特許第6201571号(P6201571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6201571穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201571
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20170914BHJP
   C22C 38/60 20060101ALI20170914BHJP
   C21D 9/46 20060101ALI20170914BHJP
   C22C 18/00 20060101ALI20170914BHJP
   C21D 8/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C22C38/00 301W
   C22C38/60
   C21D9/46 T
   C21D9/46 U
   C22C18/00
   C22C38/00 301B
   C21D8/02 B
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-198329(P2013-198329)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-63732(P2015-63732A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 俊太
(74)【代理人】
【識別番号】100105441
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 久喬
(74)【代理人】
【識別番号】100166707
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 英夫
(72)【発明者】
【氏名】岡本 力
(72)【発明者】
【氏名】豊田 武
【審査官】 蛭田 敦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−325644(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148490(WO,A1)
【文献】 特開平06−240356(JP,A)
【文献】 Ming-hui CAl、外4名,Effects of Si on Microstructural Evolution and Mechanical Properties of Hot-rolled Ferrite and Bainite Dual-phase Steels,ISIJ International,日本,2011年,Vol.51 No.3,Page.476-481
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00 〜 38/60
C21D 9/46 〜 9/48
C21D 8/02 〜 8/04
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、
C :0.03%以上、0.35%以下、
Si:0.01%以上、2.0%以下、
Mn:0.3%以上、4.0%以下、
P :0.001%以上、0.10%以下、
S :0.0005%以上、0.05%以下、
N :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.01%以上、2.0%以下、
を含有して、残部Fe及び不可避的不純物からなり、結晶組織が、面積分率でフェライト相を10%超、ベイナイト相を20%超含有し、パーライト相が10%未満であり、フェライト粒によるベイナイト粒の被覆率が30%超であり、フェライト粒の平均粒径が4μm未満であることを特徴とする穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
ここで、フェライト粒によるベイナイト粒の被覆率とは、全ベイナイト粒界長さを100としたとき、フェライト粒によって占有されているベイナイト粒界部分の長さ比率を百分率で表示したものである。
【請求項2】
さらに、フェライト相の面積分率が60%未満であり、個々のフェライト粒のアスペクト比が、3以上のものが30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
【請求項3】
さらに、鋼中に質量%で
Cr:0.05%以上、3.0%以下,
Mo:0.05%以上、1.0%以下
Ni:0.05%以上、3.0%以下,
Cu:0.05%以上、3.0%以下,
