(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワーク軸芯を中心にして回転自在に支持されるワークと、カッター軸芯を中心にして回転自在に支持される歯車状のカッターとを、食い違い軸上に配置して各々を同期回転し、設定された切削深さで前記カッターと前記ワークとを前記ワークの軸芯方向に相対移動させることでスカイビング加工を行う場合に、
前記ワーク又は前記カッターの振動が伝えられる振動センサで検知される加工時の振動の振幅値が設定値以上に達した場合に、切削深さを補正する方向に前記カッターと前記ワークとの相対位置関係を補正する位置補正、又は、前記ワークに形成される歯部を構成する一対の歯面の不均一な切削を補正する方向に前記カッターと前記ワークとの相対位相を補正する位相補正の少なくとも何れか一方の補正が行われ、
前記ワークを前記カッターで切削した場合に前記振動センサで検知される振動の最大振幅値と、この振動時における加工により前記ワークに形成される歯の一対の歯面各々の最大切削量における切削誤差値とを記憶しておき、
前記振動センサが検知する振幅値と前記最大振幅値とに基づいて振幅比を求め、この振幅比と前記切削誤差値とに基づいて補正量演算部が補正量を求め、この補正量に基づき前記位置補正と前記位相補正との少なくとも何れか一方が行われる歯車製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スカイビング加工とは、非特許文献1の「内歯平歯車スカイビングに関する研究(第1報,カッタ歯形について)」小島昌一,西嶋小巳雄 日本機械学会論文集(C編)第39巻 第324号 頁2580−2586に示されるように、「すべり」を利用して切削を実現する加工法である。
【0007】
この論文に示されるように、スカイビング加工では、切削によりワークに形成される歯の歯溝に対して、ピニオンカッターの刃部が噛み合うようにワークとカッターとを同期回転することにより、ワークに形成される歯の歯すじ方向にピニオンカッターの刃部が相対移動する「すべり」を利用して切削を実現しており、高速での加工を可能する。
【0008】
しかし、スカイビング加工では、カッターによる切削の終了近くで振動が発生することがある。このように振動が発生した場合には、カッターとワークとの位置関係が乱れるため、ワークの歯面が過剰に切削され、その振動が発生した加工領域の歯溝の幅も拡大する現象を招くものであった。
【0009】
スカイビング加工ではワークの回転軸芯と、カッターの回転軸芯とが食い違い軸上に配置される。従って、スカイビング加工に用いられるピニオンカッターを構成する複数の刃部の刃面のうち、回転下流側(先行する側)をリーディング側と称し、回転上流側をトレーリング側と称すると、切削終了時には、刃部のリーディング側が先にワークから抜け出し、トレーリング側が後に抜け出す。
【0010】
このような切削形態では切削を開始した後に切削が継続する状況で刃面のリーディング側とトレーリング側とには等しく負荷が作用するため、カッターには安定的に負荷が作用し、振動は生じ難い。しかしながら、切削領域の終端近くで刃部のリーディング側がワークから抜け出したタイミングで、リーディング側とトレーリング側とに作用する負荷が不均等になり、振動を招くことが考えられる。
【0011】
また、カッターは駆動軸の軸端に対して片持ち状に支持され、振動を招きやすい構造であるため、振動を助長していることも考えられる。この不都合を解消するために、ピニオンカッターの駆動軸の大径化を図ることも考えられるが、カッターの駆動軸は、他の治具類との干渉を避ける観点から大径化を図ることが困難であり改善の余地がある。
【0012】
本発明の目的は、スカイビング加工により歯車を製造する場合に振動を抑制して加工精度を向上させ
る製造方法を構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の特徴は、ワーク軸芯を中心にして回転自在に支持されるワークと、カッター軸芯を中心にして回転自在に支持される歯車状のカッターとを、食い違い軸上に配置して各々を同期回転し、設定された切削深さで前記カッターと前記ワークとを前記ワークの軸芯方向に相対移動させることでスカイビング加工を行う場合に、
前記ワーク又は前記カッターの振動が伝えられる振動センサで検知される加工時の振動の振幅値が設定値以上に達した場合に、切削深さを補正する方向に前記カッターと前記ワークとの相対位置関係を補正する位置補正、又は、前記ワークに形成される歯部を構成する一対の歯面の不均一な切削を補正する方向に前記カッターと前記ワークとの相対位相を補正する位相補正の少なくとも何れか一方の補正が行われ
、
前記ワークを前記カッターで切削した場合に前記振動センサで検知される振動の最大振幅値と、この振動時における加工により前記ワークに形成される歯の一対の歯面各々の最大切削量における切削誤差値とを記憶しておき、
