630とデータバス(半導体素子150用)640が重なってしまい、重複データバス750が生じる。したがって、データバスの配線面積が小さくなるため、配線間の十分なスペースが確保できず、重複データバス750ではクロストークが発生して波形品質低下(ここでの波形品質にはシグナルインテグリティの概念を含む)、ひいては誤動作の原因となり得る。なお、従来の
図5の例では、データバス(半導体素子110用)630とデータバス(半導体素子150用)640の全てが重なってしまい、データバス(半導体素子110用)630全体(データバス(半導体素子150用)640全体)が重複データバス750となってしまう。これを回避する為には、基板のコストアップにつながるが、配線間の十分なスペースが確保できる程度に、基板の層数を増やすことになる。
【0028】
次に、「半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152の位置は、基板100において略一致」の「略一致」における重なりの許容範囲について説明する。望ましくは、データバス(半導体素子110用)630とデータバス(半導体素子150用)640による重なりが生じない程度に、半導体素子110と半導体素子150が重なり合うことまでとする。
図8は、半導体素子810の端子配置例を示す説明図である。この例は、BGA(Ball Grid Array)を示している。つまり、半導体素子810の裏面に半球状の端子が格子状に並んだ構造をしている。
この場合、半導体素子810(半導体素子110)の端にある端子(第1列目、第9列目の端子)が、反対の面にある半導体素子810(半導体素子150)の端にある端子(第1列目、第9列目の端子)に重ならない程度で、半導体素子810同士(半導体素子110と半導体素子150)が重なり合ってもよい。より具体的には、半導体素子810の長辺からの重なり(
図1の例に示す重複幅190)が、0以上0.325mm以下であればよい。
また、以下のようにしてもよい。半導体素子810(半導体素子110)の2列目にある端子(第2列目、第8列目の端子)が、反対の面にある半導体素子810(半導体素子150)の2列目にある端子(第2列目、第8列目の端子)に重ならない程度で、半導体素子810同士(半導体素子110と半導体素子150)が重なり合ってもよい。より具体的には、半導体素子810の長辺からの重なり(
図1の例に示す重複幅190)が、0以上1.125mm以下であればよい。例えば、半導体素子810がDDR3 SDRAM JEDEC規格のピン配置である場合、データ信号が第1列目にないため、第1列目の端子については半導体素子810の端部が重なることを許容したものである。より具体的には、電源に関する端子は重なるが、データ信号の端子は重ならない程度に、半導体素子810同士の重なりを範囲とするものである。
【0029】
図9は、本実施の形態の半導体素子110と半導体素子150とVref素子との位置関係例を示す説明図である。
図9(a)の例は、半導体素子110と半導体素子150との重なりがある略一致の場合を示している。
図9(a)の例では、半導体素子110に接続されている基準電圧回路素子(Vref素子ともいう、Vref素子912)を、半導体素子110が実装されている第1面の対面である第2面における半導体素子110の辺B:114の近傍の領域に実装し、半導体素子150に接続されているVref素子952を、半導体素子150が実装されている第2面の対面である第1面における半導体素子150の辺B:154の近傍の領域に実装したものである。基準電圧回路(voltage reference circuit、Vref)素子とは、Highレベル、Lowレベルの閾値となる基準電圧を抵抗素子の分圧により生成する回路であったり、電源IC含む回路であったりする。
そして、半導体素子110と接続されている第1面の辺A:112(第1の辺側)にあるVref素子920は、第2面における半導体素子150の近傍の領域に実装している。つまり、Vref素子920は、半導体素子110と半導体素子150との間で兼用されることになり、Vref素子920は、半導体素子110と半導体素子150の両方に接続されている。
図9(a)の例では、Vref素子920を半導体素子110と同じ面に実装した場合であって、半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152の近傍の位置(半導体素子150の直上)に実装する。従来の両面実装の場合には計2つの基準電圧回路素子全てを各面にある2つの半導体素子で兼用しなければならないのに対して、本実施の形態では、中央の基準電圧回路素子は兼用するが、その他は独立して使用することができるものである。
なお、
図9(b)の例は、半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152が一致している場合を示しており、Vref素子932、Vref素子940、Vref素子962は、それぞれ
図9(a)の例のVref素子912、Vref素子920、Vref素子952に該当する。
【0030】
図10は、本実施の形態の半導体素子110と半導体素子150とVref素子との位置関係例を示す説明図である。
図10(a)の例は、半導体素子110と半導体素子150との重なりがある略一致の場合を示している。