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
【請求項4】
さらに、鋼中に質量%で、
Nb:0.005%以上、0.3%以下,
Ti:0.005%以上、0.3%以下,
V :0.01%以上、0.5%以下,
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
【請求項5】
さらに、鋼中に質量%で、
B:0.0001%以上,0.1%以下を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
【請求項6】
さらに、鋼中に質量%で、
Ca:0.0005%以上、0.01%以下,
Mg:0.0005%以上、0.01%以下,
Zr:0.0005%以上、0.01%以下,
REM:0.0005%以上、0.01%以下,
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
【請求項7】
さらに、結晶組織において、
フェライト粒の平均粒径が1μm超であることを特徴とする 請求項1〜6のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
【請求項8】
さらに、鋼板の表面に、Feを13%未満含有し、残部がZn,Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
【請求項9】
鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、仕上圧延開始温度を1000℃以上とし、仕上げ圧延で圧延を実施する最終スタンド前のスタンドの圧延率を20%超とし、最終スタンドでの圧延を、Ar3変態点以上で圧延率を10%超の圧延を行い、圧延終了2秒未満の後、少なくとも50℃以上の強制冷却を実施し、続けて、平均冷却速度25℃/s超にて800℃以下まで強制冷却し、800℃以下、600℃超の温度から1秒以上、4秒未満の自然放冷を設けた上、再度700℃以下、300℃超まで強制冷却を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,主としてプレス加工される自動車用鋼板を対象とし,1.0〜6.0mm程度の板厚で,穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた700N/mm2クラス以上の強度を有する高強度熱延鋼板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,自動車の燃費改善対策としての車体軽量化,部品の一体成形によるコストダウンのニーズが強まり,プレス成形性に優れた熱延高強度鋼板の開発が進められてきた。従来,加工用熱延鋼板としてはフェライト・マルテンサイト組織からなるDual Phase鋼板が知られている。以下、Dual Phase鋼をDP鋼ともいう。Dual Phase鋼板は,軟質なフェライト相と硬質なマルテンサイト相の複合組織で構成されており,著しく硬度の異なる両相の界面からボイドが発生して割れを生じるため穴拡げ性に劣る問題があり,足廻り部品等の高い穴拡げ性が要求される用途には不向きであった。これに対し,特許文献1,特許文献2ではベイナイトを主体とした組織により穴拡げ性の優れた熱延鋼板の製造方法が提案されているが,この鋼板は伸び特性に劣ることから適用部品に制約があった。
【0003】
穴拡げ性と延性を両立する技術として特許文献3,特許文献4,特許文献5,特許文献6ではフェライトとベイナイトの混合組織による鋼板が提案されている。しかし、近年、自動車のさらなる軽量化指向,部品の複雑化等を背景に更に高い穴拡げ性が求められ、上記技術では対応しきれない高度な加工性,高強度化が要求されている。また、特許文献7では、第2相に焼戻しマルテンサイトを活用することで、穴拡げ性と延性および2次加工割れ性を高いレベルで満たす鋼板が提案されている。また、マルテンサイトの焼戻しによる軟化を利用した穴拡げ性の改善手法として、特許文献8では熱延後,連続焼鈍工程またはめっき工程でA1点以上の再加熱と徐冷により,一部のマルテンサイトを焼戻すことで加工性を向上させる技術について提案されている。更に、特許文献9、特許文献10では420〜650℃の中間温度にてマルテンサイトの焼戻しを行う技術が提案されている。しかしながら、これらの技術は鋼板に焼戻しという追加の処理が必要となり、コストが高くなる上、残マルテンサイトや十分に焼戻っていないマルテンサイトが溶接時にHAZ軟化を起こすために用途が限定されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−88125号公報
【特許文献2】特開平3−180426号公報
