(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デッドタイム補償部は、前記デッドタイム補償における補償量の符号が逆転する場合には、出力電流値及び出力電流の位相の少なくとも一つに基づいて、前記補償量を所定の傾きで変化させることを特徴とする請求項1または2に記載のインバータ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の背景技術に鑑みて発明されたものであり、より変換効率が高く、またはより理想的な出力波形を得ることができるインバータ装置に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、以下の点を最大の特徴とする。すなわち、直流電力を交流電力に変換するフルブリッジインバータ部と、フルブリッジインバータ部の出
力を短絡することで変換効率を高める短絡部とを有しており、これらをPWM制御する際に、短絡部をPWM制御するスイッチングパターンと短絡部をPWM制御しないスイッチングパターンを含む複数のスイッチングパターンによって制御する。そして、スイッチングパターンに応じて電源短絡を防止するためのデッドタイムを設け、このデッドタイムが設けられた場合には、PWM制御のDutyを補正してデッドタイムによる出力波形の歪を補償する。
【0008】
より詳しくは、第1のスイッチング素子群を有し、直流電力を交流電力に変換するフルブリッジインバータ部と、
第2のスイッチング素子群を有し、前記フルブリッジインバータ部の出力を短絡する短絡部と、
前記第1のスイッチング素子群と前記第2のスイッチング素子群のON/OFFを切り替えることで、前記フルブリッジインバータ部及び前記短絡部をPWM制御する制御部と、
を備えたインバータ装置において、
前記制御部は、前記フルブリッジインバータ部及び前記短絡部を、前記短絡部をPWM制御するスイッチングパターンと前記短絡部をPWM制御しないスイッチングパターンを含む複数のスイッチングパターンによって制御するとともに、前記スイッチングパターンに応じて、前記第1のスイッチング素子群のON期間と、前記第2のスイッチング素子群のON期間との間にデッドタイムを生成し、
前記デッドタイムが設けられた場合に、前記PWM制御のDutyを補正して前記デッドタイムによる出力波形の歪を補償するデッドタイム補償を行うデッドタイム補償部をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、フルブリッジインバータ部と短絡部とを有するHERIC回路を有するインバータ装置についてのものである。本発明においては、HERIC回路を採用することにより、スイッチング素子のスイッチする電圧を低くすることができ、0V出力時の電流の通過経路を短くすることができるので、インバータ装置の効率を高めることが可能である。
【0010】
また、本発明は、HERIC回路を、短絡部をPWM制御するスイッチングパターンと短絡部をPWM制御しないスイッチングパターンを含む複数のスイッチングパターンによって制御するので、常に短絡部をPWM制御することはなくなり、このことによってもインバータ装置の変換効率を向上させることが可能である。
【0011】
さらに、本発明によれば、HERIC回路を使用しつつ、デッドタイムを生成することで電源短絡を防止するとともに、デッドタイムが設けられた場合には、PWM制御のDutyを補正してデッドタイムによる出力波形の歪を補償するデッドタイム補償を行うので、電源短絡を防止できるとともに、より歪の少ない理想的な出力波形を得ることが可能となる。
【0012】
また、本発明においては、前記制御部は、
電源系統と連系して負荷に電力を供給する系統連係時と、電源系統とは独立して負荷に電力を供給する自立運転時とで、
前記スイッチングパターンの内容を変更するようにしてもよい。
【0013】
ここで、自立運転時は系統連系時と異なり、無効電力の消費が大きい負荷が接続されると力率が低くなる場合がある。力率が低くなると0Vを出力するときに大きな電流が流れる。また、0Vを出力するときにはスイッチング素子US、WSのON時間が長くなる。従って、自立運転時においてHERIC回路をPWM制御する場合には、短絡部における
スイッチング素子に大電流が流れる時間が長くなり、短絡部のスイッチング素子が発熱する可能性がある。
【0014】
これに対し、本発明では、自立運転時には系統連系時とは異なるスイッチングパターンで制御し、例えば、短絡部を構成する第2のスイッチング素子群のON時間を相対的に短くすることとした。これによれば、自立運転時においてHERIC回路をPWM制御する場合においても、短絡部を構成するスイッチング素子が発熱したり破損したりすることを抑制できる。
【0015】
また、本発明においては、前記デッドタイム補償部は、前記デッドタイム補償における補償量の符号が逆転する場合には、出力電流値及び出力電流の位相の少なくとも一つに基づいて、前記補償量を所定の傾きで変化させるようにしてもよい。
【0016】