前記振動センサが検知する振幅値と前記最大振幅値とに基づいて振幅比を求め、この振幅比と前記切削誤差値とに基づいて補正量演算部が補正量を求め、この補正量に基づき前記位置補正と前記位相補正との少なくとも何れか一方が行われる点にある。
【0014】
この構成によると、カッターによるワークの切削時に振動センサで設定値以上の振幅の振動を検知した場合には、切削深さを浅くする方向にカッターとワークとの相対位置関係を補正する位置補正、又は、ワークに形成される歯部を構成する一対の歯面の不均一な切削を補正する方向にカッターとワークとの相対位相を補正する位相補正の少なくとも何れか一方の補正が行われる。
【0015】
位置補正により切削深さを浅くする方向にカッターとワークとの相対位置関係が補正された場合には、カッターに作用する負荷を軽減して振動を抑制すると同時に、振動に伴う過剰な切削を抑制する。
【0016】
また、位相補正によりワークに形成される歯部を構成する一対の歯面の不均一な切削を補正する方向にカッターとワークとの相対位相が補正された場合には、一対の歯面のうちの一方が過剰に切削される現象を抑制できる。尚、歯部の一対の歯面が不均一に切削される現象は、ワークとカッターとが強く接触することが原因として考えられ、補正により強く接触する状態を解消して振動の抑制も可能となる。
【0017】
このように、振動センサで検知される振動の振幅値が設定値以上に達した場合に、2種の補正の一方又は双方を行うことにより、スカイビング加工により歯車を製造する場合の振動を抑制して加工精度を向上させ、高精度で歯車を製造し得る製造方法が構成されたのである。
【0018】
また、この特徴によると、振動センサで検知した振動の振幅値が設定値以上に達した場合には、この振幅値と、予めメモリ等に記憶した最大振幅値及び切削誤差値と、に基づき補正量演算部が補正量を求め位置補正と位相補正との少なくとも何れか一方の補正が行われる。この補正では、振動センサで検知した振動の振幅値を補正の補正量に反映することが可能となり、適正な補正を実現する。
【0019】
本発明の特徴は、ワーク軸芯を中心にして回転自在に支持されるワークと、カッター軸芯を中心にして回転自在に支持される歯車状のカッターとを、食い違い軸上に配置して各々を同期回転し、設定された切削深さで前記カッターと前記ワークとを前記ワークの軸芯方向に相対移動させることでスカイビング加工を行う場合に、
前記ワーク又は前記カッターの振動が伝えられる振動センサで検知される加工時の振動の振幅値が設定値以上に達した場合に、切削深さを補正する方向に前記カッターと前記ワークとの相対位置関係を補正する位置補正、又は、前記ワークに形成される歯部を構成する一対の歯面の不均一な切削を補正する方向に前記カッターと前記ワークとの相対位相を補正する位相補正の少なくとも何れか一方の補正が行われ、
前記ワークを前記カッターで切削した場合に前記振動センサで検知される振動の最大振幅値と、この振動時における加工により前記ワークに形成される歯の一対の歯面各々の最大切削量における切削誤差値とを求め、前記振動センサでの検知が予測される予測振幅値と前記最大振幅値とに基づいて複数の振幅比を求め、これらの振幅比と前記切削誤差値とに基づき、前記振動センサで検知される振幅値に対する補正量を補正量参照テーブルに記憶しておき、
前記振動センサが検知する振幅値に基づいて補正量読出部が前記補正量参照テーブルから補正量を読み出し、この補正量に基づき前記位置補正と前記位相補正との少なくとも何れか一方が行われる点にある。
【0020】
この構成によると、カッターによるワークの切削時に振動センサで設定値以上の振幅の振動を検知した場合には、切削深さを浅くする方向にカッターとワークとの相対位置関係を補正する位置補正、又は、ワークに形成される歯部を構成する一対の歯面の不均一な切削を補正する方向にカッターとワークとの相対位相を補正する位相補正の少なくとも何れか一方の補正が行われる。
【0021】
位置補正により切削深さを浅くする方向にカッターとワークとの相対位置関係が補正された場合には、カッターに作用する負荷を軽減して振動を抑制すると同時に、振動に伴う過剰な切削を抑制する。
【0022】
また、位相補正によりワークに形成される歯部を構成する一対の歯面の不均一な切削を補正する方向にカッターとワークとの相対位相が補正された場合には、一対の歯面のうちの一方が過剰に切削される現象を抑制できる。尚、歯部の一対の歯面が不均一に切削される現象は、ワークとカッターとが強く接触することが原因として考えられ、補正により強く接触する状態を解消して振動の抑制も可能となる。
【0023】
このように、振動センサで検知される振動の振幅値が設定値以上に達した場合に、2種の補正の一方又は双方を行うことにより、スカイビング加工により歯車を製造する場合の振動を抑制して加工精度を向上させ、高精度で歯車を製造し得る製造方法が構成されたのである。
【0024】
