(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行する長尺の第1シート(S1)の幅方向一端部に、走行する長尺の第2シート(S2)を接合し、前記第1シート(S1)の幅方向他端部に、走行する長尺の第3シート(S3)を接合するための接合装置であって、
前記接合装置は、
エンボスロール(1)と、
超音波シールホーン又はヒートシールロールから選ばれた接着手段(2、3)と、
抱き角形成手段(4)と、
張力付与手段(5)と、を備え、
前記エンボスロール(1)は、
前記第1シートの走行方向と平面的に直交する回転軸を持つ円柱状のロール本体(10)と、
前記ロール本体(10)の外周面であって、前記第1シート(S1)と前記第2シート(S2)の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第1パターンブロック(11)と、前記第1シート(S1)と前記第3シート(S3)の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第2パターンブロック(12)と、
前記ロール本体(10)の前記第1パターンブロック(11)及び前記第2パターンブロック(12)よりも軸方向外側に位置する外側部(10b)の外周面に設けられ、前記第2シート(S2)及び前記第3シート(S3)に当接する外側シート搬送用ブロック(13)、並びに、前記ロール本体(10)の前記第1パターンブロック(11)及び前記第2パターンブロック(12)よりも軸方向内側に位置する内側部(10a)の外周面に設けられ、前記第1シート(S1)に当接する内側シート搬送用ブロック(14)の両方又はいずれか一方と、を有し、
前記接着手段(2、3)は、
前記第1パターンブロック(11)及び前記第2パターンブロック(12)と対向する位置に設けられており、
前記第1パターンブロック(11)との間で、前記第1シート(S1)の幅方向一端部と前記第2シート(S2)を挟み込むことで、両者を接合し、かつ、
前記第2パターンブロック(12)との間で、前記第1シート(S1)の幅方向他端部と前記第3シート(S3)を挟み込むことで、両者を接合するものであり、
前記抱き角形成手段(4)は、
前記エンボスロール(1)よりも装置上流側に設けられ、前記第1シート(S1)、前記第2シート(S2)、及び前記第3シート(S3)の各シート(S1〜S3)を走行させる上流ガイドロール(41)と、
前記エンボスロール(1)よりも装置下流側に設けられ、前記各シート(S1〜S3)を走行させる下流ガイドロール(42)と、を含み、
前記上流ガイドロール(41)と前記下流ガイドロール(42)は、
前記各シート(S1〜S3)が、所定の抱き角を形成し、前記第1パターンブロック(11)及び前記第2パターンブロック(12)に当接して走行するように、前記エンボスロール(1)の装置上流側及び装置下流側に配置されており、
前記張力付与手段(5)は、
前記上流ガイドロール(41)の装置上流側に設けられ、前記各シート(S1〜S3)を挟み込んで回転する一対の上流対向ロール(5a)と、
前記下流ガイドロール(42)の装置下流側に設けられ、前記各シート(S1〜S3)を挟み込んで回転する一対の下流対向ロール(5b)と、を含む
接合装置。
前身頃(101)と、後身頃(102)と、前記前身頃(101)と前記後身頃(102)の間に位置する股下部(103)から構成され、フルート構造を持つ使い捨ておむつを、接合装置を用いて製造する方法であって、
アウターシート(111)を用意する工程において、前記アウターシート(111)は、前記前身頃(101)から前記後身頃(102)にかけて繋がった一枚のシートから構成されたものであるか、若しくは前記前身頃(101)側の部分と前記後身頃(102)側の部分とで分離した二枚のシートから構成されたものであり、
前記アウターシート(111)の前記前身頃(101)側及び前記後身頃(102)側の先端部分に位置するクッション形成領域(111a)に対し、その肌当接面側又は肌非当接面側に、おむつの幅方向に沿って接合部と非接合部が連続するように、第1クッション形成シート(112)及び第2クッション形成シート(113)を、接合装置によって間欠的に接合する工程と、
前記アウターシート(111)の前記クッション形成領域(111a)よりも前記股下部(103)寄りに位置する伸縮部材接合領域(111b)に対し、その肌当接面側に、おむつの幅方向に沿った伸長状態で、一又は複数のウエスト伸縮部材(114)を固定する工程と、
前記アウターシート(111)の前記クッション形成領域(111a)を、肌当接面側に向かって折り返すことにより、前記第1クッション形成シート(112)及び前記第2クッション形成シート(113)と、前記伸縮部材接合領域(111b)との間に、前記ウエスト伸縮部材(114)を挟持させる工程とを行い、前記フルート構造を持つ使い捨ておむつを製造する方法であり、
前記接合装置は、
エンボスロール(1)と、
超音波シールホーン又はヒートシールロールから選ばれた接着手段(2、3)と、
抱き角形成手段(4)と、
張力付与手段(5)と、を備え、
前記エンボスロール(1)は、
前記アウターシート(111)の走行方向と平面的に直交する回転軸を持つ円柱状のロール本体(10)と、
前記ロール本体(10)の外周面であって、前記アウターシート(111)と前記第1クッション形成シート(112)の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第1パターンブロック(11)と、前記アウターシート(111)と前記第2クッション形成シート(113)の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第2パターンブロック(12)と、
前記第1パターンブロック(11)及び前記第2パターンブロック(12)よりも軸方向外側に位置する外側部(10b)の外周面に設けられ、前記第1クッション形成シート(112)及び前記第2クッション形成シート(113)に当接する外側シート搬送用ブロック(13)、並びに、前記第1パターンブロック(11)及び前記第2パターンブロック(12)よりも軸方向内側に位置する内側部(10a)の外周面に設けられ、前記アウターシート(111)に当接する内側シート搬送用ブロック(14)の両方又はいずれか一方と、を有し、
前記接着手段(2、3)は、
前記第1パターンブロック(11)及び前記第2パターンブロック(12)と対向する位置に設けられており、
前記第1パターンブロック(11)との間で、前記アウターシート(111)及び前記第1クッション形成シート(112)を挟み込むことで、両者を接合し、かつ、
前記第2パターンブロック(12)との間で、前記アウターシート(111)及び前記第2クッション形成シート(113)を挟み込むことで、両者を接合するものであり、
前記抱き角形成手段(4)は、
前記エンボスロール(1)よりも装置上流側に設けられ、前記アウターシート(111)、前記第1クッション形成シート(112)、及び前記第2クッション形成シート(113)の各シート(111〜113)を走行させる上流ガイドロール(41)と、
前記エンボスロール(1)よりも装置下流側に設けられ、前記各シート(111〜113)を走行させる下流ガイドロール(42)と、を含み、
前記上流ガイドロール(41)と前記下流ガイドロール(42)は、
前記各シート(111〜113)が、所定の抱き角を形成し、前記第1パターンブロック(11)及び第2パターンブロック(12)に当接して走行するように、前記エンボスロール(1)の装置上流側及び装置下流側に配置されており、
前記張力付与手段(5)は、
前記上流ガイドロール(41)の装置上流側に設けられ、前記各シート(111〜113)を挟み込んで回転する一対の上流対向ロール(5a)と、
前記下流ガイドロール(42)の装置下流側に設けられ、前記各シート(111〜113)を挟み込んで回転する一対の下流対向ロール(5b)と、を含む
使い捨ておむつの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図12に示された接合装置によって、アウターシート111´とクッション形成シート112´、113´を間欠的に接合した場合、それらのシートの重畳箇所に、シワが発生するという問題があった。
図12(b)に示されるように、シートの重畳箇所にシワが生じると、「フルート構造」を持つ使い捨ておむつの風合いを損ねたり、シートの層間に空間が形成されなくなるという事態が生じ、製造した使い捨ておむつに不良品が発生するという問題があった。
【0008】
このような接合したシートにシワが発生する原因としては、まず、エンボスロール1´のパターンブロック11´、12´が、ロール本体10´と比較して一段高くなっていることが考えられる。
つまり、パターンブロック11´、12´がロール本体10´と比較して一段高くなっていると、アウターシート111´とクッション形成シート112´、113´の重畳箇所が、パターンブロック11´、12´と超音波ホーン2´、3´の間を通過する際、その重畳箇所にのみ、エンボスロール1´による引張力(回転力)が加わるようになる。このため、アウターシート111´とクッション形成シート112´、113´の重畳箇所は、他の箇所と比較し、エンボスロール1´の回転に引っ張られて、他の箇所よりも先行するように搬送されてしまう。その結果、両シートを接合する際に、シートの重畳箇所とその他の箇所に歪みが生じ、その歪みによって両シートの重畳箇所にシワが生じることとなっていた。
【0009】
さらに、パターンブロック11´、12´に設けられた凸部のパターンが間欠的であると、シートの重畳箇所に力が加わるのはその凸部と超音波ホーン2´、3´が接触する一瞬のみであり、シートの重畳箇所に対しても一定の力が加わらない。すなわち、両シートの重畳箇所に対し、エンボスロール1´による回転力が加わる瞬間と加わらない瞬間が交互に発生することとなり、両シートの重畳箇所に歪みが生じる。その結果、この歪みによって、両シートの重畳箇所にシワが生じることとなると考えられる。
【0010】
また、
図12に示された接合装置では、アウターシート111´とクッション形成シート112´、113´が、エンボスロール1´の上流側と下流側に位置するガイドロール41´、42´によってガイドされて、直線的に走行する。そして、この各シートが直線的に走行している位置に、エンボスロール1´と超音波ホーン2´、3´が設けられている。このことが、接合したシートにシワが発生することを助長していると考えられる。すなわち、
図12に示されるように、両シートが直線的に走行して位置にエンボスロール1´と超音波ホーン2´、3´を設けられているため、両シートの重畳箇所はエンボスロール1´のパターンブロック11´、12´のみにしか接触しない。その結果、パターンブロック11´、12´に接触する箇所と接触しない箇所との間で、エンボスロール1´の回転により搬送方向に引っ張られる力に差が生じ、シートに歪みを生じさせる原因となる。
【0011】
