(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
間隔を隔てて連続搬送される複数の記録媒体に画像を形成すると共に、搬送方向の長さが前記間隔より長くなるように2次元状に配列された複数の記録素子を備え、かつ前記複数の記録素子により一度に画像を形成する記録ヘッドと、
隣り合う記録媒体の前の記録媒体に形成する画像を示す第1の画像情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記隣り合う記録媒体の後の記録媒体に形成する画像を示す第2の画像情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記記録ヘッドにより一度に形成される画像が前記隣り合う記録媒体に跨って同時に形成される場合に、前記第1の記憶手段に、前記第1の画像情報、及び前記第2の画像情報の前記第1の画像情報が示す画像と同時に形成される部分の画像を示す第3の画像情報を前記第1の記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報の全てを前記第2の記憶手段に記憶する制御を行う制御手段と、
を備えた画像形成装置。
間隔を隔てて連続搬送される複数の記録媒体に画像を形成すると共に、搬送方向の長さが前記間隔より長くなるように2次元状に配列された複数の記録素子を備え、かつ前記複数の記録素子により一度に画像を形成する記録ヘッドと、
隣り合う記録媒体の前の記録媒体に形成する画像を示す第1の画像情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記隣り合う記録媒体の後の記録媒体に形成する画像を示す第2の画像情報を記憶する第2の記憶手段と、
を含む画像形成装置を制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記記録ヘッドにより一度に形成される画像が前記隣り合う記録媒体に跨って同時に形成される場合に、前記第1の記憶手段に、前記第1の画像情報、及び前記第2の画像情報の前記第1の画像情報が示す画像と同時に形成される部分の画像を示す第3の画像情報を前記第1の記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報の全てを前記第2の記憶手段に記憶する制御を行う制御手段と、
前記第1の記憶手段及び第2の記憶手段に記憶された画像情報を読み出す読み出し手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明を画像形成装置としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」という。)に適用した場合について説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係るプリンタ10の全体構成が示されている。
【0019】
プリンタ10は、記録媒体としての記録用紙Pにインク液による液滴を吐出して画像を形成する記録ヘッドアレイ12を備えている。記録ヘッドアレイ12は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色に対応して4つの記録ヘッド14Y,14M,14C,14Kを備えている。なお、以下の説明において、Y,M,C,
Kを区別する場合は、符号の後にY,M,C,Kのいずれかを付して説明し、Y,M,C,Kを区別しない場合は、Y,M,C,Kを省略する。
【0020】
本実施の形態に係る記録ヘッド14は、
図2に示すように、主走査方向(用紙搬送方向に直交する方向)の幅が記録用紙Pの幅以上ある長尺ヘッドとされ、各々画像を構成するドットを記録用紙Pに形成する複数のノズル40が、副走査方向(用紙搬送方向)に重なることなく2次元的に配置されている。そして、各ノズルから同時に液滴を吐出することにより、副走査方向のノズル数(
図2では6個)に相当する幅の画像が、記録用紙Pの全幅に対して一括して形成される。
【0021】
ここで、
図2に示すように、複数のノズル40の配置に関連して、副走査方向に隣接するノズル40とノズル40との間隔を「ノズル間隔dr」、副走査方向に最も離れたノズル40とノズル40との間隔を「ヘッド長dH」と定義する。
【0022】
特に、本実施の形態に係る記録ヘッド14は、
図2に示すように、副走査方向に隣接するノズル40の間の間隔が同一又は略同一の間隔とされ、且つ主走査方向に対して予め定められた角度をもって配列された複数のノズル40を有するノズル群42が、主走査方向に対して複数配列されている。なお、本実施の形態に係る記録ヘッド14は、各ノズル群42としてノズル40を6個備えたものを適用しているが、ノズル群42に含まれるノズル数はこれに限らない。
【0023】
一方、
図1に示すように、プリンタ10は、対応するY,M,C,Kの何れかの色のインク液を貯蔵したインクカートリッジ16Y,16M,16C,16Kが装填されており、各インクカートリッジに貯蔵されたインク液は、図示しない配管を通して対応する記録ヘッド14に供給される。
【0024】
また、本実施の形態に係る記録ヘッドアレイ12には、各記録ヘッド14においてノズル40が設けられているノズル面の清掃や、インクの詰まりが発生した際に吸引回復動作等のメンテナンスを行うメンテナンスユニット15が、各記録ヘッド14に対応して設けられている。
【0025】
なお、本実施の形態に係るプリンタ10は、記録用紙Pに画像を形成する際には、