また、この特徴によると、振動センサで検知した振動の振幅値が設定値以上に達した場合には、この振幅値と、補正量参照テーブルから補正量読出部が補正値を読み出し、位置補正と位相補正との何れか少なくとも何れか一方の補正が行われる。この補正では、振動センサで検知した振動の振幅値を補正の補正量に反映し、演算を行わずに済むため、演算に要する時間を無くし振幅値に対応した迅速な補正を可能にする。
【0025】
本発明は、前記振動センサで検知される振幅値が予め設定された限界値以上に達した場合には、異常を報知しても良い。
【0026】
カッターが破損した場合や、カッターによる切削能力が大きく低下した場合には、加工時に大きい振幅の振動を招くものである。この現象を利用して、カッターが破損した場合や、カッターによる切削能力が大きく低下した場合の振幅値を限界値に設定することにより、適正な加工が不能に陥った場合には、異常報知作動が行われる。これにより、作業者に対して異常な状況にあることを報知し、必要な対応を可能にする。
【0027】
本発明は、前記振動センサで検知される振幅値が予め設定された基準値以上に達した場合には、前記カッターの交換を促す交換報知が行われても良い。
【0028】
カッターによる切削能力が低下した場合には、適正なカッターを用いた場合と比較して、加工時の振動が増大するものである。この現象を利用して、カッターの切削能力が低下した場合の振幅値を基準値に設定することにより、カッターの切削能力が低下した場合には交換報知作動が行われる。これにより、作業者に対してカッターの交換を必要とする状況にあることを報知し、必要な対応を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔スカイビング加工装置〕
図1〜
図3に示すよう
に、本発明の歯車製造方法を実現するスカイビング加工装置が構成されている。このスカイビング加工装置は、ワーク軸芯Tを中心に回転自在にリング状のワーク1を支持するテーブル2と、カッター軸芯Sを中心にシャフトホルダー11により回転自在に支持されるピニオン型のカッター10とを備えている。
【0031】
このスカイビング加工装置では、ワーク軸芯Tとカッター軸芯Sとが食い違い軸芯上に配置されている。また、テーブル2は切削作動機構Mに支持され、この切削作動機構Mの作動と、ワーク1の回転と、カッター10の回転とを制御する制御ユニットDを備えている。
【0032】
テーブル2は、加工対象となるワーク1を固定する複数のチャック3を有し、シフトフレーム5に対してワーク軸芯Tを中心にして回転自在に支持され、テーブルモータ2Mにより回転駆動される。
【0033】
カッター10は、複数の刃部10Aを有したヘリカルギヤ型に構成され、カッターモータ10Mにより回転駆動される。また、テーブルモータ2Mとカッターモータ10Mとにステッピングモータ等の同期モータが採用されている。
【0034】
切削作動機構Mは、シフトフレーム5と、スライドフレーム6と、シフトモータ5Mと、第1スライドモータ6Maと、第2スライドモータ6Mbとを備えている。シフトフレーム5は、スライドフレーム6に対してワーク軸芯Tに沿う方向に移動自在に支持され、スライドフレーム6は、ワーク軸芯Tに対して直交する姿勢の仮想平面上の2方向に移動自在にとなるように、スカイビング加工装置のフレームに支持されている。
【0035】
シフトモータ5Mは、シフトフレーム5をワーク軸芯Tに沿う方向に往復移動させ、第1スライドモータ6Maと第2スライドモータ6Mbとは、スライドフレーム6をワーク軸芯Tと直交する姿勢の仮想平面上において、夫々直交する方向に独立して往復移動させる。
【0036】
前述したようにワーク軸芯Tとカッター軸芯Sとが食い違い軸芯上に配置することにより、ワーク軸芯Tが、ワーク1に形成される歯車の歯すじ方向(ワーク軸芯Tと平行する方向)と平行し、この歯すじ方向にカッター10の刃部10Aの歯すじ方向が平行する位置関係に配置されている。このような配置から、シフトモータ5Mの駆動によりカッター10の刃部10Aに対し、ワーク1をワーク軸芯Tの方向に相対移動させることが可能となる。また、第1スライドモータ6Maと第2スライドモータ6Mbとの独立した駆動によりカッター10に対しワーク軸芯Tに直交する方向でのワーク1の相対的な位置関係を任意に決めることが可能となる。尚、この位置関係の設定により、カッター10の刃部10Aによる切削深さの設定や、カッター10の刃部10Aをワーク1から離間させる作動が実現する。
【0037】
切削作動機構Mでは、シフトモータ5Mによるシフト作動と、第1スライドモータ6Ma及び第2スライドモータ6Mbによるセッティング作動とは、ネジ送り型を想定しているが、ラックギヤとピニオンギヤとの組み合わせた構成で良く、タイミングベルトを用い、このタイミングベルトの作動を直接的に伝える構成でも良い。
【0038】