【特許文献3】特開平6−293910号公報
【特許文献4】特開2002−180188号公報
【特許文献5】特開2002−180189号公報
【特許文献6】特開2002−180190号公報
【特許文献7】特開2005−146379号公報
【特許文献8】特開2003−247045号公報
【特許文献9】特開平9−263883号公報
【特許文献10】特開平9−263884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の問題点を解決するためになされたものであって,700N/mm2クラス以上の熱延鋼板とその製造方法に関するもので,加工性、特に穴拡げ性と溶接特性に優れた高強度熱延鋼板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これまで、DP鋼やフェライト、ベイナイト2相鋼において、各相の硬さやサイズ、相分率の最適化がすすめられ、多くの成果がみられている。本発明者らは,フェライト、ベイナイト2相鋼のうち、ベイナイトを主相とする鋼板におけるフェライト粒の配列に着目し鋭意検討を重ねた結果、フェライト粒によるベイナイト粒の被覆率が高くなると、伸び−穴拡げ性のバランスが著しく改善する上、主相がベイナイトであるため、DP鋼で課題となるマルテンサイト相の焼戻し起因のHAZ軟化が抑制でき、溶接特性が向上することを見出した。ここで、溶接特性とはHAZ軟化部での低応力での割れ発生を意味する。また、被覆率とは、光学顕微鏡にて2D観察を行ったときに図1に示すようにベイナイト粒界の内、フェライト粒によって占有されている部分の全ベイナイト粒界長さに対する比率を示す。すなわち、被覆率100%はベイナイト粒/ベイナイト粒の相境界は存在せず、個々のベイナイト粒が完全にフェライト粒によって囲まれていることを意味する。このような配列による材質の改善理由は明らかではないが、フェライト粒の連結性が高まることで変形に対する抵抗が高まり、強度が上昇すること、および、もともと、主相をマルテンサイト相ほど硬くなく変形しやすいベイナイト相とすることで、DP鋼に比べボイド形成が起こりにくい上、粒界は粒内に比べランダムな原子配列をとるため、ベイナイト/フェライト界面のひずみ集中を緩和し、初期のボイドサイズが小さくなる、もしくは、ボイド発生の抑制効果があるため、この相乗強化により飛躍的に穴拡げ性が改善されると考えられる。
【0007】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.03%以上、0.35%以下、Si:0.01%以上、2.0%以下、Mn:0.3%以上、4.0%以下、P:0.001%以上、0.10%以下、S:0.0005%以上、0.05%以下、N:0.0005%以上、0.010%以下、Al:0.01%以上、2.0%以下、を含有して、残部Fe及び不可避的不純物からなり、結晶組織が、面積分率でフェライト相を10%超、ベイナイト相を20%超含有し、パーライト相が10%未満であり、フェライト粒によるベイナイト粒の被覆率が30%超であり、フェライト粒の平均粒径が4μm未満であることを特徴とする穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。ここで、フェライト粒によるベイナイト粒の被覆率とは、全ベイナイト粒界長さを100としたとき、フェライト粒によって占有されているベイナイト粒界部分の長さ比率を百分率で表示したものである。
(2) さらに、フェライト相の面積分率が60%未満であり、個々のフェライト粒のアスペクト比が、3以上のものが30%以下であることを特徴とする(1)に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
(3) さらに、鋼中に質量%で、Cr:0.05%以上、3.0%以下,Mo:0.05%以上、1.0%以下、Ni:0.05%以上、3.0%以下,Cu:0.05%以上、3.0%以下,の1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
(4) さらに、鋼中に質量%で、Nb:0.005%以上、0.3%以下,Ti:0.005%以上、0.3%以下,V:0.01%以上、0.5%以下,の1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
(5) さらに、鋼中に質量%で、B:0.0001%以上,0.1%以下を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
(6) さらに、鋼中に質量%で、Ca:0.0005%以上、0.01%以下,Mg:
0.0005%以上、0.01%以下,Zr:0.0005%以上、0.01%以下,REM:0.0005%以上、0.01%以下,の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
(7) さらに、結晶組織において、フェライト粒の平均粒径が1μm超であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
(8) さらに、鋼板の表面に、Feを13%未満含有し、残部がZn,Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板。
(9) 鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、仕上圧延開始温度を1000℃以上とし、仕上げ圧延で圧延を実施する最終スタンド前のスタンドの圧延率を20%超とし、最終スタンドでの圧延を、Ar3変態点以上で圧延率を10%超の圧延を行い、圧延終了2秒未満の後、少なくとも50℃以上の強制冷却を実施し、続けて、平均冷却速度25℃/s超にて800℃以下まで強制冷却し、800℃以下、600℃超の温度から1秒以上、4秒未満の自然放冷を設けた上、再度700℃以下、300℃超まで強制冷却を行うことを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の穴拡げ性と伸びと溶接特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【0008】
なお、本発明において、強制冷却とは「積極的にガスまたは液体、またはその混合物で冷却を行うこと」、自然放冷とは「積極的な冷却は行わない、一般に空冷という言葉で表現される現象」を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,加工性、特に穴拡げ性と溶接特性に優れた高強度熱延鋼板を提供することができるので,高い加工性と溶接部を有する部品に適した高強度熱延鋼板である。また,本発明の高強度熱延鋼板は車体の軽量化,部品の一体成形化,加工工程の合理化が可能であり、燃費の向上,製造コストの低減を図ることができ、部品としても溶接特性に優れることから、工業的価値大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】被覆率を説明するイメージ図
図2】引張強度に対する伸びに及ぼす本発明鋼の効果を示すグラフ。
図3】引張強度に対する穴拡げ性に及ぼす本発明鋼の効果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は,フェライト、ベイナイト2相鋼におけるフェライト粒の配列を制御することで伸びと穴拡げバランスの向上が得られるものであり、主相をベイナイト相とすることでHAZ軟化が抑制され溶接特性にも優れるものである。組織としては、フェライト粒をベイナイト粒の境界に積極的に配列させ、これによりベイナイト粒への被覆率を高めたものである。製造方法としては、熱延の後段の圧延率を定めることでオーステナイトの再結晶を制御する方法がある。以下に本発明の個々の構成要件について詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明の成分の限定理由について述べる。以下、特に断らない限り、%は質量%を意味する。
【0013】
Cは,鋼の強化のために必要な元素であり、特にベイナイト相の強化に寄与する。強度確保の面で0.03%以上は必要である。一方で、鋼の加工性に影響を及ぼす元素であり,含有量が多くなると,加工性は劣化する。特に0.35%を超えるとベイナイトの強化能は飽和する上、穴拡げ性に有害な炭化物(パーライト,セメンタイト)が生成するので、0.35%以下とする。但し,特に高い穴拡げ性が要求される場合,0.10%以下とすることが望ましい。
【0014】
Siは,フェライト生成元素であり、ランナウトテーブル(以下「ROT」ともいう。)冷却中のフェライト生成を促進させる上で欠かせない元素である。また、有害な炭化物の生成を抑え加工性の改善にも効果がある。これらの作用はAlによって代替えも可能であるが、Siは、更に、固溶強化により材料強度確保のためにも有効な元素である。以上から、0.01%以上の添加することが望ましく、特に0.1%以上のAlを添加しない場合は、0.3%以上の添加が望ましい。ただし、添加量が増加すると化成処理性が低下するほか,点溶接性も劣化するため2.0%を上限とする。
【0015】