図1に示すように、メンテナンスユニット15を記録ヘッドアレイ12の両側に配置させる一方、メンテナンスの際には、メンテナンスユニット15を記録ヘッドアレイ12の各ノズル40に対向する位置に移動させる。
【0026】
また、プリンタ10は、記録用紙Pを格納する給紙部18を備えている。給紙部18から供給された記録用紙Pは、複数のローラ対20によって、記録ヘッドアレイ12と対向する位置に搬送される。
【0027】
記録ヘッドアレイ12に対向する位置には、ローラ22A,22B及びテンションローラ23に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト24が備えられている。搬送ベルト24は、
テンションローラ23によって下方向に引っ張られることにより予め定められたテンションが与えられている。また、搬送ベルト24は、ローラ22A,22B及びテンションローラ23の回転によって周回駆動する。
【0028】
ローラ22Bに対向する位置には帯電ロール26が備えられており、当該帯電ロール26には予め定められた電圧が印加されている。複数のローラ対20によって搬送されてきた記録用紙Pは、帯電ロール26と搬送ベルト24とにより挟持されることにより帯電して搬送ベルト24の表面に吸着され、搬送ベルト24の周回駆動に伴って記録ヘッドアレイ12と対向する位置に搬送され、記録ヘッドアレイ12により画像が形成される。
【0029】
搬送ベルト24の用紙搬送方向下流側には、複数の排出ローラ30が備えられており、
記録ヘッドアレイ12によって画像が形成された記録用紙Pは、これら複数の排出ローラ30により搬送され、排紙部32に排出される。
【0030】
また、プリンタ10は、反転パス33を備えている。反転パス33は、複数のローラ対35を含んで構成されており、記録ヘッドアレイ12により片面に画像が形成された記録用紙Pは、反転パス33で反転されることにより再び記録ヘッドアレイ12と対向する位置に搬送され、両面に画像が形成される。
【0031】
図3には、本実施の形態に係るプリンタ10の電気系の要部構成が示されている。
【0032】
プリンタ10は、プリンタ10全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)50、各種制御プログラムや各種パラメータ、各種テーブル情報等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)52、及びCPU50による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)54を備えている。また、プリンタ10は、図示しない通信網を介して外部の端末装置と接続され、当該端末装置から、例えば記録用紙Pに形成する画像を示す画像情報を含む情報を受信する外部インタフェース55、上記画像情報に基づいて各記録ヘッド14の駆動を制御する記録ヘッド制御部56、及び各ローラ対20や各排出ローラ30、ローラ22A,22B等を回転駆動させる図示しないモータを制御して記録用紙Pの搬送を制御する搬送制御部58を備えている。
【0033】
これらCPU50、ROM52、RAM54、外部インタフェース55、記録ヘッド制御部56、及び搬送制御部58は、システムバス62を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU50により、ROM52及びRAM54へのアクセス、外部インタフェース55を介した上記端末装置との各種情報の送受信、記録ヘッド制御部56及び搬送制御部58の動作の制御が各々行われる。
【0034】
図4は、本実施の形態に係る記録ヘッド制御部56の構成を示すブロック図である。
【0035】
同図に示すように、本実施の形態に係る記録ヘッド制御部56は、イメージ変換部70、色変換部72、画像処理部74、ページメモリ制御部76、ページメモリ78、及び記録ヘッド駆動部80を備えている。
【0036】
イメージ変換部70は、一例として、外部インタフェース55を介し外部の端末装置から例えばPDL(Page Description Language)形式の画像情報が受信されたときに、当該画像情報を解析して、ラスタイメージの画像情報に変換する変換処理を行なう。これにより画像情報がビット・マップ形式の画像情報に変換される。
【0037】
色変換部72は、イメージ変換部70により得られたビット・マップ形式の画像情報の色空間を、例えば、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)色空間からYMCK色空間に変換すると共に、当該画像情報に対してγ補正処理を施す。
【0038】
画像処理部74は、色変換部72によってγ補正処理が施された画像情報に対して、ディザ処理等のスクリーン処理を行い、元の画像情報より低階調の、記録ヘッド14が有するノズル40から吐出される液滴で記録される階調の画像情報に変換する。なお、スクリーン処理によって変換された画像情報は、ノズル40にドットを形成させるための情報(以下、「ドット情報」という場合がある)で構成されることとなる。
【0039】
ページメモリ制御部76は、画像処理部74で低階調化された画像情報をページメモリ78に格納(記憶)する制御、また、ページメモリ78に格納(記憶)された画像情報を読み出す制御を行う。
【0040】