そこで、現在では、走行する長尺のシートの幅方向両端部に他のシートを接合するにあたり、両シートの接合部分にシワが生じることを防止できる接合装置が求められている。また、フルート構造を持つ使い捨ておむつの製造方法であって、フルート構造をなす2層のシートを間欠的に接合するにあたり、両シートの接合部分にシワが生じることを防止できる製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明の発明者らは、上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果、エンボスロールのロール本体の軸方向両側近傍にパターンブロックを形成し、このパターンブロックと接着手段(超音波シールホーン又はヒートシールロール)との間で重畳したシートを挟持することにより両シートを接合しつつ、この両シートを、パターンブロックが設けられた部分以外の部分においてロール本体と接触させて、エンボスロールの回転力を加えることにより、両シートの重畳箇所にシワを生じさせることなく接合できるという知見を得た。具体的には、重畳した両シートが所定の抱き角を形成してエンボスロール当接するようにすることで、両シートの重畳箇所にシワを生じさせることなく接合できることを見出した。さらに、各種のシート部材がパターンブロックと接着手段の間に導入される前後において、重畳したシート部材を一対のロール装置で挟み込んで張力を付与し、シワを引き伸ばすことで、シートの重畳箇所にシワを生じる事態を防止できることを見出した。そして、本発明者らは、上記知見に基づけば、従来技術の課題を解決できることに想到し、本発明を完成させた。
【0013】
本発明の第1の側面は、走行する長尺の第1シートS1の幅方向一端部に、走行する長尺の第2シートS2を接合し、この第1シートS1の幅方向他端部に、走行する長尺の第3シートS3を接合するための接合装置に関する。なお、第1シートS1は、幅方向一端部から幅方向他端部にかけて繋がった一枚のシートから構成されたものであってもよいし、若しくは幅方向一端部側と幅方向他端部側で分離した二枚のシートから構成されたものであってもよい。
本発明の接合装置は、エンボスロール1と、接着手段2、3と、抱き角形成手段4と、張力付与手段5とを備える。接着手段2、3は、超音波シールホーン又はヒートシールロールから選ばれる。
エンボスロール1は、第1シートS1の走行方向と平面的に直交する回転軸を持つ円柱状のロール本体10と、ロール本体10の外周面であって第1シートS1と第2シートS2の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第1パターンブロック11と、第1シートS1と第3シートS3の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第2パターンブロック12と、を有する。
ここで、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12のそれぞれは、複数の凸部11a、12aがロール本体10の回転方向に所定間隔で形成された間欠的なパターンを有していることが好ましい。
また、接着手段2、3は、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12と対向する位置に設けられている。接着手段2、3は、第1パターンブロック11との間で、第1シートS1の幅方向一端部と前記第2シートS2を挟み込むことで、両者を間欠的に接合することができる。また、接着手段は、第2パターンブロック12との間で、第1シートS1の幅方向他端部と第3シートS3を挟み込むことで、両者を間欠的に接合することができる。
また、抱き角形成手段4は、エンボスロール1よりも装置上流側に設けられ、第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3の各シートS1〜S3を走行させる上流ガイドロール41と、エンボスロール1よりも装置下流側に設けられ、各シートS1〜S3を走行させる下流ガイドロール42と、を含む。
これらの上流ガイドロール41と下流ガイドロール42は、各シートS1〜S3が、所定の抱き角を形成し、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12に当接して走行するように、エンボスロール1の装置上流側及び装置下流側に配置されている。所定の抱き角は、例えば5度〜180度であり、特に30度〜60度とすることが好ましい。
さらに、張力付与手段5は、上流ガイドロール41の装置上流側に設けられ、各シートS1〜S3を挟み込んで回転する一対の上流対向ロール5aと、下流ガイドロール42の装置下流側に設けられ、各シートS1〜S3を挟み込んで回転する一対の下流対向ロール5bと、を含む。
【0014】
上記構成とすることにより、本発明は、あるシート(第1シート)の両端に他のシート(第2シート及び第3シート)をシートの流れ方向に沿って間欠的に接合する接合装置特有の課題を解決できる。すなわち、第1シートの両端のそれぞれに第2シート及び第3シートを接合する場合、エンボスロール1のロール本体10に第1パターンブロック11と
第2パターンブロック12を形成し、かつそれぞれのパターンブロックに対向する位置に超音波シールホーン又はヒートシールロールの接着手段を配置する必要がある。しかし、シートの重畳箇所が、第1及び第2パターンブロック11、12と接着手段の間を通過する際、その重畳箇所にのみ、エンボスロール1の回転力が加わる。このため、シートの重畳箇所は、他の箇所と比較しエンボスロール1の回転に引っ張られて、他の箇所よりも先行するように搬送されるようになり両シートを接合する際に歪みが生じてしまう。そこで、抱き角形成手段を設けて、接合するシートが所定の抱き角を形成して第1及び第2パターンブロック11、12に当接するようにすれば、接合するシートは、第1及び第2パターンブロック11、12以外の点においてもロール本体10に当接して、ロール本体10の回転力を受けることができるようになる。これにより、シートの重畳箇所が第1及び第2パターンブロック11、12と接着手段の間を通過する際、その重畳箇所だけでなく、重畳箇所以外にもロール本体10よる回転力が付与されることとなるため、シートの重畳箇所と他の箇所の間に歪みが生じることを防止できる。結果として、シートを接合する際にシワが生じることを防止できる。
【0015】
また、第1及び第2のパターンブロック11、12に設けられた凸部のパターンが間欠的であると、シートに対して一定の力を加えにくくなる。この点、本発明のように、抱き角形成手段を設けて、接合するシートが所定の抱き角を形成して第1及び第2パターンブロック11、12に当接するようなパスラインとすれば、シートに対して比較的一定の回転力を付与できる。従って、シートを接合する際にシワが生じることを防止できる。
【0016】
また、本発明の接合装置では、エンボスロール1の上流側と下流側のそれぞれに、上流ガイドロール41と下流ガイドロール42を配置することで、各シートS1〜S3が、所定の抱き角を形成し、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12に当接して走行するように調節している。そして、さらに、上流ガイドロール41の装置上流側に、各シートS1〜S3を挟み込んで回転する一対の上流対向ロール5a設け、下流ガイドロール42の装置下流側に、各シートS1〜S3を挟み込んで回転する一対の下流対向ロール5bを設けている。このように、各シートS1〜3のパスラインを調節する上流ガイドロール41と下流ガイドロール42の前後において、各シートを挟み込んで張力を付与する一対の上流対向ロール5aと一対の下流対向ロール5bを設けることで、各シートS1〜S3を接合する直前で、各シートS1〜S3のシワを引き伸ばすことができる。これにより、さらに効果的に、シートを接合する際に生じるシワを防止することができる。
【0017】
本発明の接合装置において、上流ガイドロール41と一対の上流対向ロール5aの間には、他のロール装置が配置されていないことが好ましい。同様に、下流ガイドロール42と一対の下流対向ロール5bの間には、他のロール装置が配置されていないことが好ましい。
【0018】
例えば、上流ガイドロール41と一対の上流対向ロール5aの間に、他のガイドロールが介在していると、一対の上流対向ロール5aによって各シートS1〜S3のシワを引き伸ばしても、その後の他のガイドロールを通過する際に、細かいシワが生じる恐れがある。このため、上流ガイドロール41と一対の上流対向ロール5aの間に他のロール装置を介在させないように設計することで、各シート部材をシワなく接合することができる。
【0019】
本発明の接合装置を側面から見て、エンボスロール1側と接着手段2、3側とに分けた場合に、一対の上流対向ロール5aが各シートS1〜S3を挟み込む点である第1点(P1)と、一対の下流対向ロール5bが各シートS1〜S3を挟み込む点である第2点(P2)は、上流ガイドロール41と各シートS1〜S3が当接する点である第3点(P3)、及び下流ガイドロール42と各シートS1〜S3が当接する点である第4点(P4)よりも、接着手段2、3側に位置していることが好ましい。
【0020】
上記構成のように、上流ガイドロール41、下流ガイドロール42、一対の上流対向ロール5a及び一対の下流対向ロール5bを配置することで、一対の上流対向ロール5aと一対の下流対向ロール5bとによって、各シートS1〜S3に対して適切な張力を付与することができる。その結果、各シートS1〜S3に生じるシワを、効果的に引き伸ばすことが可能である。
【0021】
本発明の装置を側面から見たときに、第1点(P1)と第2点(P2)を結ぶ直線上には、エンボスロール1と接着手段2、3が各シートS1〜S3を挟み込む点である第5点(P5)が位置していることが好ましい。
【0022】
上記構成のように、第1点(P1)、第2点(P2)、及び第5点(P5)を一直線上に配置することで、各シートS1〜S3に生じるシワを最も効果的に引き伸ばすことができるということを、本発明者は見出した。
【0023】
本発明の第2の側面は、上記第1の側面に係る接合装置を用いた使い捨ておむつの製造方法に関する。
本発明の製造方法は、前身頃101と、後身頃102と、前身頃101と後身頃102の間に位置する股下部103から構成され、フルート構造を持つ使い捨ておむつを、上記接合装置を用いて製造する方法である。
本発明の製造方法では、
アウターシート111を用意する工程であって、当該アウターシート111は、前身頃101から後身頃102にかけて繋がった一枚のシートから構成されたものであるか、若しくは前身頃101側の部分と後身頃102側の部分とで分離した二枚のシートから構成されたものである工程と、
アウターシート111の前身頃101側及び後身頃102側の先端部分に位置するクッション形成領域111aに対し、その肌当接面側又は肌非当接面側に、おむつの幅方向に沿って接合部と非接合部が連続するように、第1クッション形成シート112及び第2クッション形成シート113を、接合装置によって間欠的に接合する工程と、
アウターシート111のクッション形成領域111aよりも股下部103寄りに位置する伸縮部材接合領域111bに対し、その肌当接面側に、おむつの幅方向に沿った伸長状態で、一又は複数のウエスト伸縮部材114を固定する工程と、