Alは前述のようにSiと同様,有害な炭化物の生成を抑えフェライト分率を増加させ伸びを向上するために有効な元素である。特に,延性と化成処理性を両立するために必要な元素である。Alは,従来より脱酸に必要な元素であり,通常0.01〜0.07%程度添加してきた。本発明者らは,鋭意研究を重ねた結果,低Si系において、Alを多量に添加することにより延性を劣化させることなく,化成処理性を改善できることを見出した。しかし,添加量が増加すると延性向上の効果は飽和してしまうばかりか,化成処理性が低下するほか,点溶接性も劣化するため2.0%を上限とし,特に化成処理の厳しい条件では,1.0%を上限とすることが望ましい。十分な脱酸のためには0.01%以上の添加が必要である。
【0016】
Mnは,強度確保に必要な元素であり,最低0.3%の添加が必要である。しかし,多量に添加するとミクロ偏析,マクロ偏析が起こりやすくなり,これらは穴拡げ性を劣化させる。これより4.0%を上限とする。
【0017】
Pは鋼板の強度を上げる元素であり,Cuと同時添加により耐腐食性を向上する元素であるが,添加量が高いと溶接性,加工性,靭性の劣化を引き起こす元素である。これより,0.10%以下とする。特に耐食性が問題とならない場合,加工性を重視して0.03%以下が望ましい。Pを低減させるためにはコストがかかるため、脱Pコストの観点から下限を0.001%とする。
【0018】
SはMnS等の硫化物を形成し,割れの起点となり,穴拡げ性を低減させる元素である。従って,0.05%以下とすることが必要である。但し,0.0005%未満に調整するためには脱硫コストが高くなるため,これを0.0005%以上とする。
【0019】
Nは,鋼板加工時にストレッチャーストレイン生成の原因となり、加工性を劣化させるほか、Ti,Nbが添加された場合には、(Ti,Nb)Nの生成によりTi,Nbの有効量を低減させる上、形成した窒化物は、伸び、穴拡げ性を低下させるため、少ない方が良い。上記の制約から0.010%以下とする。脱Nコストの観点から,下限を0.0005%以上とする。
【0020】
さらに必要に応じて以下の元素を含有してもよい。
【0021】
Ti,Nb,Vは炭化物を形成し強度の増加に有効であり,硬度の均一化に寄与して穴拡げ性を改善する。これらの結果を有効に発揮させるためには1種または2種以上を添加する必要がある。このとき、Ti,Nbはともに少なくとも0.005%の添加が必要であり、Vは0.01%の添加が必要である。しかし,これらの添加が過度になると析出強化により延性が劣化するため,上限としてTi,Nbはともに0.3%以下とし、Vは0.5%とする。これらの元素は単独で添加しても効果があり,複合添加しても効果がある。
【0022】
Ca,Mg,Zr,REMは硫化物系の介在物の形状を制御し,穴拡げ性の向上に有効である。これを有効に発揮させるためには1種または2種以上を添加する必要がある。このとき、各々の元素は0.0005%以上添加する必要がある。一方,多量の添加は逆に鋼の清浄度を悪化させるため穴拡げ性,延性を損なう。これより各々の添加量の上限を0.01%とする。
【0023】
CuはPとの複合添加により耐腐食性を向上する元素である,この作用を得るためには0.05%以上添加することが望ましい。但し,多量の添加は焼き入れ性を増加させ延性が低下するため,上限を3.0%とする。
【0024】
NiはCuを添加したときの熱間割れを抑制するために必須元素である。この効果を得るためには0.05%以上添加することが望ましい。但し,多量の添加はCu同様,焼き入れ性を増加させ延性が低下するため,上限を3.0%とする。
【0025】
Moはセメンタイトの生成を抑制し,穴拡げ性を向上させるのに有効な元素であり,この効果を得るためには,0.05%以上の添加が必要である。但し,Moも焼き入れ性を高める元素であるため過剰の添加では延性が低下するため,上限を1.0%とする。
【0026】
CrもVと同様,炭化物を形成し強度確保に寄与する。この効果を得るためには0.05%以上の添加が必要である,但し,Crは焼き入れ性を高める元素であるため,多量の添加により伸びを低減させる。そこで,上限を3.0%とする。
【0027】
BはMnと同様、強度に寄与する元素である。この効果を得るためには0.0001%以上の添加が必要である。但し,Bも焼き入れ性を高める元素であるため,多量の添加により延性が低下するため,上限を0.1%とする。
【0028】
次に、本発明の鋼板の結晶組織について説明する。
【0029】