すなわち、デッドタイムのDutyの補償量をΔDutyとしたときに、デッドタイム補償量の絶対値|ΔDuty|は理想的には一定でよい。しかしながら実際には、デッドタイム補償量が|ΔDuty|から−|ΔDuty|もしくは−|ΔDuty|から|ΔDuty|へ符号が逆転する場合があり、そのような場合には、かえってデッドタイム補償により出力電圧が歪む虞がある。それに対し、本発明においては、デッドタイム補償部は、デッドタイム補償における補償量の符号が逆転する場合には、出力電流値及び出力電流の位相の少なくとも一方に基づいて、逆転の前後またはそのいずれかにおいて補償量を所定の傾きで時間とともに変化させるようにした。
【0017】
これによれば、デッドタイム補償量を正から負、負から正へ切り替えるときにデッドタイム補償量を緩やかに変化させることができ、デッドタイム補償量の符号の逆転により、出力電圧が歪むことを抑制できる。なお、ここで所定の傾きとはデッドタイム補償量の符号の逆転により、出力電圧の著しい歪が生じない範囲の傾きを意味しており、予め計算上、または実験的に求められてもよい。また、所定の傾きは直線状すなわちテ―パ状に変化する場合の他、曲線状に変化する場合をも含む。また、ここにおいて出力電流値、出力電流の位相は、実際の出力電流値、出力電流の位相であってもよいし、出力電流指令値Iref、出力電流指令値Irefの位相で代用しても構わない。
【0018】
また、本発明は、第1のスイッチング素子群を有し、直流電力を交流電力に変換するフルブリッジインバータ部と、
第2のスイッチング素子群を有し、前記フルブリッジインバータ部の出力を短絡する短絡部と、を備え、
前記第1のスイッチング素子群と前記第2のスイッチング素子群のON/OFFを切り替えることで、前記フルブリッジインバータ部及び前記短絡部をPWM制御する、
インバータ装置の制御方法であって、
前記フルブリッジインバータ部及び前記短絡部の制御は、前記短絡部をPWM制御するスイッチングパターンと前記短絡部をPWM制御しないスイッチングパターンを含む複数のスイッチングパターンによって行い、
前記スイッチングパターンに応じて、前記第1のスイッチング素子群のON期間と、前記第2のスイッチング素子群のON期間との間にデッドタイムを設け、
前記デッドタイムが設けられた場合に、前記PWM制御のDutyを補正して前記デッドタイムによる出力波形の歪を補償するデッドタイム補償を行うことを特徴とする、
インバータ装置の制御方法であってもよい。
【0019】
また、本発明は、上記のインバータ装置と、
太陽電池などの分散型直流電源の出力電圧を昇圧し前記インバータ装置に入力するDC−DCコンバータと、
前記インバータ装置の出力のノイズを低減するフィルタと、
を備えたことを特徴とするパワーコンディショナであってもよいし、該パワーコンディショナを備えた発電システムであってもよい。
【0020】
なお、上記した課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、インバータ装置の変換効率を向上させることが可能となり、または、より理想的な出力波形を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。
【0024】
<実施例1>
図1は、本実施例における太陽光発電システム1である。太陽光発電システム1は不図示の太陽電池および太陽電池から出力される直流電圧を交流電圧に変換し、電気系統との連系運転を可能とするパワーコンディショナ10を備えている。パワーコンディショナ10はDC−DCコンバータ11、インバータ装置13およびフィルタ回路15を有する。
図1において、コンデンサ12は太陽電池から出力される直流電流により充電され、太陽電池からの出力を平滑化する働きを有する。
【0025】
DC−DCコンバータ11としては、例えばチョッパ昇圧回路が用いられる。本実施例においてDC−DCコンバータ11はインダクタ11a、スイッチング素子11b、逆流防止ダイオード11c、コンデンサ11dを有する。DC−DCコンバータ11は太陽電池から出力された直流電圧を昇圧する働きを持つ。このDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVは図示しない電圧センサによって検出され、制御部17へ入力される。また、DC−DCコンバータ11の出力はインバータ装置13に入力される。
【0026】
インバータ装置13はDC−DCコンバータ11から出力される直流電圧を交流電圧に
変換してフィルタ回路15に出力する。本発明のインバータ装置13はスイッチング素子UH、UL、WH、WLからなるフルブリッジインバータ部としてのフルブリッジインバータ13aと、その出力を短絡させるスイッチング素子US、WSからなる短絡部としての短絡回路13bとを有する。本発明の特徴であるインバータ装置13の制御方法は後述する。インバータ装置13の出力電流ILは図示しない電流センサによって検出され、制御部17へ入力される。
【0027】
フィルタ回路15はインダクタ15a,15b,コンデンサ15cを有する。フィルタ回路15はインバータ装置13より出力された出力電流のノイズを抑制して、図示しない電気系統へ逆潮流する働きを持つ。系統電圧Vsは図示しない電圧センサによって検出され、制御部17へ入力される。
【0028】
<ブロック図の説明>