ページメモリ78は、画像処理部74により得られた画像情報をページ単位で一次的に書き込んで格納する。本実施の形態では、ページメモリ78は、ページ単位の画像情報を格納する複数のメモリを備え、ページ単位で書き込まれた画像情報はページ単位で読み出される。また、記録用紙Pへの連続する画像形成において、複数のページメモリ78への書き込み動作、読み出し動作が循環的に繰り返される。
【0041】
さらに、本実施の形態では、1個のページメモリ78について、書き込み動作か読み出し動作のいずれかを実行するものとしている(つまり、1個のページメモリについて、同時に書き込み動作と読み出し動作の両方を実行することはない)。
【0042】
なお、本実施の形態では、ページメモリとしてRAMを適用しているが、これに限らず、HDD(Hard Disk Drive)等の他の記憶媒体を適用してもよい。また、本実施の形態では、ページメモリ78を複数のメモリを備えた形態を例示して説明するが、これに限られず、1個のメモリの記憶領域をページメモリの数だけ分割した形態としてもよい。
【0043】
記録ヘッド駆動部80は、ページメモリ78から読み出された画像情報を構成する画素情報により示されるドットを形成するように記録ヘッドアレイ12を制御する。
【0044】
次に、
図5を参照して、本実施の形態に係るページメモリ制御部76について説明する。
図5は、ページメモリ制御部76の機能的な構成を示すブロック図である。
【0045】
同図に示すように、本実施の形態に係るページメモリ制御部76は、ページ先頭ライン数算出部84、ラインバッファ88、ライトデータ処理部90、メモリライト制御部92、メモリリード制御部94、及びリードデータ処理部96を含んで構成されている。
【0046】
ページ先頭ライン数算出部84は、現在のページの画像情報が格納されたページメモリ78の最後に続けて格納する次のページのライン(以下、「ページ先頭ライン」という場合がある)の数を算出する部位である。後述するように、このページ先頭ライン数は、ヘッド長dH及び用紙間隔(連続して記録用紙Pに画像形成する場合の現在の記録用紙Pの画像形成領域と次の記録用紙Pの画像形成領域との間隔をいう)dsに基づいて算出する。
【0047】
本実施の形態に係るラインバッファ88は、複数のラインメモリを備え、画像処理部74によって画像処理が施された画像情報を構成する各ドット情報を1行(以下、「ライン」という場合がある)毎に一時的に記憶するリングバッファである。本実施の形態におけるラインとは、記録用紙Pに対応させて画像形成すべき画像情報をドット単位で配置した場合の走査方向の1単位をいう。本実施の形態におけるラインバッファ88の数は、一例として、ページ先頭ライン数である。
【0048】
ライトデータ処理部90は、画像処理部74から受け取った画像情報を処理して、現在のページの画像情報が格納されたページメモリの最後に次のページのページ先頭ライン数分の画像情報を格納する。
【0049】
メモリライト制御部92は、ライトデータ処理部90から受け取った画像情報をページメモリ78に転送して格納する制御を行う。
【0050】
メモリリード制御部94は、ページメモリ78から画像情報を読み出す制御を行う。
【0051】
リードデータ処理部96は、ページメモリ78から読み出した画像情報に予め定められた処理を施し、記録ヘッド駆動部80に出力する。本実施の形態における予め定められた処理としては、例えば、記録ヘッド14におけるノズル40の配置に対応させて画像情報を並べ替える処理等を含む。
【0052】
ここで、
図6を参照して、本実施の形態に係るページメモリ78の構成及び動作について説明する。
図6に示すように、本実施の形態に係るページメモリは、[A]、[B]で示された2個のページメモリを備えている。以下、[A]で示されたページメモリを「A面」、[B]で示されたページメモリを「B面」という場合がある。
図6は、第1ページ(以下、第iページを「ページi」という場合がある)の書き込み動作から第4ページの書き込み動作までを示している。なお、図中Wiはページiの書き込み動作を、Riはページiの読み出し動作を示している。また、
図6(a)から(d)に向けて時間が経過している。
【0053】
図6(a)は、A面にページ1が書き込まれている状態を示している。このとき、同図中「0」で示されたように、B面には画像情報が書き込まれていない。以下、ページメモリ78に画像情報が書き込まれていない状態を、同図に示すように「0」で表す場合がある。
次の
図6(b)は、ページ1の書き込みが終了したA面からページ1が読み出され、空のB面にページ2が書き込まれている状態を示している。
【0054】
次の
図6(c)は、ページ1が読み出された後のA面にページ3が書き込まれ、ページ2の書き込みが終了したB面からページ2が読み出されている状態を示している。
次の
図6(d)は、ページ3の書き込みが終了したA面からページ3が読み出され、ページ2の読み出しが終了したB面にページ4が書き込まれている状態を示している。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係るページメモリ78では、連続する記録用紙Pへの画像形成に伴い、A面、B面の2個のページメモリの間で書き込み動作、読み出し動作を交互に行っている。
【0056】
次に、
図7を参照して、本実施の形態に係る記録ヘッド14のヘッド長dHと用紙間隔との関係について説明する。
図7は、
図1を紙面垂直方向から見た場合の、記録ヘッド14、搬送ベルト24、及び記録用紙P1、P2の配置関係を示す側面図である。
【0057】