図10(a)の例では、半導体素子110と半導体素子150、半導体素子110とVref素子912、半導体素子150とVref素子952の位置関係は、
図9(a)の例と同じである。
そして、半導体素子150と接続されている第2面の辺A:152(第1の辺側)にあるVref素子1020は、第1面における半導体素子110の近傍の領域に実装している。つまり、Vref素子1020は、半導体素子110と半導体素子150との間で兼用されることになり、Vref素子1020は、半導体素子110と半導体素子150の両方に接続されている。
図10(a)の例では、Vref素子1020を半導体素子150と同じ面に実装した場合であって、半導体素子150の辺A:152と半導体素子110の辺A:112の近傍の位置(半導体素子110の直下)に実装する。
なお、
図10(b)の例は、半導体素子110の辺A:112と半導体素子150の辺A:152が一致している場合を示しており、Vref素子932、Vref素子1040、Vref素子962は、それぞれ
図10(a)の例のVref素子912、Vref素子1020、Vref素子952に該当する。
【0031】
図1、
図3、
図9又は
図10の例に示したプリント基板を製造するプリント基板製造装置は、第1の半導体素子を基板の第1面に実装する第1の実装モジュール、前記第1の半導体素子と同等の形状である第2の半導体素子を、前記基板の第1面の反対の面である第2面に実装する第2の実装モジュールを具備している。そして、前記第1の半導体素子の第1の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺の位置は、前記基板において略一致しており、前記第1の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺の位置は、前記基板において遠ざかる方向にあるように、プリント基板を製造する。また、このプリント基板製造装置におけるプリント基板製造方法では、第1の半導体素子を基板の第1面に実装する第1の実装ステップと、前記第1の半導体素子と同等の形状である第2の半導体素子を、前記基板の第1面の反対の面である第2面に実装する第2の実装ステップを具備し、前記第1の半導体素子の第1の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺の位置は、前記基板において略一致しており、前記第1の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺の位置は、前記基板において遠ざかる方向にあるように配置する。また、プリント基板製造プログラムは、コンピュータを、第1の半導体素子を基板の第1面に実装する第1の実装モジュール、前記第1の半導体素子と同等の形状である第2の半導体素子を、前記基板の第1面の反対の面である第2面に実装する第2の実装モジュールとして機能させ、前記第1の半導体素子の第1の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺の位置は、前記基板において略一致しており、前記第1の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺の位置は、前記基板において遠ざかる方向にあるように、プリント基板を製造する。また、プリント基板設計プログラムは、コンピュータを、第1の半導体素子を基板の第1面に実装するように設計する第1の設計モジュールと、前記第1の半導体素子と同等の形状である第2の半導体素子を、前記基板の第1面の反対の面である第2面に実装するように設計する第2の実装モジュールとして機能させ、前記第1の半導体素子の第1の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺の位置は、前記基板において略一致しており、前記第1の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺と前記第2の半導体素子の第1の辺に向かい合う第2の辺の位置は、前記基板において遠ざかる方向にあるにように、プリント基板を設計する。
なお、ここでのモジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態(プリント基板製造装置)におけるモジュールはハードウェア構成におけるモジュールのことだけでなく、コンピュータ・プログラムにおけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、プリント基板を製造又は設計するためのコンピュータ・プログラム、システム及び方法の説明をも兼ねている。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。
【0032】
前述の実施の形態においては、半導体素子のパッケージとしてBGAを示したが、SOP(Small Outline Package)等であってもよい。
また、2つのメモリ素子(1組のメモリ素子)に限る必要はなく、4つのメモリ素子(2組のメモリ素子)、6つのメモリ素子(3組のメモリ素子)等であってもよい。
【0033】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。