アウターシート111のクッション形成領域111aを、肌当接面側に向かって折り返すことにより、第1クッション形成シート112及び前記第2クッション形成シート113と、伸縮部材接合領域11bとの間に、ウエスト伸縮部材114を挟持させる工程とを行い、フルート構造を持つ使い捨ておむつを製造する。
上記「間欠的に接合する工程」においては、上記第1の実施形態に係る接合装置が用いられる。
すなわち、接合装置は、
エンボスロール1と、
超音波シールホーン又はヒートシールロールから選ばれた接着手段2、3と、
抱き角形成手段4と、
張力付与手段5と、を備える。
エンボスロール1は、
アウターシート111の走行方向と平面的に直交する回転軸を持つ円柱状のロール本体10と、
ロール本体10の外周面であって、アウターシート111と第1クッション形成シート112の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第1パターンブロック11と、アウターシート111と第2クッション形成シート113の重畳箇所を含む部分に当接する位置に設けられた第2パターンブロック12と、を有する。
接着手段2、3は、
第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12と対向する位置に設けられており、
第1パターンブロック11との間で、アウターシート111及び第1クッション形成シート112を挟み込むことで、両者を接合し、かつ、
第2パターンブロック12との間で、アウターシート111及び第2クッション形成シート113を挟み込むことで、両者を接合する。
抱き角形成手段4は、
エンボスロール1よりも装置上流側に設けられ、アウターシート111、第1クッション形成シート112、及び第2クッション形成シート113の各シート111〜113を走行させる上流ガイドロール41と、
エンボスロール1よりも装置下流側に設けられ、各シート111〜113を走行させる下流ガイドロール42と、を含む。
上流ガイドロール41と下流ガイドロール42は、
各シート111〜113が、所定の抱き角を形成し、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12に当接して走行するように、エンボスロール1の装置上流側及び装置下流側に配置されている。
張力付与手段5は、
上流ガイドロール41の装置上流側に設けられ、各シート111〜113を挟み込んで回転する一対の上流対向ロール5aと、
下流ガイドロール42の装置下流側に設けられ、各シート111〜113を挟み込んで回転する一対の下流対向ロール5bと、を含む。
【0024】
上記のように、本発明の第1の側面に係る接合装置を用いて、「フルート構造」を持つ使い捨ておむつを製造することにより、「フルート構造」を形成する2層のシートにシワが形成されず、風合いの良い使い捨ておむつを製造でき、かつ使い捨ておむつの良品出荷率も向上する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお、本願明細書において「A〜B」とは、「A以上B以下」であることを意味する。
【0027】
(1.接合装置)
まず、本発明の第1の側面に係る接合装置について説明する。
図1は、本発明に係る接合装置60の概要を示す斜視図である。
図2は、接合装置60の概要を示す側面図である。また、
図3は、接合装置60のうちエンボスロールと接着手段が配置された近傍の領域(
図2において点線で示した矩形領域)を概念的に拡大して示した斜視図である。なお、
図2及び
図3においては、立体空間における方向を理解し易くするために、直交座標X、Y、Zを設定した。
【0028】
本発明の接合装置60は、基本的に、エンボスロール1と、接着手段2、3と、抱き角形成手段4と、張力付与手段5を有している。
エンボスロール1には、シート部材を接合するための所定パターンで形成された凸部を含むブロックが設けられる。
接着手段2、3は、エンボスロール1との間でシート部材を挟み込み、挟み込んだシート部材を接着させる構成を持つ。接着手段は、例えば、超音波シール用の超音波ホーン又はヒートシール用の熱ロールにより実現される。超音波シールは、超音波振動する超音波ホーンとエンボスロールとの間で熱可塑性シート部材を挟み込み、シート部材に対して振動を加えることで摩擦熱を発生させ、この摩擦熱を利用してシート部材を溶かしながら圧着する。超音波ホーンがシート部材に押し当てられて振動が十分に伝われば、材料が溶融し、押し当てている圧力で材料間が融着される。他方、ヒートシールは、加熱された熱ロールとエンボスロールとので熱可塑性シート部材を挟み込み、熱ロールにより付与される熱を利用して、シート部材を加熱・加圧して圧着する。
また、抱き角形成手段4は、走行しているシート部材を、所定の抱き角を形成して、エンボスロールに当接させる構成を持つ。
また、張力付与手段5は、エンボスロール1と接着手段2、3が走行しているシート部材を接合する前後において、そのシート部材に対し張力を付与するための構成を持つ。
以下に説明する本発明の実施形態では、接着手段として、超音波シール用のホーンを採用した形態を例に挙げて説明を行う。ただし、上述した通り、本発明の接着手段としては、ヒートシール用の熱ロールであって公知のものを採用することができる。
【0029】
図1及び
図2に示されるように、本発明の一実施形態に係る接合装置60は、エンボスロール1と、第1ホーン2と、第2ホーン3と、複数のガイドロール4とを有している。さらに、接合装置60は、エンボスロール1の上流側と下流側のそれぞれに、一対の上流対向ロール5aと一対の下流対向ロール5bを有している。
【0030】
図1に示されるように、本発明の接合装置60は、第1シートS1に対し、第2シートS2及び第3シートS3を接合する。各シートは、熱可塑性樹脂等により形成されたプラスチックフィルムや不織布などのシート部材であることが好ましい。第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3は長尺であり、エンボスロール1や複数のガイドロール4によって、その長手方向に向かって搬送されている。本発明の接合装置60は、第1シートS1の幅方向一端部に第2シートS2の一部を接合し、第1シートS1の幅方向他端部に第3シートS3の一部を接合することができる。第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3は、もともと分離したシート部材であってもよいし、一枚のシート部材を分割して3枚のシートとしたものであってもよい。
【0031】
まず、第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3は、図示しない原反ロールから繰り出される。原反ロールから繰り出された各シートS1、S2、S3は、装置上流側に位置する一対の上流対向ロール5aにおいて重ね合わされる。上流対向ロール5aは、フィードロール51とボンディングロール52とを備える。これらのフィードロール51とボンディングロール52は、対向して配置されており、その間に第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3の各シートを挟み込むことができる。これにより、装置上流側の上流対向ロール5aでは、第1シートS1の幅方向両端部のそれぞれに、第2シートS2と第3シートS3が重ね合わされる。ここで、フィードロール51は、その回転軸がモータ(図示省略)と連動している。このため、フィードロール51は、モータの回転と連動して回転駆動することができる。すなわち、フィードロール51は、駆動ロールである。他方、ボンディングロール52は、フィードロール51の回転に連動して回転する。ボンディングロール52は、モータと連動している必要はない。すなわち、ボンディングロール52は、従動ロールである。フィードロール51とボンディングロール52は、ゴム製のラバーロールであってもよいし、金属製のスチールロールであってもよい。少なくともボンディングロール52は、ラバーロールであることが好ましい。
【0032】
上流対向ロール5aによって重ね合わされた各シートS1、S2、S3は、その重畳状態を保ったまま、エンボスロール1へと向かって搬送される。また、このエンボスロール1の装置上流側には上流ガイドロール41が位置し、エンボスロール1の装置下流側には下流ガイドロール42が位置している。各シートS1、S2、S3は、上流ガイドロール41と下流ガイドロール42にガイドされて、エンボスロール1と第1及び第2ホーン2、3の間に導入される。
【0033】
また、
図2に示されるように、各シートS1、S2、S3は、上流ガイドロール41と下流ガイドロール42によってガイドされることで、エンボスロール1に抱き角(θ)を形成して、当接する。この抱き角(θ)について、詳しくは後述する。また、各シートS1、S2、S3は、エンボスロール1に対して抱き角を形成して当接した状態で、エンボスロール1と第1及び第2ホーン2、3の間に導入される。そして、第1及び第2ホーン2、3は、超音波振動することで各シートS1、S2、S3に対して熱を付与し、各シートを融着させる。
【0034】
接合された各シートS1、S2、S3は、エンボスロール1と第1及び第2ホーン2、3の間から排出されると、下流ガイドロール42によってガイドされて、装置下流側に位置する一対の下流対向ロール5bの間に導入される。下流対向ロール5bは、フィードロール53とボンディングロール54とを備える。これらのフィードロール53とボンディングロール54は、対向して配置されており、その間には、接合された第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3を挟み込むことができる。ここで、フィードロール53は、その回転軸がモータ(図示省略)と連動している。このため、フィードロール53は、モータの回転と連動して回転駆動することができる。すなわち、フィードロール53は、駆動ロールである。他方、ボンディングロール54は、フィードロール53の回転に連動して回転する。ボンディングロール54は、モータと連動している必要はない。すなわち、ボンディングロール54は、従動ロールである。フィードロール53とボンディングロール54は、ゴム製のラバーロールであってもよいし、金属製のスチールロールであってもよい。少なくともボンディングロール54は、ラバーロールであることが好ましい。
【0035】
ここで、
図2に示されるように、本発明の接合装置60では、上流対向ロール5aと下流対向ロール5bとによって、それぞれ各シートS1、S2、S3を挟み込むことで、これらのシートに対して、一定の張力を付与している。すなわち、エンボスロール1の前後において、各シートS1〜S3を挟み込んで引っ張ることで、各シートS1〜S3に生じるシワを引き伸ばすことが可能である。このように、エンボスロール1の前後に上流対向ロール5aと下流対向ロール5bを配置することで、各シートS1〜S3は、エンボスロール1と第1及び第2ホーン2、3の間に導入されるときは、適切な張力が付与された状態となる。従って、各シートS1〜S3は、張力が付与された状態で、エンボスロール1と第1及び第2ホーン2、3によって接合される。これにより、各シートS1〜S3をシワなく接合することが可能になる。