図2は制御部17がスイッチング素子のON/OFFを制御する際の制御内容を示すブロック図である。制御部17は電流指令値Irefとインバータ装置13の実際の電流出力値ILの偏差ΔIを求める。制御部17における出力電流制御部17bは、この偏差ΔIよりインバータ装置11が出力すべき電圧値である電圧指令値Vrefを演算する。制御部17は、電圧指令値VrefをDDVで除算することでDutyを演算する。また、制御部17には、パターン生成部17cが備えられている。パターン生成部17cでは電流指令値Iref、電圧指令値Vref、パターン記憶部17dより出力される過去のスイッチングパターンから、現在のスイッチングパターンが生成される。このスイッチングパターンの生成方法については後述する。そして、パターン生成部17cでは、生成されたスイッチングパターンを出力する。また、パターン記憶部17dにおいては、パターン生成部17cの最新の出力を記憶する。
【0029】
本実施例の制御部17には、デッドタイム補償部17eが備えられている。デッドタイム補償部17eはDDV制御部17aより出力された電流指令値Irefとパターン生成部17cより出力されたスイッチングパターンから補正すべきDuty補償量ΔDutyを出力する。PWM信号生成部17fは計算されたDutyとDuty補償量ΔDutyの和からPWM信号を生成し、論理回路17gに出力する。論理回路17gはPWM信号生成部17fより出力されたPWM信号とパターン生成部17cより出力されたスイッチングパターンに基づき、スイッチング素子をON/OFFし、またはPWM制御を行う。
【0030】
<系統連系時のスイッチングパターン>
図3は系統連系時における、本実施例のインバータ装置13の電圧指令値Vrefと電流指令値Irefの関係を表す図である。図の実線が電流指令値Iref、破線が電圧指令値Vrefを示す。また、
図3の上方のアルファベットはスイッチングパターンを表している。アルファベット下に配置された数字は後述する「状態」を表している。図に示すように、インバータ13はその1周期の中でスイッチングパターンを切り替える。さらにスイッチングパターン及び電流指令値Irefに応じて状態を6つに区別している。
【表1】
【0031】
ここで、先ずスイッチングパターンの切り替えについて説明する。表1に示すようにスイッチングパターンは電流指令値Irefと電圧指令値Vrefとの関係で決まる。ただし、表中「ヒステリシス部」とある部分では、ヒステリシス部の条件に該当する直前のスイッチングパターンを維持する。表中の「―」は電圧指令値及び電流指令値の符号判定により存在することがない条件である。
【0032】
スイッチングパターンAではPWM制御により2つのサブパターンA−a、A−bを交互に切り替える。表2に示すように、サブパターンA−aではスイッチング素子UH、WL、WSをONにし、スイッチング素子UL、WH、USをOFFとする。サブパターンA−bではスイッチング素子WSのみがONになり、スイッチング素子UH、UL、WH、WL、USはそれぞれOFFとなる。スイッチングパターンAではスイッチング素子US、WSのスイッチング素子をPWM駆動しないため変換効率が高い。ただし、電流を負方向に流しながら電圧を制御することはできない。
【表2】
【0033】
スイッチングパターンBでは、表3に示すようにPWM制御により3つのサブパターンB−a、B−b、B−cを切り替える。サブパターンB−aではスイッチング素子UH、WLをONとし、スイッチング素子UL、WH、US、WSをOFFとする。サブパターンB−bではスイッチング素子UH、UL、WH、WL、US、WSがOFFとなる。サブパターンB−cではスイッチング素子US、WSがONとなり、スイッチング素子UH、UL、WH、WLはOFFとなる。スイッチングパターンBではサブパターンB−a→サブパターンB−b→サブパターンB−c→サブパターンB−bのサイクルを繰り返す。スイッチングパターンBではスイッチング素子US、WSをPWM駆動するため変換効率が低くなる。ただし、電流を正方向に流すときも、負方向に流すときも電圧制御を行うことが可能である。
【表3】
【0034】
スイッチングパターンCでは、表4に示すようにPWM制御により3つのサブパターンC−a、C−b、C−cを切り替える。サブパターンC−aではスイッチング素子UL、WHをONとし、スイッチング素子UH、WL、US、WSをOFFとする。サブパターンC−bではスイッチング素子UH、UL、WH、WL、US、WSはOFFとなる。サブパターンC−cではスイッチング素子US、WSがONとなり、スイッチング素子UH、UL、WH、WLがOFFとなる。スイッチングパターンCではサブパターンC−a→サブパターンC−b→サブパターンC−c→サブパターンC−bのサイクルを繰り返す。スイッチングパターンCではスイッチング素子US、WSをPWM駆動するため変換効率が低くなる。ただし、電流を正方向に流すときも、負方向に流すときも電圧制御を行うことが可能である。
【表4】
【0035】
スイッチングパターンDでは、表5に示すようにPWM制御により2つのサブパターンD−a、D−bを交互に切り替える。サブパターンD−aではスイッチング素子UL、WH、USをONにし、スイッチング素子UH、WL、WSをOFFとする。サブパターンD−bではスイッチング素子USのみがONになり、スイッチング素子UH、UL、WH、WL、WSはそれぞれOFFとなる。スイッチングパターンDではスイッチング素子US、WSのスイッチング素子をPWM駆動しないため、変換効率が高い。ただし、電流を正方向に流しながら電圧を制御することはできない。