一般に2相組織とすることで強度−加工性バランスが向上することが知られている。これは延性の軟質相の特徴を活かしつつ、硬質相の存在により、効率的に鋼の強化を図ることで達成される。主相をベイナイト相とするとマルテンサイト相に比べると強度上昇代は小さくなり、相分率を高くする必要が生じ、強度−延性バランスではDP鋼に及ばない。一方で、ベイナイト相はマルテンサイト相に比べ変形能が高く、また、相の強度も低いことからボイドが生成しにくくなるため、強度−穴拡げ性バランスでは優れた鋼となりうる。このため、フェライト、ベイナイト2相鋼の相分率、サイズに関わる検討は多く行われていたものの、フェライト粒の分散状態(すなわち配列)を積極的に利用して材質改善の可能性を検討した例は少ない。本発明は硬質相を軟質相で取り囲む配列を作ることで、軟質相の高い成形性を効率的に活用できる。その上、粒状の硬質相は割れが起こり難いため、高い強度と加工性の両立か可能となる。この配列効果を使うことで、ベイナイト相を主相とし、高いベイナイト分率となっても、高い成形性を得ることが可能となり、強度−延性バランスを改善させ、加えて、ベイナイト相の長所である強度−穴拡げ性バランスを更に向上させるものである。
【0030】
研究者らがこの点に着目して鋭意研究を重ねた結果,熱延後段の圧延で再結晶制御を行う手法で、従来とは異なる、フェライト粒の配列を作りこむことが可能であり、この配列によって、鋼板の伸び、穴拡げ性、溶接特性を従来のDP鋼、フェライト、ベイナイト2相鋼に比較して飛躍的に改善できる鋼板となることを見出した。なお、本発明において、フェライト、ベイナイト2相鋼と便宜上表記しているが、少量のパーライト、マルテンサイト、残留オーステナイトが存在していても効果が変わるものではない。
【0031】
ベイナイト相はフェライト相と複合組織を形成しても、高い穴拡げ性と溶接特性を保つことができる。本技術はこのベイナイト相を主相とした際のフェライト相の存在状態を制御することで更に伸び、穴拡げ性、溶接特性の改善を図るものであり、面積分率で10%超のフェライト相を含有する必要がある。特に、高い強度−延性を望む場合は20%超含有することが望ましい。但し、フェライト相の増加により、強度の低下が顕著になるので、フェライト相の面積分率の上限は60%未満とすると好ましい。組織は主相としてベイナイト相を含有する。高強度化にはベイナイト相分率は高い方が良く、面積分率で20%超必要である。特に強度の高い鋼板においては40%超の含有が望ましい。また、パーライトは伸びの低下、穴拡げ性の低下が顕著であるため少ない方が良い。この劣化を最小限に抑えるためにはパーライト相の体積率は10%未満とする。また、本発明において、フェライト、ベイナイト、パーライトの他にマルテンサイト、残留オーステナイトを含有しても効果は変わるものではない。本発明は、ベイナイト相を主相とし、主相を取り囲む第2相としてのフェライト相の存在態様を規定するものである。ベイナイト相が主相であることは、組織を構成する各相の平均粒径のうち、ベイナイト相の平均粒径が最大であることから認識することができる。ベイナイト相とフェライト相の合計は面積分率で50%以上とすると好ましい。加工性を重視する場合、更に好ましくは80%以上とする。
【0032】
本発明において、最も重要な特徴のひとつがフェライト粒の配列である。本発明においてフェライト粒は主相であるベイナイト粒を取り囲む形に配列する。この時、ベイナイト粒界面の内、フェライト粒によって占有されている部分の全ベイナイト粒の界面長さに対する比率を被覆率と定義する(図1参照)。この被覆率が30%を超えるとフェライト粒の連結性が高まり効率的に加工性が向上でき、伸びと穴拡げ性、溶接強度が向上する。但し、厳しい伸びフランジ加工や穴拡げ加工、曲げ加工に対しては、被覆率は50%以上となることが望ましい。
【0033】
この配列において、加工性の観点からフェライト粒はアスペクト比が小さい方が良い。アスペクト比の高い粒は1つの粒内で歪集中が起こりやすく、局所的なくびれが容易に起こり、穴拡げ性の低下の原因となる。これを抑制するためにはアスペクト比は3以上のものが30%以下であることが好適である。また、フェライト粒のサイズは小さい方が良い。これは、粗大なフェライト粒は被覆率を高めるために相対的にフェライト相分率が高くなり、強度低下に繋がるためである。加えて、粗粒化したフェライトは粒の強度が低いため、組織の不均一変形という観点からも加工性の劣化に繋がる。このため、フェライト粒の平均径は4μm未満であると好適である。特に穴拡げ加工の多い場合や厳しい成形を強いられる場合、3μm未満とすることが望ましい。一方で、粒径が小さすぎると、変形に対して、フェライト粒の延性の低下から、穴拡げ性、局部延性が低下する。これを抑制するため、フェライト粒の平均径は1μm超とする。本発明において、フェライト粒とは、例えばEBSPなどを用いて方位解析を行った際、15°以上の方位差のあるフェライト相の粒を指す。
【0034】
本発明において、組織分率の測定は精度が優れた測定方法であれば、方法は問わないが、例えば、各相の判定および分率の測定は次のように実施した。鋼板にナイタールエッチングを行い,熱延方向断面の1/4tの位置の組織を光学顕微鏡もしくはSEMにて観察し,各相を判定、画像解析装置等を用いて,各相の面積分率を測定する。