【0036】
また、
図2に示されるように、上流対向ロール5aと上流ガイドロール41の間には、他のロール装置が配置されていない。また、下流対向ロール5bと下流ガイドロール42の間には、他のロール装置が配置されていない。このように、張力を付与するための対向ロール5a、5bと抱き角を形成するためのガイドロール41、42の間に他のロール装置を介在させないようにする。これにより、他のロール装置によって搬送される際に、各シートS1〜S3にシワが発生することを防止できる。
【0037】
また、
図2において、上流対向ロール5aが各シートS1〜S3を挟み込む点(第1点)は、符号P1で示されている。また、下流対向ロール5bが各シートS1〜S3を挟み込む点(第2点)は、符号P2で示されている。また、上流ガイドロール41と各シートS1〜S3が当接する点(第3点)は、符号P3で示されている。また、下流ガイドロール42と各シートS1〜S3が当接する点(第4点)は、符号P4で示されている。さらに、エンボスロール1と第1及び第2ホーン2、3が各シートS1〜S3を挟み込む点(第5点)は、符号P5で示されている。
【0038】
ここで、
図2に示されるように、接合装置60を側面から見て、エンボスロール1側(図中右側)と接着手段2、3側(図中左側)とに分けた場合に、第1点(P1)と第2点(P2)は、第3点(P3)と第4点(P4)よりも、接着手段2、3側(図中左側)に位置している。これにより、第1点(P1)と第3点(P3)を繋ぐ各シートS1〜S3は、略S字型となり、第2点(P2)と第4点(P4)を繋ぐ各シートS1〜S3も、略S字型となっている。
さらに、
図2に示されるように、接合装置60を側面から見た場合に、第1点(P1)と第2点(P2)を結ぶ直線上には、第5点(P5)が位置している。これにより、
図2に示されるように、各シートS1〜S3の搬送経路は波状となる。
【0039】
このように、第1点(P1)、第2点(P2)、第3点(P3)、第4点(P4)、及び第5点(P5)の位置をそれぞれ設定することで、各シートS1〜S3は、適切な張力を有しながら、エンボスロール1の周面に抱き角を形成するように当接して、搬送されることとなる。これにより、各シートS1〜S3を、シワなく美麗に接合することが可能となる。
【0040】
また、例えば、各シートS1〜S3に対して適切な張力を付与するために、エンボスロール1による搬送速度(R1)と、上流対向ロール5aを構成するフィードロール51による搬送速度(R2)と、下流対向ロール5bを構成するフィードロール53による搬送速度(R3)を、調節することも可能である。ここにいう搬送速度は、単位時間あたりに、シート部材を搬送することのできる長さによって決定される(m/分)。例えば、フィードロール53の搬送速度(R3)は、エンボスロール1の搬送速度(R1)及びフィードロール51の搬送速度(R2)よりも、速いことが好ましい(R3>R1、R2)。なお、エンボスロール1の搬送速度(R1)とフィードロール51の搬送速度(R2)は、略等しいことが好ましい。(R3>R1=R2)。このように、フィードロール53の搬送速度(R3)は、エンボスロール1の搬送速度(R1)及びフィードロール51の搬送速度(R2)よりも速くすることで、フィードロール53によって各シートS1〜S3が引っ張られるようになり、適切な張力が付与される。例えば、フィードロール53の搬送速度(R3)は、エンボスロール1の搬送速度(R1)及びフィードロール51の搬送速度(R2)よりも、0.1〜10m/分、0.5〜8m/分、又は1〜5m/分程度、速いものであることが好ましい。
【0041】
続いて、エンボスロール1の構成について詳しく説明する。
図3に示されるように、エンボスロール1は、回転軸を持つ断面円形のロール本体10を有する。ロール本体10の回転軸は、
図3に示したY軸と平行となっている。ロール本体10は、この回転軸に従って回転する。また、ロール本体10は、Z方向を長手方向としY方向を短手方向とする各シートS1、S2、S3の面に当接するようになっている。また、ロール本体10の軸方向の長さは、各シートS1、S2、S3を重ね合わせた状態の全体幅を超えるものであることが好ましい。ロール本体10は、図示しない駆動手段によって回転され、
図3に示された矢印の方向に各シートS1、S2、S3を、搬送する。
【0042】
ロール本体10の外周面には、第1パターンブロック11と、第2パターンブロック12が設けられる。第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12は、ロール本体10と回転軸を共有しており、ロール本体10と同様に断面円形の円柱状に形成されている。
図2及び
図3に示されるように、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12は、所定の厚みを有し、ロール本体10の外周面に対して一段高く形成されている。例えば、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12は、1mm〜20mm、又は5mm〜10mm程度の段高さを有する。第1パターンブロック11は、ロール本体10の外周面であって、第1シートS1と第2シートS2の重畳箇所(C1)に当接する位置に設けられている。第1パターンブロック11の幅は、重畳箇所(C1)の幅よりも幅狭であってもよいが、幅広とすることが好ましい。また、第2パターンブロック12は、ロール本体10の外周面であって、第1シートS1と第3シートS3の重畳箇所(C2)に当接する位置に設けられている。第2パターンブロック12の幅は、重畳箇所(C2)の幅よりも幅狭であってもよいが、幅広とすることが好ましい。
【0043】
図3に示されるように、第1パターンブロック11と第2パターンブロック12は、ロール本体10の軸方向両端には設けられておらず、ある程度その両端よりも軸方向内側に設けられている。このため、ロール本体10は、第1パターンブロック11と第2パターンブロック12よりも軸方向内側に位置する内側部10aと、第1パターンブロック11と第2パターンブロック12よりも軸方向外側に位置する外側部10bを有する。ロール本体10における内側部10aの軸方向における長さや、外側部10bの軸方向における長さは、第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3の幅や、第1シートS1に第2シートS2と第3シートS3を接合する位置に応じて適宜設定すればよい。基本的に、ロール本体10の軸方向の長さが、各シートS1、S2、S3を重ね合わせた状態の全体幅を超えるものとすることが好ましい。
【0044】
図3に示されるように、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12それぞれの外周面には、複数の凸部11a、12aが形成されている。複数の凸部11a、12aは、第1シートS1に対して、第2シートS2及び第3シートS3を接合する所望のパターンに応じて設けられる。本発明においては、第1シートS1に対して、第2シートS2及び第3シートS3を、各シートの流れ方向に沿って接合部と非接合部が連続するように間欠的に接合する。このため、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12それぞれの外周面には、複数の凸部11a、12aが、ロール本体10の回転方向に所定の間隔を空けて間欠的に設けられる。隣り合う凸部11a、12aの間隔は等しいものであることが好ましく、複数の凸部11a、12aは規則的なパターンを形成していることが好ましい。複数の凸部11a、12aは、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12の外周面に対し、さらに一段高く形成されている。例えば、各凸部11a、12aの段高さは、0.5mm〜5mm、1mm〜3mm程度であることが好ましい。なお、複数の凸部11a、12aが形成されるパターンは、図示されたものに限定されない。例えば、複数の凸部11a、12aは、ロール本体10の回転方向及び軸方向に、所定間隔を空けて設けられたものであってもよい。また、複数の凸部11a、12aは線状のものに限られず、例えばドット状に形成されたものであってもよい。例えば、ドット状の複数の凸部11a、12aが、ロール本体10の軸方向に沿って列をなし、この凸部の列が、ロール本体10の回転方向に所定の間隔を空けて間欠的に設けられていてもよい。
【0045】
他方、
図3に示されるように、第1パターンブロック11と対向する位置には第1ホーン2が配置され、第2パターンブロック12と対向する位置には第2ホーン3が配置されている。第1ホーン2は、第1パターンブロック11(特に凸部11a)との間において、第1シートS1と第2シートS2の重畳箇所(C1)を挟み込むことができるように、第1パターンブロック11に近接して配置されている。同様に、第2ホーン3は、第2パターンブロック12(特に凸部12a)との間において、第1シートS1と第3シートS3の重畳箇所(C2)を挟みことができるように、第2パターンブロック12に近接して配置されている。各パターンブロック11、12と各ホーン2、3は、その外表面同士が接触する程度に近接したものであってもよい。また、各パターンブロック11、12と各ホーン2、3は、重畳したシートの厚みを2Tとした場合に2T以下の距離で離間する程度に近接したものであってもよい。
【0046】
第1ホーン2及び第2ホーン3は、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12との間において、重畳したシートを挟み込むことにより、そのシートに対して摩擦熱を発生させ、重畳したシートを溶着させる。このため、第1ホーン及び第2ホーン2、3は、超音波振動することによりシートに対して摩擦熱を付与する超音波ホーンであることが好ましい。本願明細書では、第1ホーン2及び第2ホーン3が、超音波ホーンである場合を例にして説明する。
【0047】
超音波ホーンは、パターンブロック11、12に設けられた凸部11a、12aとの間でシートを挟持し、超音波振動による摩擦熱を利用してシートを溶着させるものである。このため、超音波ホーンは、挟持した部分に対して局所的に熱を付与できる。従って、超音波ホーンは、自らが発熱する加熱ホーンと比較し、余計な熱をシートに対して付与せずに済むことから、シート同士を細かい間欠的な間隔で接合する用途に適している。ただし、超音波ホーンは、自らが超音波振動するものであるため、シート同士を挟持して接合する際、シートにヨレや歪みを生じさせ易く、結果として接合したシートにシワが発生し易くなるという課題がある。この点、本発明は、このような超音波ホーンを用いた接合においてシワが生じるという課題を解消できるため、挟持した部分にのみ正確に熱を付与できるという超音波ホーンの利点を有効に活用できる。
【0048】