図7(a)は、連続して搬送される記録用紙P1とP2との用紙間隔ds1(以下、記録用紙Pを特定しない場合の用紙間隔を「ds」と表記する場合がある)が比較的広く、
ds1>dHとなっている場合のヘッド長dHと用紙間隔dsとの関係を示している。この場合、ページメモリ78においてA面とB面を切り替える時間的余裕が確保されているため、A面とB面について、連続するページの書き込み、読み出しが個々独立に実行されていく。
【0058】
それに対し、
図7(b)は、記録用紙P1とP2との用紙間隔ds2(<ds1)が比較的狭く、ds2≦dHとなっている場合を示している。この場合、記録ヘッド14で一度に形成すべき画像が、記録用紙P1の最後の部分と記録用紙P2の最初の部分に跨っている。そのため、例えば、記録用紙P1に形成する画像情報がA面に格納され、記録用紙P2に形成する画像情報がB面に格納されている場合、A面とB面の両方のページメモリ78から画像情報を読み出す必要が生ずる。
【0059】
先述したように、本実施の形態に係るページメモリ78では、1個のページメモリ78については書き込み動作及び読み出し動作のいずれか一方がなされるので、上記の状態でB面が書き込み中であった場合には、その書き込み動作を中断して読み出し動作に切り替える必要が生ずる。ページメモリ78の動作において、この書き込み動作と読み出し動作の切り替えには一定の時間を要するので、B面の読み出し、すなわち、記録用紙P2に対応する画像情報の最初の部分の読み出しに遅延が発生する。この場合、記録用紙P2の最初の部分の画像形成が間に合わず、記録用紙P2に形成された画像において最初の部分に欠落が生ずる懸念がある。
【0060】
以上の点について、
図8及び
図9を参照し、さらに詳細に説明する。
【0061】
図8は、
図1に示すプリンタ10を上方から見た場合の、記録ヘッド14、搬送ベルト24、及び記録用紙P1、P2の配置関係を示す平面図である。
図8は、
図7(b)の場合、すなわち、ds≦dHの場合の記録ヘッド14、搬送ベルト24、及び記録用紙P1、P2の配置関係を示している。なお、
図8に示すように、本実施の形態に係る記録用紙Pの長さはdPである。
【0062】
なお、用紙間隔dsは、先述したように、記録用紙P1の画像形成領域と記録用紙P2の画像形成領域との間隔で定義されるが、本実施の形態では、縁なしの画像形成を想定し、記録用紙P1のエッジ(外郭)と記録用紙P2のエッジとの間隔で用紙間隔dsを規定するものとする。
【0063】
図8に示すように、記録ヘッド14で一度に画像形成すべき画像が、記録用紙P1の最後の長さd1に対応する一部分と、記録用紙P2の最初の長さd2に対応する一部分に跨っている。なお、以下においては、記録ヘッド14で一度に形成すべき画像がページ間に跨った場合の、ページiの跨った部分の長さを「di」と表記する場合がある。
【0064】
図9は、記録ヘッド14で一度に形成すべき画像が、記録用紙P1およびP2に跨った時点のページメモリ78の格納状態を示している。すなわち、A面にはページ1に対応する画像情報D1(以下、ページiに対応する画像情報を「Di」と表記する場合がある)が格納されており、B面には、ページ2に対応する画像情報D2の一部である画像情報D2’が格納されている。つまり、B面については、ページ2の画像情報の書き込み途中である。なお、本実施の形態では、各ページメモリ78に対して、同図に示す白抜き矢印の方向に画像情報が格納されていくものとする。
【0065】
図9において、D1Cは、
図8の記録用紙P1のd1に対応する部分の画像情報を、D2Cは、記録用紙P2のd2に対応する部分の画像情報を示している。記録ヘッド14と記録用紙P1、P2との配置が
図8に示す配置となった場合、記録ヘッド14によって一度に形成すべき画像として、画像情報D1CとD2Cとを同時に読み出す必要が生ずる。
しかしながら、B面においてはページ2の画像情報D2の書き込み途中であるため、書き込み動作から読み出し動作に切り替える必要が生じ、この切替動作に起因する画像情報D2Cの読み出しの遅延が発生する場合がある。当該遅延により、ページ2の画像情報によって画像形成された記録用紙P2の先頭部分に画像の欠落が発生する懸念がある。
【0066】
そこで、本実施の形態に係るプリンタ10では、記録ヘッド14によって一度に形成すべき画像がページ間に跨った場合(
図8に示すように、記録用紙P1、P2に跨った場合)には、1個のページメモリに対して、現在のページの画像情報に続けて次のページの先頭の一定ライン数(ページ先頭ライン数)分の画像情報を格納する。
【0067】
図10は、1個のページメモリに対して、現在のページの画像情報に続けて次のページのページ先頭ラインの画像情報を格納する場合のA面、B面の格納状態を示している。
【0068】
図10において、A面には、ライン数Mの画像情報D1が格納され、次に用紙間隔dsに対応するライン数Nの画像情報DSが格納され、次にページ2のd2に対応するライン数K2の画像情報D2Hが格納されている。また、B面には、ライン数Mの画像情報D2が格納され、次に用紙間隔dsに対応するライン数Nの画像情報DSが格納され、次にページ3のd3に対応するライン数K3の画像情報D3Hが格納されている。
【0069】
ここで、
図10の画像情報D2B(以下、ページiについて「DiB」と表記する場合がある)は、画像情報D2から画像情報D2Hを除いた残りの画像情報を示している。
図6において説明したように、次の段階では、
図10に示すB面と同様の構成でA面にページ3が格納される。