また、切削作動機構Mは、前述した構成に限るものではなく、例えば、多関節ロボットアームと同様に複数のアームを備えて構成しても良い。また、スカイビング加工装置として、テーブル2を位置固定状態で回転させ、カッター10をワーク1に対し、このワーク1のワーク軸芯Tの方向に相対移動させるように、例えば、カッター10を多関節ロボットアーム等に支持する構成を採用しても良い。
【0039】
また、このスカイビング加工装置では、ワーク軸芯Tとカッター軸芯Sとの食い違い姿勢を決めるための相対角度設定部を備えても良い。この相対角度設定部は手動操作型であって良く、電動モータを用いた駆動操作型であっても良い。
【0040】
〔加工の概要〕
このスカイビング加工装置では、制御ユニットDが、カッター10による切削深さを設定し、この位置関係において、カッターモータ10Mとテーブルモータ2Mとを所定の角速度比で同期駆動し、ワーク1をシフトさせる制御により切削を実現する。
【0041】
具体的には、ワーク1を主回転方向Rtに回転させ、カッター10を副回転方向Rsに回転させることにより、ワーク1とカッター10との接触部位では等速で同期回転させる。このように同期駆動する状態ではカッター10の刃部10Aの速度ベクトル(
図3のS1の方向)と、ワーク1の速度ベクトル(同じくR1の方向)とが異なる。この速度ベクトルの差分によってワーク1とカッター10との間で歯すじ方向に「すべり速度」が発生する。このスカイビング加工装置では、この「すべり速度」を利用して切削を行いながら、ワーク1をワーク軸芯Tに沿う方向に移動させることにより、ワーク1の歯すじ方向の全領域の切削を実現している。
【0042】
この切削加工では、ワーク1の内周に対して内歯平歯車を形成するものであるが、内歯はすば歯車を形成するように加工形態を設定しても良い。尚、はすば歯車を加工する場合には、カッター10をワーク1と同期回転させつつ、カッター10とワーク1との相対位相を徐々にずらす差動を与えながらカッター10をワーク1の軸芯に沿う方向に移動させることになる。
【0043】
特に、本発明のスカイビング加工装置では、カッター10のシャフトを回転自在に支持するシャフトホルダー11に振動センサ15を備えている。制御ユニットDは、振動センサ15で検知される振動の振幅値が設定値以上に達した場合に、切削深さを補正する方向にカッター10とワーク1との相対位置関係を補正する位置補正作動を行う、又は、歯車の一対の歯面のうちの一方の過切削を少なくする方向にカッター10とワーク1との相対位相を補正する位相補正作動の何れか少なくとも一方の補正作動を行う。尚、切削深さを補正する方向とは、基本的に切削深さを浅くする方向である。しかしながら、振動が設定された切削深さを振幅中心とせず、切削深さを浅くする特性である場合には、切削深さを深くする方向への補正も想定される。
【0044】
振動センサ15は、ワーク1を支持するシフトフレーム5に備えても良く、このシフトフレーム5と、前述したシャフトホルダー11とに備えても良い。尚、複数の振動センサ15を備えた場合には、夫々の振動センサ15の検知信号の平均値を用いることや、複数の検知信号に重み付けを行って用いても良い。
【0045】
〔制御ユニット〕
制御ユニットDは、マイクロプロセッサやDSPを備え、スカイビング加工を実現するソフトウエアがセットされている。このソフトウエアとして、相対位置設定部31と、同期回転制御部32と、シフト作動制御部33と、振幅判定部34と、制御選択部35と、補正制御部36と、報知制御部37とを備えている。また、この制御ユニットDは、液晶式等のモニタ16とスピーカ17とに対して情報を出力できるように構成されている。
【0046】
制御ユニットDは、テーブルモータ2Mと、カッターモータ10Mと、シフトモータ5Mと、第1スライドモータ6Maと、第2スライドモータ6Mbとの駆動回路に制御信号を出力すると共に、モニタ16と、スピーカ17とに制御信号を出力する出力インタフェースを備えている。また、制御ユニットDは、振動センサ15の検知信号と、切削作動機構Mの各部に備えたセンサの検知信号とを取り込む入力インタフェースを備えている。
【0047】
尚、相対位置設定部31と、同期回転制御部32と、シフト作動制御部33と、振幅判定部34と、制御選択部35と、補正制御部36と、報知制御部37とはロジック等のハードウエアで構成して良く、ロジック等のハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより構成しても良い。
【0048】
相対位置設定部31は、第1スライドモータ6Maと第2スライドモータ6Mbとの一方、又は、双方を制御することによりワーク1を、ワーク軸芯Tと直交する方向に移動させてカッター10との相対的な位置関係を設定する。この相対的な位置関係の設定によりカッター10によるワーク1の切削深さの補正(後述する位置補正作動)が実現する。
【0049】
同期回転制御部32は、ワーク1の内周とカッター10の外周との接触部が等しい周速度で回転するように所定の角速度比によってテーブルモータ2Mとカッターモータ10Mとを同期駆動する。この同期回転制御部32は、ワーク1とカッター10との回転位相の補正(後述する位相補正作動)が実現する。