【表5】
【0036】
次に
図3を用いて、各状態1〜6について説明する。状態1ではスイッチングパターンがC、電流指令値Irefが正となる。状態2ではスイッチングパターンがA、電流指令値Irefが正となる。状態3ではスイッチングパターンがB、電流指令値Irefが正となる。状態4ではスイッチングパターンがB、電流指令値Irefが負となる。状態5ではスイッチングパターンがD、電流指令値Irefが負となる。状態6ではスイッチングパターンがC、電流指令値Irefが負となる。
【0037】
後述のとおりスイッチングパターンB及びCではデッドタイムが生じる。そのため、デッドタイム補償部は電流指令値Irefとスイッチングパターンから、状態1〜6を推定し、各状態に応じたデッドタイム補償量を演算する。後述のとおり状態1,3ではデッドタイム補償量は正、状態2,5ではデッドタイム補償量は0、状態4,6ではデッドタイム補償量は負となる。次にデッドタイム補償量が状態1,3で正になり、状態4,6で負となる理由を説明する。なお、状態2,5でデッドタイム補償量が0となるのはスイッチングパターンA,Dではデッドタイムが生じないためである。
【0038】
<状態1>
先ず、
図4(a)〜(c)を用いて状態1について説明する。
図4(a)には、サブパターンC−aにおける各スイッチング素子のON/OFF状態及び電流の流れを示す。同様に、
図4(b)には、サブパターンC−bについて、
図4(c)には、サブパターンC−cについて示す。ONしているスイッチング素子は、実線で、OFFしているスイッチング素子は破線で記載されている。
【0039】
状態1においては、スイッチングパターンはスイッチングパターンCになっており、PWM制御により先述のサブパターンC−a→C−b→C−c→C−bのサイクルを繰り返す。また電流指令値Irefは正である。サブパターンC−aではスイッチング素子UL、WHをONとし、スイッチング素子UH、WL、US、WSをOFFとする。このときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子ULの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと逆符号の−DDVとなる。
【0040】
サブパターンC−bではスイッチング素子UH、UL、WH、WL及び、US、WSは全てOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子ULの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと逆符号の−DDVとなる。
【0041】
サブパターンC−cではスイッチング素子US、WSがONとなり、スイッチング素子UH、UL、WH、WLがOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタ15b→ス
イッチング素子WS→スイッチング素子USの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。この時の出力電圧は0となる。ここでサブパターンC−bはデッドタイムに相当する。状態1ではデッドタイムを設けるために、サブパターンC−cとなるDutyを減少させている。すなわち状態1においては、理想的にはサブパターンC−cになっていなければならない期間の一部が、実際にはサブパターンC−bとなっている。その結果、理想的には出力電圧が0であるべき期間の一部において、実際には出力電圧が−DDVとなり、インバータ装置13の出力電圧は正弦波から歪んだものとなる。従って、スイッチングパターンCではデッドタイムによる出力電圧の歪みを考慮しなければならない。ここでは差分の−DDVを相殺するために、本来のDutyに対して、正のデッドタイム補償量ΔDutyを加える必要がある。
【0042】
<状態2>
次に、
図5(a),(b)を用いて状態2について説明する。状態2においては、スイッチングパターンはスイッチングパターンAになっており、PWM制御により先述のサブパターンA−a、A−bを交互に切り替える。サブパターンA−aではスイッチング素子UH、WL、WSをONにし、スイッチング素子UL、WH、USをOFFとする。このときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WL→コンデンサ11d→スイッチング素子UH→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。
【0043】
サブパターンA−bではスイッチング素子WSのみがONになり、スイッチング素子UH、UL、WH、WS、USはそれぞれOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WS→スイッチング素子USの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧は0と同じになる。なお、このスイッチングパターンAでは電源短絡の虞がないため、デッドタイムを設ける必要がない。
【0044】
<状態3>
次に、