【0070】
なお、画像情報DSに対応する部分のドット単位のデータ値としては、例えばデータ値「0」とすればよい。つまり、画像情報DSとして、「0」を格納する。以下、データ値0が格納された画像情報を「空データ」という場合がある。
【0071】
図10に示すように、A面とB面に格納していくことにより、ページiとページi+1とに跨る画像情報のページi+1に属する部分がページiに対応するページメモリ78に格納される。従って、ページiとページi+1に跨る画像情報により画像形成を行う場合において、ページiのページメモリ78とページi+1のページメモリ78との両方から読み出す必要がなくなる。つまり、ページi+1に対応するページメモリ78では、書き込み動作から読み出し動作に移行する必要がなくなる。その結果、ページi+1に形成された画像における欠落等の不具合の発生が抑制される。
【0072】
なお、上記
図10に示すA面、B面の格納方法では、用紙間隔dsに対応するライン数Nの画像情報DSとして0を格納する場合を例示して説明したが、これに限られない。例えば、
図10のA面、B面に示す画像情報DSを省略し、画像情報D1の後に直接画像情報D2Hを格納(一般的に、画像情報Diの後に直接画像情報D(i+1)Hを格納)してもよい。
【0073】
この際、画像情報DSとして0を格納する(書き込む)場合の読み出し動作では、ページ単位にそのまま読み出すのに対し、画像情報DSの格納を省略する場合の読み出し動作では、1ページ読み出した後一旦読み出し動作を停止し、画像情報DSに対応するデータ値0からなる画像情報(空データ)を挿入した後、次のページを読み出す。
【0074】
ここで、上記各ライン数の算出方法について説明する。
まず、記録ヘッド14における副走査方向のノズル数(
図2では6個)をNHとする。
NHについて特に制限はないが、以下では、600個を例示して説明する。また、数Pを数Qで除した場合の商を[P/Q]と表記する。この場合の余りは繰り上げるものとする。さらに、数Pを数Qで除した場合の余りを<P/Q>と表記する。P/Qが小数の場合、<P/Q>は繰り上げて整数とする。
【0075】
まず、各ページの画像情報Diに対応するライン数Mは、記録用紙Pの長さdPをノズル間隔drで除して、以下に示す式(1)により算出される。
M=[dP/dr] ・・・ 式(1)
ここで、drは先述したノズル間隔dr(
図2参照)であり、例えば解像度1200dpiに相当する長さ21.1μmが例示される。例えば、A4サイズ(210mm×297mm)の縦方向を例にとると、上記ライン数Mは、dP=297mmとして、M≒[297/0.021]≒14000程度となる。
【0076】
また、ライン数Nは、用紙間隔dsをノズル間隔drで除して、以下に示す式(2)により算出される。
N=[ds/dr] ・・・ 式(2)
【0077】
また、ページ2のページ先頭ライン数K2は、以下に示す式(3)により算出される。
K2=[dH/dr]−<M/NH>−[ds/dr] ・・・ 式(3)
ここで、[dH/dr]は、ヘッド長dHに対応するライン数である。また、<M/NH>はMラインの画像情報(1ページ分の画像情報)について、記録ヘッド14でノズル数NHずつまとめて画像形成していった場合に、最後に残るノズル数NHに満たないライン数、つまり、
図8におけるd1に対応する部分のライン数である。さらに、[ds/dr]は、上記用紙間隔dsに対応するライン数Nである。式(3)は、ページ2のページ先頭ライン数を表すと同時に、ページiのページ先頭ライン数Kiをも表す式でもある。
【0078】
次に、
図11ないし
図13を参照して、画像形成処理を実行する際の本実施の形態に係るプリンタ10のページメモリ書き込み処理及びページメモリ読み出し処理について説明する。
図11は、本実施の形態に係るプリンタ10のCPU50により実行されるページメモリ書き込み処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、
図13は、ページメモリ読み出し処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
図12は、
図11のページメモリ書き込み処理プログラムの処理の流れを説明するための図であり、最初にページ1の画像情報D1をA面に格納した後、
図6に示した手順に従ってページ3のページ先頭ラインに対応する画像情報D3HをA面に格納するまでを例示している。なお、本実施の形態では、
図10における用紙間隔dsに対応する画像情報DSの格納を省略する形態を例示して説明する。
【0080】
図11及び
図13に示す処理は、例えば、外部装置等からCPU50が画像形成すべき画像情報を受け取った後、ユーザが、プリンタ10の操作表示部(図示省略)等を介し画像形成の部数等を指定して画像形成処理の開始を指示することにより、CPU50がROM52等の記憶手段から上記ページメモリ書き込み処理プログラム、あるいはページメモリ読み出し処理プログラムを読み込み、実行することによりなされる
【0081】