【0035】
被覆率の測定は、板厚1/4tの位置で、ランダムに視野を選び、最低10視野、500個のベイナイト粒の測定によって定量化する必要がある。
【0036】
次にめっき層について説明する。
【0037】
耐食性が望まれる場合、本鋼板の表面にFe,Zn、Alおよび不可避不純物からなる亜鉛めっき層を付与することができる。このとき、めっき密着性の観点からはFe量に限界があり、上限を13%未満とする。これを超えると、めっき層自体の密着性を損ない、加工の際めっき層が破壊・脱落し金型に付着することで、成形時の疵の原因となる。
【0038】
スポット溶接性や塗装性が望まれる場合には、合金化処理によってこれらの特性を高めることができる。具体的には溶融亜鉛メッキ浴に浸漬した後、合金化処理を施すことで、めっき層中にFeが取り込まれ、塗装性やスポット溶接性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。合金化処理後のFe量が7%未満ではスポット溶接性が不十分となる。
【0039】
また、合金化処理を行わない場合めっき層中のFe量が7%未満でも、合金化により得られるスポット溶接を除く効果である耐食性と成形性や穴拡げ性は良好である。このとき、Fe量は0%を含む。
【0040】
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2以上であることが望ましい。本発明の溶融Znめっき鋼板上に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても、本発明を逸脱するものではない。
【0041】
次に本発明の高強度熱延鋼板の製造方法について説明する。
【0042】
本発明の高強度熱延鋼板の製法は、本発明の成分を有する鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、仕上げ圧延で圧延を実施する最終スタンド前のスタンドの圧延率を20%超とし、最終スタンドでの圧延を、Ar3変態点以上で圧延率を10%超の圧延を行い、圧延終了2秒未満の後、少なくとも50℃以上の強制冷却を実施し、続けて、平均冷却速度25℃/s超にて800℃以下まで強制冷却し、800℃以下、600℃超の温度から1秒以上、4秒未満の自然放冷を設けた上、再度700℃以下、300℃超まで強制冷却を行い、その温度で巻取り処理を行うことにより達成できる。
【0043】
鋳造スラブは熱延の前に、均質化や炭窒化物の溶解の必要がある。これを行う際、連続鋳造のスラブを高温のまま、または、再加熱を行ってもよい。高温に保持、または再加熱の温度が、1100℃未満では、均質化、溶解とも不十分となり、強度の低下や加工性の低下を起こす。一方で、1300℃を超えると、製造コスト、生産性が低下すること、また、初期のオーステナイト粒径が大きくなることで最終的に混粒になりやすくなる。そこで、1100℃以上とする必要があり、1300℃未満が望ましい。
【0044】
次に、仕上げ圧延終了温度はAr3以上とする。この温度を下回ると加工フェライトが残ることで伸びが著しく低下する。
【0045】
最終スタンド前のスタンドでの圧延後、最終スタンドまでの間に再結晶率を高めることで被覆率を高めることができる。これを達成するためにはこのスタンド(最終スタンド前のスタンド)における圧延率は20%超とする。
【0046】
最終スタンドの圧延率は10%超とする。この圧下率は高い方がフェライト相の微細化に有効である。10%以下では部分再結晶により混粒組織となることで被覆率が低下する上、伸びが低下する。なお、本発明で最終スタンドの定義は2%以上の圧延を実施しているスタンドの内、最後に位置するスタンドを意味する。例えば、最後に位置していても、そのスタンドが水切り程度の軽圧下(2%未満)の圧延しかしない場合は、その手前のスタンドを最終スタンドとする。
【0047】
圧延後はしかるべく速やかに強制冷却を行う。加工終了から強制冷却開始までの間は粒成長が起こることで変態によって生成するフェライト粒、ベイナイト粒とも粗大になりやすい。また、強制冷却での急冷により、変態の駆動力のロスを抑えることができるため、フェライト組織が細粒となり、被覆率が高くなりやすい。この効果を得るためには、圧延後、2秒未満の間に強制冷却を開始し、少なくとも50℃以上の温度を低下させる。冷却開始までは短いほど良いが、冷却設備の配置の制約から現実的には0.05秒以上となる。このあと、熱間圧延設備の計測器帯通過時は自然放冷となるが、計測器帯通過後は続けて、平均冷却速度25℃/s超にて、800℃以下まで強制冷却する必要がある。強制冷却の冷却速度は25℃/s以下や停止温度が800℃を超えると変態の駆動力のロスが発生する。