図6(a)〜(c)を用いて状態3について説明する。状態3においては、スイッチングパターンはスイッチングパターンBになっており、PWM制御により先述のサブパターンB−a→B−b→B−c→B−bのサイクルを繰り返す。また電流指令値Irefは正である。サブパターンB−aではスイッチング素子UH、WLをONとし、スイッチング素子UL、WH、US、WSをOFFとする。このときの電流の流れはインダクタンス15b→スイッチング素子WL→コンデンサ11d→スイッチング素子UH→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。サブパターンB−bではスイッチング素子UH、UL、WH、WL、US、WSがOFFとなる。
【0045】
このときの電流の流れはインダクタンス15b→スイッチング素子WHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子ULの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと逆符号の−DDVとなる。サブパターンB−cではスイッチング素子US、WSがONとなり、スイッチング素子UH、UL、WH、WLはOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタンス15b→スイッチング素子WS→スイッチング素子USの還流ダイオード→インダクタンス15aとなる。このときの出力電圧は0となる。ここでサブパターンB−bはデッドタイムに相当する。
【0046】
状態3ではデッドタイムを設けるために、サブパターンB−cとなるDutyを減少させている。すなわち状態3においては、理想的にはサブパターンB−cになっていなければならない期間の一部が、実際にはサブパターンB−bとなっている。その結果、理想的には出力電圧が0であるべき期間の一部において、実際には出力電圧が−DDVとなり、
インバータ装置13の出力電圧は正弦波から歪んだものとなる。従って、スイッチングパターンBではデッドタイムによる出力電圧の歪みを考慮しなければならない。ここでは差分の−DDVを相殺するために、本来のDutyに対して、正のデッドタイム補償量ΔDutyを加える必要がある。
【0047】
<状態4>
次に、
図7(a)〜(c)を用いて状態4について説明する。状態4においても、スイッチングパターンはスイッチングパターンBになっており、PWM制御により先述のサブパターンB−a→B−b→B−c→B−bのサイクルを繰り返す。また電流指令値Irefは負である。サブパターンB−aではスイッチング素子UH、WLをONとし、スイッチング素子UL、WH、US、WSをOFFとする。このときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子UHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子WLの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。
【0048】
サブパターンB−bではスイッチング素子UH、UL、WH、WL、US、WSがOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタンス15a→スイッチング素子UHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子WLの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。サブパターンB−cではスイッチング素子US、WSがONとなり、スイッチング素子UH、UL、WH、WLはOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタンス15a→スイッチング素子US→スイッチング素子WSの還流ダイオード→インダクタンス15bとなる。このときの出力電圧は0となる。ここでサブパターンB−bはデッドタイムである。
【0049】
状態4ではデッドタイムを設けるために、サブパターンB−cとなるDutyを減少させている。すなわち状態4においては、理想的にはサブパターンB−cになっていなければならない期間の一部が、実際にはサブパターンB−bとなっている。その結果、理想的には出力電圧が0であるべき期間の一部において、実際には出力電圧がDDVとなり、インバータ装置13の出力電圧は正弦波から歪んだものとなる。従って、スイッチングパターンBではデッドタイムによる出力電圧の歪みを考慮しなければならない。ここでは差分のDDVを相殺するために、本来のDutyに対して、負のデッドタイム補償量ΔDutyを加える必要がある。
【0050】
<状態5>
次に、
図8(a),(b)を用いて状態5について説明する。状態5においては、スイッチングパターンはスイッチングパターンDになっており、PWM制御により先述のサブパターンD−a、D−bを交互に切り替える。サブパターンD−aではスイッチング素子UL、WH、USをONにし、スイッチング素子UH、WL、WSをOFFとする。このときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子UL→コンデンサ11d→スイッチング素子WH→インダクタ15bとなる。
【0051】
このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと逆符号の−DDVとなる。サブパターンD−bではスイッチング素子USのみがONになり、スイッチング素子UH、UL、WH、WL、WSはそれぞれOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子US→スイッチング素子WSの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧は0となる。なお、このスイッチングパターンDでは電源短絡の虞がないため、デッドタイムを設ける必要がない。
【0052】
<状態6>
次に、
図9(a)〜(c)を用いて状態6について説明する。状態6においては、スイッチングパターンはスイッチングパターンCになっており、PWM制御により先述のサブパターンC−a→C−b→C−c→C−bのサイクルを繰り返す。また電流指令値Irefは負である。サブパターンC−aではスイッチング素子UL、WHをONとし、スイッチング素子UH、WL、US、WSをOFFとする。このときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子UL→コンデンサ11d→スイッチング素子WH→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと逆符号の−DDVとなる。
【0053】
サブパターンC−bではスイッチング素子UH、UL、WH、WL、US、WSはOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子UHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子WLの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。サブパターンC−cではスイッチング素子US、WSがONとなり、スイッチング素子UH、UL、WH、WLがOFFとなる。このときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子US→スイッチング素子WSの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。この時の出力電圧は0となる。ここでサブパターンC−bはデッドタイムに相当する。
【0054】
状態6ではデッドタイムを設けるために、サブパターンC−cとなるDutyを減少させている。すなわち、状態6においては、理想的にはサブパターンC−cになっていなければならない期間の一部が、実際にはサブパターンC−bとなっている。その結果、理想的には出力電圧が0であるべき期間の一部において、実際には出力電圧がDDVとなり、インバータ装置13の出力電圧は正弦波から歪んだものとなる。従って、スイッチングパターンCではデッドタイムによる出力電圧の歪みを考慮しなければならない。ここでは差分のDDVを相殺するために、本来のDutyに対して、負のデッドタイム補償量ΔDutyを加える必要がある。
【0055】
以上、状態1〜6に渡ってデッドタイムにより出力電圧に歪みが生じることを説明した。結果をまとめると表のようになる。
【表6】
【0056】
図10には、系統連系時における、本実施例のインバータ装置13の電圧指令値Vrefと電流指令値Irefと、スイッチングパターン、状態及び、デッドタイム補償の関係を示す。
図10の実線によるカーブはインバータ装置11の電流指令値Irefである。また
図10の上方に配置したアルファベットはスイッチングパターンであり、アルファベット下に配置された数字は「状態」を表す。また、図中には太い実線でデッドタイム補償量ΔDutyを表す。状態1及び3ではDutyをプラス側に補償し、状態4及び、6ではマイナス側に補償していることが分かる。このDutyの補償量ΔDutyは、プラス側の場合、例えばDDV2μs分(デッドタイム)程度、マイナス側の場合、例えば−DDV2μs分(デッドタイム)程度であってもよい。
【0057】
<自立運転時のスイッチングパターン>
次に、自立運転時のスイッチングパターン及び、その際のデッドタイム、デッドタイム補償について説明する。
【0058】
自立運転時は系統連系時と異なり、無効電力の消費が大きい負荷が接続されると力率が低くなる事がある。力率が低くなると0Vを出力するときに大きな電流が流れる。また、0Vを出力するときにはスイッチング素子US、WSのON時間が長くなる。そうすると、スイッチング素子US、WSに大電流が流れる時間が長くなり、スイッチング素子US、WSが発熱して破損する虞がある。従って、自立運転時には系統連系時とは異なる、スイッチング素子US、WSのON時間が長くならないようなスイッチングパターンでインバータ装置を制御するべきである。
【0059】
本実施例では、自立運転時には4つのサブパターンからなる1つのスイッチングパターンでスイッチング素子を制御するようにした。以下、自立運転時のスイッチングパターンをスイッチングパターンEとする。サブパターンE−aではスイッチング素子UH、WLがONとなり、スイッチング素子UL、WH、US、WSがOFFとなる。サブパターンE−bではスイッチング素子UL、WHがONとなり、スイッチング素子UH、WL、US、WSがOFFとなる。サブパターンE−cではスイッチング素子US、WSがONとなり、スイッチング素子UH、UL、WH、WLがOFFとなる。サブパターンE−dではスイッチング素子UH、UL、WH、WL、US、WSがOFFとなる。スイッチングパターンEではサブパターンE−a→サブパターンE−d→サブパターンE−c→サブパターンE−d→サブパターンE−b→サブパターンE−d→サブパターンE−c→サブパターンE−dというサイクルを1キャリア内で繰り返す。