このように、本実施の形態では、本ページメモリ書き込み処理プログラム、あるいはページメモリ読み出し処理プログラムをROM52等に予め記憶させておく形態を例示して説明するが、これに限られず、本ページメモリ書き込み処理プログラム、あるいはページメモリ読み出し処理プログラムがコンピュータにより読み取り可能な可搬型の記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、本ページメモリ書き込み処理及びページメモリ読み出し処理を、プログラムを実行することによるコンピュータを利用したソフトウエア構成により実現しているが、これに限らない。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を採用したハードウエア構成や、ハードウエア構成とソフトウエア構成の組み合わせによって実現してもよい。
【0083】
まず、
図11及び
図12を参照して、ページメモリ書き込み処理について説明する。
図11に示すように、ステップS100では、上記式(1)によりページ全体のライン数Mを、式(2)により、用紙間隔dsに対応するライン数Nを算出する。
【0084】
次のステップS102では、用紙間隔dsが予め定められた閾値ds*以下であるか否かを判定する。当該判定は、記録ヘッド14による画像形成が複数ページに跨るか否かを判定するものであり、先述したように本実施の形態では、ds*=dH、すなわち閾値ds*はヘッド長dHとしている。
【0085】
ステップS102で否定判定となった場合には、後述するステップS124に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップS104に移行して、現在のページが最初のページか否かを判定する。
【0086】
ステップS104で否定判定となった場合にはステップS106に移行する一方、肯定判定となった場合には、ステップS118に移行してライン数Mのページ1の画像情報D1をページメモリに書き込んだ後、ステップS110に移行する。ライン数Mは、ステップS100で算出した、ページ全体のライン数Mである。ステップS118の処理の結果、
図12(a)に示すように、A面にライン数Mの画像情報D1が格納される。
【0087】
次のステップS110では、現在のページが最終ページか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合には後述するステップS120に移行する一方、否定判定となった場合には、ステップS112に移行して、次のページのページ先頭ラインの画像情報DiHをラインバッファ88に格納する。画像情報DiHのライン数Kiは、先述した式(3)によって算出する。
【0088】
次のステップS114では、ページメモリ78に画像情報DiHを書き込む。ステップS114の処理の結果、
図12(b)に示すように、A面には、画像情報D1に続けてライン数K2の画像情報D2Hが格納される。
【0089】
次のステップS116では、現在のページの格納が終了したことをページメモリ78に書き込む。現在のページの格納が完了したか否かは、例えば、1ページのライン数Mとページ先頭ライン数Kiに基づき、ライン数M+Kiが書き込まれたか否かで判断すればよい。
【0090】
次のステップS106では、ラインバッファ88に格納されている画像情報DiHを、
次のページに対応するページメモリ78に書き込む。ステップS106の処理の結果、
図12(c)に示すように、B面にライン数K2の画像情報D2Hが格納される。
【0091】
次のステップS108では、当該ページの画像情報Diのうち画像情報DiHを除いた画像情報である画像情報DiBをページメモリ78に書き込んだ後、先述のステップS110に移行する。ステップS108の処理の結果、
図12(d)に示すように、B面には画像情報D2Hに続けてライン数M−K2の画像情報D2Bが格納される。
【0092】
続けて、
図12を参照し、ページメモリ78への格納状態について説明する。
前記ステップS108の処理の後、上記ステップS110で否定判定となって上述したステップS112に移行した結果、画像情報D3Hがラインバッファ88に格納される。
次のステップS114の処理の結果、
図12(e)に示すように、画像情報D2に続けてライン数K3の画像情報D3HがB面に格納される。
【0093】
上述したように、ステップS114の処理の後は再びステップS106に戻り、ステップS106の処理の結果、
図12(f)に示すように、ラインバッファ88に格納されているD3HがA面に格納される。なお、A面に格納されていた画像情報D1及びD2Hは、この時点までに読み出されているものとする。
【0094】
ステップS110で肯定判定となった結果移行するステップS120では、次のページのページ先頭ラインの画像情報DiH0として、固定画像情報(空データ)を書き込む。
次のステップS122では、現在のページの格納が終了したことをページメモリ78に書き込んだ後、本ページメモリ書き込み処理プログラムを終了する。
【0095】
一方先述したステップS102で否定判定となった結果移行するステップS124では、ページiの画像情報Diをページメモリ78に書き込む。
次のステップS126では、現在のページが最終ページであるか否か判定し、当該判定が否定判定となった場合にはステップS124に戻って次のページの画像情報Diの書き込みを継続する一方、肯定判定となった場合には、本ページメモリ書き込み処理プログラムを終了する。
【0096】
次に、
図13を参照して、ページメモリ読み出し処理について説明する。
まず、ステップS200では、用紙間隔dsが予め定められた閾値ds*以下であるか否かを判定する。ステップS200で否定判定となった場合には後述するステップS218に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップS202に移行して、現在のページが最初のページか否かを判定する。