超音波ホーン2、3は、例えば、摩擦対象のシートに接する当接面を持つホーン部21、31と、ホーン部21、31に接続されたブースタ部(図示省略)と、ブースタ部に接続されたコンバータ部(図示省略)を備える。コンバータ部は、高周波電気信号を機械振動に変換し、ブースタ部に伝導する。ブースタ部は、コンバータ部が発生せた振動を増減し、ホーン部21、31を超音波振動させる。ホーン部21、31は、コンバータ部及びブースタ部の超音波振動に共鳴して振動し、振動エネルギーを当接面から摩擦対象のシートに対して加え、摩擦熱を発生させる。超音波ホーンの当接面は、フラットな面であることが好ましい。ホーン部21、31の当接面は、パターンブロック11、12の外周面に臨み、シートに対してX軸方向から当接する。
【0049】
また、超音波ホーン2、3の位置は、エンボスロール1に設けられたパターンブロック11、12の位置に合わせて、適宜調節可能である。すなわち、超音波ホーン2、3を支持する架台(図示省略)にスライド機構を設けて、超音波ホーン2、3同士の間隔を適宜調節可能に構成することが好ましい。
【0050】
図2及び
図3に示されるように、第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3は、エンボスロール1に対して所定の抱き角を形成するように当接している。そして、第1ホーン2及び第2ホーン3は、エンボスロール1との間で、各シートS1、S2、S3が抱き角を形成した部分を挟持している。ここにいう「抱き角」とは、各シートS1、S2、S3がエンボスロール1の外周面に接触を開始した点からエンボスロールの外周面を離れようとした点までの円弧線で形成される中心角をいい、
図2において角θで表されている。具体的に説明すると、各シートS1、S2、S3がエンボスロール1に当接する抱き角θは、例えば5度〜180度、好ましくは20度〜90度とすればよい。
【0051】
上記のように、各シートS1、S2、S3が抱き角を形成してエンボスロール1に当接するようにするためには、エンボスロール1と、エンボスロール1の装置上流に位置する上流ガイドロール41と、エンボスロール1の装置下流に位置する下流ガイドロール42の相対位置を調節すればよい。例えば、
図2に示されるように、上流ガイドロール41と下流ガイドロール42は、エンボスロール1が当接する各シートS1、S2、S3の面(表面)とは反対側の面(裏面)から、各シートS1、S2、S3を押圧し、張力を付加している。また、
図2に示されるように、上流ガイドロール41及び下流ガイドロール42が各シートS1、S2、S3に当接する点は、エンボスロール1及び各ホーン2、3が各シートS1、S2、S3に当接する点よりも、X軸負方向に位置している。このように、エンボスロール1、上流ガイドロール41、及び下流ガイドロール42の相対位置を調節すれば、各シートS1、S2、S3に所望の抱き角を形成できる。
【0052】
このように、各シートS1、S2、S3が抱き角を形成してエンボスロール1に当接することで、各シートS1、S2、S3は、エンボスロール1の第1及び第2パターンブロック11、12以外の点においても、ロール本体10に当接するようになる。すなわち、
図3に示されるように、第1シートS1と第2シートS2の重畳部分(C1)は、エンボスロール1の第1パターンブロック11に当接し、第1シートS1と第3シートS3の重畳部分(C2)は、エンボスロール1の第2パターンブロック12に当接する。そして、各シートS1、S2、S3が抱き角を形成していることにより、第1シートS1の幅方向中央部分(A)は、エンボスロール1のロール本体10における内側部10aに当接する。また、第2シートS2の余剰部分(B1)と第3シートS3の余剰部分(B2)は、エンボスロール1のロール本体10における外側部10bに当接する。これにより、各シートS1、S2、S3は、全面的にエンボスロール1のロール本体10に当接して張力を負荷されながら搬送されるようになる。このように、エンボスロール1により各シートS1、S2、S3の各部分(A、B1、B2、C1、C2)に対して付与される引張力が均一化されるため、各部分の間にヨレやズレが生じにくくなる。
【0053】
特に、本発明においては、
図2に示されるように、エンボスロール1の外周面から上流ガイドロール41の外周面までの距離よりも、エンボスロール1の外周面から下流ガイドロール42の外周面までの距離の方が近いものであることが好ましい。エンボスロール1の各パターンブロック11、12における凸部11a、12aと下流ガイドロール42は、表面が接触する程度に近接したものであってもよい。また、エンボスロール1の各パターンブロック11、12における凸部11a、12aと下流ガイドロール42は、重畳したシートの厚みを2Tとした場合に2T以下の距離で離間する程度に近接したものであってもよい。このように、下流ガイドロール42をエンボスロール1に近接させて配置することにより、各シートS1、S2、S3を溶着させた後、直ぐに下流ガイドロール42によって各シートS1、S2、S3を押圧することができるため、各シートS1、S2、S3の接合強度が向上し、接合部分にシワが生じる事態をより効果的に防止できる。
【0054】
さらに、本発明においては、
図3に示されるように、エンボスロール1におけるロール本体10の外側部10bの外周面には、外側シート搬送用ブロック13が設けられている。また、エンボスロール1におけるロール本体10の内側部10aの外周面には、内側シート搬送用ブロック14が設けられている。外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14は、ロール本体10と回転軸を共有しており、ロール本体10と同様に断面円形の円柱状に形成されている。
図3に示された例において、外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14の外周面は、円滑面を形成している。
図3に示されるように、外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14は、所定の厚みを有し、ロール本体10の外周面に対して一段高く形成されている。外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14の段高さは、上記した第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12とほぼ同じであることが好ましい。すなわち、外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14の段高さは、第1パターンブロック11及び第2パターンブロック12の段高さに対して、±5%以内であることが好ましい。
【0055】
また、
図3に示されるように、エンボスロール1の両端近傍に設けられた外側シート搬送用ブロック13は、第2シートS2の余剰部分B1と、第3シートS3の余剰部分(B2)に当接する位置に設けられる。外側シート搬送用ブロック13の幅は、第2シートS2と第3シートS3の余剰部分(B1、B2)の幅よりも幅狭であってもよいが、幅広とすることが好ましい。
また、
図3に示されるように、エンボスロール1の中央近傍に設けられた内側シート搬送用ブロック14は、第1シートS1の幅方向中央部分(A)に当接する位置に設けられる。内側シート搬送用ブロック14の幅は、第1シートS1の幅方向中央部分(A)の幅よりも幅狭であることが好ましい。
なお、外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14は、必ずしも両方設ける必要はなく、例えば、外側シート搬送用ブロック13だけを設けることとしてもよいし、内側シート搬送用ブロック14だけを設けることとしてもよい。
【0056】
シート搬送用ブロック13、14は、パターンブロック11、12と同じ高さにされていることが好ましい。パターンブロック11、12と同じ高さで、シート搬送用ブロック13、14がシートに当接することで、シートにしわが入りにくくなる。シートの目付やコシ、滑りやすさおよび幅縮みなどの特性によっては、ずれやすさが変わり、しわの入りやすさも変わるため、シート搬送用ブロック13、14には摩擦力を増すための表面加工を施したり、シートを吸引するための吸引穴を設けて、シートを保持しやすくしてもよい。また、逆に滑りをよくするために表面を平滑にしてもよい。なお、パターンブロック11、12は、必ずしも同軸上に設ける必要はない。また、シート搬送用ブロック13、14も、必ずしも同軸上に設ける必要はない。例えば、シート搬送用ブロック13、14は、固定のブロックやガイド板に置き換えることも可能である。このように、パターンブロック11、12等を柔軟な構成とすることにより、設備投資を安価なものとすることができる。
【0057】
接着手段にヒートシールを選択した場合、エンボスロールとヒートシールロールはシートの融点付近まで加熱する必要がある。その際、エンボスロールはヒートシールロールより低い温度とするのが好ましい。そうすることでシートが部分的に融けたり、硬くなったりする不具合を防ぐことができる。また、この場合、シート搬送用ブロック13、14はヒートシールロール本体と熱的に遮断して、加熱されない構造とするのが好ましい。例えば、シートを吸引するための吸引穴を設け、空気を吸引することでシート搬送用ブロック13、14の温度をヒートシールロール本体の温度より低く保つようにしてもよい。他方、超音波シールの場合は、超音波シール用ホーンとエンボスロールの間のクリアランスを精度良く保つため、エンボスロールを50〜90℃に温度調整して熱膨張による外径変化を防止することが好ましい。
【0058】
上記のように、外側シート搬送用ブロック13及び内側シート搬送用ブロック14の両方又はいずれか一方には、少なくとも第1シートS1、第2シートS2、又は第3シートS3のいずれかと重なる位置に、吸引孔(図示省略)が設けることとしてもよい。外側シート搬送用ブロック13又は内側シート搬送用ブロック14に設けられる吸引孔は、公知の吸引装置に繋がっている。このため、外側シート搬送用ブロック13又は内側シート搬送用ブロック14の吸引孔に当接する各シートは、これらのブロックに吸引されつつ搬送されるようになる。従って、各シートに発生する皺を延ばすようにして搬送できるようになる。
【0059】
図4は、本発明に係る接合装置の好ましい形態を示した斜視図である。
図4に示された形態では、外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14の外周面に複数の凸部13a、14aが形成されている。なお、
図4に示された形態は、その他の点においては、
図3に示された形態と同様の構成を有している。
外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14に設けられた凸部13a、14aは、第1パターンブロック11と第2パターンブロック12に設けられた凸部11a、12aのパターンと同じパターンで設けられていることが好ましい。すなわち、外側シート搬送用ブロック13と内側シート搬送用ブロック14の複数の凸部13a、14aは、個数、段高さ、及び隣り合う凸部との間の距離が、第1パターンブロック11と第2パターンブロック12の複数の凸部11a、12aと同じであることが好ましい。このようにすることで、エンボスロール1により各シートS1、S2、S3の各部分(A、B1、B2、C1、C2)に対して付与される引張力が、さらに均一化する。