【0050】
シフト作動制御部33は、シフトモータ5Mを制御することにより、テーブル2と一体的にワーク1をワーク軸芯Tに沿う方向に移動させる制御を行う、
【0051】
振幅判定部34は、FFT(高速フーリエ変換)の機能を有し、振動センサ15で検知した振動波形を分析し、切削に伴う振動の振幅を判定する。
【0052】
制御選択部35は、限界値と、基準値と、設定値とが閾値として予め設定され、これらの閾値と、振幅判定部34で判定された振動の振幅値とを比較する。そして、この比較の結果に基づいて対応する制御を可能にする。
【0053】
補正制御部36は、振幅判定部34で判定された振動の振幅値に基づいてワーク1とカッター10との相対的な位置関係を変更する補正制御を行う。また、この補正制御部36には、補正量演算部36Aを備えている。
【0054】
補正量演算部36Aは、振動センサ15で検知される加工時の振動の振幅値が、振幅判定部34により設定値以上に達したと判定された場合に、位置補正作動と位相補正作動のための補正量を演算する。この位置補正作動では、振幅値に対応して切削深さを浅くする方向にカッター10とワーク1との相対位置関係を補正する補正量が演算される。また、位相補正作動では、振幅値に対応して過切削を少なくする方向にカッター10とワーク1との相対位相を補正する補正量が演算される。
【0055】
報知制御部37は、振動センサ15で検知される加工時の振動の振幅値に基づいて異常報知作動と、交換報知作動とを行うものである。そして、これらの作動に対応した情報をモニタ16とスピーカ17とに出力する。
【0056】
〔切削加工時の振動〕
カッター10によりワーク1を切削加工する時には、切削領域の終端で振動が発生することがある。この振動の原因は、カッター10の端部がワーク1を抜け出す場合にカッター10の刃部に作用する負荷がアンバランスになることが原因として考えられている。
【0057】
つまり、スカイビング加工ではワーク1のワーク軸芯Tと、カッター10のカッター軸芯Sとが食い違い軸上に配置される。従って、カッター10を構成する複数の刃部10Aの刃面のうち、回転下流側(先行する側)をリーディング側と称し、回転上流側をトレーリング側と称すると、切削終了時には、刃部のリーディング側が先にワークから抜け出し、トレーリング側が後に抜け出す。
【0058】
このような切削形態では、切削を開始した後に切削が継続する状況で刃面のリーディング側とトレーリング側とには等しく負荷が作用するため、カッターには安定的に負荷が作用し、振動を招くことがない。しかしながら、切削領域の終端近くで刃部のリーディング側がワークから抜け出したタイミングで、リーディング側とトレーリング側とに作用する負荷が不均等になり、振動を招くことが考えられている。
【0059】
この切削時の振動をグラフ化すると、
図6に示すようになり、カッター10が切削終端領域に達することにより振動の振幅が拡大する。同図では最大の振幅を最大振幅値Aとして示している。
【0060】
また、切削を行うことによりワーク1には、歯先1Tと、歯面1Fと、歯溝1Bとが形成されることになり、振動を招いた場合には、カッター10による切削が過剰に行われるため、
図7に示すように、歯面1Fが過切削により大きく切削され、歯溝1Bの幅が拡大する。また、歯溝1Bは、切削誤差値P又は切削誤差値P’だけ拡大する。特に、切削誤差値Pと切削誤差値P’とは異なる値をとることが多い。
【0061】
このように歯車の歯面1Fが過剰に切削された場合には、歯車の品質を低下させるものであった。本発明のスカイビング加工装置では、このような振動に対応して切削工程における制御において補正作動を行うことにより歯車の品質の低下を抑制し、高品質の歯車を作り出すように以下に説明する制御作動が実行される。
【0062】
〔制御作動〕
図4のフローチャートに示すように歯車加工制御では、制御ユニットDがワーク1とカッター10とを初期位置にセットし、ワーク1とカッター10とを同期回転させながら、カッター10に対するワーク1のシフト作動を開始する(#101、#102ステップ)。
【0063】
この制御では、相対位置設定部31が、切削作動機構Mの第1スライドモータ6Maと、第2スライドモータ6Mbとを制御することにより、スライドフレーム6とシフトフレーム5とを一体的に作動させ、カッター10に対してワーク1が初期位置にセットされる。また、このセットの場合にカッター10による切削深さが所定の値に決められる。
【0064】
この後に、同期回転制御部32がワーク1とカッター10とを同期回転させる。この後に、シフト作動制御部33が、シフトモータ5Mの制御によりシフトフレーム5をシフト作動させ、ワーク1とカッター10とをワーク1の歯すじ方向に作動させることにより切削工程での切削が開始される。
【0065】