【0097】
ステップS202で否定判定となった場合にはステップS206に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップS204に移行して、ページ1のページ先頭ラインの画像情報D1Hを読み出す。
【0098】
次のステップS206では、現在のページの画像情報Diのうちページ先頭ラインの画像情報DiHを除いた画像情報DiBと、次のページのページ先頭ラインの画像情報D(i+1)Hを読み出す。
図10の例では、D2BがDiBに相当し、D3HがD(i+1)Hに相当する。
【0099】
次のステップS208では、用紙間隔dsに対応する画像情報DSとして、ライン数Nのデータ値0(空データ)を挿入する。ライン数Nは、
図11に示すページメモリ書き込み処理プログラムのステップS100で算出した値である。
【0100】
次のステップS210では、再印刷するか否かを判定する。本実施の形態における再印刷とは、画像形成中のエラーによる画像情報の変化、あるいは紙詰まり等の発生により、
現在のページについて再び画像形成をやり直すことをいう。
【0101】
ステップS210で否定判定となった場合には、後述のステップS216に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップS212に移行して、現在のページの全ライン(全画像情報)Diを再度読み出す。
図10の例では、画像情報D1あるいはD2がDiに相当する。
【0102】
次のステップS214では、用紙間隔dsに対応する画像情報DSとしてライン数Nの空データを挿入する。
次のステップS216では、現在のページが最終ページか否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合にはステップS206に戻り画像情報の読み出しを継続する一方、肯定判定となった場合には、本ページメモリ読み出し処理プログラムを終了する。
【0103】
一方、ステップS200で否定判定となった結果移行するステップS218では、現在のページの画像情報Diの全ライン(全画像情報)を読み出す。
次の、ステップS220では、用紙間隔dsに対応する画像情報DSとしてライン数Nの空データを挿入する。
【0104】
次のステップS222では、先述したステップS210と同様に、再印刷するか否か、
すなわち現在のページについて画像形成をやり直すか否かを判定する。
ステップS222で否定判定となった場合には後述するステップS228に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップS224に移行して、現在のページの全ライン(全画像情報)Diを再度読み出す。
【0105】
次のステップS226では、用紙間隔dsに対応する画像情報DSとしてライン数Nの空データを挿入する。
次のステップS228では、現在のページが最終ページか否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合にはステップS218に戻り画像情報の読み出しを継続する一方、肯定判定となった場合には、本ページメモリ読み出し処理プログラムを終了する。
【0106】
以上詳述したように、本実施の形態に係る画像形成装置によれば、頁記憶手段を有する画像形成装置において、二次元の記録ヘッドにより同時に行われる画像形成が頁間を跨る場合でも、画像形成における不具合の発生が抑制される。
【0107】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態は、ページメモリ書き込み処理において、用紙間隔dsに対応する画像情報DSとしてのデータ値0(空データ)の書き込みを省略した形態であるのに対し、
本実施の形態は、画像情報DSとしての空データを書き込む形態である。
【0108】
本実施の形態に係る、ページメモリ書き込み処理プログラム及びページメモリ読み出し処理プログラムの処理の流れは、各々
図11及び
図13に示すフローチャートと同様なので、同図を参照し相違点のみについて説明する。
【0109】
まず、ページメモリ書き込み処理プログラムについては、
図11に示すフローチャートのステップS110及びステップS126の直前に、画像情報DSとしての空データを書き込むステップを挿入する。ステップS110の処理の結果、
図12の例では、
図12(e)で画像情報D2と画像情報D3Hとの間に、画像情報DSが格納される(
図10のB面も参照)。
【0110】
一方、ページメモリ読み出し処理プログラムについては、
図13のステップS208、
S214、S220、及びS226における画像情報DSとしてのデータ値0を挿入する処理を、画像情報DSを読み出す処理に変更する。
【0111】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置によっても、頁記憶手段を有する画像形成装置において、二次元の記録ヘッドにより同時に行われる画像形成が頁間を跨る場合でも、画像形成における不具合の発生が抑制される。
【0112】
[第3の実施の形態]
図14を参照して、本実施の形態に係るプリンタ10について説明する。
図14は、本実施の形態に係るページメモリ書き込み処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