【0060】
図5は、本発明に係る接合装置の他の形態を示した斜視図である。
図5に示された形態では、第1パターンブロック11、第2パターンブロック12、外側シート搬送用ブロック13、及び内側シート搬送用ブロック14が、すべて連結したものとなっている。第1パターンブロック11、第2パターンブロック12、外側シート搬送用ブロック13、及び内側シート搬送用ブロック14は、それぞれ段の高さが等しくなっている。また、第1パターンブロック11、第2パターンブロック12、外側シート搬送用ブロック13、及び内側シート搬送用ブロック14には、それぞれ凸部11a、12a、13a、14aが形成されており、各凸部11a、12a、13a、14aの段の高さも等しくなっている。言い換えると、エンボスロール1のロール本体10の外周面には、第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3を重ね合わせた状態のシート幅全体にわたり、凸部を備えるブロックが形成されている。そして、第1シートS1と第2シートS2の接合範囲に第1ホーン2が接触するようになっており、また第1シートS1と第2シートS2の接合範囲に第2ホーン3が接触するようになっている。エンボスロール1を上記のような構成とすることにより、エンボスロール1により各シートS1、S2、S3の各部分(A、B1、B2、C1、C2)に対して付与される引張力を、さらに均一化することができる。
【0061】
ただし、
図5に示された形態において、第1パターンブロック11、第2パターンブロック12、外側シート搬送用ブロック13、及び内側シート搬送用ブロック14は、必ずしもすべてが連結したものとなっている必要はない。
例えば、第1パターンブロック11と外側シート搬送用ブロック13が連結し、かつ第2パターンブロック12と外側シート搬送用ブロック13が連結したものであってもよい。この場合、第1パターンブロック11と内側シート搬送用ブロック14と、第2パターンブロック12と内側シート搬送用ブロック14は連結しなくてもよい。
他方、第1パターンブロック11と内側シート搬送用ブロック14が連結し、かつ第2パターンブロック12と内側シート搬送用ブロック14が連結したものであってもよい。この場合、第1パターンブロック11と外側シート搬送用ブロック14と、第2パターンブロック12と外側シート搬送用ブロック14は連結しなくてもよい。
【0062】
図6は、本発明に係る接合装置のさらに別の形態を示した斜視図である。
図6に示された形態では、第1シートS1が、第2シートS2が接合される一端部側の第1−1シートS1−1と、第3シートS3が接合される他端部側の第1−2シートS1−2とに分離されている。このように、本発明の接合装置は、第1−1シートS1−1と第2シートS2の重畳部分を接合し、かつ第1−2シートS1−2と第3シートS3の重畳部分を接合する用途にも用いることができる。このような場合、一の原反ロールから繰り出された長尺のシート部材を、切断装置等により幅方向の中央部近傍において切断して、第1−1シートS1−1と第1−2シートS1−2とに分離することとしてもよい。また、第1−1シートS1−1と第1−2シートS1−2は、それぞれ別の原反ロールに巻回されており、それぞれ別の原反ロールから繰り出されたものであってもよい。
【0063】
図6に示されるように、第1−1シートS1−1は外側端部(C1)において第2シートS2と重畳し、同様に第1−2シートS1−2は、外側端部(C2)において第3シートS3と重畳する。
第1−1シートS1−1と第2シートS2は、重畳部分(C1)が、エンボスロール1の第1パターンブロック11と第1ホーン2の間を通過するように、搬送され、互いに接合される。このとき、第1−1シートS1−1と第2シートS2は、所定の抱き角を形成して第1パターンブロック11に当接するように、上流ガイドロール41及び下流ガイドロール42によって搬送ラインが調節されている。また、これにより、第1−1シートS1−1の幅方向中央寄りの部分(A1)が、エンボスロール1のロール本体10の内側部10aに当接するようになっている。同様に、第1−2シートS1−2と第3シートS3は、重畳部分(C2)が、エンボスロール1の第2パターンブロック12と第2ホーン3の間を通過するように、搬送され、互いに接合される。このとき、第1−2シートS1−2と第3シートS3は、所定の抱き角を形成して第2パターンブロック12に当接するように、上流ガイドロール41及び下流ガイドロール42によって搬送ラインが調節されている。また、これにより、第1−2シートS1−2の幅方向中央寄りの部分(A2)が、エンボスロール1のロール本体10の内側部10aに当接するようになっている。
このようにすれば、分離されたシート部材(第1−1シート及び第1−2シート)のそれぞれに対し、他のシート部材(第2シート及び第3シート)を間欠的に接合する場合で合っても、その接合部分にシワが生じることを防止できる。
【0064】
以上、本発明に係る接合装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明の接合装置はこれに限定されるものではない。例えば、第1シートS1、第2シートS2、第3シートS3が抱き角を形成してエンボスロール10に当接するための手段(抱き角形成手段)としては、上流ガイドロール41及び下流ガイドロール42に代えて、コンベア、ガイド板、又はガイドベルト等を採用することもできる。コンベア、ガイド板、又はガイドベルト等は、第1シートS1、第2シートS2、及び第3シートS3が走行するパスラインを調節し、これらのシートS1、S2、S3を、所定の抱き角を形成して、エンボスロール10に当接させる。また、例えば、上記ガイドロール、コンベア、ガイド板、又はガイドベルトのシートと当接する面に吸引手段を設けてもよい。吸引手段は、ガイドロール等に当接するシートを吸引して、走行するシートがガイドロール等からずれないようにするための手段である。
【0065】
(2.使い捨ておむつの製造方法)
続いて、上記接合装置60を用いた使い捨ておむつの製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、公知のパンツ型の使い捨ておむつや、テープ型の使い捨ておむつの製造方法に広く適用可能である。パンツ型の使い捨ておむつは、前身頃と後身頃の両側部が予め接合されたタイプの使い捨ておむつである。パンツ型の使い捨ておむつとしては、吸収性本体が載置される外装体が前身頃から後身頃に掛けて一体となった一体型のものであってもよいし、外装体が前身頃及び後身頃で分離され、前身頃外装体と後身頃外装体の間に吸収性本体が架橋された架橋型のものであってもよい。また、テープ型の使い捨ておむつは、前身頃又は後身頃の両側部に接着テープが取り付けられ、着用時に接着テープを利用して前身頃と後身頃を接着させるタイプの使い捨ておむつである。以下では、これらの種々のタイプの使い捨ておむつのうち、外装体が前身頃から後身頃に掛けて一体となった一体型のパンツ型の使い捨ておむつを例に挙げて、その製造方法を具体的に説明する。
なお、以下では、例えば「原アウターシート」という表現を使用するが、この「原アウターシート」等は、使い捨ておむつの製造ラインにおいて切断加工されることにより、後に、使い捨ておむつのアウターシート等となる部材を意味する。
【0066】
図7は、本発明に係る使い捨ておむつの製造工程を示した概念図である。
図7では、矢印Aで示された方向が、おむつ製造工程の流れ方向となっている。
本発明の製造方法では、まず、図示しない原反ロールから原アウターシート111が繰り出されて、おむつの製造ラインに導入される(ステップS1)。原アウターシート111は、製造工程の流れ方向に沿う方向が長手方向となり、製造工程の流れ方向に直交する方向が幅方向となっている。原アウターシート111は、幅方向の一端側が、製造される使い捨ておむつの前身頃側に相当し、幅方向の他端側が、製造される使い捨ておむつの後身頃側に相当する。
【0067】
原アウターシート111の上(肌当接面側)には、前身頃側の端部に原第1クッション形成シート112と重ね合わせ、後身頃側の端部に原第2クッション形成シート113が重ね合わされる(ステップS2)。すなわち、原アウターシート111と各原クッション形成シート112、113が重なり合う領域は、原アウターシート111の幅方向の両先端部分に位置している。なお、各原クッション形成シート112、113が重なり合う原アウターシート111の領域を、クッション形成領域111aという。各原クッション形成シート112、113は、例えば、一つの原反ロールから繰り出された後に、スリッターによって前身頃側の原第1クッション形成シート112と原後身頃側の第2クッション形成シート113とに分断されて、原アウターシート111の前身頃側と後身頃側の端部のそれぞれに重ね合わされるものであってもよい。また、各原クッション形成シート112、113は、前身頃側の原第1クッション形成シート112と後身頃側の原第2クッション形成シート113とを別個に巻回する二つの原反ロールから繰り出されて、原アウターシート111の前身頃側と後身頃側の端部のそれぞれに重ね合わされるものであってもよい。
【0068】
続いて、本実施形態においては、原アウターシート111と各原クッション形成シート112、113を間欠的に接合する工程を行う(ステップS3)。
図7に示されるように、原アウターシート111と各原クッション形成シート112、113は、シートの流れ方向に沿って、複数の接合部121が間欠的に形成されることにより接合される。また、本実施の形態において、複数の接合部121は、原アウターシート111と各原クッション形成シート112、11が重なり合った領域から、原アウターシート111の幅方向の中央に向かって多少の長さ延びており、接合部121の端部が、アウターシート111上において直線上に揃う。このため、原アウターシート111と各原クッション形成シート112、11は、原アウターシート111に設けられる折返部としても機能する。
【0069】
この間欠的に接合する工程において、本発明の第1の側面に係る接合装置60が用いられる。すなわち、
図1から
図3に示した図面において、「第1シートS1」は原アウターシート111に相当し、「第2シートS2」は原第1クッション形成シート112に相当し、「第3シートS3」は原第2クッション形成シート113に相当する。つまり、原アウターシート111、原第1クッション形成シート112、原第2クッション形成シート113重なり合った状態を維持したまま、エンボスロール1と第1及び第2ホーン2、3の間に導入される。原アウターシート111、原第1クッション形成シート112、原第2クッション形成シート113は、所定の抱き角を形成して、エンボスロール1の外周面に当接する。原アウターシート111と原第1クッション形成シート112の重畳箇所は、エンボスロール1の第1パターンブロック11と第1ホーン2よって挟持され、第1パターンブロック11に形成された凸部11aのパターンに従って、間欠的に溶着される。同様に、原アウターシート111と原第2クッション形成シート113の重畳箇所は、エンボスロール1の第2パターンブロック12と第2ホーン3よって挟持されて、第2パターンブロック12に形成された凸部12aのパターンに従って、間欠的に溶着される。