【表7】
【0060】
<電流が正方向の状態>
図11(a)〜(d)を用いて、電流が正方向に流れる状態においてスイッチングパターンEの出力電圧がどのように変化するかを説明する。
図11(a)に示すようにサブパターンE−aのときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WL→コンデンサ11d→スイッチング素子UH→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。
図11(b)に示すようにサブパターンE−bのときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子ULの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVの逆符号の−DDVとなる。
【0061】
図11(c)に示すようにサブパターンE−cのときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WS→スイッチング素子USの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧は0となる。
図11(d)に示すようにサブパターンE−dのときの電流の流れはインダクタ15b→スイッチング素子WHの還流ダイオード→コンデ
ンサ11d→スイッチング素子ULの還流ダイオード→インダクタ15aとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVの逆符号の−DDVとなる。
【0062】
<デッドタイム補償>
ここでサブパターンE−dがデッドタイムに該当する。この状態ではデッドタイムを設けるためにサブパターンE−a、E−b、E−cの時間を短くする。すなわち、本来サブパターンE−a、E−b、E−cであるべき状態の期間の一部が、デッドタイムによりサブパターンE−dになるので、出力電圧がずれてしまう。従って、出力電圧のずれの分だけDutyにデッドタイム補償量ΔDutyを加えることで、出力電圧をノイズの少ない正弦波に近づけることが可能である。
【0063】
<電流が負方向の状態>
図12(a)〜(d)を用いて、電流が負方向に流れる状態においてスイッチングパターンEの出力電圧がどのように変化するかを記載する。
図12(a)に示すようにサブパターンE−aのときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子UHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子WLの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。
図12(b)に示すようにサブパターンE−bのときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子UL→コンデンサ11b→スイッチング素子WH→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVの逆符号の−DDVとなる。
【0064】
図12(c)に示すようにサブパターンE−cのときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子US→スイッチング素子WSの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧は0となる。
図12(d)に示すようにサブパターンE−dのときの電流の流れはインダクタ15a→スイッチング素子UHの還流ダイオード→コンデンサ11d→スイッチング素子WLの還流ダイオード→インダクタ15bとなる。このときの出力電圧はDC−DCコンバータ11の出力電圧DDVと同じになる。
【0065】
<デッドタイム補償>
ここでサブパターンE−dがデッドタイムに該当する。この状態ではデッドタイムを設けるためにサブパターンE−a、E−b、E−cの時間が短くする。すなわち、本来サブパターンE−b、E−b、E−cであるべき状態の期間の一部が、デッドタイムによりサブパターンE−dになるので、出力電圧がずれてしまう。従って、出力電圧のずれの1キャリア内の合計分だけDutyからデッドタイム補償量ΔDutyを差し引くことで、出力電圧をノイズの少ない正弦波に近づけることが可能である。このDutyの補償量ΔDutyは、電流がプラス側の場合、例えばデッドタイムが2μsであれば4μs分程度、マイナス側の場合も、例えばデッドタイムが2μsであれば4μs分程度であってもよい。
【0066】