本実施の形態は、画像形成する各ページの先頭に固定パターンが設けられる場合の形態であり、またラインバッファ88を用いない形態である。
【0113】
プリンタ10による連続する画像形成において、各ページの先頭に予め定められた目的を有する固定パターンが設けられる場合がある。例えば各ページの先頭には、ノズルチェックパターン(記録ヘッド14に配置された各ノズル40について、不吐不良等の不良を検出するためのパターンであり、例えばラダーパターンが例示される)、ダミージェットパターン(液滴の増粘によるノズル40の吐出性能の劣化を抑制するために、メンテナンスユニット15に設けられたキャップ(図示省略)内に液滴を吐出するパターンであり、
例えば、全吐出パターンが例示される)等の固定パターンが設けられる場合がある。
【0114】
固定パターンは、例えば、書き換え可能な簡易なテーブル、あるいは論理回路等により生成される。従って、本実施の形態に係るページメモリ書き込み処理では、各ページの先頭に配置された固定パターンからなるページ先頭ラインの画像情報DiHを、前記テーブル、あるいは論理回路により生成して書き込み、格納する。より具体的には、例えば、
図10のA面において画像情報DSを書き込んだ後、前記テーブル、あるいは論理回路により生成した画像情報D2Hを格納する。
【0115】
図14に示すフローチャートの各処理のうち、ステップS300ないしS304、S308、S310、S314ないしS326は、各々
図11に示すフローチャートの各処理のうちの、ステップS100ないしS104、S108、S110、S114ないしS126と同様なので詳細な説明は省略し、以下相違する処理について主に説明する。
【0116】
ステップS312で、次のページのページ先頭ラインに対応する画像情報DiHを、上述のテーブルあるいは論理回路により生成する。
次のステップS314では、現在のページに対応する画像情報Diに続けて、前記画像情報DiHを書き込む。再び
図12を参照して説明すると、ステップS314の処理の結果、
図12(b)に示すように、A面には、画像情報D1に続けてライン数K2の画像情報D2Hが格納される。
【0117】
続くステップS306では、次のページに対応するページメモリに画像情報DiHを書き込む。ステップS306の処理の結果、
図12(c)に示すように、B面に画像情報D2Hが格納される。
次のステップS308では、画像情報DiBをページメモリ78に書き込む。ステップS308の処理の結果、
図12(d)に示すように、B面には画像情報D2Hに続けてライン数M−K2の画像情報D2Bが格納される。
【0118】
ステップS310で肯定判定となった場合には、ステップS312で再び次のページのページ先頭ラインに対応する画像情報DiHを、上述のテーブルあるいは論理回路により生成する。
以降の処理は、第1の実施の形態及び上記で説明したとおりである。
また、本実施の形態に係るページメモリ読み出し処理プログラムは、
図13と同様とすればよい。
【0119】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置によっても、頁記憶手段を有する画像形成装置において、二次元の記録ヘッドにより同時に行われる画像形成が頁間を跨る場合でも、画像形成における不具合の発生が抑制される。
特に、本実施の形態に係る画像形成装置では、ラインバッファが不要なので、コストの削減が図られる。
【0120】
なお、上記各実施の形態では、裁断された記録用紙P、すなわち、いわゆるカット紙を用いた形態を例示して説明したが、これに限られず、例えば、ロール状に巻かれたロール紙の状態で用いられる連続した長尺の連続紙を用いた形態に適用してもよい。連続紙の場合、上記各実施の形態で説明した用紙間隔に相当する部分がカット紙に比較して短い場合も想定されるので、その場合本実施の形態に係る効果もより顕著なものとなる。
【0121】
また、上記各実施の形態では、用紙間隔dsに対応する画像情報DSに対してはラインバッファを用いない形態を例示して説明したが、これに限られず、画像情報DSを構成する各ラインに対してラインバッファを用いてもよい。ラインバッファを用いた場合、例えば、連続する記録用紙Pへの画像形成において用紙間隔dsが変化する場合等に対しても柔軟な処理がなされる。
【0122】
また、上記各実施の形態では、ヘッド長dH、用紙間隔ds、及びノズル数NHに基づいて算出されたページ先頭ライン数Ki(上記式(3)参照)分のラインバッファ88を有する形態を例示して説明したが、これに限定されない。上記式(3)によれば、ヘッド長dH(又はノズル数NH)が大きくなるにしたがってページ先頭ライン数Kiが増加するので、ラインバッファ88の数が増え、コストが増大する。
【0123】
そこで、例えば、各ページの画像情報Diの先頭ラインに対して以下の圧縮処理を行って、ラインバッファ88の削減を図ってもよい。
(1)次のページのページ先頭ラインの画像情報DiHのうち、現在のページの中に同一の画像情報からなるライン又はブロック(ラインを予め定められた数で分割したうちの1つ)が存在すれば、そのライン又はブロックで代用する。すなわち、次のページのページ先頭ラインの画像情報DiHとしては、当該同一のライン又はブロックを指定する情報を書き込むことにより、その分のラインバッファを削減する。
(2)次のページのページ先頭ラインの画像情報DiHには、実際には画像形成を伴わない画像情報(空データ、例えばデータ値0)が存在する可能性が高いので、当該空データに対してランレングス圧縮を行って、その分のラインバッファを削減する。