【0070】
原アウターシート111と各原クッション形成シート112、113を間欠的に接合する工程(ステップS3)の後、原アウターシート111上(肌当接面側)には、複数の原タミー伸縮部材116が、例えばホットメルト接着剤などによって固定される(ステップS4)。このとき、複数の原タミー伸縮部材116は、原アウターシート111の前身頃側と後身頃側に、原アウターシート111の流れと一致する方向に伸長した状態で固定される。原タミー伸縮部材116は、例えば、コームガンといった手法によりホットメルト接着剤が直接塗布されることが好ましい。また、原タミー伸縮部材116は、後述するステップS8において、切断されて部分的に不連続とされる。このため、原タミー伸縮部材116を接合する際には、原タミー伸縮部材116を部分的に不連続とすることができるように、接合部分と非接合部分が交互に連続するように接着剤を塗布することが好ましい。
【0071】
その後、原アウターシート111上(肌当接面側)には、複数の原レッグ伸縮部材118が、例えばホットメルト接着剤などによって固定される(ステップS5)。原レッグ伸縮部材118は、原アウターシート111の前身頃側と後身頃側に、蛇行するようにして、伸長した状態で固定される。原レッグ伸縮部材118は、例えば、コームガンといった手法によりホットメルト接着剤が直接塗布されることが好ましい。また、原レッグ伸縮部材118は、原タミー伸縮部材116と同様に、後述するステップS8において切断されて部分的に不連続とされるため、原レッグ伸縮部材118を接合する際には、接合部分と非接合部分が交互に連続するように接着剤を塗布することが好ましい。
【0072】
その後、原アウターシート111上(肌当接面側)には、前身頃側と後身頃側のウエスト端部に相当する位置に、複数の原ウエスト伸縮部材114が、シートの流れ方向に沿って伸長状態で接合される(ステップS6)。すなわち、
図7に示されるように、複数の原ウエスト伸縮部材114は、前身頃側と後身頃側において、原タミー伸縮部材116と、各原クッション形成シート112、113が配置された間の領域に固定される。原ウエスト伸縮部材114が配置される領域は、伸縮部材接合領域111bに相当する。原ウエスト伸縮部材114は、例えば、コームガンといった手法によりホットメルト接着剤が直接塗されることが好ましい。
【0073】
その後、原アウターシート111に固定された原タミー伸縮部材116と原レッグ伸縮部材118の上に、図示しない原反ロールから繰り出された原インナーシート115が貼合される(ステップS7)。また、このとき、原インナーシート115は、複数のウエスト伸縮部材114のうち、その一部と重畳して貼合されるものであってもよい。原インナーシート115は、原アウターシート111よりも幅狭となっており、原アウターシート111の幅方向中央部を中心に貼合される。原インナーシート115は、例えばカーテンスプレーといった手法によりホットメルト接着剤が全面的に塗布された状態で、原アウターシート111の幅方向中央部を中心として接合されることが好ましい。
【0074】
その後、原タミー伸縮部材116と原レッグ伸縮部材118は、原アウターシート111と原インナーシート115の間に挟持された状態で、シートの流れ方向と直交する方向に切断される(ステップS8)。前述したように、原タミー伸縮部材116と原レッグ伸縮部材118は、接合部分と非接合部分が交互に連続するように、原アウターシート111と原インナーシート115の間に挟持固定されているため、非接合部分を切断することで、当該非接合部分において不連続となる。
【0075】
その後、原インナーシート115の上(肌当接面側)に、吸収性本体130を貼合する(ステップS9)。吸収性本体130は、原タミー伸縮部材116と原レッグ伸縮部材118が不連続となった領域に貼合される。吸収性本体130を形成する工程の図示は省略するが、公知の工程によって形成すればよい。吸収性本体130は、例えばホットメルト接着剤などを用いて接合すればよい。吸収性本体130は、例えば、液透過性のトップシートを肌当接面側に有し、液不透過性のバックシートを肌非当接面側に有し、トップシートとバックシートの間に吸収体が配設されている。そして、吸収性本体130は、バックシート側が原インナーシート115の上に貼合される。
【0076】
その後、原アウターシート111と原インナーシート115をくり抜き切断することにより、脚部周り開口部106を形成する(ステップS10)。
以上の工程により、吸収性本体130を保持するための原外装体シート110が得られる。
【0077】
その後、各原クッション形成シート112、113が間欠的に接合された原クッション形成シート111を、複数の接合部121が並ぶ直線(折線F)に沿って、シートの幅方向内方に向かって折り返す工程を行う(ステップS11)。例えば、原アウターシート111の幅方向両端側には、原アウターシート111の幅方向両端部分を、幅方向内方に向かって折り返すための一対のセーラーが位置している。一対のセーラーは、各原クッション形成シート112、113が接合された原アウターシート111の両端部分を挟み込みながら、シート両端部分を幅方向内方に案内して折り込む。これにより、原アウターシート111と各原クッション形成シート112、113の間に、複数の原ウエスト伸縮部材114が挟み込まれて固定される。このとき、各原クッション形成シート112、113と原ウエスト伸縮部材114の接合には、ステップS6において原ウエスト伸縮部材114に塗布されたホットメルト接着剤を利用してもよいし、各原クッション形成シート112、113又は原ウエスト伸縮部材114に対して改めてホットメルト接着剤を塗布することとしてもよい。
【0078】
その後、原外装体シート110の前身頃を、股下部において折り返し、後身頃に重ね合わせる(ステップS12)。
【0079】
その後、原外装体シート110の前身頃と後身頃をサイドフラップに相当する位置に、シートの流れ方向と直交する方向に沿ってサイドシール107を形成する(ステップS13)。このとき、サイドシール107は、シートの流れ方向と直交する方向に沿って2列で形成される。サイドシール107は、例えば、公知の熱エンボス装置や超音波エンボス装置を用いて施せばよい。
【0080】
その後、2列で形成されたサイドシール107の間において、原外装体シート110を、シートの流れ方向と直交する方向に切断する(ステップS14)。これにより、シートの流れ方向に沿って隣り合った使い捨ておむつの連続体を、個別の使い捨ておむつ100に切り離すことができる。
以上の工程により、外装体が前身頃から後身頃に掛けて一体となったタイプのパンツ型の使い捨ておむつを製造することができる。
【0081】
以上の工程のように、本発明の製造方法によれば、アウターシート111の前身頃側の端部に第1クッション形成シート112が間欠的に接合され、アウターシート111の後身頃側の端部に第2クッション形成シート113が間欠的に接合され、アウターシート111と各クッション形成シート112、113との間に、ウエスト伸縮部材114が固定された使い捨ておむつを製造できる。このような構成は、「フルート構造」とも称される。続いて、この「フルート構造」を持つ使い捨ておむつの構成を説明する。
【0082】
(3.使い捨ておむつの構成)
本発明の製造方法により製造される使い捨ておむつ100は、ウエスト端部にウエストギャザーが形成されている。
図8は、使い捨ておむつの例を示す展開図であって、使い捨ておむつを肌当接面側からみた状態を示している。
図8の展開図に示されるように、使い捨ておむつ100は、装着された際に、着用者の腹部に接する前身頃101と、着用者の背部に接する後身頃102と、着用者の股下にあてがわれる股下部103に区分される。使い捨ておむつ100は、前身頃101と後身頃102を結ぶ方向が「長手方向」となり、この長手方向と直交する方向が「幅方向」となる。
【0083】
図8に示されるように、使い捨ておむつ100は、前身頃101から後身頃102にかけて形成された外装体110と、この外装体110の肌当接面側に股下部103を中心として固定された吸収性本体130を有する。
図8の展開図に示されるように、外装体110は、装着時において着用者の両脚部が位置する股下部103の部分がくり抜かれた形状となっている。また、吸収性本体130は、股下部103を中心として前身頃101側から後身頃102側に掛けて延びる略矩形状に形成されている。吸収性本体130は、着用者の尿などの排泄物を吸収し保持するための各種吸収性部材によって構成される。
図8に示された展開状態から、外装体110における前身頃101と後身頃102の幅方向両端部を接合することによりパンツ型使い捨ておむつが組み上がる。パンツ型の使い捨ておむつ100では、おむつの長手方向における前身頃1の端縁と後身頃2の端縁により、ウエスト開口部が形成される。また、前身頃1と後身頃2の両端部同士が接合されることにより、装着時に着用者の脚部周りに位置する脚部周り開口部が形成される。このため、着用者は、ウエスト開口部から両脚部を入れ、各脚部を脚部周り開口部から出すことで、パンツ型の使い捨ておむつ100を装着できる。
【0084】
図9は、
図8の展開図に示されたY−Y線において、使い捨ておむつ100を長手方向に切断した状態の例を示す断面図である。
図9では、上下方向が、使い捨ておむつの長手方向となる。また、
図9では、右側が肌当接面側であり、左側が肌非当接面側である。通常、使い捨ておむつを構成する各種シート部材は極めて薄いものであるが、
図4の断面図においては、各種のシート部材に概念的な厚みを持たせて描画している。
【0085】
使い捨ておむつ100の外装体110は、吸収性本体130を着用者の身体にあてがった状態で保持するための部材である。
図8や
図9に示されるように、外装体10は、基本的に、アウターシート111と、第1クッション形成シート112と、第2クッション形成シート113と、複数のウエスト伸縮部材114と、インナーシート115と、複数のタミー伸縮部材116と、複数のレッグ伸縮部材118とを有している。
【0086】
アウターシート111は、前身頃101側と後身頃102側のウエスト開口部を形成する両端縁に相当する位置において、肌当接面側に折り返されており、この折返部を境として、肌当接面側にクッション形成領域111aが位置し、肌非当接面側に伸縮部材接合領域111bが位置している。このクッション形成領域111aと伸縮部材接合領域111bの間には、複数のウエスト伸縮部材113が、おむつの幅方向に沿って伸長状態で固定されている。また、アウターシート111には、複数のウエスト伸縮部材113が配置された位置において、複数のウエスト伸縮部材113とクッション形成領域111aの間に挟持されるように、前身頃側において第1クッション形成シート12が接合され、後身頃側において第2クッション形成シートが接合されている。このように、複数のウエスト伸縮部材113が、アウターシート111と各クッション形成シート112、113の間に固定された状態で収縮することで、ウエスト開口部近傍のウエスト端部にウエストギャザーが形成される。