この切削工程では、ワーク1は主回転方向Rtに回転し、カッター10は副回転方向Rsに回転する。このようにワーク1が主回転方向Rtに回転し、カッター10が副回転方向Rsに同期回転することにより、ワーク1とカッター10との接触部において、両者の軸が食い違っていることに起因して「すべり(すべり速度)」が発生する。この「すべり」を利用しながらカッター10がワーク1の歯すじ方向(ワーク軸芯Tの方向)にシフト作動することによりワーク1の切削が行われる。
【0066】
このような切削工程において、振動センサ15の検知信号を取得する(#103ステップ)。このように取得した検知振動から振幅判定部34が振幅値を判定し、この振幅値と、限界値と、基準値と、設定値とが比較される。この比較により、振幅値が限界値を超えている場合には切削不能であることが報知される(#104、#105ステップ)。また、この比較により、振幅値が基準値以上である場合には、カッター10が交換時期にあることを報知する(#106、#107ステップ)。更に、この比較により振幅値が設定値以上である場合には、補正作動が行われる(#108、#200ステップ)。
【0067】
この制御では、カッター10による切削が不能な状況に陥った場合に振動センサ15で検知される最も大きい振幅値が、限界値として設定されている。従って、切削工程の何れの領域であっても、振動センサ15の検知信号から振幅判定部34が判定した振幅値が、限界値以上であることを制御選択部35が判定した場合には、報知制御部37が、異常報知作動としてモニタ16に対して異常発生により停止することを示すメッセージを表示し、スピーカ17に対して異常発生を認識させる音声(人の言葉の音声でも良い)を出力する。
【0068】
このように振幅値が限界値以上である場合には、カッター10が異常状態にある等、切削不能であるため、ワーク1とカッター10とを離間させた後に、ワーク1とカッター10との回転を停止する制御が行われる(#111ステップ)。
【0069】
また、この制御では設定値として、カッター10の刃部10Aが良好な状態で切削を行った場合の振動の振幅と比較して、大きい値となる振幅値が設定されている。この設定値は、基準値より小さい値として設定されている。
【0070】
従って、切削工程の何れの領域であっても、振動センサ15の検知信号から振幅判定部34が判定した振幅値が、基準値以上であることを制御選択部35が判定した場合には、報知制御部37が、交換時期報知作動として、モニタ16に対して、カッター10の切削能力が低下し交換時期であることを示すメッセージを表示し、スピーカ17に対してカッター10の交換を促す音声(人の言葉の音声でも良い)を出力する。
【0071】
そして、振幅値が、切削工程の終端領域で設定値以上であることを制御選択部35が判定した場合には、補正制御部36による補正制御(#200ステップ)に移行する。この補正制御はサブルーチンとしてセットされており、制御形態は後述する。
【0072】
次に、切削加工が継続する場合にはワーク1とカッター10とのシフト方向での相対位置関係を取得し、相対位置から切削を完了するまで継続し、切削が完了した場合には、切削作動を終了する(#109〜#111ステップ)。
【0073】
この切削作動の終了時には、ワーク1とカッター10との回転を停止し、ワーク1のシフト作動を停止する。また、#105ステップで切削不能であることが判定され、これに関連する報知が行われた場合や、カッター10が交換時期にあることが判定され、これに関連する報知が行われた場合には、報知内容を継続的にモニタ16に報知する制御が行われる。
【0074】
〔補正作動〕
図5にフローチャートに示すように、補正作動では、演算データとして、最大振幅値Aと、切削誤差値P,P’とをセットするとともに、振動センサ15からの検知信号に基づき振幅判定部34で判定した振幅値Xをセットし、補正制御部36が補正量f(x)を演算し、補正が実行される(#201〜#203ステップ)。
【0075】
最大振幅値Aと、切削誤差値P,P’とは、〔切削加工時の振動〕の項で先に説明したものと同じ値であり、制御ユニットDの不揮発性メモリ等に記憶されている。最大振幅値Aは試験的な切削を行い、この切削時に振動センサ15により計測した値である。切削誤差値P,P’は、この試験的な切削により加工されたワーク1の歯溝1Bの誤差を計測した値である。また、振幅値Xは振動センサ15の検知信号から振幅判定部34が判定した値である。
【0076】
補正量f(x)の演算は、フローチャートの#202ステップに示される演算式に基づいて行われる。この演算では、切削誤差値P,P’の平均値を求め、振幅値Xと最大振幅値Aとから振幅比を求める。そして、切削誤差値P,P’の平均値と、振幅比と、定数Cとを乗ずる演算が行われる。定数Cは、適正な補正量を得るためにセットされた任意の値である。
【0077】
このように振幅値Xに基づくフィードバック制御により演算が行われるため、振幅値Xの変化に対応して補正量f(x)が変化する。補正の実行では、カッター10による切削深さを浅くする方向に変位させるように、カッター10からワーク1を離間させる方向にワーク1を移動させる作動が行われる。