【0048】
800℃以下まで強制冷却の後は、800℃以下、600℃超の領域にて、1秒以上、4秒未満の自然放冷を開始する。この間にフェライト生成が起こり、Cの拡散により、オーステナイトへのC濃化が起こる。このフェライトの生成により延性が向上する上、オーステナイトへ濃化したCはその後の強制冷却によりベイナイト相の強度に寄与するため、自然放冷は重要である。自然放冷開始温度が800℃を超えると、フェライト率が十分に取れなくなる上、粒が大きくなりやすい。自然放冷開始温度が600℃以下、または、自然放冷時間が1秒未満では所定のフェライト分率が得られず、ベイナイト率も高くなる。一方で自然放冷時間が4秒以上ではフェライト相分率が増加し、強度が得にくくなるほか、フェライトの粗粒化が進むことにより、被覆率が低下し、伸び、穴拡げ性が低下する。
【0049】
Cの濃化したオーステナイトをベイナイト変態させるためには自然放冷後に700℃以下、300℃超まで強制冷却し、巻き取る。このときの冷却速度は平均で10℃/s以上が望ましい。巻取温度が700℃を超えると巻取り中にパーライト相が生成し伸び、穴拡げ性が低下する。また、300℃以下ではマルテンサイトが生成し、穴拡げ性が低下する。
【0050】
本発明の方法においてさらに、自然放冷時間が3秒以下のとき、フェライト相の面積分率を60%以下とすることができる。また、仕上圧延開始温度を1000℃以上とすると仕上げ圧延の前段で繰り返し再結晶が起こり最終的なフェライト粒径を4μm未満とすることができる。また、最終スタンドの圧延率を45%未満とすると平均径は1μm超と出来る。最終スタンド前のスタンドの圧延率を50%未満とするとフェライト粒のアスペクト比が3以上のものが30%以下に出来る。
【0051】
この冷却後、鋼板は表層へのめっき付与を目的にめっき浴への浸漬をしても、その後、600℃以下の温度域での合金化処理を施しても本技術の効果が失われることはない。
【実施例】
【0052】
次に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0053】
表1に示す成分の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造でスラブとした。符号A〜Zが本発明に従った成分の鋼で符号a,dの鋼はCの添加量,bの鋼はMn,P添加量,cの鋼はNb添加量,eの鋼はSの添加量,fの鋼はN、Ti添加量、gはCaが本発明の範囲外である。表2以降における鋼符号は、例えば「A1」とあるのは、表1の鋼Aを用いた1番目の実施例であることを意味する。表1〜3において、本発明範囲から外れる数値・符号にアンダーラインを付している。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
これらの鋼を表2、3に示す条件で熱間圧延、ROT冷却を行った。板厚は2.6〜3.2mmとし、この板はその後、酸洗し,0.5%のスキンパス圧延を行い、材質評価に供した。表2、3の「めっき」欄に「あり」と記載した材料については、全て請求項8のめっき特性を満たす溶融亜鉛めっき層を形成している。
【0058】
得られた鋼板の組織分率、および、フェライト粒によるベイナイト粒の被覆率、フェライトの平均粒径、アスペクト比が4以上となるフェライト粒の割合を表2、3に示す。なお、本発明鋼についてはいずれも、組織を構成する各相の平均粒径のうち、ベイナイト相の平均粒径が最大であり、ベイナイト相を主相とすることが確認できた。これによる、機械特性、溶接特性を表2、3と図2、3に示す。引っ張り試験はJIS Z2241、穴拡げ試験はJIS Z2256に準拠した。図2、3から明らかなように、伸び、穴拡げ性のいずれも、本発明鋼と比較鋼のそれぞれで、引張強度が高くなるほど特性値が低くなっている。そこで、伸びは「伸び下限=−0.0265×引張強度+39.5」、穴拡げ性は「穴拡げ性下限=−0.107×引張強度+190」を境界とし、これよりも高い数値は良好とし、これよりも低い数値は本発明外として表2、3に下線を付した。また、溶接特性はアーク溶接を施し、溶接部引張試験を実施したときに溶融金属部またはHAZ部で切れたものを不良「×」、母材で切れたものを良好「○」とした。
【0059】
本発明の請求項1のみを満たすグループ(発明鋼2)は比較鋼に比べて優れた特性を示す。更に、本発明鋼の請求項1、請求項2、請求項7の全てを満たすグループ(発明鋼1)は、更に優れた加工特性を示す。一方で、本発明の範囲外の比較鋼は伸び、穴拡げ性、溶接特性において発明鋼に比べ劣位にある。すなわち、本発明規定を満たすもののみが、優れた加工性(伸び、穴拡げ性)と溶接特性を併せ持つことができることがわかる。
図1
図2
図3