【0087】
また、アウターシート111の肌当接面側には、おむつの長手方向の長さがアウターシート11よりも短いインナーシート115が貼合されている。アウターシート111とインナーシート115の間には、複数のウエスト伸縮部材113よりもおむつの股下部103寄りの位置に、複数のタミー伸縮部材116が伸長状態で固定されている。複数のタミー伸縮部材116は、おむつの幅方向に沿って伸長状態で固定されており、この複数のタミー伸縮部材116が収縮することにより、前身頃101と後身頃102の腹周りにタミーギャザーが形成される。
【0088】
また、アウターシート111とインナーシート115の間には、装着時に着用者の両脚部が位置するくり抜かれた部分に沿って、複数のレッグ伸縮部材118が伸長状態で固定されている。レッグ伸縮部材118が収縮することにより、装着時における着用者の両脚部周りの位置に、レッグギャザーが形成される。
【0089】
そして、アウターシート111のクッション形成領域111aと、各クッション形成シート112、113は、ウエスト伸縮部材113の伸長方向に沿って、接合部と非接合部が交互に連続するように間欠的に接合されている。これにより、使い捨ておむつのウエストギャザーには、「フルート構造」が形成される。「フルート構造」とは、伸長状態の弾性伸縮部材に接合された2層のシート間を、弾性伸縮部材の伸長方向に沿って間欠的に接合することにより、弾性伸縮部材が収縮した際に、この2層のシート間に空間が生じる構造を意味する。
【0090】
図10は、「フルート構造」を持つウエストギャザーを概念的に示した斜視図である。
図10では、ウエスト伸縮部材113が、アウターシート111と第1クッション形成シート112の間に挟持固定された状態を抽出して示している。
まず、
図10(a)は、ウエスト伸縮部材113が伸長状態にあり、アウターシート111及び第1クッション形成シート112が、張り詰めた状態の例を示している。
図10(a)に示されるように、アウターシート111は、ウエスト開口端縁に相当する位置において折り返され、クッション形成領域11aと伸縮部材接合領域11bが形成されている。そして、
図10(a)に示されるように、アウターシート111のクッション形成領域111aと第1クッションシート112は、ウエスト伸縮部材113の長手方向に沿って、間欠的に接合されている。すなわち、クッション形成領域111aと第1クッションシート112の間には、ウエスト伸縮部材113の伸長方向(おむつ幅方向)に沿って、接合部121と非接合部122が交互に連続して形成されている。
【0091】
図10(b)は、
図10(a)に示された状態から、ウエスト伸縮部材113が収縮し、アウターシート111及び第1クッション形成シート112が撓んだ状態の例を示している。
図10(b)に示されるように、ウエスト伸縮部材113が収縮すると、アウターシート111と第1クッション形成シート112が撓む。そして、アウターシート111のクッション形成領域111aと第1クッション形成シート112は、接合部121において間欠的に接合されているため、ウエスト伸縮部材113が収縮すると、クッション形成領域111aと第1クッション形成シート112の非接合部122に、空間Sが形成される。このように、クッション形成領域111aと第1クッション形成シート112の間に形成された空間Sは、クッションの機能を果たし、ウエストギャザーの手触りを柔軟にする。特に、空間Sが形成されることにより、ウエスト伸縮部材113に塗布された接合剤の硬さや、ウエスト伸縮部材113自体の硬さが、着用者の肌に直接伝わりにくくなるため、ウエストギャザーが、着用者の肌に与える刺激が低下する。従って、使い捨ておむつの着用感を良好なものとすることができる。
【0092】
他方、吸収性本体130は、外装体110の股下部103を中心に前身頃101及び後身頃102にかけて配置され、使い捨ておむつ100の着用時おいて、着用者の股下に当接して尿などの液体を吸収保持する。
図8の展開図や
図9の断面図に示されるように、吸収性本体130は、吸収体131と、トップシート132と、バックシート133と、立体ギャザー134を基本構成としている。
【0093】
吸収体131は、尿などの液体を吸収し、吸収した液体を保持するための部材である。吸収体131は、液透過性のトップシート132と、液不透過性のバックシート133の間に配置される。吸収体131は、トップシート132を透過した液体を吸収する機能を有し、吸収性材料により構成される。吸収体131を構成する吸収性材料には、公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては、例えば、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートを用いることとしても良い。また、吸収性材料には、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は、通常、単層又は複数層のマット状に形成され、用いられる。吸収性材料は、上側コアラップシート135と下側コアラップシート136によって、被包することが好ましい。上側コアラップシート135及び下側コアラップシート136は、肌当接面側及び肌非当接面側から、吸収性材料を被覆し、吸収性材料が外側へ漏出することを防止する。上側コアラップシート135及び下側コアラップシート136としては、ティシュペーパー、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を適宜用いることができる。
【0094】
トップシート132は、着用者の股下部の肌に直接接し、尿などの液体を吸収体131へ透過させるための部材である。このため、トップシート132は、柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また、トップシート132は、吸収体131の肌当接面側を被覆するように配置される。トップシート132を構成する不透過性材料の例は、織布、不織布、又は多孔性フィルムである。また、例えばポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0095】
バックシート133は、トップシート132を透過し吸収体131に吸収された液体が、おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため、バックシート133は、液不透過性材料によって構成される。そして、バックシート133は、吸収体131の底面からの液漏れを防止するため、吸収体131を肌非当接面側から被覆する。バックシート133を構成する不透過材料の例は、ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0096】
立体ギャザー134は、吸収体131の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。一対の立体ギャザー134のそれぞれには、その先端部に、複数の立体ギャザー伸縮部材137が配置されており、立体ギャザー伸縮部材137が収縮した際に、着用者の肌当接方向に向かって立ち上がる。このため、一対の立体ギャザー134は、尿の防漏壁となり、トップシート132を透過しなかった尿や、吸収体131により吸収しきれなった尿が、使い捨ておむつの脚部周り開口部などから漏出する横漏れを防止する。立体ギャザー134は、従来の使い捨ておむつに用いられている公知の構成を採用することができる。立体ギャザー134は、例えば、撥水性シートの層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮部材137を挟み込んで固定することにより、形成することができる。撥水性シートとしては、例えば、カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ、特に防水性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0097】
続いて、本発明に係る製造方法により製造された使い捨ておむつの他の形態について説明する。
図11に示された使い捨ておむつは、
図8に示された形態の使い捨ておむつと異なり、外装体10が、前身頃側外装体110−1と後身頃外装体110−2に分離され、これらの前身頃側外装体110−1と後身頃外装体110−2に架橋されるように吸収性本体130が配置されている。すなわち、
図11に示された使い捨ておむつは、吸収性本体130の長さ方向の一端側が前身頃外装体110−1に固定され、吸収性本体130の長さ方向の他端側が後身頃外装体110−2に固定される。このような使い捨ておむつは、例えば
図6に示された形態の接合装置60を用いて製造可能である。すなわち、例えば、使い捨ておむつのアウターシート111を形成するシート部材は、原反ロールから繰り出された後に、切断装置等によって切断され、前身頃側外装体110−1用のアウターシート111と、後身頃外装体110−2用のアウターシート111に分離される。そして、前身頃側外装体110−1用のアウターシート111の一端部には第1クッション形成シート112が重ね合わされ、後身頃外装体110−2用のアウターシート111の一端部には第2クッション形成シート113が重ね合わされる。そして、これらの各シートは、重ね合わされた状態で、接合装置60に導入される。つまり、
図6に示された図において、第1−1シートS1−1は、前身頃側外装体110−1用のアウターシート111に相当し、第1−2シートS1−2は、後身頃外装体110−2用のアウターシート111に相当し、第2シートS2は、第1クッション形成シート112に相当し、第3シートS3は、第2クッション形成シート113に相当する。このため、前身頃側外装体110−1用のアウターシート111と第1クッション形成シート112は、シートの流れ方向に沿って間欠的に接合され、同様に、後身頃外装体110−2用のアウターシート111と第2クッション形成シート113は、シートの流れ方向に沿って間欠的に接合される。その後、前身頃側外装体110−1用のアウターシート111と、後身頃外装体110−2用のアウターシート111のそれぞれの肌当接面側に、前身頃側外装体110−1用のインナーシート115と、後身頃外装体110−2用のインナーシート115を貼り合わせる。
【0098】
上記のように、
図8に示された形態の接合装置60を用いれば、外装体10が前身頃側外装体110−1と後身頃外装体110−2に分離されたタイプの使い捨ておむつであっても、前身頃側外装体110−1と後身頃外装体110−2のウエストギャザー部に、上記フルート構造を形成することが可能になる。なお、その他の製造工程については、上記
図7を参照して説明したものと同様の工程を行うこととすればよい。
【0099】
以上、本発明に係る接合装置、及び接合装置を用いた使い捨ておむつの製造方法について、好ましい形態を例に説明を行った。ただし、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更可能である。