【0078】
これにより、ワーク1とカッター10とが強く接触する状態を解消して振動が抑制されると同時に、過剰な切削も低減される。尚、この作動では、第1スライドモータ6Maと第2スライドモータ6Mbとの少なくとも一方が駆動される。
【0079】
次に、位相補正の必要がある場合には、セットされている演算データと、振動センサ15からの振幅判定部34で判定した振幅値Xとに基づき、補正量g(x)を演算し、補正が実行される(#204〜#206ステップ)。
【0080】
この制御では、切削誤差値Pと切削誤差値P’とに差があることを前提として行われるものであり、過切削を少なくする方向にカッター10とワーク1との相対位相を補正する補正作動が行われる。
【0081】
この制御では、位相補正の要否の判定は、予め取得している切削誤差値Pと切削誤差値P’との差の絶対値が所定の値以上である場合に行われる。また、このような制御形態に代えて、ワーク1とカッター10との接触部位で接線方向への振動を振動センサ15で検知できるように構成し、この振動センサ15の検知の結果に基づいて位相が進む方向への振幅と、位相が遅れる方向への振幅との何れの振幅が大きいかを判定し、この判定結果に基づき補正の可否の判定を行っても良い。
【0082】
補正量g(x)の演算は、フローチャートの#205ステップに示される演算式に基づき行われる。この演算では、切削誤差値P,P’の絶対値を、ワーク1の歯数等の補正係数で除した値に2πを乗じ、振幅値Xと最大振幅値Aとから求めた振幅比を乗ずる処理が行われる。
【0083】
このように演算した補正量g(x)は、ワーク1の周方向での補正量(位相角)であり、位相を進める方向と遅らせる方向とのうち、予め設定された一方に位相を変化させる位相補正が行われる。
【0084】
この位相補正では、カッター10の角速度を維持した状態で、ワーク1の回転位相を調整するものであるが、これとは逆にワーク1の回転速度を維持した状態でカッター10の回転位相を調整するように制御形態を設定しても良い。
【0085】
尚、
図5に示すフローチャートに示す補正作動では、位置補正作動を行い、必要に応じて位相補正を行う制御形態を示しているが、これに代えて、位置補正作動のみ、あるいは、位相補正作動のみを行うように制御形態を設定して良い。また、位相補正制御を行い、必要に応じて位置補正制御を行うように制御形態を設定しても良い。
【0086】
〔実施形態の効果〕
このように、本発明
の歯車製造方法では、スカイビング加工によ
りワーク1と、カッター10とを同期回転させ、ワーク1とカッター10との相対的なシフト作動により「すべり」を利用して切削するため、効率的な切削を実現する。
【0087】
また、切削加工時の振動の振幅が設定値以上に達した場合には、振幅値に対応するフィードバック制御により切削深さを補正する方向(基本的には浅くする方向)にカッター10とワーク1との相対位置関係を補正する補正作動を行う。これにより、振動の振幅を抑制すると共に、ワーク1に形成される歯車の歯面1Fが過剰に切削される不都合を解消して歯溝1Bの幅を必要とする値に設定して歯車を高品質に仕上げることを可能にしている。
【0088】
また、切削加工時の振動の振幅が設定値以上に達し、歯車の一対の歯面1Fのうちの一方だけが過剰に切削される現象を招く状況でも、切削時の相対位相を補正することにより、偏りのない切削を行い、歯車を高品質に仕上げることが可能となる。
【0089】
特に、位置補正作動では、歯車の歯溝1Bが浅くなる切削形態となるが、歯底部は歯車の噛み合いに関与しない領域であるため、歯車の性能を低下させることはない。
【0090】
また、カッター10の刃部10Aが破損した場合のように、振動センサ15で検知される振動の振幅が限界値以上に達した場合には、異常報知作動としてモニタ16に対して異常発生により停止することを示すメッセージを表示し、スピーカ17に対して異常発生を認識させる音声を出力する。これに続いて、カッター10からワーク1を離間させた状態に移行して夫々の回転を停止させるので、作業者に対して異常の発生を確実に認識させ、無駄な加工を行わずに済む。
【0091】
また、カッター10の刃部10Aが磨耗し切削能力が低下した場合のように、振動センサ15の検知信号から振幅判定部34が判定した振幅値が、基準値以上に達した場合には、交換時期報知作動として、モニタ16に対して、カッター10の切削能力が低下し交換時期であることを示すメッセージを表示し、スピーカ17に対してカッター10の交換を促す音声を出力する。これにより、作業者に対してカッター10の交換を促し、作業能率を低下させず、高品質の歯車の製造が実現する。
【0092】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0093】
(a)前述した実施形態の補正制御部36の補正量演算部36Aに代えて、