以上、説明したように、本実施例においては、フルブリッジインバータ部と短絡部とを有するHERIC回路を有するインバータ装置において、短絡部をPWM制御するスイッチングパターンであるスイッチングパターンB、Cと、短絡部をPWM制御しないスイッチングパターンであるスイッチングパターンA、Dとによって制御することにした。従って、短絡部をPWM制御しないスイッチングパターンであるスイッチングパターンA、Dを用いることで、インバータ装置の変換効率をより向上させることが可能となった。
【0067】
また、出力電流の方向が変化する可能性が高い場合には、電流方向の正負が変わっても電圧制御が可能なスイッチングパターンB、Cを使用すべきであるが、このような場合には、デッドタイムの設定によって波形が歪む可能性があるという不都合に対し、本実施例
ではDutyを補正することでデッドタイム補償をすることとした。これにより、波形の歪を抑制することができ、より理想形に近い出力波形を得ることが可能となった。
【0068】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例においては、デッドタイム補償の補償量の符号が逆転する場合には、デッドタイム補償量を矩形状に変化させるのではなく、傾きを持たせて除々に変化させる例について説明する。
【0069】
図13を使って、系統連系時における、デッドタイム補償量ΔDutyの大きさの変化について説明する。デッドタイムの補償量をΔDutyとしたときに、実施例1において説明した、状態1,3,4,6のデッドタイム補償量の絶対値|ΔDuty|は理想的には一定値でよい。しかしながら、実際には、状態3から4へ変わるとき、または状態6から1へ変わるときはデッドタイム補償量が|ΔDuty|から−|ΔDuty|もしくは−|ΔDuty|から|ΔDuty|へステップ状に変わり、符号が逆転するため、かえってデッドタイム補償により出力電圧が歪む虞があった。それに対し、本実施例では、デッドタイム補償量を正から負、負から正へ符号を逆転させて切り替える場合に、デッドタイム補償量を所定の変化率で変化させることとした。
【0070】
ここで、
図13の実線によるカーブはインバータ装置11の電流指令値Irefを表す。また
図13の上方に配置したアルファベットはスイッチングパターンを表す。アルファベット下に配置された数字は状態を表す。図中には太い実線でデッドタイム補償量ΔDutyを表す。デッドタイム補償量ΔDutyが正から負、または負から正へ切り替わるのは電流指令値Irefが正から負、負から正に切り替わるタイミングと同時である。本実施例では、電流指令値Irefの値が0に近づくとデッドタイム補償量の絶対値を一定値から徐々に小さくすることとしている。デッドタイム補償量の絶対値を一定値から徐々に小さくするための判断基準は、電流指令値Irefの値自体ではなく、電流指令値Irefの位相としてもよい。あるいは電流指令値Irefと電流指令値Irefの位相の両方としてもよい。
【0071】
より具体的には、電流指令値Irefのカーブにおける位相が所定範囲内の状態、例えば、180°を中心とした±数10°の範囲の状態でデッドタイム補償量ΔDutyを正から負に切り替える場合には、テ―パ状の傾きを持って変更することにしてもよい。また、電流指令値Irefのカーブにおける位相が別の所定範囲内の状態、例えば360°を中心とした±数10°の範囲の状態でデッドタイム補償量ΔDutyを負から正に切り替える場合には、テ―パ状の傾きを持って変更することにしてもよい。
【0072】
また、電流指令値Irefの値がプラス側の所定値、例えば数アンペア以下の状態で、デッドタイム補償量ΔDutyを正から負に切り替える場合には、テ―パ状の傾きを持って変更することにしてもよい。また、電流指令値Irefの値がマイナス側の所定値、例えば−数アンペア以上の状態で、デッドタイム補償量ΔDutyを正から負に切り替える場合には、テ―パ状の傾きを持って変更することにしてもよい。
【0073】
さらに、電流指令値Irefのカーブにおける位相が上記の所定範囲内で且つ電流指令値Irefの値が上記のプラス側の所定値以下の状態で、デッドタイム補償量ΔDutyを正から負に切り替える場合には、テ―パ状の傾きを持って変更することにしてもよい。また、電流指令値Irefのカーブにおける位相が上記の別の所定範囲内で且つ電流指令値Irefの値が上記のマイナス側の所定値以上の状態で、デッドタイム補償量ΔDutyを負から正に切り替える場合には、テ―パ状の傾きを持って変更することにしてもよい。また、テ―パ状の部分の傾きとしては、デッドタイム補償量ΔDutyを負から正に切り替える場合には、例えば、数10°の位相範囲内で切り替わる程度の傾きであってもよ
い。また、傾きは必ずしも一定、すなわち直線状のテ―パでなくてもよく、傾きが変化することで曲線状に変更されてもよい。
【0074】
このようにデッドタイム補償量ΔDutyを同一状態の中でも変化させることで、デッドタイム補償量の符号の切替時に出力電圧が歪むことをより確実に抑制することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記の実施例の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例においてインバータ装置13のスイッチングパターンや状態を決定する基準や、デッドタイム補償量ΔDutyの切り替えの基準に電流指令値Iref、電圧指令値Vrefが用いられている場合、この基準を、実際の出力電流IL、実際の出力電圧Vinvで代用することを排除しない。