図8に示すように、補正量参照テーブル36Bと補正量読出部36Cとを備えて補正制御部36を構成しても良い。この構成では、振動センサ15からの振幅値に基づいて補正量参照テーブル36Bから補正量読出部36Cが補正量を読み出し、補正作動が行われる。
【0094】
具体的には、最大振幅値Aと、切削誤差値P,P’とを求め、切削工程において振動センサ15が検知する可能性がある複数の予測振幅値と最大振幅値Aとに基づき
図5の#202ステップと同様の演算により複数の振幅比を求めておく。また、これら振幅比と切削誤差値P,P’とに基づき、振動センサ15で検知される振幅値Xに対する位置補正作動の補正量(
図5の#202ステップの補正量f(x)と同様)と、位相補正作動の補正量とを演算により求め、テーブル化して不揮発性メモリ等で成る補正量参照テーブル36Bに記憶しておく。
【0095】
そして、切削工程において、振動センサ15が検知する振幅値が設定値以上に達し、補正作動(#200ステップ)を実行する場合には、
図9のフローチャートに従う制御が行われる。この補正作動ルーチンでは、振動センサ15からの検知信号に基づき振幅判定部34で判定した振幅値Xをセットし、補正量読出部36Cが補正量参照テーブル36Bから位置補正作動の補正量を読み出し、この補正量に基づいて位置補正作動が行われる(#201〜#203ステップ)。
【0096】
次に、位相補正の必要がある場合には、振幅値Xに基づいて補正量読出部36Cが補正量参照テーブル36Bから位相補正作動の補正量を読み出し、この補正量に基づいて位相補正作動が行われる(#204〜#206ステップ)。
【0097】
この別実施形態(a)の制御はフィードバック制御の範疇に含まれるものであるが、演算を行う必要がないため、迅速な作動を行い、制御遅れを招くことなく高精度の作動により高品質の歯車を得ることが可能となる。
【0098】
尚、
図9に示すフローチャートに示す補正作動では、位置補正作動を行い、必要に応じて位相補正を行う制御形態を示しているが、これに代えて、位置補正作動のみ、あるいは、位相補正作動のみを行うように制御形態を設定して良い。また、位相補正制御を行い、必要に応じて位置補正制御を行うように制御形態を設定しても良い。
【0099】
(b)
図10に示すように、実施形態の振動センサ15を用いずに、切削工程においてワーク1とカッター10との相対的な位置関係に基づき補正作動を行うように構成しても良い。
【0100】
つまり、前述した振動センサ15を備えず、補正制御部36に対して補正量設定テーブル36Dと補正量取得部36Eとを備えることになる。この構成では、シフト作動に連係して補正量設定テーブル36Dから補正量取得部36Eが補正量を読み出し、補正作動が行われる。
【0101】
具体的には、シフト量に対する補正量をテーブル化して不揮発性メモリ等で成る補正量設定テーブル36Dに対して位置補正作動の補正量と、位相補正作動の補正量とを記憶する。
【0102】
そして、切削工程では、
図11のフローチャートに示すように、ワーク1のシフト量からワーク1に対するカッター10切削位置を取得し、この切削位置に基づき補正量設定テーブル36Dから補正量取得部36Eが位置補正作動の補正量を読み出し、この補正量に基づいて位置補正作動が行われる(#201〜#203ステップ)。
【0103】
位相補正の必要がある場合には、ワーク1のシフト量からワーク1に対するカッター10切削位置を取得し、この切削位置に基づき補正量設定テーブル36Dから補正量取得部36Eが位相補正作動の補正量を読み出し、この補正量に基づいて位相補正作動が行われる(#204〜#206ステップ)。
【0104】
この位置補正作動における補正量と、位相補正作動における補正量は、振動センサ15を用い、実施形態で説明した演算により先に求めた値であるが、制御形態において実施形態と異なるところは、振幅値に基づくものではなく、シフト量に基づいて補正量が読み出される点にある。
【0105】
この別実施形態(b)のように処理形態を設定することにより、振動センサ15を必要とせずコストの低減が可能になり、しかも、演算を行う必要がないため、迅速な作動を行い、制御遅れを招くことなく高精度の作動により高品質の歯車を得ることが可能となる。
【0106】
尚、
図11に示すフローチャートに示す補正作動では、位置補正作動を行い、必要に応じて位相補正を行う制御形態を示しているが、これに代えて、位置補正作動のみ、あるいは、位相補正作動のみを行うように制御形態を設定して良い。また、位相補正制御を行い、必要に応じて位置補正制御を行うように制御形態を設定しても良い。
【0107】
(c)振動センサとして、レーザ光源と受光素子とを有し、レーザ光源が照射された対象から反射光を受光素子で受け、この受光素子において振動を検知する構成のものを用いても良い。また、振動センサとして加速度センサを用いることも可能であり、振動センサ15を、ワーク1が支持される部材に備えても良い。